JPH10282712A - 受像シート及びその表面抵抗値制御方法 - Google Patents

受像シート及びその表面抵抗値制御方法

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JPH10282712A
JPH10282712A JP9100810A JP10081097A JPH10282712A JP H10282712 A JPH10282712 A JP H10282712A JP 9100810 A JP9100810 A JP 9100810A JP 10081097 A JP10081097 A JP 10081097A JP H10282712 A JPH10282712 A JP H10282712A
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receiving sheet
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control layer
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Application number
JP9100810A
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English (en)
Inventor
Shinichi Kurokawa
黒川  真一
Masumi Nishizawa
麻純 西沢
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 トナー定着性が良好で画像品質に優れ、電子
写真複写機、プリンターにおける搬送適性が良好である
受像シート及びその表面抵抗値制御方法を提供すること
にある。 【解決手段】 基材の少なくとも一方の面に、受容層を
有する受像シートにおいて、該受像シートの最表面また
は該受容層の下に、π電子共役系構造を有する導電性高
分子材料を含有する帯電制御層が設けられていることを
特徴とする。また、受像シートの表面抵抗値制御方法に
おいて、基材の少なくとも一方の面に、受容層を有する
受像シートを使用し、該受像シートの最表面または該受
容層の下に、π電子共役系構造を有する導電性高分子材
料を含有する帯電制御層を設けることにより、該受像シ
ートの表面抵抗値を107 〜1013Ω/sqに収めるこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、受像シートとその
表面抵抗値制御方法に関し、さらに詳しくは、電子写真
方式で用いられる受像シートと、その表面抵抗値制御方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、電子写真方式を使用して、イエロ
ー、マゼンタ、シアンの3色または上記の3色にブラッ
クを加えた4色のトナーの混色によりフルカラー画像の
形成方法が実用化されている。この電子写真方式で用い
られる受像シートは、文字や画像などの記録情報を、確
実に記録保持するため、一般的に、基材上に、受容層を
形成した構成をとっている。この受像シートは、例え
ば、講演会、学校、企業、その他の説明会や展示会など
で使用されている情報伝達手段として、OHP(オーバ
ーヘッドプロジェクター)用で用いられている。電子写
真方式の印字機構は、感光体で形成した画像を受像シー
トに転写させる時に、帯電による電気的モーメントによ
りトナーを転写させるため、受像シートの表面抵抗値の
制御が必要になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の電子写
真方式で用いられる受像シートは、トナー定着性や電子
写真複写機、プリンターにおける搬送適性等にバランス
良く、優れたものがなく、特にトナーを重ねて定着する
フルカラーの方式に適したものがなかった。例えば、特
開昭48−81539号公報等では、トナー定着性を向
上し、かつ良好なシート搬送性を得るために、シートに
第4級アンモニウム塩基に代表されるような界面活性剤
を含有する樹脂溶液を塗工して、その表面固有抵抗を特
定の範囲に規定することが開示されている。しかし、上
記の界面活性剤は低分子量であり、表面抵抗値を下げる
ために、界面活性剤濃度を高くする必要があり、その塗
工面がべたついたり、シート保存時に界面活性剤が接触
