JPH1045963A - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JPH1045963A
JPH1045963A JP20467796A JP20467796A JPH1045963A JP H1045963 A JPH1045963 A JP H1045963A JP 20467796 A JP20467796 A JP 20467796A JP 20467796 A JP20467796 A JP 20467796A JP H1045963 A JPH1045963 A JP H1045963A
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JP
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weight
resin composition
copolymer
ethylene
polyolefin
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JP20467796A
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English (en)
Inventor
Masayuki Kiuchi
政行 木内
Hideo Ozawa
秀生 小沢
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Ube Corp
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Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、透明性、ヘイズなどの光学特性が
良好であるとともに、柔軟性、耐熱性に優れるなどの物
性バランスがとれ、かつ、高周波ウェルダー適性のある
樹脂組成物を提供するものである。 【解決手段】 本発明は、(A)プロピレンおよび/ま
たはブテン−1成分含有率が50重量%以上の非晶性ポ
リオレフィンを20〜100重量%と結晶性ポリプロピ
レンを80〜0重量%含有してなるポリオレフィン系樹
脂組成物100重量部、(B)芳香族ビニル化合物重合
体が10〜40重量%であり、かつ、共役ジエン系重合
体の90%以上が水添されてなる、芳香族ビニル化合物
重合体と共役ジエン系重合体からなるブロック共重合体
30〜100重量部、および(C)アクリレート含有率
が5重量%以上のエチレン−アクリレート共重合体およ
び/または酢酸ビニル含有率が5重量%以上のエチレン
−酢酸ビニル共重合体10〜40重量部からなる樹脂組
成物に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂組成物に関す
る。さらに詳しくは、透明性、ヘイズなどの光学特性が
良好であるとともに、柔軟性、耐熱性に優れ、かつ、高
周波ウェルダー適性のある樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、食品包装材、医療器具などの分野
における透明で柔軟な成形品を得る成形用樹脂組成物と
して種々のものが提案され実用化されている。しかし、
これらの樹脂組成物は、いずれも以下に示すような問題
点を抱えている。すなわち、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−アクリレート共重合体、1,2−ポリ
ブタジエン、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸
共重合体の金属塩などから成形された成形品は、柔軟性
および透明性は良好であるが引張強度が200kg/c
2 以下に過ぎず、かつ、耐熱性が不十分で100℃以
下で軟化してその形状を維持できないという問題点があ
る。したがって、得られた成形品は、高温加熱による滅
菌ができないという欠点を有している。また、熱可塑性
ポリウレタンや熱可塑性ポリエステルは、柔軟性、引張
強度、耐熱性などに優れているが、透明性が必ずしも十
分ではなく、モノマーが残留すると衛生上問題を生じる
とともに高価であるという欠点を有しており、シリコン
系のエラストマーも、柔軟性、引張強度および耐熱性に
優れ、かつ、透明性も良好であるが著しく高価である。
さらに、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、ス
チレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、ス
チレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーなど
の熱可塑性エラストマーを基材とする成形品は、柔軟
性、透明性に優れ、200kg/cm2 以上の引張強度
を有することが知られているが、やはり耐熱性が不十分
で100℃以下でも軟化して形状を維持できなくなると
いう問題点を有している。
【0003】この点に関し、上記コポリマーを改良した
スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、
スチレン−イソプレン−ブタジエンコポリマーの水添ブ
ロックコポリマーが提案され、最近市販され始めている
が、これらは、柔軟性、透明性、引張強度などに優れ、
耐熱性も未水添物に比べ相当改善されているが未だ不十
分であり、また、溶融時の流動特性が異常で、成形性、
特に押出成形性が劣っている。したがって、このブロッ
ク共重合体は、エンジニアリングプラスチックの分野に
おいては主として他の樹脂を改善する目的で少量添加し
て用いられているに過ぎない。さらに、エチレン−プロ
ピレン共重合体系やこれとポリプロピレンをベースとす
る熱可塑性エラストマーは、柔軟であり耐熱性も比較的
良好であるが、透明性が著しく劣っている。
【0004】これに対し、軟質ポリ塩化ビニルを用いた
成形品は、柔軟性や透明性に優れ、引張強度も200k
g/cm2 程度あり、かつ、120℃程度の高温下でも
形状を維持し、その際にも十分な強度を有しているため
高温滅菌が可能であり、一般包装産業分野のみならず食
品包装、医療器具などにも広く用いられている。しか
し、軟質ポリ塩化ビニルは、通常大量の可塑剤を含有し
