JPH10291843A - 水硬性セメントの凝結制御剤及び凝結制御方法 - Google Patents

水硬性セメントの凝結制御剤及び凝結制御方法

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JPH10291843A
JPH10291843A JP10412397A JP10412397A JPH10291843A JP H10291843 A JPH10291843 A JP H10291843A JP 10412397 A JP10412397 A JP 10412397A JP 10412397 A JP10412397 A JP 10412397A JP H10291843 A JPH10291843 A JP H10291843A
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water reducing
coprecipitant
hydraulic cement
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JP10412397A
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Sachiko Togawa
祥子 外川
Ryukichi Okamura
隆吉 岡村
Hiroshi Harada
宏 原田
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Chichibu Onoda Cement Corp
Original Assignee
Chichibu Onoda Cement Corp
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B28/00Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements
    • C04B28/02Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements containing hydraulic cements other than calcium sulfates
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
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    • C04B2103/22Set retarders
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C04B2103/00Function or property of ingredients for mortars, concrete or artificial stone
    • C04B2103/30Water reducers, plasticisers, air-entrainers, flow improvers
    • C04B2103/304Air-entrainers

Abstract

(57)【要約】 【課題】 施工の時点で必要なワーカビリティーを保持
できていること、かつ、凝結遅延剤および共沈剤使用に
よる凝結コントロール後の強度発現に悪影響を及ぼさな
いこと、更にはコスト面でも問題がない凝結コントロー
ル技術を提供することである。 【解決手段】 水硬性セメントに用いられる剤であっ
て、凝結遅延剤を共沈させる作用を有する共沈剤と、前
記共沈剤の存在下において減水作用を有する減水剤とか
らなる水硬性セメントの凝結制御剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水硬性セメントの凝
結制御剤及び凝結制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】次世代のコンクリート技術の一つとし
て、「凝結・硬化(単に、凝結とも表現する)時間の自
由なコントロール」が提唱されている。これまで、凝結
時間を調節する技術として促進剤、遅延剤や超遅延剤な
どが知られているが、これらは、単に、凝結を早めた
り、あるいは先に延ばすだけであり、遅延剤の場合には
性能や添加量によって遅延可能な時間が決められるのみ
