JPH10298338A - ポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子、その製法、該予備発泡粒子からなる成形体 - Google Patents
ポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子、その製法、該予備発泡粒子からなる成形体Info
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Abstract
えられる成形体にヒケやソリなどの歪みがなく、外観美
麗な成形体を与えるポリオレフィン系樹脂組成物予備発
泡粒子をうる。 【解決手段】 示差走査熱量計法による測定において、
2つの融点を示す結晶構造を有する密度0.880g/
cm3以上、0.940g/cm3未満のポリオレフィン
系樹脂組成物からなる予備発泡粒子であって、該粒子の
表層部に、直径が中心部における平均気泡径の1/3以
下であり、0.5μm以上50μm以下である微細気泡
が、1mm2あたり300個以上存在するポリオレフィ
ン系樹脂組成物予備発泡粒子にする。
Description
脂組成物予備発泡粒子、その製法および該予備発泡粒子
からなる成形体に関する。さらに詳しくは、加熱融着成
形時の成形条件幅が広く、かつ、えられる成形体にヒケ
やソリなどの歪みがなく、外観美麗となるポリオレフィ
ン系樹脂組成物予備発泡粒子、その製法、さらに該予備
発泡粒子からなる成形体に関する。
に、予備発泡粒子の気泡径は、型内発泡成形体の機械的
強度、柔軟性、弾性回復性、さらには成形品の外観など
に大きな影響をもたらすため、気泡径およびその分布を
調整するために従来より様々な気泡調整剤が工夫されて
きている。
は、メルトインデックス0.7g/10分以下、メルト
インデックス比が40以上、密度0.940g/cm3
以上である無架橋高密度ポリエチレンからなる発泡粒子
であり、該粒子の外皮部分の気泡径が中心部の気泡径の
1/3以下である部分を有する不均一な気泡構造を有
し、かつ、該粒子中心部の気泡径が0.2〜1.0m
m、独立気泡率が80%以上、密度が0.100〜0.
015g/cm3、粒子直径が2〜10mmである発泡
粒子が開示されており、そのような気泡構造を有する予
備発泡粒子を用いてえられる型内発泡成形品は、とくに
柔軟性にすぐれ、包装用緩衝材料に用いたばあいには、
被包装物の表面の耐傷つき性が改良されたり、また圧縮
弾性回復率にすぐれるなどの特性が発揮され、外的視感
および収縮やヒケについても良好な物性を有するものと
されている。
法によりえられた予備発泡粒子であるため、結晶構造が
通常の単一融点を有するものであり、型内成形幅が狭
く、成形性の面で課題を残すものである。また、メルト
インデックス0.7g/10分以下、メルトインデック
ス比が40以上であるような特殊な粘度特性を有する樹
脂を用いてもなお、基材樹脂の密度が0.940g/c
m3未満の低密度ポリエチレンでは、型内成形時の加熱
により著しい寸法収縮が発生し、実用に供しえないもの
しかえられていない。
の一部に導入された予備発泡粒子をうるためには、押出
発泡させる際に、膨張過程にある発泡ストランドに切断
刃による切断剪断作用をさせることが必須であり、その
切断面にのみ前記微細気泡が生成するため、押出ノズル
を出たのちの膨張速度と切断剪断作用の大きさを微妙に
コントロールすることが必要であり、該粒子をうるため
の製造条件幅も極めて狭いものである。
リオレフィン系樹脂の予備発泡粒子をうる方法として
は、前記押出発泡法の他に、樹脂粒子を密閉容器内で水
系分散媒に分散させ、さらに揮発性発泡剤を導入し、つ
いで前記樹脂粒子をポリオレフィン系樹脂の軟化温度以
上の温度に加熱し、前記密閉容器の内圧よりも低圧の雰
囲気中に放出させて発泡させる方法がよく知られてい
る。
法による測定において2つの融点を示すような、特殊な
結晶構造を有するポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を
製造する方法(たとえば特開昭59−176336号公
報、特開昭63−183832号公報など)も公知であ
り、かかる特殊な結晶構造を持たせることにより、密度
0.940g/cm3未満の無架橋ポリエチレンや、無
架橋ポリプロピレンを基材樹脂としたばあいの型内成形
条件幅を広げ、成形性を改良することにより、型内成形
体が広く製造されている。
発泡剤とを用いる方法では、発泡途中の冷却速度および
膨張速度が押出発泡法に比べて大きく、切断刃による切