ているため、徐々に可塑剤が逸散して硬化し、殊に包装
後、チューブなどにおいては接触物に可塑剤が移行して
衛生上問題を生じる恐れがある。また、成形物に残留す
る塩化ビニルモノマー量を極度に減少させないと衛生上
問題を生じる恐れがあった。
【0005】そこで、この課題を解決するものとして、
柔軟性、強度、耐熱性および透明性を満足しかつ軟質ポ
リ塩化ビニルのように毒性の高い可塑剤やモノマーを含
有せず、しかも成形性の良好な成形用樹脂が提案されて
いる。例えば、特公昭63−9546号公報には、芳香
族ビニル化合物の重合体からなる両端ブロックと共役ジ
エン系重合体からなる中間ブロックとからなるブロック
共重合体であって、その両端ブロックが共重合体中10
〜40重量%でその10%以下が水添されてなり、か
つ、中間ブロックが90%以上水添されてなるブロック
共重合体が30〜90重量%と、融点が150℃以上の
アイソタクチックポリプロピレンまたはそれを主成分と
する共重合体が5〜40重量%と、アクリレート含量5
%以下のエチレン−アクリレート共重合体が5〜40重
量%とからなる樹脂組成物が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記に
提案された樹脂組成物は、高周波ウェルダー適性を保持
する目的で、極性官能基を有する樹脂としてのエチレン
−アクリレート共重合体が配合されているが、そのため
に透明性において未だ十分なものとは言えず、また、エ
ラストマー成分である、芳香族ビニル化合物重合体と共
役ジエン系重合体とからなるブロック共重合体の配合量
が多いために、高温強度や成形性が不十分であるなど、
バランスのとれた物性を有する樹脂組成物を提供できな
いという問題があった。したがって、本発明の目的は、
透明性、ヘイズなどの光学特性が良好であるとともに、
柔軟性、耐熱性に優れるなどの物性バランスがとれ、か
つ、高周波ウェルダー適性のある樹脂組成物を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の性状
を有する非晶性ポリオレフィンと結晶性ポリプロピレン
とを特定の割合で含有してなるポリオレフィン系樹脂組
成物と、特定の性状および組成を有する、芳香族ビニル
化合物重合体と共役ジエン系重合体とからなるブロック
共重合体と、特定の性状を有する、エチレン−アクリレ
ート共重合体および/またはエチレン−酢酸ビニル共重
合体とを特定の割合で配合することによって、透明性、
ヘイズなどの光学特性、柔軟性、機械的強度、耐熱性な
どの物性バランスを維持したままで高周波ウェルダー適
性のある樹脂組成物を提供することができ、したがっ
て、その目的が達成できることを見いだし、本発明を完
成するに至ったのである。
【0008】すなわち、本発明は、(A)プロピレンお
よび/またはブテン−1成分含有率が50重量%以上の
非晶性ポリオレフィンを20〜100重量%と結晶性ポ
リプロピレンを80〜0重量%(ただし、非晶性ポリオ
レフィンと結晶性ポリプロピレンの合計は100重量%
である)含有してなるポリオレフィン系樹脂組成物10
0重量部、(B)芳香族ビニル化合物重合体と共役ジエ
ン系重合体からなるブロック共重合体であって、該共重
合体中の芳香族ビニル化合物重合体が10〜40重量%
であり、かつ、共役ジエン系重合体の90%以上が水添
されてなるブロック共重合体30〜100重量部、およ
び、(C)アクリレート含有率が5重量%以上のエチレ
ン−アクリレート共重合体および/または酢酸ビニル含
有率が5重量%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体1
0〜40重量部からなる樹脂組成物を提供することによ
って達成できるのである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳しく説明す
る。本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(A)に用い
られる非晶性ポリオレフィンは、プロピレン成分および
/またはブテン−1成分の含有率が50重量%以上であ
る非晶性のポリオレフィンであればよい。例えば、非晶
性のポリプロピレンやポリブテン−1、あるいはプロピ
レンやブテン−1と他のα−オレフィンとの共重合体を
用いることができる。非晶性ポリオレフィン中のプロピ
レン成分および/またはブテン−1成分の含有率が50
重量%未満の場合には、ポリオレフィン系樹脂組成物
(A)を構成するもう一つの成分である結晶性ポリプロ
ピレンとの相溶性が低下するので好ましくない。
【0010】本発明の非晶性ポリオレフィンは、以下の
条件を同時に満たすものである。上記非晶性ポリオレフ
ィンとは、沸騰n−ヘプタン不溶分、すなわち、沸騰n
−ヘプタンによるソックスレー抽出不溶分が70重量%
以下、好ましくは60重量%以下のものである。沸騰n
−ヘプタン不溶分が70重量%より大きいと、非晶質部
分の比率が少なくなり、最終的に得られる成形品に目的
とする十分な柔軟性を付与することができない。また、
上記非晶性ポリオレフィンの溶融粘度は、190℃にお
いて、100〜100,000cps、好ましくは40
0〜50,000cpsである。溶融粘度が100cp
sより小さいと、得られる樹脂組成物からフィルムやシ
ートを成形する際、例えば押出成形が安定せず、また、
2軸延伸によるフィルム製造時、フィルムが頻繁に破れ
る。一方、溶融粘度が100,000cpsを越える
と、得られる樹脂組成物よりのフィルムやシートの成形
が難しいので好ましくない。また、上記非晶性ポリオレ
フィンは、好ましくは数平均分子量が1,000〜20
0,000、さらに好ましくは1,500〜100,0
00である。数平均分子量が200,000を越える
と、得られる樹脂組成物よりのフィルムやシートの成形
が難しく、1,000未満では、得られる樹脂組成物の
機械的強度が低下する。さらにまた、冷キシレン可溶分
は80重量%以上、好ましくは90重量%以上である。
冷キシレン可溶分が80重量%より少ないと、非晶性ポ
リオレフィンの結晶性が増加し、樹脂組成物の弾性率お
よび収縮応力が大きくなり、該樹脂組成物を成形して得
られる成形品の柔軟性が失われていく。なお、最終的に
得られる成形品などにおける上述したような好ましくな
い現象の発現を確実に抑えるには、上記非晶性ポリオレ
