JP3564256B2 - インバータ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パルス幅変調方式の可変電圧可変周波数インバータ装置に係り、特に静粛な運転が要求される場合に好適なインバータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パルス幅変調(PWM)方式のインバータ装置では、主回路素子をパルス幅変調用キャリア信号でスイッチング制御するようになっているが、この場合、従来のインバータ装置では、このパルス幅変調用キャリア信号の周波数(キャリア周波数)は、予め設定してある所定の一定値の周波数のものが使用されている。
【0003】
そして、インバータ装置の運転音が問題にならない場合には、主回路素子のスイッチング損失を低減させるため、キャリア周波数は、できるだけ低く設定し、インバータ装置の運転音が問題になる場合には、スイッチング損失を考慮して、負荷電流を制限した上で高いキャリア周波数を設定している。
【0004】
一方、特開平3−2396号公報、特開平3−139174号公報などでは、キャリア周波数を、負荷の状況などに応じて変化させるようにしたインバータ装置について、提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、インバータ装置の運転騒音を減らす点について充分に配慮がされておらず、静粛性が要求される用途への適用に問題があった。
インバータ装置の小型化が進み、省エネを目的として身近で使用されるようになるに従い、キャリア周波数を極力高く設定して騒音を抑える必要があるが、キャリア周波数を高くすれば、それにつれてスイッチング損失が増えるので、熱設計上、装置が大型化してしまう。
【0006】
インバータ装置の小型化と低騒音化を両立させるためには、装置自体の熱的に運転可能な条件の範囲内で、できるだけ高いキャリア周波数で運転することが望ましいが、インバータ装置の運転条件は個々に異なっているため、標準的な一定値に設定することは困難である。
このため、インバータ装置の使用者が自ら設定する方法が取られているが、装置が小型化するに従い、取り扱い上、及び装置の物理的な大きさから、外部からの設定が困難になりつつある。
【0007】
従来技術では、キャリア周波数を制御するものもあるが、基本的には、主回路素子の温度によりキャリア周波数が制御されるだけであり、騒音の抑制についての配慮は何もなされていない。
本発明の目的は、低騒音化と装置の小型化の両立が可能で、広い適用範囲を備えたインバータ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、交流電力を出力する主回路にPWM信号を供給するPWM発生器と、前記PWM発生器に供給する出力電圧信号と出力周波数信号を発生する出力電圧出力周波数設定器と、前記PWM発生器で生成されるPWM信号のパルス幅変調用キャリア周波数を変更制御するキャリア周波数設定器と、冷却ファンと、少なくとも前記出力電圧出力周波数設定器、前記キャリア周波数設定器、前記冷却ファンを制御する制御手段とを有するパルス幅変調方式のインバータ装置において、パルス幅変調用キャリヤ周波数と負荷電流及び周囲温度のそれぞれの下限値を三次元座標軸の原点とし、夫々の上限値を頂点とする三角錐形の運転可能エリアマップを設定し、インバータ装置の運転状態の変化を、前記運転可能エリアマップ内での状態遷移ベクトルとして算定する手段を設ける。
【0009】
そして、まず、前記状態遷移ベクトルが、前記運転可能エリアマップで定まる運転可能エリアの上限の境界に近づく場合には、パルス幅変調用キャリヤ周波数をパルス幅変調用キャリヤ周波数の前記上限値に近づける制御を行ない、次に、前記パルス幅変調用キャリア周波数が前記下限値に達した場合には、前記冷却ファンの運転開始制御、または、前記冷却ファンの回転速度の上昇制御を実行するのである
【0010】
