JPH10294532A - 窒化物系半導体発光素子およびその製造方法 - Google Patents

窒化物系半導体発光素子およびその製造方法

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JPH10294532A
JPH10294532A JP3832498A JP3832498A JPH10294532A JP H10294532 A JPH10294532 A JP H10294532A JP 3832498 A JP3832498 A JP 3832498A JP 3832498 A JP3832498 A JP 3832498A JP H10294532 A JPH10294532 A JP H10294532A
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Norio Iizuka
紀夫 飯塚
Genichi Hatagoshi
玄一 波多腰
Masaaki Onomura
正明 小野村
Hidetoshi Fujimoto
英俊 藤本
Chiharu Nozaki
千晴 野崎
Joshi Nishio
譲司 西尾
Masayuki Ishikawa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構造で自励発振を行うことが可能な
窒化物半導体発光素子およびその製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】 窒化物系半導体発光素子のIn0.3 Ga
0.7 N/GaN多重量子井戸活性層105またはIn
0.3 Ga0.7 N/GaN多重量子井戸活性層105に隣
接するn型In0.1 Ga0.9 N/GaN多重量子井戸隣
接層104を可飽和吸収領域にすることにより自励発振
を生じさせるようにした、光ディスク記録の読み出し用
光へッドとして実用可能な性能を満たした窒化物系半導
体発光素子及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はGaN、AlGa
N、InGaN等の窒化物系の化合物半導体を用いた発
光素子およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】窒化物系化合物半導体については、サフ
アイヤ、SiC、スピネルなどの基板上に成長する六方
晶型結晶が現在のところ、最も良好な結晶とされてい
る。しかしサファイヤ基板、スピネル基板は導電性が低
いため電極はp型、n型とも窒化物半導体表面に形成し
ている。半導体レーザのような高電流注入では表面を電
流が多く流れるいわゆるリーク電流が生じ、発光に寄与
する電流が少ないため、発光効率が低く、半導体レーザ
の信頼性も低い。さらに、リーク電流を防いだり、半導
体レーザを低電流動作させるために必要な電流密度を上
げるための、電流狭窄構造を形成することが困難であ
る。このため、従来は低動作電流で高電流注入において
もリーク電流がなく信頼性の高い半導体レーザ構造が得
られていない。
【0003】また、従来の光ディスク記録の読み出し用
光へッドとしての半導体レーザは、発振中の強度変化に
よるノイズが問題となっており、この対策として例えば
自励発振型構造が用いられるが、超薄膜活性層構造では
自励発振を得ることは難しい。このため、高周波重畳法
やレーザ自体を二種類用いる方法などか採用されている
が、いずれも構造は複雑である。また、活性層の膜厚を
場所により変えて2種類のレーザを形成する方法も報告
されているが、この方法では活性層の厚さの制御が極め
て難しいという問題がある。また、読み出しと書き込み
を行うヘッドでは出力の異なる2種類のレーザを用いる
ことが一般的であるが、いずれもその構造は複雑であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の窒化
物系半導体レーザでは光ディスク記録の読み出し側光へ
ッドとして実用可能な性能を満たした半導体レーザを安
価に容易に作成することは困難であった。
【0005】したがって、本発明の目的は上記事情を考
慮し、簡単な構造で自励発振を行うことが可能な窒化物
系半導体発光素子およびその製造方法を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願第1の発明は、基板
上に活性層およびこれに隣接する隣接層を含む、六方晶
系の結晶構造を有する3元以上のIII −V族化合物半導
体からなる混晶層が積層形成された窒化物系半導体発光
素子において、前記隣接層には、この隣接層を構成する
1つの元素の濃度が周辺より高い島状領域が点在し、こ
の島状領域の前記1つの元素の濃度は、前記六方晶系の
結晶のC軸に垂直な方向での組成の変化が2nm以内で
10パーセント以上異なり、また、前記島状領域の最大
径が100nm以下であり、かつ前記島状領域の不純物
濃度が周辺部の不純物濃度に比べて低いことを有する窒
化物系半導体発光素子である。
【0007】本願第2の発明は、前記活性層には穴状領
域が点在し、この穴状領域が前記隣接層を形成する半導
体によって埋め込まれていることを有する前記第1の発
明に記載の窒化物系半導体発光素子である。
【0008】本願第3の発明は、前記隣接層には穴状領
域が点在していることを有する前記第1の発明に記載の
窒化物系半導体発光素子である。本願第4の発明は、前
記隣接層は多重量子井戸構造を有しており、前記島状領
域を形成する前記1つの元素はインジウム、アルミニウ
ムまたはガリウムのうちの少なくとも1つであることを
有する前記第1の発明に記載の窒化物系半導体発光素子
である。
【0009】本願第5の発明は、前記活性層は多重量子
井戸構造を有しており、この活性層には、この活性層を
構成する1つの元素の濃度が周辺より高い島状領域が点
在し、この島状領域は、この領域を囲む領域の材料のバ
ンドギャップに比べて同じか、または、10meV以内
の差で小さいバンドギャップを有する前記第1の発明に
記載の窒化物系半導体発光素子である。
【0010】本願第6の発明は、前記不純物はSi、
C、Ge、Sn、Pbの内の少なくも1つであることを
有する前記第1乃至第6の発明に記載の窒化物系半導体
発光素子である。
【0011】本願第7の発明は、前記島状領域相互の間
隔をd、その周辺部の屈折率をn、前記島状領域の発光
波長をλとした時、λm=2nd(m=1、2、3、
4)を満たすことを有する前記第5の発明に記載の窒化
物系半導体発光素子である。
【0012】本願第8の発明は、前記活性層には穴状領
域が点在し、この穴状領域が前記隣接層を形成する半導
体によって埋め込まれており、かつ、前記隣接層には穴
状領域が点在し、この穴状領域が前記隣接層に隣接し活
性層側ではない層を形成する半導体によって埋め込まれ
ていることを有する前記第5乃至7の発明に記載の窒化
物系半導体発光素子である。
【0013】本願第9の発明は、基板上に活性層および
これに隣接する隣接層を含む、六方晶系の結晶構造を有
する3元以上のIII −V族化合物半導体からなる混晶層
が積層された窒化物系半導体発光素子において、前記活
性層には穴状領域が点在し、この穴状領域が前記隣接層
を形成する半導体によって埋め込まれていることを有す
る窒化物系半導体発光素子である。
【0014】本願第10の発明は、前記隣接層には穴状
領域が点在していることを有する前記第9の発明に記載
の窒化物系半導体発光素子である。本願第11の発明
は、前記活性層は多重量子井戸構造を有しており、この
活性層には、この活性層を構成する1つの元素の濃度が
周辺より高い島状領域が点在し、この島状領域は、この
