JPH10272738A - パイプ - Google Patents

パイプ

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JPH10272738A
JPH10272738A JP8091897A JP8091897A JPH10272738A JP H10272738 A JPH10272738 A JP H10272738A JP 8091897 A JP8091897 A JP 8091897A JP 8091897 A JP8091897 A JP 8091897A JP H10272738 A JPH10272738 A JP H10272738A
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JP
Japan
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pipe
gas barrier
resin
hydrogen atom
barrier layer
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JP8091897A
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English (en)
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Toru Saneto
徹 実藤
Kaoru Ikeda
薫 池田
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低湿度下および高湿度下において優れたガス
バリア−性を有し、かつ成形加工可能な積層構造からな
るパイプを提供すること。 【解決手段】 下記の式(1)で示される繰り返し構成
単位を30モル%以上含む樹脂からなるガスバリア層を
少なくとも一層有する積層構造体からなるパイプ。 【化1】 (式中、R1は水素原子または炭素数1〜2のアルキル
基、R2は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を
それぞれ表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パイプ、とくに温水循
環法によるセントラルヒーティング、とりわけフロアー
ヒーティング設備に用いられて、耐久性に優れ、外部酸
素の浸透による温水中の溶存酸素の増加が極めて少な
く、熱交換器、温水循環ポンプ等の金属製部分の腐蝕を
殆んど引き起こさない温水循環用パイプに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、フロアーヒーティング用温水パイ
プとしては、鉄製、銅製などのパイプが主として用いら
れている。該パイプは施工時にコンクリート内に埋め込
まれる場合、床下に設置される場合が多く、一度設置さ
れるとその後の補修が多くの場合困難であり、しかも、
通常、たとえば約50年の如き長期にわたる耐久性が要
求される。かかる厳しい条件から継ぎ目無しパイプが容
易に得られ、従って継ぎ目からの漏洩がなく、またより
安価であること、鉄製、銅製などの従来のパイプを使用
する場合の如く、熔接操作等に由来する施工費を要する
こと無く、しかもパイプ材質自体の腐蝕も無いプラスチ
ックパイプがより好適であるとして使用され始めてい
る。
【0003】通常ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
ブテン等が用いられるが、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン及びポリブテン等の場合、該プラスチックパイプを温
水循環方式によるフロアーヒーティングシステムに使用
するとき熱交換器、ポンプ等の金属製の部分に顕著に腐
蝕が認められるという意外な事実、該腐蝕は、従前の鉄
製、銅製パイプ使用時には全く認められなかった事実が
認められるに至り、ガスバリア層を有する複合プラスチ
ックパイプへの指向が強まりつつある。しかし完全に該
腐蝕防止の要求を満たすものは、見出されていないのが
実情である。
【0004】たとえば、該腐蝕は、大気中の酸素がパイ
プ材質を通して、温水中に浸透、溶解し、溶存酸素が増
加するらしいとの想定に基き、アルミニウム(Al)層
を中間層とする複合ポリエチレンパイプが一部試みられ
つつあるが、温度変化に起因するとみられるものの詳し
くは明らかでないが、Al層に亀裂が生じるなどの欠陥
が認められ前記要求を満足するに至っていない。
【0005】また、従来ポリエチレン、ポリプロピレン
は耐熱性が不十分であり、また他のポリオレフィンにつ
いてもさらに耐熱性の向上を目的として通常放射線架橋
が施されて用いられる。この場合、架橋度が高いこと、
生産性を高めるため、架橋速度を大きく選定して行う等
のため、通常厳しい条件、たとえば12〜20Mrad
の強度の放射線(電子線)の照射が採用されている。エ
チレンー酢酸ビニル共重合体のケン化物(以下EVOH
と記すことがある)は、かような強度の照射には耐え難
く主鎖の切断、劣化が避けられず、EVOH層を中間層
に用いたとしても該複層パイプを放射線架橋して実用的
に満足な酸素遮断性を有する該パイプとはなり得ない。
【0006】また、特開昭55−9611号および特開
昭56−93542号には水架橋ポリオレフィンにEV
OHを積層したフィルム、シート、タンクについて記載
されているが、EVOHの片面に水架橋ポリオレフィン
を、もう一方の面にポリブテンを積層することおよびそ