また、上記目的を達成するため、本発明では、交流電力を出力する主回路にPWM信号を供給するPWM発生器と、前記PWM発生器に供給する出力電圧信号と出力周波数信号を発生する出力電圧出力周波数設定器と、前記PWM発生器で生成されるPWM信号のパルス幅変調用キャリア周波数を変更制御するキャリア周波数設定器と、冷却ファンと、所定の異常報知が得られるように制御する処理を実行する外部警報出力部と、少なくとも前記出力電圧出力周波数設定器、前記キャリア周波数設定器、前記冷却ファン、前記外部警報出力部を制御する制御手段とを有するパルス幅変調方式のインバータ装置において、パルス幅変調用キャリヤ周波数と負荷電流及び周囲温度のそれぞれの下限値を三次元座標軸の原点とし、夫々の上限値を頂点とする三角錐形の運転可能エリアマップを設定し、インバータ装置の運転状態の変化を、前記運転可能エリアマップ内での状態遷移ベクトルとして算定する手段を設ける。
【0011】
そして、前記状態遷移ベクトルが、前記運転可能エリアマップで定まる運転可能エリアの上限の境界に近づく場合には、前記外部警報出力部にて異常を報知する制御、または、インバータ装置の出力を減少する制御を実行するのである。
【0012】
この結果、前記状態遷移ベクトルの大きさから運転可能エリアを逸脱することが明確な場合は、直ちに外部に対して警報を出力することができ、異常の発生に際しても、それを正常運転にある間に報知し、負荷設備に影響が現れる前に対処することを可能にすることができる。
【0013】
また、エリアマップ上で、前記状態遷移ベクトルが運転可能エリアの境界から離れている場合には、可能なかぎりキャリア周波数が高くされるので、騒音レベルを更に低く抑えることができる。
このときには、また、冷却用ファンが停止され、又は回転速度が遅くされるので、更に騒音レベルを抑えることができる。
【0014】
さらに、異常発生の虞れが生じたときには、それを正常運転中に報知し、負荷設備に影響が出る前に対処することができる。
また、特に設定操作を要することなく、許される範囲で、自動的に、可能な限り運転騒音を抑えることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるインバータ制御装置について、図示の実施形態例により詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態例で、図示のように、制御マイコン(制御用のマイクロコンピュータ)1を備え、これにより、図示してないインバータ装置の主回路を制御し、所定の電力変換動作が得られるように構成されている。
【0016】
このため、制御マイコン1は、まず、外部から与えられる指令値に基づいて所定の制御信号の作成処理を行ない、この制御信号を出力電圧出力周波数設定器2に供給し、これにより出力電圧出力周波数設定器2から出力電圧信号と出力周波数信号を発生させ、これがPWM発生器3に供給されるようにする。
【0017】
この結果、PWM発生器3からインバータ装置の主回路(図示してない)にPWM信号が供給され、上記した指令値により定まる所定の電圧で所定の周波数の交流電力がインバータ装置から発生されるように、主回路のスイッチング素子がPWMスイッチング制御されることになる。
【0018】
このとき、さらに制御マイコン1は、例えば周囲温度検出器4と素子温度検出器5、それに負荷電流検出器6などの各種の検出器から検出信号を取り込み、上記したインバータ装置にフィードバック制御が与えられるようにする処理も併せて実行するようになっている。
【0019】
ところで、この実施形態では、制御マイコン1は、上記したインバータ装置の一般的な電力変換動作の制御だけではなく、それと並行して、周囲温度検出器4と素子温度検出器5、それに負荷電流検出器6などの各種の検出器から取り込んだ検出信号に基づいて、キャリア周波数設定器7と冷却ファン8にそれぞれ所定の信号を供給する処理と、さらに、必要に応じて外部警報出力部9に信号を供給し、所定の異常報知が得られるように制御する処理を実行するように構成されている。
【0020】
そこで、以下、この制御マイコン1によるキャリア周波数設定器7と冷却ファン8、それに外部警報出力部9の制御動作について説明する。