面に移行して、表面抵抗値が変化してしまうという問題
がある。
【0004】受像シートの受容面及び裏面の表面抵抗値
が1014Ω以上になると、トナー転写時に、画像の乱れ
が生じたり、受像シートに埃等が付着し、画質を損なう
という問題がある。また、例えば、特開昭62−238
576号公報等では、帯電防止性能を有する樹脂とし
て、第4級アンモニウム塩基を有するアクリル樹脂を塗
工して電気抵抗を制御することが開示されている。この
アクリル樹脂は、接触面への移行の問題は解消される
が、イオン伝導性材料のため、シート周辺の環境(温
度、湿度)により表面抵抗値が変化してしまうという問
題がある。そこで、本発明の目的は、上記の問題を解決
するために、トナー定着性が良好で画像品質に優れ、電
子写真複写機、プリンターにおける搬送適性が良好であ
る受像シート及びその表面抵抗値制御方法を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、基材の少なくとも一方の面に、受容層を
有する受像シートにおいて、該受像シートの最表面また
は該受容層の下に、π電子共役系構造を有する導電性高
分子材料を含有する帯電制御層が設けられていることを
特徴とする。また、前記の導電性高分子材料が、スルホ
ン化ポリアニリンであることを特徴とする。また、前記
の帯電制御層中にスルホン化ポリアニリンが0.01〜
1.0μmの粒子として存在していることを特徴とす
る。さらに、表面抵抗値が、107 〜1013Ω/sqで
あることを特徴とする。また、前記の基材が透明である
ことを特徴とする。また、本発明は受像シートの表面抵
抗値制御方法において、基材の少なくとも一方の面に、
受容層を有する受像シートを使用し、該受像シートの最
表面または該受容層の下に、π電子共役系構造を有する
導電性高分子材料を含有する帯電制御層を設けることに
より、該受像シートの表面抵抗値を107 〜1013Ω/
sqに収めることを特徴とする。
【0006】本発明の作用は、以下の通りである。本発
明は、基材の少なくとも一方の面に、受容層を有する受
像シートにおいて、該受像シートの最表面または該受容
層の下に、π電子共役系構造を有する導電性高分子材料
を含有する帯電制御層が設けられていることにより、低
分子量でない導電性高分子材料を使用しているため、塗
工面がべたついたり、シート保存時に接触面に移行し
て、表面抵抗値が変化することがない。また、π電子共
役系構造を有する導電性高分子材料はイオン伝導性材料
ではなく、導電性ポリマーであるため、シート周辺の環
境(温度、湿度)が変化しても、表面抵抗値が変化する
ことがない。
【0007】また、基材の少なくとも一方の面に受容層
を有する受像シートを使用し、該受像シートの最表面ま
たは該受容層の下に、π電子共役系構造を有する導電性
高分子材料を含有する帯電制御層を設けることにより、
受像シートの表、裏の個々に帯電制御層のπ電子共役系
構造を有する導電性高分子材料の含有量、塗工量を制御
することで、受像シートの表面抵抗値を107 〜1013
Ω/sqに収めることができる。それは、受像シートの
表、裏独立して、異なった表面抵抗値に制御することが
でき、トナー定着性が良好で画像品質に優れ、電子写真
複写機、プリンターにおける搬送適性が良好である受像
シート及びその受像シートの表面抵抗値制御方法を提供
することが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、図面を基に、本発明の実施
の形態について説明する。図1は、本発明の受像シート
の一つの実施の形態を表す縦断面図である。基材1の一
方の面に、受容層2を設け、その受容層2の上に帯電制
御層3を設け、基材1の他方の面に、帯電制御層3′が
設けられた受像シートである。また、図2は、本発明の
受像シートの他の実施の形態を表す縦断面図である。基
材1の一方の面に、帯電制御層3を設け、その帯電制御
層3の上に受容層2を設け、基材1の他方の面に、帯電
制御層3′が設けられた受像シートである。
【0009】(基材)本発明の受像シートで用いられる
基材1としては、受像シートが例えばOHPシート用等
で透過光により記録画像を観察する用途では、透明性、
耐熱性、寸法安定性、剛性を備えた熱可塑性樹脂により
形成されたものが好ましい。具体的には、ポリエチレン
テレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル
樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ
スチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、二酢酸セルロース樹
脂、三酢酸セルロース樹脂等の、厚さ10〜250μm
程度、好ましくは50〜180μm程度のフィルム又は
シートが挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、
三酢酸セルロース樹脂が上記の性能の点でより好まし
い。
【0010】また、反射光により記録画像を観察する用
途では、これら樹脂シート又はフィルムは、着色剤等の
添加により白色等の不透明であることが好ましい。この
場合は、基材1は合成紙、コート紙等の紙類であっても
よい。また、半透明の基材とすれば、電飾用途にも使用
できる。尚、基材1上に形成される層との密着性を向上
させる目的で、基材1の表面にプライマー処理やコロナ
放電処理等の公知の易接着処理を施しても良い。
【0011】(受容層)基材の少なくとも一方の面に設
ける受容層2は、トナー定着性を有し、特にフルカラー
電子写真方式のOHP用途では、カラートナーの濡れ性
に優れた樹脂が好ましい。したがって、アクリル系樹脂
等も受容層として使用できるが、上記の性能の点で、ポ
リエステル樹脂が良く、中でも本出願人が特願平6−3
6609号で開示した特定のポリエステル樹脂が好まし
い。すなわち、ポリエステル樹脂として、化学式1で表
されるエチレングリコールまたはプロピレングリコール
で変性した変性ビスフェノールAを、ジオール成分とし
て用いたポリエステル樹脂が優れたトナー定着性を有す
る。また、化学式2は係る変性ビスフェノールAの具体
的化合物である。プロピレングリコール変性ビスフェノ
ールAを表す。
【0012】
【化1】 (式中Rはエチレンまたはプロピレン基、x、yは1以
上5以下の整数かつxとyの平均値が1〜3である。)
【0013】
【化2】
【0014】一方、ポリエステル樹脂の酸成分として
は、特に制限はなく、例えば、フマル酸、フタル酸、テ
レフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、コハク酸、ア
ジピン酸、シトラコン酸、イタコン酸、セバシン酸、マ
ロン酸、ヘキサカルボン酸等を用いることができる。係
るポリエステル樹脂の中でも前記化学式2で表すプロピ
レングリコール変性ビスフェノールAをジオール成分と
して用い、フマル酸を酸成分として用いた樹脂が、トナ
ーのバインダー樹脂との相溶性が良く、トナー定着性及
びトナー濡れ性が良く、良好な複写画像を与える。
【0015】また、受容層2には上記ポリエステル樹脂
に加えて、他に樹脂を併用することもできる。例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹
脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル
樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル
酸エステル等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポ
リアミド樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと
他の重合性モノマーとの共重合体、エチルセルロース、
酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、アイオノマー、
ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート等の上記以外のポリエステ
ル樹脂である。
【0016】また、受容層2に有機微粒子や無機微粒子
のいずれか一方または両方を含有させると、搬送適性を
向上させることができる。有機微粒子としては、四フッ
化エチレン樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体
等のフッ素系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹
脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ベンゾグアナミン
樹脂等の有機樹脂からなる微粒子が挙げられる。一方、