領域を囲む領域の材料のバンドギャップに比べて同じ
か、または、10meV以内の差で小さいバンドギャッ
プを有する前記第9の発明に記載の窒化物系半導体発光
素子である。
【0015】本願第12の発明は、前記活性層は多重量
子井戸構造をなしており、少なくともその一部はInG
aNからなることを有する第9の発明に記載の窒化物系
半導体発光素子である。
【0016】本願第13の発明は、基板上に活性層およ
びこれに隣接する隣接層を含む、六方晶系の結晶構造を
有する3元以上のIII −V族化合物半導体からなる混晶
層が積層された窒化物系半導体発光素子において、前記
隣接層には穴状領域が点在していることを有する窒化物
系半導体発光素子である。
【0017】本願第14の発明は、基板上に活性層およ
びこれに隣接する多重量子井戸隣接層を含む、六方晶系
の結晶構造を有する3元以上のIII −V族化合物半導体
からなる混晶層を積層形成した窒化物系半導体発光素子
の製造方法において、前記多重量子井戸隣接層は、井戸
層の成長用の原料ガスと障壁層の成長用の原料ガスを交
互に所定時間供給して井戸層および障壁層を交互に成長
させるとともに、前記井戸層の成長と前記障壁層の成長
との間に所定の待機時間を設けることを有する窒化物系
半導体発光素子の製造方法である。
【0018】本願第15の発明は、前記井戸層の成長用
の原料ガスはトリメチルインジウム、トリメチルガリウ
ムおよびアンモニアガスであり、前記障壁層の成長用の
原料ガスはトリメチルガリウムおよびアンモニアガスで
あることを有する第14の発明に記載の窒化物系半導体
発光素子の製造方法である。
【0019】本願第16の発明は、基板上に活性層およ
びこれに隣接する多重量子井戸隣接層を含む、六方晶系
の結晶構造を有する3元以上のIII −V族化合物半導体
からなる混晶層を積層形成した窒化物系半導体発光素子
を有機金属を用いた気相成長により製造するに際し、前
記気相成長の原料ガスとして、トリメチルインジウム、
トリメチルガリウムおよびアンモニアガスを用い、成長
温度を700℃以上850℃以下とし、かつ、すべての
原料ガスとキャリアガス流量の総和を標準換算で一分間
に10リットル以上50リットル以下とし、さらにV族
元素とIII族元素のモル流量比を1000以上150
00以下で、前記活性層をエピタキシャル成長させるこ
とを有する窒化物系半導体発光素子の製造方法である。
【0020】要約すれば、本発明は、窒化物半導体発光
素子の活性層または活性層に隣接する隣接層を可飽和吸
収領域にすることにより自励発振を生じさせるようにし
たものである。
【0021】したがって、本発明によれば、自励発振を
複雑な構造を用いずに発生することかでき、低ノイズの
特性をもった光デイスク記録の読み出し用半導体レーザ
を形成できる。また、書き込み用を読み出し用と同じ構
造で作製が可能で、書き込み読み出し両用へツドの構造
を簡素化できる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
用いて詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施形態
に係わる窒化物系半導体レーザの概略構成を説明する断
面図である。同図中で、100はサファイヤ基板、10
1はn型GaNバッファー層(Siドーブ、3〜5×1
18cm-3、0.1μm)であり、102はn型GaN
コンタクト層(Siドーブ、3〜5×1018cm-3、4
μm)、103はn型AlGaNクラッド層(Siドー
プ、5×1017cm-3、0.3μm)、104はn型I
0.1 Ga0.9 N/GaN多重量子井戸(multiple quan
tum well) 隣接層(Siドーブ、5×1017cm-3、井
戸幅2nm、障壁幅4nm、ペアー数3)、105はI
0.3 Ga0.7 N/GaN多重量子井戸活性層(アンド
ープ、井戸幅2nm、障壁幅4nm、ペアー数3)、1
06はp型GaN隣接層(Mgドープ,5×1017cm
-3、0.1μm)、107はp型AlGaNクラッド層
(Mgドープ、5×1017cm-3、0.3μm)、10
8はp型GaNコンタクト層(Mgドープ、1〜3×1
18cm-3、0.5μm)、109はn型GaN通電障
壁層(Siドープ、1×1018cm-3、0.3μm)、
110はp側電極、111はn側電極である。
【0023】図1に示した半導体レーザの製造方法は次
のとおりである。始めに有機金属を用いた気相成長(M
etal Organic Chemical Vap
our Deposition:MOCVD)法によ
り、サファイア基板100の上に、n型GaNバッファ
ー層101からn型GaN層109まで成長する。その
後、n型GaN層109の上に一部フォトリソグラフィ
ーによりマスクを形成し、p型AlGaNクラッド層1
07が露出するまでエッチングを行う。次に、p型Ga
Nコンタクト層108を成長する。その後n型GaNコ
ンタクト層102を形成するためにn型GaNコンタク
ト層102を形成する部分をマスクで覆いエッチング除
去する。マスクを除去しn側電極111、p側電極11
0を形成し、図1の構造の窒化物系半導体レーザが製造
できる。
【0024】ここで、前記n型In0.1 Ga0.9 N/G
aN多重量子井戸隣接層104(Siドープ、井戸幅2
nm、障壁幅4nm、ペアー数3)は次のように成長さ
せる。成長温度は760℃、In0.1 Ga0.9 N層の成
長には、TMI(トリメチルインジウム)、TMG(ト
リメチルガリウム)、アンモニアガスおよびシランを用
い、通常の厚膜成長で1μm/hの成長速度が得られる
条件下で8秒間成長する。これによって幅2nmの井戸
層が形成される。ついで、1秒間の待機時間をおいてT
MG(トリメチルガリウム)、アンモニアガスおよびシ
ランを用い、同じ成長速度の条件下で18秒間成長させ
る。これによって幅4nmの障壁層が形成される。以下
同じプロセスを3回繰り返し、井戸(well)層と障
壁(barrier)層のペアを3組積層形成した。
【0025】このようにして成長した多重量子井戸隣接
層104には、層の面内方向において、In組成が局所
的に多い部分が形成されることが判明した。図2は、カ
ソード・ルミネッセンス法による多重量子井戸隣接層1
04の井戸層の発光波長の面内分布を表す模式図であ
る。すなわち、同図中においては、ハッチで示した領域
において、周囲よりも波長の長い発光が観察された。一
般に、カソード・ルミネッセンス法により得られる発光
の波長は、ターゲットの組成に依存して変化する。ここ
では、インジウムの含有量が多い程、その発光波長は長
くなる。すなわち、多重量子井戸隣接層104は、その
面内において、インジウムの組成が高い領域が島状に存
在することが分かった。その分布状態と発光波長を詳細
に調べた結果、多重量子井戸隣接層104の各井戸層に
は、直径約2nmで、インジウム組成約30%の島状の
領域が多数形成されていることが分かった。この島状の
領域は周辺に比べInが多く、活性層105からの発光
波長に対応するバンドギャップとほぼ同じバンドギャッ
プを有する。また、多重量子井戸層104には、前述し
たようにシリコン(Si)をドープしているが、図3に
示したように、インジウム濃度が高い領域にはシリコン
が含まれにくく、その結果として、インジウム濃度が高
い部分のキャリヤ濃度は低い。
【0026】図4は多重量子井戸隣接層104における
InGaN井戸層とGaN障壁層のペアのコンダクショ
ン・バンドの状態を示す模式図である。すなわち同図に
おいて、横方向は隣接層104の厚み方向の距離を示
し、縦方向はエネルギー・レベルを示している。同図に
