JPH10291980A - 光学活性な4,5−ジフェニル−2−イミダゾリジノン誘導体及びこれを用いた光学活性なα−アミノリン酸の製造方法 - Google Patents

光学活性な4,5−ジフェニル−2−イミダゾリジノン誘導体及びこれを用いた光学活性なα−アミノリン酸の製造方法

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JPH10291980A
JPH10291980A JP10303697A JP10303697A JPH10291980A JP H10291980 A JPH10291980 A JP H10291980A JP 10303697 A JP10303697 A JP 10303697A JP 10303697 A JP10303697 A JP 10303697A JP H10291980 A JPH10291980 A JP H10291980A
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JP
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diphenyl
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imidazolidinone
compound
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JP10303697A
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English (en)
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Toshio Isobe
敏男 磯部
Keiko Fukuda
恵子 福田
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SHIRATORI SEIYAKU KK
Shiratori Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
SHIRATORI SEIYAKU KK
Shiratori Pharmaceutical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学活性化合物を選択的に高収率で製造する
ことができる不斉合成試薬、及びかかる不斉合成試薬を
用いて光学活性なα−アミノリン酸を選択的に製造する
方法の提供。 【解決手段】 次の一般式(1) 【化1】 (式中、R1 はアルキル基を示し、R2 は水素原子、ア
ルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、*は不
斉炭素の位置を示す)で表わされる光学活性な4,5−
ジフェニル−2−イミダゾリジノン誘導体;及び4,5
−ジフェニル−2−イミダゾリジノン誘導体に、アルデ
ヒド及び亜リン酸ジアルキルをジアステレオ選択的に反
応せしめ、得られたジアステレオマーを加水分解するこ
とを特徴とする光学活性なα−アミノリン酸の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学活性な化合物
を選択的に製造するために用いる不斉合成試薬として有
用な4,5−ジフェニル−2−イミダゾリジノン誘導
体、及びこれを用いた光学活性なアミノリン酸の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】α−アミノリン酸はα−アミノ酸と構造
的に類似するため、ペプチドミミックの構成要素として
(Phosphorus, Sulfur Silicon Relat. Elem., 1991, 6
3, 193)、抗体触媒を創製する際のハプテンなどの機能
性素子として〔Science, 26 5, 234(1994)〕、ペプチド
性プロテアーゼ阻害剤として〔J. Am. Chem. Soc.,113,
297(1991)〕、抗生物質等の医薬品として(J. Med. Ch
em., 1986, 29, 29)用いられるなど産業上有用な化合
物である。そしてかかるα−アミノリン酸は光学異性体
によって薬効や毒性が大きく異なることが知られてい
る。
【0003】ところで従来の光学活性なα−アミノリン
酸の製造法としては、例えば通常の反応により得たラセ
ミ体を光学活性な分割剤を用いて分離する方法(Can.