断剪断作用も加えることができないため、前記表層部に
微細気泡を有する発泡体をうることはできない。
の解決に向けて鋭意研究を重ねた結果、密度0.880
g/cm3以上、0.940g/cm3未満であるような
ポリオレフィン系樹脂組成物を基材樹脂として用い、前
記樹脂粒子と分散媒を用いる発泡方法において、揮発性
発泡剤を用いずに、実質的に分散媒である水を発泡剤と
して用いることにより、示差走査熱量計法による測定に
おいて、2つの融点を示す結晶構造を有するような特殊
な結晶構造をもつ予備発泡粒子を製造したばあいにも、
該粒子の表層部全般にわたって、中心部の気泡とは明ら
かに異なる微細気泡が、互いに重なり合うことなく、独
立に、あるいは互いに接し合い単層に分布した予備発泡
粒子がえられることを見出した。さらに、エチレン系ア
イオノマーに代表される親水性ポリマーを特定量添加す
ることにより、予備発泡粒子表層部に生成する微細気泡
が安定的に生成し、こうした予備発泡粒子は、2次発泡
性にすぐれるとともに、成形融着性が良好で、かつ成形
サイクルが短く、えられた成形体が真珠光沢を有するす
ぐれた外観および収縮やヒケ・ソリについても良好な物
性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
よる測定において、2つの融点を示す結晶構造を有する
密度0.880g/cm3以上、0.940g/cm3未
満のポリオレフィン系樹脂組成物からなる予備発泡粒子
であって、該粒子の表層部に、直径が中心部における平
均気泡径の1/3以下であり、0.5μm以上50μm
以下である微細気泡が、1mm2あたり300個以上存
在することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物予
備発泡粒子(請求項1)、ポリオレフィン系樹脂組成物
中に親水性ポリマー0.01〜5%(重量%、以下同
様)が含まれる請求項1記載のポリオレフィン系樹脂組
成物予備発泡粒子(請求項2)、ポリオレフィン系樹脂
組成物中に含まれる親水性ポリマーが、エチレン系アイ
オノマーである請求項1または2記載のポリオレフィン
系樹脂組成物予備発泡粒子(請求項3)、ポリオレフィ
ン系樹脂組成物からなる粒子を密閉容器内の水系分散媒
に分散させ、所定の温度に加熱後、容器の一端を開放す
ることにより、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を製
造する方法において、揮発性発泡剤を用いずに、実質的
に分散媒である水を発泡剤として用い、請求項1記載の
ポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子を製造する方
法(請求項4)、および請求項1記載のポリオレフィン
系樹脂組成物予備発泡粒子からなる成形体であって、該
成形体の表層部に、直径が0.5μm以上50μm以下
である微細気泡が、1mm2あたり300個以上存在す
ることを特徴とする成形体(請求項5)に関する。
をうるために、密度0.880g/cm3以上、0.9
40g/cm3未満のポリオレフィン系樹脂組成物から
なる樹脂粒子が使用される。
であるポリオレフィン系樹脂は、オレフィン単量体単位
を50〜100%、さらには70〜100%含有し、オ
レフィン単量体と共重合可能な単量体単位を0〜50
%、さらには0〜30%含有する樹脂である。オレフィ
ン単量体単位を50%以上含有するため、軽量で機械的
強度、加工性、電気絶縁性、耐水性、耐薬品性にすぐれ
る。オレフィン単量体と共重合可能な単量体単位は、接
着性、透明性、耐衝撃性、ガスバリヤー性、帯電防止性
などの改質、成形性改良、成形サイクル短縮などのため
に使用される成分であり、使用することによる効果をう
るためには2%以上、さらには5%以上使用するのが好
ましい。
エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、
ヘプテン、オクテンなどの炭素数2〜8のα−オレフィ
ン単量体や、ノルボルネン系モノマーなどの環状オレフ
ィンなどがあげられる。これらのうちでは、エチレン、
プロピレンが安価であり、えられる重合体の物性が良好
になる点から好ましい。これらは単独で用いてもよく、
2種以上を併用してもよい。
体の具体例としては、酢酸ビニルなどのビニルアルコー
ルエステル、メチルメタクリレート、エチルアクリレー
ト、ヘキシルアクリレートなどのアルキル基の炭素数が
1〜6の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ビニル
