JPH10297269A - ビスカスヒータ - Google Patents

ビスカスヒータ

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JPH10297269A
JPH10297269A JP10903697A JP10903697A JPH10297269A JP H10297269 A JPH10297269 A JP H10297269A JP 10903697 A JP10903697 A JP 10903697A JP 10903697 A JP10903697 A JP 10903697A JP H10297269 A JPH10297269 A JP H10297269A
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JP
Japan
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chamber
heat
side opening
generating chamber
heat generating
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Application number
JP10903697A
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English (en)
Inventor
Takahiro Moroi
隆宏 諸井
Takashi Ban
孝志 伴
Shigeru Suzuki
鈴木  茂
Satoshi Yagi
聖史 八木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ビスカスヒータにおいて、発熱室と貯留室とを
結ぶ連通路における粘性流体の円滑な移動を図る。 【解決手段】後部区画プレート6の筒部6b及び後部ハ
ウジング本体2の後端壁によって囲まれる領域には副オ
イル室10が提供される。この副オイル室10は、上側
及び下側連通孔6d,6eを介して発熱室7と連通す
る。かかる上側連通孔6dはその発熱室7側開口部が副
オイル室10側開口部よりも上下関係で高い位置に設定
され、下側連通孔6eはその発熱室7側開口部が副オイ
ル室10側開口部よりも低い位置に設定される。このた
め、上側及び下側連通孔6d,6eに進入した粘性流体
は、上側及び下側連通孔6d,6eに付与される傾斜に
よって、一層速やかに移動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハウジング内に区
画された発熱室及び放熱室を備え、駆動軸に作動連結さ
れたロータを、粘性流体を収容した発熱室内で回転させ
て粘性流体の剪断作用に基づく熱を発生させ、その熱を
放熱室を流れる循環流体に熱交換するビスカスヒータに
関する。
【0002】
【従来の技術】車両用暖房装置としては、水冷エンジン
の冷却に用いられた熱冷却水をダクト内のヒータコアに
供給し、このヒータコアで暖められた空気を車室内に送
り込んで車室内の暖房を行う車両用温水式暖房装置が一
般的である。
【0003】ところが、例えばディーゼルエンジン車や
リーンバーンエンジン車のように、エンジンの発熱量が
比較的少なく、エンジン冷却水を充分に加熱することが
できない車両にあっては、ヒータコアに供給される熱冷
却水の温度を所定水温(例えば80℃)に維持すること
が困難であり、車室内の暖房能力に不足を生じやすいと
いう欠点がある。
【0004】かかる欠点を解消する目的で、エンジン冷
却水の循環回路系に、エンジン冷却水を加熱するための
ビスカスヒータを配設することが提案されている。かか
るビスカスヒータは、そのハウジング内に区画された発
熱室及びウォータジャケット(放熱室)、並びに、エン
ジンの動力によって回転駆動される駆動軸及びロータを
備えている。そして、このロータにより発熱室内に収容
された粘性流体(例えば高粘性シリコーンオイル)を剪
断して流体摩擦に基づく熱を発生させ、その熱でウォー
タジャケットを流れる循環流体(エンジン冷却水)を加
熱している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】発熱室内に封入された