無機微粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アル
ミナ、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、タルク、二
酸化チタン、炭酸カルシウム等が挙げられる。また、含
有させる微粒子の平均粒径は0.1〜10μmの範囲が
好ましい。平均粒径が0.1μm未満であると、所望の
効果が充分に得られず、また10μmを越えても画像ヌ
ケを起こしたり、OHPに使用する時の透明感が低下す
るので好ましくない。また、微粒子の含有量は受容層形
成樹脂に対して0.1〜10重量%の範囲が好ましい。
含有量が多すぎると、透明性が低下し、特に透明性が要
求される場合にはヘイズを10以下に抑えるべく、含有
量上限は3重量%とすることが好ましい。また、含有量
が少なすぎると、所望の搬送適性の向上効果が得られな
い。
【0017】また、受容層には上記微粒子の他、各種界
面活性剤、帯電防止剤、ワックス、オイル等の添加剤を
本発明の効果を妨げない範囲で混合使用しても良い。受
容層の形成は、上記樹脂成分、その他必要に応じて微粒
子、各種添加剤などを有する塗液を、グラビア印刷、シ
ルクスクリーン印刷等の公知の印刷手段、あるいは、グ
ラビアコート等の公知の塗工手段により形成し、厚さは
乾燥時で1〜10μm程度とする。
【0018】(帯電制御層)本発明の受像シートは、受
像シートの最表面または受容層の下に、π電子共役系構
造を有する導電性高分子材料を含有する帯電制御層3が
設けられている。すなわち、本発明の帯電制御層3は、
図1に示すように、受像シートの基材1に対して受容層
2側の最表面に設けたり、図2に示すように受容層2と
基材1の間に設けて、受像シートのおもて面の表面抵抗
値の制御を行う。また、帯電制御層3′は、図1、2に
示すように、受像シートの裏面の最表面に設けて、受像
シート裏面の表面抵抗値の制御を行う。但し、基材裏面
の表面抵抗値が高くない場合、帯電制御層3′は適宜省
略することができる。受像シートのおもて面の表面抵抗
値の制御を行う場合、おもて面は電子写真複写機、プリ
ンターによるトナー定着が施されるため、帯電制御層3
を受容層2側の最表面に設ける時には、塗工量を抑える
か、基材1と受容層2の間に帯電制御層3を設けること
が好ましい。それは、トナー定着の機能を受容層2が充
分に発揮できるようにして、トナー定着の阻害を防止し
て画像濃度不足等をなくすことができるからである。
【0019】帯電制御層3は、基材及び/または受容層
に良好な接着性を有するバインダーと、帯電防止剤とし
てのπ電子共役系構造を有する導電性高分子材料を主体
として形成する。但し、π電子共役系構造を有する導電
性高分子材料単体で接着する場合は、バインダーなしで
帯電制御層3を形成してもよい。上記の基材及び/また
は受容層に良好な接着性を有するバインダーとしては、
例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポ
リアクリル系樹脂、ポリビニルホルマール系樹脂、エポ
キシ系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリアミド
系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ス
チレン−アクリル共重合体系樹脂等が挙げられるが、こ
れらの中ではカルボキシル基を有する水溶性若しくは水
分散性ポリエステル樹脂が、基材に対する密着性、スル
ホン化ポリアニリンとの相溶性等の点で特に好ましく、
例えば、日本合成化学工業(株)等からポリエスターW
R−961等の商品名で入手して本発明で使用すること
ができる。
【0020】帯電防止剤として使用するπ電子共役系構
造を有する導電性高分子材料としては、具体的には、例
えばスルホン化ポリアニリン、化学的にドーピングした
ポリアセチレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリパ
ラフェニレンスルフィド、化学的に重合とドーピングし
たポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、熱処
理により生成したフェノール樹脂の熱処理物、ポリアミ
ドの熱処理物、ペリレン酸無水物の熱処理物等が挙げら
れる。上記のπ電子共役系構造を有する導電性高分子材
