JPH10273506A - 膜の製造方法 - Google Patents

膜の製造方法

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JPH10273506A
JPH10273506A JP8091697A JP8091697A JPH10273506A JP H10273506 A JPH10273506 A JP H10273506A JP 8091697 A JP8091697 A JP 8091697A JP 8091697 A JP8091697 A JP 8091697A JP H10273506 A JPH10273506 A JP H10273506A
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polyvinyl alcohol
mol
polymer
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JP8091697A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Oki
弘之 大木
Takayuki Oku
貴至 奥
Yoshinori Ando
由典 安藤
Hideki Kamata
英樹 鎌田
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment
    • C08F8/28Condensation with aldehydes or ketones

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  • Organic Chemistry (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度、透明性および耐油性などの従来のポ
リビニルアルコール系重合体からなる膜の特徴を有する
と共に、耐熱性、耐水性および耐湿熱性にも優れた新規
なアセタール化ポリビニルアルコール系重合体からなる
膜を提供する。 【解決手段】 第1工程でポリビニルアルコール系重合
体中の重合単位に対して0.25〜20モル%のジアル
デヒドもしくはそのアセタール化物を含有させ、第2工
程でアセタール化反応を行い、第3工程でモノアルデヒ
ドと酸の混合溶液でアセタール反応を行うことを特徴と
するアセタール化ポリビニルアルコール系重合体膜の製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高強度で、耐熱桂、
耐水性、耐湿熱性および耐久性に優れたアセタール化ポ
リビニルアルコール系重合体からなる膜の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】ポリビニルアルコール膜は力学的機械的
性質、透明性、酸素バリヤ性、極低温電気絶縁性および
耐油性等に優れていることから、フィルム、メンブレン
およびシー卜などの形態で、繊維製品の包装材料、ガス
バリヤー材、各種メンブレンフィルター、分離膜、電気
絶縁材料、偏光膜基材等の光学用フィルムおよび耐油性
ベル卜材料として賞用されている。しかし、近年は上記
の材料や用途において、これまで以上に過酷な条件下、
特に高温高湿下での性能保持が要求されるようになって
おり、特に吸湿時の耐水性や耐熱性に問題がある従来の
ポリビニルアルコール系重合体膜では対応しきれないの
が現状である。これに対して、ポリビニルアルコール系
重合体からなる膜をホルムアルデヒド、ブチルアルデヒ
ドあるいはグリオキザールなどにより架橋することで、
膜の耐水性や耐湿熱性を向上させることが試みられてい
るが、その効果は必ずしも十分ではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高強
度で透明性、耐油性といった従来のポリビニルアルコー
ル系重合体からなる膜の特徴を有すると共に、耐熱性、
耐水性および耐湿熱性に極めて優れた新規なポリビニル
アルコール系重合体からなる膜を提供せんとするもので
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
鋭意検討した結果、第1工程でポリビニルアルコール系
重合体中の重合単位に対して0.25〜20モル%のジ
アルデヒドもしくはそのアセタール化物(以下、これら
をジアルデヒド類化合物と称することがある)を含有さ
せ、第2工程でアセタール化反応を行い、第3工程でモ
ノアルデヒドと酸の混合溶液でアセタール化反応を行う
ことを特徴とするアセタール化ポリビニルアルコール系
重合体膜の製造方法を見出し、本発明を完成させるに至
った。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明に使用されるポリビニルアルコール系重合
