JPH10290555A - 回転駆動機構 - Google Patents

回転駆動機構

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JPH10290555A
JPH10290555A JP9623297A JP9623297A JPH10290555A JP H10290555 A JPH10290555 A JP H10290555A JP 9623297 A JP9623297 A JP 9623297A JP 9623297 A JP9623297 A JP 9623297A JP H10290555 A JPH10290555 A JP H10290555A
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Hiroshi Ikuta
浩 生田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転駆動手段によって行われる回転が回転中
心の偏心を生じない状態で為されるようにする。 【解決手段】 回転駆動手段3により支軸10を介して
回転されると共に非磁性材料により形成されたケース体
11と、該ケース体に形成され軸方向に直交する方向の
断面形状が円環状を為す移動空間11aと、磁性材料に
より形成されケース体に接触すると共に上記移動空間内
に移動可能に配設されたバランス部材20、20、・・
・と、移動空間内に配設され上記バランス部材を吸着す
るマグネット22と、移動空間内に配設され上記マグネ
ットから発せられる磁束の密度を高めるヨーク23、2
3とを備え、上記バランス部材がケース体の回転に伴っ
て回転されると共にケース体に対して移動し、上記回転
駆動手段によって回転する部材及び回転駆動手段に含ま
れる回転する部材(合成回転体)の重心(合成重心)が
回転軸上に位置するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は回転駆動機構に関す
る。詳しくは、バランス部材をケース体に対して移動さ
せることにより回転駆動手段によって行われる回転が回
転中心の偏心を生じない状態で為されるようにすると共
に移動空間内に配設されたマグネットの薄型化を図る技
術に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、コンピュータに備えられ光ディ
スクや光磁気ディスク等の記録ディスクに対する再生や
記録を行うディスクドライブ装置は、記録ディスクを回
転駆動機構によって回転させている。この回転駆動機構
は、回転駆動手段となるスピンドルモータと該スピンド
ルモータのスピンドル軸の先端側に固定され記録ディス
クの中心部分を保持するディスクテーブルとを有してい
る。そして、このような回転駆動機構によって回転され
る記録ディスクは、光学ピックアップや磁気ヘッド装置
により、情報信号の記録及び/又は再生が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した光
ディスク等の記録ディスクは、製造時等に重量的なアン
バランスを生じてしまう場合がある。このような重量的
なアンバランスがある記録ディスクを回転駆動機構によ
って回転させると、回転中心と重心とが一致しないため
記録ディスクがディスクテーブルと共に振動してしま
う。そして、この振動により、光学ピックアップ装置に
よる記録ディスクの信号記録面に対するフォーカシング
やトラッキング、磁気ヘッド装置による記録ディスクの
記録トラックへの追従が良好に行われなくなってしま
う。
【0004】また、通常、記録ディスクに生じるアンバ
ランスの量は記録ディスクによって差がある。
【0005】さらに、近時、記録ディスクへのデータの
記録又は再生を高速回転で行うことが可能になってお
り、回転速度の増加と共に記録ディスクの振動は大きく
なってしまうという問題もある。
【0006】従って、記録ディスクごとにこれらの重量
的なアンバランスの量或は回転速度に応じて随時対応可
能な振動抑制手段がなければ、記録ディスクの振動を抑
えることができない。
【0007】そこで、本発明回転駆動機構は、上記した
問題点を克服し、回転駆動手段によって行われる回転が
回転中心の偏心を生じない状態で為されるようにするこ
とを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明回転駆動機構は、