うして得られたものを温水循環用パイプとして用いるこ
とについて記載されていないし、またここに記載されて
いるような最内層をEVOH層とする水架橋ポリオレフ
ィンとEVOHの2層構造の積層体を温水循環用パイプ
として使用しても、耐熱水性が充分でないばかりでな
く、温水中の溶存酸素の増加の顕著な抑制効果も期待で
きないために、長期間前記した腐蝕の問題を生じさせな
いようにすることは困難である。
【0007】このため、特開昭59−263432では
共押出積層が可能で、耐劣化、耐熱性及び耐久性を満足
するポリブテン層/EVOH層/ポリブテンまたは水架
橋ポリオレフィン層積層体からなるパイプが提案されて
きた。従来のガスバリア材の中で、ガスバリア性と溶融
成形性とを両立できる点からEVOHが優れているが、
さらにガスバリア性を上げることにより、ガスバリア層
の厚みの低減によるコストダウンが望まれている。ま
た、高湿度下におけるガスバリア性を改善したいという
要求もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低湿度から
高湿度の幅広い湿度領域でガスバリア性、防湿性に優
れ、共押出積層操作が可能であり、耐熱性、耐久性も兼
ね備えたパイプ、特に温水循環法によるセントラルヒー
ティング、とりわけフロアーヒーティング用パイプを得
んとするものである。本発明者らは、該課題に対して鋭
意研究を進めた結果本発明を見出したものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記の
式(1)で示される繰り返し構成単位を30モル%以上
含む樹脂からなるガスバリア層を少なくとも一層有する
積層構造体からなるパイプを提供することによって達成
される。このとき、式(1)中のR1がCH3で、かつR
2がHであることが特に好適である。
【0010】
【化2】
【0011】(式中、R1は水素原子または炭素数1〜
2のアルキル基、R2は水素原子または炭素数1〜3の
アルキル基をそれぞれ表す。)
【0012】また、上記パイプにおいて、ガスバリア層
を構成する樹脂の20℃、相対湿度65%における酸素
透過度が30 ml・20μm/m2・day・atm以
下であること、20℃、相対湿度100%における酸素
透過度が30ml・20μm/m2・day・atm以
下であること、あるいは40℃、相対湿度90%におけ
る透湿度が30g・30μm/m2・day以下である
ことが好適である。用途としては温水循環用パイプが好
適なものとして挙げられる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のアリルアルコール系樹脂
とは下記の式(1)で示される繰り返し単位を30モル
%以上含む樹脂からなるものである。
【0014】
【化3】
【0015】(式中、R1は水素原子または炭素数1〜
2のアルキル基、R2は水素原子または炭素数1〜3の
アルキル基をそれぞれ表す。)
【0016】R1は水素原子、メチル基、エチル基から
選ばれる置換基を意味し、これらのなかでも、ガスバリ
ア性の観点からメチル基が最適である。R2は水素原
子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基
から選ばれる置換基を意味し、これらの中でも、ガスバ
リア性の観点から水素原子あるいはメチル基が好まし
く、水素原子が最適である。
【0017】樹脂中の上記構造単位の含有量は30モル
%以上にする必要があり、45〜100モル%の範囲が
より好ましい。さらに好ましくは70〜100モル%で
あり80〜100モル%の範囲が最適である。上記構造
単位の含有量が前記範囲を下回るとガスバリア性に劣
る。また、R1および/またはR2が異なる上記構造単位
を2種類以上含有していても良い。この場合、樹脂中の
構造単位の含有量はその合計である。
【0018】上記構造単位以外の共重合成分としては、
性能に大きく悪影響を及ぼさない限り特に制限はない。
共重合成分の具体例としては、エチレン、プロピレン、
1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキサ
ン、1−オクテン等オレフィン系単量体、ブタジエン、
イソプレン等ジエン系単量体、スチレン、α−メチルス
チレン等の芳香族置換ビニル系単量体、メチルアクリレ
ート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチ
ルアクリレート等のアクリル系単量体、メチルビニルエ
ーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル
等のビニルエーテル系単量体、塩化ビニル、弗化ビニル
等のハロゲン化ビニル系単量体、塩化ビニリデン、弗化
ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系単量体、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等のアクリロニトリル
系単量体、マレイイミド、N−メチルマレイイミド、マ
レイン酸ジメチル等のマレイン酸誘導体系単量体が挙げ
られる。
【0019】共重合成分を含む場合は、共重合の方法と
してはランダム共重合あるいは交互共重合のいずれでも
よいが、共重合成分量が多い場合(共重合成分量約30
モル%以上)は、交互共重合が好ましい。
【0020】ガスバリア層を構成する樹脂の固有粘度と
しては、30℃、メタクレゾール中で測定した値とし
て、0.1〜3dl/gの範囲が好ましく、0.2〜2
dl/gの範囲がより好ましく、0.3dl/g〜1.
