JPH10272742A - 医療用バック等に適した多層フィルム - Google Patents

医療用バック等に適した多層フィルム

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JPH10272742A
JPH10272742A JP9081271A JP8127197A JPH10272742A JP H10272742 A JPH10272742 A JP H10272742A JP 9081271 A JP9081271 A JP 9081271A JP 8127197 A JP8127197 A JP 8127197A JP H10272742 A JPH10272742 A JP H10272742A
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JP
Japan
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propylene
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block copolymer
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Application number
JP9081271A
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English (en)
Inventor
Kazuyuki Watanabe
和幸 渡邊
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MONTERU J P O KK
Original Assignee
MONTERU J P O KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 特に、携帯用オストミーバックを製造するの
に好適な多層フィルムを提供する。 【解決手段】 第1層と第2層とを積層する。第1層
は、(1)エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物 5
0〜95重量と、(2)エチレン−不飽和カルボン酸の
アイオノマー樹脂及び/又は(3)ビニル芳香族化合物
重合体ブロックAと、共役ジェン重合体ブロックBとか
らなるブロック共重合体に、不飽和カルボン酸又はその
無水物をグラフトした変性ブロック共重合体50〜5重
量%とからなる。第2層は、(1)(a)ポリプロピレ
ンブロック及び(b)プロピレン−α−オレフィンブロ
ック共重合体 50〜80重量%と、(2)ビニル芳香
族化合物重合体ブロックAと、共役ジェン重合体ブロッ
クBとからなるブロック共重合体 50〜20重量%と
からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品包装及び人工
腎臓用採尿バック等の医療用バックに好適な多層フィル
ムに関する。特に、本発明は、携帯用オストミーバック
を製造するのに好適な多層フィルムに関し、更に詳細に
述べれば、本発明は、使用時に、人工肛門等からの排出
汚物を漏洩することなく、確実に溜めることができると
ともに、汚物の臭気のバリヤー性及び装着感に優れ、更
には、使用時の消音性に優れたオストミーバック製造に
特に適した多層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、オストミーバック用フィルムに
は、低密度ポリエチレンや、軟質ポリ塩化ビニル等の単
層フィルムが用いられてきた。しかし、低密度ポリエチ
レンや、軟質ポリ塩化ビニル等の単層フィルムは、臭気
のバリヤーに劣り、排出汚物の臭気が外部に漏れるな
ど、本人はもとより、周囲の人に不快感を与えるという
問題があった。そこで、臭気バリヤー層として、バリヤ
ー性に優れるポリ塩化ビニリデン系樹脂やエチレン−酢
酸ビニル共重合体ケン化物を用いたものが知られてい
る。しかしながら、ポリ塩化ビニリデン系樹脂や、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を用いたものは、臭
気バリヤー性は優れてはいるものの、フィルムが硬く、
使用又は装着時の不快感や、人体に当たった時にノイズ
音が生じるなどの問題があった。そこで、ポリ塩化ビニ
リデン系樹脂の場合は、アクリロニトリル、アクリル酸
エステル、アクリル酸などの共重合体や可塑剤を添加す
る方法などが試みられている。この時、両外層には、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体又は塩素化ポリエチレンを
ブレンドする方法、エチレン−アクリル酸共重合体、エ
チレン−メタクリル酸共重合体を用いる方法などがある
(例えば、特開表57−501631号公報、特開昭6
0−137368号公報)。
【0003】一方、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン
化物を用いる方法としては、エチレン−酢酸ビニル共重
合体ケン化物にその部分ケン化物をブレンドしたものを
バリヤー層とし、表面層にエチレン−アクリル酸共重合
体やエチレン−メタクリル酸共重合体などを用いた多層
フィルム(例えば、実開昭60−175248号公
報)、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物と、酢酸
ビニル、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル
から選択される単位を2〜25モル%含有するエチレン
系共重合体とのブレンド物をバリヤー層とし、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル
共重合体又はエチレン−メタクリル酸エステル共重合体
を内外層樹脂として積層したフィルム(例えば、特開昭
64−70065号公報)などが提案されている。
【0004】これらの方法のうち、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体ケン化物にその部分ケン化物をブレンドする
方法は、臭気のバリヤー性が不足するなどの問題があっ
た。一方、その他の方法では、臭気のバリヤー性は十分
であるが、フィルムが硬く、使用時のノイズ音が大きく
依然として問題となっている。また、特開昭64−70
065号公報に開示された方法は、外層にエチレン−酢
酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重
合体又はエチレン−メタクリル酸エステル共重合体を用