示したように、GaN障壁層に高濃度にドナーが存在し
てエネルギー・バンドが大きく湾曲している。このよう
にエネルギー・バンドが湾曲することにより、この部分
でのInGaN井戸層へのキャリヤの閉じ込めは有効質
量の小さい電子に対しては弱くなり、発光は生じない。
また、活性層105が発光することにより、この隣接層
104でのIn組成の多い部分での吸収が生じるが、そ
の吸収は、微少な島状の領域で起こる。従って、隣接層
104は可飽和吸収状態となり自励発振状態となる。こ
のような自励発振状態は高出力の条件であっても持続し
た。また、この隣接層104に含まれる不純物を、n型
不純物であるシリコン(Si)、炭素(C)、ゲルマニ
ウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)のいずれかと
した場合には、しきい値上昇等の悪影響はなかった。
【0027】本実施形態のレーザはしきい値20mAで
室温連続発振した。発振波長は420nm、動作電圧は
3.8Vであった。50mW時にS/Nは本構造を用い
ない従来の半導体レーザの20dBに比べ130dBと
向上した。また、従来の活性層近傍に可飽和吸収層を設
けた厚い活性層の自励発振型レーザでは高出力は困難で
あったが本実施形態では200mWまで安定した横モー
ドで出力を出す事ができた。
【0028】次に、本発明者は、前述した製造方法によ
り島状の吸収領域が形成された本発明の窒化物系レーザ
を多数個製造し、自励発振の生ずる割合を調べた。図5
は、製造した窒化物系半導体レーザについて光出力を変
化させて発光させた場合、自励発振を生じた窒化物系半
導体発光素子の割合を示したグラフである。同図におい
て、横軸は光出力を示し、縦軸は自励発振を起こした窒
化物系半導体発光素子の割合を示す。図中の黒丸は本発
明の窒化物系半導体発光素子を表す。また図中の白丸
は、比較例であり、島状の吸収領域の代わりに、層状の
吸収領域を形成した窒化物系半導体発光素子を示してい
る。この比較例についてさらに詳しく説明すると、活性
層からみてガイド層の外側に、層厚10nmのIn0.25
Ga0.75N吸収層を設けた。
【0029】図4から、層状の吸収領域を設けた比較例
では、自励発振を生ずる割合が低く、しかも安定してい
ないのに対して、島状の吸収領域が形成された本発明の
窒化物系半導体発光素子は低出力から高出力に亘って、
自励発振を生ずる窒化物系半導体発光素子が得られる確
率が安定して高いことが分かる。
【0030】図6は、本発明による半導体レーザを光デ
ィスクのデータ読み出しに応用した状態を説明する模式
図である。すなわち、同図においては、図示しない半導
体レーザ素子からレーザ光150が放出され、レンズ1
52により集束されて光ディスク160に入射する。光
ディスク160の表面には、同心円上にトラック162
が設けられ、そのトラック162に沿ってピット164
が形成されている。レンズ152により集束されたレー
ザ光は、このピット164の有無に応じて反射率が変化
し、図示しない受光部において検出される。ここで、本
発明による窒化物系半導体レーザから得られる波長が4
20nmのレーザ・ビームを用いた場合には、同図に示
したようにレンズにより集束されて極めて細いビーム1
54Aを得ることができる。同図には、比較のために、
従来の、DVDシステム(波長:λ=650nm、開口
比:NA=0.6)のレーザ・ビーム154Bと、コン
パクト・ディスクシステム(波長:λ=780nm、開
口比:NA=0.45)のレーザ・ビーム154Cとを
示した。これらの比較から明らかなように、本発明の窒
化物系半導体レーザを用いた場合には、極めて集束され
たレーザ・ビームを得ることができ、光ディスク160
におけるトラック162の間隔と、ピット164の間隔
をそれぞれ縮小することができる。その結果として、従
来のDVDシステムと比較しても、記録容量を約3倍増
大することができる。
【0031】さらに、本発明の窒化物系半導体レーザに
よれば、同一の窒化物系半導体レーザにより、光記録媒
体からの読み出し及び書き込みが可能になる。すなわ
ち、本発明の半導体レーザは、容易に自励発振を生ずる
ために、データ読み出しを低いノイズで安定して行うこ
とができ、さらに、高出力動作が可能であるために、デ
ータ書き込み動作も行うことができる。その結果とし
て、データの読み出しと書き込みとを兼用できるピック
アップ・ヘッドの構造を飛躍的に単純化できる。
【0032】なお、前述した例では、多重量子井戸隣接
層104は3ペアーの井戸層と障壁層のものを用いた
が、ペアー数は層の厚さとInの組成により適宜決定す
ることができる。また、障壁層はGaNに限定されず、
InやAl等を含んだ材料でもよい。
【0033】次に、本発明の第2の実施形態について説
明する。図7は本発明の第2の実施形態に係わる窒化物
系半導体レーザの概略構成を説明する断面図である。同
図において、200はp型SiC基板、201はp型A
lNバッファ層(Mgドープ、3〜5×1020cm-3
0.1μm)、202はp型GaN層(Mgドープ、1
×1019cm-3、4μm)、203はp型Al0.3 Ga
0.7 Nクラッド層(Mgドーブ、5×1017cm-3
0.3μm)、204はAl0.1 Ga0.9 N隣接層(ア
ンドープ、0.1μm)、205は多重量子井戸活性層
In0.1 Ga0.9 N/Al0.1 Ga0.9 N(アンドー
プ、井戸幅1nm、障壁幅2nm、ペアー数3)、20
6はAl0.1 Ga0.9 N隣接層(アンドープ、0.1μ
m )、207はn型Al0.3 Ga0.7 Nクラッド層
(Siドープ、5×1017cm-3、0.3μm)、20
8はp型GaN電流狭窄層(Mgドープ、5×1017
-3、0.1μm)、209はn型GaNコンタクト層
(Siド一プ、1〜3×1019cm-3、0.1μm)、
210はn側電極、211はp側電極である。
【0034】この窒化物系半導体レーザの製造方法は次
のとおりである。始めにMOCVD法によりp型GaN
電流狭窄層208まで成長しその後、 p型GaN電流
狭窄層208の上に一部フォトリソグラフィーによりマ
スク(図示せず)を形成し、n型Al0.3 Ga0.7 Nク
ラッド層207が露出するまでエッチングを行う。次
に、p型GaNコンタクト層209を成長する。両面に
電極を形成し、その後劈開により共振器の端面(fac
et)を形成する。
【0035】本実施形態においては、In0.1 Ga0.9
N/Al0.1 Ga0.9 N多重量子井戸活性層205も、
前述した実施形態の多重量子井戸隣接層104と同様な
プロセスにより製造する。具体的には、InGaNの成
長にはTMG、TMIおよびアンモニアガスを用い、A
lGaN層の成長には、TMA(トリメチルアルミニウ
ム)、TMG、アンモニアガスを用い、成長温度860
℃、原料のV/III 比が約170、各層での成長中断時
間を1秒として、3回繰り返して成長させる。この結
果、井戸厚2nm、障壁厚4nm、ぺアー数3の多重量
子井戸層を形成できる。
【0036】このようなプロセスにより、多重量子井戸
活性層205の井戸層部分にもインジウム(In)組成
が局所的に多い領域が形成される。具体的には、各井戸
層において、直径2nm、In組成約20%の島状の領
域が面内に分布して多数形成される。この領域は周辺に
比べInが多いことにより、格子定数がずれて、歪みが
かかる。その結果として、Inの含有量は多いがバンド
ギャップは周辺の領域と10meV以下の違いしかな
い。この半導体レーザに電流を注入すると、In組成が
高いこの島状の領域ではドーパントのSiが少なく導電
性が低いため発光が効率的に行われる。