上記した課題を解決するために、回転駆動手段により支
軸を介して回転されると共に非磁性材料により形成され
たケース体と、該ケース体に形成され軸方向に直交する
方向の断面形状が円環状を為す移動空間と、磁性材料に
より形成されケース体に接触すると共に上記移動空間内
に移動可能に配設されたバランス部材と、移動空間内に
配設され上記バランス部材を吸着するマグネットと、移
動空間内に配設され上記マグネットから発せられる磁束
の密度を高めるヨークとを備えるものである。
【0009】従って、本発明回転駆動機構にあっては、
バランス部材がケース体の回転に伴って回転されると共
にケース体に対して移動し、回転駆動手段によって回転
する部材及び回転駆動手段に含まれる回転する部材(合
成回転体)の重心(合成重心)が回転軸上に位置され
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明回転駆動機構の実
施の形態を添付図面に従って説明する。尚、以下に示し
た実施の形態は、本発明を光ディスクや光磁気ディスク
の如き記録ディスクに対する再生や記録を行うディスク
ドライブ装置における回転駆動機構に適用したものであ
る。
【0011】記録ディスク1は、例えば、ポリカーボネ
ートの如き合成樹脂材料によって直径120mmの円盤
状に形成された透明基板に信号記録面が形成されて構成
されている。そして、記録ディスク1には、その中心部
に円形開口部(チャッキング孔)1aが設けられてい
る。記録ディスク1は円形開口部1aに後述するディス
クテーブルの位置決め突起が嵌合されることにより位置
決めされる。
【0012】ディスクドライブ装置2は回転駆動手段と
なるスピンドルモータ3及び光学ピックアップ装置4が
載置されるメカシャーシ5と、図示しないベースシャー
シに対してメカシャーシ5をフローティング支持する複
数のダンパ6、6、・・・とを備えて構成されている
(図1参照)。
【0013】光学ピックアップ装置4は上記メカシャー
シ5にガイドシャフト7、7を介してディスクテーブル
に装着された記録ディスク1の半径方向に移動自在に支
持されている。そして、光学ピックアップ装置4は、レ
ーザダイオードの如き図示しない光源及び光検出器を有
し、光源より発せられるレーザ光を対物レンズ8を介し
て記録ディスク1に照射し、また、レーザ光の記録ディ
スク1よりの反射光を光検出器によって検出するように
構成されている。
【0014】回転駆動機構9は、上記スピンドルモータ
3と該スピンドルモータ3によって回転される支軸(ス
ピンドル軸)10の上端寄りの位置に固定されたケース
体11と同じく支軸10の上端部に固定されたディスク
テーブル(ターンテーブル)12とを備えている(図3
参照)。
【0015】支軸10はメカシャーシ5上に固定された
モータ基板13に対して、回転軸受け14、14を介し
て軸回りに回転可能に支持されている。支軸10にはス
ピンドルモータ3を構成するモータロータ15が取り付
けられ、該モータロータ15は略円筒状に形成され内面
部に駆動マグネット16が固定されている。そして、駆
動マグネット16は、モータ基板13上に固定されたス
テータコイル17に対向している。
【0016】しかして、スピンドルモータ3において、
ステータコイル17に駆動電流が供給されると、該ステ
ータコイル17が発生する磁界が駆動マグネット16に
作用し、該駆動マグネット16及びモータロータ15が
支軸10と共に回転され、これにより上記ケース体11
及びディスクテーブル12が一体となって回転される。
即ち、支軸10はスピンドルモータ3の駆動軸となって
いる。
【0017】ディスクテーブル12は略円板状に形成さ
れ、中央部に形成された支軸圧入孔に支軸10の先端部
が圧入されることにより、該支軸10に固定されてい
る。そして、ディスクテーブル12はその中央部に記録
ディスク1の位置決めを行うための位置決め突起12a
が設けられている。位置決め突起12aは略円錐台形状
に突出して設けられ、記録ディスク1の円形開口部1a
に嵌合して記録ディスク1を位置決めする。また、位置
決め突起12a内には磁石が内蔵されており、磁性材料
を有する図示しないチャッキング部材(クランパ)が吸
着されるようになっている。即ち、記録ディスク1は位
置決め突起12aがチャッキング部材を吸着することで
ディスクテーブル12とチャッキング部材との間に挟ま
