JPH10271835A - インバータ制御装置 - Google Patents

インバータ制御装置

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JPH10271835A
JPH10271835A JP9068243A JP6824397A JPH10271835A JP H10271835 A JPH10271835 A JP H10271835A JP 9068243 A JP9068243 A JP 9068243A JP 6824397 A JP6824397 A JP 6824397A JP H10271835 A JPH10271835 A JP H10271835A
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誠司 石田
Hiroyuki Bentani
広行 辨谷
Kinya Nakatsu
欣也 中津
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低騒音化と装置の小型化の両立が可能で、広
い適用範囲を備えたインバータ装置を提供すること。 【解決手段】 制御マイコン1により、出力電圧出力周
波数設定器2を介してPWM発生器3を制御し、インバ
ータ装置にPWM信号を供給するようにしたインバータ
制御装置において、キャリア周波数設定器7を設け、可
能な限りキャリア周波数を高く保持し、キャリア周波数
が人間の可聴周波数範囲に入らないように制御し、且
つ、可能な限り冷却ファン8の運転も抑えらるように制
御したもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パルス幅変調方式
の可変電圧可変周波数インバータ装置に係り、特に静粛
な運転が要求される場合に好適なインバータ制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】パルス幅変調(PWM)方式のインバータ
装置では、主回路素子をパルス幅変調用キャリア信号で
スイッチング制御するようになっているが、この場合、
従来のインバータ装置では、このパルス幅変調用キャリ
ア信号の周波数(キャリア周波数)は、予め設定してある
所定の一定値の周波数のものが使用されている。
【0003】そして、インバータ装置の運転音が問題に
ならない場合には、主回路素子のスイッチング損失を低
減させるため、キャリア周波数は、できるだけ低く設定
し、インバータ装置の運転音が問題になる場合には、ス
イッチング損失を考慮して、負荷電流を制限した上で高
いキャリア周波数を設定している。
【0004】一方、特開平3−2396号公報、特開平
3−139174号公報などでは、キャリア周波数を、
負荷の状況などに応じて変化させるようにしたインバー
タ装置について、提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、イン
バータ装置の運転騒音を減らす点について充分に配慮が
されておらず、静粛性が要求される用途への適用に問題
があった。インバータ装置の小型化が進み、省エネを目
的として身近で使用されるようになるに従い、キャリア
周波数を極力高く設定して騒音を抑える必要があるが、
キャリア周波数を高くすれば、それにつれてスイッチン
グ損失が増えるので、熱設計上、装置が大型化してしま
う。
【0006】インバータ装置の小型化と低騒音化を両立
させるためには、装置自体の熱的に運転可能な条件の範
囲内で、できるだけ高いキャリア周波数で運転すること
が望ましいが、インバータ装置の運転条件は個々に異な
っているため、標準的な一定値に設定することは困難で
ある。このため、インバータ装置の使用者が自ら設定す
る方法が取られているが、装置が小型化するに従い、取
り扱い上、及び装置の物理的な大きさから、外部からの
設定が困難になりつつある。
【0007】従来技術では、キャリア周波数を制御する
ものもあるが、基本的には、主回路素子の温度によりキ
ャリア周波数が制御されるだけであり、騒音の抑制につ
いての配慮は何もなされていない。本発明の目的は、低
騒音化と装置の小型化の両立が可能で、広い適用範囲を