料として、特にスルホン化ポリアニリンが有用である。
スルホン化ポリアニリンとしては、種々のものが知られ
ているが、一例として下記化学式3で表されるスルホン
化ポリアニリンが挙げられる。
【化3】 (上記式において、x、y及びnは、分子量が約300
〜10,000になる値である。)
【0021】上記スルホン化ポリアニリンは水またはア
ルカリ水を含む溶媒中に可溶であり、分子内塩またはア
ルカリ塩を形成して溶解する。これらのスルホン化ポリ
アニリンは、例えば、日東化学工業(株)からアクアー
SAVE−01Zの商品名で、かつ水溶液や水と有機溶
剤との混合溶媒の溶液として入手して本発明で使用する
ことができる。これらの溶液は黄色を帯びた溶液である
が、濃度が低い場合には殆ど無色の溶液であり、OHP
シート用等で透過光により記録画像を観察する用途で
は、受像シートに透明性が要求されるが、問題なく、使
用することができる。
【0022】本発明の帯電制御層3は、上記のバインダ
ーと上記π電子共役系構造を有する導電性高分子材料を
主成分として形成され、形成方法としては水を含む溶
媒、例えば、水と、メタノール、エタノール、イソプロ
ピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等の水溶
性有機溶剤との混合物に前記バインダー及び前記π電子
共役系構造を有する導電性高分子材料を溶解又は分散し
た塗工液を作製する。この塗工液には、塗工時における
基材の濡れ性向上のために界面活性剤や、気泡を抑制す
るための消泡剤等の任意の添加剤を加えることができ
る。特に、界面活性剤としてはリン酸エステル系の界面
活性剤の使用が好ましい。
【0023】帯電制御層用塗工液の組成としては、バイ
ンダー樹脂が約0.5〜10重量%、好ましくは0.7
5〜2重量%、π電子共役系構造を有する導電性高分子
材料(固形分)は約0.01〜3重量%、好ましくは
0.01〜1重量%、界面活性剤が約0〜2重量%、好
ましくは0.2〜1重量%及び残量の溶媒からなる組成
が好ましい。特に帯電防止剤がスルホン化ポリアニリン
である場合には、帯電制御層用塗工液中におけるスルホ
ン化ポリアニリンが0.01〜1.0μmの粒子として
存在するように溶媒組成を選択することによって最も優
れた帯電防止効果が得られる。すなわち、スルホン化ポ
リアニリンは水溶性であるが、水溶性有機溶剤には不溶
性であり、塗工液の調整に際して水と水溶性有機溶剤と
の混合比を調節し、場合によっては適当な界面活性剤を
併用することによって、スルホン化ポリアニリンを微細
な粒子の分散状態とすることができる。液媒体としての
水と有機溶剤との混合比によって、塗工液中のスルホン
化ポリアニリンの粒度分布を変えることができる。
【0024】例えば、水/IPA=40/60の塗工液
では、スルホン化ポリアニリンの粒子が約0.04μm
と約5μmを中心とした二つの別れた粒度分布が見られ
るため、あまり好ましくない。それは、二つの別れた粒
度分布を有するスルホン化ポリアニリンの粒子が、塗工
液中で均一に分散されにくく、特殊な塗工条件によって
のみ、本発明の帯電制御層の機能を果たすことができる
からである。それに対し、例えば水/IPA=47/5
3〜60/40の塗工液では、スルホン化ポリアニリン
の粒子が0.01〜1.0μmの間に分布され、好まし
く用いられる。但し、塗工液に界面活性剤を併用する
と、水と有機溶剤との混合比によるスルホン化ポリアニ
リンの粒度分布が変化するため、界面活性剤の添加につ
いても配合量に注意する必要がある。
【0025】帯電制御層の形成は、上記塗工液を受像シ
ートの最表面または受容層の下に、例えば、グラビアコ
ーター、ロールコーター、ワイヤーバー等の慣用の塗工
方式で塗工及び乾燥して行われる。帯電制御層の塗工量
は、塗工液の固形分として約0.05〜1.0μm、好
ましくは0.1〜0.5μmの範囲であり、塗工量が上
記範囲より少ないと、帯電制御層としての性能が不十分
であり、一方、塗工量が上記範囲より多くても、その厚
みに比例して上記性能が向上する訳ではないので、経済
的に不利であるばかりでなく、電子写真複写機、プリン
ターによる画像の濃度が低下するので好ましくない。
【0026】(表面抵抗値制御方法)本発明の受像シー
トの表面抵抗値制御方法は、基材の少なくとも一方の面
に、受容層を有する受像シートを使用し、該受像シート
の最表面または該受容層の下に、π電子共役系構造を有