いているので、積層フィルム自体の臭いがあるとか、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体の場合は、成形中に脱酢ビ
を起こし易いため、成形性に劣るなどの問題があった。
ところで、ポリ塩化ビニリデン系樹脂は、塩素系樹脂で
あるので、燃焼させると塩素が発生するため、焼却及び
リサイクルが困難であるなど、近年地球環境保護の問題
として、非塩素系樹脂を用いたものが望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、人
工肛門等からの排出汚物などを漏洩することなく確実に
溜めることができ、汚物の臭気のバリヤー性及び装着感
に優れるとともに、使用時の消音性に優れ、そのため、
特に、オストミーバックの製造に適した多層フィルムを
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、エチレン−酢
酸ビニル共重合体ケン化物にアイオノマー樹脂及び/又
は変性ブロック共重合体を配合した中間層に、特定のプ
ロピレン−α−オレフィンブロック共重合体に、ビニル
芳香族化合物重合体ブロックAと共役ジェン重合体ブロ
ックBとからなる重合体を水素添加したブロック共重合
体を配合した樹脂層を積層することにより、上記目的を
達成し得ることを見い出し、この知見に基づいて本発明
を完成するに至ったものである。即ち、本発明は、
(I)(1)エチレン含有量が25〜50モル%でかつ
ケン化度90%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケ
ン化物 50〜95重量、及び(2)エチレン−不飽和
カルボン酸のアイオノマー樹脂及び/又は、(3)ビニ
ル芳香族化合物重合体ブロックAと、共役ジェン重合体
ブロックBとからなる重合体を水素添加したブロック共
重合体に、不飽和カルボン酸又はその無水物を0.2〜2
0重量%グラフトした変性ブロック共重合体 50〜5
重量%、からなる第1層、及び(II)(1)(a)ポリ
プロピレンブロック及び(b)プロピレンと炭素数2〜
12(ただし、3を除く)のα−オレフィンとの共重合
体エラストマーブロックからなり、かつ前記共重合体エ
ラストマーブロックが全共重合体中に占める割合が30
〜70重量%であるプロピレン−α−オレフィンブロッ
ク共重合体 50〜80重量%、及び(2)ビニル芳香
族化合物重合体ブロックAと、共役ジェン重合体ブロッ
クBとからなる重合体を水素添加したブロック共重合体
50〜20重量%からなる第2層、を積層したことを
特徴とする多層フィルムを提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明で使用する第1層は、通常、中間層として
使用するバリヤー性に優れた層である。ここで使用され
るエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、「E
VOH」とも言う。)(成分(1))は、ガスバリヤー
性樹脂として包装分野に広く用いられているものであ
り、一般にエチレンと酢酸ビニルとを共重合し、ケン化
反応によって得られるものである。EVOHのエチレン
含有量は、25〜50モル%であり、好ましくは28〜
48モル%、特に好ましくは30〜45モル%がよい。
エチレン含有量が25モル%未満の場合は、熱安定性に
劣り、成形性が悪く、好ましくない、一方、エチレン含
有量が50モル%を越える場合には、臭気バリヤー性が
劣り、好ましくない。
【0008】EVOHにおける酢酸ビニル部分のケン化
度は、90%以上であり、好ましくは92%以上、特に
好ましくは95%以上である。最大100%である。ケ
ン化度が90%未満の場合には、臭気バリヤー性が劣
り、好ましくない。EVOHの重量平均分子量は、好ま
しくは5,000〜100,000、特に好ましくは1
0,000〜80,000である。EVOHとしては、
例えば、市販されているものが使用できる。市販品の例
としては、例えば、(株)クラレ製「商品名:エバー
ル」や、日本合成化学(株)製「商品名:ソアノール」
等が挙げられる。本発明の第1層を構成するアイオノマ
ー樹脂(成分(2))は、エチレンと、不飽和カルボン
酸又は不飽和カルボン酸エステルとの共重合体のナトリ
ウムや亜鉛などの金属イオンによる中和塩である。
【0009】成分(2)を構成する不飽和カルボン酸と
しては、例えば、アクリル酸や、メタクリル酸、マレイ
ン酸、フマル酸等、更には、マレイン酸やフマル酸のモ
ノアルキルエステル(アルキル基としては、炭素数が、
例えば1〜18、好ましくは3〜12のものが適当であ
る。)、並びに無水マレイン酸などが例示できるが、特
にアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。また、不飽
和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メ
チルや、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、ア
クリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、
メタクリル酸メチル等の直鎖又は分岐鎖の炭素数、例え
ば1〜18、好ましくは3〜12のアルキル基エステル
や、酢酸ビニルのようなビニルエステルなどが挙げられ
る。これらのなかでも、アクリル酸メチルや、アクリル
酸エチルが好ましい。
【0010】エチレンと、不飽和カルボン酸又は不飽和
カルボン酸エステルとの重合は、通常、重合圧力1,0
00〜2,500Kg/cm2 、重合温度150〜280℃
の高圧高温下、有機過酸化物を開始剤とし、ラジカル重
合によって得られる。次に、押出機などを用い、ナトリ
ウム、リチウム等のアルカリ金属や、亜鉛等の金属イオ
ンを含む金属酸化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩を使用
し、上記共重合体の酸基を中和(イオン化)する。この
アイオノマーの中和度(イオン化度)は通常酸基の5〜
90モル%の範囲で行われる。不飽和カルボン酸の含有
量は、好ましくは3〜30重量%であり、特に好ましく
は10〜20重量%のエチレン−不飽和カルボン酸共重
合体のアイオノマーが好適である。不飽和カルボン酸の
含有量が、3重量%未満の場合は、EVOHとブレンド
して用いた場合、オストミーバックのノイズ音が大き
く、好ましくない。一方、30重量%を越える場合に
は、臭気バリヤー性が損なわれ、好ましくない。
【0011】不飽和カルボン酸エステルの含有量は、好
ましくは5〜35重量%であり、特に好ましくは7〜3
0重量%が適当である。特に、アイオノマー樹脂(成分
(2))としては、特に、温度190℃、荷重2160
Kgにおけるメルトフローレート(MFR)が、通常0.
