JP3015340B2 - 重荷重用ラジアルタイヤ及びその製造方法 - Google Patents

重荷重用ラジアルタイヤ及びその製造方法

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JP3015340B2 JP10152878A JP15287898A JP3015340B2 JP 3015340 B2 JP3015340 B2 JP 3015340B2 JP 10152878 A JP10152878 A JP 10152878A JP 15287898 A JP15287898 A JP 15287898A JP 3015340 B2 JP3015340 B2 JP 3015340B2
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    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C15/00Tyre beads, e.g. ply turn-up or overlap
    • B60C15/06Flipper strips, fillers, or chafing strips and reinforcing layers for the construction of the bead
    • B60C2015/0614Flipper strips, fillers, or chafing strips and reinforcing layers for the construction of the bead characterised by features of the chafer or clinch portion, i.e. the part of the bead contacting the rim

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チェーファーゴム
のクリースを抑制し、軽量化を図りつつビード耐久性を
大巾に向上しうる重荷重用ラジアルタイヤ及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばトラック、バス用等の重荷重用ラ
ジアルタイヤでは、従来、図9(A) に示すように、ビー
ド耐久性を保持するために、カーカスのプライ本体部a
1とプライ折返し部a2との間に充填するビードエーペ
ックスゴムbのゴムボリュウムを増加し、ビード剛性を
大巾に高めることによって負荷荷重によるタイヤ変形自
体を減じている。
【0003】これに対して、近年、タイヤの軽量化のた
めにビード構造が見直され、図9(B) に示すように、逆
にビードエーペックスゴムbのボリュウム及び高さを大
巾に減じるとともに、プライ折返し部a2を高くしてプ
ライ本体部a1と近接させる(以下に新ビード構造とい
う)ことにより、ビード耐久性を向上しながら軽量化を
図る技術が提案されている。この新ビード構造では、ビ
ード剛性を確保するため、ビードコアc横でのチェーフ
ァーゴムdのゴム厚さtを従来タイヤより厚く仕上げる
ことが望まれる。
【0004】他方、特開平9−263113号公報に
は、リムフランジと接触するビード部表面のフランジ接
触面部に凹状湾曲面を設け、リムフランジとの接触圧を
均一化しこの面部でのクリープ変形を抑えることにより
耐久性を向上させる技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図10
(A) に示すように、前記新ビード構造のタイヤのフラン
ジ接触面部に、凹状湾曲面eを設けた場合には、逆にビ
ード耐久性が著しく低下することが判明した。これは、
タイヤ加硫工程の際、前記凹状湾曲面eの形成によっ
て、チェーファーゴムdの一部が半径方向外方に流れ込
むなど、サイドウォールゴムfとの境界線kに波打ち状
のクリース(皺)k1が発生し、これが主原因となって
剛性分布を極端に変化せしめ耐久性を低下させるものと