する導電性高分子材料を含有する帯電制御層を設けるこ
とにより、該受像シートの表面抵抗値を107 〜1013
Ω/sqに収めるものである。その制御方法は、受像シ
ートの表、裏の個々に帯電制御層のπ電子共役系構造を
有する導電性高分子材料の含有量、塗工量を制御するこ
とで、受像シートの表面抵抗値を107 〜1013Ω/s
qに収めることができる。帯電制御層のπ電子共役系構
造を有する導電性高分子材料の含有量、塗工量の範囲に
ついては、前記の帯電制御層で説明したので、ここでは
省略するが、変更できる範囲内で含有量、塗工量を調節
することにより、受像シートの表面抵抗値を107 〜1
13Ω/sqに収めるものである。
【0027】受像シートのおもて面及び裏面の表面抵抗
値すなわち面積抵抗は、受容層、帯電制御層、基材等の
各層の厚みと、帯電制御層におけるπ電子共役系構造を
有する導電性高分子材料と混合する樹脂の比率と、帯電
制御層の水と有機溶剤と界面活性剤の混合比率によっ
て、帯電制御層の導電性を適宜調整することにより、所
望の面積抵抗に制御することができる。例えば、帯電制
御層の厚みを増やせば面積抵抗は低下する。図2に示す
ような帯電制御層3が基材1と受容層2との間に存在す
る場合、受像シートのおもて面(受容層2の最表面)と
帯電制御層3との界面との距離の大小と面積抵抗の大小
は逆の関係で制御できる。
【0028】仮に、図2に示すような構成の受像シート
において、裏面の面積抵抗に合わせて帯電制御層3の厚
みを設定した場合、おもて面の面積抵抗が適性値より外
れる場合には、目標値よりも下がり過ぎたならば、受容
層2の厚みを厚くし、逆に目標値よりも大きすぎたなら
ば、受容層2の厚みを少なくするか、受容層2の上にさ
らに帯電制御層を設ければ良い。受像シートの表面抵抗
値が107 Ω/sqより低いと、画像不良(画像ヌケ)
が生じやすく、逆に1×1013Ω/sqを越えると画像
不良(濃度不足)、静電気発生や滑性不足により電子写
真複写機、プリンターにおける搬送不良が起こりやす
い。
【0029】
【実施例】次に実施例をあげて、本発明を具体的に説明
する。尚、文中、部または%とあるのは、特に断りのな
い限り重量基準である。 (実施例1)下記に示す基材、受容層塗工液、帯電制御
層塗工液1、1′を用いて、図1に示すような構成の実
施例1の受像シートを作製した。但し、帯電制御層塗工
液1は受容層の上に設けるもので、帯電制御層塗工液
1′は受像シート裏面に設けるものである。また、実施
例1の受像シートでは、図1の基材1と帯電制御層3′
の間に、下記組成の検知マーク用インキを用いて検知マ
ークを設けた。また、受容層の厚み(乾燥時、以下同
様)は3μm、帯電制御層3、3′の厚みは両方とも
0.3μm、検知マークの厚みは3μmである。
【0030】基材 厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム受容層塗工液 ポリエステル樹脂 30部 (フマル酸とプロピレングリコール変性ビスフェノールAとの重合物、ガラス 転移温度60℃、軟化点100℃) シリカ微粒子(平均粒径5μm) 0.15部 メチルエチルケトン 35部 トルエン 35部
【0031】帯電制御層塗工液1 スルホン化ポリアニリン 0.46部(固形分) (日東化学工業(株)製 SAVE−01Z、固形分10%水溶液) 水溶性ポリエステル 2.4部(固形分) (日本合成化学(株)製 ポリエスターWR−961、固形分30重量%) リン酸エステル系界面活性剤 0.01部 (第一工業製薬(株)製 プライサーフ217E) 水 36.53部 IPA 60.6部
【0032】帯電制御層塗工液1′ スルホン化ポリアニリン 0.76部(固形分) (日東化学工業(株)製 SAVE−01Z、固形分10%水溶液) 水溶性ポリエステル 2.42部(固形分) (日本合成化学(株)製 ポリエスターWR−961、固形分30重量%) リン酸エステル系界面活性剤 0.02部 (第一工業製薬(株)製 プライサーフ217E) 水 36.3部 IPA 60.5部
【0033】検知マーク用インキ アルミニウムペースト 12部 酸化チタン 20部 マイクロシリカ 5部 ウレタン樹脂 10部 ポリエチレンワックス 2部 カーボンブラック 2部 メチルエチルケトン 27部 トルエン 27部
【0034】(実施例2)図2に示すような構成の実施
例2の受像シートを作製した。但し、基材と受容層塗工
液は、実施例1と同様のものを使用した。また、基材1
