JPH10286098A - D−アミノ酸の製造方法、ならびにアミンの製造方法 - Google Patents
D−アミノ酸の製造方法、ならびにアミンの製造方法Info
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- JPH10286098A JPH10286098A JP10030302A JP3030298A JPH10286098A JP H10286098 A JPH10286098 A JP H10286098A JP 10030302 A JP10030302 A JP 10030302A JP 3030298 A JP3030298 A JP 3030298A JP H10286098 A JPH10286098 A JP H10286098A
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- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12P—FERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
- C12P41/00—Processes using enzymes or microorganisms to separate optical isomers from a racemic mixture
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】 式(1-A)または式(1-B)で表されるア
ミノ酸のエナンチオマー混合物にフザリウム(Fusariu
m)属等に属する微生物を作用させ、式(2-A)または式
(2-B)で表されるアミンを製造する。また、該微生物
に同時に式(1-A)または式(1-B)で表されるアミノ酸
のエナンチオマー混合物のうち、L-アミノ酸を選択的に
分解させることによりD-アミノ酸の存在比率を高めて、
光学純度の高いD-アミノ酸を製造する。 【効果】 フザリウム属等に属する微生物により、アミ
ノ酸のエナンチオマー混合物を原料として、式(2-A)
および/または式(2-B)で表されるアミン、および式
(1-A)および/または式(1-B)で表されるアミノ酸の
D-体を光学的にほぼ純粋な形で得ることが可能になっ
た。 (式中RはHまたはOHを表す) (式中R1、R2はHまたはOHを表す) (式中RはHまたはOHを表す) (式中R1、R2はHまたはOHを表す)
ミノ酸のエナンチオマー混合物にフザリウム(Fusariu
m)属等に属する微生物を作用させ、式(2-A)または式
(2-B)で表されるアミンを製造する。また、該微生物
に同時に式(1-A)または式(1-B)で表されるアミノ酸
のエナンチオマー混合物のうち、L-アミノ酸を選択的に
分解させることによりD-アミノ酸の存在比率を高めて、
光学純度の高いD-アミノ酸を製造する。 【効果】 フザリウム属等に属する微生物により、アミ
ノ酸のエナンチオマー混合物を原料として、式(2-A)
および/または式(2-B)で表されるアミン、および式
(1-A)および/または式(1-B)で表されるアミノ酸の
D-体を光学的にほぼ純粋な形で得ることが可能になっ
た。 (式中RはHまたはOHを表す) (式中R1、R2はHまたはOHを表す) (式中RはHまたはOHを表す) (式中R1、R2はHまたはOHを表す)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬原料、特に抗
生物質の原料として重要なD-アミノ酸の微生物を用いた
製造方法、および特に医薬品として重要な生理活性アミ
ン類に属するアミンの微生物を用いた製造方法に関す
る。
生物質の原料として重要なD-アミノ酸の微生物を用いた
製造方法、および特に医薬品として重要な生理活性アミ
ン類に属するアミンの微生物を用いた製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】芳香族D-アミノ酸の生化学的な製法とし
ては、DL-アリルメチルヒダントインに対し、D-アリル
メチルヒダントインを選択的にN-カルバモイル-D-アミ
ノ酸に加水分解する能力を有する微生物を作用させてN-
カルバモイル-D-アミノ酸を合成し、さらに、亜硝酸な
どを用いて化学的に、もしくは微生物を用いてN-カルバ
モイルD-アミノ酸をD-アミノ酸に加水分解することによ
りD-アミノ酸を製造する方法(ヒダントイナーゼ法、特
開昭61-17791号公報)が知られている。
ては、DL-アリルメチルヒダントインに対し、D-アリル
メチルヒダントインを選択的にN-カルバモイル-D-アミ
ノ酸に加水分解する能力を有する微生物を作用させてN-
カルバモイル-D-アミノ酸を合成し、さらに、亜硝酸な
どを用いて化学的に、もしくは微生物を用いてN-カルバ
モイルD-アミノ酸をD-アミノ酸に加水分解することによ
りD-アミノ酸を製造する方法(ヒダントイナーゼ法、特
開昭61-17791号公報)が知られている。
【0003】また、DL-アミノ酸アミドのうちD-アミノ
酸アミドのみを選択的に加水分解し、D-アミノ酸を産生
する能力を有する微生物もしくは酵素をDL-アミノ酸ア
ミドに作用させてD-アミノ酸を製造する方法(D-アミダ
ーゼ法、特公平08-22228号公報)、DL-アミノ酸アミド
のうちL-アミノ酸アミドのみを選択的に加水分解し、残
存するD-アミノ酸アミドを化学的に加水分解してD-アミ
ノ酸を製造する方法(L-アミダーゼ法、特開昭57-13000
号公報)が知られている。
酸アミドのみを選択的に加水分解し、D-アミノ酸を産生
する能力を有する微生物もしくは酵素をDL-アミノ酸ア
ミドに作用させてD-アミノ酸を製造する方法(D-アミダ
ーゼ法、特公平08-22228号公報)、DL-アミノ酸アミド
のうちL-アミノ酸アミドのみを選択的に加水分解し、残
存するD-アミノ酸アミドを化学的に加水分解してD-アミ
ノ酸を製造する方法(L-アミダーゼ法、特開昭57-13000
号公報)が知られている。
【0004】さらに、インドールピルビン酸、フェニル
ピルビン酸など、及びアミノ基供与体としてのD-アラニ
ンからD-アミノ酸トランスアミナーゼの作用によりD-ア
ミノ酸を製造する方法(トランスアミナーゼ法、特公平
07-85718号公報)、N-アセチル-DL-アミノ酸に対してN-
アセチル-L-アミノ酸を選択的に脱アセチル化するL-ア
ミノアシラーゼを作用させ、残存するN-アセチル-D-ア
ミノ酸を化学的に脱アセチル化してD-アミノ酸を製造す
る方法(L-アミノアシラーゼ法、Methods in.Enzymolog
y. 3, 554-570(1957))、N-アセチル-DL-アミノ酸に対
してN-アセチル-D-アミノ酸を選択的に脱アセチル化す
るD-アミノアシラーゼを作用させてD-アミノ酸を製造す
る方法(D-アミノシラーゼ法、特公平01-29560号公
報)、DL-アミノ酸にD-アミノ酸アセチルトランスフェ
ラーゼを作用させ、D-アミノ酸を選択的にN-アセチル-D
-アミノ酸に変換して残存するL-アミノ酸と分離した
後、生成したN-アセチル-D-アミノ酸を化学的に加水分
解してD-アミノ酸を製造する方法(アセチルトランスフ
ェラーゼ法、特開昭60-251892号公報)などが知られて
いる。
ピルビン酸など、及びアミノ基供与体としてのD-アラニ
ンからD-アミノ酸トランスアミナーゼの作用によりD-ア
ミノ酸を製造する方法(トランスアミナーゼ法、特公平
07-85718号公報)、N-アセチル-DL-アミノ酸に対してN-
アセチル-L-アミノ酸を選択的に脱アセチル化するL-ア
ミノアシラーゼを作用させ、残存するN-アセチル-D-ア
ミノ酸を化学的に脱アセチル化してD-アミノ酸を製造す
る方法(L-アミノアシラーゼ法、Methods in.Enzymolog
y. 3, 554-570(1957))、N-アセチル-DL-アミノ酸に対
してN-アセチル-D-アミノ酸を選択的に脱アセチル化す
るD-アミノアシラーゼを作用させてD-アミノ酸を製造す
る方法(D-アミノシラーゼ法、特公平01-29560号公
報)、DL-アミノ酸にD-アミノ酸アセチルトランスフェ
ラーゼを作用させ、D-アミノ酸を選択的にN-アセチル-D
-アミノ酸に変換して残存するL-アミノ酸と分離した
後、生成したN-アセチル-D-アミノ酸を化学的に加水分
解してD-アミノ酸を製造する方法(アセチルトランスフ
ェラーゼ法、特開昭60-251892号公報)などが知られて
いる。
【0005】一方、芳香族アミンの生化学的な製法とし
ては、L-チロシンをストレプトコッカス(Streptococcu
s)属微生物のチロシンデカルボキシラーゼを用いて脱
炭酸し、チラミンを得る方法(特開昭55-102393号公
報)や、同様の方法でL-ドーパよりドーパミンを得る方
法(特開昭55-102394号公報)が知られている。さら
に、バクテリアであるミクロコッカス(Micrococcus)
属由来の芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼを用いて対
応するアミノ酸からアミンを生産する方法(Nakazawa
H. et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 57(7), 12
10-11(1993))や、スタフィロコッカス(Staphylococcu
s)属微生物を用いて芳香族アミノ酸より対応するアミ
ンを得る方法(特開昭50-155689号公報)も報告されて
いる。
ては、L-チロシンをストレプトコッカス(Streptococcu
s)属微生物のチロシンデカルボキシラーゼを用いて脱
炭酸し、チラミンを得る方法(特開昭55-102393号公
報)や、同様の方法でL-ドーパよりドーパミンを得る方
法(特開昭55-102394号公報)が知られている。さら
に、バクテリアであるミクロコッカス(Micrococcus)
属由来の芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼを用いて対
応するアミノ酸からアミンを生産する方法(Nakazawa
H. et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 57(7), 12
10-11(1993))や、スタフィロコッカス(Staphylococcu
s)属微生物を用いて芳香族アミノ酸より対応するアミ
ンを得る方法(特開昭50-155689号公報)も報告されて
いる。