アルコール、メタクリル酸、塩化ビニル、スチレン、イ
ソプレンなどがあげられる。これらのうちでは、酢酸ビ
ニルが接着性、柔軟性、低温特性の点から好ましく、メ
チルメタクリレートが接着性、低温特性、熱安定性の点
から好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上
を併用してもよい。
とえばポリプロピレン系樹脂では0.5〜30g/10
分、さらには3〜10g/10分のものが好ましく、ま
た曲げ弾性率(JIS K 7203)としては500
0〜20000kgf/cm2、さらには8000〜1
6000kgf/cm2、融点としては125〜165
℃、さらには135〜160℃のものが好ましい。前記
MIが0.5g/10分未満のばあい、溶融粘度が高す
ぎて高発泡倍率の予備発泡粒子がえられにくく、30g
/10分をこえるばあい、発泡時の樹脂の伸びに対する
溶融粘度が低く破泡しやすくなり、予備発泡粒子の連泡
率が高くなる傾向にある。
は、たとえばエチレン−プロピレンランダム共重合体、
エチレン−プロピレン−ブテンランダム3元共重合体、
ポリエチレン−ポリプロピレンブロック共重合体、ホモ
ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂;低密度ポ
リエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエ
チレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メ
チルメタクリレート共重合体などのポリエチレン系樹
脂;ポリブテン、ポリペンテンなどがあげられる。これ
らの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用しても
よい。また、該ポリオレフィン系樹脂は、無架橋の状態
で用いてもよいが、パーオキサイドや放射線などにより
架橋させて用いてもよい。
成分であるポリオレフィン系樹脂以外の成分として親水
性ポリマー、無機充填剤の他、帯電防止剤、可塑剤、着
色剤、滑剤など従来公知の添加剤が含まれうる。
の微細気泡を安定的に発生させるために使用される成分
である。
キシル基、水酸基、アミノ基、アミド基、エステル基な
どの親水性基を有するポリマーであり、親水性のちがい
により吸湿性ポリマー、吸水性ポリマーおよび水溶性ポ
リマーに分類される。
70に準拠して測定された吸水率が0.5%以上で上限
が100%のポリマーをいう。
とえばカルボキシル基含有ポリマー、ポリアミド、熱可
塑性ポリエステル系エラストマー、セルロース誘導体な
どがあげられる。
としては、たとえばエチレン−アクリル酸−無水マレイ
ン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重
合体の分子間をナトリウムイオン、カリウムイオンなど
のアルカリ金属イオンをはじめ、亜鉛イオンなどの遷移
金属イオンで架橋させたエチレン系アイオノマー、エチ
レン−(メタ)アクリル酸共重合体などがあげられる。
これらのポリマーは、単独で用いてもよく、2種以上を
併用してもよい。これらのカルボキシル基含有ポリマー
のなかでは、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の
分子間をナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアル
カリ金属イオンなどで架橋させたエチレン系アイオノマ
ーが、ポリオレフィン系樹脂中での分散性にすぐれ、比
較的少量でポリオレフィン系樹脂組成物発泡粒子、およ
びそれからなる成形体の表層部に前記微細気泡を安定的
に多数生成させうるので、本発明においてとくに好適に
使用しうるものである。
ばナイロン−6、ナイロン−6,6、共重合ナイロン
(イーエムエス ヘミー社(EMS−CHEMIE A
G)製、商品名グリルテックスなど)などがあげられ
る。これらのポリアミドは、単独で用いてもよく、2種
以上を併用してもよい。
の具体例としては、たとえばポリブチレンテレフタレー
トとポリテトラメチレングリコールのブロック共重合体
などがあげられる。これらの熱可塑性ポリエステル系エ
ラストマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用し
てもよい。
たとえば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロースなど
があげられる。これらのセルロース誘導体は、単独で用
いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なく、自重の数倍から数百倍の水を吸水し、圧力がかか
っても脱水されがたいポリマーをいう。
とえば澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、架橋ポリビ
ニルアルコール系重合体、架橋ポリエチレンオキサイド
系重合体、イソブチレン−マレイン酸系共重合体などが
あげられる。これらのポリマーは、単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
具体例としては、たとえば日本合成化学工業(株)製、
商品名アクアリザーブGPなどで代表される種々の架橋
ポリビニルアルコール系重合体があげられる。かかる重
合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。
の具体例としては、たとえば住友精化(株)製、商品名
アクアコークなどで代表される種々の架橋ポリエチレン
オキサイド系重合体があげられる。かかる重合体は、単
独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
の具体例としては、たとえば(株)クラレ製、商品名K
Iゲルなどで代表される種々のイソブチレン−マレイン
酸系共重合体があげられる。かかる共重合体は、単独で
用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
状態で水に溶解するポリマーをいう。
とえばポリ(メタ)アクリル酸系重合体、ポリ(メタ)
アクリル酸塩系重合体、ポリビニルアルコール系重合
体、ポリエチレンオキサイド系重合体、水溶性セルロー
ス誘導体などがあげられる。これらのポリマーは、単独
で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ては、たとえばポリアクリル酸、アクリル酸−アクリル
酸エチル共重合体、ポリメタクリル酸2−ヒドロキシエ
チルなどがあげられる。これらの重合体は、単独で用い
てもよく、2種以上を併用してもよい。
しては、たとえばポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタ
クリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリメ
タクリル酸カリウムなどがあげられる。これらの重合体
は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
は、たとえばポリビニルアルコール、ビニルアルコール
−酢酸ビニル共重合体などがあげられる。これらの重合
体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。
ては、たとえば分子量数万〜数百万のポリエチレンオキ
サイドなどがあげられる。これらの重合体は、単独で用
いてもよく、2種以上を併用してもよい。
とえばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチル
セルロースなどがあげられる。これらの重合体は、単独
で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
を均一化するために使用される成分である。
ばタルク、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナ
トリウム、水酸化カルシウムなどがあげられる。これら
のうちでは、タルクが安価であるうえ、少量で中心部の
気泡径を均一化する効果がえられるため好ましい。
ポリマーが含まれるばあいのポリオレフィン系樹脂およ
び親水性ポリマーの割合は、親水性ポリマーの種類によ
って異なるが、これらの合計が100%になるようにポ
リオレフィン系樹脂95〜99.99%に対し、親水性
ポリマー0.01〜5%使用されるのが好ましい。
くなりすぎると親水性ポリマーの添加割合が少なくなり
すぎ、微細気泡を安定的に発生させる効果が小さくな
り、逆に少なくなりすぎると親水性ポリマーの添加割合
が多くなりすぎるために、予備発泡粒子の連泡率が高く
なったり、中心部と表層部の平均気泡径の比が1/3を
こえて大きくなる、あるいは直径0.5μm以上50μ
m以下であるような表層微細気泡数が1mm2あたり3
00個未満となってしまう傾向が生じる。
填剤が含まれているばあいのポリオレフィン系樹脂およ
び無機充填剤の割合は、ポリオレフィン系樹脂または親
水性ポリマーが含まれているばあいには、ポリオレフィ