と受容層2との間の帯電制御層3は、実施例1で使用し
た帯電制御層塗工液1を用い、受像シート裏面の帯電制
御層3′は実施例1で使用した帯電制御層塗工液1′を
用いて形成した。また、実施例2の受像シートでは、図
2の基材1と帯電制御層3′の間に、実施例1で使用し
た検知マーク用インキを用いて検知マークを設けた。
尚、受容層の厚み、帯電制御層3、3′の厚み、検知マ
ークの厚み全てについて、実施例1と同様である。
【0035】(実施例3)実施例1の帯電制御層塗工液
1を下記組成の帯電制御層塗工液2に変更し、帯電制御
層3の塗工量を1μmにした以外は実施例1と同様に
て、実施例3の受像シートを作製した。帯電制御層塗工液2 スルホン化ポリアニリン 0.05部(固形分) (日東化学工業(株)製 SAVE−01Z、固形分10%水溶液) 水溶性ポリエステル 2.4部(固形分) (日本合成化学(株)製 ポリエスターWR−961、固形分30重量%) リン酸エステル系界面活性剤 0.01部 (第一工業製薬(株)製 プライサーフ217E) 水 36.89部 IPA 60.6部
【0036】(比較例1)実施例1の帯電制御層塗工液
1を下記組成の帯電制御層塗工液3に変更し、また実施
例1の帯電制御層塗工液1′を下記組成の帯電制御層塗
工液3′に変更し、両方の帯電制御層の塗工量を0.0
1μmにした以外は実施例1と同様にて、比較例1の受
像シートを作製した。帯電制御層塗工液3 4級アンモニウム系界面活性剤(松本油脂(株)製 TB−34) 0.1部 IPA 200部 帯電制御層塗工液3 ′ 4級アンモニウム系界面活性剤(松本油脂(株)製 TB−34) 0.1部 IPA 200部
【0037】(比較例2)実施例1の帯電制御層塗工液
1を下記組成の帯電制御層塗工液4に変更し、また実施
例1の帯電制御層塗工液1′を下記組成の帯電制御層塗
工液4′に変更し、両方の帯電制御層の塗工量を0.0
1μmにした以外は実施例1と同様にて、比較例2の受
像シートを作製した。帯電制御層塗工液4 4級アンモニウム塩化アクリルポリマー 1部 (三菱化学(株)製 サフトマー2500) IPA 100部 帯電制御層塗工液4 ′ 4級アンモニウム塩化アクリルポリマー 1部 (三菱化学(株)製 サフトマー2500) IPA 75部
【0038】上記の実施例及び比較例の受像シートを用
いて、下記の方法にて、帯電防止剤移行性、表面抵抗値
環境依存性、トナー定着性及び画像品質の評価を実施し
た。 (評価方法)帯電防止剤移行性 受像シート100枚を積み重ね、平置きにして40℃9
0%RHの環境下で、48時間放置した後、23℃60
%RHの環境下で表面抵抗率を測定した。判断基準は以
下の通りである。 ○:放置前と放置後で23℃60%RHの環境下で表面
抵抗率の変化が、±1×101 Ω/sq未満である。 ×:放置前と放置後で23℃60%RHの環境下で表面
抵抗率の変化が、±1×101 Ω/sq以上である。
【0039】表面抵抗値環境依存性 受像シートをそれぞれ10℃20%RH、23℃60%
RH及び30℃80%RHの環境に1時間放置後、その
環境下で表面抵抗率を測定した。
【0040】トナー定着性 カシオ計算機(株)製フルカラープリンターPAGEP
RESTO N4にて、カラーチャートを印画し、トナ
ー定着性をセロハンテープ剥離にて評価した。(トナー
定着部にセロハンテープを手の親指で1回擦りつけ、手
で90°剥離した。) その判断基準は以下の通りである。 ◎:トナーの剥がれが目視にて認められない。 ○:トナーの剥がれが目視にて、ほとんど認められな
い。 △:トナーが一部剥がれる箇所が、目視にて認められ
る。
【0041】画像品質 カシオ計算機(株)製フルカラープリンターPAGEP
RESTO N4にて、10℃20%RH、23℃60
%RH及び30℃80%RHの各環境下でカラーチャー
トを印画し、画像品質の評価を行った。その判断基準は
以下の通りである。 ○:色再現性に優れ、濁りがない。 ×:色再現性が悪く、濁りがある。
【0042】(評価結果)各実施例及び比較例の評価結
果を表1及び表2に示す。 (以下余白)
【0043】
【表1】 (以下余白)
【0044】
【表2】
【0045】以上の通り、実施例1、3は、受像シート
のおもて面において、帯電制御層を受容層の上に設け
て、受像シートの最表面に存在するため、トナー定着を
行う受容層が、その帯電制御層の下にあるため、トナー
定着が少し弱い結果となっている。また、実施例2で