備えたインバータ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明では、パルス幅変調方式のインバータ装置に
おいて、パルス幅変調用キャリヤ周波数と負荷電流及び
周囲温度のそれぞれの下限値を三次元座標軸の原点と
し、夫々の上限値を頂点とする三角錐形の運転可能エリ
アマップを設定し、インバータ装置の運転状態の変化
を、前記運転可能エリアマップ内での状態遷移ベクトル
として算定する手段を設ける。
【0009】そして、まず、前記状態遷移ベクトルが、
前記運転可能エリアマップで定まる運転可能エリアの境
界から離れている間は、パルス幅変調用キャリヤ周波数
を前記上限値に保持する制御を実行する。
【0010】次に、前記状態遷移ベクトルが、前記運転
可能エリアマップで定まる運転可能エリアの境界に近づ
いたが、エリアを越える虞れがないときは、パルス幅変
調用キャリヤ周波数を前記下限値に近づける制御と、冷
却用ファンによる冷却能力を増加させる制御の少なくと
も一方を実行する。
【0011】さらに、前記状態遷移ベクトルが、前記運
転可能エリアマップで定まる運転可能エリアを越える虞
れを生じたときは、異常を表示する制御と、インバータ
装置の出力を抑制する制御の少なくとも一方を実行する
ようにしたものである。
【0012】この結果、前記状態遷移ベクトルの大きさ
から運転可能エリアを逸脱することが明確な場合は、直
ちに外部に対して警報を出力することができ、異常の発
生に際しても、それを正常運転にある間に報知し、負荷
設備に影響が現れる前に対処することを可能にすること
ができる。
【0013】また、エリアマップ上で、前記状態遷移ベ
クトルが運転可能エリアの境界から離れている場合に
は、可能なかぎりキャリア周波数が高くされるので、騒
音レベルを更に低く抑えることができる。このときに
は、また、冷却用ファンが停止され、又は回転速度が遅
くされるので、更に騒音レベルを抑えることができる。
【0014】さらに、異常発生の虞れが生じたときに
は、それを正常運転中に報知し、負荷設備に影響が出る
前に対処することができる。また、特に設定操作を要す
ることなく、許される範囲で、自動的に、可能な限り運
転騒音を抑えることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるインバータ制
御装置について、図示の実施形態例により詳細に説明す
る。図1は、本発明の一実施形態例で、図示のように、
制御マイコン(制御用のマイクロコンピュータ)1を備
え、これにより、図示してないインバータ装置の主回路
を制御し、所定の電力変換動作が得られるように構成さ
れている。
【0016】このため、制御マイコン1は、まず、外部
から与えられる指令値に基づいて所定の制御信号の作成
処理を行ない、この制御信号を出力電圧出力周波数設定
器2に供給し、これにより出力電圧出力周波数設定器2
から出力電圧信号と出力周波数信号を発生させ、これが
PWM発生器3に供給されるようにする。
【0017】この結果、PWM発生器3からインバータ
装置の主回路(図示してない)にPWM信号が供給され、
上記した指令値により定まる所定の電圧で所定の周波数
の交流電力がインバータ装置から発生されるように、主
回路のスイッチング素子がPWMスイッチング制御され
ることになる。
【0018】このとき、さらに制御マイコン1は、例え
ば周囲温度検出器4と素子温度検出器5、それに負荷電
流検出器6などの各種の検出器から検出信号を取り込
み、上記したインバータ装置にフィードバック制御が与
えられるようにする処理も併せて実行するようになって
いる。
【0019】ところで、この実施形態では、制御マイコ
ン1は、上記したインバータ装置の一般的な電力変換動
作の制御だけではなく、それと並行して、周囲温度検出
器4と素子温度検出器5、それに負荷電流検出器6など
の各種の検出器から取り込んだ検出信号に基づいて、キ
ャリア周波数設定器7と冷却ファン8にそれぞれ所定の
信号を供給する処理と、さらに、必要に応じて外部警報
出力部9に信号を供給し、所定の異常報知が得られるよ
うに制御する処理を実行するように構成されている。