【0006】ところで、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素は、
ほ乳類、昆虫、植物、および微生物に分布していること
が知られている。しかし、特に微生物においては、ミク
ロコッカス(Micrococcus)属微生物由来の芳香族アミ
ノ酸デカルボキシラーゼ(Nakazawa H. et al., Biosc
i. Biotechnol. Biochem., 57(7), 1210-11(1993))、
ナメコ由来の芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ(特開
昭61-234780号公報)、およびスタフィロコッカス(Sta
phylococcus)属微生物(特開昭50-155689号公報)が芳
香族アミノ酸脱炭酸能を有することが開示されているの
みであり、フザリウム(Fusarium)属、ジベレラ(Gibb
erella)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、プレ
ウロツス(Pleurotus)属、ネクトリア(Nectria)属な
どのカビが、芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼを有す
るとの報告はなされていないのが現状である。また、こ
れらの属に属する微生物を用いて、芳香族アミノ酸のエ
ナンチオマー混合物より芳香族D−アミノ酸、および対
応するアミンを製造した報告例もない。フザリウム(Fu
sarium)属微生物においては、フェニルアラニンデカル
ボキシラーゼ活性を持つものが存在することが報告され
ているが(FerencikM. & Ladzianska K., Folia Microb
iology, 13, 414-18 (1968))、該文献におけるアミノ
酸脱炭酸反応はpH4.6〜5.6の範囲で限定的に行われお
り、また該文献にはトリプトファンおよびチロシンに対
しては微生物が作用しなかった旨記載されている。さら
に、該文献にはL−アミノ酸を選択的に分解させてD-ア
ミノ酸を製造する目的で微生物を用いた旨の記載はな
い。即ち、フザリウム(Fusarium)属、ジベレラ(Gibb
erella)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、プレ
ウロツス(Pleurotus)属、およびネクトリア(Nectri
a)属に属する微生物については種々の芳香族アミノ
酸、特にそのL-体を選択的に脱炭酸し対応するアミンを
生じること、およびL-アミノ酸の選択的な分解により反
応系中のD-アミノ酸の存在比率が顕著に高まることにつ
いては全く報告されていないのが現状である。
ほ乳類、昆虫、植物、および微生物に分布していること
が知られている。しかし、特に微生物においては、ミク
ロコッカス(Micrococcus)属微生物由来の芳香族アミ
ノ酸デカルボキシラーゼ(Nakazawa H. et al., Biosc
i. Biotechnol. Biochem., 57(7), 1210-11(1993))、
ナメコ由来の芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ(特開
昭61-234780号公報)、およびスタフィロコッカス(Sta
phylococcus)属微生物(特開昭50-155689号公報)が芳
香族アミノ酸脱炭酸能を有することが開示されているの
みであり、フザリウム(Fusarium)属、ジベレラ(Gibb
erella)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、プレ
ウロツス(Pleurotus)属、ネクトリア(Nectria)属な
どのカビが、芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼを有す
るとの報告はなされていないのが現状である。また、こ
れらの属に属する微生物を用いて、芳香族アミノ酸のエ
ナンチオマー混合物より芳香族D−アミノ酸、および対
応するアミンを製造した報告例もない。フザリウム(Fu
sarium)属微生物においては、フェニルアラニンデカル
ボキシラーゼ活性を持つものが存在することが報告され
ているが(FerencikM. & Ladzianska K., Folia Microb
iology, 13, 414-18 (1968))、該文献におけるアミノ
酸脱炭酸反応はpH4.6〜5.6の範囲で限定的に行われお
り、また該文献にはトリプトファンおよびチロシンに対
しては微生物が作用しなかった旨記載されている。さら
に、該文献にはL−アミノ酸を選択的に分解させてD-ア
ミノ酸を製造する目的で微生物を用いた旨の記載はな
い。即ち、フザリウム(Fusarium)属、ジベレラ(Gibb
erella)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、プレ
ウロツス(Pleurotus)属、およびネクトリア(Nectri
a)属に属する微生物については種々の芳香族アミノ
酸、特にそのL-体を選択的に脱炭酸し対応するアミンを
生じること、およびL-アミノ酸の選択的な分解により反
応系中のD-アミノ酸の存在比率が顕著に高まることにつ
いては全く報告されていないのが現状である。
【0007】また、上記の従来法には、基質が高価であ
る、反応工程が複雑である、反応収率が低い、光学純度
が低いなど工業的な芳香族D-アミノ酸、アミンの製造法
としては問題があった。
る、反応工程が複雑である、反応収率が低い、光学純度
が低いなど工業的な芳香族D-アミノ酸、アミンの製造法
としては問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、工業的に耐
えうるD-アミノ酸およびアミンの製造方法を提供するこ
とを課題とする。特に本発明は、L-アミノ酸を選択的に
分解する能力を有する微生物を用いたD-アミノ酸および
アミンの製造方法を提供することを課題とする。
えうるD-アミノ酸およびアミンの製造方法を提供するこ
とを課題とする。特に本発明は、L-アミノ酸を選択的に
分解する能力を有する微生物を用いたD-アミノ酸および
アミンの製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来法の
これら問題点に鑑み、基質の合成の容易さ、経済性、お
よび酵素のもつ立体選択的な脱炭酸反応に特に着目し
て、鋭意検討を重ねた。この結果、本発明者らは、フザ
リウム(Fusarium)属、ジベレラ(Gibberella)属、ア
スペルギルス(Aspergillus)属、プレウロツス(Pleur
otus)属、およびネクトリア(Nectria)属に属する微
生物が、合成容易な式(1-A)または式(1-B)で表され
るアミノ酸に作用して、式(2-A)または式(2-B)で表
されるアミンを生成する特性を有することを見出した。
また、本発明者らは、アミン生成反応において該微生物
が式(1-A)または式(1-B)で表されるアミノ酸のうち
L-体のみを選択的に分解する特性を有し、この結果、反
応系に存在するアミノ酸においてD-体の存在比率が顕著
に高まることを見出した。さらに、本発明者らは、上記
微生物の作用により生成したアミンおよびD-アミノ酸の
混合物から各々を常法により簡易に分離・精製すること
が可能であり、この分離・精製法によってアミンを高収
率で、D-アミノ酸を高い光学純度で製造することが可能
であることを見出し、本発明を完成するに至った。
これら問題点に鑑み、基質の合成の容易さ、経済性、お
よび酵素のもつ立体選択的な脱炭酸反応に特に着目し
て、鋭意検討を重ねた。この結果、本発明者らは、フザ
リウム(Fusarium)属、ジベレラ(Gibberella)属、ア
スペルギルス(Aspergillus)属、プレウロツス(Pleur
otus)属、およびネクトリア(Nectria)属に属する微
生物が、合成容易な式(1-A)または式(1-B)で表され
るアミノ酸に作用して、式(2-A)または式(2-B)で表
されるアミンを生成する特性を有することを見出した。
また、本発明者らは、アミン生成反応において該微生物
が式(1-A)または式(1-B)で表されるアミノ酸のうち
L-体のみを選択的に分解する特性を有し、この結果、反
応系に存在するアミノ酸においてD-体の存在比率が顕著
に高まることを見出した。さらに、本発明者らは、上記
微生物の作用により生成したアミンおよびD-アミノ酸の
混合物から各々を常法により簡易に分離・精製すること
が可能であり、この分離・精製法によってアミンを高収
率で、D-アミノ酸を高い光学純度で製造することが可能
であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、工業的に耐えうるD-アミ
ノ酸およびアミンの製造方法、特に微生物を用いたD-ア
ミノ酸およびアミンの製造方法に関し、より具体的に
は、(1) 式(1-A)および/または式(1-B)で表わ
されるアミノ酸のうち、L-アミノ酸を選択的に分解し、
式(2-A)および/または式(2-B)で表されるアミンを
生成する能力を有する微生物もしくはその処理物の少な
くとも一種を、式(1-A)および/または式(1-B)で表
わされるアミノ酸のエナンチオマー混合物に作用させ、
残存するD-アミノ酸を回収することを特徴とするD-アミ
ノ酸の製造方法に関し、好ましくは、(2) 微生物
が、フザリウム(Fusarium)属、ジベレラ(Gibberell
a)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、プレウロツ
ス(Pleurotus)属、ネクトリア(Nectria)属からなる
群より選択される属に属する微生物である、(1)に記
載の製造方法、さらに好ましくは、(3) 微生物が、
フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、
フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)、ジベレラ・
フジクロイ(Gibberella fujikuroi)、アスペルギルス
・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・キ
ャンディダス(Aspergillus candidus)、プレウロツス
・オストレアツス(Pleurotus ostreatus)、ネクトリ
ア・フラメア(Nectria flammea)からなる群より選択
