JPH10267850A - ルミノール等の化学発光増強物質 - Google Patents

ルミノール等の化学発光増強物質

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JPH10267850A
JPH10267850A JP7184297A JP7184297A JPH10267850A JP H10267850 A JPH10267850 A JP H10267850A JP 7184297 A JP7184297 A JP 7184297A JP 7184297 A JP7184297 A JP 7184297A JP H10267850 A JPH10267850 A JP H10267850A
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luminescence
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JP7184297A
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Masako Maeda
昌子 前田
Hidetoshi Arakawa
秀俊 荒川
Reiko Yoda
玲子 与田
Kenichi Ono
賢一 大野
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Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】保存安定性が良好で、しかもその取扱いや管
理、廃液処理が容易なルミノールの発光増強試薬であっ
て、ルシフェリンやp−ヨードフェノール等の増強剤を
必要とせず、単独で高感度の発光測定が可能な化合物を
提供する。 【解決手段】チオ尿素骨格及びアルキル基を有し、酸化
剤共存及びアルカリ性条件下でルミノール等の発光を増
強するチオ尿素誘導体等。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ルミノール又はイ
ソルミノールの発光における新規な発光増強物質、該物
質の使用に関し、更には、ルミノール又はイソルミノー
ル等をラベルとして使用する免疫測定や核酸測定等の親
和結合を利用する種々の測定における該物質の使用等に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ルミノール(5−アミノ−2,3−ジヒ
ドロ−1,4−フタラジンジオン)やイソルミノール等
(以下、本明細書においては、特に断らない限りルミノ
ールやイソルミノール、更にはこれらの誘導体を包含し
てルミノール等と記載する)は、弱アルカリ性条件下、
過酸化水素等の酸化剤と反応して発光(化学発光)を生
じる。該発光は、ペルオキシダーゼ(POD)、マイク
ロペルオキシダーゼ(m−POD)等の酵素やフェリシ
アン化カリウムといった適当な触媒の存在下で検出可能
なレベルまで高められ、更にはルシフェリンやp−ヨー
ドフェノールによりその継続性が高められることが知ら
れている。
【0003】近年になって、光学的に検出可能な物質
や、光学的に検出可能な反応生成物を生ずる反応を触媒
する酵素をラベルとする免疫測定や核酸測定が実施され
るようになり、前記ルミノール等の化学発光反応を利用
することも提案されている。即ち、前記触媒であるペル
オキシダーゼ等の酵素をラベルとして使用し、ルミノー
ル等の発光を検出しようというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これまでに報告された
ルミノール等の発光を利用する免疫測定等においては、
ルミノール等と過酸化水素等の酸化剤に加え、検出可能
なシグナルを得るためにペルオキシダーゼ、m−POD
又はフェリシアン化カリウムという、適当な発光触媒が
必要であった。このうち、ペルオキシダーゼ等の酵素
は、試薬の調製が面倒で長期に渡る保存安定性が悪いと
いう課題がある。またフェリシアン化カリウムには、取
扱いが面倒で管理・廃液処理が面倒であるという課題が
ある。また、高感度検出を行う場合は、ルミノール等の
発光強度を更に高め、かつ、その継続性を高める必要が
あるため、前記試薬に加えてルシフェリンやp−ヨード
フェノール等の増強剤を用いなければならないが、結果
的に試薬点数が増加してその管理や測定操作が煩雑にな
るという課題に加え、特にルシフェリンは大量に調製す
ることが困難である等、試薬供給上のコスト的課題もあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ルミノー
ル等の発光強度を増強する発光増強物質をスクリーニン
グする過程において、ペルオキシダーゼ等の従来知られ
たルミノール等の化学発光触媒やp−ヨードフェノール
等の発行増強剤とは異なる作用機作により発光を増強す
る発光増強物質を見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0006】即ち本発明は、チオ尿素骨格及びアルキル
基を有し、酸化剤共存及びアルカリ性条件下でルミノー