なお、周囲温度検出器4はインバータ装置の周囲の温度を検出し、素子温度検出器5はインバータ装置の主回路スイッチング素子の温度を検出する。そして、負荷電流検出器6はインバータ装置の出力電流を検出するものである。
【0021】
また、キャリア周波数設定器7は、制御マイコン1の指令により、PWM発生器3で生成されるPWM信号のキャリア周波数を変更制御する働きをし、冷却ファン8は、同じく制御マイコン1の指令により、停止と作動、それに作動時での回転速度とが制御され、これによりインバータ装置の主回路スイッチング素子を中心として各部に通風を行ない、放熱を促進させる働きをするものである。
【0022】
まず、この実施形態では、マップ用メモリ10を設け、このメモリ10に、図3に示す運転可能エリアマップMが格納されている。
この図3に示した運転可能エリアマップMは、図示のように、三次元座標のX軸に素子温度Tを、Y軸にキャリア周波数fcを、そしてZ軸に負荷電流Iを夫々設定し、その上で、素子温度Tの下限値Tminとキャリヤ周波数fc の下限値fcmin、それに負荷電流Iの下限値Iminを三次元座標軸の原点とし、夫々の上限値Tmax、fcmax、Imaxを頂点とする三角錐形(4面体)のエリアマップとして設定したものである。
【0023】
そして、この運転可能エリアマップMの三角錐形の各頂点を結ぶ三角形の平面を、インバータ装置を運転することができる限界面として設定し、これにより、素子温度Tとキャリア周波数fc、それに負荷電流Iの全てが、この三角錐形の内部にあるときはインバータ装置が運転でき、これらの何れかでも限界面の外側に出たら、運転できないものとする。
【0024】
次に、制御マイコン1は、各検出器から素子温度Tと負荷電流Iを逐次取り込み、このときキャリア周波数設定器7から出力されているキャリア周波数fcと共に運転可能エリアマップMを検索し、この検索結果に応じてキャリヤ周波数設定器7と冷却ファン8を制御し、さらには、外部警報出力部9を作動させる制御を実行するようになっており、以下、この制御マイコン1による制御処理について、図2のフローチャートにより詳細に説明する。
【0025】
この図2の処理は、インバータ装置が運転を開始したときから制御マイコン1により実行されるものであるが、この処理を実行させる前に、このインバータ装置が使用を開始する前の適当な時点、例えばインバータ装置の出荷前の時点で、例えばこのインバータ装置の作成者(メーカー)などにより、上記した運転可能エリアマップMをマップ用メモリ10に設定する処理を前処理P1として実行しておく。
このため、マップ用メモリ10は、書き込み可能なROM、或いは電源バックアップされたRAMなどの不揮発性のメモリで構成されている。
【0026】
この図2の処理がスタートされると、まず、最初のステップS1で、各検出器から検出値を取り込み、次いでステップS2で、これらの検出値により運転可能エリアマップMを検索し、このエリア上での位置を算出する。なお、このときの位置は、例えば図3のA点、又はB点となる。
【0027】
そして、ステップS3で、いま算出された位置が運転可能エリアマップMの境界面に近いか否かを調べ、結果がNO、つまり、A点で示すように、運転可能エリアの境界から離れていたときにはステップS4に移行し、キャリア周波数fcを、現在の周波数から所定値だけ上げる処理を実行する
また、このとき、キャリア周波数fcが上限値fcmaxになっていた場合には、冷却ファン8の運転状態に応じて、高速回転状態のときには所定値減速させ、最低回転速度状態のときには運転を停止させる処理を実行する。
そして、このステップS4の後はステップS1に戻る。
【0028】
一方、ステップS3での結果がYESとなったとき、つまり、いま算出された位置が、B点で示すように、運転可能エリアマップMの境界面に近いときにはステップS5に移行し、前回に算出されていた位置データから、次のようにして、状態遷移ベクトルを算出する。
いま、或る時刻tでの素子温度TがTで、負荷電流IがI、そしてキャリア周波数fcがfcのときの座標位置が、図3の運転可能エリアマップMでのA点にあったとする。
【0029】
次に何等かの理由により、例えば周囲温度が上昇したなどの理由により、時刻tから時間Δt経過後の時刻tで、素子温度TがT(T>T)に変化し、このときの座標位置が運転可能エリアマップMでのB点になったとする。