れて確実に保持される。
【0018】ケース体11は制振材料、例えば、制振鋼
板、かつ、非磁性材料により形成され、モータロータ1
5とディスクテーブル12との間に支軸10に固定され
た状態で位置されている。そして、ケース体11は収容
部18と該収容部18を覆う天板部19とから成り、中
心部分が支軸10に該支軸10と同軸状に固定されてい
る。
【0019】収容部18は円環状を為す底面壁18aと
該底面壁18aの外周縁から立設された外周壁18bと
底面壁18aの内周縁から立設された内周壁18cとか
ら成り、外周壁18bと内周壁18cの高さが同じにさ
れている。
【0020】天板部19は薄い円環状に形成され、収容
部18の開口面を覆い、これによりケース体11内には
円環状の移動空間11aが形成される。
【0021】移動空間11a内には、バランス部材とな
る、例えば、6個のバランス球20、20、・・・が収
納されている。バランス球20、20、・・・は、鉄や
ニッケルの如き磁性材料により球状に形成され、それぞ
れ移動空間11a内において、支軸10の近傍より収容
部18の外周壁18bの内面(外側内周面)21に当接
する位置までに亘る径方向及び支軸10の回りを回る周
方向に移動可能とされている。即ち、各バランス球2
0、20、・・・は外側内周面21によって支軸10の
回転軸から一定の距離以下の領域内に移動を制限されて
いる。また、バランス球20、20、・・・は、それぞ
れケース体11の収容部18の底面壁18a及び天板部
19によって支軸10の軸方向への移動を阻止されてい
る。尚、各バランス球20、20、・・・の直径は、底
面壁18aと天板部19の下面との間の間隔より僅かに
小さくされている。
【0022】また、移動空間11a内の中央部には、磁
界発生手段となるマグネット(永久磁石)22が配設さ
れている。マグネット22は、円環状に形成され収容部
18の内周壁18cに外嵌状に設けられており、支軸1
0に対して同軸状に配設されている。そして、マグネッ
ト22は、図3に示すように、主面部に垂直な方向に2
極着磁され、即ち、表面側及び裏面側がそれぞれ磁極と
されている。また、マグネット22の上下には薄い円環
状のヨーク23、23が配設されている。
【0023】しかして、マグネット22は支軸10の停
止時において、該支軸10の方向に拘わらず移動空間1
1a内の各バランス球20、20、・・・を吸引してそ
の外周囲部に接触させた状態に保持する。即ち、マグネ
ット22は収容部18の外側内周面21に接触する位置
にあるバランス球20、20、・・・を鉛直に引き上げ
てその外周囲部に吸着させるだけの磁力を発生してい
る。特に、マグネット22の上下に配置されたヨーク2
3、23によってマグネット22の外周囲部の付近にお
いては磁束密度が高くされている。
【0024】移動空間11a内の各バランス球20、2
0、・・・は、マグネット22より発せられた磁束が各
バランス球20、20、・・・内を空気中よりも高い密
度で通過していることにより、互いに等間隔に配置され
た状態となる。即ち、図2に示すように、各バランス球
20、20、・・・間の支軸10の中心軸回りの角度ψ
1乃至ψ6は互いに等しくなる。このようにバランス球
20、20、・・・がマグネット22の外周囲部に吸着
されているときの支軸10の回転軸(中心軸)よりバラ
ンス球20、20、・・・の中心までの距離をr1とす
る(図3参照)。この距離r1は、マグネット22の半
径R1とバランス球20、20、・・・の半径との和に
等しい。そして、このときマグネット22の発する磁力
によるバランス球20、20、・・・に対する吸引力を
1とする。
【0025】スピンドルモータ3のステータコイル17
に駆動電流が供給されモータロータ15が回転される
と、該モータロータ15と共に支軸10、ケース体1
1、ディスクテーブル12、チャッキング部材及びディ
スクテーブル12に装着された記録ディスク1が一体的
に回転され、また、各バランス球20、20、・・・も
移動空間11a内で支軸10の回転軸回りに回転され
る。即ち、これらのモータロータ15、支軸10、ケー
ス体11、ディスクテーブル12、チャッキング部材、
記録ディスク1及びバランス球20、20、・・・は合
成回転体を構成する(以下、これらの各部材の全体の重
心、即ち、合成回転体の重心を「合成重心」とい
う。)。
【0026】スピンドルモータ3の回転によって記録デ