J. Chem., 1983, 61 2425)、アミノアシラーゼのよう
な酵素を用いて片方の異性体のみを目的物に変換する方
法(Chem. Abst., 1981, 97, 87977y)等が知られてい
る。また光学異性体の一方のみを合成する方法として不
斉合成試薬を用いる方法が知られている。かかる試薬を
用いることにより、光学活性な化合物を選択的、かつ高
収率で製造することが可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のラ
セミ体を分割する方法や、酵素を用いる方法では、産業
上利用できない異性体が残存することとなり、資源の有
効利用が図れず、不経済であった。また不斉合成試薬と
して汎用されている光学活性な1,2−ジフェニル−
1,2−エタンジアミンの誘導体として、4,5−ジフ
ェニル−1−メチル−2−イミダゾリジノンが知られて
いるが、その不斉合成反応への応用例としては、4,5
−ジフェニル−1−メチル−3−プロピオニル−2−イ
ミダゾリジノンとアルデヒドとの不斉アルドール反応が
唯一報告されているにすぎない〔Bull. Chem. Soc. Jp
n., 64, 1425〜1427(1991)〕。
【0005】したがって本発明は、光学活性化合物を選
択的に高収率で製造することができる不斉合成試薬、及
びかかる不斉合成試薬を用いて光学活性なα−アミノリ
ン酸を選択的に製造する方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】斯かる実情に鑑み本発明
者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、
下記一般式(1)で表わされる新規化合物を不斉合成試
薬として用いれば、高ジアステレオ選択的に反応が進行
し、光学活性なα−アミノリン酸を選択的かつ高収率で
製造することができることを見出し、本発明を完成し
た。
【0007】すなわち本発明は、次の一般式(1)
【0008】
【化2】
【0009】(式中、R1 はアルキル基を示し、R2
水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を
示し、*は不斉炭素の位置を示す)で表わされる光学活
性な4,5−ジフェニル−2−イミダゾリジノン誘導
体;及びかかる光学活性な4,5−ジフェニル−2−イ
ミダゾリジノン誘導体に、アルデヒド及び亜リン酸ジエ
ステルをジアステレオ選択的に反応せしめ、得られたジ
アステレオマーを加水分解することを特徴とするα−ア
ミノリン酸の製造方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の光学活性な4,5−ジフ
ェニル−2−イミダゾリジノン誘導体は、前記一般式
(1)で表わされるものである。式中のR1 としては、
炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。具体的には、例
えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピ
ル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n
−ペンチル基、i−ペンチル基、sec−ペンチル基、t
−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、sec
−ヘキシル基、t−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が
挙げられる。このうち炭素数が1〜4のものが特に好ま
しく、メチル基が特に好ましい。また式中、R2 として
は、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル
基を示す。ここでアルキル基はR1 の場合と同様であ
る。アリール基としては例えばフェニル基、ナフチル
基、アントリル基、フェナントリル基、トリル基、キシ
リル基等が挙げられる。このうちフェニル基が特に好ま
しい。またアラルキル基としては例えばフェニルアルキ
ル基(アルキル基は炭素数1〜5)、α−ナフチルアル
キル基(アルキル基は炭素数1〜5)等が挙げられる。
このうちベンジル基が特に好ましい。
【0011】本発明化合物(1)は、例えば次の反応式
に従って、光学活性な1,2−ジフェニル−1,2−エ
タンジアミン(2)を出発原料として4工程を経て得ら
れる4,5−ジフェニル−1−アルキル−2−イミダゾ
リジノン(8)にイソシアナート類を反応せしめること
により製造することができる。
【0012】
【化3】
【0013】(式中、R1 、R2 及び*は前記と同じも
のを示し、R3 はアルキル基を示し、X1 及びX2 はハ
ロゲン原子を示す)
【0014】以下、上記反応を工程毎に説明する。
【0015】(1)工程1 光学活性な1,2−ジフェニル−1,2−エタンジアミ
