JPH10297225A - 重荷重用ラジアルタイヤ - Google Patents

重荷重用ラジアルタイヤ

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JPH10297225A
JPH10297225A JP9112556A JP11255697A JPH10297225A JP H10297225 A JPH10297225 A JP H10297225A JP 9112556 A JP9112556 A JP 9112556A JP 11255697 A JP11255697 A JP 11255697A JP H10297225 A JPH10297225 A JP H10297225A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タイヤ外表面に生じるクラックを効果的に防
止しうる重荷重用ラジアルタイヤを提供する。 【解決手段】 トレッド部2からサイドウオール部3を
へてビード部4のビードコア5に至る本体部6Aにビー
ドコア5で折り返す折返し部6Bを一体に設けたカーカ
スプライ6aを有するカーカス6を具えた重荷重用ラジ
アルタイヤであって、ビード部4は、ビードコア5から
タイヤ半径方向外側に先細状にのびかつ硬質ゴムからな
るビードエーペックスゴム8を有し、折返し部6Bは、
このビードエーペックスゴム8の軸方向外側面に沿って
半径方向外側にのびかつカーカスの本体部6Aと実質的
に平行で半径方向外側にのびる平行部Gを有し、しかも
この平行部Gの長さLを、ビードコア5の断面最大巾C
Wの0.5〜5.0倍としたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サイドウォール部
からビード部にかけてのタイヤ外表面に生じるクラック
を効果的に防止しうる重荷重用ラジアルタイヤに関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年の
道路網の整備化、車両の高性能化に伴い、乗用車用タイ
ヤはもとより、例えばトラック、バス等に用いられる重
荷重用タイヤにおいても高い走行性能が要求されてお
り、近年では、ラジアル構造カーカスと、このカーカス
の外側を剛性の高いベルト層で締めつけた重荷重用ラジ
アルタイヤの採用が普及している。このような重荷重用
ラジアルタイヤは、トレッド部の剛性が高く、高速性能
に優れ、また耐摩耗性能、低燃費性能などの向上が図ら
れている。
【0003】ところが、重荷重車両に用いられるラジア
ルタイヤは、大気中のオゾンによる影響に加え、走行中
に発生する大きな繰返し応力がビード部に集中して作用
するため、サイドウォール部からビード部にかけてのタ
イヤ外表面に、ひび割れなどのクラックが比較的早期に
発生するとともに、このクラックが起点となってプライ
ルースなどのビード損傷を発生させる場合もある。ま
た、このようなクラックが生じたタイヤは、台タイヤと
しての基準を具備しえず、リトレッドなどタイヤの更正
ができないという問題もある。さらに、重荷重用タイヤ
においては、前記大きな繰り返し応力に耐え得るよう、
ビード部のゴム厚さが比較的大きいため、タイヤ重量の
増加を招き、低燃費化を阻害する。
【0004】本発明者らは、以上のような問題点に鑑み
鋭意研究を重ねたところ、先ずクラックに関しては、タ
イヤ軸方向に最外側となるタイヤ最大巾の位置からリム
のフランジに至る領域のタイヤ外表面に生じる最大主歪
に着目し、この最大主歪みをピーク点を持たないように
して低減させることが有効であることを突き止めた。そ
して、このようなタイヤ外表面に生じる最大主歪を低減
するためには、トレッド部からサイドウオール部をへて
ビード部のビードコアに至る本体部に前記ビードコアで
