JPH10275617A - リチウムイオン電池用電極材料の形成 - Google Patents

リチウムイオン電池用電極材料の形成

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JPH10275617A JP10077199A JP7719998A JPH10275617A JP H10275617 A JPH10275617 A JP H10275617A JP 10077199 A JP10077199 A JP 10077199A JP 7719998 A JP7719998 A JP 7719998A JP H10275617 A JPH10275617 A JP H10275617A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 SiOCを含むセラミック組成物から電極材
料を形成するに際し、SiOCセラミック中のCに対す
るSi及びOの割合を下げかつセラミック材料の表面積
及び多孔率を増大させる。 【解決手段】 本発明は、シリコン含有セラミック前駆
体ポリマーを含む組成物を熱分解してSiOCを含むセ
ラミック組成物を製造し;強酸又は強塩基でセラミック
の組成物を処理し;そして、セラミック材料にリチウム
イオンを導入して電極材料を形成するリチウムイオン電
池用の電極材料を製造する方法に関する。セラミック組
成物の処理はSi及びOのレベルを減少させ、そしてセ
ラミックの表面積と開孔率を増大させて、電極材料とし
てセラミックをより有用にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、再充電可能なリチ
ウムイオン電池用電極を形成するのに有用なセラミック
の材料とそれによる電極を製造する方法に関する。これ
らの電極は、高い容量を持つ電池を形成するのに使用す
ることができる。
【0002】
【従来の技術】リチウムイオン電池は当該技術分野で公
知であり、そしてラップトップコンピューター、携帯電
話及びカムコーダーのために電源として広く使用されて
いる。それらは高い電圧、高いエネルギー密度、小さい
自己放電及び優れた長期信頼性を与えることができるの
で、有利である。
【0003】再充電可能なリチウムイオン電池の機構は
単純である。充電の間に、リチウムイオンは、陽極(c
athode)から引き出され、陰極(anode)に
リチウムとして導入される。放電では逆のプロセスが起
こる。これらの電池で使用される電極は非常に重要で、
そして電池性能に対して劇的な影響を与えることができ
る。
【0004】これらの再充電可能なリチウムイオン電池
の中で使用される、当該技術分野で公知の正極(pos
itive electrode)としては金属カルコ
ゲン、金属酸化物及び導電性ポリマーを含む。この公知
の技術において、再充電可能なリチウム電池に使用され
る負極(アノード)はリチウムイオンがWO2 やFe 2
3 及び黒鉛などの炭素質材料のような無機材料の結晶
体構造や導電性ポリマーに取り込まれている化合物も含
まれる。
【0005】電極材料として望ましい特性は、1)リチ
ウムイオン、電解液塩及び電解液媒体のような他の電池
構成成分に対しての化学的不活性性;2)多量のリチウ
ムを蓄える能力;3)可逆的にリチウムを蓄え、拘束す
る能力;4)リチウム金属リチウムクラスター、又は凝
集体の形成を最小限にし、それによって安全性への懸念
を最小限にするリチウム貯蔵力;そして5)容積効率を
上げる高密度を含む。
【0006】しかしながら、今日までの電極は、これら
の特性を最大にしていない。例えば、リチウム金属は最
も良い電極ポテンシャルを与えるが、それで造られた大
きい電池には、安全性に問題が見られた。同様にリチウ