5dl/gの範囲が最も好ましい。固有粘度が小さすぎ
る場合、、十分な強度が得られない。また、固有粘度が
大きすぎる場合、溶融成形が困難になり、溶液コート法
による多層化しかできなくなる。
【0021】本発明のガスバリア層を構成する樹脂の製
造方法としては、特に限定されるものではなく、従来の
技術に挙げたような方法も含め各種の方法を採用するこ
とができる。主な方法として、下記の製法が挙げられ
る。 第一の製法:下記の式(2)で示される単量体を重合
後、還元することにより製造される。
【0022】
【化4】
【0023】(式中、R1は水素原子、メチル基または
エチル基、Xはアルコキシル基、水酸基、ハロゲン原
子、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基または
イソプロピル基をそれぞれ表す。)
【0024】上記の単量体の具体例としては、アクリル
酸、メタクリル酸、2−エチルアクリル酸等のアクリル
酸誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、2−エチルアク
リル酸メチル等のアクリル酸エステル誘導体;アクロレ
イン、メタクロレイン、2−エチルアクロレイン等のア
クロレイン誘導体;メチルビニルケトン、エチルビニル
ケトン、イソプロペニルメチルケトン、イソプロペニル
エチルケトン、イソプロペニルプロピルケトン、イソプ
ロペニルイソプロピルケトン等のビニルケトン誘導体が
挙げられる。
【0025】上記の単量体は、ラジカル重合、アニオン
重合等の公知の重合法によって重合できる。ラジカル重
合の開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニ
トリル、2,2’−アゾビス(2,4’−ジメチルバレ
ロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−
2,4’−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始
剤;イソブチルパーオキサイド、ジ−n−プロピルパー
オキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレー
ト等の過酸化物系開始剤が挙げられる。このときの重合
温度は特に制限なく、通常、室温〜100℃程度の温度
範囲で重合を行う。
【0026】またアニオン重合の条件としては、開始剤
として、ブチルリチウム、水素化リチウムアルミニウ
ム、メチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウ
ムクロライド、トリフェニルメチルカルシウムクロライ
ド等の塩基性のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属
誘導体を開始剤として用い、通常、テトラヒドロフラ
ン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等の非プロト
ン性溶媒を溶媒として用い、室温〜−100℃程度の低
温で重合を行う。
【0027】得られた重合体の還元法としては、水素化
リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素
化ホウ素リチウム、ジボラン等の金属水素化物を還元剤
として用いる方法、ルテニウム系、ロジウム系、ニッケ
ル系、パラジウム系、白金系等の遷移金属触媒により水
素添加を行う方法が挙げられる。還元反応溶媒として
は、重合体の溶解性および還元剤との反応性を考慮して
適宜選ばれる。その例としては、テトラヒドロフラン、
N−メチルモルホリン、ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエ
タン、メタノール、エタノール、プロパノール等が挙げ
られる。還元反応温度としては、室温〜200℃の範囲
で通常選ばれ、50℃〜150℃の範囲が好適である。
【0028】第二の製法:下記の式(3)で示される構
造のアリルアルコール類の重合によって製造される。
【0029】
【化5】
【0030】(式中、R1は水素原子または炭素数1〜
2のアルキル基、R2は水素原子または炭素数1〜3の
アルキル基をそれぞれ表す。)
【0031】上記第二のアリルアルコール類の重合法と
しては、特に制限はないが、例えば、米国特許3285
897、同3666740(特公昭47−4030
8)、英国特許854207等に記載されている。
【0032】第三の製法:下記の式(4)で示される構