【0037】図8は、この活性層205を透過型電子顕
微鏡(transmissionelectron m
icroscope)により観察した結果を表す模式図
である。すなわち、活性層205においては、In濃度
が周辺より高濃度となっている島状の領域が面内方向に
規則正しく並んでいる。このインジウム高濃度組成領域
の直径は、概ね70nmであり、その間隔は概ね200
nmであった。また、本発明者の実験の結果、成長条件
を変える事によってこの島状領域の間隔をコントロール
できる事か判明した。
【0038】この島状領域相互の間隔をd,この島状領
域の周辺部の屈折率をnとした場合、高濃度領域の発光
波長がλであればd=λm/2n(m=1、2、3、
4)の場合がもっとも自励発振を安定して生ずる事がで
きた。なお、mが4を超える場合には自励発振の安定性
が低下した。これは通常、多数ある発振モードが選択さ
れることによると考えられる。
【0039】本実施形態によれば、分布帰還型レーザの
ような複雑な構造を用いなくても、自励発振を行うこと
ができるとともに、モードホッピングの抑制を行うこと
ができ、低ノイズ化が実現できることが分かった。
【0040】図9は発光波長400〜430nmのそれ
ぞれにおける最適成長条件を表すグラフである。すなわ
ち、同図の横軸は成長温度(℃)で、縦軸はInの含有
割合(%)を示し、それぞれの発光波長において、固層
中のInの含有割合と、成長温度の最適条件を示す。
【0041】活性層内に形成される島状のインジウム高
濃度領域においてはドナーが少ない。従って、島状の領
域は発光効率が高く、さらに、量子的な閉じ込め効果に
より発光効率の高い励起子分子(双極子)の安定的な存
在を促進する。これにより高In濃度の島状領域は体積
的には微小であるが、レーザ発振するに十分な反転分布
を形成することが可能である。一方、Inが高濃度の領
域の周辺の低In領域においては、バンドギャップは島
状領域よりも大きいもののドナーが存在するためにその
準位による吸収により可飽和吸収層として働き自励発振
状態となる。この状態は高出力時であっても持続した。
【0042】活性層にドープする不純物については、n
型となるSi、C、Ge、Sn、Pb以外ではしきい値
が上昇して実用的ではなかった。一方、Siの場合に
は、特に高い発光効率が得られた。
【0043】本構造の半導体レーザではしきい値10m
Aで発振波長は375nmが得られ、基本横モード発振
し、5000時間までの安定動作も確認した。本実施形
態では基板としてSiCを用いたが導電性の基板であれ
ば良く、ZnO基板の場合にはさらに優れた電流電圧特
性が得られた。また、電流狭窄層208は活性層205
に対して基板200の側に設けても良く、また、活性層
205の両側に設けても良い。また、電流狭窄層の材料
は、コンタクト層に比べ屈折率の高い材料でもよい。
【0044】次に、本発明の第3の実施形態を説明す
る。図10は本発明の第3の実施形態を示す窒化物系半
導体レーザの断面図である。同図において、300はサ
ファイヤ基板、301はGaNバッファー層(0.01
μm)であり、302はp型GaNコンタクト層(Mg
ドープ、3〜5×1018cm-3、1μm)、303はp
型Al0.2 Ga0.8 Nクラッド層(Mgドープ、5×1
17cm-3、0.3μm)、304はp型GaN隣接層
(Mgドープ、5×1017cm-3、0.1μm)、30
5はIn0.3 Ga0.7 N/GaN多重量子井戸活性層
(アンドープ、井戸幅2nm、障壁幅4nm、ペアー数
3)、306はn型GaN隣接層(Siドープ、5×1
17cm-3、0.1μm)、307はn型Al0.2 Ga
0.8 Nクラッド層(Siドープ、5×1017cm-3
0.3μm)、308はp型GaN通電障壁層(Mgド
−プ、1×1018cm-3、0.3μm)、309はn型
GaNコンタクト層(Siドープ、1〜3×1018cm
-3、0.5μm)、310はn側電極、311はp側電
極である。
【0045】以下にその製造方法の概略を述べる。結晶
成長はMOCVD法によって行った。始めに、サファイ
ヤ基板300にMOCVD法によりGaNバッファー層
301を成長させるが、サファイヤ基板300は図11
(a)、(b)に示されるように、スリット状の切れ目
320が入っているものを用いた。ここで、切れ目32
0の開口は、例えば、約250μm×30μm、切れ目
同士の間隔は約250μm程度とすることができる。
【0046】本実施形態においては、まず、サファイヤ
基板300上に横方向の成長速度が速くなる条件でGa
Nバッファー層301の成長を行う。すなわち、結晶成
長時に、GaNの供給速度に対して成長温度を十分に高
くすることにより、基板表面でのGaN原子の移動が高
まる。このような条件でバッファー層301を成長する
ことによって、サファイヤ基板300の切れ目320の
部分はGaNバッファー層301で塞がれる状態とな
る。
【0047】その後、通常の成長状態で順次p型GaN
コンタクト層302からp型GaN通電障壁層308ま
で成長を行う。p型GaN通電障壁層308まで成長し
た後、フオトリソグラフィーによりp型GaN通電障壁
層308の上に部分的にマスク(図示せず)を形成し、
n型Al0.2 Ga0.8 Nクラッド層307が露出する
までエッチングを行う。次にマスクを除去し、n型Ga
Nコンタクト層309を成長する。コンタクト層309
の上にNiとAuを蒸着してn側電極310を形成す
る。また、基板300下面側よりGaNバッファー層3
01をエッチングにより除去し、Pt、Ti、Auを順
次蒸着してp側電極311を形成する。これをレーザ素
子とするため劈開により端面(図示せず)を形成し、ダ
イシングにより半導体発光素子を分離して図10の半導
体レーザを得る。端面には図示しないが誘電体多層膜に
よる高反射コートを施してある。
【0048】次に、本実施形態における上記In0.2
0.8 N/GaN多重量子井戸活性層305の具体的な
成長条件を説明する。成長温度は740℃で、InGa
N層はTMG、TMIおよびアンモニアガスを用い、G
aN層はTMGおよびアンモニアガスを用いる。InG
aN井戸層は成長速度がIn0.2 Ga0.8 Nの厚膜成長
で1μm/hの得られる成長条件で7秒、GaN障壁層
はTMIを止めて20秒の成長を行う。また、InGa
N井戸層とGaN障壁層の成長の間には1.5秒の待機
時間を設ける。厚膜と量子井戸のような薄膜とでは成長
条件が同じでも成長速度が異なるが、これは成長の初期
過程で成長速度が異なるためである。このような成長を
行うことにより、In0.2 Ga0.8 N/GaN多重量子
井戸活性層305内にはIn組成が局所的に多い部分が
井戸層部分に形成される。具体的には各井戸層に直径2
nm、In組成約30%の領域か多数形成される。この
領域は周辺に比べInが多いことにより歪みがかかり、
これによりInが多いがバンドギャップは周辺の領域と
10meV以下の違いしかない。この窒化物系半導体レ
ーザに電流注入を行った場合、In組成が高いこの領域
ではドーパントのSiが少なく導電性が低くキャリヤの
注入は主にその周辺に行われる。
【0049】図12は、活性層305の透過型電子顕微
鏡による観察の結果を表す模式図である。すなわち、電
子顕微鏡により格子像を観察した結果、活性層305に
おいては、数nmの径の島状領域が点在することが観察
された。特性X線スペクトル分析法を用いてこの島状の
領域の組成を調べた結果、周囲よりもIn濃度が高いこ
とが確認された。さらに、カソードルミネッセンス法に
より観察した結果、この島状領域に対応して規則正しく
並んだ発光点が観測できた。
【0050】このような島状の領域が形成される原因