ム合金は妥当な電極ポテンシャルを有し、安全なプロフ
ィールを示すが、それらはしばしば電池の一定の充放電
サイクルにおいて割れや砕片化を起こす。
【0007】現在までの最も望ましい陰極材料は、黒鉛
のような炭素質化合物である。黒鉛は化学的には不活性
で、殆どが不可逆性でない(10%)妥当な量のリチウ
ム(陰極330mAh /g容量のある電池で)を拘束する
ことができる。そしてまた高密度でもある(2.2g/
cm3 、たとえ電極における密度が1.2g/cm3 である
としても)。しかしながら、より大きい容量のある電池
(cell)がしばしば望まれている。
【0008】最近、炭素質の陰極へのホウ素、リン、又
はケイ素の添加が結果として電池の容量を増やすことが
できることが示唆されている。しかしながら、そのよう
な電池は、最適の結果を達してはいない。
【0009】例えば、欧州特許公開第0,582,17
3号公報には、Taharaらが、リチウムイオン電池
の陰極としてのシリコン酸化物又は珪酸塩の使用を教示
している。同様に、欧州特許公開第0,685,896
号公報には、リチウムイオン電池の陰極としてSiCを
含む材料の使用を教示している。しかしながら、これら
の参考文献は、方法を教示したり、また材料について記
述したり、更にまたこれについての請求もしていない。
【0010】シリコンオキシカーバイド(SiOC)材
料に関する前期した従前の研究から、より良い電池の陰
極性能は比較的に高レベルの多孔度と比較的に低いレベ
ルの酸素を有するセラミック材料からもたらされること
を学んだ。ポリマー前駆物質に関してみれば、高い表面
積を有する低酸素/高炭素含有セラミックスは高酸素系
に比べて高価であると言える。従って、比較的に安く、
且つ高酸素含有前駆物質から得られたセラミックスを選
ぶことができる方法であること及びより望ましい低酸素
セラミックスにそれらを変換することが望ましい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、選択
的に溶解し、且つシリカ様な物質を取り除くことができ
る、強い酸又は強い塩基から選ばれた処理剤でシリコン
オキシカーバイドセラミックスを処理することによっ
て、これらのSiOCセラミックス中のCに対するSi
及びOの重量%を下げる方法を提供することにある。
【0012】本発明の目的は、更に、処理剤による処理
後に、セラミック材料の表面積が増加し、かつ多孔率が
増加する処理方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に従えば、(A)
ケイ素含有セラミック前駆体ポリマーを含む組成物を熱
分解してSi,O及びCを含むセラミック組成物を生成
せしめ、(B)このSiOC組成物を強酸又は強塩基か
ら選ばれた処理剤で処理してSi及びOのレベルを減少
させて、かつ表面積と開孔率を増大せしめ、そして、
(C)処理されたセラミック材料にリチウムイオンを導
入して電極材料を形成することを含んでなるリチウムイ
オン電池用電極材料の形成方法が提供される。
【0014】本発明は、ケイ素含有セラミック前駆体ポ
リマーを含む組成物を熱分解してシリコンオキシカーバ
イド(SiOC)含有セラミック組成物を製造し;強酸
又は強塩基でセラミック組成物を処理し;そして、その
後、このセラミック材料にリチウムイオンを導入するこ
とにより、電極材料を形成して、リチウムイオン電池用
電極材料を製造する方法に関する。セラミック組成物の
処理は、SiとOのレベルを減少させ、セラミックの表
面積と開孔率を増大させ、従って電極材料としてセラミ
ックをより有用にする。
【0015】本発明は、セラミック前駆体ポリマーに由
来するシリコンオキシカーバイド(SiOC)陰極を含
むリチウムイオン電池が極めて望ましい特性を有する電
