JPH11272006A - 記録用シート及びその製造方法 - Google Patents

記録用シート及びその製造方法

Info

Publication number
JPH11272006A
JPH11272006A JP7166298A JP7166298A JPH11272006A JP H11272006 A JPH11272006 A JP H11272006A JP 7166298 A JP7166298 A JP 7166298A JP 7166298 A JP7166298 A JP 7166298A JP H11272006 A JPH11272006 A JP H11272006A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording sheet
polythiophene
layer
formula
charge control
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7166298A
Other languages
English (en)
Inventor
Masafumi Hayashi
雅史 林
Masumi Nishizawa
麻純 西澤
Noritaka Egashira
典孝 江頭
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP7166298A priority Critical patent/JPH11272006A/ja
Publication of JPH11272006A publication Critical patent/JPH11272006A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 周囲環境が変化しても性能バランスが安定し
ており、しかも透明性が良好な記録用シート(特に電子
写真記録用シート)とその製造方法を提供する。 【解決手段】 静電潜像を利用する記録用シートであっ
て、帯電制御剤として下記式(1)で表わされる繰り返
し単位からなるポリチオフェンを含有する層を有する。
ポリチオフェンを溶解又は分散してなる塗工液を、基材
シート上に直接又は他の層を介して塗布し、乾燥させ
る。 【化1】 [R1及びR2は、独立して水素又はC1〜4のアルキ
ル、或いは、一緒になって置換されていてもよいC1〜
4のアルキレンを形成する。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電潜像をトナー
現像して形成した可視像を転写記録するための記録用シ
ートに関し、とりわけ電子写真方式の記録に用いられる
記録用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】最近、電子写真方式を利用して、イエロ
ー、マゼンタ、シアンの3色またはさらにブラックを加
えた4色のトナーによりフルカラー画像を形成する方法
が実用化されている。電子写真方式によれば、通常の印
字物のほかにOHP(オーバーヘッドプロジェクター)
用の印字物も作成することができる。OHPは、講演
会、学校、企業、或いは各種の説明会や展示会等におい
て便利な情報伝達手段として利用されている。電子写真
方式で用いられる記録用シートにおいては、文字や画像
等の視覚的に認識できる情報を確実に記録保持するため
に、基材シート上にトナー受容層を形成するのが一般的
である。
【0003】電子写真方式の印字機構においては、感光
体上の静電潜像にトナーを引き寄せて形成した可視画像
を記録用シートに転写する時に、帯電による電気的モー
メントを利用して感光体上のトナーを記録用シート表面
に移行させるので、記録用シートの受像面と背面の表面
電気抵抗によって画質が著しく左右される。また、記録
用シート表面の電気抵抗が適切でないと、記録用シート
が帯電によって複写機やプリンター内での搬送経路の途
中に貼り付いて搬送性が損なわれることがある。このた
め、電子写真方式においては、記録用シートの表面抵抗
値を適切に制御する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】電子写真記録用シート
の受像面と背面の電気抵抗値を制御するために、従来か
ら、帯電制御剤をトナー受容層中に添加したり、帯電制
御剤を含有する帯電制御層の薄膜をトナー受容層上に設
けたりしている。しかし、電子写真方式に用いられる従
来の記録用シートの中には、トナー定着性や、電子写真
複写機或いはプリンター内での搬送適性などのバランス
のとれた帯電制御剤がなく、特に、異なる色のトナーを
重ねて定着させるフルカラー方式に用いる際にバランス
のとれたものはなかった。
【0005】例えば、特開昭48−81539号公報等
には、トナー定着性を向上させ且つ良好な搬送性を得る
ために、記録用シート上に第4級アンモニウム塩基等の
界面活性剤を含有する樹脂溶液を塗工して、その表面固
有抵抗を特定の範囲に規定することが開示されている。
しかし、上記の界面活性剤は低分子量であることから、
表面抵抗値を下げるために界面活性剤濃度を高くすると
塗工面がベタついたり、記録用シートの保存中に当該記
録用シートと接触する種々の場所に界面活性剤が移行し
て表面抵抗値が変化してしまうという問題がある。
【0006】また、例えば、特開昭62−238576
号公報等には、記録用シート上に帯電防止性を有する樹
脂として第4級アンモニウム塩基を有するアクリルポリ
マーを塗工して、電気抵抗を制御することが開示されて
いる。このようなアクリルポリマーは低分子材料とは異
なり塗工部から別の場所に移行することがない。しかし
ながら、特開昭48−81539号公報に示された第4
級アンモニウム塩基も、特開昭62−238576号公
報に示されたアクリルポリマーも、イオン伝導性材料で
あり、記録用シートの周囲環境(温度や湿度など)によ
って表面抵抗値が変化してしまうという問題をかかえて
いる。イオン伝導性材料は、原理的に湿度変化によって
抵抗率が3〜4桁変化するので、多種多様な環境下で常
に一定の画像品質を得ることが困難である。
【0007】本発明は上記実状に鑑みて成し遂げられた
ものである。すなわち本発明の目的は、トナー定着性が
良好で画像品質に優れ、電子写真複写機或いはプリンタ
ー内での搬送性も良好であり、低分子帯電制御剤を用い
る場合に生じるような不都合がなく、しかも、周囲環境
が変化しても良好な性能バランスを安定的に保持し続け
られる記録用シート、好ましくはOHP等においても使