は、GaNの上にGaNと格子整合しないInGaNを
成長するために、島状の成長が起こるからであると考え
られる。ここで、本発明者は、種々の成長条件で形成し
た島状領域の直径と、半導体レーザの外部量子効率との
関係について調べた。
【0051】図13は、島状領域の大きさと外部量子効
率との関係を表すグラフである。すなわち、同図におい
て、縦軸は外部量子効率を表し、横軸は島状領域の平均
径を表す。同図から分かるように、島状領域の直径が小
さくなるほど、外部量子効率が増加する傾向が得られ
た。特に高い外部量子効率を得るためには、島状領域の
直径は100nm以下であることが望ましい。島状領域
の径がこれ以上大きくなると、図13に示すように発光
効率が著しく低下することが分かった。
【0052】次に、本発明者は、島状領域とその周辺部
のインジウムの濃度の2次元的な分布を詳細に調べた結
果、直径が100nm以下の島状領域が存在するために
は、島状領域の端部において、2nmごとに10%以上
の割合でインジウム濃度が変化する必要があることが分
かった。つまり、島状領域の端部において、これ以上の
急峻なインジウム濃度の増加がある場合には、直径10
0nm以下の島状領域が存在し得ることが分かった。
【0053】活性層内の高In組成部はドナーが少ない
のでIn組成の高い部分は発光効率が良い。また、量子
的な閉じ込め効果により発光効率の良い励起子分子の安
定的な存在を促す。これにより島状の高In領域は、体
積的には微小であるが発振するに十分な反転分布を形成
することが可能である。そして島状高濃度領域の周辺の
低In領域は、バンドギャップは島状高濃度領域より大
きいものの、ドナーが存在するためにその準位による吸
収により可飽和吸収層として働き自励発振状態となる。
この状態は高出力時であっても持続した。
【0054】活性層にドープする不純物としては、n型
となるSi、C、Ge、Sn、Pb以外ではしきい値が
上昇し実用的ではなかった。この実施形態では活性層の
下に、横方向に成長させたGaNバッファー層301が
設けられているので極端に転位や欠陥か少ない。その結
果として、リーク電流が抑制され、半導体発光素子の破
壊も起こりにくかった。
【0055】また本実施形態の半導体レーザはしきい値
20mAで室温連続発振し、発振波長は420nm、動
作電圧は3.8Vであった。また、自励発振を行う事に
より50mW動作時のS/Nは、本構造を用いない従来
の半導体レーザの20dBに比べ130dBと顕著に向
上した。また、活性層に量子井戸構造を採用しているた
め自励発振で200mW、自励発振を維持しない場合は
300mWの高出力を得る事かできた。また、半導体発
光素子の寿命はライフテストにおける劣化傾向から10
万時間以上と予想され、低ノイズ、高出力、高信頼性を
実現できた。
【0056】本実施形態では基板としてサフアイヤ基板
を用いているか石英ガラス、ダイヤモンド、BNなどで
も良い。さらに成長方法としてMBE(Molecul
arBeam Epitaxy)法を用いると、パイレ
ックスガラスやZnO等も基板として用いる事ができ
る。
【0057】次に、本発明の第4の実施形態について説
明する。第14図は本発明の第4の実施形態に係わる窒
化物系半導体発光ダイオード(LED)の概略構成を説
明するためのものである。同図において、400はサフ
ァイヤ基板、401はGaNバッファ層(3〜5×10
18cm-3,4μm)、402はn型GaNコンタクト層
(Siドープ,1×1018cm-3,2μm),403は
n型GaN層(Siドープ,5×1017cm-3,0.1
μm),404はIn0.3 Ga0.7 N/GaN 3MQ
W活性層(Siドープ,井戸層2nm,障壁層4n
m),405はp型GaN層(Mgドープ,5×1017
cm-3,0.1μm),406はGaNコンタクト層
(Mgドープ, 3×1018cm-3,0.05μm),
410はp側電極,411はn側電極,412はITO
(Indium Tin Oxide)透明電極であ
る。
【0058】同図の各半導体層はMOCVD法により成
長した。活性層404の成長時にはそれぞれのIn0.3
Ga0.7 N井戸層の成長後に成長中断時間を1秒から3
秒設けてIn濃度が高い島状領域を作成した。活性層以
外の成長は通常の成長方法で行った.成長後p電極とな
る部分をマスキングしn型GaNコンタクト層402が
露出するまでドライエッチングしてメサ形状を形成す
る.マスクを除去し,メサの側面などリーク電流が流れ
やすい部分にはSiO2 を付けた.メサ形状の上面には
全面透明電極を形成しさらに一部分でn側電極411に
遠い部分にp側電極410を形成し、n側電極411を
形成した,半導体発光素子構造とした.作成後に発光素
子を分解し活性層部分を透過電子顕微鏡で観察したとこ
ろ井戸層部分にInが周りより高い領域が観察され,そ
の領域はほぼ4nmの直径であった.また,特性X線に
より調べたところ、この高濃度領域は周りのIn濃度が
低い領域に比べIn濃度が10%程度多く含まれている
ことがわかった.素子の動作電圧は2.7Vで光出力は
10mAで10mWであった.また,100mAでは5
0mWであった.発光効率も良く外部量子効率は30%
に達した.このような高効率で発光強度が強い素子が実
現できたのは、活性層にあるIn濃度が高い領域に注入
されたキャリヤが、その高In濃度領域に閉じ込められ
て非発光再結合をすることなく再結合したためである.
本実施形態では光源として青色のみを用いているが、活
性層中のIn量を増量することにより赤色光に近い波長
まで発光可能となり、フィルタなどを用いれば、赤、
緑、青の三原色ができ、GaN系のフルカラー発光素子
を実現することもできる。
【0059】次に、本発明の第5の実施形態について説
明する。図15は本発明の第5の実施形態に係わる窒化
物系半導体発光素子の概略構成を説明するためのもので
ある。同図に示した発光素子においては、サファイア基
板500の上に、バッファー層501、n型GaNコン
タクト層(Siドープ、3〜5×1018cm-3、4μ
m)502、n型AlGaNクラッド層(Siドープ、
5×1017cm-3、0.3μm)503、ノンドープG
aN隣接層(0. 1μm)504、InGaN多重量子
井戸(MQW)活性層505、ノンドープGaN隣接層
(0.1μm)506、p型AlGaNクラッド層(M
gドープ、5×1017cm-3、0.3μm)507、p
型GaNコンタクト層(Mgドープ、5×1018
-3、0.5μm)508、SiO2 (二酸化珪素)膜
509が順次積層されている。また、510はp側電
極、511はn側電極である。
【0060】製造方法は次の通りである。MOCVD法
で基板500の上にバッファー層501を成長し、次に
成長温度1100℃でTMG(トリメチルガリウム)、
TMA(トリメチルアルミニウム) 、アンモニア、水
素、窒素を用いて、n型GaNコンタクト層502、n
型AlGaNクラッド層503、ノンドープGaN隣接
層504を順次積層する。
【0061】次に、III族の原料ガスの供給を停止
し、基板温度を760℃に降温する。この温度で、TM
Gを−15℃に保ち、水素ガスをキャリアガスとして1
0cc/分、アンモニアを20℃で10L/分、窒素を
19.7L/分流し、これに加えてTMI(トリメチル
インジウム)を37℃で窒素をキャリアガスとして50
0cc/分と15cc/分との組み合わせで約1.5分
ずつ20回繰り返し切り替えて供給し、InGaN多重
量子井戸活性層505の成長を行う。
【0062】この後、TMGとTMIの供給を止めるこ
とで成長を停止し、水素を40cc/分、窒素を19.