フィンの沸騰n−ヘプタン不溶分、溶融粘度、数平均分
子量、冷キシレン可溶分などは、それぞれ、上述の好ま
しい範囲内とすべきである。本発明において、上記非晶
性ポリオレフィンは、前述した非晶性ポリプロピレン、
非晶性ポリブテン−1、プロピレンと他のα−オレフィ
ンとの非晶性共重合体およびブテン−1と他のα−オレ
フィンとの非晶性共重合体などの1種または2種以上を
組み合わせて用いることができる。
【0011】前記非晶性ポリプロピレンとしては、結晶
性ポリプロピレンの製造時に副生するアタクチックポリ
プロピレンを用いてもよいし、原料から目的生産して用
いてもよい。この際、プロピレンまたはブテン−1と他
のα−オレフィンとの共重合体は、所定のプロピレン成
分またはブテン−1成分を含有するように原料から生産
して用いることができる。また、目的生産する場合、例
えば、塩化マグネシウムに担持したチタン担持型触媒と
トリエチルアルミニウムを用いて水素の存在下/または
水素の不存在下で、原料モノマーを重合して得ることが
できる。原料供給の安定性および品質の安定性の観点か
ら、目的生産された所定の非晶性ポリオレフィンを使用
するのが好ましい。また、該当する好適な市販品があれ
ば、適宜市販品を選択して用いることができる。
【0012】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物
(A)の調製に用いる上記非晶性ポリオレフィンとし
て、具体的には、前記プロピレン成分含有量など所定の
特性を有するポリプロピレン、プロピレン・エチレン共
重合体、プロピレン・ブテン−1共重合体、プロピレン
・ブテン−1・エチレン三元共重合体、プロピレン・ヘ
キセン−1・オクテン−1三元共重合体、プロピレン・
ヘキセン−1・4−メチルペンテン−1三元共重合体な
どのプロピレン成分が主成分である非晶性ポリオレフィ
ンが挙げられる。また、前記ブテン−1成分含有量など
所定の特性を有するポリブテン−1、ブテン−1・エチ
レン共重合体、ブテン−1・プロピレン共重合体、ブテ
ン−1・プロピレン・エチレン三元共重合体、ブテン−
1・ヘキセン−1・オクテン−1三元共重合体、ブテン
−1・ヘキセン−1・4−メチルペンテン−1三元共重
合体などのブテン−1成分が主成分である非晶性ポリオ
レフィンも挙げられる。
【0013】上記非晶性ポリオレフィンがプロピレン・
エチレン共重合体の場合には、エチレン成分の含有量が
30重量%以下、好ましくは1〜20重量%のものが好
ましい。エチレン成分の含有量が30重量%より大きく
なると、得られる樹脂組成物が柔らかくなり過ぎる。
【0014】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物
(A)の調製に用いる上記非晶性ポリオレフィンがプロ
ピレン・ブテン−1共重合体の場合には、プロピレンが
主成分の共重合体と、ブテン−1が主成分の共重合体が
あるが、いずれも引張伸びや凝集力が大きく、得られる
樹脂組成物を構成する非晶性ポリオレフィンとして好適
に用いられる。具体的には、例えば、米国のレキセン
(Rexene)社のレクスタック(REXTAC)な
どの市販品を用いることができる。
【0015】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物
(A)を構成するもう一つの成分である結晶性ポリプロ
ピレンは、押出成形用、射出成形用、ブロー成形用など
として通常市販されているポリプロピレンを包含し、沸
騰n−ヘプタン不溶性のアイソタクチックポリプロピレ
ンをいう。この場合、プロピレン単独重合体でもよく、
また、立体規則性を有するアイソタクチックポリプロピ
レンと他のα−オレフィンとの共重合体であってもよ
い。上記結晶性ポリプロピレンは、市販品を用いてもよ
いし、また、ポリオレフィン系樹脂組成物(A)の調製
に際し、製造してもよい。結晶性ポリプロピレンの製造
方法は、特に制限されるものではなく、例えば、三塩化
チタンまたは三塩化チタン組成物を塩化マグネシウムな
どに担持した固体状チタン触媒成分と有機金属化合物
(例えば、トリアルキルアルミニウム、アルキルアルミ
ニウムハライドなどの有機アルミニウム化合物など)触
媒成分とさらに必要に応じて電子供与体(窒素原子、リ
ン原子、硫黄原子、ケイ素原子、ホウ素原子などを有す
るエステル化合物やエーテル化合物など)とを組み合わ
せてなる触媒(いわゆる立体規則性チーグラー・ナッタ
触媒)を用いて重合する方法など、従来の結晶性ポリプ
ロピレンの製造方法の中から適宜選択して適用すること
ができる。
【0016】また、結晶性ポリプロピレンとの共重合に
用いられるα−オレフィンとしては、炭素数2〜8のα
−オレフィン、例えば、エチレン、ブテン−1、ペンテ
ン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1な
どが好ましい。これらの中でも、特にエチレンまたはブ
テン−1が好適である。
【0017】本発明においては、前記結晶性ポリプロピ
レンとして、好ましくは、プロピレン単独重合体、エチ
レン成分を30重量%以下、好ましくは1〜25重量%
含有するプロピレン・エチレンのランダム共重合体また
はブロック共重合体、ブテン−1を20重量%以下含有
するプロピレン・ブテン−1のランダム共重合体または
ブロック共重合体が挙げられる。これらのうち、本発明
の樹脂組成物を成形して得られるフィルムやシートなど
の用途から、エチレンまたはブテン−1とプロピレンと
の共重合体が特に好ましい。本発明のポリオレフィン系
樹脂組成物(A)の調製に用いる上記結晶性ポリプロピ
レンは、1種または2種以上を組み合わせて用いること
ができる。
【0018】さらにまた、本発明のポリオレフィン系樹
脂組成物(A)を構成する非晶性ポリオレフィンおよび
/または結晶性ポリプロピレンは、変性したものを使用
することができる。この場合、変性は、溶融状態あるい
は溶液状態において、前記非晶性ポリオレフィンおよび
/または結晶性ポリプロピレンと変性剤とをラジカル開
始剤とともに加熱攪拌する方法など、従来公知の種々の
方法で行うことができる。
【0019】前記変性剤としては、アクリル酸、メタク
リル酸、メチルメタクリル酸、クロトン酸、イソクロト
ン酸、α−エチルアクリル酸、β−エチルアクリル酸、
フラン酸、ペンテン酸、アンゲリカ酸、マレイン酸、フ