用できる透明性を有する記録用シートを提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明においては、静電潜像をトナー現像して形成
した可視像を転写記録するための記録用シート、例え
ば、電子写真方式などで用いられる記録用シートであっ
て、帯電制御剤として次の式(1)
【化3】 [式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素又
は炭素数1〜4のアルキル基を表わすか、或いは、一緒
になって置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキレ
ン基を形成する。]で表わされる繰り返し単位からなる
ポリチオフェンを含有する層を有することを特徴とする
記録用シートを提供する。
【0009】ここで、ポリチオフェンを含有する層は、
専用の帯電制御層であってもよいし、トナー受容層やプ
ライマー層や背面層等のように別の層を兼ねるものであ
ってもよい。ポリチオフェンは、例えばトナー受容層中
に含有されていてもよい。ポリチオフェンが当該トナー
受容層の表面寄りの部分だけに含有されていてもよい。
また、ポリチオフェンを含有する帯電制御層が、記録用
シートの受像面側に設けられた前記トナー受容層の上か
又は背面側に設けられていてもよい。また或いは、トナ
ー受容層がプライマー層を介して前記基材シートに形成
され、当該プライマー層中にポリチオフェンが含有され
ていてもよい。
【0010】本発明で用いられるポリチオフェンはπ共
役2重結合を有する電子伝導性ポリマーであり、従来の
イオン伝導性材料とは異なり、環境変化、特に湿度変化
によっても帯電制御能力が変動しにくく、周囲環境が変
化しても常にほぼ一定の帯電制御性を発揮する。従っ
て、かかるポリチオフェンを記録用シートの帯電制御剤
として用いることにより、周囲環境の変化に影響される
ことなく、常にトナー定着性が良好で画像品質に優れ、
且つ、電子写真複写機或いはプリンター内での搬送性も
良好な記録用シートが得られる。
【0011】また、かかるポリチオフェンは透明性が高
いので、OHP用の記録用シートを作成するのにも利用
できる。本発明に係る記録用シートに特に透明性が求め
られる場合には、その光線透過率を70%以上にするこ
とができる。
【0012】さらに、かかるポリチオフェンはポリマー
であり、従来の低分子帯電制御剤とは異なり帯電制御層
からブリードアウトしにくいので、記録用シートのベタ
ツキや、保存中における帯電制御能力の低下や、ブリー
ドアウトした帯電制御剤によるトナー受容層の汚染(裏
移り)をほとんど起こさない。
【0013】本発明においては、前記記録用シートの少
なくとも受像面側の表面電気抵抗率を、10℃30%R
H〜30℃80%RHの環境下で常に107〜1013Ω
/sq(Ω/squar、Ω/□)の範囲にあり、且
つ、変動量が二桁以内になるように調節するのが好まし
い。上記ポリチオフェンは環境変化の影響を受けにくい
ので、このように調節することが可能であり、従って、
環境変化の影響を受けることなく常に良好な性能バラン
スを保持し続ける記録用シートが得られる。
【0014】本発明に係る記録用シートの好適な製造方
法は、帯電制御剤として上記のポリチオフェンを溶解又
は分散してなる塗工液を、基材シート上に直接又は他の
層を介して塗布し、乾燥させることによって帯電制御性
を有する層を形成することを特徴とする。
【0015】上記のポリチオフェンは、水、又は、水と
水混和性有機溶剤(例えば、メタノール、エタノール、
アセトン等)の混合溶剤中に、ポリ陰イオンの共存下で
部分的に正の電荷を帯びて溶解又は分散する。従って、
かかるポリチオフェンを含有する帯電制御層用塗工液又
は受容層用塗工液などの塗工液を調製して記録シートの
基材シート上に塗布することにより、ポリチオフェンを
含有する層を容易に形成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、電子写真記録用シートの具
体例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。なお、
本発明に係る記録用シートは、静電潜像をトナー現像し
て形成した可視像を転写記録するための記録用シート全
般を包含しており、電子写真記録用シートだけに限定さ
れるものではない。
【0017】図1、図2及び図3は、それぞれ本発明に
係る電子写真記録用シート1A、1B、1Cの断面を模
式的に示した図である。
【0018】図1の電子写真記録用シート(1A)にお
いては、基材シート2の一方の面に画像形成が可能なト
ナー受容層3が設けられ、他方の面に帯電制御層4が設
けられている。トナー受容層の表面寄りの部分3bと帯
電制御層4には、帯電制御剤として次の式(1)
【化4】 [式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素又
は炭素数1〜4のアルキル基を表わすか、或いは、一緒
になって置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキレ
ン基を形成する。]で表わされる繰り返し単位からなる
ポリチオフェンが含有されている。ポリチオフェンは、
トナー受容層中に均一に分布していてもよいし、図1に
示すようにトナー受容層の表面寄りの部分3bに偏在し
ていてもよい。なお、図1においてトナー受容層の下側
の部分3aには、ポリチオフェンが含有されていない。
【0019】図2の電子写真記録用シート(1B)にお
いては、基材シート2の一方の面にトナー受容層3が設
けられ、さらにその上に式(1)で表わされる繰り返し
単位からなるポリチオフェンを含有する帯電制御層5が
設けられている。電子写真記録用シート(1B)のトナ
ー受容層3にはポリチオフェンが含有されていない。一
方、基材シート2の他方の面にも、式(1)で表わされ
る繰り返し単位からなるポリチオフェンを含有する帯電
制御層4が設けられている。
【0020】図3の電子写真記録用シート(1C)にお
いては、基材シート2の一方の面に、プライマー層6を
介してトナー受容層3が設けられている。プライマー層
6には、帯電制御剤として式(1)で表わされる繰り返
し単位からなるポリチオフェンが含有されている。電子
写真記録用シート(1C)のトナー受容層3にはポリチ
オフェンが含有されていない。一方、基材シート2の他
方の面にも、式(1)で表わされる繰り返し単位からな
るポリチオフェンを含有する帯電制御層4が設けられて
いる。