このとき、これらA点とB点を結ぶベクトルvを想定し、これを状態遷移ベクトルとするのである。
【0030】
こうしてステップS5の処理で状態遷移ベクトルvが算出されたら、次にステップS6に進み、ここで、いま算出した状態遷移ベクトルvの運転可能エリアマップM内での位置と方向、それに大きさから、この後、直ちにインバータ装置の運転状態が運転可能エリアマップMの境界面の外に出る虞れがあるか否かを、以下のようにして判定する。
【0031】
すなわち、状態遷移ベクトルvを調べ、その先端のB点と運転可能エリアマップMの境界面との距離が近い程、また、状態遷移ベクトルvの方向が境界面と垂直になっている度合いが強い程、さらにはその大きさ、つまり長さが長い程、短時間で境界面の外に出てしまう可能性が高く、反対なら可能性が低いものとするのである。
【0032】
そして、このステップS6での判定結果がNO、つまり、インバータ装置の運転状態が運転可能エリアマップMの境界面の外に出る虞れは、とりあえずは無いと判断されたときにはステップS7に進み、判断結果がYES、つまり、直ちに境界面の外に出てしまう虞れがあると判断されたときは、ステップS8に進むようにする。
【0033】
まず、ステップS7では、このときの状態遷移ベクトルvの状態から、インバータ装置の運転状態を運転可能エリアマップM内に保つのに必要な、インバータ装置の制御の種類と、その制御量の算出を行う。
このステップS7での処理は、次のようになっている。
まず、インバータ装置のキャリヤ周波数fcが、その下限値fcminよりも高いときには、キャリア周波数fcを所定量だけ低下させる制御を実行する。
【0034】
次に、インバータ装置のキャリヤ周波数fcが下限値fcminになっていたら、冷却ファン8の運転を開始させる。
そして、冷却ファン8が運転されていたら、さらにその回転速度を所定値だけ上げ、これを最高運転可能回転速度に達するまで繰り返すのである。
【0035】
良く知られているように、トランジスタなど、インバータ装置の主回路スイッチング素子の損失は、図4に示すように、スイッチング周波数、すなわち、PWMインバータ装置でのキャリア周波数fcが高くなるにつれて増加する。
そこで、まず、キャリア周波数fcを下げる制御をしてやれば、損失が減少するので、素子温度Tの上昇が抑えられ、インバータ装置の運転状態が運転可能エリアマップM内から出てしまう虞れを少なくすることができる。
【0036】
次に、冷却ファン8の運転を開始させ、さらには、その回転速度を上げるこにより、スイッチング素子の冷却能力が増すので、これによってもインバータ装置の運転状態が運転可能エリアマップM内から出てしまう虞れを少なくすることができる。
【0037】
しかして、キャリヤ周波数fcには下限値fcminが設定してあり、且つ、冷却ファン8による冷却能力にも限度があるので、さらに周囲温度が上昇したなどの理由により、ステップS6での判断結果がYESになり、ステップS8に進んだときには、以下の処理を実行し、外部警報処理部9に指令を行い、さらには、インバータ装置の負荷を強制的に減少させるようにした縮退運転制御に移行するのである。
【0038】
まず、キャリヤ周波数fcが下限値fcminのときのインバータ装置の発熱量と、冷却ファン8の最大冷却能力とで定まる発熱抑制量は、装置の設計時に明らかになっているので、これらのデータを予め所定のメモリに格納しておく。
一方、状態遷移ベクトルvの大きさが非常に大きい場合、例えば周囲温度Tの上昇分(T−T)が上記発熱抑制量よりも大きい場合には、その差分に応じてインバータ装置の温度は上昇して行き、やがてインバータ装置の運転状態が運転可能エリアマップM内から出てしまう。
【0039】
そこで、制御マイコン1は、このときの周囲温度の上昇分と発熱抑制量の差分から、インバータ装置の運転状態が運転可能エリアマップM内から出てしまうまでの時間を算出し、これを外部警報出力部9により警報として出力させ、その後で縮退運転に移行する制御を行うのである。