造のアリルハライド誘導体の重合後、ハロゲン原子を水
酸基に化学的に変換することにより得られる。
【0033】
【化6】
【0034】(式中、R1は水素原子または炭素数1〜
2のアルキル基、R2は水素原子または炭素数1〜3の
アルキル基、Xはハロゲン原子をそれぞれ表す。)
【0035】上記第三の製造法としては、例えば米国特
許4125694号に記載されている。
【0036】更に、本発明の目的が阻害されない範囲
で、ガスバリア層に熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止
剤、着色剤、フィラー、ホウ素系化合物あるいは、他の
樹脂(ポリアミド、ポリオレフィン、部分ケン化エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体等)をブレンドすることもでき
る。特に、ゲル化の防止、成形性改善、クラック防止防
止等の対策として、ハイドロサルタイト系化合物、ヒン
ダードフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、高
級脂肪族カルボン酸の金属塩(例えば、ステアリン酸カ
ルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウ
ム等)、あるいはホウ素系化合物の一種あるいは二種以
上を0.01〜1重量%添加することは好適である。
【0037】本発明のガスバリア層を構成する樹脂の2
0℃、相対湿度65%における酸素透過度は、30ml
・20μm/m2・day・atm以下であることが好
ましく、より好ましくは20ml・20μm/m2・d
ay・atm以下であり、さらに好ましくは10ml・
20μm/m2・day・atm以下であり、最適には
5ml・20μm/m2・day・atm以下である。
30ml・20μm/m2・day・atmより大きい
時には、高度なガスバリア性能を要求されるガスバリア
材としての使用に耐えない。
【0038】本発明のガスバリア層を構成する樹脂の2
0℃、相対湿度100%における酸素透過度は、30m
l・20μm/m2・day・atm以下であることが
好ましく、より好ましくは20ml・20μm/m2
day・atm以下であり、さらに好ましくは10ml
・20μm/m2・day・atm以下であり、最適に
は5ml・20μm/m2・day・atm以下であ
る。30ml・20μm/m2・day・atmより大
きい時には、高湿度下で用いられる用途で使用すること
ができない場合がある。
【0039】また、本発明のガスバリア層を構成する樹
脂の40℃、相対湿度90%における透湿度は30g・
30μm/m2・day以下であることが好ましく、よ
り好ましくは20g・30μm/m2・day以下であ
り、さらに好ましくは10g・30μm/m2・day
以下である。30g・30μm/m2・dayより大き
い時には、用途によってはポリオレフィン等に代表され
る透湿度の小さい樹脂からなる層と積層して用いなけれ
ばならない場合がある。
【0040】本発明の積層構造体からなるパイプを得る
方法としては、ガスバリア層を構成する樹脂と熱可塑性
樹脂とを用い、必要に応じて接着性樹脂を介して、共押
出成形法、共射出成形法、溶液コート法などによりパイ
プ状の多層積層体とする方法があげられる。
【0041】他の樹脂と多層化する場合の構成について
は特に制限はない。必要であればガスバリア層と他の樹
脂の間に接着材層を導入してもよい。また、成形時のバ
リや耳、あるいは成形不良品などを回収した回収層(リ
グラインド層)を設けてもよい。その層構成の具体例と
しては本発明のガスバリア層をBAR、他の樹脂をAあ
るいはB、接着材層をAD、回収層をREGと表すと、
A/BAR、A/AD/BAR、A/BAR/A、A/
BAR/B、A/AD/BAR/B、A/AD/BAR
/AD/A、A/AD/BAR/AD/B、A/REG
/AD/BAR/AD/REG/A、A/AD/BAR
/AD/BAR/AD/A等の構成が挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。
【0042】本発明のガスバリア層と積層する上記の他
の樹脂(AあるいはB)として特に制限はないが、その
具体例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ
テン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン類、ポリ
カプロラクタム(6−ナイロン)、ポリラウリロラクタ