であって、途中で自由に変更できるといったものではな
い。
【0003】又、本願発明者によって、セメント系材料
の凝結制御に用いられる剤であって、凝結遅延剤と共沈
剤とからなり、前記共沈剤がLi+ ,Mg2+,Mn2+
Ba 2+,Al3+,Fe3+,Ti4+及びSn4+の群の中か
ら選ばれる金属イオンを供する物質であることを特徴と
するセメント系材料の凝結制御剤が提案(特願平5−1
69213)されている。
【0004】この共沈剤は、クエン酸などの凝結遅延剤
を共沈させることにより遅延効果を解除し、水和を再開
させるものである。この意味(水和を再開)において、
共沈剤を凝結開始剤と言うことも出来る。しかし、共沈
剤を単独で使用しても、セメントの水和を促進させるも
のではない点において、それまでの凝結促進剤とは根本
的に異なる。すなわち、共沈剤を凝結開始剤と言うにし
ても、共沈剤のみではセメントの水和を促進させられな
いことから、凝結遅延剤を共沈させる作用を有する共沈
剤である凝結開始剤と凝結促進剤とは根本的に機能が異
なる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、凝結コント
ロール技術を実用的なものとする為には、施工の時点で
必要なワーカビリティーを保持できていること、凝結遅
延剤および共沈剤(凝結開始剤)による凝結コントロー
ルがその後の強度発現に悪影響を及ぼさないことが必要
である。
【0006】すなわち、凝結遅延剤を共沈させることに
より遅延効果を解除し、水和を再開させる共沈剤(凝結
開始剤)を用いた場合、共沈剤の添加直前までワーカビ
リティーを保持できていても、共沈剤の添加後に急速に
流動性が低下する場合がある。又、凝結遅延剤の使用に
より水硬性セメントの水和が遅延しても、物理的な凝集
の進行による流動性の経時的な低下は避けられない。す
なわち、共沈剤(凝結開始剤)を添加する前に、ワーカ
ビリティーを失うこともある。
【0007】更には、例えばクエン酸などの凝結遅延剤
を多量に使用すると、遅延期間中の流動性の低下を小さ
くすることが出来るものの、その分だけ共沈剤(凝結開
始剤)の使用量を多くしなければならい。しかも、この
場合、つまりクエン酸使用量が多い場合、硬化後の強度
が低下する。更には、コストも高く付く。従って、本発
明が解決しようとする課題は、施工の時点で必要なワー
カビリティーを保持できていること、かつ、凝結遅延剤
および共沈剤使用による凝結コントロール後の強度発現
に悪影響を及ぼさないこと、更にはコスト面でも問題が
ない凝結コントロール技術を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、水硬性セ
メントに用いられる剤であって、凝結遅延剤を共沈させ
る作用を有する共沈剤と、前記共沈剤の存在下において
減水作用を有する減水剤とからなることを特徴とする水
硬性セメントの凝結制御剤によって解決される。
【0009】又、水硬性セメントに用いられる剤であっ
て、凝結遅延剤と、前記凝結遅延剤を共沈させる作用を
有する共沈剤と、前記共沈剤の存在下において減水作用
を有する減水剤とからなることを特徴とする水硬性セメ
ントの凝結制御剤によって解決される。
【0010】又、凝結遅延剤を共沈させる作用を有する
共沈剤と、前記共沈剤の存在下において減水作用を有す
る減水剤とを、水で練混ぜた水硬性セメントが凝結する
前において、同時または別々に添加することを特徴とす
る水硬性セメントの凝結制御方法によって解決される。
又、凝結遅延剤を共沈させる作用を有する共沈剤と、前
記共沈剤の存在下において減水作用を有する減水剤と
を、水で練混ぜた水硬性セメントが凝結する前で、凝結
遅延剤が添加された後において、同時または別々に添加
することを特徴とする水硬性セメントの凝結制御方法に
よって解決される。
【0011】そして、上記のように構成させた本発明
は、施工の時点で必要なワーカビリティーを保持でき、
かつ、硬化後の強度も確保できていた。更には、コスト
面でも問題がないものである。尚、共沈剤の添加の後、
減水剤を添加するのが好ましい。すなわち、共沈剤と減
水剤との添加順序は、減水剤の添加後に共沈剤を添加、
減水剤と共沈剤とを同時添加、共沈剤の添加後に減水剤
を添加することが考えられる。ところで、共沈剤は、凝
結遅延剤を共沈させるだけでなく、減水剤をも共沈させ
ることがある。このような場合、共沈剤を減水剤の後に