1〜100g/10分、好ましくは0.3〜50g/10
分、特に好ましくは0.5〜10g/10分のものが好適
である。これらアイオノマー樹脂(成分(2))に関し
ては、「実用プラスチック事典p45−p53、産業調
査会(1993年8月1日発行)」や、「新ラミネート
加工便覧p196−p207(1983年11月30日
発行)」などに詳細に記載されている。
【0012】アイオノマー樹脂の重量平均分子量は、好
ましくは5,000〜150,000、特に好ましくは
10,000〜130,000が好適である。アイオノ
マー樹脂にとしては、市販されているものが好適に使用
できる。市販品の例としては、例えば、三井・デュポン
ポリケミカル(株)製「商品名:ハイミラン」が挙げら
れる。特に好ましいものとしては、ハイミランAM79
26や、ハイミランAM79261、ハイミランS18
56が挙げられる。本発明において、成分(1)と併用
される変性ブロック共重合体(成分(3))は、ビニル
芳香族化合物重合体ブロックAと、共役ジェン重合体ブ
ロックBとからなる重合体を水素添加することによって
調製され、更に、不飽和カルボン酸又はその無水物、0.
2〜20重量%で変性処理したものである。このような
変性ブロック共重合体(成分(3))としては、具体的
には、スチレン−ブタジェンブロックコポリマー(SB
S)や、スチレン−イソプレンブロックコポリマー(S
IS)等のスチレン系熱可塑性エラストマーの分子内二
重結合を水素添加することによって熱安定性及び耐候性
を改良した、スチレン−エチレン−ブチレンブロック共
重合体(SEBS)や、スチレン−イソプレン水素添加
ブロック共重合体(SEPS)に不飽和カルボン酸又は
その無水物を濃度0.2〜20重量%で変性を行ったもの
が挙げられる。
【0013】SEBSの製造方法は公知である。例え
ば、特公昭40−23798号公報や、特公昭42−3
704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭4
5−20504号公報等の各明細書に記載されている。
代表的な方法としては、リチウム触媒又はチーグラー型
触媒を用い不活性溶媒中でブロック重合させて得ること
ができる(特公昭40−23798号公報)。これらの
水素添加処理は、例えば特公昭42−8704号公報
や、特公昭43−6838号公報、特公昭46−208
14等に記載されている方法により、不活性溶媒中で水
素添加触媒の存在下に水素添加される。この水素添加で
は重合体ブロック中のオレフィン型二重結合の少なくと
も50%、好ましくは80%以上が水素添加され、重合
体ブロックA−(B−A)n中のAの芳香性不飽和結合
の25%以下が水素添加される。
【0014】SEBS又はSEPS等の水素添加ブロッ
ク共重合体を変性するのに用いる不飽和カルボン酸又は
その無水物としては、例えば、アクリル酸や、マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸、ハイミック酸等、もしくは
それらの無水物が挙げられる。特に、アクリル酸又は無
水マレイン酸が好ましい。これら不飽和カルボン酸又は
その無水物の変性又はグラフト反応については、公知の
方法を用い得ることができる。SEBSのグラフト反応
としては、例えば、特開昭61−76518号公報、特
開昭57−205440号公報、特開昭55−1371
9号公報、特開昭55−13720号公報等に記載され
た方法を用いることができる。変性ブロック共重合体
(成分(3))の重量平均分子量は、好ましくは50
0,000〜250,000であり、特に好ましくは7
00,000〜200,000が適当である。
【0015】本発明の第1層においては、エチレン−酢
酸ビニル共重合体ケン化物(成分(1))は、50〜9
5重量%、好ましくは、55〜90重量%、特に好まし
くは58〜85重量%の量で使用することが適当であ
る。一方、アイオノマー樹脂(成分(2))及び/又は
変性ブロック共重合体(成分(3))は、50〜5重量
%、好ましくは45〜10重量%、特に好ましくは、4
2〜15重量%が好適である。エチレン−酢酸ビニル共
重合体ケン化物の量が、50重量%未満の場合は、臭気
バリヤー性が劣り好ましくない。一方、95重量%を超
えると、装着感及び使用時の消音性が劣り、好ましくな
い。エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(成分
(1))に対して、アイオノマー樹脂(成分(2))及
び変性ブロック共重合体(成分(3))を併用する場合
は、好ましくは、アイオノマー樹脂:変性ブロック共重
合体=1:4〜4:1、特に好ましくは、1:3〜3:
1が適当である。
【0016】本発明の第2層に使用するプロピレン−α
−オレフィンブロック共重合体(以下、「BPP」とも
言う)(成分(1))は、(a)ホモポリプロピレン又
はプロピレンと炭素数2〜12(ただし、3を除く)の
α−オレフィンとのランダム共重合体からなるポリプロ
ピレンブロックと、(b)プロピレンと、炭素数2〜1
2(ただし、3を除く)のα−オレフィンとの共重合体
エラストマーブロックとからなるブロック共重合体が挙
げられる。(a)成分としてのポリプロピレンブロック
で使用されるα−オレフィン成分としては、例えば、エ
チレンや、1−ブテン、3−メチル1−ブテン、3−メ
チル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−
ジメチル−1−ペンテン、1−オクテン、ビニルシクロ
ペンタン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。これ
らのα−オレフィンは1種でもよく、2種以上を併用し
てもよい。これらの中でも、特にエチレン、1−ブテン
及び1−オクテンを用いるとよい。