推察される。なお従来タイヤでは、チェーファーゴムd
のゴム厚さtが比較的小であるため、前記クリースが顕
著に発生せず、このクリースが直接耐久性を低下させる
原因には至らなかった。
【0006】又前記凹状湾曲面eがない場合にも、図1
0(B) に示すように、ビードコアc横でのタイヤ外面の
接線Xの傾きが小、すなわちビード部が外側に倒れ込ん
だタイヤでは、タイヤ加硫工程の際、ビードコアcがタ
イヤ軸方向外側に移動しやすく、その結果、ビードコア
cに押されたチェーファーゴムdの一部が半径方向外方
に流れ込み、同様に、境界線kにクリースk1を発生さ
せる。又ビードコアcの移動は、チェーファーゴムdの
ゴム厚さtを減少させビード剛性の低下を招くこととな
る。
【0007】そこで本発明は、リム装着前のビード部表
面の形状、特にフランジ接触面部の形状を改善すること
により、新ビード構造におけるチェーファーゴムとサイ
ドウォールゴムとの境界線でのクリースの発生を効果的
に抑制でき、軽量化を図りつつビード耐久性を大巾に向
上しうる重荷重用ラジアルタイヤ及びその製造方法の提
供を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本願請求項1の発明は、トレッド部からサイドウォ
ール部をへてビード部のビードコアに至るプライ本体部
に前記ビードコアの廻りでタイヤ軸方向内側から外側に
折り返すプライ折返し部を連設したラジアル配列のカー
カスプライからなるカーカス、このカーカスのプライ本
体部とプライ折返し部との間を通って前記ビードコアか
らタイヤ半径方向外方に先細状にのびるビードエーペッ
クスゴム、及び前記ビードコアのタイヤ半径方向内方か
ら外方にタイヤ軸方向外側をのびるリムずれ防止用のチ
ェーファーゴムを具えた重荷重用ラジアルタイヤであっ
て、カーカスの前記プライ折返し部は、前記ビードエー
ペックスゴムのタイヤ半径方向外方端よりも外方に突出
することによりこのプライ折返し部がプライ本体部と近
接する近接部を有し、かつビードエーペックスゴムの前
タイヤ半径方向外方端のビードベースラインからのビ
ードエーペックス高さは、タイヤ赤道面における前記カ
ーカスの内面のビードベースラインからのカーカス高さ
の0.07〜0.35倍、しかも前記チェーファーゴム
タイヤ半径方向外方端のビードベースラインからのチ
ェーファー高さより小とするとともに、前記ビード部の
表面は、リムのリムシートに着座するビード底面部と、
このビード底面部のタイヤ軸方向外側に凸円弧状部を介
して連なりタイヤ半径方向外方にのびかつリムのフラン
ジに支持されるフランジ接触面部とを具え、かつ前記チ
ェーファーゴムは、前記ビードコアのタイヤ半径方向内
方からビードコアのタイヤ半径方向外方端までタイヤ半
径方向外方にゴム厚さTCを増加させるとともに、ビー
ドコアの前記外方端でのゴム厚さTC1は、ビードコア
の断面最大巾BWの0.5〜2.0倍であることを特徴
とする重荷重用ラジアルタイヤである。
【0009】なお、前記チェーファーゴムのタイヤ軸方
向のゴム厚さTCを、ビードコアのタイヤ半径方向(以
下、必要により「タイヤ」を略して単に半径方向とい
う)内方からビードコアの半径方向外方端まで増加させ
るとともに、このビードコアの外方端でのゴム厚さTC
1を、ビードコアの断面最大巾BWの0.5〜2.0倍
とすることが、ビード剛性を十分に確保する上で好まし
い。又、このようにゴム厚さTC1を高めたタイヤに対
して、前記チェーファーゴムのクリースの抑制をより効
果的に発揮できる。
【0010】本願請求項2の発明は、前記チェーファー
ゴムが、このチェーファーゴムに半径方向外方で隣接し
かつサイドウォール部の外面をなすサイドウォールゴム
とのタイヤ子午断面でのカーカスからタイヤ外面に至る
境界線が、滑らかな曲線をなすことを特徴とし、前記ク
リースを抑制し、サイドウォールゴムとの境界線を滑ら
かな曲線とすることにより、極端な剛性変化をより確実
に防止できビード耐久性を一層向上できる。さらに請求
項3の発明は、前記境界線を、サイドウォールゴムの露