【0021】基材シートの受像面側に設けられたポリチ
オフェンを含有する層は、主に受像面の表面電気抵抗値
を調節するのに機能し、背面側に設けられたポリチオフ
ェンを含有する層は、主に背面の表面電気抵抗値を調節
するのに機能する。従って、ポリチオフェンを含有する
層を受像面と背面の両方に設けるのが好ましい。ただ
し、基材シートの背面側の表面電気抵抗値がそれほど高
くない場合には、背面側にポリチオフェンを含有する層
を設けなくてもよい。
【0022】記録用シートの受像面にはトナーが定着す
る。そこで、受像面のトナー定着性を十分に確保して画
像濃度を高めるために、帯電制御性を有する層を基材シ
ートとトナー受容層の間に設けるのが好ましい。また、
帯電制御層を受像層の上に設ける場合には、同様の観点
から帯電制御層の塗工量を少なめに抑えるのが好まし
い。
【0023】本発明に係る記録用シートは、帯電制御剤
として下記式(1)で表わされる繰り返し単位からなる
ポリチオフェンを含有する層を少なくとも1層有してい
る。ポリチオフェンを含有する層は、専用の帯電制御層
であってもよいし、受容層やプライマー層やカール防止
層を兼ねるものであってもよい。
【0024】
【化5】
【0025】式(1)において、R1及びR2は、それぞ
れ独立して水素又は炭素数1〜4のアルキル基を表わす
か、或いは、一緒になって置換されていてもよい炭素数
1〜4のアルキレン基を形成する。
【0026】炭素数1〜4のアルキル基としては、例え
ば、メチル基、エチル基等を例示することができる。
【0027】炭素数1〜4のアルキレン基としては、例
えば、アルキル置換されていてもよいメチレン;それぞ
れ炭素数1〜12のアルキル基又はフェニル基で置換さ
れていてもよい1,2−エチレン又は1,3−プロピレ
ン;1,2−シクロヘキシレン;2,3−ブチレン;
2,3−ジメチル−2,3−ブチレン;2,3−ペンチ
レン等を例示することができる。1,2−エチレン等の
1,2−アルキレン基は、エテン、プロプ−1−エン、
ヘキシ−1−エン、オクト−1−エン、デス−1−エ
ン、ドデス−1−エン等のα−オレフィン或いはスチレ
ンを臭素化して得られる1,2−ジブロモアルカンから
誘導することができる。アルキレン基の中では、メチレ
ン、1,2−エチレン、及び1,3−プロピレンが好ま
しく、1,2−エチレンが特に好ましい。
【0028】式(1)で表わされる繰り返し単位からな
るポリチオフェンは、π共役2重結合を有する電子伝導
性ポリマーであり、従来のイオン伝導性材料とは異なり
環境変化によっても帯電制御能力が変動しにくく、周囲
環境が変化しても常にほぼ一定の帯電制御性を発揮す
る。従って、かかるポリチオフェンを記録用シートの帯
電制御剤として用いることにより、周囲環境の変化に影
響されることなく、常にトナー定着性が良好で画像品質
に優れ、且つ、電子写真複写機或いはプリンター内での
搬送性も良好な記録用シートが得られる。
【0029】また、かかるポリチオフェンは透明性が高
いので、OHP用の記録用シートを作成するのにも利用
できる。本発明に係る記録用シートに特に透明性が求め
られる場合には、その光線の透過率を70%以上にする
ことができる。なお、カーボンブラックは電子伝導性或
いは金属伝導性を有しているが、透明性が無いので、ポ
リチオフェンのようにOHP用に利用することはできな
い。
【0030】さらに、かかるポリチオフェンはポリマー
であり、従来の低分子帯電制御剤とは異なり帯電制御層
からブリードアウトしにくいので、記録用シートのベタ
ツキや、保存中における帯電制御能力の低下や、ブリー
ドアウトした帯電制御剤によるトナー受容層の汚染(裏
移り)をほとんど起こさない。
【0031】本発明においては、式(1)で表わされる
ポリチオフェンにより、記録用シートの少なくとも受像
面側の表面電気抵抗率を、10℃30%RH〜30℃8
0%RHの環境下で常に107〜1013Ω/sq、特
に、1010〜1012Ω/sqの範囲にあり、且つ、変動
量が二桁以内となるように調節するのが好ましい。ここ
で、「変動量を二桁以内となるようにする」とは、変動
する表面電気抵抗率の最小値がa(Ω/sq)、最大値
がb(Ω/sq)であるときに、b/a≦100の関係
が成立するように調節することを意味する。
【0032】受像面側の表面電気抵抗率が107Ω/s
q未満であると、転写効率が低下し、記録濃度が低下し
やすい。一方、1013Ω/sqを超えると、トナー転写
後に感光体から用紙を剥離する時に放電が発生してトナ
ーが飛散し、文字や画像が乱れる。また、埃も付着し易
くなる。そのため、画質や鮮明性が低下しやすい。
【0033】記録用シートの受像面側の表面電気抵抗率
と背面側の表面電気抵抗率を両方とも上記のように調節
すれば、なおさら好ましい。通常、記録用シートの受像
面側にはトナー受容層及びその他の層が形成され、背面
側には受像面側とは異なる層が形成されているので、受
像面側本来の表面電気抵抗率と、背面側本来の表面電気
抵抗率とは異なっていることが多い。従って、受像面側
と背面側にそれぞれ帯電制御性を有する層を設けて、両
者それぞれの表面電気抵抗率を別個に調節するのが好ま
しい。
【0034】記録用シートの受像面、背面それぞれの表
面電気抵抗率すなわち面積抵抗は、帯電制御性を有する
層の導電性を変えることにより制御できる。例えば、帯
電制御層の厚みを増やせば、その導電性が高くなって面
積抵抗が低下する。帯電制御性を有する層の導電性は、
トナー受容層、帯電制御層、基材シート等の厚みや、帯
電制御層におけるポリチオフェンと他の樹脂の配合比
や、帯電制御層用塗工液中の水と有機溶剤と界面活性剤
の混合比率などの諸条件によって変えることができる。
【0035】図3に示した記録用シート1Cのように、
帯電制御性を有する層(プライマー層6)が基材シート
2とトナー受容層3の間に設けられている場合には、ト
ナー受容層と帯電制御性を有する層の界面と記録用シー
トの受像面(露出面)の間の距離の大小と、面積抵抗値
の大小とは、逆の関係で制御できる。すなわち、受像面
の面積抵抗が目標値よりも低すぎる場合にはトナー受容
層をもっと厚くし、逆に目標値よりも高すぎる場合に
は、トナー受容層をもっと薄くするか或いはトナー受容
層の上にも帯電制御層を設ければよい。
【0036】上記のポリチオフェンは、水、又は、水と
水混和性有機溶剤(例えば、メタノール、エタノール、
アセトン等)の混合溶剤中に、ポリ陰イオンの共存下で
部分的に正の電荷を帯びて溶解又は分散する。従って、
かかるポリチオフェンを含有する帯電制御層用塗工液又
は受容層用塗工液などの塗工液を調製して記録シートの