ン(2)を、尿素(3)及び水を用いて閉環させること
により、4,5−ジフェニル−2−イミダゾリジノン
(4)が得られる。原料として用いられる光学活性な
1,2−ジフェニル−1,2−エタンジアミン(2)の
2つの不斉炭素原子の立体配置はR、Sのいずれであっ
てもよいが、同一であることが好ましく、例えば(1
R,2R)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジア
ミン、(1S,2S)−1,2−ジフェニル−1,2−
エタンジアミンが挙げられる。この反応は、水を留去し
ながら加熱することにより行うことが好ましい。
【0016】(2)工程2 4,5−ジフェニル−2−イミダゾリジノン(4)に脂
肪族ハロゲニドを反応させることにより1−アシル−
4,5−ジフェニル−2−イミダゾリジノン(5)が得
られる。R3 としては炭素数1〜6のアルキル基、例え
ばメチル基、エチル、n−プロピル基、n−ブチル基等
が挙げられ、このうちn−プロピル基が特に好ましい。
またX1 としては塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙
げられ、このうち塩素原子が特に好ましい。この反応
は、水素化ナトリウム等の塩基の存在下に行うことが好
ましい。
【0017】(3)工程3 1−アシル−4,5−ジフェニル−2−イミダゾリジノ
ン(5)にハロゲン化アルキル(6)を反応させること
により、3−アシル−1−アルキル−4,5−ジフェニ
ル−2−イミダゾリジノン(7)が得られる。ハロゲン
化アルキル(6)の具体例としては、ヨウ化メチル、ヨ
ウ化エチル、臭化エチル、ヨウ化n−プロピル、臭化n
−プロピル、塩化n−プロピル、ヨウ化i−プロピル、
臭化i−プロピル、ヨウ化n−ブチル、臭化n−ブチ
ル、ヨウ化i−ブチル、臭化i−ブチル、塩化t−ブチ
ル等が挙げられる。この反応は、水素化ナトリウム等の
塩基存在下で行うことが好ましい。
【0018】(4)工程4 3−アシル−1−アルキル−4,5−ジフェニル−2−
イミダゾリジノン(7)を加水分解することにより、1
−アルキル−4,5−ジフェニル−2−イミダゾリジノ
ン(8)が得られる。この反応は、ナトリウムアルコキ
シド等の塩基の存在下で、アシル基のみが脱離する条件
下で行う。
【0019】(5)工程5 1−アルキル−4,5−ジフェニル−2−イミダゾリジ
ノン(8)にイソシアナート類(9)を反応させること
により本発明の化合物(1)が得られる。この反応は、
ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチル
エーテル等の不活性溶媒中、n−ブチルリチウム、リチ
ウムジイソプロピルアミド等の有機金属化合物又は水素
化ナトリウム、水素化リチウム等の塩基の存在下で、室
温〜冷却下、化合物(9)を滴下することにより行うこ
とが好ましい。なおR2 は前記のものを用いることがで
きる。
【0020】また、式(1)中のR2 が水素原子である
化合物(1a)は、例えば次の反応式に示す如く1−ア
ルキル−4,5−ジフェニル−2−イミダゾリジノン
(8)にハロゲノスルホニルイソシアナート(10)を
反応させてハロゲノスルホニルカルバモイル化合物(1
1)とした後、加水分解することによっても製造するこ
とができる。
【0021】
【化4】
【0022】(式中、R1 、*は前記と同じものを示
し、X3 はハロゲン原子を示す) 化合物(8)と化合物(10)との反応は、ジクロロメ
タン、1,2−ジクロロエタン、トルエン、アセトニト
リル、テトラヒドロフラン等の溶媒中、室温あるいは冷
却下で行うことが好ましい。この時得られる反応成績体
(11)は単離することもできるが、単離することなく
次の加水分解工程に進むこともできる。加水分解は室温
あるいは冷却下の条件で行うことが好ましい。
【0023】光学活性なα−アミノリン酸は本発明の化
合物(1)を用いて次の反応式に従って製造することが
できる。
【0024】
【化5】
【0025】(式中、R1 、R2 及び*は前記と同じも
のを示し、X4 はハロゲン原子を、R 4 、R5 、R6
びR7 は有機基を示す。)すなわち、ハロゲン化アシル
(15)の存在下、アルデヒド(13)、亜リン酸ジエ
ステル(14)及び本発明の化合物(1)をジアステレ
オ選択的に縮合してジアステレオマー(16)を得る。
かかるジアステレオマー(16)を酸あるいはアルカリ
で加水分解することにより、容易に光学活性なアミノリ
ン酸(17)を得ることができる。また、このとき再生
した(8)は特に精製の操作を必要とせず本発明化合物
(1)の原料として再使用することができる。
【0026】ここで、X4 のハロゲン原子としては、フ
ッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ
るが、塩素原子が特に好ましい。R4 〜R7 の有機基と
しては、炭素数1〜24のアルキル基、アリール基、及
びアラルキル基が挙げられる。具体的にはアルキル基と
しては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プ
ロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル
基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、sec−ペンチ
ル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル
基、sec−ヘキシル基、t−ヘキシル基、シクロヘキ
シル基等が挙げられる。アリール基としてはフェニル
基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ト
リル基、キシリル基等が挙げられる。このうちフェニル
基が特に好ましい。またアラルキル基としては、フェニ
ルアルキル基(アルキル基は炭素数1〜5)、α−ナフ
チルアルキル基(アルキル基は炭素数1〜5)等が挙げ
られる。
【0027】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。
【0028】製造例1 (4S,5S)−4,5−ジフ
ェニル−2−イミダゾリジノン(A−4)の製造 (1S,2S)−1,2−ジフェニル−1,2−エタン
ジエミン(A−2)20.0g(94mmol)、尿素(A
−3)6.0g(100mmol)及び水1mlの混合物を、
水を留去しながら200℃で3時間加熱した。放冷後塩
化メチレンで溶解し、溶解液を水洗後無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去して白色結晶性残
渣を得た。この残渣をアセトニトリルで洗浄し、標記化
合物(A−4)19.6g(収率87%)を得た。得ら
れた化合物(A−4)の物性は以下の通りである。
【0029】 IRνmax KBr cm-1:3200, 3060, 1700, 695
【0030】製造例2 (4S,5S)−4,5−ジフ
ェニル−1−プロピオニル−2−イミダゾリジノン(B
−5)の製造 無水ジメチルホルムアミド180ml中に、(4S,5
S)−4,5−ジフェニル−2−イミダゾリジノン(A
−4)17.6g(74mmol)及び水素化ナトリウム
6.5g(55% 148mmol)を加え、室温で1.5
時間攪拌した。反応液を氷冷し、プロピオン酸クロライ
ド6.8g(74mmol)をゆっくりと滴下し、終了後室
温で一時間攪拌を続けた。反応液を希塩酸水溶液中に加
え、塩化メチレンで抽出し、抽出液を水及び飽和炭酸水
素ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥後、減圧下溶媒を留去して25.9gの残渣を
得た。この残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶媒
クロロホルム)で精製し、標記化合物(B−5)1
8.3g(収率84%)を得た。得られた化合物(B−
5)の物性は以下の通りである。
【0031】1H-NMR(CDCl3)δ:1.07(3H,t,J=7.5Hz),
2.91-3.00(2H,m),4.50(1H,d,J=3.3Hz), 5.11(1H,d,J=3.
3Hz),5.61(1H,bs), 7.24-7.41(10H,m)
【0032】製造例3 (4S,5S)−4,5−ジフ
ェニル−1−エチル−3−プロピオニル−2−イミダゾ
リジノン(C−7)の製造 無水ジメチルホルムアミド20ml中に(4S,5S)−
4,5−ジフェニル−1−プロピオニル−2−イミダゾ
リジノン(B−5)1.05g(3.57mmol)及び水
素化ナトリウム0.17g(3.93mmol)を加え、室
温で40分間攪拌した。反応液を氷冷し、ヨウ化エチル
(C−6)0.61g(3.93mmol)のジメチルホル
ムアミド溶液4mlをゆっくりと滴下し、終了後、室温で
15時間攪拌を続けた。反応液を希塩酸水溶液中に加
え、塩化メチレンで抽出し、抽出液を水で洗浄し、無水
硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去して
1.23gの残渣を得た。この残渣をシリカゲルクロマ
トグラフィー(溶媒 n−ヘキサン/酢酸エチル)で精
製し、標記化合物(C−7)0.71g(収率62%)
を無色の粘稠性油状物として得た。得られた化合物(C
−7)の物性は以下の通りである。
【0033】IRνmax KBr cm-1:1725, 16901 H-NMR(CDCl3)δ:1.04(3H,t,J=7.1Hz), 1.12(3H,t,J=
7.5Hz),2.77-2.89(1H,m), 3.05(2H,q,J=7.5Hz),3.66-3.