96L/分、アンモニアを10L/分の流量で流しなが
ら、1100℃まで4分間かけて昇温する。ついで温度
を1100℃で保持し、水素を500cc/分、窒素を
14.5L/分、TMGを100cc/分、アンモニア
を10L/分の流量供給してノンドープGaN隣接層5
06を積層する。この後これにCp2 Mg(ビスシクロ
ペンタジエニルマグネシウム)とTMAを加えてp型A
lGaNクラッド層507を形成し、次にTMAの供給
を止めてp型GaNコンタクト層508を積層する。こ
の後、SiO2 膜509の堆積、フォトリソグラフィ
ー、エッチング、p側電極510、n側電極511の蒸
着、アロイ等の行程を経て図15に示す窒化物系半導体
発光素子が完成する。
【0063】なお、前述の工程においては、隣接層50
4を成長した後に成長温度を760℃まで高温したが、
この温度は、700℃以上850℃以下であることが望
ましい。以下に、この理由を説明する。
【0064】本発明者は、InGaNの成長条件を調べ
るために、まず、原料ガスとキャリヤガスの流量の総和
を1分あたり30リットルにし、V族元素とIII 族元素
のガスの流量比を8400にし、様々な成長温度でIn
GaNの成長を行った。これをフォトルミネッセンス
(Photo Luminescence:PL)で評
価したところ、表1に示すように700℃以上850℃
以下の範囲において、十分な強度のPL発光が観測でき
た。成長温度が700℃を下回ると、成長が不十分とな
り、PL発光強度が上がらない。成長温度が850℃を
上回ると、結晶がダメージを受けるため、PL発光強度
が極端に低減した。
【0065】
【表1】
【0066】次に、本発明者は、成長温度を760℃に
固定し、原料ガスとキャリヤガスの流量の総和を1分あ
たり30リットルにし、V族元素とIII 族元素のモル流
量比依存性を調べた。その結果、表2の様にV族元素と
III 族元素のモル流量比が1000以上15000以下
では十分な強度のPL発光が見られた。V族元素とIII
族元素のモル流量比が1000を下回ると、十分に反応
しないため、PL発光強度が上がらない。V族元素とII
I 族元素のモル流量比が15000を上回ると、本来II
I 族元素が反応するべき結晶格子にもV族元素が割り込
んで反応してしまい、III 族元素が十分に反応できない
ため、PL発光強度が極端に低減した。
【0067】
【表2】
【0068】さらに、成長温度を760℃に固定し、V
族元素とIII 族元素の流量比を8400にし、すべての
原料ガスとキャリヤガスの1分間あたりの総流量に対す
る依存性を調べたところ、表3の様に一分間あたりの総
流量が10リットル以上、50リットル以下では十分な
強度のPL発光が見られた。一分間あたりの総流量が1
0リットルを下回ると、十分に反応しないため、PL発
光強度が上がらない。一分間あたりの総流量が50リッ
トルを上回ると、流速が早くなり、十分な反応時間がと
れないため、PL発光強度が極端に低減した。
【0069】
【表3】
【0070】本実施形態では、InGaN多重量子井戸
活性層505およびノンドープGaN隣接層506とも
に意図的にはドーピングを施していない。本発明者の実
験によれば、上記のように成長した場合、GaN層の方
がInGaN層よりも高抵抗であることがわかってい
る。また、上記のように成長したものの断面をTEM
(透過電子顕微鏡)で観察したところ、 InGaN多
重量子井戸活性層505に穴状領域(ピット)が存在
し、このピットがノンドープGaN隣接層506によっ
て埋め込まれ、平坦化されていることがわかった。従っ
て前記の実施形態の半導体発光素子によれば、以下に述
べる原理により自励発振が生じる。
【0071】すなわち、活性層に穴状領域が存在するこ
とにより、活性層内を流れる電流に分布ができ、低電流
密度領域が可飽和吸収領域となるので、自励発振が生じ
る。このことについて以下に詳述する。
【0072】図16は、本実施形態の発光素子における
注入電流の流れを示す断面模式図である。同図において
は、分かり易くするために、図16に示した発光素子の
構造を簡略化した構造を例示して説明する。図16に示
したように、ノンドープGaN層553とノンドープI
nGaN層554のヘテロ接合があり、しかもノンドー
プInGaN層554側の界面には穴(ピット)Pがあ
る。両者にはそれぞれp型コンタクト層552、n型コ
ンタクト層555を介してp側電極551、n側電極5
56が接続されている。
【0073】いま、両電極に順方向に電圧をかけたとす
ると、ノンドープGaN層553の方がノンドープIn
GaN層554に比べてバンドギャップが大きいため
に、電流は図16中の矢印で示すように流れ、InGa
N層554のうちの穴状領域の下の部分の電流密度は他
の領域の電流密度に比べて、疎になる。
【0074】本発明者は、この現象を実証するために二
次元のシミュレーションを実行し、電流の分布を調べ
た。図17にシミュレーションで用いた層構造を示す。
層構造はレーザ構造を模したものであり、5×1018
-3にドープされた厚さ0.1μmのn型GaNコンタ
クト層561、5×1017cm-3にドープされた厚さ
0.3μmのn型Al0.15Ga0.85Nクラッド層56
2、厚さ0.1μmのノンドープGaN隣接層563、
厚さ0.1μmのノンドープIn0.08Ga0.92N活性層
564、厚さ0.1μmのノンドープGaN隣接層56
5、5×1017cm-3にドープされた厚さ0.3μmの
p型Al0.15Ga0.85Nクラッド層566、5×1018
cm-3にドープされた厚さ0.1μmのp型GaNコン
タクト層567からなる。ノンドープIn0.08Ga0.92
N活性層564のノンドープGaN隣接層563に接す
る界面には幅0.1μm、深さ0.05μmの穴状領域
(ピット)Pが1μmの間隔を置いて並んでいる。実際
のピットの形状はこのような矩形では必ずしもないが、
計算の簡便化のためにこのような形状でシミュレーショ
ンを行った。形状の違いがシミュレーション結果に本質
的な影響を及ぼさないことは言うまでもない。
【0075】このような構造に4Vの電圧を印加した時
の穴状領域(ピット)の直下での電流密度の分布を図1
8に示す。ピットの部分で電流密度が30%以上も低減
している。このように電流の疎密が穴状領域の存在によ
ってもたらされることが明らかとなった。そして、この
ような電流分布が生じることになり、レーザ発振が生じ
る際には、まず、電流が密な部分で発振が始まり、電流
が疎の部分が可飽和吸収体となることになる。尚、隣接
層がノンドープでなく、5×1017cm-3にドープされ
ている場合についても同様の結果であった。このよう
に、穴状領域が存在することで、電流の疎密が発生する
ことになる。そして、電流が疎の部分は可飽和吸収体と
なり、自励発振が実現できる。
【0076】次に、本発明の第6の実施の形態について
説明する。図19は本発明の第6の実施形態に係わる窒
化物系半導体発光ダイオードの概略構成を説明するため
のものである。すなわち、同図の発光ダイオードにおい
ては、サファイヤ基板600上に、バッファー層60
1、n型GaNクラッド層(Siドープ、3〜5×10
18cm-3、4μm)602、ノンドープInGaN活性
層(0.2μm)603、p型GaNクラッド層(Mg
ドープ、5×1017cm-3、0.3μm)604、p型
GaNコンタクト層(Mgドープ、5×1018cm-3
0.5μm)605が順次積層されている。また、61
0はp型透明電極、611はn型電極である。
【0077】このようにして本発明の第6の実施形態に
係わる窒化物系半導体発光ダイオードを作成すると、ノ
ンドープInGaN活性層603のp型GaNクラッド
層604側の界面に穴状領域(ピット)が形成される。
このようにピットが形成されることで凹凸が生じること
になる。凸の部分603Aは周囲をGaNに囲まれたI
nGaN層である。このように周囲をバンドギャップの
大きい材料で囲まれた領域には励起子が局在することに
なり、発光効率が増大する。すなわち、このようにして
本発明を用いることにより発光効率の高い発光ダイオー
ドを得ることができる。
【0078】次に、本発明の第7の実施の形態について
説明する。図20は本発明の第7の実施形態に係わる窒
化物系半導体発光素子の概略構成を説明するためのもの
である。同図において、700はサファイア基板、70
1はバッファー層、702はn型GaNコンタクト層