基材シート上に塗布することにより、ポリチオフェンを
含有する層を容易に形成することができる。
【0037】ポリ陰イオンの供給源としては、例えば、
ポリスチレンスルホン酸のような高分子スルホン酸、ポ
リアクリル酸のような高分子カルボン酸、ポリりん酸、
或いはそれらのアルカリ塩、とりわけ分子量が2,00
0〜500,000のものを用いることができる。好ま
しいポリ陰イオンはポリスチレンスルホン酸である。分
散体を調製する場合には、かかる分散体中のポリチオフ
ェンの平均粒径を10μm以下とするのが好ましい。ポ
リチオフェンの溶液又は分散体は、市販品を入手するこ
とも可能であり、例えば、バイエル社から「バイトロン
P(BaytronP)」の商品名で入手できる。
【0038】ポリチオフェンを含有する層を形成するた
めの塗工液は、水又は水と有機溶剤を混合してなる水性
溶剤にポリチオフェンとその他の成分を加えるか、又
は、ポリチオフェンの溶液又は分散体と他の塗工液(例
えば受容層用塗工液)とをあらかじめ別個に調製してお
いてから両者を混合するなどして調製する。市販品のポ
リチオフェンの溶液又は分散体を使用する場合には、必
要に応じて水、水混和性有機溶剤、又は水と有機溶媒を
混合してなる水性溶剤で希釈したり、他の成分を添加し
たり、他の塗工液と混合したりして、ポリチオフェンを
含有する層を形成するための塗工液を調製する。
【0039】そして、このようにして調製した塗工液
を、基材シートの表面又は基材シート上に設けられてい
る他の層の上に塗布又は吹きかけた後、乾燥・固化させ
ることによってポリチオフェンを含有する層を形成する
ことができる。
【0040】トナー受容層にポリチオフェンを含有させ
る場合には、トナー受容層用塗工液中に、インキ中の樹
脂固形分1重量部に対してポリチオフェンを通常は1〜
200重量部、好ましくは5〜100重量部の割合でポ
リチオフェンを混合する。ポリチオフェンの量が少なす
ぎると帯電制御効果が十分に発現しなくなる。また、ポ
リチオフェンの量が多すぎると着色が強くなり、その結
果、トナー受容層の透明性が損なわれたり、或いは、所
望する抵抗率が得られなくなる。
【0041】なお、トナー受容層の表面寄りの部分にだ
けポリチオフェンを含有させるには、トナー受容層用塗
工液の塗布作業を2〜3回程度に分けて行ない、初期の
塗布作業ではポリチオフェンを含有していないトナー受
容層用塗工液を塗布し、最後の1回分の塗布作業の時だ
けポリチオフェンを含有するトナー受容層用塗工液を塗
布すればよい。
【0042】プライマー層にポリチオフェンを添加する
場合には、バインダー樹脂1重量部に対してポリチオフ
ェンを通常は1〜200重量部、好ましくは5〜100
重量部の割合とする。この場合の塗工量は、固形分とし
て通常約0.01〜5g/m 2、好ましくは約0.1〜
1g/m2とする。塗工量が上記の範囲未満だとプライ
マー層及び帯電制御層としての性能が不十分になりやす
く、一方、上記範囲を超えても、それに見合うだけの性
能向上は期待できないので不経済である。
【0043】ポリチオフェンをトナー受容層やプライマ
ー層等に含有させるのではなく、ポリチオフェンを含有
する専用の帯電制御層を設ける場合には、水又は水と有
機溶剤を混合してなる水性溶剤にポリ陰イオンの共存下
でポリチオフェンを溶解又は分散した塗工液を塗布す
る。帯電制御層中のポリチオフェンの添加量は、バイン
ダー樹脂1重量部に対してポリチオフェンを通常は1〜
200重量部、好ましくは5〜100重量部とする。塗
布量は、固形分として通常0.001〜0.2g/
2、好ましくは0.005〜0.1g/m2とする。
【0044】以下において、本発明に係る電子写真記録
用シートの各部の構成について順次説明することとす
る。
【0045】[基材シート]本発明にかかる電子写真記
録用シートの基材シート2としては、当該記録用シート
の用途が例えばOHPシートやバックライトフィルムの
ように透過光で観察するものである場合には、透明性、
耐熱性、寸法安定性、剛性を備えた熱可塑性プラスチッ
クであることが好ましい。具体的には、ポリエチレンテ
レフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹
脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチ
レン樹脂、ジアセテートセルロース樹脂、トリアセテー
トセルロース樹脂等からなり、厚さが10〜250μ
m、好ましくは50〜180μm程度のプラスチックフ
ィルム又はプラスチックシートを例示することができ
る。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート樹
脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、トリア
セテートセルロース樹脂が、上記の要求性能の点で好ま
しい。
【0046】また、記録用シートの用途が例えば専用
紙、光沢紙、ラベル紙等のように透明性が要求されない
場合には、基材シートとして上記の透明性基材シートだ
けでなく、ポリスチレン系のような合成紙、上質紙、ア
ート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用
紙、合成樹脂含浸紙、エマルジョン樹脂含浸紙、合成ゴ
ムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙、白色プラ
スチックフィルム、発泡フィルム等の白色又は着色され
た紙、フィルム、シートを用いることができる。また、
半透明の基材シートであれば、電飾用途の印字物にも使
用できる。
【0047】基材シートとインク受容層との密着性が不
充分な場合には、基材シートの表面にプライマー処理や
コロナ放電処理を施したり、プライマー層を設けるのが
好ましい。
【0048】[トナー受容層]基材シートの少なくとも
一面に設けるトナー受容層3は、トナー定着性を有する
樹脂で形成される。特にフルカラー電子写真方式のOH
P用途では、カラートナーの濡れ性に優れた樹脂が好ま
しく用いられる。トナー受容層は、アクリル樹脂で形成
してもよいが、上記要求性能の観点からポリエステル樹
脂で形成するのが好ましく、特に本出願人が特願平6−
36609号で開示したポリエステル樹脂が好ましい。
【0049】すなわち、次の式(2)で表わされる変性
ビスフェノールAをジオール成分として用いたポリエス
テル樹脂は、優れたトナー定着性を有しており好まし
い。この式(2)で表わされる変性ビスフェノールA