71(1H,m), 4.38(1H,d,J=2.9Hz),5.06(1H,d,J=2.9Hz),
7.17-7.41(10H,m)
【0034】製造例4 (4S,5S)−4,5−ジフ
ェニル−1−エチル−2−イミダゾリジノン(D−8)
の製造 メタノール5ml中に(4S,5S)−4,5−ジフェニ
ル−1−エチル−3−プロピオニル−2−イミダゾリジ
ノン(C−7)0.66g(2.05mmol)を溶解し、
ナトリウムメトキシド28%メタノール溶液0.62g
(3.21mmol)を加え、室温で一時間攪拌した。反応
液に水を加え、塩化メチレンで抽出し、抽出液は水洗
後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下溶媒を留
去して標記化合物(D−8)0.55g(収率100
%)を得た。得られた化合物(D−8)の物性は以下の
通りである。
【0035】融点:136.3〜137.0℃ IRνmax KBr cm-1:3200, 17001 H-NMR(CDCl3)δ:0.99(3H,t,J=7.1Hz), 2.79-2.84(1H,
m),3.56-3.61(1H,m), 4.37(1H,d,J=7.9Hz),4.50(1H,d,J
=7.9Hz), 4.76(1H,s), 7.20-7.42(10H,m)
【0036】実施例1 (4R,5R)−4,5−ジフ
ェニル−1−メチル−3−フェニルカルバモイル−2−
イミダゾリジノン(1−1)の製造 無水テトラヒドロフラン20ml中に(4R,5R)−
4,5−ジフェニル−1−メチル−2−イミダゾリジノ
ン(1−8)1.00g(3.97mmol)及び水素化ナ
トリウム0.19g(55% 4.37mmol)を加え室
温で30分間攪拌した。次いで、氷冷下フェニルイソシ
アナート0.47g(3.97mmol)をゆっくりと滴下
した。氷浴を除去し、室温で1時間攪拌した後反応液を
水に加え、塩化メチレンで抽出した。抽出液を水洗後、
無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去し
て1.93gの残渣を得た。この残渣をシリカゲルクロ
マトグラフィー(溶媒;n−ヘキサン/酢酸エチル)で
精製し、標記化合物(1−8)1.07g(収率73
%)を得た。得られた化合物(1−8)の物性は以下の
通りである。
【0037】融点:112.0〜114.0℃ 〔α〕D 27=+27.56°(c=1.00, CHCl3)1 H-NMR(CDCl3)δ:2.81(3H,s), 4.30(1H,d,J=4.2Hz),5.
13(1H,d,J=4.2Hz), 7.00-7.52(15H,m), 10.51(1H,s)13 C-NMR(CDCl3)δ:28.98, 63.65, 67.64, 119.52, 12
3.45, 125.28,126.37, 128.23, 128.88, 129.11, 129.1
7, 129.46,137.87, 138.09, 140.85, 150.03, 156.77 UVλmax MeOH nm:244.4(ε 24100), 206.0(ε 40100) IRνmax KBr cm-1:3230, 1720, 1690, 1600
【0038】実施例2 (4R,5R)−1−シクロヘ
キシルカルバモイル−4,5−ジフェニル−3−メチル
−2−イミダゾリジノン(2−1)の製造 無水テトラヒドロフラン30ml中に(4R,5R)−
4,5−ジフェニル−1−メチル−2−イミダゾリジノ
ン(1−8)1.40g(5.56mmol)及び水素化ナ
トリウム0.27g(55% 0.27mmol)を加え、
室温で30分間攪拌した。次いで、氷冷下にシクロヘキ
シルイソシアナート(2−9)0.69g(5.56mm
ol)をゆっくりと滴下した。終了後氷浴を除去し、室温
で3時間攪拌し、以下実施例1と同様の操作を行い標記
化合物(2−1)1.44g(収率69%)をアモルフ
ァスとして得た。得られた化合物(2−1)の物性は以