出面のタイヤ半径方向内端である外方端P2のビードベ
ースラインBLからの露出面高さL4は、リムフランジ
JfのビードベースラインBLからのフランジ高さL5
の1.2〜2.5倍とする。
【0011】また請求項4の発明は、ビード部間に、タ
イヤ内腔面をなすインナーライナゴム層が架け渡される
とともに、このインナーライナゴム層の半径方向内方端
は、前記ビードコアの底面のタイヤ軸方向内端点よりタ
イヤ軸方向内側で終端することを特徴とし、インナーラ
イナゴム層の半径方向内方端を、前記ビードコアの底面
のタイヤ軸方向内端点よりタイヤ軸方向内側で終端させ
ることが、インナーライナゴム層の剥離損傷を防止する
上で好ましい。
【0012】又本願の第2発明は、前記第1発明の重荷
重用ラジアルタイヤの製造方法であって、加硫金型内に
おいて、ビードコアの半径方向外方端と内方端との中間
高さを通るタイヤ軸方向線がタイヤ外面に交わる交点の
前記タイヤ外面に対する接線と、前記タイヤ軸方向線と
の角度αを、55度以上かつ65度以下とすることを特
徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図
面に基づき説明する。図1は、重荷重用ラジアルタイヤ
1(以下タイヤ1という)を正規リムJにりむ組しかつ
正規内圧を充填した無負荷の正規状態における子午断面
であって、本例では、タイヤ1がトラック、バスなどに
使用されるチューブレスの重荷重用ラジアルタイヤであ
る場合を例示している。
【0014】なお本明細書において、「正規リム」と
は、JATMAで規定する標準リム、「正規内圧」と
は、JATMAで規定する最高空気圧として定義する。
【0015】図において、タイヤ1は、トレッド部2
と、その両端からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサ
イドウォール部3と、各サイドウオール部3の内方端に
位置するビード部4とを具える。又タイヤ1には、前記
ビード部4、4間に跨るトロイド状のカーカス6と、こ
のカーカス6の外側かつトレッド部2の内方に位置する
ベルト層7とが配される。
【0016】なお前記ベルト層7は、2枚以上のベルト
プライからなり、本例では、ベルトコードをタイヤ赤道
Cに対して、例えば60±10°程度の角度で傾けた最
も内のベルトプライ7aと、タイヤ赤道Cに対して30
°以下の小角度で傾けたベルトプライ7b、7c、7d
とを、前記ベルトコードがプライ間で互いに交差する箇
所を1箇所以上設けて重ね合わせた4層構造をなす。ベ
ルトコードには、スチールコードが好適であるが、必要
に応じてレーヨン、ナイロン、芳香族ポリアミド等の有
機繊維コードも用いうる。
【0017】又前記カーカス6は、前記トレッド部2か
らサイドウオール部3をへてビード部4のビードコア5
に至るプライ本体部6Aと、このプライ本体部6Aに連
なり前記ビードコア5の廻りをタイヤ軸方向内側から外
側に折り返されるプライ折返し部6Bとを有する1枚以
上のカーカスプライ6aからなる。
【0018】前記カーカスプライ6aは、カーカスコー
ドをタイヤ赤道Cに対して70〜90°の角度範囲で配
列したコード配列体の両面をトッピングゴムで被覆した
シート状のものを用いている。カーカスコードとして
は、好ましくは、スチールコードが採用されるが、必要
に応じてナイロン、レーヨン、ポリエステル、芳香族ポ
リアミド等の有機繊維コードをも使用できる。本例のカ
ーカス6は、スチールコードをタイヤ赤道Cに対して略
90°の角度で傾けた1枚のカーカスプライ6aから形
成している。
【0019】なおカーカス6の内面には、タイヤ内腔面
をなすインナーライナゴム層12がビード部4、4間に
架け渡される。このインナーライナゴム層12は、ゴム
中にハロゲン化ブチルを50重量部以上含む耐空気透過
性に優れるブチル系ゴムからなり、空気漏れを防止す
る。
【0020】又前記ビード部4には、前記プライ本体部
6Aとプライ折返し部6Bとの間を通って前記ビードコ