粘性流体の温度は、循環回路系を流れる循環流体の温度
にかかわらず、エンジンの回転速度が高くなるほど上昇
する傾向にある。特に、粘性流体として高粘性シリコー
ンオイルを使用した場合には、シリコーンオイルの物性
として、オイル自体の温度が例えば250℃を超える
と、オイルの熱劣化及び剪断による機械的劣化を生じや
すくなる。このように、シリコーンオイルが熱的又は機
械的に劣化すると、粘性流体の剪断発熱の効率が低下
し、車室内の暖房能力が低下する。
【0006】本発明の目的は、剪断に供される粘性流体
の量をより多く確保して長期使用に耐え得ると共に、粘
性流体の過加熱による劣化を防止しつつ、優れた発熱性
能を持続的に発揮することができるビスカスヒータを提
供することにある。
【0007】更に、粘性流体をより多く確保するため
に、発熱室と連通する貯留室を設けることを前提とし
て、発熱室と貯留室との間における粘性流体の円滑な移
動を可能ならしめることをも目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、ハウジングと、該ハウジング内に区画された発熱室
及び放熱室と、前記発熱室内で回動可能に設けられた駆
動軸及びロータとを備え、前記発熱室内に収容された粘
性流体を前記ロータで剪断することにより発生した熱を
前記放熱室内の循環流体に熱交換するビスカスヒータに
おいて、前記ハウジング内に区画されて粘性流体を追加
収容する貯留室と、前記発熱室と前記貯留室とを相互に
連通する連通路とを更に備え、前記連通路は、駆動軸の
回動軸線に対して非平行となるように設けられているこ
とをその要旨とする。
【0009】このビスカスヒータでは、発熱室と貯留室
とは、連通路により連結している。かかる連通路は、連
通路を通過する粘性流体の円滑な移動を促すために、駆
動軸の回動軸線に対して非平行となるように傾斜が付与
されている。従って、前記連通路が前記回動軸線に対し
て平行となるように形成される場合に比べて、発熱室と
貯留室との間における粘性流体の入れ替え循環が容易と
なり、その結果、粘性流体の過加熱による劣化が回避さ
れる。
【0010】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のビスカスヒータにおいて、前記連通路は、ロータ端面
に対向する側の発熱室内壁面に開口した発熱室側開口と
貯留室内壁面に開口した貯留室側開口とをそれぞれ備え
た回収通路及び供給通路からなり、前記回収通路は、そ
の発熱室側開口が貯留室側開口よりも上方に配設され、
前記供給通路は、その発熱室側開口が貯留室側開口より
も下方に配設されたことを特徴とする。
【0011】この構成によれば、回収通路は、発熱室側
開口から貯留室側開口にかけて下降する傾斜が付与され
ていると共に、供給通路は、貯留室側開口から発熱室側
開口にかけて下降する傾斜が付与されている。このた
め、発熱室と貯留室との間を移動する粘性流体は、その
自重によって回収通路及び供給通路内を流れ落ちるよう
に通過する。従って、粘性流体の貯留室への回収及び発
熱室への供給は、回収通路及び供給通路に傾斜が付与さ
れない場合に比べて、より円滑に行われるため、発熱能
力の立ち上がりが向上されると共に、発熱室と貯留室と
の間における粘性流体の入れ替え循環が促進される。
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項1又は2
に記載のビスカスヒータにおいて、前記連通路は、ロー
タ端面に対向する側の発熱室内壁面に開口した発熱室側
開口と貯留室内壁面に開口した貯留室側開口とをそれぞ
れ備えた回収通路及び供給通路からなり、前記回収通路
は、その発熱室側開口が貯留室側開口よりもロータ回転
方向で後方に配置されると共に、前記供給通路は、その
発熱室側開口が貯留室側開口よりもロータ回転方向で前
方に配置されたことを特徴とする。
【0013】ロータの回転に伴い、発熱室内の粘性流体
には、ロータに引きづられるようにして、剪断ベクトル
に沿った方向への相対移動が生じる。この剪断ベクトル
方向は、駆動軸の軸線を中心として、その周りに描くこ
とができる円の接線方向、即ちロータの回転方向に相当
する。このため、回収通路及び供給通路に発熱室側開口