【0017】(a)成分として、プロピレン−α−オレ
フィンランダム共重合体を使用する場合、(a)成分中
の上記α−オレフィン成分の含有量は、多くとも10重
量%が適当である。α−オレフィン成分が10重量%を
越えると、耐熱性、剛性が劣り好ましくない。好ましく
は、8重量%以下であり、特に好ましくは5重量%以下
である。一方、(b)成分としての共重合体エラストマ
ーブロックにおけるα−オレフィン成分としては、
(a)成分と同様に、例えば、エチレンや、1−ブテ
ン、3−メチル1−ブテン、3−メチル−1−ペンテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、4−ジメチル−1−ペ
ンテン、1−オクテン、ビニルシクロペンタン、ビニル
シクロヘキサン等を使用できる。これらのα−オレフィ
ンは1種でもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、特にエチレン、1−ブテン及び1−オ
クテンを用いるとよい。
【0018】プロピレン−α−オレフィンブロック共重
合体(成分(1))における、(b)成分の量は、30
〜70重量%、好ましくは35〜68重量%、特に好ま
しくは40〜65重量%が好適である。(b)成分が、
30重量%未満では柔軟性や、装着性に劣る。一方、7
0重量%を超えると、耐熱性が低下するので好ましくな
い。プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の重
量平均分子量は、好ましくは100,000〜600,
000、特に好ましくは200,000〜500,00
0が適当である。特に、オストミーバックの消音性改良
効果に優れるプロピレン−α−オレフィンブロック共重
合体(BPP)としては、下記(1)及び(2)の特性
を有するものが好ましい。
【0019】即ち、(1)25℃におけるパラキシレン
不溶分が25〜65重量%の範囲にあり、(2)25℃
におけるパラキシレンに可溶分が、(i)2サイトモデ
ルによる平均のプロピレン含量(FP)が20〜80重
量%であり、(ii)2サイトモデルにおいてプロピレン
を優先的に重合する活性点で生成する共重合体(PH
のプロピレン含量(PP )が65〜90重量%であり、
及び(iii) PH が共重合体に占める割合(Pf1)が、0.
60〜0.90の範囲である。パラキシレン不溶分とは、
BPPを温度130℃でパラキシレンに約1重量%溶解
した後、25℃まで冷却したときの不溶分であり、本発
明のBPPは25〜65重量%、特に30〜60重量%
が好適である。パラキシレン可溶分は上記操作により溶
解した成分であり、2サイトモデルにより求められる性
状が上記範囲にあることが好ましい。
【0020】具体的には、プロピレン−α−オレフィン
ブロック共重合体の25℃でのパラキシレンに可溶した
成分を、1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベ
ンゼンの混合溶媒にポリマー濃度が10重量%となるよ
うに120℃で加温して溶解する。この溶液を10mm
φガラス製試料管に入れ、13C−NMRスペクトルを測
定する。ここで、プロピレン−α−オレフィンの2サイ
トモデルについて、プロピレン−エチレン共重合体の同
位体炭素による核磁気共鳴(13C−NMR)スペクトル
の例を図1に示す。このスペクトルは連鎖分布(エチレ
ンとプロピレンとの並び方)の違いでi〜xに示す10
個のピークが現れる。この連鎖の名称は、Carmanら、 M
acromolecules 10:536-544 (1977) に記載があり、その
名称を図2に示す。このような連鎖は、共重合の反応機
構を仮定すると反応確率(P)として表すことができ、
全体のピーク強度を1としたときの各i〜xのピークの
相対強度はPをパラメータとしたベルヌーイ統計による
確率方程式として表すことができる。
【0021】例えば、(i)のSααの場合、プロピレ
ン単位を記号p、エチレン単位を記号eとすると、これ
をとりうる連鎖は[pppp]、[pppe]、[ep
pe]の3通りであり、これらをそれぞれ反応確率
(P)で表し、足し合わせる。残りの(ii)〜(x) のピー
クについても同様な方法で式を立て、これら10個の式
と実際に測定したピーク強度が最もちかくなるようにP
を最適化することにより求めることができる。2サイト
モデルは、この反応機構を仮定するモデルであり、Chen
g 、 Jounalof Applied Polymer Sience, 35:1639-1650
(1988)に記載がある。即ち、触媒を用いてプロピレン
とエチレンとを共重合するモデルにおいて、プロピレン
を優先的に重合する活性点で生成する共重合体(PH
のプロピレン含量(PP )と、エチレンを優先的に重合
する活性点で生成する共重合体のプロピレン含量(P’
P )との2つを仮定し、更にPH が共重合体に占める割
合(Pf1)をパラメータとすると表1に示す確率方程式
が得られる。
【0022】
【表1】 表1 シグナル 2サイトモデルの確立方程式 (i) Sαα P P 2 ×P f1+P' P 2 ×(1-Pf1) (ii) Sαγ (-2PP 3+2PP 2)×P f1+(-2P' P 3+2P' P 2) ×(1-Pf1) (iii) Sαδ (2P P 3 -4P P 2+2PP ) ×P f1+(2P' P 3-4P' P 2 +2P' P ) ×(1-Pf1) (iv) Tδδ (P P 3-2P P 2+P P ) ×P f1+(P'P 3-2P' P 2+P' P) ×(1-Pf1) (v) Sγγ+Tβδ (P P 4-4P P 3+3P P 2)×P f1+(P'P 4-4P' P 3 +3P' P 2)×(1-Pf1) (vi) Sγδ (-2PP 4+6PP 3-6PP 2+2PP ) ×P f1+ ×(-2P' P 4 +6P' P 3-6P' P 2+2P' P )×(1-Pf1) (vii) Sδδ (P P 4-5P P 3+9PP 2-7PP +2) ×P f1+ ×(P' P 4 -5P' P 3+9P' P 2-7P' P +2) ×(1-Pf1) (viii) Tββ P P 3 ×P f1+P'P 3 ×(1-Pf1) (ix) Sβδ (2P P 3 -4P P 2+2PP ) ×P f1+(2P' P 3-4P' P 2 +2P' P ) ×(1-Pf1) (x) Sββ (-P P 3+P P 2)×P f1+(-P' P 3+P' P 2) ×(1-Pf1) 先に述べた13C−NMRスペクトルの相対強度と、表1