ア5からタイヤ半径方向外方に先細状にのびるビードエ
ーペックスゴム8と、ビードコア5のタイヤ半径方向内
方から外方にタイヤ軸方向外側をのびるリムずれ防止用
のチェーファーゴム9とが配される。
【0021】なお前記ビードコア5は、図2に示すよう
に、本例では、スチール製のビードワイヤを所定回数螺
旋巻きすることにより断面略六角形状に形成したものを
ゴム被覆することにより形成され、その下辺5iがタイ
ヤ軸方向線に対して10〜17°、本例では約15°、
リムJのリムシートJ1の傾斜に沿うように構成されて
いる。なお、ビードコア5には、スチールの他、芳香族
ポリアミドのワイヤ素材なども採用しうる。
【0022】前記ビードエーペックスゴム8は、その半
径方向外方端8eのビードベースラインBLからのビー
ドエーペックス高さL1を、カーカス高さH(図1に示
す)の7〜35%、より好ましくは7〜20%の範囲ま
で減じることが望ましく、本例では約13%の高さに設
定している。これによって、前述の新ビード構造による
ビード耐久性の向上効果を図っている。ここで、前記
「ビードベースラインBL」とは、前記JATMAの規
格で定められるリム径を通るタイヤ軸方向線として定義
し、「カーカス高さH」とは、前記正規状態において、
タイヤ赤道面におけるカーカス内面のビードベースライ
ンBLからの高さとして定義する。
【0023】なお、前記ビードエーペックス高さL1を
0.07×H未満に下げることは、タイヤ製造上困難で
あり、又0.35×Hをこえると、ビード耐久性の向上
効果が薄れるとともにタイヤ重量を不必要に増加するな
ど、新ビード構造によるメリットが得られなくなる。
【0024】又ビードエーペックスゴム8は、本例では
タイヤ軸方向の内側面をプライ本体部6Aに沿って傾斜
させた略直線状に形成するとともに、タイヤ軸方向の外
側面をタイヤ軸方向内側に凹む凹円弧状に形成してい
る。さらに、ビードエーペックスゴム8は、例えばJI
SA硬度を60〜99度、より好ましくは70〜95度
の硬質ゴムにて形成する。
【0025】次に、前記カーカス9のプライ折返し部6
Bは、ビードエーペックスゴム8の外方端8eを半径方
向外側に超えかつタイヤ最大巾点P1より半径方向内
方、すなわち荷重負荷時の歪量が比較的小さい高さL2
の位置で終端させる。この折返し高さL2は、前記カー
カス高さHの50%以下が好ましく、本例では44%と
している。
【0026】又前記プライ折返し部6Bは、本例では、
前記ビードエーペックスゴム8の外側面に沿って一旦凹
円弧状で半径方向外側にのびるとともに、前記ビードエ
ーペックスゴム8の外方端8eからは、プライ本体部6
Aと近接して実質的に平行にのびる近接部Gを形成す
る。
【0027】このように、前記ビードエーペックス高さ
L1を大巾に減じるとともに、プライ本体部6Aとプラ
イ折返し部6Bとの近接部Gを形成している。その結
果、プライ折返し部6Bがタイヤ変形時の応力のニュト
ラルラインに近づき、プライ折返し部6Bとプライ本体
部6Aとの間のせん断応力が減じてコード破断損傷等を
効果的に抑制できる。又ビードエーペックスゴム8の内
側面が略直線状をなすことによって、プライ本体部6A
のコードパスが短くなり、正規内圧を充填した際、さら
には荷重が負荷された際、カーカス6が外側へせり出す
のを抑制でき、ビード部4の変形量自体を低減する。又
前記略直線状とすることによって、ビードエーペックス
8の厚さがさらに減じて、内部発熱を抑制するととも
に、プライ折返し部6Bが前記応力のニュトラルライン
に一段と近づきプライ折返し部6Bと本体プライ部6A
との間のプライルースの損傷やコードの疲労破断損傷な
どを防止する。
【0028】前記近接部Gの長さLは、好ましくは前記
ビードコア5の断面最大巾BW(ワイヤ部分を対象とし
て測定する)の0.5〜5.0倍、より好しくは1.0
〜4.0倍であって、前記長さLが、0.5×BWを下
回る時には、ビード耐久性が低下する。逆に5.0×B
Wを上回ると、ビード耐久性の向上効果が見込まれず、
