JPH1029568A - 車両用スペアタイヤの保持構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、簡単な構造でスペアタイヤの前後
左右の位置ずれを確実に防ぎ、異種タイヤの装着性を向
上させ、かつ部品点数の削減によってコスト低減を図る
ことが可能な車両用スペアタイヤの保持構造を提供する
ことにある。 【解決手段】 本発明の保持構造は、車体側パネル３の
外部下面にスペアタイヤキャリア４を用いてスペアタイ
ヤ２を格納するものであって、スペアタイヤキャリア４
を中間部５ｃが屈曲された一本のパイプ部材５によって
構成し、キャリア４の一端部５ａをブラケット６を介し
て車体側パネル３の下面に回動自在に支持し、スペアタ
イヤ２のホイール８のセンタ穴９を介してキャリア４を
スペアタイヤ２に挿入するとともに、キャリア４の他端
部５ｂを持ち上げて車体側パネル３の下面にフック部材
１０等を介して係脱自在に支持させることにより、スペ
アタイヤ２を車体側パネル３の下面に押し当てた状態で
保持している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、スペアタイヤを車
体の外部下面に格納する車両用スペアタイヤの保持構造
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】四輪自動車の中には、図９または図１０
に示す如く、スペアタイヤ５１，６１を車体側パネル
（フロアパネル）の外部下面に格納保持するスペアタイ
ヤキャリア５２，６２が装備されているものがある。こ
のうち、図９に示すスペアタイヤキャリア５２は、スペ
アタイヤ５１を保持する平面略Ｕ字状（みこし形）のキ
ャリア本体５３を有しており、このキャリア本体５３の
前部側に位置する左右両端部５３ａ，５３ｂは車体の下
面にヒンジ結合されて回動可能に支持されている。ま
た、キャリア本体５３の後部側に位置する中間部５３ｃ
には、クランク状支持棒５４の基端が溶接によって固着
されている。

【０００３】一方、図１０に示すスペアタイヤキャリア
６２は、スペアタイヤ６１を保持する平面略十字状のキ
ャリア本体６３を有しており、このキャリア本体６３は
交差させて配置する二本のロッド状部材６４，６５を用
いて形成され、一方のロッド状部材６４の前端部６４ａ
は車体の下面にヒンジ結合されて回動可能に支持されて
いる。また、一方のロッド状部材６４の後端部６４ｂ
は、横方向へ直角に折曲げられている。

【０００４】しかして、上記スペアタイヤ５１，６１を
スペアタイヤキャリア５２，６２により格納するには、
当該スペアタイヤ５１，６１をキャリア本体５３，６３
の上に載せ、その後部側を持ってキャリア本体５３，６
３を上方へ回動させるとともに、車体の下面に密着させ
る。しかる後、支持棒５４の先端やロッド状部材６４の
後端部６４ｂを車体に取付けられたワイヤの下端リング
（図示せず）に引っ掛けると、キャリア本体５３，６３
の後部側が支持され、スペアタイヤ５１，６１は、スペ
アタイヤキャリア５２，６２により車体側パネルの外部
下面に保持されることになる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
保持構造にあっては、平らな受け皿構造のスペアタイヤ
キャリア５２，６２を用いてスペアタイヤ５１，６１を
車体側パネルの外部下面に格納保持しているので、スペ
アタイヤ５１，６１の位置が前後・左右にそれぞれずれ
ないようにする必要があった。すなわち、図９に示すス
ペアタイヤキャリア５２では、キャリア本体５３の左右
両側部５３ｄ，５３ｅに上方へ延びるクランク状フレー
ム棒５５を溶接により固着して設け、該フレーム棒５５
によってスペアタイヤ５１を左右両側から保持しなけれ
ばならないため、部品点数および組立工数が増えてコス
ト高を招くとともに、異種タイヤ（巾、径が違うタイ
ヤ）の搭載に対応できないという不具合があった。ま
た、図１０に示すスペアタイヤキャリア６２では、キャ
リア本体６３の他方のロッド状部材６５の後端部６５ｂ
を上方へ向かって直角に折曲げ、該ロッド状部材６５の
後端部６５ｂによって保持しなければならないため、図
９のスペアタイヤキャリア５２と同様の問題があった。