は、ビスフェノールAをエチレングリコール又はプロピ
レングリコールで変性させたものである。また、式
(3)の化合物はプロピレングリコール変性ビスフェノ
ールAであり、これは式(2)の化合物の具体例であ
る。
【0050】
【化6】 [式(2)中、R3はエチレン又はプロピレンを表わ
し、x及びyはそれぞれ独立して1以上5以下の整数を
示し、且つ、xとyの平均値は1〜3である。]
【0051】
【化7】
【0052】一方、ポリエステル樹脂の酸成分は特に制
限されず、例えば、フマル酸、フタル酸、テレフタル
酸、イソフタル酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン
酸、シトラコン酸、イタコン酸、セバシン酸、マロン
酸、ヘキサカルボン酸等を用いることができる。
【0053】かかるポリエステル樹脂の中でも、前記式
(3)のプロピレングリコール変性ビスフェノールAを
ジオール成分とし、フマル酸を酸成分として用いたもの
が、トナーのバインダー樹脂との相溶性が良く、トナー
定着性及びトナー濡れ性も良く、良好な複写画像を与え
る。
【0054】トナー受容層3を形成するには、ポリエス
テル樹脂とともに他の樹脂を併用することができる。例
えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィ
ン樹脂;塩化ビニル樹脂;塩化ビニリデン樹脂;酢酸ビ
ニル樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;ポリアク
リル酸エステル等のアクリル樹脂;ポリスチレン樹脂;
ポリアミド樹脂;エチレンやプロピレン等のオレフィン
モノマーと他の重合性モノマーとの共重合体;エチルセ
ルロースや酢酸セルロース等のセルロース樹脂;アイオ
ノマー;ポリカーボネート樹脂;ポリエチレンテレフタ
レートやポリブチレンテレフタレート等の上記した以外
のポリエステル樹脂等を併用することができる。
【0055】トナー受容層3に有機微粒子及び/又は無
機微粒子を含有させると、記録用シートの搬送性を向上
できる。有機微粒子としては、四フッ化エチレン樹脂や
エチレン−四フッ化エチレン共重合体等のフッ素系樹
脂;ポリエチレン樹脂;ポリスチレン樹脂;アクリル樹
脂;ポリアミド樹脂;ベンゾグアナミン樹脂等の有機樹
脂からなる微粒子を例示できる。無機微粒子としては、
シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、カオリン、クレ
ー、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、炭酸カル
シウム等を例示できる。有機又は無機微粒子の平均粒径
は0.1〜10μmの範囲が好ましい。平均粒径が0.
1μm未満では所望の効果が十分に得られないことが多
く、一方、10μmを超えると画像抜けを起こしたり、
OHP用としては不適切なほどに透明性が低下すること
が多い。微粒子の含有量は、受容層形成用樹脂に対して
0.1〜10重量%の範囲が好ましい。微粒子の量が多
すぎると透明性が低下し、一方、少なすぎると搬送適性
が十分に向上しない。透明性が特に要求される場合に
は、ヘイズを10以下に抑えるべく、3重量%以下とす
るのが好ましい。
【0056】トナー受容層3には、さらに各種の界面活
性剤、帯電防止剤、ワックス、オイル等の添加剤を、本
発明の効果を妨げない範囲内で添加することができる。
トナー受容層は、樹脂成分及びその他の所望成分を含有
する塗工液を、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷等
の公知の印刷手段、或いは、グラビアコート等の公知の
塗工手段により形成することができる。トナー受容層の
厚さは、乾燥時で1〜10μm程度とする。
【0057】トナー受容層にポリチオフェンを含有させ
る場合には、トナー受容層用塗工液中に、インキ中の樹
脂固形分1重量部に対してポリチオフェンを通常は1〜
200重量部、好ましくは5〜100重量部の割合でポ
リチオフェンを混合する。ポリチオフェンの量が少なす
ぎると帯電制御効果が十分に発現しなくなる。また、ポ
リチオフェンの量が多すぎると着色が強くなり、その結
果、トナー受容層の透明性が損なわれたり、或いは、所
望する抵抗率が得られなくなる。
【0058】[プライマー層]プライマー層6を基材シ
ートとトナー受容層の間に設けて、トナー受容層の密着
性を高めることができる。プライマー層は、基材シート
とトナー受容層の両方に良好な接着性を有するバインダ
ーを主体として形成される。プライマー層に帯電制御性
を持たせるために式(1)で表わされる繰り返し単位か
らなるポリチオフェンを添加してもよい。
【0059】プライマー層のバインダーとしては、例え
ば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリア
クリル系樹脂、ポリビニルホルマール系樹脂、エポキシ
系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリアミド系樹
脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレ
ン−アクリル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重
合体系樹脂(EVA系樹脂)等を例示できる。これらの
中でもポリエステル系樹脂やポリウレタン系樹脂は、基
材シートに対する密着性、ポリチオフェンとの相溶性な
どの点で好ましく、例えば、東洋紡(株)から「バイロ
ン」及び「バイロナール」の商品名で入手することがで
きる。
【0060】プライマー層は、例えば、バインダーと必
要に応じてポリチオフェンやその他の成分を、水を含む
溶媒(水とメタノール、エタノール、イソプロピルアル
コール、ノルマルプロピルアルコール等の水混和性有機
溶媒の混合物など)に溶解又は分散させて塗工液を調製
し、グラビアコーティング、ロールコーティング、ワイ
ヤーバーコーティング等の公知の方法で基材シート上に
塗布し、乾燥させることによって形成できる。
【0061】プライマー層用の塗工液には、基材シート
の濡れ性向上のための界面活性剤や、気泡を抑制するた
めの消泡剤等の任意の添加剤を添加できる。界面活性剤
としては、りん酸エステル系界面活性剤を好ましく使用
できる。また、プライマー層の接着性、塗膜強度を向上
させるために、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、イソシア