タイヤ軸方向内側から外側に折り返す折返し部を一体に
設け、かつこの折返し部がカーカスの本体部と実質的に
平行で半径方向外側にのびる特定長さの平行部を設ける
ことなどが好ましいとの知見を得たのである。
【0005】加えて、タイヤ重量の低減については、外
膨らみのサイドウオール内方域の内方に、凹円弧状にへ
こむ内膨らみのビード外方域を設け、かつ前記サイドウ
オール内方域でのゴム厚さを、タイヤ半径方向内方に向
かって徐々に増大させることを基本として、ゴム厚さを
適正に減じて軽量化を図りうるとともに、前記ビード外
方域のゴムゲージが低減することにより最大主歪みのピ
ークがより現れにくくなることをも見出した。
【0006】以上のように、本発明のうち請求項1及び
2記載の発明は、サイドウォール部からビード部にかけ
てのクラックを効果的に防止しビード部の耐久性を向上
しうる重荷重用ラジアルタイヤの提供を目的としてい
る。また、請求項3記載の発明では、前記目的に加え、
軽量化を達成しうる重荷重用ラジアルタイヤを提供する
ことを目的としている。また、請求項4記載の発明で
は、とりわけサイドウォール部からビード部にかけての
クラックをより効果的に防止しうる重荷重用ラジアルタ
イヤの提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部か
らサイドウオール部をへてビード部のビードコアに至る
本体部に前記ビードコアでタイヤ軸方向内側から外側に
折り返す折返し部を一体に設け、かつコードをタイヤ赤
道に対して70〜90°の角度で傾けて配列したカーカ
スプライを有するカーカスを具えた重荷重用ラジアルタ
イヤであって、前記ビード部は、ビードコアからタイヤ
半径方向外側に先細状にのびかつ硬質ゴムからなるビー
ドエーペックスゴムを有し、前記折返し部は、このビー
ドエーペックスの軸方向外側面に沿って半径方向外側に
のびかつ前記カーカスの本体部と実質的に平行で半径方
向外側にのびる平行部を有し、しかもこの平行部の長さ
Lを、前記ビードコアの断面最大巾CWの0.5〜5.
0倍としたことを特徴としている。
【0008】又請求項2記載の発明は、前記平行部の長
さLが、前記ビードコアの断面最大巾CWの2.0〜
4.0倍である請求項1記載の重荷重用ラジアルタイヤ
である。
【0009】又請求項3記載の発明は、前記タイヤを正
規リムに装着し正規の内圧を充填した標準状態における
タイヤ外表面のタイヤ子午断面における輪郭線は、タイ
ヤ軸方向に最外側となるタイヤ最大巾点P1から前記リ
ムのフランジに至る下方点P3との間において、前記タ
イヤ最大巾点P1とその半径方向内方の内方点P2との
間のタイヤ軸方向外に突出する外膨らみの曲線をなすサ
イドウオール内方域S1、及びその内方に連なりかつタ
イヤ軸方向内に凹む凹み部を有する前記内方点P2から
下方点P3の間の内膨らみのビード外方域S2を具える
とともに、前記サイドウオール内方域S1の曲線は、前
記タイヤ最大巾点P1を通る軸方向線上に中心を有する
曲率半径R1の円弧E1からなり、かつ前記ビード外方
域S2の曲線は、前記内方点P2から前記円弧E1を同
一円弧で延長した円弧延長線E1aよりもタイヤ軸方向
内方を通って前記凹み部に連なる一方、前記下方点P3
は、前記ビード外方域S2の曲線において前記リムのフ
ランジから離間する離間点が、前記円弧延長線E1aよ
りもタイヤ軸方向内方にあるときはその離間点、前記離
間点が前記円弧延長線E1aよりもタイヤ軸方向外側に
あるときには前記ビード外方域S2の曲線と円弧延長線
E1aとの交点として設定され、しかもタイヤ軸方向最
も外側の前記カーカスプライの本体部と、タイヤ外表面
との間のゴム厚さTは、前記タイヤ最大巾点P1のゴム
厚さT1から前記内方点P2のゴム厚さT2まで徐々に
増大することを特徴とする請求項1又は2記載の重荷重
用ラジアルタイヤである。