池を供給することができるという、予想外の発見に基づ
いている。この電池は、低い不可逆容量で(リチウムが
可逆的に蓄えられる)、大容量(電極が多量のリチウム
を蓄える能力を有する)を有する。それに加えて、これ
らの陰極材料は、他の電池構成要素に対して化学的に不
活性であり、これらの陰性材料はリチウムの凝集が最小
で、且つ高密度である。
【0016】本発明の電極は、表面積及び開孔率が増大
すると共に、Si及びO含量が減少するように処理され
たSiOCセラミックスから形成されている。このSi
OCセラミックスは、ポリカルボシラン、ポリシラザ
ン、ポリシラン及びポリシロキサンのケイ素含有ポリマ
ーから誘導されるが、これらに限定されない。
【0017】発明で有用なポリカルボシランは公知であ
る。一般に、これらのポリカルボシランは、(R1 2
SiCH2 ),(R1 Si(CH2 1.5 )及び/又は
(R 1 2 3 Si(CH2 0.5 )の単位からなる
(ここでR1 ,R2 及びR3 はそれぞれ独立に炭素数1
〜20の水素及び炭化水素から選ばれる)。炭化水素
は、メチル、エチル、プロピル及びブチルのようなアル
キル基、ビニール基及びアリル基のようなアルケニル基
及びフェニル基のようなアリール基を含むことができ
る。更に、炭化水素基は、ケイ素、窒素又はホウ素のよ
うなヘテロ原子を含むことができる。ポリカルボシラン
は、ホウ素、アルミニウム、クロム及びチタンのような
種々の金属類をもって置換されることもできる。置換さ
れたポリカルボシランも当業界で公知であり、そして既
知の方法で製造することができる。
【0018】本発明で有用なポリシラザンは、すでに当
該技術分野で公知であり、構成単位として、(R1 2
SiNR4 ),(R1 Si(NR4 1.5 )及び/また
は(R1 2 3 Si(NR4 0.5 )及び/または
【0019】
【化1】
【0020】を一般に含む(ここで、R1 ,R2 及びR
3 は前述の通りであり、R4 ,R5 ,R6 及びR7 はそ
れぞれ独立に水素および炭素数1〜20の炭化水素から
選ばれる。
【0021】本発明で有用なポリシランは、当該技術分
野で公知のものであり、(R1 23 Si),(R1
2 Si)及び(R3 Si)の化学式の構成単位を一般
に含むものである(ここで、R1 ,R2 及びR3 は前述
の通りである)。具体的なポリシラン構成単位の例は
(Me2 Si),(PhMeSi),(MeSi),
(PhSi),(ViSi),(PhMeSi),(M
eHSi),(MeViSi),(Ph2 Si),(M
2 Si),(Me3 Si)などである。ポリシラン
が、種々の金属群(すなわち、くり返しの金属−Si構
成単位を含む)で置き換えることもできる。適当な金属
の例は、ホウ素、アルミニウム、クロム及びチタンを含
む。ここで有用なポリシロキサンは公知であり、そして
以下の構造を有する:
【0022】
【化2】
【0023】(式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5
びR6 は前述の通りであり、そしてw,x,z及びzは
モル分率でw=0〜0.8、x=0〜0.9、y=0〜
0.9、z=0.3〜0.9であり、そしてw+x+y
+z=1である)。
【0024】特定のシロキサン構成単位の例は(MeS
iO1.5 ),(PhSiO1.5 ),(ViSi
1.5 ),(HSiO1.5 ),(PhMeSiO),
(MeHSiO),(PhViSiO),(MeViS
iO),(Ph2 SiO),(Me2 SiO),(Me
3 SiO0.5 ),(PhViSiO0.5 ),(Ph2
SiO0. 5 )(H2 ViSiO0.5 ),(Me2 ViS
iO0.5 ),(SiO4/2 )などである。ここでMeは