添加して、減水剤が共沈剤によって共沈させられると、
減水剤を添加した意味がそれだけ低下し、又、凝結遅延
剤の共沈量が少なくなり、凝結開始がそれだけ遅くな
る。従って、凝結遅延剤を効率良く共沈させるには共沈
剤の添加の後、減水剤を添加するのが好ましい。又、こ
のようにすれば、減水剤も機能が効率良く発揮される。
その意味で、共沈剤の添加前に、当該減水剤の一部また
は別の種類の減水剤を添加しておき、共沈剤の添加後
に、更に減水剤を追加する方法をとることも可能であ
る。
【0012】本発明において、共沈剤は、Li+ ,Mg
2+,Mn2+,Ba2+,Al3+,Fe 3+,Ti4+及びSn
4+の群の中から選ばれる金属イオンを供する物質が好ま
しい。或いは、硝酸塩、硫酸塩、及び塩化物の群の中か
ら選ばれる物質が好ましい。特に好ましい共沈剤は、L
+ ,Mg2+,Mn2+,Ba2+,Al3+,Fe3+,Ti
4+及びSn4+の群の中から選ばれる金属イオンを供する
硝酸塩、硫酸塩、或いは塩化物である。
【0013】本発明において、好ましい減水剤として、
スルホン基及び/又はカルボキシル基を有する有機化合
物が挙げられる。本発明において、凝結遅延剤は、オキ
シカルボン酸、オキシカルボン酸塩、アミノカルボン
酸、アミノカルボン酸塩、糖類、亜鉛化合物、珪フッ化
物、ホウ酸、ホウ酸塩、アルドン酸、及びアルドン酸塩
の群の中から選ばれる。特に好ましい凝結遅延剤は、ア
ルドン酸及びアルドン酸塩である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の水硬性セメントの凝結制
御剤は、水硬性セメントに用いられる剤であって、凝結
遅延剤を共沈させる作用を有する共沈剤と、前記共沈剤
の存在下において減水作用を有する減水剤とからなる。
又、水硬性セメントに用いられる剤であって、凝結遅延
剤と、前記凝結遅延剤を共沈させる作用を有する共沈剤
と、前記共沈剤の存在下において減水作用を有する減水
剤とからなる。
【0015】本発明の水硬性セメントの凝結制御方法
は、凝結遅延剤を共沈させる作用を有する共沈剤と、前
記共沈剤の存在下において減水作用を有する減水剤と
を、水で練混ぜた水硬性セメントが凝結する前におい
て、同時または別々に添加するものである。又、凝結遅
延剤を共沈させる作用を有する共沈剤と、前記共沈剤の
存在下において減水作用を有する減水剤とを、水で練混
ぜた水硬性セメントが凝結する前で、凝結遅延剤が添加
された後において、同時または別々に添加するものであ
る。共沈剤と減水剤との添加順序は、減水剤の添加後
に共沈剤を添加、減水剤と共沈剤とを同時添加、共
沈剤の添加後に減水剤を添加することが考えられるが、
の共沈剤の添加後に減水剤を添加するのが特に好まし
い。又、のバリエーションの一つとして、減水剤の一
部または別の種類の減水剤を練混ぜ時または共沈剤の添
加前に添加しておき、共沈剤の添加後に当該減水剤を更
に追加する方法も可能である。
【0016】共沈剤は、凝結遅延剤を共沈させる作用を
有する物質である。例えば、Li+,Mg2+,Mn2+
Ba2+,Al3+,Fe3+,Ti4+及びSn4+の群の中か
ら選ばれる金属イオンを供する物質である。又、硝酸
塩、硫酸塩、及び塩化物の群の中から選ばれる物質であ
る。特に、Li+ ,Mg2+,Mn2+,Ba2+,Al3+
Fe3+,Ti4+及びSn4+の群の中から選ばれる金属イ
オンを供する硝酸塩、硫酸塩、或いは塩化物である。中
でも、Mg(NO3 2 ,Al(NO3 3 ,Fe(N
3 3 が好ましい。
【0017】減水剤は、共沈剤の存在下においても減水
作用を有する物質である。この意味においては、従来か
ら市販されている減水剤、AE減水剤、流動化剤、高性
能減水剤、高性能AE減水剤なども含まれる。好ましい
減水剤は、スルホン基及び/又はカルボキシル基を有す
る有機化合物である。中でもスルホン基を有する有機化
合物である。
【0018】凝結遅延剤は凝結遅延の作用を有するもの
である。例えば、オキシカルボン酸、オキシカルボン酸
塩、アミノカルボン酸、アミノカルボン酸塩、糖類、亜
鉛化合物、珪フッ化物、ホウ酸、ホウ酸塩、アルドン
酸、及び/又はアルドン酸塩である。オキシカルボン酸
としては、例えば乳酸、ヒドロアクリル酸、α−オキシ
酪酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