は、受像シートのおもて面において、帯電制御層が受容
層と基材との間に存在して、トナー定着の機能を発揮す
る受容層が受像シートの最表面に存在するため、トナー
定着が完全に行われる。比較例1では、低分子量の4級
アンモニウム系界面活性剤を帯電防止剤として使用して
いるため、界面活性剤が接触面に移行しやすくなってい
る。また、比較例2では、帯電防止剤として第4級アン
モニウム塩基を有するアクリル樹脂を使用しているた
め、イオン伝導性材料のため、保存環境(温度、湿度)
の変化に対し表面抵抗値が変化しやすい結果となってい
る。
【0046】
【発明の効果】本発明の受像シートは、基材の少なくと
も一方の面に、受容層を有し、該受像シートの最表面ま
たは該受容層の下に、π電子共役系構造を有する導電性
高分子材料を含有する帯電制御層が設けられているの
で、トナー定着性が良好で画像品質に優れ、電子写真複
写機、プリンターにおける搬送適性が良好となる。さら
に、本発明の受像シートの表面抵抗値制御方法は、基材
の少なくとも一方の面に、受容層を有する受像シートを
使用し、該受像シートの最表面または該受容層の下に、
π電子共役系構造を有する導電性高分子材料を含有する
帯電制御層を設けることにより、受像シートの表、裏の
個々に帯電制御層のπ電子共役系構造を有する導電性高
分子材料の含有量、塗工量を制御することで、受像シー
トの表面抵抗値を107 〜1013Ω/sqに収めること
ができる。すなわち、受像シートの表、裏独立して、異
なった表面抵抗値に制御することができ、トナー定着性
が良好で画像品質に優れ、電子写真複写機、プリンター
における搬送適性が良好である受像シート及びその受像
シートの表面抵抗値制御方法を提供することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の受像シートの一つの実施の形態を表す
縦断面図である。
【図2】本発明の受像シートの他の実施の形態を表す縦
断面図である。
【符号の説明】
1 基材 2 受容層 3、3′ 帯電制御層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の少なくとも一方の面に、受容層を
    有する受像シートにおいて、該受像シートの最表面また
    は該受容層の下に、π電子共役系構造を有する導電性高
    分子材料を含有する帯電制御層が設けられていることを
    特徴とする受像シート。
  2. 【請求項2】 前記の導電性高分子材料が、スルホン化
    ポリアニリンであることを特徴とする上記の請求項1に
    記載する受像シート。
  3. 【請求項3】 前記の帯電制御層中にスルホン化ポリア
    ニリンが0.01〜1.0μmの粒子として存在してい
    ることを特徴とする上記の請求項2に記載する受像シー
    ト。
  4. 【請求項4】 表面抵抗値が、107 〜1013Ω/sq
    であることを特徴とする上記の請求項1〜3のいずれか
    に記載する受像シート。
  5. 【請求項5】 前記の基材が透明であることを特徴とす
    る上記の請求項1〜4のいずれかに記載する受像シー
    ト。
  6. 【請求項6】 基材の少なくとも一方の面に、受容層を
    有する受像シートを使用し、該受像シートの最表面また
    は該受容層の下に、π電子共役系構造を有する導電性高
    分子材料を含有する帯電制御層を設けることにより、該
    受像シートの表面抵抗値を107 〜1013Ω/sqに収
    めることを特徴とする受像シートの表面抵抗値制御方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005247986A (ja) * 2004-03-03 2005-09-15 Gunze Ltd 半導電性芳香族アミド酸組成物及びそれを用いた半導電性無端管状ポリイミドフイルムの製造方法
JP2010255002A (ja) * 2010-08-06 2010-11-11 Gunze Ltd 半導電性芳香族アミド酸組成物及びそれを用いた半導電性無端管状ポリイミドフイルムの製造方法
US8097693B2 (en) 2004-03-03 2012-01-17 Gunze Limited Endless tubular polyimide film

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