【0020】そこで、以下、この制御マイコン1による
キャリア周波数設定器7と冷却ファン8、それに外部警
報出力部9の制御動作について説明する。なお、周囲温
度検出器4はインバータ装置の周囲の温度を検出し、素
子温度検出器5はインバータ装置の主回路スイッチング
素子の温度を検出する。そして、負荷電流検出器6はイ
ンバータ装置の出力電流を検出するものである。
【0021】また、キャリア周波数設定器7は、制御マ
イコン1の指令により、PWM発生器3で生成されるP
WM信号のキャリア周波数を変更制御する働きをし、冷
却ファン8は、同じく制御マイコン1の指令により、停
止と作動、それに作動時での回転速度とが制御され、こ
れによりインバータ装置の主回路スイッチング素子を中
心として各部に通風を行ない、放熱を促進させる働きを
するものである。
【0022】まず、この実施形態では、マップ用メモリ
10を設け、このメモリ10に、図3に示す運転可能エ
リアマップMが格納されている。この図3に示した運転
可能エリアマップMは、図示のように、三次元座標のX
軸に素子温度Tを、Y軸にキャリア周波数fcを、そし
てZ軸に負荷電流Iを夫々設定し、その上で、素子温度
Tの下限値Tminとキャリヤ周波数fc の下限値f
cmin、それに負荷電流Iの下限値Iminを三次元座標軸
の原点とし、夫々の上限値Tmax、fcmax、Imaxを頂点
とする三角錐形(4面体)のエリアマップとして設定した
ものである。
【0023】そして、この運転可能エリアマップMの三
角錐形の各頂点を結ぶ三角形の平面を、インバータ装置
を運転することができる限界面として設定し、これによ
り、素子温度Tとキャリア周波数fc、それに負荷電流
Iの全てが、この三角錐形の内部にあるときはインバー
タ装置が運転でき、これらの何れかでも限界面の外側に
出たら、運転できないものとする。
【0024】次に、制御マイコン1は、各検出器から素
子温度Tと負荷電流Iを逐次取り込み、このときキャリ
ア周波数設定器7から出力されているキャリア周波数f
cと共に運転可能エリアマップMを検索し、この検索結
果に応じてキャリヤ周波数設定器7と冷却ファン8を制
御し、さらには、外部警報出力部9を作動させる制御を
実行するようになっており、以下、この制御マイコン1
による制御処理について、図2のフローチャートにより
詳細に説明する。
【0025】この図2の処理は、インバータ装置が運転
を開始したときから制御マイコン1により実行されるも
のであるが、この処理を実行させる前に、このインバー
タ装置が使用を開始する前の適当な時点、例えばインバ
ータ装置の出荷前の時点で、例えばこのインバータ装置
の作成者(メーカー)などにより、上記した運転可能エリ
アマップMをマップ用メモリ10に設定する処理を前処
理P1として実行しておく。このため、マップ用メモリ
10は、書き込み可能なROM、或いは電源バックアッ
プされたRAMなどの不揮発性のメモリで構成されてい
る。
【0026】この図2の処理がスタートされると、ま
ず、最初のステップS1で、各検出器から検出値を取り
込み、次いでステップS2で、これらの検出値により運
転可能エリアマップMを検索し、このエリア上での位置
を算出する。なお、このときの位置は、例えば図3のA
点、又はB点となる。
【0027】そして、ステップS3で、いま算出された
位置が運転可能エリアマップMの境界面に近いか否かを
調べ、結果がNO、つまり、A点で示すように、運転可
能エリアの境界から離れていたときにはステップS4に
移行し、キャリア周波数fcを、現在の周波数から所定
値だけ上げる処理を実行するまた、このとき、キャリア
周波数fcが上限値fcmaxになっていた場合には、冷却
ファン8の運転状態に応じて、高速回転状態のときには
所定値減速させ、最低回転速度状態のときには運転を停
止させる処理を実行する。そして、このステップS4の
後はステップS1に戻る。
【0028】一方、ステップS3での結果がYESとな
ったとき、つまり、いま算出された位置が、B点で示す
ように、運転可能エリアマップMの境界面に近いときに
はステップS5に移行し、前回に算出されていた位置デ
ータから、次のようにして、状態遷移ベクトルを算出す