下の通りである。
【0039】〔α〕D 27=+59.71°(c=1.00, CHCl3)1 H-NMR(CDCl3)δ:1.23-1.95(10H,m), 2.75(3H,s), 3.6
3(1H,m),4.24(1H,d,J=4.6Hz), 5.03(1H,d,J=4.6Hz),7.1
8-7.43(10H,m), 8.20(1H,d,J=7.9Hz)13 C-NMR(CDCl3)δ:24.69, 25.61, 28.89, 33.13, 48.5
8, 63.75, 67.81,125.38, 126.49, 127.99, 128.93, 12
9.01, 129.32,138.35, 141.37, 152.01, 157.11 UVλmax MeOH nm:208.8(ε 26800) IRνmax neat cm-1:3310, 1715, 1675
【0040】実施例3 (4R,5R)−1−ベンジル
カルバモイル−4,5−ジフェニル−3−メチル−2−
イミダゾリジノン(3−1)の製造 無水テトラヒドロフラン15ml中に(4R,5R)−
4,5−ジフェニル−1−メチル−2−イミダゾリジノ
ン(3−8)2.00g(7.94mmol)及び水素化ナ
トリウム0.38g(55% 8.37mmol)を加え、
室温で30分間攪拌した。次いで、氷冷下にベンジルイ
ソシアナート(3−9)1.06g(7.94mmol)を
滴下した。終了後氷冷下で1時間、さらに室温で3.5
時間攪拌を続けた。以下、実施例1と同様の操作を行い
標記化合物(3−1)1.18g(収率39%)を無色
の粘稠性油状物として得た。得られた化合物(3−1)
の物性は以下の通りである。
【0041】〔α〕D 27=+48.09°(c=1.00, CHCl3)1 H-NMR(CDCl3)δ:2.74(3H,s), 4.25(1H,d,J=4.2Hz),4.
41(1H,dd,J=14.9 and 5.7Hz),4.49(1H,dd,J=14.9 and
5.7Hz), 5.07(1H,d,J=4.2Hz),7.17-7.43(15H,m), 8.65
(1H,m)13 C-NMR(CDCl3)δ:29.01, 43.85, 63.81, 67.92, 125.
43, 126.53,127.32, 127.66, 128.22, 128.68, 129.07,
129.18,129.46, 138.33, 138.68, 141.26, 151.02, 15
6.94 UVλmax MeOH nm:208.8(ε 34100) IRνmax neat cm-1:3320, 1720, 1680
【0042】実施例4 (4R,5R)−1−カルバモ
イル−4,5−ジフェニル−3−メチル−2−イミダゾ
リジノン(4−1)の製造 無水アセトニトリル20ml中に(4R,5R)−4,5
−ジフェニル−1−メチル−2−イミダゾリジノン(4
−8)1.42g(5.63mmol)及び水素化ナトリウ
ム0.27g(55% 6.19mmol)を加え、室温で
30分間攪拌した。次いで、氷冷下にクロロスルホニル
イソシアナート(4−10)0.88g(6.19mmo
l)をゆっくりと滴下し、終了後室温で16時間攪拌し
た。反応液を氷水中に加え30分間攪拌した後、クロロ
ホルムで抽出し、クロロホルム層を水洗後無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去して得た残渣
2.17gをシリカゲルクロマトグラフィー(溶媒 ク
ロロホルム)を用いて精製し、標記化合物(4−1)
0.31g(収率19%)を得た。得られた化合物(4
−1)の物性は以下の通りである。
【0043】融点:135.0〜136.0℃ 〔α〕D 27=+92.50°(c=1.00, CHCl3)1 H-NMR(CDCl3)δ:2.77(3H,s), 4.26(1H,d,J=4.0Hz),5.
05(1H,d,J=4.0Hz), 5.10(1H,bs), 7.18-7.45(10H,m),8.