に示す確率方程式とが一致するようにPP 、P’P 及び
f1の3個のパラメータを最適化することにより、
(i)2サイトモデルによる平均のプロピレン含量(F
P)、(ii)2サイトモデルにおいてプロピレンを優先
的に重合する活性点で生成する共重合体(P H )のプロ
ピレン含量(PP )及び(iii) PH が共重合体に占める
割合(Pf1)が求められる。
【0023】本発明のプロピレン−α−オレフィンブロ
ック共重合体のパラキシレン可溶分の(i)平均プロピ
レン含量(FP)は、上記3個のパラメーターを用いて
次式で求められる。 FP=PP ×Pf1+PP ’×(1−Pf1) (重量%) 本発明においては、上記式で求められるFPは20〜8
0重量%が好ましく、30〜70重量%であることが特
に好ましい。また、本発明においては、(ii)PP は、
65〜90重量%が好ましく、〜85重量%が特に好ま
しい。更に、本発明においては、(iii)Pf1は、0.40
〜0.90が好ましく、0.48〜0.82が特に好ましい。
【0024】本発明のプロピレン−α−オレフィンブロ
ック共重合体(BPP)の重合は、ヘキサン、ヘプタ
ン、灯油などの不活性炭化水素又はプロピレンなどの液
化α−オレフィン溶媒の存在下で行うスラリー法や、無
溶媒下の気相重合法などにより、温度条件としては室温
〜130℃、好ましくは50〜90℃、圧力2〜50K
g/cm2 の条件で行われる。重合工程における反応器は、
当該技術分野で通常用いられる物が適宜使用でき、例え
ば撹拌槽型反応器や、流動床型反応器、循環式反応器を
用いて連続式、反回分式、回分式のいずれかの方法でも
良い。具体的には、公知の多段重合法を用いて得られ
る。即ち、第1段の反応器でプロピレン及び/又はプロ
ピレン−α−オレフィン共重合体を重合した後、第2段
の反応でプロピレンとα−オレフィンとの共重合を行う
方法であり、例えば、特開平3−97747号公報、特
開平3−205439号公報、特開平4−153203
号公報、特開平5−93024号公報、特開平4−26
1423号公報、特開平8−27238号公報、特開平
8−100037号公報などに記載されている。
【0025】上記方法で得られるプロピレン−α−オレ
フィンブロック共重合体(BPP)のJIS K721
0に準拠した230℃、荷重2.16Kgで測定したメル
トフロレート(以下「MFR」という)は通常重合反応
器の閉塞などの問題や取扱い性などから一般に2(g/
10)以下が適当である。プロピレン−α−オレフィン
ブロック共重合体(成分(1))の好適な市販品として
は、例えば、モンテル社「商品名:キャタロイ」や、ト
クヤマ社「商品名:P.E.R」、チッソ社「商品名:
ニューコン」および出光石油化学社「商品名:TPO」
があり、これらを用いることができる。本発明の第2層
に使用される水素添加ブロック共重合体(成分(2))
は、先に、第1層で使用する変性ブロック共重合体との
関連で説明したように、例えば、SEBSや、SEPS
等である。水素添加ブロック共重合体(成分(2))の
ビニル芳香族化合物の含有量、具体的には、SEBS又
はSEPSにおけるスチレン含有量は、好ましくは5〜
30重量%、特に好ましくは8〜25重量%、更に好ま
しくは10〜20重量%のものが好適である。ビニル芳
香族化合物の含有量が、5重量%未満の場合には、弾性
が劣り易く、オストミーバックの装着感が劣り易く、好
ましくない。一方、この量が、30重量%を超えると、
硬くなり消音性が劣り易く、好ましくない。
【0026】水素添加ブロック共重合体(成分(2))
の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは5〜25万で
あり、更に好ましくは7〜20万、特に好ましくは8〜
15万が適当である。重量平均分子量(Mw)が5万未
満の場合には、耐熱性や、装着感、弾性が劣り易く、好
ましくない。一方、25万を超えると、硬くなり、オス
トミーバックの装着感及び消音性が劣り易く、好ましく
ない。水素添加ブロック共重合体(成分(2))として
のSEBSや、SEPSは、市販されているものが使用
できる。市販品のSEBSの例としては、例えば、シェ
ル化学(株)製「商品名:クレイトンG」や、旭化成
(株)製「商品名:タフテックHシリーズ、タフテック
Mシリーズ」が挙げられる。SEPSの例としては、例
えば、(株)クラレ製「商品名:セプトン」が挙げられ
る。
【0027】本発明の第2層において、プロピレン−α
−オレフィンブロック共重合体(成分(1))の量は、
50〜80重量%、好ましくは55〜75重量%、特に
好ましくは60〜70重量%が適当である。一方、水素
添加ブロック共重合体(成分(2))の量は、50〜2
0重量%、好ましくは45〜25重量%、特に好ましく
は40〜30重量%が適当である。プロピレン−α−オ
レフィンブロック共重合体の量が、50重量%未満の場
合には、耐熱性や、耐薬品性、成形性が劣り、好ましく
ない。一方、プロピレン−α−オレフィンブロック共重
合体が50重量%以上あれば、多層共押出し成形法によ
る多層フィルムの場合、無水マレイン酸をポリオレフィ