ン系樹脂と親水性ポリマーの混合物100部に対して無
機充填剤が0.001〜5部、さらには0.005〜3
部であるのが好ましい。無機充填剤の割合が少なすぎる
と、無機充填剤添加の効果である中心部における均一な
気泡構造が充分えられず、また、無機充填剤の割合が多
すぎると、ポリオレフィン系樹脂組成物の密度が高くな
り、0.940g/cm3以上になるばあいが生じると
ともに、予備発泡粒子の中心部の平均気泡径が小さくな
り、表層部と中心部の気泡径の比が1/3をこえてしま
うため好ましくない。
は、密度が0.880g/cm3以上、さらには0.8
85g/cm3以上で、0.940g/cm3未満、さら
には0.935g/cm3以下である。密度が小さくな
りすぎると予備発泡粒子の融着成形時の成形幅が著しく
狭くなり、成形性が低下する。なお、大きくなりすぎる
ばあいには、樹脂の結晶化度が高く、予備発泡粒子に2
つの融点を有するような特殊な結晶構造を持たせること
が困難となる。
発泡粒子は、示差走査熱量計法による測定において2つ
の融点を示す結晶構造を有し、かつ、その表層部に、中
心部における平均気泡径の1/3以下、さらには1/4
以下であり、かつ直径が0.5μm以上、さらには1μ
m以上、50μm以下、さらには45μm以下であるよ
うな微細気泡が、1mm2あたり300個以上、さらに
は500個以上存在する。
2つの融点を示す結晶構造を有するとは、本発明のポリ
オレフィン系樹脂予備発泡粒子を約10mg採取し、セ
イコー電子工業(株)製のSSC5200を用いて40
℃から220℃まで、昇温速度10℃/分の測定条件で
融点を測定したときに、2つの融点があり、それらの温
度差が好ましくは5℃以上、さらに好ましくは5〜30
℃あることをいう。融点が2つあり、それらの温度差が
5℃以上あるため、融着成形時、蒸気などにより予備発
泡粒子が加熱された際、適度な2次発泡性と、破泡収縮
しないだけの樹脂膜強度を同時に満足する、融着成形性
の良好な温度範囲(成形条件幅)の広い予備発泡粒子と
なる。
備発泡粒子の表層部とは、予備発泡粒子の表面から50
μmまでの部分であり、予備発泡粒子の最外層に位置す
る単層の微細気泡はすべてこの表層部に含まれ、中心部
とは、予備発泡粒子の表層部を除いた部分のことであ
る。
は、前記予備発泡粒子表面の拡大顕微鏡写真において観
察される気泡断面積を求め、これを円と仮定した際に面
積同等となるように求めた直径(いわゆる相当径)のこ
とである。また、前記中心部の平均気泡径とは、前記予
備発泡粒子断面の拡大顕微鏡写真において、表層部を除
く部分に、長さ1mmに相当する線分を引き、該線分が
通る気泡数を求めたのち、ASTM D 3576記載
の手順に基づいて求めた平均気泡径のことである。
部における平均気泡径の1/3より大きいばあいには、
中心部における気泡と表層部における微細気泡の区別が
明確でなくなるうえ、中心部における平均気泡径が小さ
いばあいには、成形融着性や成形サイクルなどの成形性
に劣る。また、成形時に発泡粒子の連泡率が増大し、え
られた成形体の機械的強度が低下するため好ましくな
い。また、前記表層部の微細気泡の直径が0.5μm未
満のばあい、可視光の波長が0.4〜0.7μm程度で
あり、光学的に気泡の存在を確認できなくなる(気泡が
透明になる)ため、本発明では気泡として考えない。ま
た、微細気泡の直径が50μmをこえるばあいには、表
層微細気泡が存在することによりえられる型内成形体の
真珠光沢を有するすぐれた外観が損われてしまうため、
好ましくない。また、1mm2あたりの微細気泡の個数
が少なすぎるばあいには、表層微細気泡の分布が疎とな
るため、融着成形性や圧縮弾性回復率などのすぐれた改
善効果がなくなる。なお、1mm2あたりの微細気泡の
個数の上限は該範囲内に直径0.5μmの微細気泡が単
層に密に配置されたばあいを考えると、約100万個で
ある。
脂組成物予備発泡粒子は、一般に発泡倍率1.5〜80
倍、さらには2〜60倍、連泡率20%以下、さらには
15%以下のものである。
成物予備発泡粒子の製法について説明する。
発泡粒子は、ポリオレフィン系樹脂組成物粒子を密閉容
器内の水系分散媒に分散させ、所定の温度に加熱後、容
器の一端を開放することにより、予備発泡粒子を製造す
る方法において、揮発性発泡剤を用いずに、実質的に分
散媒である水を発泡剤として用いることにより製造され
る。また、この際、密度0.880g/cm3以上、
0.940g/cm3未満という密度の低いポリオレフ
ィン系樹脂組成物からなる予備発泡粒子の成形性を維持
するために、示差走査熱量計法による測定において、2