マル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸、エンドシス−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−5
−エン−2,3−ジカルボン酸(商品名:ナジック
酸)、クエン酸、アコニット酸などのα、β−不飽和カ
ルボン酸および/またはそれらの誘導体、例えば酸ハラ
イド、アミド、イミド、酸無水物、金属塩(ナトリウム
塩、亜鉛塩など)およびエステルなどが挙げられる。こ
れらα、β−不飽和カルボン酸誘導体の具体例として
は、塩化マロニル、アクリルアミド、マレイミド、N−
フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチ
ルマレイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水
グルタコン酸、無水シトラコン酸、エンドシス−ビシク
ロ〔2,2,1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボ
ン酸無水物(商品名:無水ナジック酸)、無水アコニッ
ト酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸亜鉛、マレイ
ン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルアク
リレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルマレ
エート、ヒドロキシメタクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも、無水マレイン酸、無水イタコン酸が好
適に用いられ、より好適には無水マレイン酸が用いられ
る。
【0020】前記変性剤、すなわち、前記α、β−不飽
和カルボン酸および/またはそれらの誘導体の使用量
は、前記非晶性ポリオレフィンおよび/または結晶性ポ
リプロピレン100重量部に対し、0.1〜5重量部で
あることが好ましい。使用量が前記非晶性ポリオレフィ
ンおよび/または結晶性ポリプロピレン100重量部に
対し、0.1重量部未満である場合、変性効果が十分で
はなく、また、5重量部を越える場合、変性効率(すな
わち、α、β−不飽和カルボン酸および/またはそれら
の誘導体の反応率)の低下に伴い、未反応モノマーが増
加するので、いずれの場合も好ましくない。
【0021】また、前記非晶性ポリオレフィンおよび/
または結晶性ポリプロピレンの前記α、β−不飽和カル
ボン酸および/またはそれらの誘導体による変性反応に
際しては、有機過酸化物、アゾ化合物などのラジカル開
始剤が一般的に用いられる。有機過酸化物の代表例を挙
げれば、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサ
ン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオ
キシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、ジクロ
ルベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、シ
クロヘキサノンパーオキシド、ラウロイルパーオキシ
ド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルパーオキ
シアセテート、メチルエチルケトンパーオキシドなどで
ある。また、アゾ化合物としては、具体的には、アゾビ
スイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートな
どが挙げられる。前記ラジカル開始剤の添加量は、前記
非晶性ポリオレフィンおよび/または結晶性ポリプロピ
レン100重量部に対し、0.05〜1重量部であるこ
とが望ましい。添加量が前記非晶性ポリオレフィンおよ
び/または結晶性ポリプロピレン100重量部に対し
0.05重量部未満では、変性効率が十分期待できない
ので好ましくない。また、1重量部を越えると、前記非
晶性ポリオレフィンおよび/または結晶性ポリプロピレ
ンの劣化や着色が著しくなり好ましくない。
【0022】非晶性ポリオレフィンおよび/または結晶
性ポリプロピレンの変性物は、前記非晶性ポリオレフィ
ンおよび/または結晶性ポリプロピレン、前記α、β−
不飽和カルボン酸および/またはそれらの誘導体ならび
に前記ラジカル開始剤の三者を前述の所定割合で混合
し、押出機やバンバリーミキサーなどを用いて、180
〜250℃の温度で1〜20分程度溶融混練する方法、
あるいは、反応容器中で前記所定量の非晶性ポリオレフ
ィンおよび/または結晶性ポリプロピレンをトルエンや
キシレンなどの溶媒に加熱溶解させた後、前記のα、β
−不飽和カルボン酸および/またはそれらの誘導体とラ
ジカル開始剤とをそれぞれ所定割合で添加し、攪拌下で
反応する方法などによって製造することができる。特に
前者の方法が簡便であり、工業的プロセスとして適して
いる。
【0023】本発明において、前記非晶性ポリオレフィ
ンおよび前記結晶性ポリプロピレンが配合されたポリオ
レフィン系樹脂組成物(A)の調製方法は、特に制限さ
れるものではなく、従来のポリプロピレン組成物の製法
で慣用されている方法、例えば、ニーダー、バンバリー
ミキサー、ロールなどの混練機、1軸押出機または2軸
押出機などを用いて加熱溶融混練して行うことができ
る。
【0024】上記のようにしてあらかじめ調製して得ら
れる本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(A)は、前
記非晶性ポリオレフィンを20〜100重量%となるよ
うに配合して得ることができる。前記非晶性ポリオレフ
ィンが20重量%未満では、最終的に得られるフィルム
やシートなどの成形品に十分な柔軟性を付与することが
できない。
【0025】本発明において、上記ポリオレフィン系樹
脂組成物(A)の本発明の樹脂組成物における効果は、
後述のエチレン−アクリレート共重合体および/または
エチレン−酢酸ビニル共重合体(C)の存在と相まっ
て、本発明の樹脂組成物の成形性を向上させる効果を有
しているものと考えられる。本発明の樹脂組成物におい
ては、次に述べるブロック共重合体(B)のみでは押出