ンにグラフトした接着性樹脂が、ポリエチレンがベース
である接着性樹脂であっても容易に第2層と接着ができ
る特徴を有し、多層フィルムが柔軟なものを得ることが
できるので好ましい。一方、プロピレン−α−オレフィ
ンブロック共重合体の量が80重量%を超えると、オス
トミーバックの装着感及び消音性が劣り、好ましくな
い。更に、水素添加ブロック共重合体(成分(2))
が、50重量%を超えると、耐熱性や、耐薬品性、成形
性が劣り好ましくない。一方、20重量%未満の場合に
は、オストミーバックの装着感及び消音性が劣り好まし
くない。
【0028】本発明で使用する第1層及び第2層を形成
する樹脂組成物の調製は、上記各成分のブレンド物を、
例えば、タンブラーや、ミキサーなどの混合機を用い
て、混合し、次に、バンバリミキサーや、ニーダーなど
の混合機、あるいは押出機などを用いて混練する方法が
挙げられる。また、オープンロールなどで配合してもよ
い。混合温度としては、一般に160℃〜300℃であ
り、180℃〜280℃が好ましい。なお、本発明の第
2層で使用するプロピレン−α−オレフィンブロック共
重合体(成分(1))は、JIS K7210に従っ
て、230℃で、荷重2.16Kgの条件でメルトフロレ
ート(MFR)を測定した場合に、1〜300(g/1
0分)であることが好ましく、更に、2〜250g/1
0分、とりわけ3〜200g/10分であることが好適
である。MFRが1(g/10分)未満では成形性に劣
り、好ましくない。一方、300g/10分を超える
と、製品の厚肉化が困難になる傾向にあり、好ましくな
い。
【0029】なお、MFRを調整するために有機過酸化
物を用いてもよい。有機過酸化物は、特に制限されるも
のではないが、プロピレン−α−オレフィンブロック共
重合体の融解温度における分解速度が半減期で1秒より
長く、300℃での分解速度が10分以下のものが好ま
しい。好ましい有機過酸化物を例示すれば、例えば、ハ
イドロパーオキサイド類や、アルキルパーオキサイド
類、アシルパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド
類、アルキルパーエステル類、パーオキシジカーボネー
ト類、シリコンパオキサイド類等の有機過酸化物のうち
で、上記分解速度をもつもので、具体的にはt−ブチル
ハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、
1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベ
ンゼン、ベンゾイルパーオキサイド、メチルイソブチル
ケトンパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、
ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビニルトリ
ス(t−ブチルパーオキシ)シラン等が挙げられる。
【0030】これら有機過酸化物の配合割合は、プロピ
レン−α−オレフィンブロック共重合体(BPP)10
0重量部に対して、好ましくは、0.005〜0.5重量
部、好ましくは0.01〜0.45重量部、特に好ましくは
0.015〜0.40重量部が好適である。更に、本発明の
樹脂組成物に対しては、熱可塑性樹脂に慣用の他の添加
剤、例えば、酸化防止剤や、耐候性安定剤、帯電防止
剤、滑剤、ブロックキング防止剤、防曇剤、染料、顔
料、オイル、ワックス等を本発明の目的を損なわない範
囲で適宜量配合できる。例えば、このような添加剤の例
としては、酸化防止剤として2,5−ジ−t−ブチルハ
イドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾー
ル、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノー
ル)、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−
ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’
−ジ−t−ブチル−1’−ヒドロキシフェニル)プロピ
ネート、4,4’−チオビス−(6−ブチルフェノー
ル)、紫外線吸収剤としては、エチル−2−シアノ−
3、3−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロ
キシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、可塑剤と
して、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、ワック
ス、流動パラフィン、りん酸エステル、帯電防止剤とし
ては、ペンタエリスリットモノステアレート、ソルビタ
ンモノパルミテート、硫酸化オレイン酸、ポリエチレン
オキシド、カーボンワックス、滑剤として、エチレンビ
スステアロアミド、ブチルステアレート等、着色剤とし
て、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリド
ン、インドリン、アゾ系顔料、酸化チタン、ベンガラ
等、充填剤としてグラスファイバー、アスベスト、マイ
カ、バラストナイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミ
ニウム、炭酸カルシウム、又、他の多くの高分子化合物
も本発明の作用効果が阻害されない程度にブレンドする
こともできる。
【0031】以上のようにして得られた本発明の樹脂組
成物は、公知の成型方法、例えば、Tダイ成形法や、イ
ンフレーション成形法、カレンダー成形法等を用いて成
形体を得ることができる。フィルムやシートの成形にお
いて、Tダイフィルム/シート成形の場合、通常押出機
の温度は、180℃〜300℃、好ましくは200℃〜