これにより、インバータ装置と、その負荷装置が、通常の運転状態を継続することができなくなる前に、例えば負荷装置の切離しなど、予め必要な処置をとることができるようになる。
【0040】
従って、この実施形態例によれは、インバータ装置の運転状況が許す限り、キャリア周波数fcを高くした状態で、しかも冷却ファン8の運転を停止した状態での運転が保たれるので、騒音の発生を充分に抑えることができる。
また、この実施形態例では、さらにインバータ装置の運転状況が変わり、キャリア周波数fcを下げざるを得なくなったときでも、その周波数に下限値fcminが与えられるので、この下限値fcminを人間の可聴周波数の上限、例えば20KHzに設定しておくことにより、同じく騒音発生の虞れを無くすことができる。
【0041】
しかも、このときは、冷却ファン8が回転速度制御されるので、騒音発生は最小限に抑えられ、しかもインバータ装置が通常の運転状態から外れて、運転停止に至るまでの時間に余裕が得られるので、運転の継続についての信頼性が要求される場合でも充分に対応することができる。
【0042】
次に、本発明の他の実施形態例について、説明する。
インバータ装置を構成する各種の回路部品や半導体素子などについては、一般的に、耐用年数、つまり寿命を想定することは、あまり無い。
しかしながら、電圧型のインバータ装置では、その主回路にコンデンサが必要で、しかもかなり大容量のものを要するため、通例、アルミニウム電解コンデンサが用いられているが、この電解コンデンサは、他の回路要素とは異なり、寿命がかなり短いので、定期的な保守、交換を要する。
【0043】
ここで、アルミニウム電解コンデンサの寿命について説明すると、このような電解コンデンサは、内部で化学反応が起るので、その寿命は温度により極端に変わる。
この関係は、一般にアレニウスの法則として知られており、端的にいえば、図5に示すように、温度が10℃上昇する毎に寿命は1/2に短縮するとされている。
【0044】
そこで、以下の実施形態例では、このような電解コンデンサを用いているインバータ装置において、その温度使用履歴から電解コンデンサの寿命を推定し、これに基いて的確な寿命警報が得られるようにしたもので、以下、この実施形態例について説明する。
図1の実施形態例には、寿命算出用メモリ11が設けてあり、これにより、以下の実施形態例にも対応することができるようになっている。
【0045】
そして、この寿命算出用メモリ11には、後述するように、インバータ装置の主回路(図示されていない)に設けてある電解コンデンサに関するデータが記憶してある。
そして、この実施形態例では、これを前提として、制御マイコン1により、図6に示す処理が実行されるように構成したものである。
【0046】
まず、この図6の処理も、インバータ装置が運転を開始したときから制御マイコン1により実行されるものであるが、この処理の実行に先立って、図示のように、上記した寿命算出用メモリ11に対するデータの記憶前処理P2を実行しておく。
【0047】
すなわち、この記憶前処理P2では、インバータ装置に使用されている電解コンデンサの仕様として与えられる寿命を、このコンデンサの供給者(メーカー)からのデータなどにより知り、それの換算値である時間単位を、後述するようにして算出し、期待寿命単位として寿命算出用メモリ11に記憶するのである。
【0048】
なお、この前処理P2は、このインバータ装置が使用を開始される前の適当な時点、例えばインバータ装置の出荷前の時点で、例えばこのインバータ装置の作成者(メーカー)などにより、実行しておくものであり、従って、この寿命算出用メモリ11も、書き込み可能なROM、或いは電源バックアップされたRAMなどの不揮発性のメモリで構成されている。
【0049】
この図6の処理が開始されると、まず、ステップS10で、寿命警報時間の設定を行う。
このステップS10は、予めこのインバータ装置を使用するユーザにより入力され、設定されているデータ、すなわち、ユーザ自身が寿命警報を出力したいと望む時点、例えば電解コンデンサの寿命が尽きると推定される時点の200時間前の時点を表すデータを取り込み、これを時間単位に換算して所定のメモリに格納するのである。
【0050】