【０００６】本発明はこのような実状に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、簡単な構造でスペアタイヤ
の前後左右の位置ずれを確実に防ぎ、異種タイヤの装着
性を向上させ、かつ部品点数の削減によってコスト低減
を図ることが可能な車両用スペアタイヤの保持構造を提
供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記従来技術の有する課
題を解決するために、本発明においては、車体の外部下
面にスペアタイヤキャリアを用いてスペアタイヤを格納
する車両用スペアタイヤの保持構造において、前記スペ
アタイヤキャリアを中間部が屈曲された一本のパイプ部
材によって構成し、前記スペアタイヤキャリアの一端部
を車体の下面に回動自在に支持し、前記スペアタイヤの
ホイールのセンタ穴を介して前記スペアタイヤキャリア
を前記スペアタイヤに挿入するとともに、前記スペアタ
イヤキャリアの他端部を持ち上げて車体の下面に係脱自
在に支持させることにより、前記スペアタイヤを車体の
下面に押し当てた状態で保持している。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の実施の形態
に基づいて詳細に説明する。

【０００９】図１〜図８は、本発明に係る車両用スペア
タイヤの保持構造の実施の形態を示している。図におい
て、１は本実施の形態の車両用スペアタイヤの保持構造
が適用された四輪自動車であり、当該自動車１の車体後
部にはスペアタイヤ２を車体側パネル（フロアパネル）
３の外部下面に格納保持するスペアタイヤキャリア４が
配設されている。

【００１０】上記スペアタイヤキャリア４は、図２に示
すように、一本のパイプ部材５によって構成されてい
る。このパイプ部材５は、中間部５ｃが上下方向へやや
斜めに屈曲され、前方部５ａと後方部５ｂとは中間部５
ｃを間に置いて上下でほぼ平行に配置されており、これ
によってスペアタイヤ２の保持が容易に行えるようにな
っている。しかも、パイプ部材５の前方部５ａの前端
は、横方向へ直角に折曲げられており、その先端部分は
ブラケット６を介して車体側パネル３の下面にヒンジ結
合され、上下方向へ回動自在に支持されている。

【００１１】このため、ブラケット６の上端には、図３
に示す如く、車体側パネル３の下面に締付固定されるフ
ランジ部６ａが設けられ、当該フランジ部６ａは車体側
パネル３の下面に沿ってほぼ水平方向へ折曲げられてい
る。また、ブラケット６の下端には、パイプ部材５の前
方部５ａを嵌入する嵌合部６ｂが設けられ、該嵌合部６
ｂはこれを折り返すことにより円筒状に形成されてい
る。なお、前方部５ａの先端部分には、パイプ抜け止め
ピン７が挿着されており、該抜け止めピン７がブラケッ
ト６の嵌合部６ｂと係合することによって、嵌入した後
のパイプ部材５の前方部５ａが嵌合部６ｂから抜け出な
いようになっている。

【００１２】一方、上記パイプ部材５の後方部５ｂは、
スペアタイヤ２のホイール８に穿設したセンタ穴９に挿
入すべく車体後方へ向かって延びており、側面略Ｊ字状
のフック部材１０を介して車体側パネル３の下面に係脱
自在に支持されている。このため、フック部材１０は、
図４に示す如く、上端部１０ａがナット１１および締付
ボルト１２を介して車体側パネル３の下方に間隔を開け
て取付けられ、半円弧状の下端部１０ｂはこれにパイプ
部材５の後方部５ｂを載置して係合させることにより支
持するようになっている。