し成形によるペレット、チューブ、シートなどの製作は
困難であり、また、ブロー成形による瓶などの成形も困
難であるが、上記ポリオレフィン系樹脂組成物(A)な
らびに後述のエチレン−アクリレート共重合体および/
またはエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)の共存によ
り、成形性が著しく向上するのである。また、上記ポリ
オレフィン系樹脂組成物(A)はブロック共重合体
(B)との相溶性がよく、透明性良好なポリマーブレン
ドが可能であることも大きな利点である。
【0026】次に、本発明に用いるブロック共重合体
(B)のベースは、該ブロック共重合体(B)全体に対
し、60〜90重量%の共役ジエン系重合体と、10〜
40重量%の芳香族ビニル化合物重合体とからなるブロ
ック共重合体である。上記芳香族ビニル化合物重合体と
しては、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポ
リ−p−メチルスチレン、ポリクロルスチレンなどのス
チレン系重合体が挙げられるが、その分子量としては、
数平均分子量が5,000〜125,000のものが適
している。最も好ましいのはポリスチレンである。一
方、上記共役ジエン系重合体としては、ポリブタジエ
ン、ポリイソプレン、ポリクロロプレンなどが挙げられ
るが、その分子量としては、数平均分子量として10,
000〜300,000のものが適しており、特に好ま
しいのはポリブタジエンおよびポリイソプレンである。
【0027】そして、前記のベースとなるブロック共重
合体を水素添加(水添)することにより、本発明に使用
するブロック共重合体(B)が得られる。その際、前記
共役ジエン系重合体の水添割合は90%以上であること
が必要であり、特に95%以上であることが好ましい。
すなわち、これは、例えば前記共役ジエン系重合体がポ
リブタジエンである場合には、水添物はエチレン−ブチ
レン共重合体構造となり、前記共役ジエン系重合体がポ
リイソプレンの場合には、水添物はエチレン−プロピレ
ン共重合体構造となり、前記ブロック共重合体(B)全
体としての耐熱性および耐侯性が向上し、ことに本発明
の樹脂組成物の優れた耐熱性(高温強度)に結びつくか
らである。前記共役ジエン系重合体の水添割合が90%
未満である場合は、このような効果が得られないので好
ましくない。なお、本発明のブロック共重合体(B)に
おいては、前記芳香族ビニル化合物重合体が10%以下
の割合で水添されていてもよい。
【0028】本発明のブロック共重合体(B)中の前記
芳香族ビニル化合物重合体は、熱可塑性エラストマーの
高硬度成分として働き、前記共役ジエン系重合体は、柔
軟成分として働くものである。前記芳香族ビニル化合物
重合体の含有量がブロック共重合体(B)中10重量%
未満であると、得られる樹脂組成物において硬度や機械
的強度が不十分となり、40重量%を越えると、得られ
る樹脂組成物の柔軟性が不十分となるので、いずれの場
合も好ましくない。なお、これらの好ましくない現象の
発生を確実に防止するためには、ブロック共重合体
(B)中の前記芳香族ビニル化合物重合体の含有量は、
10〜30重量%であることが好ましい。
【0029】なお、本発明に好適に用いられるブロック
共重合体(B)は、クレイトンG−1650、クレイト
ンG−1652、クレイトンG−1657およびクレイ
トンG−1658(いずれもシェル化学社製)などの名
称で呼ばれているトリブロック共重合体や、ダイナロン
1320P、ダイナロン1910P(いずれも日本合成
ゴム社製)などの名称で呼ばれているブロック共重合体
などであり、容易に入手可能なポリマーである。また、
これらのブロック共重合体は、1種のものに限らず、2
種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】本発明の樹脂組成物を構成する第3の成分
は、極性官能基を有するグループとしてのエチレン−ア
クリレート共重合体および/またはエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体(C)である。そして、本発明の樹脂組成物
は、この成分(C)の配合によって、軟質ポリ塩化ビニ
ル樹脂を用いた成形品のヒートシールなどに通常用いら
れている高周波ウェルダーにも適性のあるものとなって
いる。本発明に用いる前記エチレン−アクリレート共重
合体は、アクリレート含有率が5重量%以上であること
が必要であり、好ましくは5〜20重量%であることが
望ましい。アクリレート含有率が5重量%未満では、得
られる樹脂組成物自体の透明性が低下するとともに、得
られる樹脂組成物の柔軟性や、シール性、特に高周波ウ
ェルダー適性も不十分である。また、アクリレート含有
率が20重量%を越えると、該共重合体の他成分との混
合性や得られる樹脂組成物の押出し加工性、耐熱性など
に劣ってくることがある。
【0031】本発明に用いる前記エチレン−アクリレー
ト共重合体に使用されるアクリレートとしては、メチル
アクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレートなどが挙げられる
が、最も好ましいのはエチルアクリレートである。
【0032】一方、本発明に用いる前記エチレン−酢酸
ビニル共重合体は、前記エチレン−アクリレート共重合
体の場合と同様、酢酸ビニル含有率が5重量%以上であ
ることが必要であり、好ましくは5〜20重量%である
ことが望ましい。酢酸ビニル含有率が5重量%未満の場
合や20重量%を越える場合は、それぞれ、前記エチレ
ン−アクリレート共重合体の場合と同様の問題が生じ
る。さらに、これらエチレン−アクリレート共重合体お
よびエチレン−酢酸ビニル共重合体の原料としてのメル
トフローレートは、0.2〜400g/10分であるこ
とが望ましい。メルトフローレートが0.2g/10分
未満では、原料の混合性や、得られる樹脂組成物の押出
し性に問題を有する場合がある。そして、メルトフロー
レートが400g/10分より大きいと、得られる樹脂
組成物の機械的強度が不足する場合があり、例えば、該
樹脂組成物のフィルム延伸時、フィルムが破れやすくな
ったりするので好ましくない。また、本発明では、前記
エチレン−アクリレート共重合体およびエチレン−酢酸
ビニル共重合体は、単独で使用してもよく、また、これ