ム(12−ナイロン)、ポリヘキサメチレンアジパミド
(6,6−ナイロン)等のポリアミド類、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリ
エステル類、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカー
ボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン等
が挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン類(中
でも架橋ポリエチレン、ポリブテン)、ポリアミド類が
好適である。
【0043】共押出成形法等により多層化する場合のガ
スバリア層以外の層として用いられる樹脂としては上記
の樹脂が挙げられるが、上記の樹脂のうちでもポリオレ
フィン類のような、本発明のガスバリア層を構成する樹
脂との接着性が悪い樹脂と多層化する場合には、通常、
無水マレイン酸やアクリル酸等の反応性や極性を有する
官能基で変性したポリオレフィンを接着材として用いる
ことが好ましい。また、ポリエステル、ポリアミド、ポ
リカーボネートのような、本発明のガスバリア材と比較
的相溶性の良い樹脂と多層化する場合、接着材は必ずし
も必要ではない。
【0044】本発明のパイプは前述したとおり、温水循
環用パイプとして著しい効果を示すものであるが、その
他の各種液体、例えば、ガソリン、軽油、ケロシン等を
移送するための自動2輪車、自動車、ヘリコプター、航
空機及び宇宙船用燃料パイプとしても好ましい。さらに
冷媒循環用パイプ、ガス用パイプ、また一旦パリソンと
し、引き続きブロー成形してボトルを製造するためのパ
イプとしても使用することができる。
【0045】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明する
が、本発明は、これにより限定されるものではない。本
実施例、比較例に記載されている酸素透過度、透湿度お
よび溶存酸素の増加速度の測定は次のようにして行っ
た。
【0046】(1) 酸素透過度 MODERN CONTROLS INC.製酸素透過
度測定装置MOCONOX―TRAN2/20型を用
い、20℃、65%RHおよび20℃、100%RHの
条件でJIS K7126(等圧法)に記載の方法に準
じて測定した。なお、本発明で言う酸素透過度とは、任
意の膜厚で測定した酸素透過度を、膜厚20μmでの酸
素透過度に換算した値をいう。
【0047】(2) 透湿度 40℃、90%RHの条件でJIS Z0208の記載
に従って測定し、膜厚を30μmに換算した値を算出し
た。
【0048】(3) 溶存酸素の増加速度 金属スズを充填した充填塔を用いて溶存酸素を除去した
水を対象となる積層構造からなるパイプに循環し、温度
70℃で該水中の溶存酸素濃度の増加速度を測定した。
ここで言う増加速度μg/(L・hr)とは、パイプ中
の水1L当りの溶存酸素の増加速度μg/hrを示す。
すなわち、パイプを含む装置全系の水の体積をVcc、
上記パイプ内の水の体積をV′ccとし、単位時間当り
の装置内循環水の酸素濃度増加量をBμg/(L・h
r)とした場合、上記溶存酸素増加速度Aμg/(L・
hr)とは、A=B・(V/V′)で計算される値を示
す。
【0049】合成例 ポリメタアリルアルコールの合成 冷却器付き反応容器に水素化リチウムアルミニウム25
0重量部を仕込み、窒素置換し、N−メチルモルホリン
3000部を添加した後、130℃に加熱し還流させ
た。これにポリメチルメタクリレート600重量部とN
−メチルモルホリン6000部からなる溶液を添加し、
滴下終了後さらに4時間還流させた。この後、酢酸エチ
ル1000重量部を滴下して未反応の水素化物を失活さ
せ、さらに50%リン酸水溶液5000重量部を滴下し
た。冷却後、遠心分離により上澄みと固形分に分離し
た。得られた上澄みには蒸留水に加えポリマー(その
1)を析出させた。また、得られた固形分には1000
0部のエタノールを加え、60℃、1時間加熱溶解して
からグラスフィルターで濾過し、得られた濾液をエバポ
レーターにより濃縮した後、蒸留水に加えポリマー(そ
の2)を析出させた。析出によって得られたポリマー
(その1およびその2)を合わせて、100℃の蒸留水
により煮沸することにより十分洗浄した後、真空乾燥し
てポリメタアリルアルコール380重量部を得た。
【0050】得られたポリメタアリルアルコールの30
℃、m−クレゾール中での固有粘度は0.77dl/g
であった。また、真空乾燥したポリメタアリルアルコー