次に、ステップS11では、周囲温度検出器4から温度を取り込む。
そして、ステップS12で、温度範囲毎の時間単位を算出し、ステップS13の判断により、ステップS14で一定時間づつ、ここでは、1時間づつ積算する処理を実行する。
ここで、前処理P2で設定され、ステップS12とステップS13、それにステップS14で設定積算される時間単位について説明する。
【0051】
いま、与えられた電解コンデンサが周囲温度20℃で、10,000時間の寿命が保証されていたとする。
そうすると、アレニウスの法則によれば、この電解コンデンサは、周囲温度が30℃では5,000時間の寿命となり、10℃では20,000時間の寿命になると考えられる。
【0052】
そこで、この実施形態例では、平均周囲温度が15℃以下のときは毎時間毎に係数1を、15℃〜25℃のときは同じく毎時間毎に係数2を、そして25℃以上のときは、毎時間毎に係数4を、それぞれ設定する。
そうすると、まず、この電解コンデンサの寿命の保証値は、周囲温度20℃のときの値なので、係数は2になり、寿命が10,000時間なので、この電解コンデンサの期待寿命単位は、
10,000×2=20,000単位
となり、これを前処理P2で寿命算出用メモリ11に記憶することになる。
【0053】
次に、ここで、インバータ装置の現時点までの温度使用履歴が、10℃で500時間、20℃で800時間、そして30℃では100時間であったとすると、このときの積算値は、
1×500+2×800+4×100=2,500単位
となり、これが、いままでに消耗された期待寿命単位となる。
そうすると、期待される残りの寿命単位は、
20,000−2,500=17,000単位
となる。
一方、この間での平均温度は、
(10×500+20×800+30×100)/(500+800+100)≒17℃なので、結局、期待余寿命は、
17,500単位/係数2=8,700時間
となる。
【0054】
こうして、ステップS14で1時間毎に期待余寿命が算出されたらステップS15に進み、ここで、ステップS10で設定されている寿命警報時間と比較し、
期待余寿命<寿命警報時間
になったか否かを判定する。
そして、判定結果がNO、すなわち、まだ期待余寿命の方が、寿命警報時間よりも長いときは、ステップS11に戻り、処理を繰り返す。
【0055】
しかして、結果がYES、つまり期待余寿命が寿命警報時間よりも短くなったらステップS16を実行し、制御マイコン1から外部警報出力部9に所定の指令がなされ、寿命警報が表示されることになる。
【0056】
従って、この実施形態例によれば、低騒音化と装置の小型化の両立が可能で、広い適用範囲を備えたインバータ装置が提供できる上、予めユーザが任意に定めた寿命警報時間になると電解コンデンサの保守、交換の時期に達したことが自動的に報知されることになり、この結果、早めに適切な対応が得られ、運転停止など、不測の事態発生を未然に防止することができ、高い信頼性を容易に保つことができる。
【0057】
なお、この図6による処理は、図2に示した処理と並行して実行されるようになっているが、このときの実行の頻度は、それぞれ任意に定めてやればよい。
また、必要な場合には、一方だけ実行されるようにしても良い。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、インバータ装置の運転状況が許す限りキャリア周波数を高くした状態で、しかも冷却ファンの運転を停止した状態での運転が保たれるので、騒音の発生を充分に抑えることができる。
また、本発明によれば、さらにインバータ装置の運転状況が変わり、キャリア周波数を下げざるを得なくなったときでも、その周波数に下限値が与えられるので、この下限値を人間の可聴周波数の上限、例えば20KHzに設定しておくことにより、同じく騒音発生の虞れを無くすことができる。
【0059】