る。いま、或る時刻t1での素子温度TがT1で、負荷電
流IがI1、そしてキャリア周波数fcがfc1のときの座
標位置が、図3の運転可能エリアマップMでのA点にあ
ったとする。
【0029】次に何等かの理由により、例えば周囲温度
が上昇したなどの理由により、時刻t1から時間Δt経
過後の時刻t2で、素子温度TがT2(T2>T1)に変化
し、このときの座標位置が運転可能エリアマップMでの
B点になったとする。このとき、これらA点とB点を結
ぶベクトルvを想定し、これを状態遷移ベクトルとする
のである。
【0030】こうしてステップS5の処理で状態遷移ベ
クトルvが算出されたら、次にステップS6に進み、こ
こで、いま算出した状態遷移ベクトルvの運転可能エリ
アマップM内での位置と方向、それに大きさから、この
後、直ちにインバータ装置の運転状態が運転可能エリア
マップMの境界面の外に出る虞れがあるか否かを、以下
のようにして判定する。
【0031】すなわち、状態遷移ベクトルvを調べ、そ
の先端のB点と運転可能エリアマップMの境界面との距
離が近い程、また、状態遷移ベクトルvの方向が境界面
と垂直になっている度合いが強い程、さらにはその大き
さ、つまり長さが長い程、短時間で境界面の外に出てし
まう可能性が高く、反対なら可能性が低いものとするの
である。
【0032】そして、このステップS6での判定結果が
NO、つまり、インバータ装置の運転状態が運転可能エ
リアマップMの境界面の外に出る虞れは、とりあえずは
無いと判断されたときにはステップS7に進み、判断結
果がYES、つまり、直ちに境界面の外に出てしまう虞
れがあると判断されたときは、ステップS8に進むよう
にする。
【0033】まず、ステップS7では、このときの状態
遷移ベクトルvの状態から、インバータ装置の運転状態
を運転可能エリアマップM内に保つのに必要な、インバ
ータ装置の制御の種類と、その制御量の算出を行う。こ
のステップS7での処理は、次のようになっている。ま
ず、インバータ装置のキャリヤ周波数fcが、その下限
値fcminよりも高いときには、キャリア周波数fcを所
定量だけ低下させる制御を実行する。
【0034】次に、インバータ装置のキャリヤ周波数f
cが下限値fcminになっていたら、冷却ファン8の運転
を開始させる。そして、冷却ファン8が運転されていた
ら、さらにその回転速度を所定値だけ上げ、これを最高
運転可能回転速度に達するまで繰り返すのである。
【0035】良く知られているように、トランジスタな
ど、インバータ装置の主回路スイッチング素子の損失
は、図4に示すように、スイッチング周波数、すなわ
ち、PWMインバータ装置でのキャリア周波数fcが高
くなるにつれて増加する。そこで、まず、キャリア周波
数fcを下げる制御をしてやれば、損失が減少するの
で、素子温度Tの上昇が抑えられ、インバータ装置の運
転状態が運転可能エリアマップM内から出てしまう虞れ
を少なくすることができる。
【0036】次に、冷却ファン8の運転を開始させ、さ
らには、その回転速度を上げるこにより、スイッチング
素子の冷却能力が増すので、これによってもインバータ
装置の運転状態が運転可能エリアマップM内から出てし
まう虞れを少なくすることができる。
【0037】しかして、キャリヤ周波数fcには下限値
fcminが設定してあり、且つ、冷却ファン8による冷却
能力にも限度があるので、さらに周囲温度が上昇したな
どの理由により、ステップS6での判断結果がYESに
なり、ステップS8に進んだときには、以下の処理を実
行し、外部警報処理部9に指令を行い、さらには、イン
バータ装置の負荷を強制的に減少させるようにした縮退
運転制御に移行するのである。
【0038】まず、キャリヤ周波数fcが下限値fcmin
のときのインバータ装置の発熱量と、冷却ファン8の最
大冷却能力とで定まる発熱抑制量は、装置の設計時に明
らかになっているので、これらのデータを予め所定のメ
モリに格納しておく。一方、状態遷移ベクトルvの大き
さが非常に大きい場合、例えば周囲温度Tの上昇分(T2
−T1)が上記発熱抑制量よりも大きい場合には、その差
分に応じてインバータ装置の温度は上昇して行き、やが
てインバータ装置の運転状態が運転可能エリアマップM