ルを走査型示差熱分析計(DSC)で、窒素気流下、溶
融急冷してから10℃/分の昇温速度で測定したとこ
ろ、ガラス転移温度は75℃であり、結晶融解ピークは
存在しなかった。
【0051】実施例1 合成例によって得られたポリメタアリルアルコール樹脂
をスクリュー径が20mmの二軸押出機を装着した東洋
精機製ラボプラストミルにより220℃で溶融押出して
ペレット化した。得られたペレットを用い、スクリュー
径が20mmの1軸押出機、および幅300mmでリッ
プ間隙0.3mmのコートハンガーダイを装着した東洋
精機製ラボプラストミルによりダイ温度220℃で単層
製膜することにより厚さ20μのポリメタアリルアルコ
ールのフィルムを得た。得られたフィルムは無色透明
で、外観も良好であった。表1に得られたフィルムの2
0℃、65%RHおよび20℃、100%RHで測定し
た酸素透過度、ならびに40℃、90%RHで測定した
透湿度の測定結果を示す。
【0052】また、合成例によって得られたポリメタア
リルアルコール樹脂を用いて4種5層共押出多層パイプ
成形装置にかけ、複合構成の外径20mmのパイプを作
成した。パイプの構成は最外層12ポリアミド(宇部興
産(株)製UBEナイロン30200)が450μ、次
に接着性樹脂層(AD−2三井石油化学(株)製アドマ
ーVF500)が50μ、さらに6ポリアミド(東レ
(株)製東レアミランCM1046)100μ、上記ポ
リメタアリルアルコール層150μであり、最内層が6
ポリアミド(東レ(株)製東レアミランCM1046)
250μであった。外部雰囲気下の相対湿度80%で、
該パイプの溶存酸素濃度の増加速度を測定した。得られ
た結果を表1に示す。
【0053】実施例2 実施例1で用いた積層構造からなるパイプを用い、外部
雰囲気下の相対湿度を100%にした以外は実施例1と
同一条件で、溶存酸素濃度の増加速度を測定した。得ら
れた結果を表1に示す。
【0054】比較例1、2 実施例1で用いたバリア層のポリメタアリルアルコール
の代わりにエチレン含量32モル%、ケン化度99.5
%、融点183℃のEVOHを用いて、バリア層の原料
を変更した以外は同一条件で積層構造からなるパイプを
作成した。パイプの厚み構成は実施例1と同一にした。
外部雰囲気下の湿度条件を80%(比較例 1)と10
0%(比較例 2)にして、溶存酸素濃度の増加速度を
測定した。得られた結果を表1に示す。
【0055】比較例 3、4 実施例1で用いたバリア層のポリメタアリルアルコール
の代わりに融点265℃のナイロン−66を用いて、バ
リア層の原料を変更した以外は同一条件で積層構造から
なるパイプを作成した。パイプの厚み構成は実施例1と
同一にした。外部雰囲気下の湿度条件を80%(比較例
1)と100%(比較例2)にして、溶存酸素濃度の増
加速度を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0056】
【表1】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の式(1)で示される繰り返し構成
    単位を30モル%以上含む樹脂からなるガスバリア層を
    少なくとも一層有する積層構造体からなるパイプ。 【化1】 (式中、R1は水素原子または炭素数1〜2のアルキル
    基、R2は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を
    それぞれ表す。)
  2. 【請求項2】 式(1)中のR1がCH3で、かつR2
    Hである請求項1記載のパイプ。
  3. 【請求項3】 ガスバリア層を構成する樹脂の20℃、
    相対湿度65%における酸素透過度が30 ml・20
    μm/m2・day・atm以下である請求項1または
    2に記載のパイプ。
  4. 【請求項4】 ガスバリア層を構成する樹脂の20℃、
    相対湿度100%における酸素透過度が30ml・20
    μm/m2・day・atm以下である請求項1ないし
    3のいずれかに記載のパイプ。
  5. 【請求項5】 ガスバリア層を構成する樹脂の40℃、
    相対湿度90%における透湿度が30g・30μm/m
    2・day以下である請求項1ないし4のいずれかに記
    載のパイプ。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載のパ
    イプからなる温水循環用パイプ。
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