つの融点を示す結晶構造を有させるような温度で発泡せ
しめられる。
物粒子を分散させる水系分散媒、ポリオレフィン系樹脂
組成物粒子と水系分散媒との割合などについて特別な限
定はなく、通常使用される密閉容器、水系分散媒、粒子
と水系分散媒との割合などであるかぎり採用されうる。
性発泡剤ではなく、実質的に分散媒として使用される水
である。前記ポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子
を製造する際に、発泡剤としてハロゲン化炭化水素、低
級脂肪族炭化水素、炭酸ガスなどの揮発性発泡剤を使用
したばあいには、前記予備発泡粒子の表層部の微細気泡
の直径が50μmをこえるか、あるいは0.5μm以
上、50μm以下の微細気泡の数が300個未満しか生
成しないかのいずれかになり、ポリオレフィン系樹脂組
成物予備発泡粒子の表層部に前記微細気泡がほとんどま
たはまったく見られなくなる。
沸点が高く、また蒸発時の潜熱冷却の大きい水を発泡剤
として用いると、発泡途中で粒子が100℃未満になる
と気泡の成長が停止し、予備発泡粒子表層部に微細気泡
が生成すると考えられる。
泡は、前記製法によって発泡を行なったのち、空気やチ
ッ素などの気体を発泡粒子内に含有させることにより発
泡能を付与したのち、加熱空気や水蒸気などにより2段
目の発泡を行なっても消滅しない。
実質的に水を発泡剤として用いるため、本発明において
は、1段目の発泡だけでは発泡倍率が比較的出にくい傾
向にあるが、こうした2段目の発泡を併用することによ
り、この欠点を克服することが可能である。前記2段目
の発泡についても、従来公知の方法がいずれも適用可能
である。
リオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製法は公知である
(たとえば特開昭59−176336号公報、特開昭6
3−183832号公報など)。すなわち、通常の結晶
構造を有し、必要に応じて気泡調整剤、酸化防止剤、可
塑剤、帯電防止剤、染料、顔料などを含有させたポリオ
レフィン系樹脂組成物粒子を、密閉容器内の水系分散媒
に分散させ、必要に応じて分散剤および分散助剤を加え
たのち、揮発性発泡剤を添加し、所定温度に加熱後、該
密閉容器の内圧よりも低圧の雰囲気中に放出する方法に
おいて、加熱中、密閉容器内の樹脂組成物の温度が所定
の発泡温度をこえないように慎重に温度コントロールを
行ない、発泡温度に到達してから放出発泡させることに
よりえられる。また、この際、所定の発泡温度は、原料
となるポリオレフィン系樹脂組成物粒子の融解終了温度
未満とすることにより、前記2つの融点を示す結晶構造
を有するポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子がえ
られる。
オレフィン系樹脂組成物粒子5〜10mgをとり、示差
走査熱量計により、40〜220℃で、昇降温速度10
℃/分で測定を行なった際、2回目の昇温過程における
DSC曲線において、融点を示す吸熱ピークが、融点よ
りも高温側でベースラインと一致する温度をいう。
用いずに、実質的に分散媒である水を発泡剤として用い
るが、このばあいにも前記従来技術と同様にして2つの
融点を示す結晶構造を有するポリオレフィン系樹脂組成
物予備発泡粒子を製造することができる。
レフィン系樹脂組成物予備発泡粒子は、2つの融点を有
する結晶構造を有するため加熱融着成形時の成形条件幅
が広く、たとえば閉鎖しうるが密閉しえない金型内に充
填し、蒸気などにより加熱融着し、型通りの発泡成形体
をうるという従来公知の成形法によって成形することに
よって、表層部に、直径が0.5μm以上50μm以下
であるような微細気泡が1mm2あたり300個以上存
在し、融着率の高い、独立気泡構造を有する成形体を製
造することができる。えられる成形体は、前記のごとき
表層部を有するため、ヒケやソリなどの歪みがなく、真
珠光沢を有する外観美麗なものとなる。
説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定される
ものではない。
は、つぎの方法により行なった。
を取り、60℃で6時間乾燥したのち重量wを測定後、
水没法にて体積vを測定し、予備発泡粒子の真比重ρb
=w/vを求め、原料組成物の密度ρrとの比から発泡
倍率K=ρr/ρbを求めた。
ンス(株)製、1000型)を用い、えられた予備発泡
粒子の独立気泡体積を求め、これを別途水没法により求
めた見かけの体積で除してえられた独立気泡率(%)
を、100から引くことにより求めた。