アミノカルボン酸としては、例えばグリシン、アラニン
等が挙げられる。糖類としては、例えばしょ糖、グルコ
ース等が挙げられる。亜鉛化合物としては、例えば酸化
亜鉛、塩化亜鉛などが挙げられる。珪フッ化物として
は、例えば珪フッ化マグネシウムや珪フッ化ナトリウム
等が挙げられる。アルドン酸としては、例えばグリコー
ル酸、グリセリン酸、グルコン酸などが挙げられる。中
でも、アルドン酸又はその塩であるヘプトン酸又はヘプ
トン酸塩、特にヘプトン酸ソーダは、凝結遅延作用が大
きいにもかかわらず、共沈し易い為、少ない量の共沈剤
で完全な遅延作用の解除が得られ、その後の強度発現も
良好であり、好ましいものである。又、ワーカビリティ
の保持の面でも優れている。
【0019】ところで、セメントの凝結の開始は、液相
中のCa2+の濃度変化に密接な関係があり、その濃度が
ピークに達する時間に左右される。すなわち、過飽和度
が最大になる時間を短縮させる要因があると凝結は促進
され、逆に、延長させる要因があると遅延される。従っ
て、凝結遅延剤としては、液相へのCa2+の溶解を抑制
するか、液相のCa2+イオン強度を低下させるものが相
当する。これらのものとしては、セメント粒子に難溶性
のカルシウム塩皮膜層を形成する珪フッ化物、りん酸、
その塩、ホウ酸、その塩などや、Ca2+を錯塩化するア
ルドン酸、その塩、オキシカルボン酸、その塩、アミノ
カルボン酸、その塩、糖類や金属酸化物などがある。凝
結遅延剤の添加方法としては、水に溶解して、あるいは
セメントに水を加えるのと同時に添加する方法(同時添
加)と、セメントと水を予め混練した後に添加する方法
(後添加)がある。尚、同時添加では異常なこわばりや
瞬結等を起こしたり、所定の遅延時間を得る為には多量
の添加を必要とする場合があるのに対して、後添加では
これらの現象が避けられ、又、より大きな遅延効果が得
られることが多い。
【0020】このような凝結遅延剤が使用され、凝結が
遅延した系における凝結の開始を考えた場合、遅延の原
因を停止(解除)すれば良いことが考えられる。そこ
で、先ず、Ca2+を錯塩化するアルドン酸、その塩、オ
キシカルボン酸、その塩、アミノカルボン酸、その塩、
糖類や金属酸化物などが用いられた場合について、研究
を進めて行った結果、カルシウム錯塩が形成し、凝結が
遅延しているセメントは、その錯塩を消失させることに
よって凝結を開始することが出来るであろうとの啓示が
得られた。従って、カルシウムよりも安定な錯塩を形成
する金属イオンを添加し、凝結遅延剤と錯形成させるこ
とによってカルシウム錯塩を消失させ、凝結を開始する
方法について検討を進めた。先ず、最初の実験として、
錯体の生成し易さの目安である安定度定数に関する検討
を行った。クエン酸錯体の安定度定数は、Al3+>Cu
2+>Fe2+>Zn2+>Ca2+>Ba2+の順となってお
り、Ca2+より安定度定数の大きいAl3+,Cu2+,F
2+,Zn2+等を供する金属塩を添加すれば良いと考え
られた。しかしながら、この技術思想は充分なものでな
かった。すなわち、Al3+の場合には成功したものの、
Cu2+,Fe2+,Zn2+の場合には好ましい結果が得ら
れなかったのである。そこで、錯体の生成し易さの目安
である安定度定数からの考えを放棄し、代表的なカルシ
ウムの錯形成剤であるクエン酸を用いて遅延した系に種
々の金属塩を添加し、検討を行った処、Li+ ,M
2+,Mn2+,Ba2+,Al3+,Fe3+,Ti4+,Sn
4+などの金属イオンが添加されると、カルシウム錯塩が
消失し、凝結が開始することが見出されたのである。そ
して、これらの金属塩について更に研究を進めて行った
処、他の種類の凝結遅延剤が用いられた系においても凝
結が開始することが見出された。又、Li+ ,Mg2+
の金属イオンはセメントペーストやモルタル等に添加さ
れると、水酸化物となり、沈殿物を形成する際に、遅延
作用を示していた凝結遅延剤を共沈させ、それにより遅
延作用を解除できることも判った。
【0021】以下、具体的な実施例を挙げて説明する。
【0022】
【実施例】セメントとして、秩父小野田(株)製の普通
ポルトランドセメントを用いた。細骨材として、ISO
679−1989の標準砂を用いた。凝結遅延剤とし
て、粉末の試薬用クエン酸と工業用ヘプトン酸ソーダ
(2水和物)とを用いた。
【0023】凝結遅延剤を共沈させる作用を有する共沈
剤として、粉末の試薬用硝酸マグネシウム(6水和物)