(Siドープ、3〜5×1018cm-3、4μm)、70
3はn型AlGaNクラッド層(Siドープ、5×10
17cm-3、0. 3μm)、704はn型In0.1 Ga
0.9 N/In0.02Ga0.98N多重量子井戸隣接層(Si
ドープ、5×1017cm-3、井戸幅2nm、障壁幅4n
m、20層)、705はIn0.2 Ga0.8 N/In0.05
Ga0.95N多重量子井戸活性層(ノンドープ、井戸幅2
nm、障壁幅4nm、10層)、706はp型GaN隣
接層(Mgドープ、5×1017cm-3、0.1μm)、
707はp型AlGaNクラッド層(Mgドープ、5×
1017cm-3、0.3μm)、708はp型GaNコン
タクト層(Mgドープ、5×1018cm-3、0.5μ
m)、709はSiO2 膜、710はp側電極、711
はn側電極である。
【0079】n型In0.1 Ga0.9 N/In0.02Ga
0.98N多重量子井戸隣接層704は次のように成長させ
る。成長温度は760℃で、In0.1 Ga0.9 N井戸層
の成長にはTMI、TMG、アンモニア、SiH4 を用
い、厚さが2nmの井戸層を成長する。次に、1秒間、
アンモニアだけを供給した状態で待機したのち、TM
I、TMG、アンモニア、SiH4 を用いて厚さが4n
mのIn0.02Ga0.98N障壁層を成長する。つぎに再度
1秒間の待機時間をおいて井戸層を同様に成長する。こ
のようなプロセスを合計20回繰り返すことでn型In
0.1 Ga0.9 N/In0.02Ga0.98N多重量子井戸隣接
層704が形成できる。
【0080】また、 In0.2 Ga0.8 N/In0.05
0.95N多重量子井戸活性層705の成長方法は次の通
りである。760℃の成長温度で、In0.2 Ga0.8
を2nm成長し、1秒間の待機時間を設てIn0.05Ga
0.95Nを成長する。このサイクルを合計10回繰り返
す。
【0081】このような成長方法によってn型In0.1
Ga0.9 N/In0.02Ga0.98N多重量子井戸隣接層7
04とIn0.2 Ga0.8 N/In0.05Ga0.95N多重量
子井戸活性層705共に、島状領域を有し、かつ、ピッ
トを有する構造を形成することが可能となる。
【0082】以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施
の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具
体例に限定されるものではない。例えば、前述した第1
から第7の実施形態では活性層はノンドープ層である
が、n型あるいはp型にドープされていても良い。また
これに隣接する層はドーピングされていなくても、ある
いはn型やp型にドーピングされていても良い。その
他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して
実施できる。
【0083】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の窒化物系半
導体レーザによれば、複雑な構造を用いずに、自励発振
を生じる窒化物系半導体発光素子が高い確率で得られ
る。これによって、低ノイズの特性をもった光ディスク
記録の読み出し用半導体レーザとして実用可能な性能を
満たした半導体レーザを安価に容易に作成でき、その有
用性は絶大である。さらに、同じ構造の窒化物系半導体
レーザにより記録媒体からの読み出しおよび書き込みが
可能になり読み出し書き込み兼用へッドの構造を飛躍的
に単純化できた。一方、本発明の窒化物系半導体発光ダ
イオードによれば、発光効率の高い窒化物系発光ダイオ
ードが得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の窒化物系半導体発光素子の第1の実施
形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す多重量子井戸隣接層104の面内発
光分布を表す模式図である。
【図3】図1に示す多重量子井戸隣接層104における
In組成比とドナー濃度の関係を示すグラフである。
【図4】図1に示す多重量子井戸隣接層104における
バンド構造を示す模式図である。
【図5】図1に示す窒化物系半導体発光素子の光出力に
対する自励発振生起割合を示すグラフである。
【図6】半導体レーザを光ディスクの読み出しに応用し
た状態を説明する模式図である。
【図7】本発明の窒化物系半導体発光素子の第2の実施
形態を示す断面図である。
【図8】図7に示す活性層205を透過型電子顕微鏡に
より観察した結果を表す模式図である。
【図9】図7に示す窒化物系半導体発光素子の製造条件
を示すグラフである。
【図10】本発明の窒化物系半導体発光素子の第3の実
施形態を示す断面図である。
【図11】図10に示す窒化物系半導体発光素子に用い
る基板の構造を示す概略図で、(a)は平面図、(b)
は側面図である。
【図12】図10に示す活性層305の透過型電子顕微
鏡による観察の結果を表す模式図である。
【図13】図10に示す活性層305における島状領域
の平均径と半導体発光素子の外部量子効率の関係を示す
グラフである。
【図14】本発明の窒化物系半導体発光素子の第4の実
施形態を示す断面図である。
【図15】本発明の窒化物系半導体発光素子の第5の実
施形態を示す断面図である。
【図16】隣接層が活性層よりもバンドギャップが大き
いの場合の電流経路を示す概略図である。
【図17】2次元のシュミレーションで用いた層構造を
示す概略図である。
【図18】図17に示した素子に対する2次元のシュミ
レーションにおいて4Vの電圧を印加した時の穴状領域
の直下での電流密度の分布図である。
【図19】本発明の窒化物系半導体発光素子の第6の実
施形態を示す断面図である。
【図20】本発明の窒化物系半導体発光素子の第7の実
施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
100 サファイヤ基板, 101 n型GaNバッファー層 102 n型GaNコンタクト層 103 n型AlGaNクラッド層 104 n型In0.1 Ga0.9 N/GaN多重量子井戸
隣接層 105 In0.3 Ga0.7 N/GaN多重量子井戸活性
層 106 p型GaN隣接層 107 p型AlGaNクラッド層 108 p型GaNコンタクト層 109 n型GaN通電障壁層 110 p側電極 111 n側電極 150 レーザ光 152 レンズ 154A 本発明による窒化物系半導体レーザ・ビーム 154B 従来のDVDシステムのレーザ・ビーム 154C コンパクト・ディスクシステムのレーザ・ビ
ーム 160 光ディスク 162 トラック 164 ピット 200 p型SiC基板 201 p型AlNバッフア層 202 p型GaN層 203 p型Al0.3 Ga0.7 Nクラッド層 204 Al0.1 Ga0.9 N隣接層 205 In0.1 Ga0.9 N/Al0.1 Ga0.9 N多重
量子井戸活性層 206 Al0.1 Ga0.9 N隣接層 207 n型Al0.3 Ga0.7 Nクラッド層 208 p型GaN電流狭窄層 209 n型GaNコンタクト層 210 n側電極 211 p側電極 300 サファイヤ基板 301 GaNバッファー層 302 p型GaNコンタクト層 303 p型Al0.2 Ga0.8 Nクラッド層 304 p型GaN隣接層 305 In0.3 Ga0.7 N/GaN多重量子井戸活性
層 306 n型GaN隣接層 307 n型Al0.2 Ga0.8 Nクラッド層 308 p型GaN通電障壁層 309 n型GaNコンタクト層 310 n側電極 311 p側電極 400 サファイヤ基板 401 GaNバッファ層 402 n型GaNコンタクト層 403 n型 GaN層 404 In0.3 Ga0.7 N/GaN 3MQW活性層 405 p型 GaN層 406 p型GaNコンタクト層 410 p側電極 411 n側電極 412 ITO透明電極 500 サファイア基板 501 バッファ層 502 n型GaNコンタクト層 503 n型AlGaNクラッド層 504 ノンドープGaN隣接層 505 InGaNMQW活性層 506 ノンドープGaN隣接層 507 p型AlGaNクラッド層 508 p型GaNコンタクト層 509 SiO2 膜 510 p側電極 511 n側電極 551 p側電極 552 p型コンタクト層 553 ノンドープGaN層 554 ノンドープInGaN層 555 n型コンタクト層 556 n側電極 P ピット 561 n型GaNコンタクト層 562 n型Al0.15Ga0.85Nクラッド層 563 ノンドープGaN隣接層 564 ノンドープIn0.08Ga0.92N活性層 565 ノンドープGaN隣接層 566 p型Al0.15Ga0.85Nクラッド層 567 p型GaNコンタクト層 600 サファイヤ基板 601 バッファ層 602 n型GaNクラッド層 603 ノンドープInGaN活性層 604 p型GaNクラッド層 605 p型GaNコンタクト層 610 p型透明電極 611 n型電極 700 サファイヤ基板 701 バッファー層 702 n型GaNコンタクト層 703 n型AlGaNクラッド層 704 n型In0.1 Ga0.9 N/In0.02Ga0.98