される種に属する微生物である、(1)に記載の製造方
法、さらに好ましくは、(4) 微生物が、フザリウム
・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)IFO 30705、I
FO 31630、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)IFO
9975、ジベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuro
i)IFO 9977、IFO 30336、IFO 30337、IFO31251、NRIC
1240、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)
IFO 5375、IFO 4265、JCM 2059、アスペルギルス・キャ
ンディダス(Aspergillus candidus)IFO 4309、IFO 88
16、プレウロツス・オストレアツス(Pleurotus ostrea
tus)IFO 6515、ネクトリア・フラメア(Nectria flamm
ea)IFO 9628、IFO 30306からなる群より選択される微
生物である、(1)に記載の製造方法、に関する。
ノ酸およびアミンの製造方法、特に微生物を用いたD-ア
ミノ酸およびアミンの製造方法に関し、より具体的に
は、(1) 式(1-A)および/または式(1-B)で表わ
されるアミノ酸のうち、L-アミノ酸を選択的に分解し、
式(2-A)および/または式(2-B)で表されるアミンを
生成する能力を有する微生物もしくはその処理物の少な
くとも一種を、式(1-A)および/または式(1-B)で表
わされるアミノ酸のエナンチオマー混合物に作用させ、
残存するD-アミノ酸を回収することを特徴とするD-アミ
ノ酸の製造方法に関し、好ましくは、(2) 微生物
が、フザリウム(Fusarium)属、ジベレラ(Gibberell
a)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、プレウロツ
ス(Pleurotus)属、ネクトリア(Nectria)属からなる
群より選択される属に属する微生物である、(1)に記
載の製造方法、さらに好ましくは、(3) 微生物が、
フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、
フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)、ジベレラ・
フジクロイ(Gibberella fujikuroi)、アスペルギルス
・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・キ
ャンディダス(Aspergillus candidus)、プレウロツス
・オストレアツス(Pleurotus ostreatus)、ネクトリ
ア・フラメア(Nectria flammea)からなる群より選択
される種に属する微生物である、(1)に記載の製造方
法、さらに好ましくは、(4) 微生物が、フザリウム
・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)IFO 30705、I
FO 31630、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)IFO
9975、ジベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuro
i)IFO 9977、IFO 30336、IFO 30337、IFO31251、NRIC
1240、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)
IFO 5375、IFO 4265、JCM 2059、アスペルギルス・キャ
ンディダス(Aspergillus candidus)IFO 4309、IFO 88
16、プレウロツス・オストレアツス(Pleurotus ostrea
tus)IFO 6515、ネクトリア・フラメア(Nectria flamm
ea)IFO 9628、IFO 30306からなる群より選択される微
生物である、(1)に記載の製造方法、に関する。
【0011】また、本発明は、(5) 式(1-A)およ
び/または式(1-B)で表わされるアミノ酸のうち、L-
アミノ酸を選択的に分解し、式(2-A)および/または
式(2-B)で表されるアミンを生成する能力を有する微
生物もしくはその処理物の少なくとも一種を、式(1-
A)および/もしくは式(1-B)で表わされるアミノ酸の
エナンチオマー混合物、または式(1-A)および/もし
くは式(1-B)で表わされる光学的に純粋なL-アミノ酸
に作用させることを特徴とする、式(2-A)および/ま
たは式(2-B)で表されるアミンの製造方法に関し、好
ましくは、(6) 微生物が、フザリウム(Fusarium)
属、ジベレラ(Gibberella)属、アスペルギルス(Aspe
rgillus)属、プレウロツス(Pleurotus)属、ネクトリ
ア(Nectria)属からなる群より選択される属に属する
微生物である、(5)に記載の製造方法、さらに好まし
くは、(7) 微生物が、フザリウム・オキシスポラム
(Fusarium oxysporum)、フザリウム・ソラニ(Fusari
um solani)、ジベレラ・フジクロイ(Gibberella fuji
kuroi)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryza
e)、アスペルギルス・キャンディダス(Aspergillus c
andidus)、プレウロツス・オストレアツス(Pleurotus
ostreatus)、ネクトリア・フラメア(Nectria flamme
a)からなる群より選択される種に属する微生物であ
る、(5)に記載の製造方法、さらに好ましくは、
(8) 微生物が、フザリウム・オキシスポラム(Fusa
rium oxysporum)IFO 30705、IFO 31630、フザリウム・
ソラニ(Fusarium solani)IFO 9975、ジベレラ・フジ
クロイ(Gibberella fujikuroi)IFO 9977、IFO 3033
6、IFO 30337、IFO31251、NRIC 1240、アスペルギルス
・オリゼ(Aspergillus oryzae)IFO 5375、IFO 4265、
JCM 2059、アスペルギルス・キャンディダス(Aspergil
lus candidus)IFO 4309、IFO 8816、プレウロツス・オ
ストレアツス(Pleurotus ostreatus)IFO 6515、ネク
トリア・フラメア(Nectria flammea)IFO 9628、IFO 3
0306からなる群より選択される微生物である、(5)に
記載の製造方法、に関する。
び/または式(1-B)で表わされるアミノ酸のうち、L-
アミノ酸を選択的に分解し、式(2-A)および/または
式(2-B)で表されるアミンを生成する能力を有する微
生物もしくはその処理物の少なくとも一種を、式(1-
A)および/もしくは式(1-B)で表わされるアミノ酸の
エナンチオマー混合物、または式(1-A)および/もし
くは式(1-B)で表わされる光学的に純粋なL-アミノ酸
に作用させることを特徴とする、式(2-A)および/ま
たは式(2-B)で表されるアミンの製造方法に関し、好
ましくは、(6) 微生物が、フザリウム(Fusarium)
属、ジベレラ(Gibberella)属、アスペルギルス(Aspe
rgillus)属、プレウロツス(Pleurotus)属、ネクトリ
ア(Nectria)属からなる群より選択される属に属する
微生物である、(5)に記載の製造方法、さらに好まし
くは、(7) 微生物が、フザリウム・オキシスポラム
(Fusarium oxysporum)、フザリウム・ソラニ(Fusari
um solani)、ジベレラ・フジクロイ(Gibberella fuji
kuroi)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryza
e)、アスペルギルス・キャンディダス(Aspergillus c
andidus)、プレウロツス・オストレアツス(Pleurotus
ostreatus)、ネクトリア・フラメア(Nectria flamme
a)からなる群より選択される種に属する微生物であ
る、(5)に記載の製造方法、さらに好ましくは、
(8) 微生物が、フザリウム・オキシスポラム(Fusa
rium oxysporum)IFO 30705、IFO 31630、フザリウム・
ソラニ(Fusarium solani)IFO 9975、ジベレラ・フジ
クロイ(Gibberella fujikuroi)IFO 9977、IFO 3033
6、IFO 30337、IFO31251、NRIC 1240、アスペルギルス
・オリゼ(Aspergillus oryzae)IFO 5375、IFO 4265、
JCM 2059、アスペルギルス・キャンディダス(Aspergil
lus candidus)IFO 4309、IFO 8816、プレウロツス・オ
ストレアツス(Pleurotus ostreatus)IFO 6515、ネク
トリア・フラメア(Nectria flammea)IFO 9628、IFO 3
0306からなる群より選択される微生物である、(5)に
記載の製造方法、に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において使用する微生物
は、式(1-A)および/または式(1-B)で表わされるア
ミノ酸のうち、L-アミノ酸を選択的に分解し、式(2-
A)および/または式(2-B)で表されるアミンを生成す
る能力を有する微生物であれば特に制限はない。好まし
くは、フザリウム(Fusarium)属、ジベレラ(Gibberel
la)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、プレウロ
ツス(Pleurotus)属、ネクトリア(Nectria)属からな
る群より選択される属に属する微生物であり、さらに好
ましくは、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxy
sporum)、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)、
ジベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)、アス
ペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペル
ギルス・キャンディダス(Aspergillus candidus)、プ
レウロツス・オストレアツス(Pleurotus ostreatu
s)、ネクトリア・フラメア(Nectria flammea)からな
る群より選択される種に属する微生物であり、さらに好
ましくは、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxy
sporum)IFO 30705、IFO 31630、フザリウム・ソラニ
(Fusarium solani)IFO 9975、ジベレラ・フジクロイ
(Fusarium fujikuroi)IFO 9977、IFO30336、IFO 3033
7、IFO 31251、NRIC 1240、アスペルギルス・オリゼ(A
spergillus oryzae)IFO 5375、IFO 4265、JCM 2059、
アスペルギルス・キャンディダス(Aspergillus candid
us)IFO 4309、IFO 8816、プレウロツス・オストレアツ
ス(Pleurotus ostreatus)IFO 6515、ネクトリア・フ
ラメア(Nectria flammea)IFO 9628、IFO 30306からな
る群より選択される微生物である。例えば、本発明のフ
ザリウム(Fusarium)属に属する微生物は、式(1-B)
で表わされるアミノ酸以外に、式(1-A)で表わされる
アミノ酸にも作用して、そのL-アミノ酸を選択的に分解
し、対応するアミンを生成する能力を有する。従って、
本発明のフザリウム(Fusarium)属に属する微生物を式
(1-A)および/または式(1-B)で表わされるアミノ酸
のエナンチオマー混合物に作用させることにより、式
(2-A)および/または式(2-B)で表されるアミンを製
造するとともに、残存するD-アミノ酸を回収することに
より、アミノ酸のD-体を製造することが可能である。ま
た、式(1-A)および/または式(1-B)で表わされる光
学的に純粋なL-アミノ酸に作用させることによっても、
式(2-A)および/または式(2-B)で表されるアミンを
製造することが可能である。これらの微生物としては、
野生株、変異株、または細胞融合もしくは遺伝子操作な
どの遺伝的手法より誘導される組み換え株など、いずれ
の株でも好適に用いることができる。また、本発明にお
いては、上記微生物の処理物を用いることも可能であ
る。本発明において「処理物」とは、上記微生物の活性
を有するあらゆる分画を指す。
は、式(1-A)および/または式(1-B)で表わされるア
ミノ酸のうち、L-アミノ酸を選択的に分解し、式(2-
A)および/または式(2-B)で表されるアミンを生成す
る能力を有する微生物であれば特に制限はない。好まし
くは、フザリウム(Fusarium)属、ジベレラ(Gibberel
la)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、プレウロ
ツス(Pleurotus)属、ネクトリア(Nectria)属からな
る群より選択される属に属する微生物であり、さらに好
ましくは、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxy
sporum)、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)、
ジベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)、アス
ペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペル
ギルス・キャンディダス(Aspergillus candidus)、プ
レウロツス・オストレアツス(Pleurotus ostreatu
s)、ネクトリア・フラメア(Nectria flammea)からな
る群より選択される種に属する微生物であり、さらに好
ましくは、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxy
sporum)IFO 30705、IFO 31630、フザリウム・ソラニ
(Fusarium solani)IFO 9975、ジベレラ・フジクロイ
(Fusarium fujikuroi)IFO 9977、IFO30336、IFO 3033
7、IFO 31251、NRIC 1240、アスペルギルス・オリゼ(A
spergillus oryzae)IFO 5375、IFO 4265、JCM 2059、
アスペルギルス・キャンディダス(Aspergillus candid
us)IFO 4309、IFO 8816、プレウロツス・オストレアツ
ス(Pleurotus ostreatus)IFO 6515、ネクトリア・フ
ラメア(Nectria flammea)IFO 9628、IFO 30306からな
る群より選択される微生物である。例えば、本発明のフ
ザリウム(Fusarium)属に属する微生物は、式(1-B)
で表わされるアミノ酸以外に、式(1-A)で表わされる
アミノ酸にも作用して、そのL-アミノ酸を選択的に分解
し、対応するアミンを生成する能力を有する。従って、
本発明のフザリウム(Fusarium)属に属する微生物を式
(1-A)および/または式(1-B)で表わされるアミノ酸
のエナンチオマー混合物に作用させることにより、式
(2-A)および/または式(2-B)で表されるアミンを製
造するとともに、残存するD-アミノ酸を回収することに
より、アミノ酸のD-体を製造することが可能である。ま
た、式(1-A)および/または式(1-B)で表わされる光
学的に純粋なL-アミノ酸に作用させることによっても、
式(2-A)および/または式(2-B)で表されるアミンを
製造することが可能である。これらの微生物としては、
野生株、変異株、または細胞融合もしくは遺伝子操作な
どの遺伝的手法より誘導される組み換え株など、いずれ
の株でも好適に用いることができる。また、本発明にお
いては、上記微生物の処理物を用いることも可能であ
る。本発明において「処理物」とは、上記微生物の活性
を有するあらゆる分画を指す。
【0013】なお、「IFO」番号の付された微生物は、
財団法人・発酵研究所発行の微生物カタログ第10版(19
96年)に記載されており、同研究所より入手することが
可能である。また、「JCM」番号の付された微生物は理
化学研究所発酵の菌株カタログ第6版(1995年)に記載
されており、同研究所より入手することが可能である。
さらに、「NRIC」番号の付された微生物は東京農業大学
発行の菌株カタログ第2版(1992年)に記載されてお
り、同大学より入手することが可能である。
財団法人・発酵研究所発行の微生物カタログ第10版(19
96年)に記載されており、同研究所より入手することが
可能である。また、「JCM」番号の付された微生物は理
化学研究所発酵の菌株カタログ第6版(1995年)に記載
されており、同研究所より入手することが可能である。
さらに、「NRIC」番号の付された微生物は東京農業大学
発行の菌株カタログ第2版(1992年)に記載されてお
り、同大学より入手することが可能である。
【0014】また、上記の財団法人・発酵研究所発行の
「微生物カタログ第10版, pp. 362(1996年)」およ
び、宇田川俊一ら著「菌類図鑑 上巻 pp. 518〜522,
下巻 pp. 1055〜1059, 講談社(1978)」によれば、ジ
ベレラ・フジクロイ(Gibberellafujikuroi)の分生子
世代はフザリウム・モニリフォルム(Fusarium monilif
orme)であるため、これらの完全世代とそれぞれに対応
する分生子世代は同じ生物種である。
「微生物カタログ第10版, pp. 362(1996年)」およ
び、宇田川俊一ら著「菌類図鑑 上巻 pp. 518〜522,
下巻 pp. 1055〜1059, 講談社(1978)」によれば、ジ
ベレラ・フジクロイ(Gibberellafujikuroi)の分生子
世代はフザリウム・モニリフォルム(Fusarium monilif
orme)であるため、これらの完全世代とそれぞれに対応
する分生子世代は同じ生物種である。
【0015】本発明に用いる微生物を培養するための培
地は、該微生物が増殖しうる培地であれば特に制限はな
い。例えば、炭素源としては、上記微生物が利用可能で
あれば特に制限はなく、例えば、グルコース、フルクト
ース、シュクロース、デキストリンなどの糖類、ソルビ
トール、グリセロールなどのアルコール類、フマール
酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸類およ
びその塩類、パラフィンなどの炭化水素類などまたはこ
れらの混合物を使用することができる。窒素源として
は、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リ
ン酸アンモニウムなどの無機酸のアンモニウム塩、フマ
ル酸アンモニウム、クエン酸アンモニウムなどの有機酸
のアンモニウム塩、肉エキス、酵母エキス、コーンステ
ィープリカー、カゼイン加水分解物、尿素などの無機有
機含窒素化合物、またはこれらの混合物を使用すること
ができる。この他に、無機塩、微量金属塩、ビタミン類
など、通常の培養に用いられる栄養源を適宜混合して用
いることができる。また、必要に応じて微生物の増殖を
促進する因子、本発明の目的化合物の生成能力を高める
セリン、チロシン、バリン、ロイシン、アラニン、イソ
ロイシン、グリシン、フェニルアラニン、トリプトファ
ンなどのアミノ酸誘導源、ピリドキサール-5'-リン酸、
ピリドキサール塩酸塩などのビタミンB6類などの因子、
または培地のpH保持に有効なCaCO3などの物質を添加す
ることも可能である。例えば、カビの培養にはYM培地、
ポテト-シュクロース培地等が適当である(財団法人・
発酵研究所発行の微生物カタログ第10版(1996年), pp
498〜500参照)。
地は、該微生物が増殖しうる培地であれば特に制限はな
い。例えば、炭素源としては、上記微生物が利用可能で
あれば特に制限はなく、例えば、グルコース、フルクト
ース、シュクロース、デキストリンなどの糖類、ソルビ
トール、グリセロールなどのアルコール類、フマール
酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸類およ
びその塩類、パラフィンなどの炭化水素類などまたはこ
れらの混合物を使用することができる。窒素源として
は、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リ
ン酸アンモニウムなどの無機酸のアンモニウム塩、フマ
ル酸アンモニウム、クエン酸アンモニウムなどの有機酸
のアンモニウム塩、肉エキス、酵母エキス、コーンステ
ィープリカー、カゼイン加水分解物、尿素などの無機有
機含窒素化合物、またはこれらの混合物を使用すること
ができる。この他に、無機塩、微量金属塩、ビタミン類
など、通常の培養に用いられる栄養源を適宜混合して用
いることができる。また、必要に応じて微生物の増殖を
促進する因子、本発明の目的化合物の生成能力を高める
セリン、チロシン、バリン、ロイシン、アラニン、イソ
ロイシン、グリシン、フェニルアラニン、トリプトファ
ンなどのアミノ酸誘導源、ピリドキサール-5'-リン酸、
ピリドキサール塩酸塩などのビタミンB6類などの因子、
または培地のpH保持に有効なCaCO3などの物質を添加す
ることも可能である。例えば、カビの培養にはYM培地、
ポテト-シュクロース培地等が適当である(財団法人・
発酵研究所発行の微生物カタログ第10版(1996年), pp
498〜500参照)。
【0016】培養方法としては、培地のpHは通常3.0〜1
1.0、好ましくは4.0〜8.0であり、培養温度は通常20〜4
5℃、好ましくは25〜37℃であり、嫌気的あるいは好気
的に、用いる微生物の生育に適した条件下で通常5〜120
時間、好ましくは24〜96時間程度培養する。
1.0、好ましくは4.0〜8.0であり、培養温度は通常20〜4
5℃、好ましくは25〜37℃であり、嫌気的あるいは好気
的に、用いる微生物の生育に適した条件下で通常5〜120
時間、好ましくは24〜96時間程度培養する。
【0017】基質として用いられる式「1-A」および/
または式「1-B」で表されるアミノ酸のエナンチオマー
混合物、式「1-A」および/または式「1-B」で表される
L-アミノ酸は、酵素の基質阻害が起こらない範囲の濃度
で、一括または間欠的に、もしくは連続して添加される
が、通常0.01〜20%(w/w)程度添加される。基質は、
そのまま水に溶解もしくは分散して添加する、反応に影
響を与えないような有機溶媒に溶解して添加する、また
は界面活性剤などに分散させて添加するなどの方法で添
加しうる。
または式「1-B」で表されるアミノ酸のエナンチオマー
混合物、式「1-A」および/または式「1-B」で表される
L-アミノ酸は、酵素の基質阻害が起こらない範囲の濃度
で、一括または間欠的に、もしくは連続して添加される
が、通常0.01〜20%(w/w)程度添加される。基質は、
そのまま水に溶解もしくは分散して添加する、反応に影
響を与えないような有機溶媒に溶解して添加する、また
は界面活性剤などに分散させて添加するなどの方法で添
加しうる。
【0018】微生物の利用形態としては、例えば、培養
液の状態のもの、遠心分離などにより培養液から菌体を
分離したもの、または遠心分離後、菌体を洗浄し、緩衝
液もしくは水などに再懸濁したものを用いることが可能
であり、これら形態の微生物に式「1-A」および/また
は式「1-B」で表されるアミノ酸のエナンチオマー混合
物、式「1-A」および/または式「1-B」で表されるL-ア
ミノ酸を添加して反応させることが可能である。菌体は
生菌体のまま用いてもよく、また菌体破砕物、アセトン
処理、トルエン処理、または凍結乾燥などの処理を施し
たものを用いてもよい。微生物菌体はカラギーナンゲ
ル、アルギン酸ゲル、ポリアクリルアミドゲル、セルロ
ース、または寒天などに公知の方法で固定化して用いる
ことも可能であり、限外濾過膜などを用いて反応器中で
反応させることも可能である。反応液には基質であるア
ミノ酸エナンチオマー混合物の菌体内への透過性を高め
るために、塩化セチルピリジニウム、セチルトリメチル
アンモニウムブロミド、トライトン(Triton X)、ツイ
ーン(Tween)などの界面活性剤を0.001〜0.5% 程度添
加すると好ましい結果が得られる場合がある。また、反
応液の気相を窒素置換するか、または液面を流動パラフ
ィン等でシールすることによって、酸素を遮断すること
により好適な結果が得られることもある。反応温度は通
常5〜70℃、好ましくは25〜60℃である。反応pHは脱炭
酸を行う酵素が反応する範囲で適宜選択すればよく、通
常pH 5〜10、好ましくはpH 6〜9であり、反応は緩衝液
中またはpHスタットを用いて行われる。反応は静置して
行うことも可能であり、また振盪しながら、もしくは撹
拌しながら行うことも可能である。反応に用いる溶媒と
しては通常、水が用いられるが、反応に影響を与えない
範囲でアルコールなどの有機溶媒を添加して用いること
も可能である。生成したアミン、および残存したD-アミ
ノ酸は、限外濾過、濃縮、カラムクロマトグラフィー、
抽出、晶析など通常の方法を適宜組合わせることにより
回収し精製することが可能である。
液の状態のもの、遠心分離などにより培養液から菌体を
分離したもの、または遠心分離後、菌体を洗浄し、緩衝
液もしくは水などに再懸濁したものを用いることが可能
であり、これら形態の微生物に式「1-A」および/また
は式「1-B」で表されるアミノ酸のエナンチオマー混合
物、式「1-A」および/または式「1-B」で表されるL-ア
ミノ酸を添加して反応させることが可能である。菌体は
生菌体のまま用いてもよく、また菌体破砕物、アセトン
処理、トルエン処理、または凍結乾燥などの処理を施し
たものを用いてもよい。微生物菌体はカラギーナンゲ
ル、アルギン酸ゲル、ポリアクリルアミドゲル、セルロ
ース、または寒天などに公知の方法で固定化して用いる
ことも可能であり、限外濾過膜などを用いて反応器中で
反応させることも可能である。反応液には基質であるア
ミノ酸エナンチオマー混合物の菌体内への透過性を高め
るために、塩化セチルピリジニウム、セチルトリメチル
アンモニウムブロミド、トライトン(Triton X)、ツイ
ーン(Tween)などの界面活性剤を0.001〜0.5% 程度添
加すると好ましい結果が得られる場合がある。また、反
応液の気相を窒素置換するか、または液面を流動パラフ
ィン等でシールすることによって、酸素を遮断すること
により好適な結果が得られることもある。反応温度は通
常5〜70℃、好ましくは25〜60℃である。反応pHは脱炭
酸を行う酵素が反応する範囲で適宜選択すればよく、通
常pH 5〜10、好ましくはpH 6〜9であり、反応は緩衝液
中またはpHスタットを用いて行われる。反応は静置して
行うことも可能であり、また振盪しながら、もしくは撹
拌しながら行うことも可能である。反応に用いる溶媒と
しては通常、水が用いられるが、反応に影響を与えない
範囲でアルコールなどの有機溶媒を添加して用いること
も可能である。生成したアミン、および残存したD-アミ
ノ酸は、限外濾過、濃縮、カラムクロマトグラフィー、
抽出、晶析など通常の方法を適宜組合わせることにより
回収し精製することが可能である。
【0019】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものでは
ない。
るが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものでは
ない。
【0020】本発明における、残存したアミノ酸の光学
純度の測定は「CROWNPAK CR(+)」(ダイセル化学工業
社製)を用いるHPLCにより行った(カラム:CROWNPAK C
R(+)(φ4.6×150mm)、移動相:過塩素酸水溶液(pH 2.
0)、温度:10℃、流速:1.0ml/min、検出:UV 220n
m)。
純度の測定は「CROWNPAK CR(+)」(ダイセル化学工業
社製)を用いるHPLCにより行った(カラム:CROWNPAK C
R(+)(φ4.6×150mm)、移動相:過塩素酸水溶液(pH 2.
0)、温度:10℃、流速:1.0ml/min、検出:UV 220n
m)。
【0021】また、基質として用いたアミノ酸および生
成したアミンの定量はODSカラムを用いる逆相HPLCによ
って行った(カラム:Wakosil ODS II HG(φ4.6×250m
m)、流速:1.0ml/min、検出:254nm)。この場合の移動
相および反応温度は基質に応じて以下のように行った。
即ち、トリプトファンおよびフェニルアラニンの場合に
は「移動相:50mM カリウムリン酸バッファー、pH 2.5
/アセトニトリル[9:1,v/v]、温度:50℃」、5-ヒドロ
キシトリプトファンの場合には、「移動相:50mM カリ
ウムリン酸バッファー(pH 2.5)、温度:45℃」、チロシ
ンおよびDOPA(3,4 ジヒドロキシフェニルアラニン)
の場合には、「移動相:50mM カリウムリン酸バッファ
ー(pH 2.5)、温度:20℃」の条件を用いた。
成したアミンの定量はODSカラムを用いる逆相HPLCによ
って行った(カラム:Wakosil ODS II HG(φ4.6×250m
m)、流速:1.0ml/min、検出:254nm)。この場合の移動
相および反応温度は基質に応じて以下のように行った。
即ち、トリプトファンおよびフェニルアラニンの場合に
は「移動相:50mM カリウムリン酸バッファー、pH 2.5
/アセトニトリル[9:1,v/v]、温度:50℃」、5-ヒドロ
キシトリプトファンの場合には、「移動相:50mM カリ
ウムリン酸バッファー(pH 2.5)、温度:45℃」、チロシ
ンおよびDOPA(3,4 ジヒドロキシフェニルアラニン)
の場合には、「移動相:50mM カリウムリン酸バッファ
ー(pH 2.5)、温度:20℃」の条件を用いた。
【0022】また、以下の実施例で用いている「菌体調
製用培地1」、「YM培地」の組成は以下の通り調製し
た。即ち、「菌体調製用培地 1」は、グルコースを24
g、酵母エキス(アサヒビール製)を19.2g、(NH4)2SO4
を2.4g、MgSO4・7H2Oを1.3g、FSアンチフォーム028(ダ
ウコーニング社製)を0.3g混合し、脱イオン水を添加し
て総容量1000mlとし、pH 6.0に調整した。一方、「YM培
地」は、グルコースを10g、酵母エキス(極東製薬社
製)を3g、麦芽エキス(極東製薬社製)を3g、ポリペプ
トン(日本製薬社製)を5g混合し、脱イオン水を添加し
て総容量1000mlとし、pH 6.0に調整した。なお、本実施