ィスク1の回転速度が使用回転域に達したときには、各
バランス球20、20、・・・は、図4及び図5に示す
ように、遠心力によって移動空間11aの外側内周面2
1に当接する位置に到達している。
【0027】このようにバランス球20、20、・・・
が外側内周面21に当接しているときの支軸10の回転
軸(中心軸)よりバランス球20、20、・・・の中心
までの距離を、図5に示すように、r2とする。この距
離r2は、移動空間11aの半径R2よりバランス球2
0、20、・・・の半径を差し引いた距離に等しい。そ
して、このときマグネット22の発する磁力によるバラ
ンス球20、20、・・・に対する吸引力をf2とす
る。この吸引力f2はバランス球20、20、・・・に
作用している遠心力よりも小さい力である。
【0028】回転される記録ディスク1に重量的なアン
バランス(偏重心)がない場合、または、記録ディスク
1がディスクテーブル12に装着されていない場合に
は、各バランス球20、20、・・・は、図4に示すよ
うに、支軸10の回転軸回りに等角度間隔となるように
位置する。
【0029】記録ディスク1には、製造時に重量的なア
ンバランスを生じている場合がある。ここで、アンバラ
ンスとは記録ディスク1の中心に該記録ディスク1の重
心が位置していないことをいい、例えば、アンバランス
は記録ディスク1の基板厚さが不均一のとき或いは密度
が不均一のときに生じる。
【0030】このようなアンバランスが生じた記録ディ
スク1をディスクテーブル12と共に回転させてしまう
と、記録ディスク1を回転させているスピンドルモータ
3等がメカシャーシ5を含めて振動してしまう。そし
て、このような重量的なアンバランスがある記録ディス
ク1がディスクテーブル12に装着されて回転されてい
る場合には、各バランス球20、20、・・・は、図6
に示すように、アンバランスの方向及びアンバランスの
量Dに応じて、このアンバランスを打ち消すこととなる
位置に移動空間11a内において移動する。即ち、各バ
ランス球20、20、・・・は、上記ケース体11が回
転されても該ケース体11とは別体で回転するが、やが
てケース体11に対して相対的に静止して該ケース体1
1と共に回転するようになる。そして、各バランス球2
0、20、・・・は記録ディスク1のアンバランス方向
に対向する位置に徐々に移動する。
【0031】各バランス球20、20、・・・がアンバ
ランスを打ち消した状態における各バランス球20、2
0、・・・の位置は、図6に示すように、アンバランス
の方向(即ち、支軸10の回転中心から見て記録ディス
ク1の重心が存在する方向)に対して角度+θnの位置
よりこのアンバランスの方向の反対側を経て角度−θn
の位置までの範囲に、等間隔で配置されることとなる
(即ち、アンバランスの方向に対して角度±θnの範囲
には、バランス球20、20、・・・が存在しない状態
となる。)。ここで、バランス球20、20、・・・の
質量をmとすると、角度θnは、以下の数式が満たされ
る角度となっている。
【0032】
【数1】
【0033】
【数2】
【0034】このとき、各バランス球20、20、・・
・の全体の重心は、回転中心を介して上記アンバランス
方向に対向する位置であって、その対向線上に位置して
いる。
【0035】この状態では、記録ディスク1のアンバラ
ンスにより回転中心からずれたケース体11と各バラン
ス球20、20、・・・との全体の重心は、合成回転体
の回転軸上に位置している。
【0036】このように、各バランス球20、20、・
・・はアンバランスを有する記録ディスク1が回転され
た場合、所謂自動調心作用により自己が適宜に移動し、
これにより、合成重心の位置が回転軸上に位置する。従
って、合成回転体は振動することなく回転し、従って、
アンバランスを有する記録ディスク1をその重心を回転
軸上に位置させた状態で回転させることができる。
【0037】このような自動調心作用は、合成回転体の
回転周波数がダンパ6、6、・・・の共振周波数(合成
回転体の回転軸に垂直な面(図1中のx,y平面)内の
方向についての共振周波数)以上となったときに、効果
的に発生する。即ち、高速度で情報信号の記録または再
生を行う記録ディスクについては、効果的に発生させる
ことができる。
【0038】尚、上記した回転駆動機構9においては、
ケース体11の停止時において各バランス球20、2
0、・・・が互いに等角度間隔に配置されているため、