【0010】又請求項4記載の発明は、前記タイヤを正
規リムにリム組みしかつ0.5kgf/cm2 の内圧を充填し
た仮組状態から正規の内圧を充填した標準状態に変化さ
せた場合において、タイヤ軸方向に最外側となるタイヤ
最大巾点P1からリムのフランジに至る下方点P3との
間の領域の表面の最大主歪εは、最大で4%未満であり
かつピークを持たないことを特徴とする請求項1乃至3
のいずれかに記載の重荷重用ラジアルタイヤである。
【0011】なお、前記請求項3記載の発明と関連し
て、特開昭55−19685号公報は、前記領域Yにお
いて、少なくとも1個の凹型区域を設けることを開示し
ている。しかしながら、この提案ではビード部のゴムボ
リュームを減じることにより、タイヤ半径方向の柔軟性
(可撓性)を向上させることを目的としたものであっ
て、本発明のようにカーカスの本体部と折返し部とが平
行にのびる平行部を具えるものではないため、サイドウ
ォール部表面の最大主歪が、5〜10%のピークを持つ
もので、クラックを抑制する効果を期待しうるものでは
ない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図
面に基づき説明する。図1は、重荷重用ラジアルタイヤ
1(以下タイヤ1ということがある)を15°テーパリ
ムである正規リムJに装着しかつ正規の内圧を充填した
無負荷の標準状態における子午断面であって、本例で
は、タイヤ1がトラック、バスなどに使用されるチュー
ブレス式の重荷重用ラジアルタイヤである場合を示して
いる。
【0013】本明細書において、「正規リム」とは、J
ATMA(日本)、TRA(アメリカ)、ETRTO
(ヨーロッパ)等のタイヤ規格で定まる規格リムをい
い、又「正規の内圧」とは、前記各規格において最高空
気圧として規定される空気圧をいうものとして定義す
る。
【0014】図において、タイヤ1は、トレッド部2
と、その両端からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサ
イドウォール部3と、各サイドウオール部3の内方端に
位置するとともに前記正規リムJに着座するビード部4
とを具えるとともに、トレッド部2からサイドウオール
部3をへてビード部4のビードコア5に至る本体部6A
に前記ビードコア5でタイヤ軸方向内側から外側に折り
返す折返し部6Bを一体に設けた1枚以上のカーカスプ
ライ6aからなるカーカス6を具える。
【0015】前記カーカスプライ6aは、カーカスコー
ドをタイヤ赤道Cに対して70〜90°の角度範囲で配
列したコード配列体の両面をトッピングゴムで被覆した
シート状のものを用いている。またカーカスコードとし
ては、好ましくは、スチールコードが採用されるが、必
要に応じてばナイロン、レーヨン、ポリエステル、芳香
族ポリアミド等の有機繊維コードをも使用できる。本実
施形態のカーカス6は、スチールコードをタイヤ赤道C
に対して略90°の角度で傾けた1枚のカーカスプライ
6aから形成される。
【0016】前記カーカス6の半径方向外側かつトレッ
ド部2の内方には、ベルト層7が配される。ベルト層7
は、本例ではスチールコードをタイヤ赤道Cに対して、
例えば60±10°程度の角度で傾けた最も内のベルト
プライ7Aと、タイヤ赤道Cに対してスチールコードを
30°以下の小角度で傾けて並べたベルトプライ7B、
7C、7Dとを、例えば前記ベルトコードがプライ間で
互いに交差する箇所を1箇所以上設けて重ね合わせた4
層構造をなす。なお、ベルト層7には、必要に応じてレ
ーヨン、ナイロン、芳香族ポリアミド、ナイロンなど他
のコード材料を用いることができる。
【0017】前記ビード部4は、カーカスプライ6aの
本体部6Aと折返し部6Bとの間に、前記ビードコア5
からタイヤ半径方向外側に先細状にのびる硬質ゴムから