体は、通常のポリビニルアルコールの製造方法であるポ
リ酢酸ビニルあるいはその共重合体をけん化することに
より得られる。また、ピバリン酸ビニル、蟻酸ビニルな
どの側鎖に嵩高い基を有するビニルエステル、極性の高
い基を有するビニルエステル、もしくはt−ブチルビニ
ルエーテル、トリメチルシリルビニルエーテル、ベンジ
ルビニルエーテルなどのビニルエーテルの単独重合体あ
るいは共重合体を分解することによっても得られる。
【0006】ここで、共重合体の場合のコモノマー単位
は、けん化あるいは分解によってビニルアルコール単位
を生成する単位とそれ以外の単位に分けられる。
【0007】後者のコモノマー単位は、主として変性を
目的に共重合されるもので、本発明の趣旨を損なわない
範囲で使用される。このような単位としては、たとえ
ば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等
のオレフィン類、アクリル酸およびその塩、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、
アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アク
リル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸
2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸
オクタデシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸
およびその塩、メタクリル酸メチル、メ夕クリル酸エチ
ル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロ
ピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチ
ル、メタクリル酸t−ブチル、メ夕クリル酸2−エチル
ヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メ夕クリル酸オクタ
デシル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、
N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセ卜ンアク
リルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸および
その塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよび
その塩と4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよび
その誘導体等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミ
ド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリ
ルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、ジアセ
卜ンメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスル
ホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチ
ルアミンおよびその塩と4級塩、N−メチロールメタク
リルアミドおよびその誘導体等のメタクリルアミド誘導
体、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n
−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテ
ル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエー
テル、ベンジルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテ
ル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル
類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ
化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、酢酸アリル、塩
化アリル等のアリル化合物、マレイン酸およびその塩と
エステル、イタコン酸およびその塩とエステル、ビニル
トリメトキシシラン等のビニルシリル化合物、酢酸イソ
プロペニル等である
【0008】ポリビニルアルコール系重合体のけん化度
は通常70モル%以上が好ましい。特に耐熱性、耐水
性、耐油性が要求される場合には、けん化度は90〜9