ら2種以上の混合物として使用してもよい。
【0033】前記エチレン−アクリレート共重合体およ
び/またはエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)により
本発明の樹脂組成物において発揮される効果は、前述し
た成形性の向上や低温柔軟性の維持などと考えられる
が、特にこの成分の存在により、前記ポリオレフィン樹
脂組成物(A)と前記ブロック共重合体(B)のポリマ
ーブレンド系の透明性が一層向上すること、および、前
述したように、成形に際しての高周波ウェルダー適性が
発現することは大きな効果である。また、前記エチレン
−アクリレート共重合体および/またはエチレン−酢酸
ビニル共重合体(C)は、柔軟性に富むので高価なブロ
ック共重合体(B)の含量を減少し得るという利点もあ
る。
【0034】ところで、本発明の樹脂組成物において、
前記芳香族ビニル化合物重合体と共役ジエン系重合体か
らなるブロック共重合体(B)の配合量は、前記ポリオ
レフィン樹脂組成物(A)100重量部に対して、30
〜100重量部、好ましくは35〜70重量部であるこ
とが必要である。前記ポリオレフィン系樹脂組成物
(A)の配合量が100重量部より少ないと、得られる
樹脂組成物の柔軟性、透明性および成形性が不十分とな
るので好ましくない。また、前記ブロック共重合体
(B)の配合量が、前記ポリオレフィン系樹脂組成物
(A)100重量部に対して30重量部より少ないと、
得られる樹脂組成物の柔軟性および透明性が不十分とな
り、前記ポリオレフィン系樹脂組成物(A)100重量
部に対して100重量部より多くなると、得られる樹脂
組成物が柔らかくなりすぎるとともに、高温強度および
成形性が不十分である。
【0035】また、本発明の樹脂組成物において、エチ
レン−アクリレート共重合体および/またはエチレン−
酢酸ビニル共重合体(C)の配合量は、前記ポリオレフ
ィン系樹脂組成物(A)100重量部に対して、10〜
40重量部であることが必要である。上記配合量が前記
ポリオレフィン系樹脂組成物(A)100重量部に対し
て10重量部未満では、得られる樹脂組成物の成形性お
よび柔軟性が不十分となるとともに、該樹脂組成物をフ
ィルム状あるいはシート状に成形することによって最終
的に得られる成形品のシール性、特に高周波ウェルダー
適性が失われるので好ましくない。一方、上記配合量が
前記ポリオレフィン系樹脂組成物(A)100重量部に
対して40重量部を越えると、得られる樹脂組成物の高
温強度および透明性が不十分となる。
【0036】ことに、ポリオレフィン系樹脂組成物
(A)100重量部、芳香族ビニル化合物重合体と共役
ジエン系重合体からなるブロック共重合体(B)35〜
70重量部およびエチレン−アクリレート共重合体およ
び/またはエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)10〜
40重量部からなる樹脂組成物は、柔軟性や、透明性、
ヘイズなどの光学特性が良好であるとともに、高温強度
(耐熱性)および成形性に優れるなどの物性バランスが
とれ、かつ、高周波ウェルダー適性を有するものであ
り、好ましい組成範囲である。
【0037】本発明の樹脂組成物は、上記3種の必須主
要樹脂成分以外に用途に応じて、本発明の目的を損なわ
ない程度の量において、通常樹脂組成物に配合される各
種の添加剤、改質剤および充填材、例えば、耐熱安定
剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止
剤、滑剤、ブロッキング防止剤、粘着性付与剤、シール
性改良剤、防曇剤、結晶核剤、離型剤、可塑剤、架橋
剤、発泡剤、難燃剤、炭酸カルシウム、マイカ、タル
ク、ガラス繊維、着色剤(顔料、染料など)などを添加
することもできる。特に、防曇剤としては、ポリグリセ
リン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリ
エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ン脂肪酸アミド、脂肪酸アルカノールアミドなどの非イ
オン界面活性剤を単独または複合して用いることができ
る。また、耐侯性を要求される場合は、紫外線吸収剤や
光安定剤あるいはそれらと酸化防止剤とを併用して配合
することが望ましい。この場合、使用する紫外線吸収
剤、光安定剤や酸化防止剤としては、通常ポリオレフィ
ンに使用される公知のものが好適である。さらにまた、
上記必須主要樹脂成分以外の熱可塑性樹脂、熱可塑性エ
ラストマー、ゴム類などを必要に応じて、本発明の目的
を損なわない範囲の量で配合することができ、また、こ
れらを架橋配合させることもできる。
【0038】本発明の樹脂組成物の製造方法は、特に制
限されるものではなく、それ自体公知の種々の方法で製
造される。例えば、前述したような配合割合で供給され
る前記3種の必須主要樹脂成分、すなわち、ポリオレフ
ィン系樹脂組成物(A)、ブロック共重合体(B)なら
びにエチレン−アクリレート共重合体および/またはエ
チレン−酢酸ビニル共重合体(C)と、必要に応じて添
加される上記添加剤、改質剤および充填材(以下、単に
「添加剤」という)とから、予備混合(ドライブレン
ド)と続いて行われる溶融混練とによって製造する方法
を適用することができる。この場合、予備混合は、通常
の混合に使用されるヘンシェルミキサーなどの高速回転
混合機やコーンブレンダー、タンブラーなどの低速回転
混合機などを用いて室温で行われ得る。また、溶融混練
は、バンバリーミキサー、スーパーミキサー、ミキシン
グロール、二軸連続ミキサー、ブラベンダープラストグ
ラフ、ニーダー、単軸押出機、二軸押出機などの装置を
使用して、前記各成分の溶融が十分に進行しかつ分解し
ない温度で行われ得る。具体的には、上記溶融混練温度
は、150〜250℃、好ましくは170〜230℃で
ある。溶融混練温度が150℃よりも低いと、上記溶融
混練装置内で、前記ポリオレフィン系樹脂組成物
(A)、前記ブロック共重合体(B)および前記エチレ
ン−アクリレート共重合体および/またはエチレン−酢
酸ビニル共重合体(C)の溶融粘度が高くなりすぎると
ともに、ポリオレフィン(前記ポリオレフィン系樹脂組
成物(A)を構成する非晶性ポリオレフィンおよび/ま
たは結晶性ポリプロピレン)の一部が固化するなどし