と貯留室側開口との間でロータの回転方向に符合して延
びる傾斜をそれぞれ付与することで、発熱室への粘性流
体の供給と共に、粘性流体の発熱室からの回収を円滑化
することができる。従って、回収通路及び供給通路に傾
斜が付与されない場合に比べて、発熱室と貯留室との間
で、粘性流体の積極的な入れ替え循環が達成される。
【0014】請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の
いずれか一項に記載のビスカスヒータにおいて、前記貯
留室は、発熱室の後方に配置されていることを特徴とす
る。この構成によれば、貯留室に回収された粘性流体
は、発熱室における剪断作用から解放され、一定時間貯
留室内に滞在する。このとき、粘性流体は、貯留室内で
冷却(除熱)化されつつ、供給通路の貯留室側開口へ向
かう移動を示す。このため、特定の粘性流体のみが剪断
に伴う熱劣化に至る事態を回避する。
【0015】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)以下、本発明を具体化した実施形態1に
ついて図1〜図4に基づいて説明する。
【0016】図1に示すように、ビスカスヒータの外郭
は前部ハウジング本体1及び後部ハウジング本体2によ
って構成されている。前部ハウジング本体1は、前方
(図示左方)に向かって突出した中空筒状のボス部1a
と、該ボス部1aの基端部から後方に向かって大きく碗
形状に延在した円筒部1bとを有している。後部ハウジ
ング本体2は、前記円筒部1bの開口側を覆う蓋形状と
されている。前部ハウジング本体1と後部ハウジング本
体2とは、前部ハウジング本体1の円筒部1b内に一対
の前部区画プレート5及び後部区画プレート6を内装し
つつ、複数本のボルト3によって締結されている。
【0017】前部区画プレート5と後部区画プレート6
とはそれぞれ、その外周部に環状のリム部5a,6aを
有している。これらリム部5a,6aを相互連結される
両ハウジング本体1,2の対向壁面間に挟着することに
より、両ハウジング本体1,2内に両区画プレート5,
6が移動不能に収納されている。また、前部区画プレー
ト5の後端側はそのリム部5aに対して凹んだ形状とな
っており、両区画プレート5,6の相互接合によって両
者間には発熱室7が形成される。
【0018】このように、ビスカスヒータのハウジング
は、前部ハウジング本体1、後部ハウジング本体2、前
部区画プレート5及び後部区画プレート6から構成され
ている。これらハウジングの構成部材は、アルミニウム
又はアルミニウム合金から作られている。
【0019】前部区画プレート5は、その前端側におい
て、その中央部に形成された支持筒部5bと、当該支持
筒部5bの外側に沿って周方向に延びる同心円弧状に形
成された複数のガイドフィン5cとを有している。前部
区画プレート5は、支持筒部5bの一部が前部ハウジン
グ本体1の内壁部と密接するように、前部ハウジング本
体1内に嵌め込まれている。この結果、前部ハウジング
本体1の内壁部と前部区画プレート5の本体部との間に
は、発熱室7の前側に隣接する放熱室としての円環状の
前部ウォータジャケット8が区画される。この前部ウォ
ータジャケット8内において、前記リム部5a、支持筒
部5b及びガイドフィン5cは、循環流体としての循環
水の流れをガイドするガイド壁の役目を果たし、前側放
熱室内における循環水の流通経路を設定する。
【0020】図1及び図2に示すように、後部区画プレ
ート6は、その後端側において、その中央部に形成され
た筒部6bと、当該筒部6bの外側に沿って周方向にの
びる同心円弧状に形成された複数のガイドフィン6cと
を有している。後部区画プレート6が前部区画プレート
5と共に前部ハウジング本体1内に嵌め込まれた状態で
は、後部区画プレート6の筒部6bが後部ハウジング本
体2の環状壁2aと密接する。この結果、後部ハウジン
グ本体2と後部区画プレート6の本体部との間には、発
熱室7の後側に隣接する放熱室としての円環状の後部ウ
ォータジャケット9、及び、筒部6b内側に位置する貯
留室としての副オイル室10が区画される。この後部ウ
ォータジャケット9内において、前記リム部6a,筒部
6b及びガイドフィン6cは、循環流体としての循環水
の流れをガイドするガイド壁の役目を果たし、後側放熱