9.99モル%が好ましい。ここで、けん化度は酢酸ビ
ニルの単独重合体または共重合体中のけん化によりビニ
ルアルコール単位に変換され得る単位に対する、けん化
後のビニルアルコール単位の割合を表したものである。
【0009】ポリビニルアルコール系重合体の重合度も
本発明の膜の性能に影響する。重合度は膜の用途によっ
て適宜選ばれるが、フィルム強度や加工特性の点から、
500以上が好ましく、1000以上がより好ましく、
2000以上が特に好ましい。重合度の上限は、成膜や
延伸等の加工特性の点から、30000以下が好まし
い。ここで、重合度はポリビニルアルコール系重合体を
酢化したポリ酢酸ビニルのアセトン中の極限粘度(30
℃測定)から求めた粘度平均重合度で表したものであ
り、以下の式により計算した値である。 PA =([ η] ×1000/7.94)(1/0.62)
【0010】本発明によって製造される膜は、その形状
および透明性には特に制限はなく、フイルム、メンブレ
ンおよびシート等と呼ばれるものを総称するものであ
る。また、膜の厚さについても特に制限はなく、使用さ
れる膜の用途によって適宜選択されるが、好ましくは1
0〜200μmの範囲である。本発明の膜の製造方法
は、必要とされる膜厚や膜の用途、目的により、溶液か
らのキャスト成膜法、乾式成膜法(空気中や窒素等不活
性気休中への押し出し)、湿式成膜法(ポリビニルアル
コール系重合体の貧溶媒中への押出し)、乾湿式成膜法
等によって行なわれる。
【0011】成膜に使用される溶剤としては、ジメチル
スルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド、エチレングリコール、グリセリン、水、へキサ
フルオロイソプロパノール等が単独または混合して使用
される。また、塩化リチウム、塩化カルシウム等の無機
塩の水溶液も単独または前記有機溶剤と混合して使用で
きる。これらの中でも、水、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルスルホキシドと水との混合液、グリセリン、エチ
レングリコールが好ましい。
【0012】成膜時のポリビニルアルコール系重合体の
濃度は成膜方法によって異なるが、通常1〜50重量%
であり、温度は通常室温から250℃の範囲である。
【0013】本発明の膜は、本発明の趣旨を損なわない
範囲において、上記のアセタール化ポリビニルアルコー
ル系重合体以外のものを含有していても差し支えない。
たとえば、通常のポリビニルアルコール系重合体、その
他の重合体、グリセリン等の可塑剤、クレイ、シリカ、
炭酸カルシウム等の無機化合物等が挙げられる。また、
必要に応じて着色のための染料や顔料、酸化防止剤や紫
外線吸収剤等の安定化剤が添加されることもある。
【0014】本発明の特徴は、ジアルデヒド類化合物を
ポリビニルアルコール系重合体からなる膜内部に浸透さ
せる工程(第1工程)と、該化合物をPVAが含有する
重合単位とアセタール化反応を行うことにより架橋反応
をさせる工程(第2工程)および、モノアルデヒドと酸
の混合液で処理してアセタール化反応を行う工程(第3
工程)を経ることによって、ポリビニルアルコール系重
合体を架橋させることにある。
【0015】第1工程は、前記の如く、ジアルデヒド類
化合物をポリビニルアルコール系重合体からなる膜内部
に浸透させる工程である。本発明で用いることのできる
ジアルデヒド類化合物の例としては、グリオキザール、
マロンジアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルア
ルデヒド、ヘキサンジアール、ヘプタンジアール、オク
タンジアール、ノナンジアール、デカンジアール、ドデ
カンジアール、2,4−ジメチルヘキサンジアール、5
−メチルヘプタンジアール、4−メチルオクタンジアー
ル、2,5−ジメチルオクタンジアール、3,6−ジメ
チルデカンジアールなどの化合物、あるいはオルソフタ
ルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアル
デヒド、フェニルマロンジアルデヒドなどの芳香族化合
物、あるいは1,4−シクロヘキサンジアルデヒドのよ
うな脂環式化合物が挙げられる。あるいは、これらのジ
アルデヒド化合物とメタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレング
リコールなどのアルコール類とを反応させて、ジアルデ
ヒド類化合物の両末端または片末端をアセタール化した
化合物が挙げられる。これらの化合物は、1種又は2種
以上を混合してもよいが、膜内部への浸透性及び反応性
の点からマロンジアルデヒド、スクシンアルデヒド、グ
ルタルアルデヒド、ヘキサンジアール、ヘプタンジアー
ル、オクタンジアール、ノナンジアール、又はそれらの
アセタール化物が好ましい。
【0016】ポリビニルアルコール系重合体にジアルデ