メチル基であり、Phはフェニル、Viはビニル基であ
る。
【0025】ここに使用されている「ケイ素含有のポリ
マー」という用語は、前述のケイ素含有ポリマーのブレ
ンド又はコポリマー、及びここで有用とされるその他の
ポリマーも含まれると解されるべきである。例えば、ケ
イ素含有のポリマーの共重合物及びシルエチレン(si
lethylene)のようなシルアルキレン類(R 2
Si(CH2 n SiR2 O);シルフェニレン(R2
Si(C6 4 n SiR2 O)のようなシルアリーレ
ン類;シラザン(R2 SiN)、シラン(R2Si−S
iR2 )、有機ポリマーなどがここで用いられる。更
に、ケイ素含有ポリマーと前述されたポリマーのブレン
ドも本発明で有用である。
【0026】ケイ素含有ポリマーは、セラミック炭化収
率が20重量%より大きく、好ましくは30重量%より
大きく、より好ましくは50重量%より大きく、また最
も好ましくは70重量%以上のセラミック材料に変換さ
れる能力があるべきである。
【0027】ケイ素含有のポリマーは、少なくとも過剰
の炭素分(例えば、炭素重量基準で0.05重量%超)
を持つ炭分を用意すべきである。理論にこだわる訳では
ないが、過剰の炭素がリチウムイオンのために連続ネッ
トワークを形成するものと思われる。より過剰の炭素分
(例えば、5重量%超)が好ましい。
【0028】「過剰の炭素」とは、炭分の重量に基づく
重量%で表して、熱分解の間にケイ素含有ポリマーに由
来している遊離又は過剰の炭素(即ち、Si又はOに結
合されていない)を意味する。
【0029】ケイ素含有ポリマーに由来する遊離炭素の
量は、不活性雰囲気下、高い温度で、安定なセラミック
炭分が得られるまでポリマーを熱分解することによって
定量される。「安定なセラミックの炭分」とは、高い温
度(例えば700〜1400℃)で製造されたセラミッ
クの炭分として定義される。
【0030】安定なセラミック炭分のセラミック収率並
びにケイ素、酸素、炭素及び窒素の含有量が定量され
る。混合物の配合法則を使用することにより、安定なセ
ラミックの炭分の中の過剰の炭素の量を計算することが
できる(存在する全炭素量からケイ素に結合した炭素
(モルケイ素当たり1モル炭素)の理論量を差し引くこ
とによってセラミック炭分中の「過剰の炭素」の量が計
算される)。従って、計算された過剰の炭素の量は、ケ
イ素含有ポリマーに由来する炭分の重量基準の重量%と
して通常は表される。
【0031】フェニル基を含むケイ素含有ポリマーはセ
ラミックの炭分中の遊離炭素に加えられるので、好まし
い。ビニル基を含むケイ素含有ポリマーは、また、ケイ
素に付加したビニル基はそのポリマーが、熱分解より前
に硬化すると言う機構を備えているので、好ましい。ケ
イ素に結合する官能基がほとんど専らメチル基又は水素
であるケイ素含有ポリマーは、単独で本発明の実施に用
いられたとき、結果として生じるセラミックの炭分の中
に十分な遊離炭素が生じないので一般に適当でない。し
かしながら、ケイ素上の官能基が専らメチル基又は水素
であるケイ素含有ポリマーが本発明で使用されるために
は、有機ポリマーと混合して使用されることができる。
ケイ素含有ポリマーは、当該技術分野で公知のさまざま
な方法によって任意に硬化させられ、それから不活性雰
囲気及び/又は真空の下、温度700℃又はそれ以上、
好ましくは800〜1400℃で熱分解される。
【0032】不活性雰囲気は燃焼を通してセラミックの
酸素との結合と炭素の損失を妨ぐために、熱分解の間に
使用される。この発明の目的のために、不活性雰囲気
は、不活性ガス、真空又は両方を含む。不活性ガスは、
ただこれらだけに限定されないが、アルゴン、ヘリウム
又は窒素を含む。使用される真空度は、一般的には0.