なるビードエーペックスゴム8が充填される。前記ビー
ドエーペックスゴム8は、例えば、図2に示すようにビ
ードベースラインBLからのタイヤ半径方向高さh1
を、カーカス断面高さH(図1に示す)の6〜31%、
より好ましくは8〜22%、より好ましくは8〜14%
とするのが好ましく、本例では約11%の高さに設定し
ている。なおビードベースラインBLは、前記JATM
Aなどの規格で定められるリム径を通るタイヤ軸方向線
として定義し、またカーカス高さとは、前記標準状態に
おいて、ビードベースラインBLからカーカスの厚さ中
心までの高さとして定義する。
【0018】またビードエーペックスゴム8は、図2に
示すように、本例ではタイヤ軸方向の内側面8iをカー
カスの本体部6Aと略平行に傾斜した略直線状に形成す
るとともに、タイヤ軸方向の外側面8oをタイヤ軸方向
内側に凹む内膨らみの円弧状に形成している。さらに、
ビードエーペックスゴム8は、例えばJIS A硬度を
60〜99°、より好ましくは70〜95°の硬質ゴム
にて形成するのが望ましい。
【0019】前記ビードコア5は、本例ではスチールワ
イヤを所定回数螺旋巻きすることにより断面略六角形状
に形成したものをゴム被覆することにより形成され、そ
の内片5iがタイヤ軸方向線に対して約15°、すなわ
ちリムのリムシート面J1の傾斜に沿うように構成され
ている。なお、ビードコア5には、スチールの他、芳香
族ポリアミドのワイヤ素材なども採用しうる。
【0020】前記カーカスの折返し部6Bは、ビードエ
ーペックスゴム8の外端8tを半径方向外側に超えかつ
タイヤ最大巾点P1より半径方向内方、すなわち荷重負
荷時の歪量が比較的小さい高さh2の位置で終端させる
ことによって、折返し部6Bに作用する応力を減じう
る。前記高さh2は、ビードベースラインBLからカー
カス断面高さHの15%〜50%、より好ましくは20
〜40%とするのが好ましく、本例では29%としてい
る。
【0021】また前記カーカスの折返し部6Bは、本実
施形態では、前記ビードエーペックスゴム8の外側面8
oに沿って、一旦内膨らみ状で半径方向外側にのびかつ
前記ビードエーペックスゴム8の略外端8tの位置から
前記カーカスの本体部6Aと実質的に平行で半径方向外
側にのびる平行部Gを形成して終端している。このよう
な平行部Gを形成することにより、タイヤ1を正規リム
にリム組みしかつ0.5kgf/cm2 の内圧を充填した仮組
状態から正規の内圧を充填した標準状態に変化させた場
合において、前記タイヤ最大巾点P1からリムのフラン
ジJfに至るタイヤ子午断面の輪郭線の下方点P3との
間の領域Yの最大主歪εを、ピーク点を持たないように
して低減させることが可能となる。
【0022】前記平行部Gの長さLは、前記標準状態に
おいて、前記ビードコア5の断面最大巾CW(ワイヤ部
分を対象として測定する)の0.5〜5.0倍、より好
ましくは1.0〜4.0倍、さらに好ましくは2.0〜
4.0倍とすることが望ましく、本実施形態では、平行
部Gはビードコアの断面最大巾CWの約2.6倍として
いる。
【0023】前記平行部Gの長さLが、ビードコアの断
面最大巾CWの0.5倍を下回る場合には、前記領域Y
に、最大主歪εのピークが現れ、その最大主歪εのピー
ク位置に比較的早期に集中してクラックが生じやすくな
り、逆に5.0倍を上回るとカーカスの折返し部6Bの
タイヤ半径方向外端が、屈曲の激しいタイヤ最大巾位置
に近接するため、プライルースなどの損傷が発生し易く
なるためビード耐久性の低下傾向があることを種々の実
験の結果から確認している。
【0024】また、図2のA−A断面である図3に示す
ように、平行部Gは、カーカスの本体部6Aと折返し部
6Bとのコード間距離Nを、例えばカーカスコード11
の直径Dの1.0〜4.5倍、好ましくは1.5〜3.