室内における循環水の流通経路を設定する。
【0021】図2に示すように、前部ハウジング本体1
の側壁部には、縦に並ぶ第1及び第2のポート15,1
6が形成されている。また、各区画プレート5,6は、
その径方向に水平に延びる直壁4(図2では後部区画プ
レート6のみ図示)を有している。この直壁4は、両ウ
ォータジャケット8,9内に設定された環状の各流通経
路を横断する方向に延びており、各流通経路の始端側
(下側端)と終端側(上側端)とを明確に区分しつつ、
各流通経路の始端側を第1ポート15(下側)に連通さ
せると共に、同流通経路の終端側を第2ポート16(上
側)に連通させている。そして、第1及び第2ポート1
5,16のそれぞれには、車両に設けられた暖房回路の
配管(図示略)との接続のための継手管20,21が取
り付けられている。
【0022】図1に示すように、前部ハウジング本体1
及び前部区画プレート5には、軸受け11,12を介し
て駆動軸13が回動可能に支承されている。軸受け12
は、シール付きの軸受けであり、前部区画プレート5の
支持筒部5bの内周面と、駆動軸13の外周面との間に
介在され、発熱室7の前方を封止している。駆動軸13
の後端部には、発熱室7内に収容される円板形のロータ
14が一体回転可能に圧入固定されている。ロータ14
の周縁近傍には前後に貫通する複数のロータ連通孔14
aが形成されている。これらロータ連通孔14aは、駆
動軸13の中心軸線から等距離の位置において、駆動軸
13を取り囲んで等角度間隔にて配置されている。
【0023】後部区画プレート6の筒部6bと後部ハウ
ジング本体2の後端壁とによって囲まれる領域には、貯
留室としての副オイル室10が提供されている。後部区
画プレート6は、その本体部を前後に貫通する回収通路
としての上側連通孔6d及び供給通路としての下側連通
孔6eを有している。
【0024】図3に示すように、上側連通孔6dには、
駆動軸13の軸線X’に対して発熱室7側から副オイル
室10側に下がる角度θ1の傾斜が付与されている。即
ち、副オイル室10側における上側連通孔6dの開口部
は、発熱室7側における上側連通孔6dの開口部よりも
上下関係で低い位置に設定されている。この結果、上側
連通孔6dの両開口部が同じ高さにある場合(即ち、上
側連通孔6dが軸線X’と平行である場合)に比べて、
シリコーンオイルの自重による発熱室7から副オイル室
10への回収がより円滑に行われる。
【0025】また、図4に示すように、下側連通孔6e
には、駆動軸13の軸線X’に対して副オイル室10側
から発熱室7側に下がる角度θ2の傾斜が付与されてい
る。即ち、副オイル室10側における下側連通孔6eの
開口部は、発熱室7側における下側連通孔6eの開口部
よりも上下関係で高い位置に設定されている。この結
果、下側連通孔6eの両開口部が同じ高さにある場合
(即ち、下側連通孔6eが軸線X’と平行である場合)
に比べて、シリコーンオイルの自重による副オイル室1
0から発熱室7への供給がより円滑に行われる。尚、下
側連通孔6eの連通断面積は、上側連通孔6dのそれよ
りも大きく設定されている。また、角度θ1とθ2と
は、等しくても異なっていてもよい。
【0026】上側及び下側連通孔6d,6eを介して相
互に連通する発熱室7と副オイル室10とは、ヒータの
ハウジング内において液密な内部空間を形成する。この
内部空間には、粘性流体としてのシリコーンオイルが所
要量入れられている。このシリコーンオイルは粘弾性を
有している。シリコーンオイルの量は、その常温時充填
率が前記内部空間内の空き容積に対して、5〜8割とな
るように決められている。そして、ロータ14の回転時
には副オイル室10から発熱室7に下側連通孔6eを介
してシリコーンオイルが供給され、発熱室7から副オイ
ル室10に上側連通孔6dを介して温度が上昇したシリ
コーンオイルが回収される。故に、発熱室7と副オイル
室10との間においてシリコーンオイルの入れ替え循環
が生じ得る。尚、シリコーンオイルの充填時において、
上側連通孔6dは、副オイル室10内に貯留されたシリ
コーンオイルの液位よりも上方に位置し、下側連通孔6
eは当該液位よりも下方に位置する。
【0027】駆動軸13の前端部にはボルト17によっ
てプーリ18が固着されている。プーリ18はその外周