【００１３】しかも、フック部材１０は、格納するスペ
アタイヤ２の巾などに対応できるように、高さ位置を調
節し得るように構成されている。したがって、締付ボル
ト１２は、車体側パネル３より外部下方へ大きく突出
し、ナット１１が螺合する雄ねじ部１２ａは長く形成さ
れており、当該ナット１１とフック部材１０の上端部１
０ａとは溶接によって一体的に固着されている。なお、
車体側パネル３の下面には、スペアタイヤ２の一部を収
納する凹部１３が設けられ、該凹部１３によって格納し
たスペアタイヤ２の動きをより確実に規制し得るように
なっている。

【００１４】本実施の形態のスペアタイヤ２を車体側パ
ネル３の外部下面に格納するには、まず、図５に示すよ
うに、当該スペアタイヤ２を地面Ｇに置き、スペアタイ
ヤキャリア４を構成するパイプ部材５の後方部５ｂの先
端とホイール８のセンタ穴９との位置合わせを行う。次
いで、図６の矢印方向で示すように、スペアタイヤ２の
後方側を起立させながら持ち上げてセンタ穴９よりパイ
プ部材５の後方部５ｂを挿入する。そして、図７に示す
ように、スペアタイヤ２をパイプ部材５の中間部５ｃ付
近まで押し上げてほぼ水平に倒すとともに、パイプ部材
５の後方部５ｂを持ち上げる。しかる後、当該パイプ部
材５の後方部５ｂをフック部材１０の下端部１０ｂに載
置して、スペアタイヤキャリア４をフック部材１０に支
持させると、スペアタイヤ２は、その一部が凹部１３に
収納されながら、車体側パネル３の外部下面に押し当て
られた状態で保持されることになる（図８参照）。

【００１５】なお、スペアタイヤ２を車体側パネル３の
外部下面から取出すには、パイプ部材５の後方部５ｂを
やや持ち上げて、フック部材１０の下端部１０ｂとの係
合を解除し、スペアタイヤキャリア４を図７の矢印方向
と逆方向へ回動させて、ホイール８のセンタ穴９を介し
てスペアタイヤ２をパイプ部材５の後方部５ｂより抜き
出せばよい。

【００１６】本実施の形態の保持構造においては、スペ
アタイヤキャリア４を構成するパイプ部材５の屈曲部分
（中間部５ｃ）とホイール８のセンタ穴９を利用してス
ペアタイヤ２を格納しているため、従来と比べて部品点
数が少なくてかつ構造が簡単となり、スペアタイヤ２の
ホイール８にセンタ穴９を有すれば、異種タイヤでも格
納することができる。また、本実施の形態の保持構造に
よって格納されたスペアタイヤ２は、図８におけるＡ，
Ｂ，Ｃの３箇所で示す如く、ホイール８のセンタ穴９の
周縁部と、スペアタイヤキャリア４のパイプ部材５の後
方部５ｂと、車体側パネル３の凹部１３とによって保持
されているため、前後・左右・上下方向の動きを確実に
規制することができ、位置ずれを防止できる。しかも、
本実施の形態の保持構造では、パイプ部材５の径を大き
くしたり、肉厚を厚くすることが簡単に行えるため、ス
ペアタイヤキャリア４の強度を容易に向上させることが
できる。

【００１７】以上、本発明の実施の形態につき述べた
が、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではな
く、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変
更が可能である。例えば、既述の実施の形態に係るスペ
アタイヤキャリア４では、ヒンジ構造によってパイプ部
材５の前方部５ａの前端を回動自在に支持しているが、
一端を車体側パネル３の下面に回動自在に支持し得るも
のであれば、他の構造でもよい。