内から出てしまう。
【0039】そこで、制御マイコン1は、このときの周
囲温度の上昇分と発熱抑制量の差分から、インバータ装
置の運転状態が運転可能エリアマップM内から出てしま
うまでの時間を算出し、これを外部警報出力部9により
警報として出力させ、その後で縮退運転に移行する制御
を行うのである。これにより、インバータ装置と、その
負荷装置が、通常の運転状態を継続することができなく
なる前に、例えば負荷装置の切離しなど、予め必要な処
置をとることができるようになる。
【0040】従って、この実施形態例によれは、インバ
ータ装置の運転状況が許す限り、キャリア周波数fcを
高くした状態で、しかも冷却ファン8の運転を停止した
状態での運転が保たれるので、騒音の発生を充分に抑え
ることができる。また、この実施形態例では、さらにイ
ンバータ装置の運転状況が変わり、キャリア周波数fc
を下げざるを得なくなったときでも、その周波数に下限
値fcminが与えられるので、この下限値fcminを人間の
可聴周波数の上限、例えば20KHzに設定しておくこ
とにより、同じく騒音発生の虞れを無くすことができ
る。
【0041】しかも、このときは、冷却ファン8が回転
速度制御されるので、騒音発生は最小限に抑えられ、し
かもインバータ装置が通常の運転状態から外れて、運転
停止に至るまでの時間に余裕が得られるので、運転の継
続についての信頼性が要求される場合でも充分に対応す
ることができる。
【0042】次に、本発明の他の実施形態例について、
説明する。インバータ装置を構成する各種の回路部品や
半導体素子などについては、一般的に、耐用年数、つま
り寿命を想定することは、あまり無い。しかしながら、
電圧型のインバータ装置では、その主回路にコンデンサ
が必要で、しかもかなり大容量のものを要するため、通
例、アルミニウム電解コンデンサが用いられているが、
この電解コンデンサは、他の回路要素とは異なり、寿命
がかなり短いので、定期的な保守、交換を要する。
【0043】ここで、アルミニウム電解コンデンサの寿
命について説明すると、このような電解コンデンサは、
内部で化学反応が起るので、その寿命は温度により極端
に変わる。この関係は、一般にアレニウスの法則として
知られており、端的にいえば、図5に示すように、温度
が10℃上昇する毎に寿命は1/2に短縮するとされて
いる。
【0044】そこで、以下の実施形態例では、このよう
な電解コンデンサを用いているインバータ装置におい
て、その温度使用履歴から電解コンデンサの寿命を推定
し、これに基いて的確な寿命警報が得られるようにした
もので、以下、この実施形態例について説明する。図1
の実施形態例には、寿命算出用メモリ11が設けてあ
り、これにより、以下の実施形態例にも対応することが
できるようになっている。
【0045】そして、この寿命算出用メモリ11には、
後述するように、インバータ装置の主回路(図示されて
いない)に設けてある電解コンデンサに関するデータが
記憶してある。そして、この実施形態例では、これを前
提として、制御マイコン1により、図6に示す処理が実
行されるように構成したものである。
【0046】まず、この図6の処理も、インバータ装置
が運転を開始したときから制御マイコン1により実行さ
れるものであるが、この処理の実行に先立って、図示の
ように、上記した寿命算出用メモリ11に対するデータ
の記憶前処理P2を実行しておく。
【0047】すなわち、この記憶前処理P2では、イン
バータ装置に使用されている電解コンデンサの仕様とし
て与えられる寿命を、このコンデンサの供給者(メーカ
ー)からのデータなどにより知り、それの換算値である
時間単位を、後述するようにして算出し、期待寿命単位
として寿命算出用メモリ11に記憶するのである。
【0048】なお、この前処理P2は、このインバータ
装置が使用を開始される前の適当な時点、例えばインバ
ータ装置の出荷前の時点で、例えばこのインバータ装置
の作成者(メーカー)などにより、実行しておくものであ
り、従って、この寿命算出用メモリ11も、書き込み可
能なROM、或いは電源バックアップされたRAMなど
の不揮発性のメモリで構成されている。