部に巻き掛けられるVベルト(図示略)を介して、外部
駆動源としての車両のエンジンと駆動連結される。
【0028】次に、本実施形態のビスカスヒータの作用
について説明する。エンジンの起動前、即ち駆動軸13
の停止時において、発熱室7と副オイル室10とにおけ
るシリコーンオイル(粘性流体)の液位は等しい。故
に、駆動軸13の起動時にはロータ14の粘性流体との
接触面積は小さく、小さなトルクで、プーリ18、駆動
軸13及びロータ14を起動することができる。プーリ
18を介してのエンジンの駆動力によって駆動軸13と
共にロータ14が一体回転されるに伴い、シリコーンオ
イルが発熱室7の内壁面とロータ14の外面との間隙に
おいて剪断されて発熱する。発熱室7で生じた熱は、各
区画プレート5,6を介して前部及び後部ウォータジャ
ケット8,9を流れる循環水に熱交換される。加熱され
た循環水は、暖房回路(図示略)を介して車室内の暖房
等に供される。
【0029】ロータ14の回転時、シリコーンオイルに
は遠心力と、粘弾性流体にみられるワイセンベルク効果
とが作用し、両者のバランス及びオイルの高い粘性に基
づいて、発熱室7の全体にシリコーンオイルが行き渡
る。このビスカスヒータでは、発熱室7は上側連通孔6
dを介して副オイル室10と連通しており、当該上側連
通孔6dには発熱室7側開口部から副オイル室10側開
口部に向かって下方に延びる傾斜が付与されている。こ
のため、上側連通孔6dの発熱室7側開口部で受け止め
られたシリコーンオイルは、その自重によって下に傾斜
した上側連通孔6dを流れ落ちるようにして円滑に副オ
イル室10に送り込まれる。
【0030】他方、このビスカスヒータでは、副オイル
室10は下側連通孔6eを介して発熱室7と連通してお
り、当該下側連通孔6eには副オイル室10側開口部か
ら発熱室7側開口部に向かって下方に延びる傾斜が付与
されている。このため、下側連通孔6eの副オイル室1
0側開口部に進入したシリコーンオイルは、その自重に
よって下に傾斜した下側連通孔6eを流れ落ちるように
して迅速かつ滑らかに発熱室7に向かう。下側連通孔6
eの発熱室7側開口部に達したシリコーンオイルは、そ
の高い粘性に起因するロータ14の引き込み作用によっ
て、下側連通孔6eから発熱室7に引き出される。
【0031】このように、駆動軸13及びロータ14の
駆動時には、発熱室7と副オイル室10との間で円滑な
シリコーンオイルの入れ替え循環が行われる。この場
合、下側連通孔6eは上側連通孔6dよりも大きな連通
断面積を有しているため、シリコーンオイルの副オイル
室10への回収量よりも発熱室7への供給量の方が多く
なる。故に、傾斜が設けられた上側及び下側連通孔6
d,6eを介した円滑なシリコーンオイルの入れ替え循
環を支援する。
【0032】また、上側連通孔6dを介して発熱室7か
ら副オイル室10内に回収されたシリコーンオイルは、
入れ替え循環のサイクルタイムに応じた一定時間だけ、
副オイル室10に滞在する。発熱室7から回収直後のシ
リコーンオイルは高温状態にあるが、副オイル室10で
の滞在中にその熱量の一部を副オイル室10の区画部材
(後部区画プレート6)に伝達することで、シリコーン
オイルは熱を奪われる。その結果、高温のシリコーンオ
イルは冷却(除熱)されて長時間の熱保持による劣化か
ら守られる。
【0033】本実施形態のビスカスヒータは、次に掲げ
る利点を有する。 ○ 上側連通孔6dには発熱室7側における開口部から
副オイル室10側における開口部にかけて下方に延びる
傾斜が付与されている。このため、発熱室7内のシリコ
ーンオイルを滑らかに副オイル室10へ送り込むことが
できる。従って、速やかなシリコーンオイルの回収を達
成することができる。
【0034】○ 下側連通孔6eには副オイル室10側
における開口部から発熱室7側における開口部にかけて
下方に延びる傾斜が付与されている。このため、副オイ
ル室10に滞在しているシリコーンオイルを下側連通孔
6eを介して発熱室7へ積極的に送り出すことができ
る。従って、発熱室7内へ必要量のシリコーンオイルが
円滑に行き渡るため、発熱能力の立ち上がりを向上させ
ることができると共に、速やかなシリコーンオイルの供
給を達成することができる。
【0035】○ 副オイル室10を設けているので、一