て、前記各成分の混練が十分に行われない。また、25
0℃よりも高いと、ポリオレフィンの熱分解や熱劣化が
起こり、得られる樹脂組成物の着色や物性の低下をもた
らすので好ましくない。なお、これらの好ましくない現
象の発生を確実に防止するためには、溶融混練温度は、
前述の好ましい範囲とすべきである。
【0039】なお、本発明では、上記の予備混合および
続いて行われる溶融混練に際し、前記3種の必須主要樹
脂成分および必要に応じて添加する添加剤の配合順序に
ついても特に制限はない。予備混合に際して、前記必須
主要樹脂成分および必要に応じて添加する添加剤を同時
に配合してもよく、また、前記必須主要樹脂成分のうち
(A)成分と、(B)成分または(C)成分のいずれか
一方の成分とを先ず配合して予備混合物を製造した後、
例えば、単軸押出機や二軸押出機などの溶融混練機にお
いて、原料供給口から前記予備混合物を供給する一方、
残りの必須主要樹脂成分と必要に応じて添加する添加剤
とをシリンダーの途中から供給して、これら各成分を溶
融混練してもよい。あるいはまた、前記必須主要樹脂成
分のうち(A)成分と、(B)成分または(C)成分の
いずれか一方の成分と、必要に応じて添加する添加剤と
を先ず配合して予備混合物を製造した後、例えば、単軸
押出機や二軸押出機などの溶融混練機において、原料供
給口から前記予備混合物を供給する一方、残りの必須主
要樹脂成分をシリンダーの途中から供給して、これら各
成分を溶融混練してもよい。さらに、本発明において
は、前記ポリオレフィン系樹脂組成物(A)は、前記予
備混合に先立って、あらかじめ調製するとしているが、
これに限定されるものではなく、本発明の目的を損なわ
ない限りは、前記予備混合に際し、前記ポリオレフィン
系樹脂組成物(A)を構成する非晶性ポリオレフィンと
結晶性ポリプロピレンとを、前記(B)成分および/ま
たは前記(C)成分、さらには必要に応じて添加する添
加剤と、それぞれ所定の配合量で、配合してもかまわな
い。
【0040】本発明の樹脂組成物は、通常の方法で成形
することができる。すなわち、上述のようにして得られ
た樹脂組成物を熱ロールでさらに溶融混練し、プレスに
よりシートを作製することもできるし、前記単軸押出機
や二軸押出機などにより作製されたペレットからフィル
ム、シート、ブロック、異形品、チューブ、ネットなど
を押出成形することもできる。また、ペレットを用いて
射出成形やブロー成形により各種部品、瓶などを作製す
ることもできる。なお、各種成形品は、切断、塗装、接
着、印刷などの二次加工を行うこともできる。
【0041】
【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げて本発明
をより具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定
するものではない。
【0042】以下の実施例および比較例において、シー
トの諸物性は、次の方法によって求めた。 (1)ヘイズ(%) 厚み0.3mmのシートを用い、ASTM D1003
に準じて測定した。
【0043】(2)誘電率および誘電正接 厚み1mmのシートを用い、ASTM D150に準じ
て周波数100MHzの条件で測定した。
【0044】(4)M100値(kgf/cm2 ) 厚み1mmのシートについて、JIS K6251に従
い、オリエンテック社製引張試験機を使用して、23℃
および引張速度50mm/分の条件で引張試験を行い、
100%伸び時の応力(kgf/cm2 )を測定し、M
100値とした。
【0045】実施例1〜4および比較例1および2 〔ポリオレフィン系樹脂組成物(A)の調製〕密度0.
86g/cm3 、プロピレン含有量65重量%、ブテン
−1含有量35重量%および溶融粘度10,000cp
s(190℃)の非晶性ポリオレフィン(宇部レキセン
社製、商品名:UBETAC APAO UT278
0)と、密度0.90g/cm3 およびメルトフローレ
ート(MFR)(230℃)=1.0g/10分の結晶
性ポリプロピレン(グランドポリマー社製、商品名:F
221)とを50/50の重量比で混合し、30mmφ
二軸押出機(池貝鉄工(株)製、型式:PCM30/3
−40−4V)を用い、温度200℃で溶融混練して、
ポリオレフィン系樹脂組成物(A)を調製した。このポ
リオレフィン系樹脂組成物(A)を、以下「CAP」と
表わす。
【0046】〔シートの製造〕続いて、上記CAPと、
スチレン含有率10重量%およびイソプレン含有率90
重量%でイソプレン部分が95%水添されているブロッ
ク共重合体(B)(日本合成ゴム社製、商品名:DYN
ARON 1320P、以下「HSBR」と略記)と、
酢酸ビニル含有率19重量%およびメルトフローレート
(MFR)(230℃)=150g/10分のエチレン
−酢酸ビニル共重合体(C)(三井デュポンポリケミカ
ル社製、商品名:EVAFLEX420、以下「EV
A」と略記)とを、それぞれ、表1に示す配合量で、タ
ンブラーを用いてドライブレンドした後、30mmφ二
軸押出機(池貝鉄工(株)製、型式:PCM30/3−
40−4V)を使用して200℃で溶融混練した。得ら
れた溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽
に導入し、冷却、カット、乾燥して、樹脂組成物のペレ
ットを作製した。そこで、圧縮成形機(神藤金属社製、
型式:NF−37)を用い、上記ペレットを温度200
℃で圧縮成形して、厚み0.3mmと1mmのシートを
それぞれ作製し、その物性を測定した。得られたシート
の物性測定結果は、それぞれ、表1に示す通りであっ
た。
【0047】比較例3 HSBRの配合量を300重量部に変えて0重量部とし
たこと、すなわち、HSBRを配合しなかったこと以外
は、比較例2と全く同様の操作を行って、厚み0.3m
mと1mmのシートを得た。得られたシートの物性測定
結果を表1に示す。
【0048】比較例4 EVAの配合量を100重量部に変えて10重量部とし
たこと以外は、比較例3と全く同様の操作を行って、厚
み0.3mmと1mmのシートを得た。得られたシート
の物性測定結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】比較例5 EVA100重量部に代えて、エチルアクリレート含有