ネート化合物等の硬化剤を塗工液中に添加し、塗布後に
加熱や電離放射線等によりプライマー層の樹脂を架橋さ
せてもよい。
【0062】プライマー層の厚みは、乾燥時で0.1〜
10μm、好ましくは0.2〜5μmとするのがよい。
この厚みが0.1μm未満になると、接着性が十分でな
いことが多く、一方、10μmを超えると記録用シート
を裁断するときにベタついて手間がかかるので好ましく
ない。
【0063】プライマー層にポリチオフェンを添加する
場合には、バインダー樹脂1重量部に対してポリチオフ
ェンを通常は1〜200重量部、好ましくは5〜100
重量部の割合とする。この場合の塗工量は、固形分とし
て通常約0.01〜5g/m 2、好ましくは約0.1〜
1g/m2とする。塗工量が上記の範囲未満だとプライ
マー層及び帯電制御層としての性能が不十分になりやす
く、一方、上記範囲を超えても、それに見合うだけの性
能向上は期待できないので不経済である。
【0064】[帯電制御層]ポリチオフェンをトナー受
容層やプライマー層等に含有させるのではなく、ポリチ
オフェンを含有する専用の帯電制御層を設けてもよい。
帯電制御層は、例えばトナー受容層の上又は基材シート
の背面側に形成される。
【0065】ポリチオフェンを含有する帯電制御層を設
ける場合には、水又は水と有機溶剤を混合してなる水性
溶剤にポリ陰イオンの共存下でポリチオフェンを溶解又
は分散した塗工液を、基材シート表面又はトナー受容層
のような他の層の上に、グラビアコート、グラビアリバ
ースコート、ロールコート等の方法で塗布したり又はス
プレー法等で吹きかけた後、乾燥・固化させる。帯電制
御層用の塗工液には、バインダー等の樹脂成分やその他
の所望成分を添加してもよい。
【0066】帯電制御層中のポリチオフェンの添加量
は、バインダー樹脂1重量部に対してポリチオフェンを
通常は1〜200重量部、好ましくは5〜100重量部
とする。塗布量は、固形分として通常0.001〜0.
2g/m2、好ましくは0.005〜0.1g/m2とす
る。また、帯電制御層の厚みは、通常、乾燥時で0.0
01〜0.1μm程度とする。
【0067】なお、本発明においては、本発明の効果を
妨げない範囲内であれば、式(1)で表わされる繰り返
し単位からなるポリチオフェン以外の従来公知の帯電制
御剤を併用してもよい。
【0068】
【実施例】以下において、本発明に係る記録用シートに
ついて実施例を通じてさらに詳述する。
【0069】[実施例1]基材フィルムとして厚さ10
0μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラ
ー、東レ製)を準備し、その一面側に下記組成の受容層
用塗工液1をグラビアコート法で塗布・乾燥して、乾燥
時厚さが2μmの受容層を有する記録用シートを得た。
【0070】〈受容層用塗工液1〉 ・ポリエステル樹脂水溶液(テレフタル酸−ジエチレン
グリコール共重合ポリエステルの30重量%水溶液):
10重量部 ・ポリチオフェン(Baytron P 1%水溶液):50重
量部 ・イソプロパノール/水(1/1):40重量部
【0071】[実施例2]受容層用途工液1に変えて、
下記組成の受容層塗工液2を使用したほかは実施例1と
同様に行なって、乾燥時厚さが2μmの受容層を有する
記録用シートを得た。
【0072】〈受容層用塗工液2〉 ・ポリエステル樹脂水溶液(テレフタル酸−ジエチレン
グリコール共重合ポリエステルの30重量%水溶液):
10重量部 ・ポリチオフェン(Baytron P 1%水溶液):5重量
部 ・イソプロパノール/水(1/1):85重量部
【0073】[実施例3]受容層用途工液1に変えて、
下記組成の受容層塗工液3を使用したほかは実施例1と
同様に行なって、乾燥時厚さが2μmの受容層を有する
記録用シートを得た。
【0074】〈受容層用塗工液3〉 ・ポリエステル樹脂水溶液(テレフタル酸−ジエチレン
グリコール共重合ポリエステルの30重量%水溶液):
10重量部 ・ポリチオフェン(Baytron P 1%水溶液):500
重量部 ・イソプロパノール/水(1/1):100重量部
【0075】[実施例4]実施例1で得た記録用シート
の背面側に、下記組成の背面層用塗工液1をグラビアコ
ート法で塗布・乾燥して、乾燥時厚さが2μmの受容層
と、乾燥時厚さが0.01μmの背面層を有する記録用
シートを得た。
【0076】〈背面層用塗工液1〉 ・ポリチオフェン(Baytron P 1%水溶液):20重
量部 ・イソプロパノール/水(1/1):80重量部
【0077】[実施例5]基材フィルムとして厚さ12
5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラ
ー、東レ製)を準備し、その一面側に下記組成の受容層
用塗工液4をグラビアコート法で塗布・乾燥して、乾燥
時厚さが2μmの受容層を形成した。さらに受容層の表
面に、下記組成の帯電制御層用塗工液1をグラビアコー
ト法で塗布・乾燥して乾燥時厚さが0.1μmの帯電制
御層を形成し、記録用シートを得た。
【0078】〈受容層用塗工液4〉 ・ポリエステル樹脂水溶液(テレフタル酸−ジエチレン
グリコール共重合ポリエステルの30重量%水溶液、T
g:60℃):30重量部 ・メチルエチルケトン:35重量部 ・トルエン:35重量部
【0079】〈帯電制御層用塗工液1〉 ・ポリチオフェン(Baytron P 1%水溶液):10重
量部 ・ポリエステル樹脂水溶液(テレフタル酸−ジエチレン
グリコール共重合ポリエステルの25重量%水溶液):
1重量部 ・イソプロパノール/水(1/1):89重量部
【0080】[実施例6]基材フィルムとして厚さ10
0μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラ
ー、東レ製)を準備し、その一面側に下記組成の受容層
用塗工液5をグラビアコート法で塗布・乾燥して、乾燥
時厚さが2μmの下部受容層を形成した。さらに下部受
容層の表面に、実施例1で用いた受容層用塗工液1をグ
ラビアコート法で塗布・乾燥して、乾燥時厚さが1μm
の上部受容層を形成し、記録用シートを得た。
【0081】〈受容層用塗工液5〉 ・ポリエステル樹脂水溶液(テレフタル酸−ジエチレン
グリコール共重合ポリエステルの30重量%水溶液):
30重量部 ・イソプロパノール/水(1/1):70重量部
【0082】[実施例7]基材フィルムとして厚さ10
0μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラ
ー、東レ製)を準備し、その一面側に下記組成のプライ
マー層用塗工液1をグラビアコート法で塗布・乾燥し
て、乾燥時厚さが0.2μmのプライマー層を形成し
た。このプライマー層の表面に、実施例6で用いた受容
層用塗工液5をグラビアコート法で塗布・乾燥して、乾
燥時厚さが2μmの受容層を形成し、記録用シートを得
た。
【0083】〈プライマー層用塗工液1〉 ・ポリエステル樹脂水溶液(テレフタル酸−ジエチレン
グリコール共重合ポリエステルの20重量%水溶液、T
g:0℃):10重量部 ・ポリチオフェン(Baytron P 1%水溶液):20重
量部 ・イソプロパノール/水(1/1):70重量部
【0084】[比較例1]基材フィルムとして厚さ10
0μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラ
ー、東レ製)を準備し、その一面側に実施例5で用いた
受容層用塗工液4をグラビアコート法で塗布・乾燥し
て、乾燥時厚さが2μmの受容層を形成した。この受容
層の表面に、下記組成の帯電制御層用塗工液2をグラビ
アコート法で塗布・乾燥して、乾燥時厚さが0.1μm
の帯電制御層を形成した。さらに基材フィルムの背面側
に、同じ帯電制御層用塗工液2をグラビアコート法で塗
布・乾燥して、乾燥時厚さが0.1μmの背面側帯電制
御層を形成し、記録用シートを得た。
【0085】〈帯電制御層用塗工液2〉 ・カチオン系アクリルポリマー(ケミスタット6300、三
洋化成製):1重量部 ・イソプロパノール/水(1/1):100重量部
【0086】[評価試験] (1)画質の評価 各実施例及び比較例で得られた記録用シートの受像面
に、10℃30%RH、23℃50%RH、及び30℃
80%RHの各環境下で自作の電子写真記録機用いて、
0〜100%の階調パターンを5%刻みで印字し、画質
を目視観察した。評価基準は次の通りである。評価結果
は第1表に示す。
【0087】〈画質の評価基準〉 ○:良好 ×:印字物に画像の抜けや異常転写がある。
【0088】(2)表面電気抵抗率 各記録用シートの表面に、上記の各環境下で100Vの
電圧を印加し、印加開始から10秒後の表面電気抵抗率
を、表面抵抗測定機(Hiesta、三菱油化製)を用
いて測定した。結果を第1表に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
【発明の効果】以上のように、本発明の記録用シートは
帯電制御剤として式(1)で表わされる繰り返し単位か
らなるポリチオフェンが使用されているが、このポリチ
オフェンは、周囲環境が変化しても常にほぼ一定の帯電
制御性を発揮する。従って、かかるポリチオフェンを記
録用シートの帯電制御剤として用いることにより、周囲
環境の変化に影響されることなく、常にトナー定着性が
良好で画像品質に優れ、且つ、電子写真複写機或いはプ
リンター内での搬送性も良好な記録用シートが得られ
る。
【0091】また、かかるポリチオフェンは透明性が高
いので、OHP用の記録用シートを作成するのにも利用
できる。さらに、かかるポリチオフェンは高分子であ
り、従来の低分子帯電制御剤とは異なりブリードアウト
しにくく、記録用シートのベタツキや、保存中における
帯電制御能力の低下や、ブリードアウトした帯電制御剤
によるトナー受容層の汚染(裏移り)をほとんど起こさ
ない。従って、記録用シートの印字性や保存性を損なわ
ない。
【0092】また、上記のポリチオフェンは、水、又
は、水と水混和性有機溶剤(例えば、メタノール、エタ
ノール、アセトン等)の混合溶剤中に、ポリ陰イオンの
共存下で部分的に正の電荷を帯びて溶解又は分散する。
従って、かかるポリチオフェンを含有する帯電制御層用
塗工液又は受容層用塗工液などの塗工液を調製して記録
シートの基材シート上に塗布することにより、ポリチオ
フェンを含有する層を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録用シートの一例について断面を模
式的に示す図である。
【図2】本発明の記録用シートの別の一例について断面
を模式的に示す図である。
【図3】本発明の記録用シートのさらに別の一例につい
て断面を模式的に示す図である。
【符号の説明】
2 基材シート 3 トナー受容層 3a トナー受容層の下側の部分 3b トナー受容層の表面寄りの部分 4 帯電制御層 5 帯電制御層 6 プライマー層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静電潜像をトナー現像して形成した可視
    像を転写記録するための記録用シートであって、帯電制
    御剤として、次の式(1) 【化1】 [式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素又
    は炭素数1〜4のアルキル基を表わすか、或いは、一緒
    になって置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキレ
    ン基を形成する。]で表わされる繰り返し単位からなる
    ポリチオフェンを含有する層を有することを特徴とする
    記録用シート。
  2. 【請求項2】 少なくとも基材シートと、当該基材シー
    ト上に設けられたトナー受容層とから構成される記録用
    シートであって、トナー受容層或いはそれ以外の層のう
    ちの少なくとも1層が前記式(1)で表わされる繰り返
    し単位からなるポリチオフェンを含有することを特徴と
    する、請求項1に記載の記録用シート。
  3. 【請求項3】 前記記録用シートの少なくとも受像面側
    の表面電気抵抗率が、10℃30%RH〜30℃80%
    RHの環境下で常に107〜1013Ω/sqの範囲にあ
    り、且つ、変動量が二桁以内であることを特徴とする、
    請求項1に記載の記録用シート。
  4. 【請求項4】 前記記録用シートの受像面側に、前記式
    (1)で表わされる繰り返し単位からなるポリチオフェ
    ンを含有する帯電制御層が設けられていることを特徴と
    する、請求項1に記載の記録用シート。
  5. 【請求項5】 光線の透過率が70%以上であることを
    特徴とする請求項1に記載の記録用シート。
  6. 【請求項6】 前記式(1)で表わされる繰り返し単位
    からなるポリチオフェンを含有する層の中に、当該ポリ
    チオフェンが平均粒径10μm以下の粒子として存在し
    ていることを特徴とする、請求項1に記載の記録用シー
    ト。