定時間副オイル室10においてシリコーンオイルを発熱
室7内での剪断作用から解放し、かつ冷却させながら休
ませたシリコーンオイルを発熱室7へ再供給することが
できる。従って、特定のシリコーンオイルのみが剪断に
供されることなく、シリコーンオイルの劣化を遅らせる
ことができる。
【0036】(実施形態2)図5〜図7は、本発明の実
施形態2に従うビスカスヒータを示す。このビスカスヒ
ータは前記実施形態1と基本構成を同じくし、ただ、発
熱室7と貯留室としての副オイル室10をつなぐ回収通
路及び供給通路の傾斜構成のみが相違する。故に、この
相違点を中心に説明する。
【0037】図5に示すように、回収通路としての上側
連通孔6d及び供給通路としての下側連通孔6eには発
熱室7と副オイル室10との間でロータの回転方向にほ
ぼ符合して延びるように傾斜が設けられる。即ち、図5
のC―C線での切り口によれば、図6に示すように、上
側連通孔6dには、軸線X’に対して角度θ3の傾斜が
付与されている。この上側連通孔6dの傾斜は、その発
熱室7側開口部がロータ14の剪断ベクトルVの基端側
(ハウジング正面側)を向くと共に、その副オイル室1
0側開口部が前記剪断ベクトルVの先端側(ハウジング
の背面側)に向くように設定されている。従って、発熱
室7側における上側連通孔6dの開口部は、副オイル室
10側における上側連通孔6dの開口部よりもロータ1
4の回転方向において後方に位置するようになる。故
に、上側連通孔6dと剪断ベクトルV(ロータ14の回
転方向)とのなす角度θ4は、鋭角となると共に、θ4
=(90°−θ3)の関係を満たす。
【0038】また、図5のD―D線での切り口によれ
ば、図7に示すように、下側連通孔6eには、軸線X’
に対して角度θ5の傾斜が付与されている。この下側連
通孔6eの傾斜は、その副オイル室10側開口部がロー
タ14の剪断ベクトルVの基端側(ハウジング背面側)
を向くと共に、その発熱室7側開口部が前記剪断ベクト
ルVの先端側(ハウジングの正面側)に向くように設定
されている。従って、発熱室7側における下側連通孔6
eの開口部は、副オイル室10側における下側連通孔6
eの開口部よりもロータ14の回転方向において前方に
位置するようになる。故に、下側連通孔6eと、剪断ベ
クトルV(ロータ14の回転方向)とのなす角度θ6は
鈍角となり、θ6=(90°+θ5)の関係を満たす。
【0039】ロータ14の回転に伴い、発熱室7内のシ
リコーンオイルには、剪断ベクトルV方向、即ちロータ
14の回転方向への移動が生じる。このため、上側連通
孔6dの発熱室7側開口部で受け止められたシリコーン
オイルは、前記剪断ベクトルV方向への移動の影響を受
けて上側連通孔6d内を滑らかに流れて副オイル室10
へ向かう。また、下側連通孔6eの副オイル室10側開
口部に進入したシリコーンオイルは、それ自身の高い粘
性に起因するロータ14の引き込み作用によって円滑か
つ迅速に発熱室7へ引き出される。従って、発熱室7と
副オイル室10との間で、シリコーンオイルの積極的な
入れ替え循環を達成することができる。尚、角度θ3と
角度θ5とは、等しくても異なっていてもよい。
【0040】(実施形態3)図8〜図10は、本発明の
実施形態3に従うビスカスヒータを示す。このビスカス
ヒータは前記実施形態1と基本構成を同じくし、ただ、
発熱室7と貯留室としての副オイル室10をつなぐ回収
通路及び供給通路の傾斜構成のみが相違する。故に、こ
の相違点を中心に説明する。
【0041】図8及び図9に示すように、回収通路とし
ての上側連通孔6dは、図3の垂直角θ1と、図6の水
平角θ3とを合成した斜め方向に延びている。即ち、副
オイル室10側における上側連通孔6dの開口部は、発
熱室7側における上側連通孔6dの開口部よりも上下関
係で低い位置であると共に、ロータ14の回転方向にお
いて前方へ位置するように形成される。
【0042】また、図8及び図10に示すように、供給
通路としての下側連通孔6eは、図4の垂直角θ2と図
7の水平角θ5とを合成した斜め方向に延びている。即
ち、副オイル室10側における下側連通孔6eの開口部
は、発熱室7側における下側連通孔6eの開口部よりも
上下関係で高い位置であると共に、ロータ14の回転方
向において後方に位置するよう形成される。