1〜200トール(13.3〜26,600Pa)の範囲
にある。
【0033】不活性雰囲気中の熱分解によって由来した
セラミック組成物を化学的に変換させるために、シラ
ン、メタン、H2 ,O又はNH3 のような反応性ガス
が、熱分解の間に導入される。ケイ素含有ポリマーの熱
分解は、燃焼室雰囲気を調製する方法を備え付けられた
任意の通常よく使われる高温加熱炉でも実施可能であ
る。そのような加熱炉は、当該技術分野で公知であり、
そして多くは市販されている。
【0034】熱分解のための温度スケジュールが、本発
明で重要であることが分かっている。一般的に言って加
熱温度速度は50℃/分より少なくあるべきであって、
好ましくは10℃/分より少なくあるべきである。
【0035】生成セラミックスは、ケイ素含有ポリマー
の組成物基準で、広い配合比率のケイ素、炭素、酸素、
窒素及び/または水素を含む。一般的にはこの材料はS
iO x y の組成をもち、ここでx=0〜2及び0<y
<100である。この化学式では計算されていないが、
水素又は窒素が微量(5重量%未満)存在する可能性も
ある。
【0036】ケイ素含有のポリマーのセラミックへの熱
分解に続いて、セラミックは、強酸と強塩基から選択さ
れた処理剤で処理される。ここで有用な処理剤は、これ
らに限定されるものではないが、弗化水素酸(HF)の
ような強酸及び水酸化カリウム(KOH)のような強塩
基が含まれる。好ましい処理剤は、HFである。
【0037】セラミックは、処理剤とセラミックとを接
触させることによって処理される。処理剤は、通常、水
溶液である。しかしながら、セラミックは、気体の状態
で処理剤と接触させることも可能である。溶液として使
用された場合、処理剤は通常、濃度3〜30重量%、好
ましくは15〜25重量%である。出発セラミック中に存在
していたケイ素及び酸素に対して過剰の処理剤が存在す
べきである。
【0038】通常、セラミックは粉末に粉砕され、そし
て処理剤と混合する。セラミックは、Si及びOを減ら
して、セラミック表面積を増加させるように、一定時
間、処理剤と接触させられる。通常処理時間は、5分〜
24時間、好ましくは15分〜4時間かかる。処理は、
如何なる温度でもよいが、好ましくは処理剤の沸点以下
で行われる。典型的には、処理は室温及び大気圧下で行
われる。処理されたセラミックは、ろ過のような当該技
術分野で公知の方法によって処理剤から回収され;次い
で、いかなる残留の処理剤も除去するために洗浄し、そ
して、例えばオーブンの中の穏やかな加熱によって乾燥
される。
【0039】セラミックを処理剤で処理することによっ
て、セラミックの組成(SiOx y )とミクロ構造が
変化する。ここで「ミクロ構造」とは、表面積及びSi
OC粒子の表面における開孔率及び組成と定義される。
さらに、セラミックの容積と表面組成が選択的に変化す
る。セラミック処理により生ずるこれらの変化が、リチ
ウムの可逆的な導入による反応性へ強い影響を与えてい
ることが立証されている。
【0040】しばしば電極での使用目的のために、セラ
ミック材料を粉末状に加工することが好ましい。これは
細砕と磨砕及び噴霧乾燥のような当該技術分野で公知の
方法によって達成されることができる。セラミック粉末
を使用する場合には、しばしば所望の形状の電極の形成
に役立てるために、種々の導電性の薬剤、希釈剤或いは
結合剤などが混合されることがある。例えば、カーボン
ブラック導電性希釈剤、N−メチルピロリドン、シクロ
ヘキサノン、フタル酸ジブチル、アセトン又はポリ弗化
ビニリデン結合剤、結合剤として水中に分散させたポリ
テトラフルオロエチレン又は結合剤としてシクロヘキサ
ノンで溶解したエチレンプロピレンジエン三元共重合体
などは本発明の範囲内である。
【0041】電極が付形されたあと、リチウムイオンは
電極に取り込まれる。これは、例えば粉末状のセラミッ
ク材料にリチウムを混ぜることによって電池への電極の
導入より前に行なわれる。しかしながら好ましくは、電
極が電池に装着されたあとリチウムイオンが挿入され