5倍として離間させ、前記カーカスの本体部6Aと折返
し部6Bのカーカスコード間に作用するせん断力を、該
カーカスコード間に介在するゴム材の弾性によって緩和
するのが望ましい。前記コード間距離Nが、前記カーカ
スコードの直径Dの1.0倍未満のとき、せん断力の緩
和効果が不十分となり、又時にカーカスコード11が部
分的に接触するおそれがありコードルースなどの原因に
もなりかねない。また、コード間距離Nが、カーカスコ
ードの直径Dの4.5倍を超えると、本体部6Aと折返
し部6Bとが平行にのびる場合でも、前記領域Yの外表
面の最大歪εの低減効果が少なくなる傾向があり、また
ビード部4の厚さをを不必要に増大するなど、発熱性の
点からも好ましくない。
【0025】なお前記カーカスの本体部6Aと折返し部
6Bのカーカスコード間に介在するゴム材は、カーカス
プライ6aのトッピングゴムであっても良いが、本例で
はカーカスプライの本体部6Aと折返し部6Bとの間に
トッピングゴムと略等しい硬度のクッションゴム層12
を別途設けたものを例示している。
【0026】なおカーカス6は、例えば2枚のカーカス
プライによって形成してもよく、このとき少なくとも1
枚のカーカスプライが、前記平行部Gを形成するように
配置されていれば良い。
【0027】従来の重荷重用ラジアルタイヤでは、この
ような特定の長さを有する平行部Gを設けていなかった
ため、前記仮組状態から標準状態への内圧充填変化によ
り、前記領域Yに最大主歪が5〜10%のピーク点を有
していたが、前記の平行部Gを設けることによって、前
記領域Yの最大主歪εのピークを除去、つまり歪が集中
するのを防止して歪の分散化を図りうるとともに、その
歪を4%未満に止めうる。これによって、本発明の重荷
重用ラジアルタイヤは、サイドウォール部3からビード
部4にかけてのクラックを効果的に抑制でき、かつビー
ド部4の耐久性を向上しうる。
【0028】また、本実施形態では、重荷重用ラジアル
タイヤ1は、図1、図4に示すように、前記標準状態に
おけるタイヤ外表面のタイヤ子午断面における輪郭線
は、前記領域Yにおいて、サイドウォール内方域S1と
その内方に連なるビード外方域S2とで形成し、このビ
ード外方域S2に凹み部13を設けることにより、タイ
ヤ重量の低減を効果的に達成している。
【0029】前記サイドウォール内方域S1は、図4に
示すように、前記タイヤ最大巾点P1と、その半径方向
内方の内方点P2との間をのびる外膨らみの曲線をな
し、前記タイヤ最大巾点P1を通る軸方向線上に中心を
有する曲率半径R1の円弧E1から形成される。
【0030】また、前記ビード外方域S2は、前記円弧
E1を同一円弧で延長した円弧延長線E1aよりもタイ
ヤ軸方向内方を通って、前記内方点P2から凸円弧状に
のびる外膨らみの継ぎ部14と、この継ぎ部14に接す
るとともに凹円弧状を呈して前記下方点P3まで内膨ら
みでのびる凹み部13とからなる曲線E2で形成されて
いる。そして、本実施形態では、前記継ぎ部14は、前
記曲率半径R1の0.2〜0.4倍程度の曲率半径R2
の円弧で形成するとともに、前記凹み部13は、この曲
率半径R2の0.95倍以下の曲率半径R3の円弧で形
成している。
【0031】また前記下方点P3は、図5に示すように
前記ビード外方域S2の曲線E2において前記リムJの
フランジJfから離間する離間点Q1が、前記円弧延長
線E1aよりもタイヤ軸方向内方にあるときはその離間
点Q1として設定し、また図6に示すように、前記離間
点Q1が前記円弧延長線E1aよりもタイヤ軸方向外側
にあるときには前記ビード外方域S2の曲線E2と円弧
延長線E1aとの交点Q2として設定する。本実施形態
では、前記離間点Q1が、前記円弧延長線E1a上にあ
ることにより、離間点Q1が前記下方点P3をなす場合
を示している。
【0032】また図4に示すように、タイヤ軸方向の最
外側に配されるカーカスプライの本体部、本例では、カ
ーカスプライ6aの本体部6Aとタイヤ外表面との間の