ケース体11の回転の開始時において、各バランス球2
0、20、・・・によってアンバランスの原因が生じる
ことはない。
【0039】従って、上記のように、バランス球20、
20、・・・を備えた回転駆動機構9によって、重量的
なアンバランスを有する記録ディスク1を回転させても
合成回転体に振動を生ずることがない。即ち、ディスク
ドライブ装置2においては、重量的なアンバランスを有
する記録ディスク1の信号記録面に対して良好に情報信
号の書き込み又は読み出しができる。
【0040】このようにして記録ディスク1が回転され
ると、光学ピックアップ装置4は記録ディスク1にレー
ザ光を照射し、その反射光を受光して検出する。光学ピ
ックアップ装置4はガイドシャフト7、7に沿って移動
されることにより、支軸10に対する離接方向、即ち、
ディスクテーブル12に装着された記録ディスク1の半
径方向に移動され、記録ディスク1の内外周に亘って移
動される。そして、光学ピックアップ装置4によって、
記録ディスク1に対する情報信号の書き込み又は読み出
しが行われる。
【0041】ところで、回転駆動機構9においては、ス
ピンドルモータ3の起動時、即ち、ケース体11が停止
状態から回転を開始するときにおいては、各バランス球
20、20、・・・がケース体11に対して相対移動す
ることなく、同期して起動されたほうが自動調心作用の
効果を迅速に得ることができる。即ち、図7に示すよう
に、ケース体11の回転速度と各バランス球20、2
0、・・・の回転速度との差は、少なくともケース体1
1の回転速度が使用回転域(ダンパ6、6、・・・の共
振周波数以上の回転周波数)に達したときには、0とな
っていることが望ましい。
【0042】ここで、ケース体11の起動時に各バラン
ス球20、20、・・・がケース体11に対して相対移
動せずに同期して起動する条件は、次のようになる。即
ち、ケース体11からバランス球20、20、・・・に
対して伝達される回転トルクを伝達トルクT0とし、バ
ランス球20、20、・・・の慣性モーメントをJと
し、バランス球20、20、・・・の回転角加速度をβ
として、起動トルクT1=J・βとおく。そして、バラ
ンス球20、20、・・・の質量をmとし、回転軸より
バランス球20、20、・・・までの距離をRとして、
2=m・Rとおく。すると、ケース体11が停止状態
より回転を開始するときに、図8に示すように、 T1+T2<T0 が成立していれば、支軸10の方向(傾き)に依らず
に、各バランス球20、20、・・・はケース体11の
起動に同期して起動される(尚、支軸10の軸方向を鉛
直として使用する場合のみを考えるならば、T1<T0
成立していればよい。)。
【0043】そして、ケース体11の回転周波数がダン
パ6、6、・・・の共振周波数(ケース体11の回転軸
に垂直な面内の方向についての共振周波数)以上となっ
たときには、バランス球20、20、・・・をケース体
11に対して該ケース体11の回転軸回りの周方向に移
動させるトルクとしてバランス球20、20、・・・に
働くトルクを調整トルクT3としたとき、図8に示すよ
うに、 T0<T3 が成立している必要がある。この条件が成立していない
と、自動調心が行われない。ここで、ケース体11から
バランス球20、20、・・・に対して伝達される回転
トルクを伝達トルクT0がケース体11の回転速度に依
らずに一定の場合には、 T1+T2<T0<T3 が成立している必要がある。従って、伝達トルクT
0は、低回転速度域において大きく、高回転速度域(使
用回転域ω、ω1≦ω≦ω2)において小さくなるように
しておけば、上述の条件を満足し易くなる。
【0044】上記した回転駆動機構9においては、各バ
ランス球20、20、・・・は、ケース体11が停止状
態より回転を開始するときには、バランス球20、2
0、・・・がマグネット22側に吸引されていることに
起因してケース体11より各バランス球20、20、・
・・に伝達される起動トルクによってケース体11に追
従してこのケース体11と共に回転を開始する。即ち、
各バランス球20、20、・・・は、ケース体11の停
止時において、マグネット22の外周囲部に吸着されて
おり、このときのバランス球20、20、・・・とマグ
ネット12の外周囲部との間の転がり摩擦係数をμ1
すると、ケース体11よりバランス球20、20、・・