ル等の発光を増強するチオ尿素誘導体である。また本発
明は、チオ尿素骨格及びアルキル基を有し、酸化剤共存
及びアルカリ性条件下でルミノール等の発光を増強する
チオ尿素誘導体を使用する、ルミノール又はイソルミノ
ールの発光を増強する方法である。更に本発明は、チオ
尿素骨格及びアルキル基を有し、酸化剤共存及びアルカ
リ性条件下でルミノール等の発光を増強するチオ尿素誘
導体を含むルミノール又はイソルミノールの発光増強剤
である。そして本発明は、少なくともルミノール等、標
的物質及び標的物質に特異的に結合する特異結合物質を
含む複合体を形成した後、該複合体をアルカリ性条件下
で、酸化剤共存及びアルカリ性条件下でルミノール等の
発光を増強するチオ尿素誘導体及び酸化剤と接触させる
ことを特徴とする、前記標的物質の測定法である。以
下、本発明を詳細に説明する。
【0007】本発明のチオ尿素誘導体は、ペルオキシダ
ーゼ、m−POD、フェリシアン化カリウム等の、従来
知られたルミノール等の発光触媒とは異なる作用機作に
よりルミノール等の発光を増強する効果を有する。その
一方で、本発明のチオ尿素誘導体は、前記発光触媒非存
在下であっても、過酸化水素等の酸化剤が存在すればル
ミノール等の発光を増強することから、ルシフェリンや
p−ヨードフェノール等の従来知られたルミノール等の
発光増強物質とも異なるものと考えられる。また、本発
明のチオ尿素誘導体は、ルミノールに限らず、例えばN
−(4−アミノブチル)−N−エチルイソルミノール
(ABEI)や2,3−ジヒドロ−6−イソチオシアナ
ト−1,4−フタラジンジオン等のルミノール誘導体、
更には4−(5’,6’−ジメトキシベンゾチアゾリ
ル)−N−フェニル−フタリルヒドラジド等のルミノー
ルのラベル化体の発光増強効果を有する。
【0008】本発明のチオ尿素誘導体は、例えばアミノ
チアゾール誘導体を出発材料として、イソチオシアネー
ト(RCNS)を反応することにより容易かつ安価に合
成することができる。なお、本発明のチオ尿素化合物に
は、誘導体化等された種々の化合物が包含されるが、そ
れらは本発明の開示に基づき、適宜合成することが可能
である。その一例として図1から図7に示したような化
合物中、後の実施例で示すようにS/N比が1以上のも
のが例示できるが、中でも図8に示した18種類の化合
物はルミノール等の発光増強効果が強く、特に好まし
い。これらは、最終濃度で10μM以上で発光増強効果
を認めることができるが、1mM以上使用することが好
ましい。
【0009】本発明のチオ尿素誘導体は、pH7.0ア
ルカリ性条件下でそのルミノール等の発光増強効果を発
揮する。該増強効果を十分に発揮させるためにはpH
9.0以上、特にpH10以上の強アルカリ性条件下で
使用することが好ましい。また該増強効果を発揮するた
めには適当な酸化剤が必要であるが、酸化剤は特に限定
されず、例えば過酸化水素やペルオキシダーゼ等、従来
からルミノールの発光反応に使用されているもの等を用
いることができる。酸化剤の濃度は、過酸化水素であれ
ば最終濃度で10mM以上、好ましくは100mM以上
である。
【0010】本発明のチオ尿素誘導体を用いてルミノー
ル等の発光を増強するには、酸化剤共存及びアルカリ性
条件下でチオ尿素誘導体をルミノール等と接触させれば
良い。この際、例えば長時間に渡ってルミノールからの
発光強度を測定する必要がある場合等には、後に示すよ
うに西洋ワサビペルオキシダーゼ等を添加することもで
きる。なお、ルミノール等の発光を測定することによ
り、例えば未知濃度のルミノール等を含有する試料につ
いてルミノール等の定量を実施したり、或いは例えば過
酸化水素等、未知濃度の酸化剤を含有する試料について
酸化剤の定量を実施したり、更には、例えば本発明のチ
オ尿素誘導体を未知濃度で含有する試料について、その
定量を実施することも可能になる。
【0011】本発明のチオ尿素誘導体を用いれば、酸化
剤共存及びアルカリ性条件下でルミノール等の発光を増
強することができる。従って、これを利用することでル
ミノール等の発光増強剤を提供できる。該発光増強剤
は、過酸化水素等を含む酸化剤等から構成される試薬セ
ットの一部であっても良い。また更には、ルミノール等
や酸化剤の測定用として提供することもできる。
【0012】本発明のチオ尿素誘導体を用いるルミノー
ル等の発光増強方法は、親和結合を利用する種々の測定
において利用することができる。具体的には、前記従来
の測定法におけるラベルとして、ルミノール等や本発明
のチオ尿素誘導体を使用すること及びルミノール等の測
定を酸化剤共存及びアルカリ性条件下で実施する以外は
それらと同様に実施することができる。親和結合を利用
する種々の測定としては、抗原(免疫原性を有する物
質)と抗体の免疫結合を利用する免疫測定、ホルモン
(リガンド)とレセプターの結合を利用するリガンド結
合、DNA同士やDNAとRNAの核酸結合を利用する
核酸測定等を例示できる。このような測定を行なう場合
は、測定しようとする標的物質に対する特異結合物質を
ルミノール等又は本発明のチオ尿素誘導体でラベルする
こと以外に、標的物質に対する特異結合物質と結合する
物質をラベルすることが例示できる。