る。そのような時には、電池は本発明の電極と、そし
て、例えばリチウムイオン導電性非水性電解液中のLi
CoO2 のようなリチウム遷移金属酸化物の対電極の両
方を設置し、本発明の電極にリチウムの取り込みを与え
る方向に電流を加えることだけで「充電される」。
【0042】本発明の電極は、任意の電池形状でも使用
することができる。本発明の望ましい電池タイプは、多
孔質シートによって分離された陽極と陰極が「ゼリーロ
ール」状に巻かれている、通常のらせん状円筒巻きタイ
プである。典型的には、陽極は、公知の適当な陽極物質
(例えば、リチウム化された金属酸化物)をアルミニウ
ム箔の表面の上の適用したものを含んでなる。これは、
しばしば陽極物質と結合剤及び/又は希釈剤のスラリー
を形成し、次に箔の上にこのスラリーを析出させること
により達成される。次いで、希釈剤は乾燥され、箔の上
に陽極物質の薄膜が残存する。陰極は、本発明のセラミ
ックが陰極物質として使用されアルミニウム箔の代わり
に、銅箔を使用することを除いて、陽極と同様の方法で
形成される。
【0043】前述のように、ポリオレフィン物質のよう
な多孔質シートが、陽極と陰極の間に設置され、次に組
成物をロール状に巻く。この「ゼリーロール」が、通常
の電池缶(容器)に挿入され、缶は頭部カバーとガスケ
ットで密封される。缶をシールする前に、適切な電解液
が、多孔質シート及び電極の中のそれぞれの細孔を満た
すように加えられ、陰極と陽極と外部の端子の間で接続
が構成される。当業者は、電池成分の種類及び量が電池
成分の物質特性と要求性能及び安全性要求条件を基に選
ばれることを理解している。また、電池はその製造の過
程で、一般に電気的に調整される(再充電される)。他
の形状或いは構成も可能である。例えば、コイン型電池
或いは角柱の型は本発明の範囲内にある。
【0044】本発明で製造されたセラミックスが、リチ
ウムイオン電池で電極として使用された場合、多くの望
ましい特性を電池に与える。例えば電池を、低い不可逆
容量で大きい容量を持つようにすることができる。それ
に加えて、これらの陰極物質は、他の電池成分に対して
化学的に不活性であり、リチウムの凝集を最小にし、高
密度化が計れる。最終的に、本発明で製造されたセラミ
ックスが、低いヒステリシスか、より大きいヒステリシ
スを持つように設計することができる。それが熱的に誤
った使い方によりインターカレートされたリチウムと電
解液の間での反応速度を減少させるおそれがあるので、
これらの物質のヒステリシスが有用であると信じられて
いる。
【0045】
【実施例】当業者が、ここで教示されている発明を評価
し、理解することができるように、以下の実施例を示
す。
【0046】I.電池試験:電気化学的特性値を定量す
るために、実験室用のコインセル電池を使用した。これ
らは、通常の2325ハードウェアを使用し、アルゴン
で満たされたグローブボックスの中に組み立てた。分析
の目的のために、実験の電極材料は、これらのコインセ
ル電池のリチウム金属電極の対照として使用された。ス
テンレス鋼のキャップ及び特殊な酸化抵抗性のケースで
容器を構成し、それぞれ負と正の端子の機能も果たし
た。ガスケットはシールとして使用するとともに、二つ
の端子を分離するのに役立った。軟鋼ディスクスプリン
グ及びステンレス製ディスクの方法によってリチウム電
極、セパレータ及び実験の電極を構成しているスタック
に、機械圧力を加えた。15バール(1.5×106 P
a)の圧力が、電池の次の圧締めに加えられるように、
ディスクスプリングを選んだ。リチウム電極として12
5μmの厚みの箔を使用した。Celgard(商標)
2502の微孔性のポリプロピレンフィルムを、セパレ
ータとして使用した。電解液は、容積比で30/70の
炭酸エチレン及び炭酸ジエチルの混合溶媒で溶解した1
M LiPF6 塩の溶液であった。
【0047】Super S(Ensagriの商標)
のカーボンブラック導電性希釈剤を加えた粉末材料及び