・に伝達される伝達トルクT0は、 T0=μ1・f1・r1 となる。そして、起動時の角加速度をβとした場合の起
動トルクT1は、 T1=m・r1 2・β となる。T1<T0であることが必要なので、 m・r1 2・β<μ1・f1・r1 m・r1・β<μ1・f1 となる。また、バランス球20、20、・・・中にマグ
ネット22により発生された磁束が通過していることに
よる磁気抵抗も、伝達トルクT0を増加させる作用をす
る。
【0045】そして、支軸10を水平にした場合のバラ
ンス球20、20、・・・の自重、及び、使用回転域ω
(ω1≦ω≦ω2)においてバランス球20、20、・・
・がマグネット22より遠心力により離間されなければ
ならないことを考慮すると、m・g<f1<m・r1・ω
1 2−m・g(但し、gは重力加速度)が成立している必
要がある。この条件により、各バランス球20、20、
・・・は、ケース体11が高速回転されたときには、遠
心力によりマグネット22の外周囲部より離間する。こ
のとき、伝達トルクT0が減少して、自動調心が行われ
るための条件が満足され易くなる。即ち、バランス球2
0、20、・・・と移動空間11aの外側内周面21と
の間の転がり摩擦係数をμ2とすると、バランス球2
0、20、・・・が外側内周面21に当接しているとき
の伝達トルクT0は、 T0=μ2・r2(m・r2・ω2 2−f2+m・g) であり、この伝達トルクT0が、調整トルクT3よりも小
さくなっていればよい。また、ケース体11の回転速度
が使用回転域よりも低速となったときに、各バランス球
20、20、・・・が再びマグネット22の外周囲部に
吸着されるためには、 m・g<f2<m・r2・ω1 2−m・g が満足される必要がある。
【0046】尚、調心作用は、図7に示すように、バラ
ンス球20、20、・・・がケース体11と同期して回
転されているときに行われ、ケース体11が停止状態か
ら回転を開始するときにおいては、各バランス球20、
20、・・・がケース体11に対して相対移動すること
なく、同期して起動されたほうが自動調心作用の効果を
迅速に得ることができる。従って、バランス球20、2
0、・・・は使用回転数に達するまでは遠心力に抗して
できるだけ長時間マグネット22に吸着されていること
が望ましく、これを達成するためにはマグネット22の
磁力を大きくする必要がある。
【0047】マグネット22の磁力を大きくするための
手段として、マグネット22を大型化することが考えら
れるが、マグネット22を大型化してしまうと、その分
回転駆動機構が大型化し、延いてはディスクドライブ装
置が大型となってしまう。
【0048】そこで、上記した回転駆動機構9にあって
は、ヨーク23、23をマグネット22の上下に配置し
て該マグネット22による吸着力を高めているため、ケ
ース体11が回転されたときにバランス球20、20、
・・・が長時間吸着され、該バランス球20、20、・
・・が遠心力によってマグネット22から離間されると
きにその回転がケース体11の回転に同期して行われて
いる確率が高い。
【0049】従って、その分マグネット22を薄型化す
ることが可能となり、これによりディスクドライブ装置
2の薄型化を図ることができる。
【0050】また、バランス球20、20、・・・が遠
心力によりマグネット22から離れた後において、調心
作用を迅速に実行させるようにするためには、バランス
球20、20、・・・のケース体11に対する相対的な
回転が、抵抗のない状態で行われるようにしておく必要
がある。即ち、バランス球20、20、・・・のケース
体11に対する回転に伴ってバランス球20、20、・
・・とケース体11との間に生ずる摩擦力は小さいこと
が望ましい。
【0051】そこで、上記した回転駆動機構9にあって
は、バランス部材として球状体であるバランス球20、
20、・・・を用い、バランス球20、20、・・・と
ケース体11の内面との間に生じる摩擦力を小さくして
いる。
【0052】従って、バランス球20、20、・・・が
マグネット22から離れた後に該バランス球20、2
0、・・・のケース体11に対する相対的な回転が抵抗
の小さい状態で行われ、調心作用が迅速に実行される。
【0053】上記にはマグネット22を移動空間11a
の中央部に設けたものを示したが、マグネット22Aを
移動空間11aの外周部に設けるようにしてもよい(図
9及び図10参照)。
【0054】このようにマグネット22Aを移動空間1