【００１８】

【発明の効果】上述の如く、本発明に係る車両用スペア
タイヤの保持構造は、車体の外部下面にスペアタイヤキ
ャリアを用いてスペアタイヤを格納するものであって、
前記スペアタイヤキャリアを中間部が屈曲された一本の
パイプ部材によって構成し、前記スペアタイヤキャリア
の一端部を車体の下面に回動自在に支持し、前記スペア
タイヤのホイールのセンタ穴を介して前記スペアタイヤ
キャリアを前記スペアタイヤに挿入するとともに、前記
スペアタイヤキャリアの他端部を持ち上げて車体の下面
に係脱自在に支持させることにより、前記スペアタイヤ
を車体の下面に押し当てた状態で保持しているので、ス
ペアタイヤの前後左右の位置ずれを確実に防止できる一
方、従来と比べてスペアタイヤキャリアを構成する部材
の部品点数が少なくて済む上、構造の簡素化が図れ、こ
れによって部品コストを低減させることができる。ま
た、本発明の保持構造は、パイプ部材の径を大きくした
り、肉厚を厚くするのみでスペアタイヤキャリアの強度
向上に容易に対応し得るので、各種車両のスペアタイヤ
に適用することができ、汎用性に優れている。さらに、
本発明の保持構造では、スペアタイヤのホイールにセン
タ穴を有すれば、異種タイヤでも格納することが可能で
あるので、異種タイヤのスペアタイヤ装着性を向上させ
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態に係る保持構造によってス
ペアタイヤが車体の外部下面に格納されている自動車の
車体後部を示す斜視図である。

【図２】本実施の形態のスペアタイヤキャリアによって
スペアタイヤを保持している状態を示す斜視図である。

【図３】図２におけるスペアタイヤキャリアの前端部を
支持する構造を拡大して示す斜視図である。

【図４】図２におけるスペアタイヤキャリアの後端部を
支持する構造を拡大して示す斜視図である。

【図５】本実施の形態のスペアタイヤキャリアの後端部
をスペアタイヤのホイールのセンタ穴に位置合わせして
いる状態を示す概念図である。

【図６】図５におけるスペアタイヤを持ち上げてスペア
タイヤキャリアをホイールのセンタ穴に挿入している状
態を示す概念図である。

【図７】図６におけるスペアタイヤキャリアの後端部を
持ち上げている状態を示す概念図である。

【図８】本実施の形態に係る保持構造によってスペアタ
イヤを車体の外部下面に格納保持した状態を示す概念図
である。

【図９】従来の保持構造によってスペアタイヤを車体の
外部下面に格納保持した状態を示す概念図である。

【図１０】他の従来の保持構造によってスペアタイヤを
車体の外部下面に格納保持した状態を示す概念図であ
る。

【符号の説明】

１ 四輪自動車 ２ スペアタイヤ ３ 車体側パネル ４ スペアタイヤキャリア ５ パイプ部材 ６ ブラケット ８ ホイール ９ センタ穴 １０ フック部材 １１ ナット １２ 締付ボルト １３ 凹部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体の外部下面にスペアタイヤキャリア
   を用いてスペアタイヤを格納する車両用スペアタイヤの
   保持構造において、前記スペアタイヤキャリアを中間部
   が屈曲された一本のパイプ部材によって構成し、前記ス
   ペアタイヤキャリアの一端部を車体の下面に回動自在に
   支持し、前記スペアタイヤのホイールのセンタ穴を介し
   て前記スペアタイヤキャリアを前記スペアタイヤに挿入
   するとともに、前記スペアタイヤキャリアの他端部を持
   ち上げて車体の下面に係脱自在に支持させることによ
   り、前記スペアタイヤを車体の下面に押し当てた状態で
   保持したことを特徴とする車両用スペアタイヤの保持構
   造。
2. 【請求項２】 前記車体の下面に前記スペアタイヤの一
   部を収納する凹部を設け、前記ホイールのセンタ穴の周
   縁部と前記スペアタイヤキャリアと前記凹部とによっ
   て、前記スペアタイヤを保持したことを特徴とする請求
   項１に記載の車両用スペアタイヤの保持構造。