しかもプライ折返し部6Bの外端が、サイドウォール部
3におけるゴムゲージの薄い位置に配されることとなる
ため、外観上、段付きラインが発生したり、サイドウォ
ールのゴムへの歪みが大きくなってゴム割れなどの外観
損傷が発生する。又重量増による軽量化効果がうすれ
る。
【0029】また、図3に示すように、近接部Gにおい
て互いに隣り合うプライ本体部6Aのカーカスコード2
1と、プライ折返し部6Bのカーカスコード21との間
のコード間ゴム厚さNは、カーカスコード21の最大径
Kの0.15〜4.5倍、好ましくは1.3〜3.5倍
として離間させ、隣接するカーカスコード21間に作用
するせん断力を、このカーカスコード21間に介在する
ゴム材22の弾性によって緩和するのが望ましい。前記
コード間ゴム厚さNが、0.15×K未満のとき、せん
断力の緩和効果が不十分となり、又時にカーカスコード
21が部分的に接触する恐れがありコードルースなどの
原因にもなりかねない。またコード間ゴム厚さNが、
4.5×Kを超えると、プライ本体部6Aとプライ折返
し部6Bとが平行にのびる場合でも、プライ折返し部6
Bに圧縮の破断損傷を招きやすくなり、またビード部4
の厚さを不必要に増大するなど、発熱性の点からも好ま
しくない。なお前記ゴム材22は、カーカスプライ6a
のトッピングゴムであっても良いが、本例ではプライ本
体部6Aとプライ折返し部6Bとの間にトッピングゴム
と略等しい硬度のクッションゴム層23を別途設けたも
のを例示している。
【0030】他方、前述の如くビードエーペックス高さ
L1を大巾に減じた場合には、ビード変形が大となり、
プライ本体部6Aとプライ折返し部6Bとの間の剪断応
力も増加傾向となる。
【0031】従って、本願では、前記チェーファーゴム
9の半径方向外方端9eのビードベースラインBLから
のチェーファー高さL3を、前記ビードエーペックス高
さL1より大(L3>L1)とし、このチェーファーゴ
ム9にビード剛性の向上機能を付加させている。
【0032】詳しくは、前記チェーファーゴム9は、前
記ビードコア5の半径方向内方からプライ折返し部6B
に接しながら半径方向外方にのび、その露出面9Sによ
ってリムとの接触面を形成するとともに、サイドウオー
ル部3をなす柔らかなサイドウオールゴム10と隣接す
る。なおチェーファーゴム9としては、サイドウォール
ゴム10より高弾性のゴム、例えば100%モジュラス
が55〜75kgf/cm2の範囲のものが好適に用いうる。
【0033】又前記チェーファーゴム9のタイヤ軸方向
のゴム厚さTCは、前記ビードコア5の半径方向内方か
らビードコア5の外方端5Eoまで、本例では、前記露
出面9Sの半径方向外方端P2まで半径方向外方に向か
って漸増し、かつビードコア5の前記外方端5Eoでの
ゴム厚さTC1を、ビードコア5の前記断面最大巾BW
の0.5〜2.0倍、好ましくは0.7〜1.5倍とし
ている。これによって、チェーファーゴム9のゴムボリ
ュームを高め、十分なビード剛性を確保する。なお、前
記チェーファーゴム9の厚さTC1が0.5×BW未満
の時、ビード剛性が不充分となりビード強度が不足し、
逆に厚さTC1が2.0×BWより大の時、軽量化の面
で好ましくない。なお、従来タイヤの厚さTC1は、通
常、3〜5mm程度、言い換えると断面最大巾BWの
0.2〜0.35倍程度である。
【0034】又前記チェーファーゴム9とサイドウオー
ルゴム10との境界線11は、カーカス6からタイヤ外
面に向かって半径方向内方に傾斜してのびる滑らかな曲
線をなし、これによって剛性分布を円滑化せしめ応力集
中を緩和する。
【0035】この境界線11の半径方向内端、すなわち
露出面9Sの前記外方端P2のビードベースラインBL
からの露出面高さL4は、リムフランジJfのビードベ
ースラインBLからのフランジ高さL5の1.2〜2.
5倍とすることが好ましい。露出面高さL4が1.2×
L5未満の時、前記サイドウオールゴム10の下端部分
がタイヤ変形時にリムフランジJfと接触しやすく、サ
イドウオールゴム10に局部的な摩滅を招く。逆に2.