14(1H,bs)13 C-NMR(CDCl3)δ:28.97, 63.29, 67.67, 125.23, 12
6.35, 128.12,129.01, 129.07, 129.41, 138.29, 141.0
0, 153.30,156.54 UVλmax MeOH nm:206.4(ε 22100) IRνmax KBr cm-1:3390, 1720
【0044】実施例5 (4R,5R)−4,5−ジフ
ェニル−1−メチル−3−(α−フェニルジメチルホス
ホリルメチル)カルバモイル−2−イミダゾリジノン
(5−16)の製造 塩化アセチル2ml中に(4R,5R)−1−カルバモイ
ル−4,5−ジフェニル−3−メチル−2−イミダゾリ
ジノン(4−1)213mg(0.72mmol)及び亜リン
酸ジメチル(5−14)106mg(0.96mmol)を加
え、この中に氷冷下ベンズアルデヒド(5−13)12
8mg(1.20mmol)をゆっくりと滴下した。終了後、
氷冷下に1時間、さらに室温で3時間攪拌を続けた。反
応液を減圧下で濃縮して得た残渣に、飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液を加え塩化メチレンで抽出し、抽出液を水
洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いで減圧下
で溶媒を留去して得た残渣460mgを、シリカゲルクロ
マトグラフィー(溶媒;n−ヘキサン/酢酸エチル)を
用いて精製し、ジアステレオマーの混合物356mg(収
率100%)を得た。この混合物の1H-NMRスペクトル分
析を行い積分値を比較したところジアステレオマー比は
64:36であった。得られた混合物(5−16)の物
性は以下の通りである。
【0045】1H-NMR(CDCl3)δ:2.78(3H,s), 3.53(3H,
d,J=10.59Hz),3.65(3H,d,J=10.62Hz), 4.28(1H,d,J=4.5
9Hz),4.99(1H,d,J=4.59Hz), 5.41(1H,dd,J=19.22 and
9.72Hz),7.13-7.48(15H,m), 9.31(1H,d,J=9.42Hz)
【0046】実施例6 α−アミノベンジルリン酸臭化
水素酸塩(6−1)の製造 氷酢酸0.6ml、47%臭化水素酸水溶液1.2ml及び
(4R,5R)−4,5−ジフェニル−1−メチル−3
−(α−フェニルジメチルホスホリルメチル)カルバモ
イル−2−イミダゾリジノン(5−16)350mg
(0.71mmol)の混液を16時間加熱還流した。放冷
後反応液に水を加え酢酸エチルで抽出して(4R,5
R)−4,5−ジフェニル−1−メチル−2−イミダゾ
リジノン(6−8)を除去し、水層を減圧下で濃縮して
標記化合物(6−1)114mg(収率60%)を得た。
得られた化合物(6−1)の物性は以下の通りである。
【0047】1H-NMR(DMSO-d6)δ:4.51(1H,d,J=14.6H
z), 7.15-7.63(5H,m)
【0048】
【発明の効果】本発明により、光学活性な化合物を選択
的に製造するための不斉合成試薬として有用な、4,5
−ジフェニル−2−イミダゾリジノン誘導体を得ること
ができる。またかかる化合物を用いることにより、光学
活性なアミノリン酸を製造することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(1) 【化1】 (式中、R1 はアルキル基を示し、R2 は水素原子、ア
    ルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、*は不
    斉炭素の位置を示す)で表わされる光学活性な4,5−
    ジフェニル−2−イミダゾリジノン誘導体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の4,5−ジフェニル−2
    −イミダゾリジノン誘導体に、アルデヒド及び亜リン酸
    ジエステルをジアステレオ選択的に反応せしめ、得られ
    たジアステレオマーを加水分解することを特徴とする光
    学活性なα−アミノリン酸の製造方法。
JP10303697A 1997-04-21 1997-04-21 光学活性な4,5−ジフェニル−2−イミダゾリジノン誘導体及びこれを用いた光学活性なα−アミノリン酸の製造方法 Pending JPH10291980A (ja)

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