例において、「DL-」という表示はラセミ体を示す。
製用培地1」、「YM培地」の組成は以下の通り調製し
た。即ち、「菌体調製用培地 1」は、グルコースを24
g、酵母エキス(アサヒビール製)を19.2g、(NH4)2SO4
を2.4g、MgSO4・7H2Oを1.3g、FSアンチフォーム028(ダ
ウコーニング社製)を0.3g混合し、脱イオン水を添加し
て総容量1000mlとし、pH 6.0に調整した。一方、「YM培
地」は、グルコースを10g、酵母エキス(極東製薬社
製)を3g、麦芽エキス(極東製薬社製)を3g、ポリペプ
トン(日本製薬社製)を5g混合し、脱イオン水を添加し
て総容量1000mlとし、pH 6.0に調整した。なお、本実施
例において、「DL-」という表示はラセミ体を示す。
【0023】[実施例1] ジベレラ・フジクロイ(Gibb
erella fujikuroi)によるトリプタミンの製造 菌体調製用培地1をそれぞれ5mlずつ内径21mm試験管にい
れ、滅菌後、ジベレラ・フジクロイ(Gibberella fujik
uroi)IFO 9977、IFO 30336、IFO 30337、IFO31251、NR
IC 1240株を一白金耳植菌し、30℃で72時間振盪培養を
行った。培養液を2.0mlとり、5% Tween80溶液を0.1ml添
加し、30℃で15分間保温した。これを遠心分離して得た
生菌体をMcIlvaine緩衝液(0.2M Na2HPO4, 0.1M クエン
酸, pH 6.2)で2回洗浄後、同緩衝液に懸濁し1.0mlとし
た。これを内径15mm試験管にいれ、さらに2% DL-トリプ
トファン/0.4mM ピリドキサール-5'-リン酸懸濁液(McI
lvain緩衝液(pH 6.2)中)1.0mlを添加して、さらに流
動パラフィン2.0mlを重層し、30℃で17時間静置反応さ
せた。反応終了後、水相を取り出し、遠心分離にて上清
を分離し、HPLCにて生成したトリプタミン量を測定し
た。結果を表1に示す。
erella fujikuroi)によるトリプタミンの製造 菌体調製用培地1をそれぞれ5mlずつ内径21mm試験管にい
れ、滅菌後、ジベレラ・フジクロイ(Gibberella fujik
uroi)IFO 9977、IFO 30336、IFO 30337、IFO31251、NR
IC 1240株を一白金耳植菌し、30℃で72時間振盪培養を
行った。培養液を2.0mlとり、5% Tween80溶液を0.1ml添
加し、30℃で15分間保温した。これを遠心分離して得た
生菌体をMcIlvaine緩衝液(0.2M Na2HPO4, 0.1M クエン
酸, pH 6.2)で2回洗浄後、同緩衝液に懸濁し1.0mlとし
た。これを内径15mm試験管にいれ、さらに2% DL-トリプ
トファン/0.4mM ピリドキサール-5'-リン酸懸濁液(McI
lvain緩衝液(pH 6.2)中)1.0mlを添加して、さらに流
動パラフィン2.0mlを重層し、30℃で17時間静置反応さ
せた。反応終了後、水相を取り出し、遠心分離にて上清
を分離し、HPLCにて生成したトリプタミン量を測定し
た。結果を表1に示す。
【0024】
【表1】 [実施例2] フザリウム・オキシスポラム(Fusarium o
xysporum)などによるトリプタミンの製造 実施例1と同様にして、フザリウム・オキシスポラム(F
usarium oxysporum)IFO 30705、IFO 31630、フザリウ
ム・ソラニ(Fusarium solani)IFO 9975、アスペルギ
ルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)IFO 5375、IFO 42
65、JCM 2059、アスペルギルス・キャンディダス(Aspe
rgillus candidus)IFO 4309、IFO 8816、プレウロツス
・オストレアツス(Pleurotus ostreatus)IFO 6515、
ネクトリア・フラメア(Nectria flammea)IFO 9628、I
FO 30306の各菌体を5mlの菌体調製用培地1に一白金耳植
菌し、30℃で72時間振盪培養した。培養液を2.0mlと
り、5%Tween80溶液を0.1ml加え、30℃で15分間保温し
た。これを遠心分離して得た生菌体を100mM トリス-HCl
緩衝液(pH 8.0)にて2回洗浄後、同緩衝液に懸濁し1.0
mlとした。これを内径15mm試験管にいれ、さらに4% DL-
トリプトファン/0.4mMピリドキサール-5'-リン酸懸濁液
(100mM トリス-HCl緩衝液(pH 8.0)中)1.0mlを添加
して、さらに流動パラフィン2.0mlを重層し、30℃で17
時間静置反応させた。反応終了後、水相を取り出し、遠
心分離にて上清を分離し、HPLCにて生成したトリプタミ
ン量を測定した。結果を表2に示す。
xysporum)などによるトリプタミンの製造 実施例1と同様にして、フザリウム・オキシスポラム(F
usarium oxysporum)IFO 30705、IFO 31630、フザリウ
ム・ソラニ(Fusarium solani)IFO 9975、アスペルギ
ルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)IFO 5375、IFO 42
65、JCM 2059、アスペルギルス・キャンディダス(Aspe
rgillus candidus)IFO 4309、IFO 8816、プレウロツス
・オストレアツス(Pleurotus ostreatus)IFO 6515、
ネクトリア・フラメア(Nectria flammea)IFO 9628、I
FO 30306の各菌体を5mlの菌体調製用培地1に一白金耳植
菌し、30℃で72時間振盪培養した。培養液を2.0mlと
り、5%Tween80溶液を0.1ml加え、30℃で15分間保温し
た。これを遠心分離して得た生菌体を100mM トリス-HCl
緩衝液(pH 8.0)にて2回洗浄後、同緩衝液に懸濁し1.0
mlとした。これを内径15mm試験管にいれ、さらに4% DL-
トリプトファン/0.4mMピリドキサール-5'-リン酸懸濁液
(100mM トリス-HCl緩衝液(pH 8.0)中)1.0mlを添加
して、さらに流動パラフィン2.0mlを重層し、30℃で17
時間静置反応させた。反応終了後、水相を取り出し、遠
心分離にて上清を分離し、HPLCにて生成したトリプタミ
ン量を測定した。結果を表2に示す。
【0025】
【表2】 [実施例3] フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)I
FO 9975によるD−トリプトファンおよびトリプタミンの
製造 1.2Lミニジャー(丸菱バイエンジ社製)に菌体調製用培
地1を600ml張り込み、121℃で15分間滅菌した。冷却
後、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)IFO9975株
をYM培地(5ml/φ21mm試験管)で30℃にて24時間振盪培
養した液を6ml植菌し、30℃、600回転、1.0vvmで72時間
培養した。この培養液100mlを遠心分離し、50mlの100mM
トリス-HCl緩衝液, pH8.0で2回洗浄した後、同緩衝液に
懸濁し100mlとした。これにDL-トリプトファンの結晶2
g、10mM ピリドキサール-5'-リン酸溶液2mlを添加して
攪拌した。窒素ガスをわずかに通気しながら、マグネチ
ックスターラーで適宜攪拌し、30℃で48時間反応させ
た。反応液をHPLCで分析したところ、7.6g/lのトリプタ
ミンが生じていた(収率 48% )。残存するトリプトフ
ァンの濃度は10.2g/lで、その光学純度をHPLCで測定し
たところ、D-体95% eeであった。
FO 9975によるD−トリプトファンおよびトリプタミンの
製造 1.2Lミニジャー(丸菱バイエンジ社製)に菌体調製用培
地1を600ml張り込み、121℃で15分間滅菌した。冷却
後、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)IFO9975株
をYM培地(5ml/φ21mm試験管)で30℃にて24時間振盪培
養した液を6ml植菌し、30℃、600回転、1.0vvmで72時間
培養した。この培養液100mlを遠心分離し、50mlの100mM
トリス-HCl緩衝液, pH8.0で2回洗浄した後、同緩衝液に
懸濁し100mlとした。これにDL-トリプトファンの結晶2
g、10mM ピリドキサール-5'-リン酸溶液2mlを添加して
攪拌した。窒素ガスをわずかに通気しながら、マグネチ
ックスターラーで適宜攪拌し、30℃で48時間反応させ
た。反応液をHPLCで分析したところ、7.6g/lのトリプタ
ミンが生じていた(収率 48% )。残存するトリプトフ
ァンの濃度は10.2g/lで、その光学純度をHPLCで測定し
たところ、D-体95% eeであった。
【0026】[実施例4] フザリウム・ソラニ(Fusari
um solani)IFO 9975による種々のアミンの生産 実施例3で調製した培養液を2.0mlとり、5% Tween80溶
液を0.1ml添加し、30℃で15分間保温した。これを遠心
分離して得た生菌体を100mMトリス-HCl緩衝液(pH 8.
0)にて2回洗浄後、同緩衝液に懸濁し4.0mlとした。こ
れを1.0mlずつ内径15mm試験管4本にいれ、(1)50mM DL
-トリプトファン、(2)50mM DL-フェニルアラニン、
(3)25mM L-チロシン、(4)50mM DL-5-ヒドロキシト
リプトファンのそれぞれの溶液あるいは懸濁液(100mM
トリス-HCl緩衝液(pH 8.0)中0.4mM ピリドキサール-
5'-リン酸を含む)1.0mlを添加し、さらに流動パラフィ
ン2.0mlを重層し、30℃で17時間静置反応させた。ま
た、Tween80処理後の緩衝液を100mMホウ砂-KH2PO4緩衝
液, pH8.0に変えて調製した菌体には、(5)25mM L-DOP
A溶液/0.4mM ピリドキサール-5'-リン酸(100mM ホウ砂
-KH2PO4緩衝液, pH8.0中)を加えて同様に反応させた。
反応終了後、水相を取り出し、遠心分離にて上清を分
離、HPLCにて生成した各アミノ酸に対応するアミンを測
定した。結果を表3に示す。
um solani)IFO 9975による種々のアミンの生産 実施例3で調製した培養液を2.0mlとり、5% Tween80溶
液を0.1ml添加し、30℃で15分間保温した。これを遠心
分離して得た生菌体を100mMトリス-HCl緩衝液(pH 8.