N多重量子井戸活性層 705 In0.2 Ga0.8 N/In0.05Ga0.95N多
重量子井戸活性層 706 p型GaN隣接層 707 p型AlGaNクラッド層 708 p型GaNコンタクト層 709 SiO2 膜 710 p側電極 711 n側電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野村 正明 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 藤本 英俊 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 野崎 千晴 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 西尾 譲司 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 石川 正行 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に活性層およびこれに隣接する隣
    接層を含む、六方晶系の結晶構造を有する3元以上のII
    I −V族化合物半導体からなる混晶層が積層形成された
    窒化物系半導体発光素子において、前記隣接層には、こ
    の隣接層を構成する1つの元素の濃度が周辺より高い島
    状領域が点在し、この島状領域の前記1つの元素の濃度
    は、前記六方晶系の結晶のC軸に垂直な方向での組成の
    変化が2nm以内で10パーセント以上異なり、また、
    前記島状領域の最大径が100nm以下であり、かつ前
    記島状領域の不純物濃度が周辺部の不純物濃度に比べて
    低いことを特徴とする窒化物系半導体発光素子。
  2. 【請求項2】 前記活性層には穴状領域が点在し、この
    穴状領域が前記隣接層を形成する半導体によって埋め込
    まれていることを特徴とする請求項1記載の窒化物系半
    導体発光素子。
  3. 【請求項3】 前記隣接層には穴状領域が点在している
    ことを特徴とする請求項1記載の窒化物系半導体発光素
    子。
  4. 【請求項4】 前記隣接層は多重量子井戸構造を有して
    おり、前記島状領域を形成する前記1つの元素はインジ
    ウム、アルミニウムまたはガリウムのうちの少なくとも
    1つであることを特徴とする請求項1記載の窒化物系半
    導体発光素子。
  5. 【請求項5】 前記活性層は多重量子井戸構造を有して
    おり、この活性層には、この活性層を構成する1つの元
    素の濃度が周辺より高い島状領域が点在し、この島状領
    域は、この領域を囲む領域の材料のバンドギャップに比
    べて同じか、または、10meV以内の差で小さいバン
    ドギャップを有することを特徴とする請求項1記載の窒
    化物系半導体発光素子。
  6. 【請求項6】 前記不純物はSi、C、Ge、Sn、P
    bの内の少なくも1つであることを特徴とする請求項1
    乃至5記載の窒化物系半導体発光素子。
  7. 【請求項7】 前記島状領域相互の間隔をd、その周辺
    部の屈折率をn、前記島状領域の発光波長をλとした
    時、λm=2nd(m=1、2、3、4)を満たすこと
    を特徴とする請求項5記載の窒化物系半導体発光素子。
  8. 【請求項8】 前記活性層には穴状領域が点在し、この
    穴状領域が前記隣接層を形成する半導体によって埋め込
    まれており、かつ、前記隣接層には穴状領域が点在し、
    この穴状領域が前記隣接層に隣接し活性層側ではない層
    を形成する半導体によって埋め込まれていることを特徴
    とする請求項5乃至7記載の窒化物系半導体発光素子。
  9. 【請求項9】 基板上に活性層およびこれに隣接する隣
    接層を含む、六方晶系の結晶構造を有する3元以上のII
    I −V族化合物半導体からなる混晶層が積層された窒化
    物系半導体発光素子において、前記活性層には穴状領域
    が点在し、この穴状領域が前記隣接層を形成する半導体
    によって埋め込まれていることを特徴とする窒化物系半
    導体発光素子。
  10. 【請求項10】 前記隣接層には穴状領域が点在してい
    ることを特徴とする請求項9記載の窒化物系半導体発光
    素子。
  11. 【請求項11】 前記活性層は多重量子井戸構造を有し
    ており、この活性層には、この活性層を構成する1つの
    元素の濃度が周辺より高い島状領域が点在し、この島状
    領域は、この領域を囲む領域の材料のバンドギャップに
    比べて同じか、または、10meV以内の差で小さいバ
    ンドギャップを有することを特徴とする請求項9記載の
    窒化物系半導体発光素子。
  12. 【請求項12】 前記活性層は多重量子井戸構造をなし
    ており、少なくともその一部はInGaNからなること
    を特徴とする請求項9記載の窒化物系半導体発光素子。
  13. 【請求項13】 基板上に活性層およびこれに隣接する
    隣接層を含む、六方晶系の結晶構造を有する3元以上の
    III −V族化合物半導体からなる混晶層が積層された窒
    化物系半導体発光素子において、前記隣接層には穴状領
    域が点在していることを特徴とする窒化物系半導体発光
    素子。
  14. 【請求項14】 基板上に活性層およびこれに隣接する
    多重量子井戸隣接層を含む、六方晶系の結晶構造を有す
    る3元以上のIII −V族化合物半導体からなる混晶層を
    積層形成した窒化物系半導体発光素子の製造方法におい
    て、前記多重量子井戸隣接層は、井戸層の成長用の原料
    ガスと障壁層の成長用の原料ガスを交互に所定時間供給
    して井戸層および障壁層を交互に成長させるとともに、
    前記井戸層の成長と前記障壁層の成長との間に所定の待
    機時間を設けることを特徴とする窒化物系半導体発光素
    子の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記井戸層の成長用の原料ガスはトリ
    メチルインジウム、トリメチルガリウムおよびアンモニ
    アガスであり、前記障壁層の成長用の原料ガスはトリメ
    チルガリウムおよびアンモニアガスであることを特徴と
    する請求項14記載の窒化物系半導体発光素子の製造方
    法。
  16. 【請求項16】 基板上に活性層およびこれに隣接する
    多重量子井戸隣接層を含む、六方晶系の結晶構造を有す
    る3元以上のIII −V族化合物半導体からなる混晶層を
    積層形成した窒化物系半導体発光素子を有機金属を用い
    た気相成長により製造するに際し、前記気相成長の原料
    ガスとして、トリメチルインジウム、トリメチルガリウ
    ムおよびアンモニアガスを用い、成長温度を700℃以
    上850℃以下とし、かつ、すべての原料ガスとキャリ
    アガス流量の総和を標準換算で一分間に10リットル以
    上50リットル以下とし、さらにV族元素とIII族元
    素のモル流量比を1000以上15000以下で、前記
    活性層をエピタキシャル成長させることを特徴とする窒
    化物系半導体発光素子の製造方法。
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