5×L5を越えると、ビード部4の発熱性が上がり、又
チェーファーゴム9表面にクラックを招くなど耐久性を
低下させる。
【0036】又前記チェーファー高さL3を、前記近接
部Gの中間高さLgより大とするのが、ビード剛性を充
分に確保する上で好ましい。又その上限値は、前記折返
し高さL2より小(L3<L2)とするのがよく、L3
≧L2では、折返し端Beがチェーファーゴム9と接触
し、折返し端Beでチェーファーゴム9の割れやコード
ルースが発生しやすくなるからである。このコードルー
スなどをより確実に防止するために、前記外方端9eを
折返し端Beから半径方向に5〜15mmの距離L0を
隔てるのが好ましい。
【0037】次に、本願では、チェーファーゴム9のク
リースを抑制し、前記境界線11が滑らかな曲線をなす
ように、図4に示すように、リム装着前におけるビード
部4の表面形状を特定している。なおリム装着前の表面
形状は、加硫金型内におけるタイヤの表面形状と実質的
に一致する。
【0038】前記ビード部4の表面Sは、リムJの前記
リムシートJ1に着座するビード底面部S1と、このビ
ード底面部S1のタイヤ軸方向外側に凸円弧状部S2
(ヒール部)を介して連なり半径方向外方にのびかつリ
ムフランジJfに支持されるフランジ接触面部S3とを
具える。そして、前記リム装着前のフランジ接触面部S
3は、タイヤ軸方向内側に凹む凹み部を有することなく
滑らかに湾曲することが必要である。このように、凹み
部が形成されないことによって、タイヤ加硫工程の際
に、チェーファーゴム9が半径方向外方に流れ込んで前
記境界線11にクリースが発生するのを防止できる。な
お好ましくは、前記フランジ接触面部S3の半径方向外
方端P3から露出面9Sの外方端P2までの範囲におい
ても凹み部が形成されないのがよい。
【0039】又本例では、前記リム装着前において、前
記サイドウォール部3の下方部表面形状を、前記タイヤ
最大巾点P1を通る円弧部25Aを含んでこのタイヤ最
大巾点P1から前記フランジ接触面部S3の半径方向外
方端P3まで滑らかにのびる凸状曲線25で形成してい
る。この凸状曲線25は、単一円弧、或いは複数の凸円
弧を連結した円弧曲線として形成できるが、少なくとも
前記円弧部25Aの曲率半径Rを、凸状曲線25のうち
の最大曲率半径としている。特に、本例では、前記プラ
イ折返し部6Bからタイヤ外面に至るタイヤ軸方向のゴ
ム厚さが、ビードエーペックスゴム8の外方端8e近傍
において最大となる如き表面形状をなし、前記外方端8
e近傍での剛性変化を円滑化している。
【0040】そして、ビードコア5の前記外方端5Eo
と内方端5Eiとの中間高さを通るタイヤ軸方向線X1
がタイヤ外面に交わる交点P4の前記タイヤ外面に対す
る接線X2と、前記タイヤ軸方向線X1との角度αを、
55度以上好ましくは57度以上としている。これによ
り、タイヤ加硫工程の際のビードコア5のタイヤ軸方向
外側への移動、並びにこの移動に起因するチェーファー
ゴム9の半径方向外方への流れ込みを低減でき、境界線
11のクリースを抑制できる。
【0041】前記角度αが55度未満の時、前記クリー
スの抑制が難しく、しかもチェーファーゴム9のゴム流
れによって前記ゴム厚さTCが設計寸法より過度に減じ
て、ビード剛性を大巾に低下させることとなる。なお前
記角度αは65度以下が好ましく、65度を超えると、
タイヤ変形のバランスが崩れて、操縦安定性などの走行
性能を阻害する。
【0042】又前記タイヤ1では、前記凸状曲線25及
び前記近接部Gの形成により、タイヤ1を正規リムJに
装着しかつ50kpaの内圧を充填した状態から正規内
圧を充填した正規状態に変化させた場合において、タイ
ヤ最大巾点P1からフランジ接触面部S3の外方端P3
に至る領域Yで発生する最大主歪みε(単位%)が、タ
イヤ最大巾点P1での最大主歪みεよりも2%以上高く
なるのを抑えることが可能となる。その結果、この領域
でのクラックの発生及びこれを起点としたビード損傷を
抑えることができる。
【0043】又前述のように、新ビード構造をなしかつ
チェーファーゴム9のクリースなどを抑制してビード耐
久性を大巾に改善したタイヤ1では、従来、耐久性低下
の主原因とならなかった、チェーファーゴム9のビード
コア下での損傷、及びインナーライナゴム層12の剥離
損傷も重要になってくる。
【0044】従って本例では、図4に示すように、前記
インナーライナゴム層12の内方端12eを、前記ビー
ドコア5の底面のタイヤ軸方向内端点P5よりタイヤ軸
方向内側の位置で終端させ、接着力に劣るブチル系ゴム
からなるインナーライナゴム層12に、リムとの強い圧
接力が作用しないようにしている。