  7. 【請求項7】 電子写真方式の記録に用いられることを
    特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の記録用シ
    ート。
  8. 【請求項8】 静電潜像をトナー現像して形成した可視
    像を転写記録するための記録用シートを製造するに際
    し、帯電制御剤として次の式(1) 【化2】 [式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素又
    は炭素数1〜4のアルキル基を表わすか、或いは、一緒
    になって置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキレ
    ン基を形成する。]で表わされる繰り返し単位からなる
    ポリチオフェンを溶解又は分散してなる塗工液を、基材
    シート上に直接又は他の層を介して塗布し、乾燥させる
    ことによって帯電制御性を有する層を形成することを特
    徴とする、記録用シートの製造方法。
JP7166298A 1998-03-20 1998-03-20 記録用シート及びその製造方法 Pending JPH11272006A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7166298A JPH11272006A (ja) 1998-03-20 1998-03-20 記録用シート及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7166298A JPH11272006A (ja) 1998-03-20 1998-03-20 記録用シート及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11272006A true JPH11272006A (ja) 1999-10-08

Family

ID=13467052

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7166298A Pending JPH11272006A (ja) 1998-03-20 1998-03-20 記録用シート及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11272006A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008174748A (ja) * 2001-04-26 2008-07-31 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 帯電防止性ポリマーフィルム
CN104677950A (zh) * 2015-02-15 2015-06-03 南京益得冠电子科技有限公司 用于半导体甲醛传感器的甲醛敏感材料及半导体甲醛传感器

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008174748A (ja) * 2001-04-26 2008-07-31 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 帯電防止性ポリマーフィルム
CN104677950A (zh) * 2015-02-15 2015-06-03 南京益得冠电子科技有限公司 用于半导体甲醛传感器的甲醛敏感材料及半导体甲醛传感器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0675417A (ja) 電子写真印刷用媒体
US6524760B1 (en) Image receiving sheet and recording process
US6063538A (en) Image-receiving sheet
JP2000131868A (ja) 受像シート及び記録方法
EP1504309B1 (en) Resistivity-controlled image recording sheet
US6534154B1 (en) Image receiving sheet
GB2166689A (en) Coated transparencies for thermal transfer of developed images from a donor sheet
US5989686A (en) Color electrophotographic media
JPH11272006A (ja) 記録用シート及びその製造方法
US20080102256A1 (en) Coating, coated media, and method for coating media
JP2000122331A (ja) 受像シート
JPH11212292A (ja) 記録シート及びそれに形成されたトナー画像の加熱定着方法
JP2006243507A (ja) 電子写真用金属調印字用シート
US6444383B2 (en) Image receiving sheet and method of forming OHP image
US5456970A (en) Image-receiving labeling material for toner transfer recording
JPH10282712A (ja) 受像シート及びその表面抵抗値制御方法
JP4233425B2 (ja) 熱転写受像シート
JPH10282711A (ja) 受像シート
JPH10282710A (ja) 受像シート
JPH117147A (ja) 受像シート
JP3144564B2 (ja) ラベル用積層体
JPH079624A (ja) ラベル用積層体
JP2623209B2 (ja) カラー電子写真用受像シート
JP2000010326A (ja) 電子写真用被転写材料および電子写真方法
JPH1152608A (ja) 記録シート

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20050316

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060614

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20060620

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20061017