0)にて2回洗浄後、同緩衝液に懸濁し4.0mlとした。こ
れを1.0mlずつ内径15mm試験管4本にいれ、(1)50mM DL
-トリプトファン、(2)50mM DL-フェニルアラニン、
(3)25mM L-チロシン、(4)50mM DL-5-ヒドロキシト
リプトファンのそれぞれの溶液あるいは懸濁液(100mM
トリス-HCl緩衝液(pH 8.0)中0.4mM ピリドキサール-
5'-リン酸を含む)1.0mlを添加し、さらに流動パラフィ
ン2.0mlを重層し、30℃で17時間静置反応させた。ま
た、Tween80処理後の緩衝液を100mMホウ砂-KH2PO4緩衝
液, pH8.0に変えて調製した菌体には、(5)25mM L-DOP
A溶液/0.4mM ピリドキサール-5'-リン酸(100mM ホウ砂
-KH2PO4緩衝液, pH8.0中)を加えて同様に反応させた。
反応終了後、水相を取り出し、遠心分離にて上清を分
離、HPLCにて生成した各アミノ酸に対応するアミンを測
定した。結果を表3に示す。
【0027】
【表3】 [実施例5] フザリウム・オキシスポラム(Fusarium o
xysporum)IFO 31630によるD-トリプトファンおよびト
リプタミンの製造 フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)IF
O 31630株を実施例3と同様にして培養し、活性菌体を
調製した。但し、培養時間は48時間とした。さらに、実
施例3と同様にして、同様の条件でDL-トリプトファン
に対して反応を行った。48時間反応後、反応液をHPLCで
分析したところ、6.9g/lのトリプタミンが生じていた
(収率44% )。残存するトリプトファンの濃度は10.8/l
で、その光学純度をHPLCで測定したところ、D-体81% ee
であった。
xysporum)IFO 31630によるD-トリプトファンおよびト
リプタミンの製造 フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)IF
O 31630株を実施例3と同様にして培養し、活性菌体を
調製した。但し、培養時間は48時間とした。さらに、実
施例3と同様にして、同様の条件でDL-トリプトファン
に対して反応を行った。48時間反応後、反応液をHPLCで
分析したところ、6.9g/lのトリプタミンが生じていた
(収率44% )。残存するトリプトファンの濃度は10.8/l
で、その光学純度をHPLCで測定したところ、D-体81% ee
であった。
【0028】[実施例6] フザリウム・オキシスポラム
(Fusarium oxysporum)IFO 31630による種々のアミン
の生産 実施例5で調製した菌体を用いて実施例4と同様の反応
を行った。結果を表4に示す。
(Fusarium oxysporum)IFO 31630による種々のアミン
の生産 実施例5で調製した菌体を用いて実施例4と同様の反応
を行った。結果を表4に示す。
【0029】
【表4】 [実施例7] ジベレラ・フジクロイ(Gibberella fujik
uroi)IFO 30337によるD-トリプトファンおよびトリプ
タミンの製造 1.2Lミニジャー(丸菱バイエンジ社製)に菌体調製用培
地1を600ml張り込み、121℃、15分間滅菌した。冷却
後、ジベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)IF
O 30337株をYM培地(25ml/坂口フラスコ)で30℃にて24
時間振盪培養した液を6ml植菌し、30℃、900回転、1.0v
vmで72時間培養した。この培養液全量を遠心分離し、同
量の脱イオン水で2回洗浄した後、脱イオン水に懸濁し2
00mlに合わせて菌体懸濁液を調製した。予め上記のミニ
ジャーに脱イオン水388ml、DL-トリプトファンの結晶6
g、10mM ピリドキサール-5'-リン酸溶液12mlを添加して
攪拌しておいた反応液に、先の菌体懸濁液200mlを添加
し、窒素ガスをわずかに通気しながら、200回転、40
℃、44時間反応した。尚、反応中のpHは10% H2SO4にて
6.2に調整した。反応終了液をHPLCで分析したところ、
3.8g/lのトリプタミンと4.7g/lのトリプトファンが残存
していた。D-トリプトファンの光学純度は99% ee以上で
あった。おのおのの収率は48% 、47% であった。
uroi)IFO 30337によるD-トリプトファンおよびトリプ
タミンの製造 1.2Lミニジャー(丸菱バイエンジ社製)に菌体調製用培
地1を600ml張り込み、121℃、15分間滅菌した。冷却
後、ジベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)IF
O 30337株をYM培地(25ml/坂口フラスコ)で30℃にて24
時間振盪培養した液を6ml植菌し、30℃、900回転、1.0v
vmで72時間培養した。この培養液全量を遠心分離し、同
量の脱イオン水で2回洗浄した後、脱イオン水に懸濁し2
00mlに合わせて菌体懸濁液を調製した。予め上記のミニ
ジャーに脱イオン水388ml、DL-トリプトファンの結晶6
g、10mM ピリドキサール-5'-リン酸溶液12mlを添加して
攪拌しておいた反応液に、先の菌体懸濁液200mlを添加
し、窒素ガスをわずかに通気しながら、200回転、40
℃、44時間反応した。尚、反応中のpHは10% H2SO4にて
6.2に調整した。反応終了液をHPLCで分析したところ、
3.8g/lのトリプタミンと4.7g/lのトリプトファンが残存
していた。D-トリプトファンの光学純度は99% ee以上で
あった。おのおのの収率は48% 、47% であった。
【0030】[実施例8] ジベレラ・フジクロイ(Gibb
erella fujikuroi)IFO 30337による種々のアミンの生
産 実施例7で調製した培養液を10.0mlとり、5% Tween80溶
液を0.5ml添加し、30℃で15分保温した。これを遠心分
離して得た生菌体をMcIlvaine緩衝液(0.2M Na2HPO4 -
0.1M クエン酸, pH 6.2)にて2回洗浄後、同緩衝液に懸
濁し5.0mlとした。これを1.0mlずつ内径15mm試験管5本
にいれ、(1)25mM L-トリプトファン、(2)25mM L-フ
ェニルアラニン、(3)25mM L-チロシン、(4)25mM L-
DOPAのそれぞれの溶液あるいは懸濁液(McIlvaine緩衝
液(pH 6.2)中0.4mM ピリドキサール-5'-リン酸を含
む)1.0mlを添加して、さらに流動パラフィン2.0mlを重
層し、30℃、1時間静置反応させた。反応終了後、水相
を取り出し、遠心分離にて上清を分離、HPLCにて生成し
た各アミノ酸に対応するアミンを測定した。結果を表5
に示す。
erella fujikuroi)IFO 30337による種々のアミンの生
産 実施例7で調製した培養液を10.0mlとり、5% Tween80溶
液を0.5ml添加し、30℃で15分保温した。これを遠心分
離して得た生菌体をMcIlvaine緩衝液(0.2M Na2HPO4 -
0.1M クエン酸, pH 6.2)にて2回洗浄後、同緩衝液に懸
濁し5.0mlとした。これを1.0mlずつ内径15mm試験管5本
にいれ、(1)25mM L-トリプトファン、(2)25mM L-フ
ェニルアラニン、(3)25mM L-チロシン、(4)25mM L-
DOPAのそれぞれの溶液あるいは懸濁液(McIlvaine緩衝
液(pH 6.2)中0.4mM ピリドキサール-5'-リン酸を含
む)1.0mlを添加して、さらに流動パラフィン2.0mlを重
層し、30℃、1時間静置反応させた。反応終了後、水相
を取り出し、遠心分離にて上清を分離、HPLCにて生成し
た各アミノ酸に対応するアミンを測定した。結果を表5
に示す。
【0031】
【表5】 [実施例9] D-トリプトファンの精製 実施例3の反応終了液50mlをとり、10% NaOHを添加して
pH10とし、トリプトファンを完全に溶解させた後、遠心
分離にて菌体を除去した。上清を限外濾過膜(アミコン
社製YM-10)を通してタンパク質などの高分子物質を除
去した。これに活性炭0.05gを添加して80℃、1時間加熱
攪拌後、室温まで冷却した後ろ過した。ろ液を酢酸でpH
6.0に中和し、析出したD-トリプトファンの結晶をろ
別、乾燥した。さらに、これを水から再結晶すること
で、白色結晶0.26gを得た。精製収率は50% であった。
化学純度98.0% 、CROWNPAK CR(+)による分析の結果、D
-トリプトファンの光学純度は99% e.e.以上であった。
pH10とし、トリプトファンを完全に溶解させた後、遠心
分離にて菌体を除去した。上清を限外濾過膜(アミコン
社製YM-10)を通してタンパク質などの高分子物質を除
去した。これに活性炭0.05gを添加して80℃、1時間加熱
攪拌後、室温まで冷却した後ろ過した。ろ液を酢酸でpH
6.0に中和し、析出したD-トリプトファンの結晶をろ
別、乾燥した。さらに、これを水から再結晶すること
で、白色結晶0.26gを得た。精製収率は50% であった。
化学純度98.0% 、CROWNPAK CR(+)による分析の結果、D
-トリプトファンの光学純度は99% e.e.以上であった。
【0032】[実施例10] トリプタミンの精製 実施例3の反応終了液50mlをとり、遠心分離にて菌体を
除去したのち、上清を限外濾過膜(アミコン社製YM-1
0)を通してタンパク質などの高分子物質を除去した。
これに、10% NaOHを加えてpH10とした後、トルエン50ml
で、3回抽出を行った。トルエン層を分離し、無水Na2SO
4にて乾燥後、減圧下に溶媒を留去し、残渣0.32gを得
た。精製収率は77% であった。化学純度92.0% であっ
た。
除去したのち、上清を限外濾過膜(アミコン社製YM-1
0)を通してタンパク質などの高分子物質を除去した。
これに、10% NaOHを加えてpH10とした後、トルエン50ml
で、3回抽出を行った。トルエン層を分離し、無水Na2SO
4にて乾燥後、減圧下に溶媒を留去し、残渣0.32gを得
た。精製収率は77% であった。化学純度92.0% であっ
た。
【0033】[実施例11] D-フェニルアラニンの精製 実施例7で調製した菌体を用いて、基質を18gのDL-フェ
ニルアラニンに代えた以外は実施例7と同様の方法で反
応を行った。反応終了液をHPLCで分析したところ、10.9
g/lのフェネチルアミンと14.5g/lのフェニルアラニンが
残存していた。D-フェニルアラニンの光学純度は99% ee
以上であった。各々の収率は49.5% 、48.3% であった。
ニルアラニンに代えた以外は実施例7と同様の方法で反
応を行った。反応終了液をHPLCで分析したところ、10.9
g/lのフェネチルアミンと14.5g/lのフェニルアラニンが
残存していた。D-フェニルアラニンの光学純度は99% ee
以上であった。各々の収率は49.5% 、48.3% であった。
【0034】[実施例12] L-体とD-体を基質とした
ときの活性の差 実施例2と同様にして、アスペルギルス・オリゼ(Aspe
rgillus oryzae)JCM2059、アスペルギルス・キャンデ
ィダス(Aspergillus candidus)IFO 8816、プレウロツ
ス・オストレアツス(Pleurotus ostreatus)IFO 651
5、ネクトリア・フラメア(Nectria flammea)IFO 3030
6の各菌体を5mlの菌体調製用培地1に一白金耳植菌し、7
2時間、30℃で振盪培養した。培養液を4.0mlとり、5% T
ween80溶液を0.2ml加え、30℃、15分保温した。これを
遠心分離して得た生菌体を100mMトリス-HCl緩衝液(pH
8.0)にて2回洗浄後、同緩衝液に懸濁し2.0mlとした。
これを内径15mm試験管に1.0mlずついれ、さらに1% L-ト
リプトファンあるいは1% D-トリプトファン/0.4mM ピリ
ドキサール-5'-リン酸懸濁液(100mM トリス-HCl緩衝液
(pH 8.0)中)1.0mlを加えて、さらに流動パラフィン
2.0mlを重層し、30℃、17時間静置反応させた。反応終
了後、水相を取り出し、遠心分離にて上清を分離し、HP
LCにて生成したそれぞれのトリプタミン量を測定した。
結果を表6に示す。
ときの活性の差 実施例2と同様にして、アスペルギルス・オリゼ(Aspe