290℃、特に好ましくは220℃〜280℃の範囲で
成形するとよい。また、冷却ロールの温度は、10℃〜
80℃の範囲、好ましくは20℃〜70℃、特に好まし
くは30℃〜60℃の範囲で行うとよい。一方、インフ
レーションフィルム成形の場合は、押出機の温度150
℃〜250℃、好ましくは160℃〜230℃、特に好
ましくは170℃〜220の範囲、及びブローアップ比
1.5〜8の範囲で行うとよい。
【0032】カレンダー成形法は、150℃〜230
℃、好ましくは160℃〜210℃、特に好ましくは1
70℃〜200℃の範囲で行うとよい。本発明の多層フ
ィルムの用途として好適なオストミーバックの場合に
は、その層構成としては、例えば、第2層/接着層/第
1層/接着層/第2層や、第2層/接着層/第1層/接
着層/その他のフィルム層、などを挙げることができ
る。本発明の多層フィルムは、第1層及び第2層を少な
くとも2層に積層したものである。第1層を中間層とし
て、その両面に各層を設ける場合には、少なくとも外層
の一種は、上記第2層で構成することが必要である。第
1層がないと、臭気のバリヤー性が劣り、第2層がない
場合には、オストミーバックの装着感及び消音性が劣り
好ましくない。
【0033】積層方法に関しては、公知のポリウレタン
系接着剤や、ポリエステル系接着剤などを用いたドライ
ラミネート成形法や、押出ラミネート成形法などの各種
ラミネート法、並びに公知の無水マレイン酸をポリオレ
フィン樹脂にグラフトした変性ポリオレフィンや、無水
マレイン酸基を含有するエチレン系共重合体を接着樹脂
として用い、第1層の樹脂組成物及び第2層の樹脂組成
物を接着樹脂を介して各種共押出し成形することによ
り、積層することができる。本発明の多層フィルムにお
いては、第1層は、好ましくは3〜20μm、特に好ま
しくは5〜18μm、更に好ましくは、8〜15μmの
厚みで使用される。一方、第2層は、好ましくは10〜
50μm、特に好ましくは、15〜45μm、更に好ま
しくは20〜40μmの厚みで使用される。
【0034】第1層の厚みが、3μm未満の場合は、臭
気のバリヤー性に劣り好ましくない。一方、20μmを
超えるとオストミーバックの装着感及び消音性が劣り好
ましくない。第2層に関しては、10μm未満の場合
は、フィルムの弾性、オストミーバックの装着感及び消
音性が劣り好ましくない。一方、50μmを超えると装
着感が劣り好ましくない。共押出し成形法の場合、接着
性樹脂層の厚みは、好ましくは3〜15μm、特に好ま
しくは4〜10μmの範囲がよい。接着性樹脂層が3μ
m未満の場合は、層間接着性に劣り、剥離などの問題が
生じ易い。一方、15μmを超えるとオストミーバック
が硬くなり消音性が損なわれ易い。
【0035】
【実施例】以下、実施例によって本発明について更に具
体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例によっ
て限定されるものではない。第1層の構成 [EVOH]EV−1 :エチレン含有量32モル%、ケン化度99%
以上である(株)クラレ製エバールEP−H301EV−2 :エチレン含有量44モル%、ケン化度99%
以上である(株)クラレ製エバールEP−E105 [アイオノマー樹脂]IO−1 :三井・デュポン(株)製ハイミランS185
6 [変性ブロック共重合体]SEBSであるシェル化学
(株)製クレイトンG1652を100重量部、無水マ
レイン酸3重量部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルペルオキシ)ヘキサン0.12重量部をヘンシェ
ルミキサーで混合した後、直径40mm、L/D=32の
ベント付き押出機に供給し、押出機の設定温度160〜
230℃で溶融グラフト反応を行った。得られたペレッ
トをアセトン還流下で洗浄し、未反応の無水マレイン酸
を抽出した。赤外線分光光度計を用い、グラフト量を測
定したところ、1.9重量%であった。以下、「SSB」
と略す。第2層の構成 [プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(BP
P)]BPP1 :エラストマーブロック含有量が65重量%
で、温度230℃、荷重2.16KgのMFRが9g/1
0分であるプロピレン−α−オレフィンブロック共重合
体(重量平均分子量35.2万)(モンテル社製キャタロ
イKS051P)BPP2 :エラストマーブロック含有量が65重量%
で、温度230℃、荷重2.16KgのMFRが0.8g/
10分であるプロピレン−α−オレフィンブロック共重
合体(重量平均分子量35.2万)(モンテル社製キャタ
ロイKS081P)BPP3 (参考):エアラストマーブロックが20重量
%で、温度230℃、荷重2.16KgのMFRが12.5
g/10分であるプロピレン−α−オレフィンブロック
共重合体(重量平均分子量16.8万) これらのプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体
の性状を以下の表2に示す。
【0036】
【表2】 [ブロック共重合体]SB1 :SEBSであるシェル化学(株)製クレイトン
G1657 [接着性樹脂の種類]AD1 :ポリプロピレン系接着性樹脂である日本ポリオ
レフィン(株)製アドテックスER321PAD2 :低密度ポリエチレン系接着性樹脂である日本ポ
リオレフィン(株)製アドテックスER523L実施例1〜9及び比較例1〜4 [第1層用樹脂組成物の調製]EVOHと、アイオノマ
ー樹脂及び変性ブロック共重合体との組合わせ、配合量
を適宜変更し、直径40mm、L/D=32の単軸押出機
を用い、温度160〜210℃でペレット化し、70℃
で一昼夜真空乾燥した。 [第2層用樹脂組成物の調製]プロピレン−α−オレフ
ィンブロック共重合体(BPP)と、ブロック共重合体