【0049】この図6の処理が開始されると、まず、ス
テップS10で、寿命警報時間の設定を行う。このステ
ップS10は、予めこのインバータ装置を使用するユー
ザにより入力され、設定されているデータ、すなわち、
ユーザ自身が寿命警報を出力したいと望む時点、例えば
電解コンデンサの寿命が尽きると推定される時点の20
0時間前の時点を表すデータを取り込み、これを時間単
位に換算して所定のメモリに格納するのである。
【0050】次に、ステップS11では、周囲温度検出
器4から温度を取り込む。そして、ステップS12で、
温度範囲毎の時間単位を算出し、ステップS13の判断
により、ステップS14で一定時間づつ、ここでは、1
時間づつ積算する処理を実行する。ここで、前処理P2
で設定され、ステップS12とステップS13、それに
ステップS14で設定積算される時間単位について説明
する。
【0051】いま、与えられた電解コンデンサが周囲温
度20℃で、10,000時間の寿命が保証されていた
とする。そうすると、アレニウスの法則によれば、この
電解コンデンサは、周囲温度が30℃では5,000時
間の寿命となり、10℃では20,000時間の寿命に
なると考えられる。
【0052】そこで、この実施形態例では、平均周囲温
度が15℃以下のときは毎時間毎に係数1を、15℃〜
25℃のときは同じく毎時間毎に係数2を、そして25
℃以上のときは、毎時間毎に係数4を、それぞれ設定す
る。そうすると、まず、この電解コンデンサの寿命の保
証値は、周囲温度20℃のときの値なので、係数は2に
なり、寿命が10,000時間なので、この電解コンデ
ンサの期待寿命単位は、 10,000×2=20,000単位 となり、これを前処理P2で寿命算出用メモリ11に記
憶することになる。
【0053】次に、ここで、インバータ装置の現時点ま
での温度使用履歴が、10℃で500時間、20℃で8
00時間、そして30℃では100時間であったとする
と、このときの積算値は、 1×500+2×800+4×100=2,500単位 となり、これが、いままでに消耗された期待寿命単位と
なる。そうすると、期待される残りの寿命単位は、 20,000−2,500=17,000単位 となる。一方、この間での平均温度は、 (10×500+20×800+30×100)/(50
0+800+100)≒17℃ なので、結局、期待余寿命は、 17,500単位/係数2=8,700時間 となる。
【0054】こうして、ステップS14で1時間毎に期
待余寿命が算出されたらステップS15に進み、ここ
で、ステップS10で設定されている寿命警報時間と比
較し、 期待余寿命<寿命警報時間 になったか否かを判定する。そして、判定結果がNO、
すなわち、まだ期待余寿命の方が、寿命警報時間よりも
長いときは、ステップS11に戻り、処理を繰り返す。
【0055】しかして、結果がYES、つまり期待余寿
命が寿命警報時間よりも短くなったらステップS16を
実行し、制御マイコン1から外部警報出力部9に所定の
指令がなされ、寿命警報が表示されることになる。
【0056】従って、この実施形態例によれば、低騒音
化と装置の小型化の両立が可能で、広い適用範囲を備え
たインバータ装置が提供できる上、予めユーザが任意に
定めた寿命警報時間になると電解コンデンサの保守、交
換の時期に達したことが自動的に報知されることにな
り、この結果、早めに適切な対応が得られ、運転停止な
ど、不測の事態発生を未然に防止することができ、高い
信頼性を容易に保つことができる。
【0057】なお、この図6による処理は、図2に示し
た処理と並行して実行されるようになっているが、この
ときの実行の頻度は、それぞれ任意に定めてやればよ
い。また、必要な場合には、一方だけ実行されるように
しても良い。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、インバータ装置の運転
状況が許す限りキャリア周波数を高くした状態で、しか
も冷却ファンの運転を停止した状態での運転が保たれる
ので、騒音の発生を充分に抑えることができる。また、
本発明によれば、さらにインバータ装置の運転状況が変
わり、キャリア周波数を下げざるを得なくなったときで