しかも、このときは、冷却ファンが回転速度制御されるので、騒音発生は最小限に抑えられ、しかもインバータ装置が通常の運転状態から外れて、運転停止に至るまでの時間に余裕が得られるので、運転の継続についての信頼性が要求される場合でも充分に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるインバータ制御装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態例における処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態例における運転可能エリアマップの説明図である。
【図4】PWMインバータ装置のキャリア周波数と主回路スイッチング素子の損失との関係を示す特性図である。
【図5】電解コンデンサの寿命と温度との関係を示す特性図である。
【図6】本発明の他の一実施形態例における処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 制御マイコン(制御用のマイクロコンピュータ)
2 出力電圧出力周波数設定器
3 PWM発生器
4 周囲温度検出器
5 素子温度検出器
6 負荷電流検出器
7 キャリア周波数設定器
8 冷却ファン
9 外部警報出力部
10 マップ用メモリ
11 寿命算出用メモリ

Claims (3)

  1. 交流電力を出力する主回路にPWM信号を供給するPWM発生器と、
    前記PWM発生器に供給する出力電圧信号と出力周波数信号を発生する出力電圧出力周波数設定器と、
    前記PWM発生器で生成されるPWM信号のパルス幅変調用キャリア周波数を変更制御するキャリア周波数設定器と、
    冷却ファンと、
    少なくとも前記出力電圧出力周波数設定器、前記キャリア周波数設定器、前記冷却ファンを制御する制御手段とを有するパルス幅変調方式のインバータ装置において、
    パルス幅変調用キャリヤ周波数と負荷電流及び周囲温度のそれぞれの下限値を三次元座標軸の原点とし、
    夫々の上限値を頂点とする三角錐形の運転可能エリアマップを設定し、
    インバータ装置の運転状態の変化を、前記運転可能エリアマップ内での状態遷移ベクトルとして算定する手段を設け、
    前記状態遷移ベクトルが、前記運転可能エリアマップで定まる運転可能エリアの上限の境界に近づく場合には、
    パルス幅変調用キャリヤ周波数をパルス幅変調用キャリヤ周波数の前記上限値に近づける制御を行い、
    前記パルス幅変調用キャリア周波数が前記下限値に達した場合には、
    前記冷却ファンの運転開始制御、または、前記冷却ファンの回転速度の上昇制御を実行するように構成したことを特徴とするインバータ制御装置。
  2. 交流電力を出力する主回路にPWM信号を供給するPWM発生器と、
    前記PWM発生器に供給する出力電圧信号と出力周波数信号を発生する出力電圧出力周波数設定器と、
    前記PWM発生器で生成されるPWM信号のパルス幅変調用キャリア周波数を変更制御するキャリア周波数設定器と、
    冷却ファンと、
    所定の異常報知が得られるように制御する処理を実行する外部警報出力部と、
    少なくとも前記出力電圧出力周波数設定器、前記キャリア周波数設定器、前記冷却ファン、前記外部警報出力部を制御する制御手段とを有するパルス幅変調方式のインバータ装置において、
    パルス幅変調用キャリヤ周波数と負荷電流及び周囲温度のそれぞれの下限値を三次元座標軸の原点とし、
    夫々の上限値を頂点とする三角錐形の運転可能エリアマップを設定し、
    インバータ装置の運転状態の変化を、前記運転可能エリアマップ内での状態遷移ベクトルとして算定する手段を設け、
    前記状態遷移ベクトルが、前記運転可能エリアマップで定まる運転可能エリアの上限の境界に近づく場合には、
    前記外部警報出力部にて異常を報知する制御、または、インバータ装置の出力を減少する制御を実行するように構成したことを特徴とするインバータ制御装置。
  3. 請求項1、または請求項2記載のインバータ制御装置において、
    パルス幅変調用キャリア周波数を下げる制御における前記下限値は、人間の可聴周波数に入らない値とすることを特徴とするインバータ制御装置。
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