任意に10個を取り出し、セル膜が破壊されないように
充分注意して切断したそれぞれのサンプルの切断面につ
いて、表層部を除く部分に長さ1mmに相当する線分を
引き、該線分が通る気泡数を測定し、以後はASTMD
3576に準拠して平均気泡径を測定し、中心部の平均
気泡径dを算出した。
を任意に取り出し、光学顕微鏡を用いて表層部の拡大顕
微鏡写真(×1000倍)をそれぞれ2枚撮影した。え
られた10枚の顕微鏡写真上で、それぞれ一辺100μ
mに相当する大きさの正方形を描き、その範囲内に含ま
れる各気泡の断面積を求め、これを円と仮定した際に面
積同等となるような相当径を求めた。
を任意に取り出し、光学顕微鏡を用いて表層部の拡大顕
微鏡写真(×1000倍)をそれぞれ2枚撮影した。え
られた10枚の顕微鏡写真上にそれぞれ一辺100μm
の正方形を描き、その中に含まれる直径が0.5μm以
上50μm以下である微細気泡数を測定し、その合計数
を求め(総面積0.1mm2)、これを10倍すること
により、1mm2あたりの微細気泡数を算出した。
(住友化学工業(株)製のエチレン−プロピレンランダ
ム共重合体、密度0.90g/cm3、融点145℃、
MI 5.5g/10分)100部(重量部、以下同
様)に対し、無機充填剤としてタルク(平均粒径7μ
m)1部を添加し、50φ単軸押出機に供給し、溶融混
練したのち、直径1.5φの円筒ダイより押し出し、水
冷後カッターで切断し、円柱状のポリオレフィン系樹脂
組成物粒子(1.8mg/粒)をえた。えられたポリオ
レフィン系樹脂組成物粒子の融点は145℃、融解終了
温度は161℃、JIS K 7112により測定した
密度は0.91g/cm3であった。
100部を、水200部、第3リン酸カルシウム0.5
部およびドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.04部
とともに耐圧密閉容器に投入したのち、撹拌しながら1
55.5℃に加熱した。このときの圧力は約5kg/c
m2Gであった。そののち、空気加圧により耐圧密閉容
器の内圧を30kg/cm2Gとし、すぐに密閉容器下
部のバルブを開いて水分散物(樹脂組成物粒子および水
系分散媒)を直径4φのオリフィスを通じて大気圧下に
放出して独立気泡構造を有する予備発泡粒子をえた。こ
の際、放出中は容器内の圧力が低下しないように、空気
で圧力を保持した。
定において、144℃と155℃に2つの融点を示し、
発泡倍率、連泡率、中心部の平均気泡径および粒子表層
部の微細気泡の直径および気泡数を測定した結果、発泡
倍率9.3倍、連泡率0.4%、中心部の平均気泡径1
21μm、表層部の微細気泡の直径2〜10μm、表層
部の微細気泡数1370個/mm2であり、表層部には
2〜10μmを外れる直径を有する気泡は観察されなか
った。
707(三井デュポンポリケミカル(株)製のエチレン
系アイオノマー、エチレン−メタクリル酸共重合体のナ
トリウム金属塩、MI 0.9g/10分、融点89
℃)2%を添加したものを用いた以外は実施例1と同様
にしてポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子をえた
(えられたポリオレフィン系樹脂組成物粒子の融点は1
45℃、融解終了温度161℃、密度は0.91g/c
m3であった)。えられた予備発泡粒子は、142℃と
153℃に2つの融点を示し、発泡倍率11.5倍、連
泡率0.8%、中心部の平均気泡径243μm、表層部
の微細気泡の直径5〜30μm、表層部の微細気泡数3
800個/mm2であり、表層部には5〜30μmを外
れる直径を有する気泡は観察されなかった。
707 5%を添加したものを用いた以外は実施例2と
同様にしてポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子を
えた(えられたポリオレフィン系樹脂組成物粒子の融点
は145℃、融解終了温度161℃、密度は0.91g
/cm3であった)。えられた予備発泡粒子は、141
℃と153℃に2つの融点を示し、発泡倍率13.1
倍、連泡率1.2%、中心部の平均気泡径278μm、
表層部の微細気泡の直径8〜40μm、表層部の微細気
泡数520個/mm2であり、表層部には8〜40μm
を外れる直径を有する気泡は観察されなかった。
泡粒子を耐圧密閉容器内に7kg/cm2Gのチッ素ガ
スとともに封入し、80℃で3時間放置して、発泡粒子
中にチッ素ガスを含有させ、発泡能を付与した。そのの
ち、冷却、開封、発泡粒子の内圧を5kg/cm2Gと
し、別の耐圧密閉容器に封入し、1.6kg/cm2G