率13重量%およびメルトフローレート(MFR)(2
30℃)=8g/10分のエチレン−エチルアクリレー
ト共重合体(C)(三井デュポンポリケミカル社製、商
品名:EVAFLEX−EEA A−712、以下「E
EA」と略記)100重量部としたこと以外は、比較例
2と全く同様の操作を行って、厚み0.3mmと1mm
のシートを得た。得られたシートの物性測定結果は、表
2に示す通りであった。
【0051】比較例6 HSBRの配合量を300重量部に変えて50重量部と
したこと、および、EEAの配合量を100重量部に変
えて50重量部としたこと以外は、比較例5と全く同様
の操作を行って、厚み0.3mmと1mmのシートを得
た。得られたシートの物性測定結果は、表2に示す通り
であった。
【0052】比較例7 HSBRの配合量を300重量部に変えて0重量部とし
たこと、すなわち、HSBRを配合しなかったこと以外
は、比較例5と全く同様の操作を行って、厚み0.3m
mと1mmのシートを得た。得られたシートの物性測定
結果を表2に示す。
【0053】比較例8 HSBRの配合量を300重量部に変えて20重量部と
したこと以外は、比較例2と全く同様の操作を行って、
厚み0.3mmと1mmのシートを得た。得られたシー
トの物性測定結果を表2に示す。
【0054】比較例9 HSBRの配合量を300重量部に変えて400重量部
としたこと、および、EEAの配合量を100重量部に
変えて500重量部としたこと以外は、比較例5と全く
同様の操作を行って、厚み0.3mmと1mmのシート
を得た。得られたシートの物性測定結果は、表2に示す
通りであった。比較例1〜9において得られた樹脂組成
物は、いずれも本発明の樹脂組成範囲から外れるもので
あり、ヘイズまたはM100値のいずれかが実施例1〜
4の場合に比べてかなり劣るものであった。
【0055】比較例10 密度0.86g/cm3 、プロピレン含有量65重量
%、ブテン−1含有量35重量%および溶融粘度10,
000cps(190℃)の非晶性ポリオレフィン(宇
部レキセン社製、商品名:UBETAC APAO U
T2780)と、密度0.90g/cm3 およびメルト
フローレート(MFR)(230℃)=1.0g/10
分の結晶性ポリプロピレン(グランドポリマー社製、商
品名:F221)とを50/50の重量比で混合し、3
0mmφ二軸押出機(池貝鉄工(株)製、型式:PCM
30/3−40−4V)を用い、温度200℃で溶融混
練して、ポリオレフィン系樹脂組成物(A)のペレット
を製造した。続いて、このペレットから圧縮成形により
厚み0.3mmと1mmのシートをそれぞれ作製し、そ
の物性を測定した。得られたシートの物性測定結果は、
表2に示す通りであった。厚み0.3mmのシートにお
ける誘電率と誘電正接の積の値は約0.0015であ
り、実施例1〜4の場合におけるその値(約0.009
〜約0.018)に比べてかなり小さかった。そこで、
この厚み0.3mmのシートを、高周波加熱装置(山本
ビニター(株)製、型式:VW5000)を使用して、
発振周波数40.46MHz、溶着時間4秒の条件で溶
着したが、溶着できず、高周波ウェルダー適性のないこ
とが判った。
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】ところで、本発明に用いる特定のブロッ
ク共重合体(B)を樹脂組成物の一成分として含ませる
提案は、特開昭53−124559号公報、特開昭53
−138451号公報、特開昭53−138453号公
報、特開昭53−138454号公報、特開昭53−1
38456号公報、特開昭53−138458号公報、
特開昭53−138460号公報および特開昭53−1
38461号公報などにすでになされているが、前述し
ているように、いずれもブロック共重合体(B)は、他
の樹脂成分の改質剤的に比較的少量用いられるに過ぎ
ず、そのエンジニヤリングプラスチック改質という技術
思想と本発明の思想とは全く異なるものである。言い換
えれば、本発明は、このブロック共重合体(B)に、特
定のポリオレフィン系樹脂組成物(A)および特定のエ
チレン−アクリレート共重合体および/またはエチレン
−酢酸ビニル共重合体(C)を特定量添加することによ
って、逆に、その性質を著しく改良したものと言える。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、前述した実施例およ
び比較例からも明らかなように、透明性、ヘイズなどの
光学特性が良好であるとともに、柔軟性、高温強度(耐
熱性)に優れるなどの物性バランスがとれ、かつ、高周
波ウェルダー適性のある樹脂組成物である。したがっ
て、本発明の樹脂組成物は、このような種々の特徴を兼
備しているため、一般産業資材、家庭用品などの分野に
使用可能であるが、特に、その高い高温強度および優れ
た高周波ウェルダー適性を利用して高温殺菌の必要な食
品包装材、医療器具の分野に他の追随を許さない用途を
有している。さらに特に、本発明の樹脂組成物は、その
優れた柔軟性、透明性、高温強度、成形性に加えて、衛
生上の安全性を有するため、血液バッグ、輸液バッグ、
人工透析液バッグなどの医療用バッグの作製に適してい
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)プロピレンおよび/またはブテン
    −1成分含有率が50重量%以上の非晶性ポリオレフィ
    ンを20〜100重量%と結晶性ポリプロピレンを80
    〜0重量%(ただし、非晶性ポリオレフィンと結晶性ポ
    リプロピレンの合計は100重量%である)含有してな
    るポリオレフィン系樹脂組成物100重量部、(B)芳
    香族ビニル化合物重合体と共役ジエン系重合体からなる
    ブロック共重合体であって、該共重合体中の芳香族ビニ
    ル化合物重合体が10〜40重量%であり、かつ、共役
    ジエン系重合体の90%以上が水添されてなるブロック
    共重合体30〜100重量部、および、(C)アクリレ
    ート含有率が5重量%以上のエチレン−アクリレート共
    重合体および/または酢酸ビニル含有率が5重量%以上
    のエチレン−酢酸ビニル共重合体10〜40重量部から
    なる樹脂組成物。
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