を用いた。共沈剤の存在下において減水作用を有する減
水剤として、リグニンスルホン酸系AE減水剤(エヌエ
ムビー社製のポゾリスNo.70)とメラミンスルホン
酸系流動化剤(エヌエムビー社製のレオビルドNP2
0)とを用いた。
【0024】上記の材料を用いて下記に示す凝結試験、
フロー試験、及びモルタル圧縮強さ試験を行った。 (1) 凝結試験 水セメント比(W/C)30%一定のセメントペースト
を作製し、注水1時間後に凝結遅延剤を、更に凝結遅延
剤添加5時間または18時間後に共沈剤を3%添加し、
凝結時間をJIS R 5201−1992に準じて測
定した。その際、0.25%のリグニンスルホン酸系A
E減水剤を予め混練水に添加して使用した。又、共沈剤
添加の1分後に0.2%のメラミンスルホン酸系流動化
剤を添加した系についても試験した。 (2) モルタルフロー試験 W/C=47.5%、砂セメント比(S/C)3.0の
モルタルを練り混ぜ、注水1時間後に凝結遅延剤(W/
C=2.5%に相当する水溶液)を添加し、更に凝結遅
延剤添加5時間後又は18時間後に共沈剤を3%添加
し、JASS 15M−103に準じてフロー値を測定
した。その際、0.25%のリグニンスルホン酸系AE
減水剤を予め混練水に添加して使用した。又、共沈剤添
加の1分後に0.2%のメラミンスルホン酸系流動化剤
を添加した系についても試験した。尚、比較用(薬剤無
添加)のモルタルのW/Cは、練混ぜ当初から50.0
%とした。 (3) モルタル圧縮強さ試験 W/C=47.5%、砂セメント比(S/C)3.0の
モルタルを練り混ぜ、注水1時間後に凝結遅延剤(W/
C=2.5%に相当する水溶液)を添加し、更に凝結遅
延剤添加5時間後に共沈剤を3%添加した。その際、
0.25%のリグニンスルホン酸系AE減水剤を予め混
練水に添加して使用した。供試体の成形および強度測定
はJIS R 5201−1992に準じた。尚、比較
用(薬剤無添加)のモルタルのW/Cも凝結遅延剤水溶
液相当分の水量を加えた50%とした。凝結試験結果を
表−1,表−2に示す。
【0025】 表−1 凝結遅延剤 流動 凝 結 時 間 化剤 共沈剤無添加 5時間後共沈剤添加 18時間後共沈剤添加 始発 終結 始発 終結 始発 終結 A 0.2% 無し 31-00 49-30 3-00 4-20 3-20 4-20 A 0.3% 無し 4日頃 6日頃 4-10 6-30 4-30 6-10 B 0.2% 無し 6日頃 8日頃 4-20 5-30 4-00 5-20 B 0.2% 有り 6日頃 8日頃 4-20 5-40 4-00 5-30 無添加 3-20 5-20 *凝結遅延剤の欄におけるAはクエン酸、Bはヘプトン
酸ソーダ。
【0026】*無添加は凝結遅延剤、及び共沈剤が無添
加。 *凝結時間における18−50は18時間50分の意
味。他も同様。 表−2 凝 結 時 間 始発 終結 凝結遅延剤、減水剤、及び共沈剤が無添加 3-05 4-15 凝結遅延剤、及び減水剤が無添加、共沈剤が添加 3-20 4-00 *共沈剤は2%硝酸マグネシウム これによれば、凝結遅延剤により凝結が十分に遅延した
セメントペーストに共沈剤を添加すると、水和が再開
し、凝結遅延剤が無添加の場合と同様な凝結に至ってい
ることが判る。
【0027】尚、共沈剤添加後の凝結時間は、凝結遅延
剤の量の増加に伴って長くなる傾向がある。これは、凝
結遅延剤を増量すると、共沈剤量も増やす必要があるこ
とを示すものである。しかし、共沈剤添加の時期を変え
ても、凝結時間に大きな変化は認められない。又、ヘプ
トン酸ソーダの方がクエン酸よりも少ない添加量で大き
な遅延作用を示す為、同程度に遅延した場合、同じ終結
時間を得る為に必要となる共沈剤の添加量がヘプトン酸
ソーダの方が少なくて済む。又、共沈剤添加の後に流動
化剤を添加した場合の凝結時間は、流動化剤無添加の場
合と大差ない。
【0028】又、表−2の凝結遅延剤および減水剤を添
加しなかったが、共沈剤を添加した場合と、いずれも添
加しなかった場合との対比から判る通り、つまり双方の
凝結時間に大差がないことから、共沈剤は凝結を促進さ
せる機能を有していないことが判る。すなわち、共沈剤
は凝結遅延剤の機能を解除あるいは停止させる機能を有
するに過ぎないものであることが判る。
【0029】モルタルフロー試験の結果を表−3(共沈
剤添加時期が5時間後),表−4(共沈剤添加時期が1