【0045】又ビードコア下において、カーカス6と前
記ビード底面部S1とが最も近接する位置において、図
5に示すように、カーカスコード21とビード底面部S
1との間のゴム厚さT4を1.0〜5.0mmとしてい
る。このゴム厚さT4が1.0mm未満の時、チェーフ
ァーゴム9にクラックが発生しやすく、又5.0mmを
越えるとビードコア5のリムJへの締め付け力が低下
し、耐久性が落ちることとなる。
【0046】
【実施例1】図9(A) に示すように前記平行部Gを有し
ない従来タイヤ、及び平行部Gを有する本発明のタイヤ
A(図4)における最大主歪εを測定したところ、図6
に示すように、従来タイヤでは前記領域Yに最大主歪ε
が約7〜8%となるピークZが現れているが、本発明タ
イヤAは最大主歪εが3.0%未満であり、しかもピー
ク点を有しないことが判る。
【0047】なお、前記最大主歪εの測定は、図7に示
すように、 試供タイヤのサイドウォール部3、ビード部4の表
面をバフ研磨しナフサで拭き取りし、 前記研磨面に接着剤を塗布し、タイヤ半径方向にの
びる測定基準ラインRLを引く、 印刷用スクリーンを使用し、白インク(酸化チタン
+DOP+ヒマシ油)にて、図7に示すような複数の円
を並べたマーキングをビニルテープ15に写し取る、 前記ビニルテープ15を、リム組みし50kpaの
内圧を充填した前記試供タイヤの前記研磨面に、前記測
定基準ラインに沿って貼り付けて転写する、 さらに正規内圧まで空気圧を充填した後、タイヤの
サイドウォール部3の前記マークを新たなテープに写し
取る、 このようにして得られる前記マーク(50kpaの
内圧充填時の基準条件、正規内圧充填時の比較条件)を
拡大して、図8(A) 、(B) に示す標点を数1〜11で示
される式を用いて最大主歪εを算出する。
【0048】
【数1】
【0049】
【数2】
【0050】
【数3】
【0051】
【数4】
【0052】
【数5】
【0053】
【数6】
【0054】
【数7】
【0055】
【数8】
【0056】
【数9】
【0057】
【数10】
【0058】
【数11】
【0059】
【実施例2】タイヤサイズが11R22.5の重荷重用
ラジアルタイヤを表1の仕様に基づき試作するととも
に、ビード耐久性、及びサイドウォール部表面でのクラ
ックの発生の有無を測定した。タイヤの共通仕様は次の
通りである。 <カーカス> ・プライ数 1枚 ・コード構成 スチールコード(3×0.20+7×
0.23) ・コード角度 タイヤ赤道に対して90度 ・コード密度 38本/5cm(ビードコアの下方部) <ベルト層> ・プライ数 4枚 ・コード構成 スチールコード(3×0.20+6×
0.35) ・コード角度 タイヤ赤道に対して内側プライから+
67/+18/−18/−18度 ・コード密度 26本/5cm また、テストの内容は次の通りである。
【0060】<ビード耐久性>試供タイヤを8.25×
22.5の正規リムに装着して内圧1000kPaを充
填し、荷重9000kgf 、速度20km/hでドラム上
を走行させ、外観目視にて確認可能な損傷が発生した時
点で走行を終了し、損傷発生距離Laと完走距離Lb
(10000km)との比La/Lbを、従来例を10
0とする指数によって評価した。数値が大きいほど優れ
ている。
【0061】<クラックの有無>試供タイヤを8.25
×22.5の正規リムに装着して内圧800kPaを充
填し、オゾン濃度50pphm、室温40゜Cのチャン
バー内に14日間放置し、サイドウォール表面でのクラ
ックの発生の有無を外観目視にて確認した。テストの結
果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】本発明は、叙上の如く構成しているた
め、ビード耐久性を大巾に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のタイヤの断面図である。
【図2】ビード部を拡大して示す断面図である。
【図3】近接部のコード間ゴム厚さを示す断面図であ
る。
【図4】加硫金型内におけるタイヤの表面形状を示す断
面図である。
【図5】ビード底面でのゴム厚さを示す断面図である。
【図6】最大主歪の測定結果を示すグラフである。
【図7】最大主歪の測定方法を説明する線図である。
【図8】(A) 、(B) はマーキングの標点位置を説明する
線図である。
【図9】(A) 、(B) は従来技術を説明するビード部の断
面図である。
【図10】(A) 、(B) 新ビード構造のタイヤにおける問
題点を説明するビード部の断面図である。
【符号の説明】