ヒド類化合物を含有させる方法は、膜の製造工程の何れ
の段階において行ってもよい。具体的には、成膜の際に
使用される溶剤中に溶解あるいは分散させることにより
ポリビニルアルコール系重合体中に含有せしめる方法、
成膜の際に貧溶媒を用いる場合にはこの貧溶媒中にジア
ルデヒド類化合物を溶解あるいは分散させることにより
ポリビニルアルコール系重合体中に含有せしめる方法、
成膜した膜表面に適当な溶剤あるいは水に溶解あるいは
分散させたジアルデヒド類化合物を塗布する方法が挙げ
られる。これらの中でも、成膜の際に使用される溶剤中
に溶解あるいは分散させることによりポリビニルアルコ
ール系重合体中に含有せしめる方法は、該化合物を膜中
に均一かつ充分に含有させることができ、さらに、その
量を容易に制御できることから好ましい。
【0017】本発明におけるジアルデヒド類化合物の含
有量あるいは付着量は膜の使用目的によって適宜選択さ
れるが、ポリビニルアルコール系重合体の重合単位(無
変性ポリビニルアルコールの場合には、ビニルアルコー
ル単位とビニルエステル単位との合計量)に対して、
0.25〜20モル%であり、好ましくは0.5〜10
モル%である。含有量あるいは付着量が0.25モル%
未満では分子間架橋の度合いが少ないため耐湿熱性が不
十分であり、20モル%を超えるとポリビニルアルコー
ル系重合体膜が本来有する優れた性質である力学的機械
的性質、透明性、耐油性等が低下する。
【0018】第2工程は、ジアルデヒド類化合物を含有
するポリビニルアルコール系重合体膜をアセタール化反
応させる。反応条件としては、ジアルデヒド類化合物と
ポリビニルアルコール系重合体の重合単位をアセタール
反応させる条件であれば特に制限されないが、一般的に
は、酸により処理される。具体的な例としては、ジアル
デヒド類化合物を含有するポリビニルアルコール系重合
体膜を、硫酸、リン酸、塩酸、硝酸などの無機酸あるい
はカルボン酸、スルホン酸などの有機酸で濃度0.1規
定以上の水溶液に60〜100℃で10〜120分間浸
漬するか、あるいは該酸水溶液及び/又はアルコール液
を付着させて200℃以上で熱処理することによりアセ
タール化反応を生じさせる。これらの方法の中でも、ポ
リビニルアルコール系重合体膜の劣化を防ぐためには、
水溶液中での処理がより好ましい。ジアルデヒド類化合
物によるアセタール化度は、1.0〜80モル%が好ま
しく、2.0〜40モル%がより好ましい。処理時間と
しては、30〜60分間が好ましい。
【0019】アセタール化反応(第2工程)は、ポリビ
ニルアルコール系重合体膜中にジアルデヒド類化合物を
含有・付着させる段階(第1工程)において同時に行っ
ても問題はない。ただし、膜の使用目的により膜を延伸
する必要がある場合には、ジアルデヒド類化合物をポリ
ビニルアルコール系重合体膜内部に均一かつ効率的に浸
透させるため、第1工程は延伸処理を行う工程より前の
段階が好ましく、また、膜の延伸性を損なわないため
に、第2工程は延伸工程より後の段階が好ましい。
【0020】第3工程は、第2工程の後工程として、モ
ノアルデヒドと酸の混合液で処理してアセタール化反応
させる工程である。
【0021】ジアルデヒド類化合物によりポリビニルア
ルコール系重合体を架橋する方法は、ポリビニルアルコ
ール系重合体膜の耐湿熱性を向上させるうえで有効な手
法ではあるが、ジアルデヒド類化合物を過剰に用いる
と、ポリビニルアルコール系重合体膜が本来有する優れ
た性質である力学的機械的性質、透明性、耐油性等の低
下を招くため、実際に使用できるジアルデヒド類化合物
の使用量が制限されるのが実状である。また、従来知ら
れているようなジアルデヒド類化合物とモノアルデヒド
化合物を同時にアセタール化する手法では、反応浴中の
モノアルデヒド化合物の使用量が多いため、モノアルデ
ヒド化合物が優先的に反応してしまうか、あるいはポリ
ビニルアルコール系重合体膜と反応したジアルデヒド類
化合物とモノアルデヒド化合物との交換反応が生じてし
まう。その結果、ジアルデヒド類化合物により期待され
る架橋の度合いが低下する。それに対して、本発明にお
いては、第2工程においてジアセタール型架橋を一度完
了させ後、第3工程においてモノアルデヒド化合物によ
ってアセタール化反応を追加する2段階アセタール化を
行うことで、ジアルデヒド類化合物による架橋度合いを
保持したまま、ポリビニルアルコール系重合体膜中の未
反応の重合単位をさらにモノアルデヒド化合物で架橋・
疎水化することが可能となる。
【0022】モノアルデヒドの具体例としては、ホルム
アルデヒド、ベンズアルデヒド等の公知のものが挙げら
れるが、ポリビニルアルコール系重合体膜内部への浸透
性、及び膜の強度低下を小さくする点から、ホルムアル
デヒドが好ましい。モノアルデヒドを付与する条件、即
ち、その濃度や湿度は、膨潤過多とならぬよう適宜調整
すればよい。具体的には、モノアルデヒド濃度は、0.