も、その周波数に下限値が与えられるので、この下限値
を人間の可聴周波数の上限、例えば20KHzに設定し
ておくことにより、同じく騒音発生の虞れを無くすこと
ができる。
【0059】しかも、このときは、冷却ファンが回転速
度制御されるので、騒音発生は最小限に抑えられ、しか
もインバータ装置が通常の運転状態から外れて、運転停
止に至るまでの時間に余裕が得られるので、運転の継続
についての信頼性が要求される場合でも充分に対応する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるインバータ制御装置の一実施形態
を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態例における処理を説明する
ためのフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態例における運転可能エリア
マップの説明図である。
【図4】PWMインバータ装置のキャリア周波数と主回
路スイッチング素子の損失との関係を示す特性図であ
る。
【図5】電解コンデンサの寿命と温度との関係を示す特
性図である。
【図6】本発明の他の一実施形態例における処理を説明
するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 制御マイコン(制御用のマイクロコンピュータ) 2 出力電圧出力周波数設定器 3 PWM発生器 4 周囲温度検出器 5 素子温度検出器 6 負荷電流検出器 7 キャリア周波数設定器 8 冷却ファン 9 外部警報出力部 10 マップ用メモリ 11 寿命算出用メモリ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中津 欣也 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルス幅変調方式のインバータ装置にお
    いて、 パルス幅変調用キャリヤ周波数と負荷電流及び周囲温度
    のそれぞれの下限値を三次元座標軸の原点とし、夫々の
    上限値を頂点とする三角錐形の運転可能エリアマップを
    設定した上で、インバータ装置の運転状態の変化を、前
    記運転可能エリアマップ内での状態遷移ベクトルとして
    算定する手段を設け、 前記状態遷移ベクトルが、前記運転可能エリアマップで
    定まる運転可能エリアの境界から離れている間は、パル
    ス幅変調用キャリヤ周波数を前記上限値に保持する制御
    を実行し、 前記状態遷移ベクトルが、前記運転可能エリアマップで
    定まる運転可能エリアの境界に近づいたが、エリアを越
    える虞れがないときは、パルス幅変調用キャリヤ周波数
    を前記下限値に近づける制御と、冷却用ファンによる冷
    却能力を増加させる制御の少なくとも一方を実行し、 前記状態遷移ベクトルが、前記運転可能エリアマップで
    定まる運転可能エリアを越える虞れを生じたときは、異
    常を表示する制御と、インバータ装置の出力を抑制する
    制御の少なくとも一方を実行するように構成したことを
    特徴とするインバータ制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1の発明において、 前記冷却用ファンによる冷却能力を増加させる制御が、
    冷却用ファンの運転開始制御と、回転速度の上昇制御の
    少なくとも一方であることを特徴とするインバータ制御
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項1の発明において、 周囲温度に応じて増加する係数を設定し、インバータ装
    置の運転時間と、そのときの周囲温度に対応した前記係
    数との積を積算して経過寿命単位とし、この経過寿命単
    位を期待寿命単位から減算して、前記インバータ装置に
    備えられている電解コンデンサの残りの寿命を算定する
    ように構成したことを特徴とするインバータ制御装置。
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