8時間後)に示す。 表−3 凝結遅延剤 流動 モルタルフロー値(mm) 化剤 直後 30分後 1時間後 2時間後 3時間後 4時間後 A 0.2% 無し 184 177 174 161 142 120 A 0.3% 無し 186 184 179 173 163 154 B 0.2% 無し 192 190 186 170 151 128 無添加 182 169 164 154 144 125 表−4 凝結遅延剤 流動 モルタルフロー値(mm) 化剤 直後 30分後 1時間後 2時間後 3時間後 4時間後 A 0.2% 無し 159 153 144 127 110 測定不能 A 0.3% 無し 166 159 153 142 135 122 B 0.2% 無し 173 171 164 148 130 114 B 0.2% 有り 186 184 178 165 150 136 無添加 182 169 164 154 144 125 *凝結遅延剤の欄におけるAはクエン酸、Bはヘプトン
酸ソーダ。
【0030】*無添加は凝結遅延剤、及び共沈剤が無添
加。 *モルタルフロー値における時間は共沈剤添加時からの
時間。 これによれば、モルタルのフロー値は共沈剤添加直後の
レベルを暫く維持した後、時間と共に低下する。凝結遅
延作用が大きなもの程、つまり同じ凝結遅延剤であれば
添加量の多い方が、同一添加量であればヘプトン酸ソー
ダの方が、添加直後のフロー値は大きくなり、又、フロ
ー値を保持する時間が長くなる傾向が認められる。又、
凝結遅延剤にヘプトン酸ソーダを用いた場合は、共沈剤
を添加後、良好なフロー値を暫く維持した後、速やかに
フロー値が低下していることから、共沈剤による遅延効
果の解除がクエン酸よりも完全に得られていることが判
る。このことは、凝結時間および強度の結果からも裏付
けられ、共沈剤添加後の凝結・硬化性状がクエン酸の場
合よりも良好となっている。
【0031】又、共沈剤の5時間後添加と18時間後添
加とを比較すると、共沈剤添加後のフロー値の経時変化
の傾向は同様であるが、フロー値のレベルは18時間後
添加の場合に全体的に低くなる。この際に、流動化剤を
使用することによって、5時間後添加の場合と同レベル
まで改善できる。又、凝結遅延剤、共沈剤、及び減水剤
を用いた場合と、凝結遅延剤、及び共沈剤を用いたもの
の、減水剤を用いなかった場合とを対比した。すなわ
ち、凝結遅延剤としてクエン酸0.2%を添加した系に
おいて、減水剤を用いた場合(本発明)と、減水剤を用
いずに水量の増加によって凝結遅延剤添加直後のフロー
値を本発明の場合と同レベルまで上げた場合(本発明
外)とのフロー値を測定したので、その結果を表−5に
示す。
【0032】 表−5 モルタルフロー値(mm) 遅延剤 共沈剤添加 添加後 直後 30分後 1時間後 2時間後 3時間後 4時間後 本発明外 186 158 150 143 130 116 100 本発明 187 184 178 174 161 142 120 *本発明外の水セメント比は58%、本発明の水セメン
ト比は50%。
【0033】*モルタルフロー値における遅延剤添加後
とは、凝結遅延剤添加直後。 *モルタルフロー値における共沈剤添加欄の時間は共沈
剤添加時からの時間。 これによれば、水量を増やしたことによって凝結遅延剤
添加直後のフロー値が同等になっても、減水剤を用いて
いない本発明外の場合、共沈剤添加直後からフロー値が
大きく低下しており、減水剤の有無によってフロー値が
大きな影響を受けていることが判る。すなわち、凝結遅
延剤および共沈剤を添加した系においては、減水剤を添
加しないと、流動性が急速に低下することから、減水剤
の添加が必須であり、これによって大幅な改善が得られ
ている。
【0034】モルタル圧縮強さ試験の結果を表−6に示
す。 表−6 凝結遅延剤 モルタル圧縮強さ(N/mm2 3日 7日 28日 クエン酸0.2% 25.6 40.2 44.9 クエン酸0.3% 23.3 39.9 43.3 ヘプトン酸ソーダ0.2% 27.4 40.3 47.5 無添加 26.2 36.9 47.6 *無添加は凝結遅延剤及び共沈剤共に無添加。 これによれば、本発明を実施した時の機械的強度は無添
加の時とほぼ同レベルであることが判る。又、ヘプトン
酸ソーダを用いた場合の方が、クエン酸を用いた場合よ
り強度発現性状が良好である。
【0035】
【発明の効果】施工の時点で必要なワーカビリティーを