1aの外周部に設けた場合には、各バランス球20、2
0、・・・は、ケース体11の回転速度に依らず、常
に、マグネット22Aの内周面22aに接していること
になるが、バランス球20、20、・・・がマグネット
22Aの内周面22aに沿って移動されることにより、
自動調心作用を発生する(図10参照)。
【0055】また、上記にはケース体11に各バランス
部材を配置するものを示したが、各バランス部材が配置
される移動空間11aを、図11に示すように、ディス
クテーブル12A内に形成してもよい。そして、この場
合にはディスクテーブル12Aがケース体としての機能
を有する。
【0056】このように移動空間11aをディスクテー
ブル12A内に形成すれば、各バランス部材を配置する
ための別部材としてのケース体11を設ける必要がな
く、回転駆動機構の部品点数が少なくなり、コストの低
減に寄与する。
【0057】また、図12に示すように、ディスクテー
ブルではなく、移動空間11aをチャッキング部材24
内に形成してもよい。そして、この場合にはチャッキン
グ部材24がケース体としての機能を有する。
【0058】このように移動空間11aをチャッキング
部材24内に形成すれば、ディスクテーブル12A内に
移動空間11aを形成した場合と同様に、各バランス部
材を配置するための別部材としてのケース体11を設け
る必要がなく、回転駆動機構の部品点数が少なくなり、
コストの低減に寄与する。
【0059】尚、上記した実施の形態においては、アン
バランスを有する記録ディスク1をディスクテーブルに
装着したときに、合成回転体に対して自動調心作用を実
行させる例を示したが、合成回転体のうちの記録ディス
ク1以外の部材がアンバランスを有する場合において
も、回転駆動機構9によって自動調心作用を実行させて
回転時の振動を抑制することができる。
【0060】また、上記した実施の形態においては、本
発明に係る回転駆動機構をディスクドライブ装置の回転
駆動機構に適用したものを説明したが、本発明に係る回
転駆動機構は、産業用機械や他の電化製品に備えられる
ものにも適用することもできる。
【0061】
【発明の効果】以上に記載したところから明らかな通
り、本発明回転駆動機構にあっては、回転駆動手段によ
り支軸を介して回転されると共に非磁性材料により形成
されたケース体と、該ケース体に形成され軸方向に直交
する方向の断面形状が円環状を為す移動空間と、磁性材
料により形成されケース体に接触すると共に上記移動空
間内に移動可能に配設されたバランス部材と、移動空間
内に配設され上記バランス部材を吸着するマグネット
と、移動空間内に配設され上記マグネットから発せられ
る磁束の密度を高めるヨークとを備え、上記バランス部
材がケース体の回転に伴って回転されると共にケース体
に対して移動し、上記回転駆動手段によって回転する部
材及び回転駆動手段に含まれる回転する部材(合成回転
体)の重心(合成重心)が回転軸上に位置するようにし
たので、合成回転体は振動を生じさせることなく回転す
ることができ該回転が回転中心の偏心を生じない状態で
為されると共に、移動空間内にヨークが設けられている
ためマグネットによる吸着力が高まり、その分マグネッ
トを薄型化することができ、回転駆動機構の小型化に寄
与する。
【0062】請求項2に記載した発明にあっては、マグ
ネットは移動空間の中心部に位置され、バランス部材は
球状体として形成され、ケース体の非回転時にはマグネ
ットの外周部に球状体が吸着されており、ケース体の回
転時には遠心力により球状体がマグネットの外周部から
離間されるようにしたので、ケース体が停止状態より回
転を開始するときに該ケース体から起動トルクが伝達さ
れバランス部材がケース体に追従し該ケース体と共に回
転を開始し、自動調心作用が迅速に実行される。
【0063】請求項3に記載した発明にあっては、マグ
ネットは移動空間の外周部に位置され、バランス部材は
球状体として形成され、ケース体の非回転時にはマグネ
ットの内周部に球状体が停止された状態で吸着されてお
り、ケース体の回転時には球状体がマグネットの内周部
に吸着された状態で周方向に移動されるようにしたの
で、ケース体が停止状態より回転を開始するときに該ケ
ース体から起動トルクが伝達されバランス部材がケース
体に追従し該ケース体と共に回転を開始し、自動調心作
用が迅速に実行される。
【0064】尚、上記した実施の形態において示した各