ゴム厚さTは、タイヤ最大巾点P1のゴム厚さT1から
前記内方点P2のゴム厚さT2まで徐々に増大する。又
前記ビード外方域S2と円弧延長線E1aとを最短長さ
で結ぶ凹み部13の深さDが最大となるビード外方域S
2上での最深点をPmとしたとき、本例では、内方点P
2のゴム厚さT2から前記最深点Pmでのゴム厚さTm
まで、さらにはこの最深点Pmのゴム厚さTmから下方
点P3のゴム厚さT3までそれぞれゴム厚さTを漸増し
ている。なお前記「本体部6Aとタイヤ外表面との間の
ゴム厚さT」とは、本体部6Aに配されるカーカスコー
ドのタイヤ軸方向外側面からタイヤ外表面までの距離と
して定義する。
【0033】このように前記領域Yでは、ビード外方域
S2を仮想の円弧延長線E1aからタイヤ軸方向内方に
凹円弧状に凹まして形成するとともに、少なくとも前記
サイドウオール内方域S1におけるゴム厚さTを、タイ
ヤ半径方向内方に向かって漸増、本例では領域Y全般に
亘ってゴム厚さTをタイヤ半径方向内方に向かって漸増
させている。その結果、ビード部2におけるゴムボリュ
ームが凹み分減じられ、ビード部のゴムゲージが徐々に
薄くなるため前記最大主歪にピークが現れにくくなり、
安定した表面歪をうる他、発熱性をも低減でき、さらに
はタイヤ重量の効果的な軽量化を図りうる。
【0034】なお前記最深点Pmのビードベースライン
BLからの半径方向高さHpmは、タイヤ断面高さHの
6〜20%、好ましくは9〜20%、より好ましくは1
2〜18%とするのが望ましく、しかも凹み部13の深
さDの最大量Dmは、3〜6mmとするのが望ましい。
【0035】なお、図7に示すように、前記領域Yに凹
み部13を形成しなくとも平行部Gによる最大主歪εの
低減効果は発揮できる。そして、図8に示すように前記
平行部Gを有しない従来タイヤ、平行部を有する本発明
タイヤA(図7)、及び平行部Gと前記凹み部13とを
ともに有する本発明タイヤB(図1)の前記領域Yにお
ける最大主歪εを測定したところ、図9に示すように、
従来タイヤでは前記領域Yに最大主歪が約7〜8%とな
るピークZが現れているが、本発明タイヤA、Bは、い
ずれも最大主歪が4.0%未満であり、しかもピーク点
を有しないことが判る。
【0036】なお、前記最大主歪εの測定は、図10に
示すように、 試供タイヤのサイドウォール部3、ビード部4の表面
をバフ研磨しナフサで拭き取りし、 前記研磨面に接着剤を塗布し、タイヤ半径方向にのび
る測定基準ラインRLを引く、 印刷用スクリーンを使用し、白インク(酸化チタン+
DOP+ヒマシ油)にて、図10に示すような複数の円
を並べたマーキングをビニルテープ15に写し取る、 前記ビニルテープ15を、リム組みし0.5kgf/cm2
の内圧を充填した前記試供タイヤの前記研磨面に、前記
測定基準ラインに沿って貼り付けて転写する、 さらに正規内圧まで空気圧を充填した後、タイヤのサ
イドウォール部の前記マークを新たなテープに写し取
る、 このようにして得られる前記マーク(0.5kgf/cm2
の内圧充填時の基準条件、正規内圧充填時の比較条件)
を拡大して、図11に示す標点を数1〜11で示される
式を用いて最大主歪を算出する。
【0037】
【数1】
【0038】
【数2】
【0039】
【数3】
【0040】
【数4】
【0041】
【数5】
【0042】
【数6】
【0043】
【数7】
【0044】
【数8】
【0045】
【数9】
【0046】
【数10】
【0047】
【数11】
【0048】
【実施例】タイヤサイズが11R22.5の重荷重用ラ
ジアルタイヤを表1の仕様に基づき試作するとともに
(実施例1〜9、比較例1〜2、従来例)、サイドウォ
ール部の最大主歪測定テスト、前記領域Yのクラック測
定テスト、ビード耐久テスト、タイヤ重量の測定などを
行った。タイヤの共通仕様は次の通りである。 <カーカス> ・プライ数 1枚 ・コード構成 スチールコード(3×0.20+7×