(SEBS)との配合量を適宜変更し、直径40mm、L
/D=32の単軸押出機を用い、温度160〜210℃
でペレット化した。 [Tダイフィルム成形]直径40mmの押出機を3台有す
る多層Tダイフィルム成形機を用い、ダイス温度250
℃、冷却ロール温度30℃の条件で、第1層が10μm
、接着性樹脂層が5μm 、第2層が30μm からなる
第2層/接着性樹脂層/第1層/接着性樹脂層/第2層
の3種5層積層フィルムを作成した。なお、接着性樹脂
は、上記AD1を用いた。実施例10〜11 接着性樹脂をAD2に変更した以外は、実施例1と同様
に行った。比較例5 接着性樹脂をAD2に変更した以外は、比較例4と同様
に行ったところ、接着性樹脂層と、第2層との間に剥離
が見られ、使用に耐えなかった。
【0037】本発明の多層フィルムの物性の測定方法及
び装置を以下に示す。 (1)パラキシレン不溶分及び可溶分の測定 130℃でポリマーを濃度約1重量%になるようにパラ
キシレンに一旦溶解し、その後25℃まで冷却し、析出
したものをパラキシレン不溶分とし、析出しないものを
パラキシレン可溶分とし、その重量割合を求めた。パラ
キシレン可溶分は、次の13C−NMRスペクトルの測定
に用いた。 (2)13C−NMRスペクトルの測定 測定機 :日本電子(株)製 JNM−GSX
400 測定モード :プロトンデカップリング法 パルス幅 :8.0μs パルス繰返時間:5.0μs 積算回数 :20000回 溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン/重
水素化ベンゼンの混合溶媒(75/25容量%) 内部標準 :ヘキサメチルジシロキサン 試料濃度 :300mg/3.0ml溶媒 測定温度 :120℃ (3)酸素ガス透過量 Modern Control社製OXTRAN 10
−50Aを用い、23℃、相対湿度65%の条件で測定
した。 (4)臭気バリヤー性 多層フィルムを150mm×300mmの大きさにサンプリ
ングし、ヒートシールで袋を作成した。次に、スカトー
ルを1gを密封し、23℃、相対湿度50%の恒温室に
保存し、以下の基準で官能試験を行った。 ◎・・・・・全く感じない。 ○・・・・・若干感じる。 △・・・・・かなり感じる。 ×・・・・・やや強く感じる。 ××・・・・強烈に感じる。 (5)消音性 人体の腹部に装着し、以下の基準で評価した。 ◎・・・・・音がほとんどしない。 ○・・・・・若干音がする。 △・・・・・かなり音がする。 ×・・・・・やや強い音がする。 ××・・・・非常に大きい音がする。 (6)装着性 人体の腹部に装着し、以下の基準で評価した。 ○・・・・・違和感がまったくない。 △・・・・・若干違和感がある。 ×・・・・・違和感が強く、装着感が非常に悪い。 以下に結果を示す。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【発明の効果】本発明の積層フィルムは、人工肛門等か
らの排出汚物などを漏洩することなく、確実に溜めるこ
とができ、汚物の臭気のバリヤー性、装着感に優れ、使
用時の消音性に優れるので、特にオストミーバック用と
して有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】エチレン−プロピレン共重合体の同位体炭素に
よる核磁気共鳴スペクトルの例である。
【図2】ポリオレフィンにおける連鎖分布由来の各炭素
の名称を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(I)(1)エチレン含有量が25〜50
    モル%でかつケン化度90%以上のエチレン−酢酸ビニ
    ル共重合体ケン化物 50〜95重量、及び(2)エチ
    レン−不飽和カルボン酸のアイオノマー樹脂及び/又
    は、 (3)ビニル芳香族化合物重合体ブロックAと、共役ジ
    ェン重合体ブロックBとからなる重合体を水素添加した
    ブロック共重合体に、不飽和カルボン酸又はその無水物
    を0.2〜20重量%グラフトした変性ブロック共重合体
    50〜5重量%、からなる第1層、及び(II)(1)
    (a)ポリプロピレンブロック及び(b)プロピレンと
    炭素数2〜12(ただし、3を除く)のα−オレフィン
    との共重合体エラストマーブロックからなり、かつ前記
    共重合体エラストマーブロックが全共重合体中に占める
    割合が30〜70重量%であるプロピレン−α−オレフ
    ィンブロック共重合体 50〜80重量%、及び(2)
    ビニル芳香族化合物重合体ブロックAと、共役ジェン重
    合体ブロックBとからなる重合体を水素添加したブロッ
    ク共重合体 50〜20重量%からなる第2層、を積層
    したことを特徴とする多層フィルム。
  2. 【請求項2】 前記プロピレン−α−オレフィンブロッ
    ク共重合体の25℃におけるパラキシレン不溶分が、2
    5〜65重量%である請求項1記載の多層フィルム。
  3. 【請求項3】 前記プロピレン−α−オレフィンブロッ
    ク共重合体が、下記の物性を有する請求項1に記載の多
    層フィルム。(1)25℃におけるパラキシレン不溶分
    が25〜65重量%である。(2)25℃におけるパラ
    キシレンに可溶する成分は、(i)2サイトモデルによ
    る平均のプロピレン含量(FP)が20〜80重量%、
    (ii)2サイトモデルにおいてプロピレンを優先的に重
    合する活性点で生成する共重合体(PH )のプロピレン
    含量(PP )が65〜90重量%、及び(iii) PH が共
    重合体に占める割合(Pf1)が、0.60〜0.90で
    ある。
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