部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する
に際しての具体化のほんの一例を示したものにすぎず、
これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈され
ることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2乃至図8と共に本発明回転駆動機構の実施
の形態を示すものであり、本図は回転駆動機構を備える
ディスクドライブ装置を示す概略斜視図である。
【図2】ケース体を示す拡大水平断面図である。
【図3】合成回転体を示す拡大縦断面図である。
【図4】ケース体が回転された状態を示す拡大水平断面
図である。
【図5】ケース体が回転された状態を示す拡大縦断面図
である。
【図6】自動調心作用が実行された状態を示すケース体
の拡大水平断面図である。
【図7】回転駆動機構において、ケース体及びバランス
部材の回転速度の変化を示すグラフである。
【図8】回転駆動機構において、ケース体からバランス
部材に伝達される回転トルクの変化を示すグラフであ
る。
【図9】図10と共に回転駆動機構の別の形態を示すも
のであり、本図は自動調心作用が実行される前の状態を
示すケース体の拡大水平断面図である。
【図10】自動調心作用が実行された状態を示すケース
体の拡大水平断面図である。
【図11】ケース体の別の形態を示す拡大縦断面図であ
る。
【図12】ケース体のさらに別の形態を示す拡大縦断面
図である。
【符号の説明】
3…スピンドルモータ(回転駆動手段)、9…回転駆動
機構、10…支軸、11…ケース体、11a…移動空
間、20…バランス球(バランス部材)、22…マグネ
ット、23…ヨーク、12A…ディスクテーブル(ケー
ス体)、22A…マグネット、24…チャッキング部材
(ケース体)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転駆動手段により支軸を介して回転さ
    れると共に非磁性材料により形成されたケース体と、 該ケース体に形成され軸方向に直交する方向の断面形状
    が円環状を為す移動空間と、 磁性材料により形成されケース体に接触すると共に上記
    移動空間内に移動可能に配設されたバランス部材と、 移動空間内に配設され上記バランス部材を吸着するマグ
    ネットと、 移動空間内に配設され上記マグネットから発せられる磁
    束の密度を高めるヨークとを備え、 上記バランス部材がケース体の回転に伴って回転される
    と共にケース体に対して移動し、上記回転駆動手段によ
    って回転する部材及び回転駆動手段に含まれる回転する
    部材(以下、これらの回転する部材を総称して「合成回
    転体」という。)の重心(合成重心)が回転軸上に位置
    するようにしたことを特徴とする回転駆動機構。
  2. 【請求項2】 上記マグネットは移動空間の中心部に位
    置され、 上記バランス部材は球状体として形成され、 ケース体の非回転時にはマグネットの外周部に球状体が
    吸着されており、ケース体の回転時には遠心力により球
    状体がマグネットの外周部から離間されるようにしたこ
    とを特徴とする請求項1に記載の回転駆動機構。
  3. 【請求項3】 上記マグネットは移動空間の外周部に位
    置され、 上記バランス部材は球状体として形成され、 ケース体の非回転時にはマグネットの内周部に球状体が
    停止された状態で吸着されており、ケース体の回転時に
    は球状体がマグネットの内周部に吸着された状態で周方
    向に移動されるようにしたことを特徴とする請求項1に
    記載の回転駆動機構。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114060472A (zh) * 2021-11-25 2022-02-18 博远机电(南通)有限公司 一种立式磨机用的驱动装置

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JP2012217313A (ja) * 2011-03-31 2012-11-08 Nippon Densan Corp モータおよびディスク駆動装置
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