0.20) ・コード角度 タイヤ赤道に対して90度 ・コード密度 40本/5cm <ベルト層> ・プライ数 4枚 ・コード構成 スチールコード(3×0.20+6×
0.35) ・コード角度 タイヤ赤道に対して内側プライから+
67/+18/−18/−18度 ・コード密度 26本/5cm また、テストの内容は次の通りである。
【0049】<ビード耐久性>試供タイヤを8.25×
22.5の正規リムに装着して内圧1000kPaを充
填し、荷重9000kgf 、速度20km/hでドラム上
を走行させ、外観目視にて確認可能な損傷が発生した時
点で走行を終了し、損傷発生距離Llと完走距離L0
(10000km)との比L1/L0を、従来例を10
0とする指数によって評価した。数値が大きいほど優れ
ている。
【0050】<サイドウォール部の最大主歪測定テスト
>前記説明の通りであり、ピークの有無と最大主歪εの
最大値で評価した(正規リム:8.25×22.5、正
規内圧:800kPa)。
【0051】<クラック測定テスト>8.25×22.
5の正規リムに装着して正規内圧800kPaを充填し
た試供タイヤを、オゾン濃度40pphm、室温40度
のオゾンチャンバー内に入れ前記領域Yにクラックが発
生するまでの時間を従来例を100とする指数により評
価した。数値が大きいほど耐クラック性に優れている。
【0052】<タイヤ重量>タイヤ1本当たりの重量
を、従来例を100とする指数により評価した。数値が
小さいほど軽量である。テストの結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】テストの結果、実施例のタイヤは、領域Y
において最大主歪εが、ピーク点を持たず、かつ5.0
%未満に止めていることが確認でき、これにより、耐ク
ラック性能を著しく向上していることが確認できた。と
くに、平行部の長さLが、ビードコアの断面最大巾の
2.0〜4.0倍である実施例3、4、5、7、8及び
9は、ビード耐久性も良く、トータル的に最も優れてい
ることが確認できる。さらに、ビード部に凹み部を設け
た実施例7、8、9では、さらにタイヤ重量を軽量化し
うる点でさらに好ましいことも確認できた。なお、他の
タイヤサイズについても、ほぼ同様の測定結果が得られ
た。
【0055】
【発明の効果】請求項1、2記載の発明では、カーカス
の折返し部が、カーカスの本体部6Aと実質的に平行で
半径方向外側にのびる特定長さの平行部Gを形成したこ
とにより、タイヤを正規リムにリム組みしかつ0.5kg
f/cm2 の内圧を充填した仮組状態から正規の内圧を充填
した標準状態に変化させた場合において、タイヤ軸方向
に最外側となるタイヤ最大巾点P1からリムのフランジ
に至る下方点P3との間の領域Yの最大主歪εを、ピー
ク点を持たないようにして低減させることが可能とな
る。これにより、前記領域Yのクラックを効果的に抑制
でき、かつビード部の耐久性を向上しうる。
【0056】また、請求項3記載の発明では、前記領域
Yのクラックを効果的に抑制でき、かつビード部の耐久
性向上の硬化を維持しつつタイヤ重量を軽量化しうる。
【0057】また、請求項4記載の発明では、前記領域
Yの表面歪εを、最大で4%未満でありかつピークを持
たないため、前記領域Yのクラックをより効果的に抑制
でき、かつビード部の耐久性をさらに向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のタイヤの断面図である。
【図2】領域Y部分を拡大して示す線図である。
【図3】図2のA−A部断面図である。
【図4】領域Yとの部分拡大図である。
【図5】下方点の定義を説明する線図である。
【図6】下方点の定義を説明する線図である。
【図7】他のビード部の構造を示す線図である。
【図8】従来タイヤのビード部の構造を示す線図であ
る。
【図9】最大主歪の測定結果を示すグラフである。
【図10】最大主歪の測定方法を説明する線図である。
【図11】(A)、(B)マーキングの標点位置を説明
する線図である。
【符号の説明】