の水蒸気を30秒間導入、加熱し、2段目の発泡をさせ
た。えられた予備発泡粒子は、142℃と153℃に2
つの融点を示し、発泡倍率20.4倍、連泡率1.5
%、中心部の平均気泡径352μm、表層部の微細気泡
の直径8〜40μm、表層部の微細気泡数4470個/
mm2であり、表層部には直径8〜40μmを外れる直
径を有する気泡は観察されなかった。
燥させたのち、耐圧密封容器内で空気により4kg/c
m2Gの圧力で18時間加圧して、発泡粒子に内圧を付
与してから、これを320mm×320mm×60mm
の直方体形状の、閉鎖しうるが密閉されえない金型内に
充填し、2.4kg/cm2Gの水蒸気により加熱成形
した。冷却後、金型から取り出した成形体を75℃で2
4時間乾燥させた。成形融着性は良好であり、ヒケやソ
リなどの歪みがなく、金型寸法に対する収縮比は3%以
下であり、外観は真珠光沢を有する美麗なものであっ
た。成形体表面に直径5〜30μmの微細気泡のみが1
mm2あたり1840個存在した。
の光の乱反射が促進され、真珠光沢を有する外観美麗な
ものとなると考えられる。
フィン系樹脂組成物粒子(融点145℃、密度0.91
g/cm3)をえ、1段目の発泡において揮発性発泡剤
としてイソブタンを用い、145℃、19kg/cm2
Gで発泡させた。えられた予備発泡粒子は141℃と1
60℃に2つの融点を示し、発泡倍率10.6倍、連泡
率1.7%、中心部の平均セル径546μmの独立気泡
構造を有する予備発泡粒子であったが、表層部にはスキ
ン層が形成され、微細気泡は観察されなかった。また、
えられた予備発泡粒子を実施例5と同様にして成形し、
成形体をえた。成形融着性などはほぼ良好であったが、
えられた成形体表面には、微細気泡は観察されず、鈍い
光沢を有するものであった。
0%に対して10%とした以外は、実施例2と同様にし
てポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子をえた(ポ
リオレフィン系樹脂組成物の融点145℃、密度0.9
1g/cm3)。えられた予備発泡粒子は、141.3
℃と150.9℃に2つの融点を示し、発泡倍率13.
6倍、連泡率1.5%、中心部の平均気泡径288μm
であったが、表層部には直径60〜96μmの微細気泡
数も160個/mm2存在したが、直径100〜120
μm程度の気泡も観察された。
条件幅が広く、かつ、えられる成形体にヒケやソリなど
の歪みがなく、外観美麗な成形体を与えるポリオレフィ
ン系樹脂組成物予備発泡粒子がえられる。
Claims (5)
- 【請求項1】 示差走査熱量計法による測定において、
2つの融点を示す結晶構造を有する密度0.880g/
cm3以上、0.940g/cm3未満のポリオレフィン
系樹脂組成物からなる予備発泡粒子であって、該粒子の
表層部に、直径が中心部における平均気泡径の1/3以
下であり、0.5μm以上50μm以下である微細気泡
が、1mm2あたり300個以上存在することを特徴と
するポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子。 - 【請求項2】 ポリオレフィン系樹脂組成物中に親水性
ポリマー0.01〜5重量%が含まれる請求項1記載の
ポリオレフィン系樹脂組成物予備発泡粒子。 - 【請求項3】 ポリオレフィン系樹脂組成物中に含まれ
る親水性ポリマーが、エチレン系アイオノマーである請
求項1または2記載のポリオレフィン系樹脂組成物予備
発泡粒子。 - 【請求項4】 ポリオレフィン系樹脂組成物からなる粒
子を密閉容器内の水系分散媒に分散させ、所定の温度に
加熱後、容器の一端を開放することにより、ポリオレフ
ィン系樹脂予備発泡粒子を製造する方法において、揮発
性発泡剤を用いずに、実質的に分散媒である水を発泡剤
として用い、請求項1記載のポリオレフィン系樹脂組成
物予備発泡粒子を製造する方法。 - 【請求項5】 請求項1記載のポリオレフィン系樹脂組
成物予備発泡粒子からなる成形体であって、該成形体の
表層部に、直径が0.5μm以上50μm以下である微
細気泡が、1mm2あたり300個以上存在することを
特徴とする成形体。
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- 1997-05-01 JP JP11381297A patent/JP3641098B2/ja not_active Expired - Fee Related
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