2〜10モル/リッターが好ましく、0.4〜5モル/
リッターがより好ましい。反応触媒である酸は、特に限
定するものではないが、最も一般的な硫酸の場合には
0.1〜5規定が好ましく、0.2〜2.5規定がより
好ましい。浴の温度は、反応速度や膜の膨潤状態等から
適宜調整すればよいが、60〜95℃が好ましく、70
〜90℃がより好ましい。また、処理時間0.5〜8時
間が好ましい。また膨潤抑制のために、浴中に芒硝を用
いることも可能である。モノアルデヒドによるアセター
ル化度は特に限定されないが、5モル%以上が好まし
く、10〜30モル%がより好ましい。モノアルデヒド
によるアセタール化度が5モル%未満では耐湿熱性が十
分ではなく、モノアルデヒドによるアセタール化度が3
0モル%より大では、膜強度、透明性等が低下する。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明するが、本発明は実施例によりなんら限定されるもの
ではない。なお、本発明における各種の物性値は以下の
方法で規定されたものである。 1)ジアルデヒド類化合物の含有量 アセタール化反応させる前のジアルデヒド類化合物を含
有する膜を100〜140℃のジメチルスルホキシドに
溶解せしめNMRによりPVAのCH2 基のピークに対
するジアルデヒド類化合物のピーク比を算出し、予め作
成した検量線より含有量を求めた。
【0024】2)ポリビニルアルコール系重合体膜中の
アセタール化度 アセタール化度とは、ジアルデヒド類化合物あるいはモ
ノアルデヒド化合物がPVAの重合単位とアセタール化
反応したことにより消費された重合単位の割合(%)で
ある。アセタール化度は、固体カーボンNMRにより、
ジアルデヒド類化合物とPVAとのアセタール結合に由
来するピーク面積とPVAのメチン炭素ピーク面積との
比から、ジアルデヒド類化合物によるアセタール化度を
求めた。また、モノアルデヒド化合物とPVAとのアセ
タール結合に由来するピーク面積とPVAのメチン炭素
ピーク面積との比から、モノアルデヒド化合物によるア
セタール化度を求めた。
【0025】3)膜の熱水中の溶出量 最終的に得られたポリビニルアルコール系重合体膜(厚
さ約20μm)約100mgを試験管中に精評し、蒸留
水10mlを加えた後、封管し、オートクレーブ(ヤマ
ト科学製、SP22)中で熱処理(121℃,2時間)
した。試験管中のポリビニルアルコール系重合体を濾別
し、蒸留水で水洗後、乾燥(120℃,10時間以上)
した後、溶出率を求めた。
【0026】実施例1 重合度1700、けん化度99.5モル%のポリビニル
アルコールをジメチルスルホキシドに溶解して20重量
%の溶液を得た。該溶液をガラス板上に流延しメタノー
ル浴(0℃)に浸漬して成膜した。得られた膜をメタノ
ール中で充分に洗浄した後、0.2モル/リッターのテ
トラメトキシノナンメタノール溶液に室温下で30分浸
漬した。この膜を熱風乾燥器中で乾燥(50℃,30
分)した。ポリビニルアルコール膜中のテトラメトキシ
ノナンの付着量は、ポリビニルアルコールの重合単位に
対して1モル%であった。得られた膜を硫酸1.6規定
の水溶液中で75℃,30分浸漬してアセタール化反応
を行った。この段階におけるテトラメトキシノナンによ
るアセタール化度は3.5モル%であった。さらに、ホ
ルムアルデヒド3.3モル/リッター、硫酸1.6規定
の水溶液中に50℃,30分浸漬して追加アセタール化
反応を行った。最終的に得られた膜のテトラメトキシノ
ナンによるアセタール化度は3.5モル%、ホルムアル
デヒドによるアセタール化度は20モル%であった。こ
れを、蒸留水で充分水洗し、乾燥(50℃,1時間)し
た後、121℃の熱水中での溶出量を測定したところ、
2.5重量%であった。
【0027】実施例2 重合度1700、けん化度99.5モル%のポリビニル
アルコールをジメチルスルホキシドに溶解して20重量
%の溶液を得た。該溶液をガラス板上に流延しメタノー
ル浴(0℃)に浸漬して成膜した。得られた膜をメタノ
ール中で充分に洗浄した後、0.2モル/リッターのテ
トラメトキシノナンメタノール溶液に室温下で30分浸
漬した。この膜を熱風乾燥器中で乾燥(50℃,30
分)した。ポリビニルアルコール膜中のテトラメトキシ
ノナンの付着量は、ポリビニルアルコールの重合単位に
対して1モル%であった。得られた膜を硫酸1.6規定
の水溶液中に、75℃,30分浸漬してアセタール化反
応を行った。この段階におけるテトラメトキシノナンに
よるアセタール化度は3.5モル%であった。さらに、
ホルムアルデヒド3.3モル/リッター、硫酸1.6規
定の水溶液中に、50℃,120分浸漬して追加アセタ