ポリ弗化ビニリデン(PVDF)結合剤の混合物(サン
プルに対してそれぞれ5及び10重量%の量で)を使用
して、薄い銅箔の上に均一に適用した実験材料の電極を
製作した。なめらかな粘度を達するよう加えられた追加
のNMPとスラリーを形成するように、20%PVDF
のN−メチルピロリドン(NMP)溶液に、初めに粉末
状のサンプルとカーボンブラックを加えた。次に、スラ
リーは小さいスプレッダーを使用して銅箔の試験片に塗
布し、NMPは空気中で100℃で蒸発させた。サンプ
ル電極を乾燥した後、25バール(2.5×106 Pa)
の圧力で平板の間に圧縮した。次に、四角形の電極
(1.44cm 2 )を、大きい電極から切断した。次い
で、これらの電極は秤量し、箔、PVDF及びカーボン
ブラックの重量を、活性電極質量を得るために、差し引
いた。
【0048】組み立て完了後、コインセル電池を、グロ
ーブボックスから取出し、30±1℃で温度調節しなが
ら±1%の電流安定度で定電流サイクルを用いて充放電
を繰り返した。セル電圧が0.005Vより多く変化し
たときには、いつも、データを記録した。電流は活性物
質の量と設定試験条件を基に調節した。通常は活性物質
の18.5mAh /g(66.6C/g)の電流を使用し
た。
【0049】セルは通常は0.0Vまで放電し、そして
また3.0Vまで充電した。これが「第1サイクル」で
あった。同様にセルは更に2回、連続して充放電を繰り
返した。最初の放電の容量をQd1 、最初の充電の容量
をQc1 と名付けた。ここで、可逆的な容量は、Qre
v=(Qc1 +Qd2 )/2と定義した。不可逆容量
は、Qirr=Qd1 −Qc1 と定義した。
【0050】II.材料:全ての有機シロキサン材料は、
中間体としてDow Corning Corpora
tionから入手した。ポリマーの熱分解は、Euro
therm温度調節器を備え付けたLindberg
Model 54434又は類似の管状加熱炉で実施し
た。典型的な熱分解において、サンプル(約6.0g)
を秤量し、そしてアルミナボート上に乗せて、加熱炉に
装填した。それから加熱炉は、3分ごとに炉内雰囲気を
1転換するのに十分な速度でアルゴンでパージした。4
5〜60分パージした後に、6分毎に1転換になるよう
に流量を減らし、温度を、最終温度1000℃に上昇さ
せ、60分維持した。次いで、セラミックのサンプルを
再秤量し、試験と分析のために磨砕した。
【0051】III .分析:X線粉末回析は、Cuターゲ
ットのX線管及び回析ビームモノクロメーターをもった
Siemens D5000で実施した。サンプルは、
表面がなめらかになるように調製した粉末状のサンプル
で、ステンレス鋼平板上の25mm×16mm×2mm深さの
ウェルを満たすように用意した。固体試料は磨砕による
汚染を最小にするため、アルミナグラインダーを使用し
て、いかなる粗粒感もなくなるまで、常に−100メッ
シュ及びそれ以下の微分に粉砕した。走査は、40kV及
び30mAで操作したX線管で、6〜90 2−θまで1
分θ当り1度2−θで行なった。
【0052】小角X線散乱は、Siemens D50
00回析計の分光透過モード操作によって測定した。5
0〜100ミクロン厚の粉末状サンプルが、カプトン
(kapton)ウィンドウを有する長方形の枠の中に
保持した。データは0.3及び15°の散乱角の間で集
めた。物質の表面積は、Brunauer−Emmet
t−Teller(BET)方法で測定した。Micr
ometrics Flowsorb表面積分析器を使
って、1点測定を行なった。N2 のHe中の混合物(3
0:70モル%)を使用した。サンプルは、140℃で
15分間ガス混合物中で脱ガスした。最終の結果は、脱
着データから求めた。X線吸収測定は、アメリカ合衆
国、ウイスコンシン州、スタウトンのSynchrotron Radi
ation Facilityにある、Canadian Synchroton Radiatio
n Facility Double-Crystal-Monochromator ビーム管路