【0043】従って、上記実施形態1,2でそれぞれ得
られた効果を相乗的に向上させることができるため、シ
リコーンオイルの発熱室7から副オイル室10への回収
及び/又は副オイル室10から発熱室7への供給をより
一層円滑に行うことができる。尚、θ1及びθ2、θ3
及びθ5は、等しくても異なっていてもよい。
【0044】本明細書における「粘性流体」とは、ロー
タの剪断作用を受けて流体摩擦に基づく熱を発生するあ
らゆる媒体を意味するものであり、高粘度の液体や半流
動体に限定されず、ましてやシリコーンオイルに限定さ
れるものではない。
【0045】
【発明の効果】各請求項に記載のビスカスヒータによれ
ば、発熱室と貯留室とを相互に連通する連通路には、連
通路を通過する粘性流体の円滑な移動を促すために、駆
動軸の回動軸線に対して非平行となるように傾斜が付与
されている。従って、粘性流体の貯留室への回収移動及
び発熱室への再供給移動を円滑化することができると共
に、発熱能力の立ち上がりを向上させることができる。
故に、粘性流体の過加熱による劣化が回避され、優れた
発熱性能を持続的に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に従うビスカスヒータの縦断面図。
【図2】図1のA―A線での断面図。
【図3】図2のB―B線での部分拡大断面図。
【図4】図2のB―B線での部分拡大断面図。
【図5】実施形態2に従うビスカスヒータの要部断面
図。
【図6】図5のC―C線での部分拡大断面図。
【図7】図5のD―D線での部分拡大断面図。
【図8】実施形態3に従うビスカスヒータの要部断面
図。
【図9】図8のB’―B’線での部分拡大断面図。
【図10】図8のB’―B’線での部分拡大断面図。
【符号の説明】
1…前部ハウジング本体、2…後部ハウジング本体、5
…前部区画プレート、6…後部区画プレート(1,2,
5,6はハウジングを構成する)、6d…回収通路とし
ての上側連通孔、6e…供給通路としての下側連通孔、
7…発熱室、8,9…放熱室としての前部及び後部ウォ
ータジャケット、10…貯留室としての副オイル室、1
3…駆動軸、14…ロータ、X,X’…回動軸線。
フロントページの続き (72)発明者 八木 聖史 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジングと、該ハウジング内に区画さ
    れた発熱室及び放熱室と、前記発熱室内で回動可能に設
    けられた駆動軸及びロータとを備え、前記発熱室内に収
    容された粘性流体を前記ロータで剪断することにより発
    生した熱を前記放熱室内の循環流体に熱交換するビスカ
    スヒータにおいて、 前記ハウジング内に区画されて粘性流体を追加収容する
    貯留室と、前記発熱室と前記貯留室とを相互に連通する
    連通路とを更に備え、前記連通路は、駆動軸の回動軸線
    に対して非平行となるように設けられているビスカスヒ
    ータ。
  2. 【請求項2】 前記連通路は、ロータ端面に対向する側
    の発熱室内壁面に開口した発熱室側開口と貯留室内壁面
    に開口した貯留室側開口とをそれぞれ備えた回収通路及
    び供給通路からなり、前記回収通路は、その発熱室側開
    口が貯留室側開口よりも上方に配設され、前記供給通路
    は、その発熱室側開口が貯留室側開口よりも下方に配設
    されたことを特徴とする請求項1に記載のビスカスヒー
    タ。
  3. 【請求項3】 前記連通路は、ロータ端面に対向する側
    の発熱室内壁面に開口した発熱室側開口と貯留室内壁面
    に開口した貯留室側開口とをそれぞれ備えた回収通路及
    び供給通路からなり、前記回収通路は、その発熱室側開
    口が貯留室側開口よりもロータ回転方向で後方に配置さ
    れると共に、前記供給通路は、その発熱室側開口が貯留
    室側開口よりもロータ回転方向で前方に配置されたこと
    を特徴とする請求項1又は2に記載のビスカスヒータ。
  4. 【請求項4】 前記貯留室は、発熱室の後方に配置され
    ている請求項1〜3のいずれか一項に記載のビスカスヒ
    ータ。
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