ール化反応を行った。最終的に得られた膜のテトラメト
キシノナンによるアセタール化度は3.3モル%、ホル
ムアルデヒドによるアセタール化度は30モル%であっ
た。これを、蒸留水で充分水洗し、乾燥(50℃,1時
間)した後、121℃の熱水中での溶出量を測定したと
ころ、1.8重量%であった。
【0028】比較例1 重合度1700、けん化度99.5モル%のポリビニル
アルコールをジメチルスルホキシドに溶解して20重量
%の溶液を得た。該溶液をガラス板上に流延しメタノー
ル浴(0℃)に浸漬して成膜した。得られた膜をメタノ
ール中で充分に洗浄した後、熱風乾燥器中で乾燥(50
℃,30分)した。次に、この膜を1.6規定の硫酸水
溶液中で処理(50℃,30分)した。これを、蒸留水
で充分水洗し、乾燥(50℃,1時間)した後、121
℃の熱水中での溶出量を測定したところ、100重量%
であった。また、この膜は、100℃の沸騰水中でも完
全に溶解した。
【0029】比較例2 重合度1700、けん化度99.5モル%のポリビニル
アルコールをジメチルスルホキシドに溶解して20重量
%の溶液を得た。該溶液をガラス板上に流延しメタノー
ル浴(0℃)に浸漬して成膜した。得られた膜をメタノ
ール中で充分に洗浄した後、熱風乾燥器中で乾燥(50
℃,30分)した。次に、得られた膜をホルムアルデヒ
ド3.3モル/リッター、硫酸1.6規定の水溶液中に
50℃,30分浸漬してアセタール化反応を行った。最
終的に得られた膜のホルムアルデヒドによるアセタール
化度は30モル%であった。これを、蒸留水で充分水洗
し、乾燥(50℃,1時間)した後、121℃の熱水中
での溶出量を測定したところ、21.0重量%であっ
た。
【0030】比較例3 重合度1700、けん化度99.5モル%のポリビニル
アルコールをジメチルスルホキシドに溶解して20重量
%の溶液を得た。該溶液をガラス板上に流延しメタノー
ル浴(0℃)に浸漬して成膜した。得られた膜をメタノ
ール中で充分に洗浄した後、0.2モル/リッターのテ
トラメトキシノナンメタノール溶液に室温下で30分浸
漬した。この膜を熱風乾燥器中で乾燥(50℃,30
分)した。ポリビニルアルコール膜中のテトラメトキシ
ノナンの付着量は、ポリビニルアルコールの重合単位に
対して1.1モル%であった。得られた膜をホルムアル
デヒド3.3モル/リッター、硫酸1.6規定の水溶液
中に50℃,30分浸漬して、テトラメトキシノナンと
ホルムアルデヒドによるアセタール化反応を同時に行っ
た。最終的に得られた膜のテトラメトキシノナンによる
アセタール化度は0.7モル%、ホルムアルデヒドによ
るアセタール化度は30モル%であった。これを、蒸留
水で充分水洗し、乾燥(50℃,1時間)した後、12
1℃の熱水中での溶出量を測定したところ、11.2重
量%であった。
【0031】
【発明の効果】上記の実施例からも明らかな通り、本発
明のアセタール化ポリビニルアルコール系重合体膜は、
従来のポリビニルアルコール系重合体膜に比べて、耐水
性および耐湿熱性が顕著に優れている。本発明により得
られたアセタール化ポリビニルアルコール系重合体膜
は、上記の持徴を生かして、各種包装材料、ガスバリヤ
材料、偏光膜基材やフィルター基材等の光学用膜および
各種分離膜等に使用されるなど工業的な価値が極めて高
いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鎌田 英樹 岡山県倉敷市酒津2045番地の1 株式会社 クラレ内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1工程でポリビニルアルコール系重合
    体中の重合単位に対して0.25〜20モル%のジアル
    デヒドもしくはそのアセタール化物を含有させ、第2工
    程でアセタール化反応を行い、第3工程でモノアルデヒ
    ドと酸の混合溶液でアセタール化反応を行うことを特徴
    とするアセタール化ポリビニルアルコール系重合体膜の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコール系重合体がけん化
    度70モル%以上および平均重合度1000以上である
    請求項1記載のアセタール化ポリビニルアルコール系重
    合体膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の製造方法によっ
    て製造されたアセタール化ポリビニルアルコール系重合
    体膜。
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