で行なった。サンプルは真空下、10-6トール(1.3
3×10-4トール)を超えないようにして、単色光シン
クロトロン放射線で露光した。物質から励起された電子
は、サンプルの前に置いた、250Vにバイアスされた
電線閉回路に集めた。電気的中性を維持するために、サ
ンプルに電流を供給した。
【0053】実施例1〜8:希薄HFによる浸出 サンプルは、20重量%HF溶液で粉末状セラミックの
サンプルを洗浄することによって用意した。この粉末
は、HFが当初のセラミックにあった酸素及びケイ素に
対して過剰に存在するよう調製した水溶液に浸漬した。
生成したスラリーを一定時間撹拌した後に、ろ過によっ
てサンプルを回収し、蒸留水でいかなるHFも取り除く
ために洗浄した。次いでセラミックを分析前に空気循環
している乾燥器の中で150℃で乾燥した。BETによ
る表面積と元素組成は表Iに示す。
【0054】
【表1】
【0055】処理による表面積の増加が、気孔率の増加
を伴っている。これは図1中のSAXデータとの適合か
ら明らかである。〜10Å(図1)においての細孔サイ
ズの増加が最も優勢であったことは、驚くべきことであ
った。SiK−端部は、比較例(未処理セラミック)と
例1,6及び8における図2で示す。比較のために、最
下部にはSiO2 とSiCのSiK−端部を示した。S
i−C結合の母集団が、Si−O結合に比例して増大し
ていることは、この図と随伴するデータから明らかであ
る。それ故、本発明者らは、ケイ素のような化学種を取
り除くことによってセラミックの組成を変化させた。電
池試験結果を表IIに示す。
【0056】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜8で製造した処理および未処理のシ
リコンオキシカーバイドセラミックの小角エックス線
(SAX)データのグラフ図である。
【図2】実施例1,6及び8からのケイ素のK殻エッジ
のグラフ図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アルフ エム.ウィルソン カナダ国,ブリティッシュコロンビア ブ イ5アール 4ジー5,バンクーバー,ジ ョイス ストリート 4867 (72)発明者 ウェイビン キシン カナダ国,ノバ スコティア ビー3エイ チ 3ティー6,ハリファックス,チェス トナット ストリート 1730 (72)発明者 グレッグ アラン ザンク 東京都渋谷区大山町33−16 (72)発明者 江口 勝哉 神奈川県南足柄市岩原28−6

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ケイ素含有セラミック前駆体ポリ
    マーを含む組成物を熱分解してSi,O及びCを含むセ
    ラミック組成物を生成せしめ、 (B)このSiOC組成物を強酸又は強塩基から選ばれ
    た処理剤で処理してSi及びOのレベルを減少させて、
    かつ表面積と開孔率を増大せしめ、そして、 (C)処理されたセラミック材料にリチウムイオンを導
    入して電極材料を形成することを含んでなるリチウムイ
    オン電池用電極材料の形成方法。
  2. 【請求項2】 ケイ素含有セラミック前駆体ポリマー
    が、ポリシロキサン、ポリシラザン、ポリシラン及びポ
    リカルボシランから選ばれる請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 (B)工程で製造されたセラミック材料
    を粉末に形成し、その粉末を結合剤及び希釈剤と混合し
    て混合物を形成し、そして次いでリチウムイオンの導入
    前に、混合物を所望の電極形状に形成する請求項1に記
    載の方法。
  4. 【請求項4】 陰極が請求項1に記載の方法で得られる
    再充電可能なリチウムイオン電池。
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