rgillus oryzae)JCM2059、アスペルギルス・キャンデ
ィダス(Aspergillus candidus)IFO 8816、プレウロツ
ス・オストレアツス(Pleurotus ostreatus)IFO 651
5、ネクトリア・フラメア(Nectria flammea)IFO 3030
6の各菌体を5mlの菌体調製用培地1に一白金耳植菌し、7
2時間、30℃で振盪培養した。培養液を4.0mlとり、5% T
ween80溶液を0.2ml加え、30℃、15分保温した。これを
遠心分離して得た生菌体を100mMトリス-HCl緩衝液(pH
8.0)にて2回洗浄後、同緩衝液に懸濁し2.0mlとした。
これを内径15mm試験管に1.0mlずついれ、さらに1% L-ト
リプトファンあるいは1% D-トリプトファン/0.4mM ピリ
ドキサール-5'-リン酸懸濁液(100mM トリス-HCl緩衝液
(pH 8.0)中)1.0mlを加えて、さらに流動パラフィン
2.0mlを重層し、30℃、17時間静置反応させた。反応終
了後、水相を取り出し、遠心分離にて上清を分離し、HP
LCにて生成したそれぞれのトリプタミン量を測定した。
結果を表6に示す。
【0035】
【表6】
【0036】
【発明の効果】本発明により、工業的に耐えうるD-アミ
ノ酸およびアミンの製造方法が提供された。本発明によ
れば、フザリウム(Fusarium)属、ジベレラ(Gibberel
la)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、プレウロ
ツス(Pleurotus)属、またはネクトリア(Nectria)属
に属する微生物もしくはその処理物を用いることによ
り、式(1-A)および/または式(1-B)で表されるアミ
ノ酸のエナンチオマー混合物を立体選択的に脱炭酸する
ことができ、式(2-A)および/または式(2-B)で表さ
れるをアミンを容易に得ることが可能である。さらに、
同時に式(1-A)および/または式(1-B)で表されるア
ミノ酸のエナンチオマー混合物のうち、L-アミノ酸を選
択的に分解し、D-アミノ酸の存在比率を高めることがで
き、光学純度の高いD-アミノ酸を得ることが可能であ
る。
ノ酸およびアミンの製造方法が提供された。本発明によ
れば、フザリウム(Fusarium)属、ジベレラ(Gibberel
la)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、プレウロ
ツス(Pleurotus)属、またはネクトリア(Nectria)属
に属する微生物もしくはその処理物を用いることによ
り、式(1-A)および/または式(1-B)で表されるアミ
ノ酸のエナンチオマー混合物を立体選択的に脱炭酸する
ことができ、式(2-A)および/または式(2-B)で表さ
れるをアミンを容易に得ることが可能である。さらに、
同時に式(1-A)および/または式(1-B)で表されるア
ミノ酸のエナンチオマー混合物のうち、L-アミノ酸を選
択的に分解し、D-アミノ酸の存在比率を高めることがで
き、光学純度の高いD-アミノ酸を得ることが可能であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:645) (C12P 41/00 C12R 1:69) (C12P 41/00 C12R 1:66)
Claims (8)
- 【請求項1】 式(1-A)および/または式(1-B)で表
わされるアミノ酸のうち、L-アミノ酸を選択的に分解
し、式(2-A)および/または式(2-B)で表されるアミ
ンを生成する能力を有する微生物もしくはその処理物の
少なくとも一種を、式(1-A)および/または式(1-B)
で表わされるアミノ酸のエナンチオマー混合物に作用さ
せ残存するD-アミノ酸を回収することを特徴とするD-ア
ミノ酸の製造方法。 (式中RはHまたはOHを表す) (式中R1、R2はHまたはOHを表す) (式中RはHまたはOHを表す) (式中R1、R2はHまたはOHを表す) - 【請求項2】 微生物がフザリウム(Fusarium)属、ジ
ベレラ(Gibberella)属、アスペルギルス(Aspergillu
s)属、プレウロツス(Pleurotus)属、ネクトリア(Ne
ctria)属からなる群より選択される属に属する微生物
である、請求項1に記載の製造方法。 - 【請求項3】 微生物がフザリウム・オキシスポラム
(Fusarium oxysporum)、フザリウム・ソラニ(Fusari
um solani)、ジベレラ・フジクロイ(Gibberella fuji
kuroi)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryza
e)、アスペルギルス・キャンディダス(Aspergillus c
andidus)、プレウロツス・オストレアツス(Pleurotus
ostreatus)、ネクトリア・フラメア(Nectria flamme
a)からなる群より選択される種に属する微生物であ
る、請求項1に記載の製造方法。 - 【請求項4】 微生物がフザリウム・オキシスポラム
(Fusarium oxysporum)IFO 30705、IFO 31630、フザリ
ウム・ソラニ(Fusarium solani)IFO 9975、ジベレラ
・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)IFO 9977、IFO
30336、IFO 30337、IFO 31251、NRIC 1240、アスペルギ
ルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)IFO 5375、IFO 42
65、JCM 2059、アスペルギルス・キャンディダス(Aspe
rgilluscandidus)IFO 4309、IFO 8816、プレウロツス
・オストレアツス(Pleurotus ostreatus)IFO 6515、
ネクトリア・フラメア(Nectria flammea)IFO 9628、I
FO30306からなる群より選択される微生物である、請求
項1に記載の製造方法。 - 【請求項5】 式(1-A)および/または式(1-B)で表
わされるアミノ酸のうち、L-アミノ酸を選択的に分解
し、式(2-A)および/または式(2-B)で表されるアミ
ンを生成する能力を有する微生物もしくはその処理物の
少なくとも一種を、式(1-A)および/もしくは式(1-
B)で表わされるアミノ酸のエナンチオマー混合物、ま
たは式(1-A)および/もしくは式(1-B)で表わされる
光学的に純粋なL-アミノ酸に作用させることを特徴とす
る、式(2-A)または式(2-B)で表されるアミンの製造
方法。 - 【請求項6】 微生物が、フザリウム(Fusarium)属、
ジベレラ(Gibberella)属、アスペルギルス(Aspergil
lus)属、プレウロツス(Pleurotus)属、ネクトリア
(Nectria)属からなる群より選択される属に属する微
生物である、請求項5に記載の製造方法。 - 【請求項7】 微生物がフザリウム・オキシスポラム
(Fusarium oxysporum)、フザリウム・ソラニ(Fusari
um solani)、ジベレラ・フジクロイ(Gibberella fuji
kuroi)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryza
e)、アスペルギルス・キャンディダス(Aspergillus c
andidus)、プレウロツス・オストレアツス(Pleurotus
ostreatus)、ネクトリア・フラメア(Nectria flamme
a)からなる群より選択される種に属する微生物であ
る、請求項5に記載の製造方法。 - 【請求項8】 微生物がフザリウム・オキシスポラム
(Fusarium oxysporum)IFO 30705、IFO 31630、フザリ
ウム・ソラニ(Fusarium solani)IFO 9975、ジベレラ
・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)IFO 9977、IFO
30336、IFO 30337、IFO 31251、NRIC 1240、アスペルギ
ルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)IFO 5375、IFO 42
65、JCM 2059、アスペルギルス・キャンディダス(Aspe
rgilluscandidus)IFO 4309、IFO 8816、プレウロツス
・オストレアツス(Pleurotus ostreatus)IFO 6515、
ネクトリア・フラメア(Nectria flammea)IFO 9628、I
FO30306からなる群より選択される微生物である、請求
項5に記載の製造方法。
Priority Applications (3)
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EP98102525A EP0859060A3 (en) | 1997-02-14 | 1998-02-13 | Method of producing D-amino acid and amine |
US09/023,884 US6015698A (en) | 1997-02-14 | 1998-02-13 | Method of producing D-amino acid and method of producing amine |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9-30981 | 1997-02-14 | ||
JP3098197 | 1997-02-14 | ||
JP10030302A JPH10286098A (ja) | 1997-02-14 | 1998-02-13 | D−アミノ酸の製造方法、ならびにアミンの製造方法 |
US09/023,884 US6015698A (en) | 1997-02-14 | 1998-02-13 | Method of producing D-amino acid and method of producing amine |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH10286098A true JPH10286098A (ja) | 1998-10-27 |
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CN108558681A (zh) * | 2018-05-23 | 2018-09-21 | 精晶药业股份有限公司 | 一种酪胺的结晶方法 |
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DE69529514T2 (de) * | 1994-03-03 | 2003-11-20 | Daicel Chemical Industries, Ltd. | Verfahren zur herstellung von (r)-2-amino-1-phenylethanol oder seinen halogenierten derivaten, verfahren zur herstellung von optisch aktivem phenylserin und seinen halogenierten derivaten, und die neuartige verbindung 3-(3-chlorophenyl)serin |
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-
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- 1998-02-13 JP JP10030302A patent/JPH10286098A/ja active Pending
- 1998-02-13 US US09/023,884 patent/US6015698A/en not_active Expired - Fee Related
- 1998-02-13 EP EP98102525A patent/EP0859060A3/en not_active Withdrawn
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