2 トレッド部 3 サイドウォール部 4 ビード部 5 ビードコア 6 カーカス 6a カーカスプライ 6A カーカスプライの本体部 6B カーカスプライの折返し部 13 凹み部 J 正規リム Jf リムのフランジ Q1 離間点 Q2 交点

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トレッド部からサイドウオール部をへてビ
    ード部のビードコアに至る本体部に前記ビードコアでタ
    イヤ軸方向内側から外側に折り返す折返し部を一体に設
    け、かつコードをタイヤ赤道に対して70〜90°の角
    度で傾けて配列したカーカスプライを有するカーカスを
    具えた重荷重用ラジアルタイヤであって、 前記ビード部は、ビードコアからタイヤ半径方向外側に
    先細状にのびかつ硬質ゴムからなるビードエーペックス
    ゴムを有し、 前記折返し部は、このビードエーペックスの軸方向外側
    面に沿って半径方向外側にのびかつ前記カーカスの本体
    部と実質的に平行で半径方向外側にのびる平行部を有
    し、しかもこの平行部の長さLを、前記ビードコアの断
    面最大巾CWの0.5〜5.0倍としたことを特徴とす
    る重荷重用ラジアルタイヤ。
  2. 【請求項2】前記平行部の長さLが、前記ビードコアの
    断面最大巾CWの2.0〜4.0倍である請求項1記載
    の重荷重用ラジアルタイヤ。
  3. 【請求項3】前記タイヤを正規リムに装着し正規の内圧
    を充填した標準状態におけるタイヤ外表面のタイヤ子午
    断面における輪郭線は、 タイヤ軸方向に最外側となるタイヤ最大巾点P1から前
    記リムのフランジに至る下方点P3との間において、 前記タイヤ最大巾点P1とその半径方向内方の内方点P
    2との間のタイヤ軸方向外に突出する外膨らみの曲線を
    なすサイドウオール内方域S1、 及びその内方に連なりかつタイヤ軸方向内に凹む凹み部
    を有する前記内方点P2から下方点P3の間の内膨らみ
    のビード外方域S2を具えるとともに、 前記サイドウオール内方域S1の曲線は、前記タイヤ最
    大巾点P1を通る軸方向線上に中心を有する曲率半径R
    1の円弧E1からなり、 かつ前記ビード外方域S2の曲線は、前記内方点P2か
    ら前記円弧E1を同一円弧で延長した円弧延長線E1a
    よりもタイヤ軸方向内方を通って前記凹み部に連なる一
    方、 前記下方点P3は、前記ビード外方域S2の曲線におい
    て前記リムのフランジから離間する離間点が、前記円弧
    延長線E1aよりもタイヤ軸方向内方にあるときはその
    離間点、 前記離間点が前記円弧延長線E1aよりもタイヤ軸方向
    外側にあるときには前記ビード外方域S2の曲線と円弧
    延長線E1aとの交点として設定され、 しかもタイヤ軸方向最も外側の前記カーカスプライの本
    体部と、タイヤ外表面との間のゴム厚さTは、前記タイ
    ヤ最大巾点P1のゴム厚さT1から前記内方点P2のゴ
    ム厚さT2まで徐々に増大することを特徴とする請求項
    1又は2記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
  4. 【請求項4】前記タイヤを正規リムにリム組みしかつ
    0.5kgf/cm2 の内圧を充填した仮組状態から正規の内
    圧を充填した標準状態に変化させた場合において、タイ
    ヤ軸方向に最外側となるタイヤ最大巾点P1からリムの
    フランジに至る下方点P3との間の領域の表面の最大主
    歪εは、最大で4%未満でありかつピークを持たないこ
    とを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の重荷
    重用ラジアルタイヤ。
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