保持できており、又、凝結遅延剤および共沈剤使用によ
る凝結コントロール後の強度発現にも問題がない。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水硬性セメントに用いられる剤であっ
    て、 凝結遅延剤を共沈させる作用を有する共沈剤と、 前記共沈剤の存在下において減水作用を有する減水剤と
    からなることを特徴とする水硬性セメントの凝結制御
    剤。
  2. 【請求項2】 水硬性セメントに用いられる剤であっ
    て、 凝結遅延剤と、 前記凝結遅延剤を共沈させる作用を有する共沈剤と、 前記共沈剤の存在下において減水作用を有する減水剤と
    からなることを特徴とする水硬性セメントの凝結制御
    剤。
  3. 【請求項3】 共沈剤が、Li+ ,Mg2+,Mn2+,B
    2+,Al3+,Fe 3+,Ti4+及びSn4+の群の中から
    選ばれる金属イオンを供する物質であることを特徴とす
    る請求項1又は請求項2の水硬性セメントの凝結制御
    剤。
  4. 【請求項4】 共沈剤が、硝酸塩、硫酸塩、及び塩化物
    の群の中から選ばれる物質であることを特徴とする請求
    項1〜請求項3いずれかの水硬性セメントの凝結制御
    剤。
  5. 【請求項5】 減水剤がスルホン基を有する有機化合物
    であることを特徴とする請求項1〜請求項4いずれかの
    水硬性セメントの凝結制御剤。
  6. 【請求項6】 減水剤がカルボキシル基を有する有機化
    合物であることを特徴とする請求項1〜請求項5いずれ
    かの水硬性セメントの凝結制御剤。
  7. 【請求項7】 凝結遅延剤がオキシカルボン酸、オキシ
    カルボン酸塩、アミノカルボン酸、アミノカルボン酸
    塩、糖類、亜鉛化合物、珪フッ化物、ホウ酸及びホウ酸
    塩の群の中から選ばれるものであることを特徴とする請
    求項1〜請求項6いずれかの水硬性セメントの凝結制御
    剤。
  8. 【請求項8】 凝結遅延剤がアルドン酸及びアルドン酸
    塩の群の中から選ばれるものであることを特徴とする請
    求項1〜請求項6いずれかの水硬性セメントの凝結制御
    剤。
  9. 【請求項9】 凝結遅延剤を共沈させる作用を有する共
    沈剤と、前記共沈剤の存在下において減水作用を有する
    減水剤とを、水で練混ぜた水硬性セメントが凝結する前
    において、同時または別々に添加することを特徴とする
    水硬性セメントの凝結制御方法。
  10. 【請求項10】 凝結遅延剤を共沈させる作用を有する
    共沈剤と、前記共沈剤の存在下において減水作用を有す
    る減水剤とを、水で練混ぜた水硬性セメントが凝結する
    前で、凝結遅延剤が添加された後において、同時または
    別々に添加することを特徴とする水硬性セメントの凝結
    制御方法。
  11. 【請求項11】 共沈剤の添加の後、減水剤が添加され
    ることを特徴とする請求項9又は請求項10の水硬性セ
    メントの凝結制御方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002249355A (ja) * 2001-02-16 2002-09-06 Denki Kagaku Kogyo Kk 吹付け工法用セメント混和材、吹付け材料、及びそれを用いた吹付け工法
JP2002249356A (ja) * 2001-02-16 2002-09-06 Denki Kagaku Kogyo Kk セメント混和材、吹付け材料、及びそれを用いた吹付け工法
JP2002249351A (ja) * 2001-02-16 2002-09-06 Denki Kagaku Kogyo Kk セメント混和材、セメント組成物、及びそれを用いた吹付け工法
JP2002249354A (ja) * 2001-02-16 2002-09-06 Denki Kagaku Kogyo Kk セメント混和材、セメント組成物、及びそれを用いた吹付け工法
JP2008162831A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Kajima Corp 水硬性混練物

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