2 トレッド部 3 サイドウォール部 4 ビード部 5 ビードコア 5Eo ビードコアの外方端 5Ei ビードコアの内方端 6 カーカス 6a カーカスプライ 6A プライ本体部 6B プライ折返し部 8 ビードエーペックスゴム 8e ビードエーペックスゴムの外方端 9 チェーファーゴム 9e チェーファーゴムの外方端 10 サイドウォールゴム 11 境界線 12 インナーライナゴム層 12e インナーライナゴム層の内方端 BL ビードベースライン CO タイヤ赤道面 G 近接部 H カーカス高さ J リム J1 リムシート Jf フランジ L1 ビードエーペックス高さ L3 チェーファー高さ P4 交点 P5 ビードコアの底面の内端点 S1 ビード底面部 S2 凸円弧状部 S3 フランジ接触面部 X1 タイヤ軸方向線 X2 接線

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トレッド部からサイドウォール部をへてビ
    ード部のビードコアに至るプライ本体部に前記ビードコ
    アの廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返すプライ
    折返し部を連設したラジアル配列のカーカスプライから
    なるカーカス、このカーカスのプライ本体部とプライ折
    返し部との間を通って前記ビードコアからタイヤ半径方
    向外方に先細状にのびるビードエーペックスゴム、及び
    前記ビードコアのタイヤ半径方向内方から外方にタイヤ
    軸方向外側をのびるリムずれ防止用のチェーファーゴム
    を具えた重荷重用ラジアルタイヤであって、 カーカスの前記プライ折返し部は、前記ビードエーペッ
    クスゴムのタイヤ半径方向外方端よりも外方に突出する
    ことによりこのプライ折返し部がプライ本体部と近接す
    る近接部を有し、 かつビードエーペックスゴムの前記タイヤ半径方向外方
    端のビードベースラインからのビードエーペックス高さ
    は、タイヤ赤道面における前記カーカスの内面のビード
    ベースラインからのカーカス高さの0.07〜0.35
    倍、しかも前記チェーファーゴムのタイヤ半径方向外方
    端のビードベースラインからのチェーファー高さより小
    とするとともに、 前記ビード部の表面は、リムのリムシートに着座するビ
    ード底面部と、このビード底面部のタイヤ軸方向外側に
    凸円弧状部を介して連なりタイヤ半径方向外方にのびか
    つリムのフランジに支持されるフランジ接触面部とを具
    え、かつ前記チェーファーゴムは、前記ビードコアのタイヤ
    半径方向内方からビードコアのタイヤ半径方向外方端ま
    でタイヤ半径方向外方にゴム厚さTCを増加させるとと
    もに、ビードコアの前記外方端でのゴム厚さTC1は、
    ビードコアの断面最大巾BWの0.5〜2.0倍である
    ことを特徴とする重荷重用ラジアルタイヤ。
  2. 【請求項2】 前記チェーファーゴムは、このチェーファ
    ーゴムにタイヤ半径方向外方で隣接しかつサイドウォー
    ル部の外面をなすサイドウォールゴムとのタイヤ子午断
    面でのカーカスからタイヤ外面に至る境界線が、滑らか
    な曲線をなすことを特徴とする請求項1記載の重荷重用
    ラジアルタイヤ。
  3. 【請求項3】前記境界線は、サイドウォールゴムの露出
    面のタイヤ半径方向内端である外方端P2のビードベー
    スラインBLからの露出面高さL4は、リムフランジJ
    fのビードベースラインBLからのフランジ高さL5の
    1.2〜2.5倍とすることを特徴とする請求項1又は
    2に記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
  4. 【請求項4】前記ビード部間に、タイヤ内腔面をなすイ
    ンナーライナゴム層が架け渡されるとともに、このイン
    ナーライナゴム層の半径方向内方端は、前記ビードコア
    の底面のタイヤ軸方向内端点よりタイヤ軸方向内側で終
    端することを特徴とする請求項1、2又は3記載の重荷
    重用ラジアルタイヤ。
  5. 【請求項5】請求項1の重荷重用ラジアルタイヤの製造
    方法であって、 加硫金型内において、ビードコアの半径方向外方端と内
    方端との中間高さを通るタイヤ軸方向線がタイヤ外面に
    交わる交点の前記タイヤ外面に対する接線と、前記タイ
    ヤ軸方向線との角度αは、55度以上かつ65度以下で
    あることを特徴とする重荷重用ラジアルタイヤの製造方
    法。
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