【0013】蛋白質をルミノール等でラベルする際に
は、その発光機能が損なわれないように注意することが
好ましい。ルミノールは、そのアミノ基が置換されると
発光機能が低下することから、好ましくは発光機能低下
の恐れが少なく、かつ、ラベル化のために利用可能な官
能基を有するABEIを使用することが好ましい。AB
EIを用いる場合は、グルタルアルデヒド法やジアゾ法
などは(例えば化学発光イムノアッセイ(ソフトサイエ
ンス)参照)に従うことが例示できる。また例えばルミ
ノールイソシアナートは、直接反応させることのみで蛋
白質等をラベルすることが可能である。また更に、ルミ
ノールのラベル化体として市販されている4−(5’,
6’−ジメトキシベンゾチアゾリル)−N−フェニル−
フタリルヒドラジドを利用することも可能である。
【0014】例えば免疫測定について一例の述べれば、
不溶性担体等に固定化した抗体とルミノール等を結合し
た抗体を使用し、これら抗体と測定されるべき標的物質
で複合体を形成させ、後に複合体中のルミノール等又は
複合体を形成していないルミノール等の発光を本発明の
チオ尿素誘導体で増強しつつ測定することができる。こ
の例は、免疫測定法における、いわゆるサンドイッチ法
について示したものであるが、いわゆる競合法であって
も良い。核酸測定の場合は、前記抗体に代えて核酸(オ
リゴヌクレオチド)を使用すれば良い。
【0015】上記した測定以外にも、例えば液体クロマ
トグラフィーにおけるプレラベル法やポストラベル法に
利用することができる。即ち、前記したような標的物質
に対する特異結合物質等をルミノール等又はチオ尿素誘
導体でラベルしておき、試料を液体クロマトグラフィー
における流路形に導入した後、カラムで分離する前又は
カラムで分離した後で、かつ、発光強度を測定するため
の検出器に至る以前で酸化剤等、ルミノールの発光に必
要な試薬を流路に投入すれば良い。
【0016】本発明者らの知見によれば、ルミノール等
をラベルとして用い、本発明のチオ尿素誘導体及び過酸
化水素によりその発光を増強した場合、10fmol/
50μLという、従来のルミノール、HRP及び過酸化
水素を用いた場合に比較して約100程度高感度の測定
を実施可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
るために実施例を記載するが、本発明はこれら実施例に
限定されるものではない。なお、ルミノールの発光増強
効果等については、発光強度自体の比較が困難であるこ
とから、コントロールにより得られた発光測定結果との
比率(S/N比)で示してある。
【0018】以下の実験においては、下記の各試薬を使
用した。
【0019】(1)西洋ワサビペルオキシダーゼ(HR
P);市販品(東洋紡(株)製、250U/mg)) (2)ルミノール;市販のルミノールナトリウム(和光
純薬工業(株)製) (3)N−(4−アミノブチル)−N−エチルイソルミ
ノール(ABEI);市販品(シグマ製) (4)2,3−ジヒドロ−6−イソチオシアナト−1,
4−フタラジンジオン(ルミノールイソチオシアナー
ト);市販品(東京化成工業製) (5)4−(5’,6’−ジメトキシベンゾチアゾリ
ル)−N−フェニル−フタリルヒドラジド;市販品(同
仁(株)製) (6)p−ヨードフェノール;市販品(アルドリッチ
製) (7)過酸化水素水(30%);市販品(和光純薬工業
(株)製) (8)ジメチルスルホキシド(5×10-7M);市販品
(和光純薬工業(株)製) (9)m−POD;市販品(シグマ製) (10)フェリシアン化カリウム(ヘキサシアノ鉄3カ
リウム);市販品(和光純薬工業(株)製) (11)2、2’−アジノ−(3ーエチルベンズチアゾ
リンスルホン酸−6)(ABTS);市販品(ベーリン
ガーマンハイム製) また、実験で用いた各緩衝液等は、特に断らない限り下
記のように調製した溶液又はこれら溶液に基づき調製し
た。
【0020】(1)0.01Mグリシン緩衝液(pH1
0.0);グリシン0.3gを蒸留水に溶解して400
mLとした後、5N NaOHを加えてpHを10.0
とした。
【0021】(2)クエン酸緩衝液(pH4.4);ク
エン酸3.1521g及びリン酸水素二ナトリウム9.
1326gを蒸留水に溶解し、500mLとした。
【0022】(3)0.05Mリン酸緩衝液(pH7.
0);リン酸二水素カリウム6.8045g、リン酸二
カリウム17.418g及び塩化ナトリウム27.0g
を蒸留水に溶解し、3Lとした。
【0023】(4)HRP溶液;HRP0.0192g
を蒸留水に溶解し、20mLとして24μMの貯蔵液と
した。使用時には蒸留水を加えて種々濃度のHRP溶液
とした。
【0024】(5)0.1mM m−POD溶液;m−
POD0.01916gを蒸留水に溶解し、100mL
とした。
【0025】(6)10mMフェリシアン化カリウム溶
液;フェリシアン化カリウム0.0330gを蒸留水に
溶解し、10mLとした。
【0026】(7)10mM p−ヨードフェノール溶
液;p−ヨードフェノール0.0219gをDMSOに
溶解し、10mLとした。
【0027】(8)ルミノール溶液;ルミノールナトリ
ウム0.01991gをグリシン緩衝液に溶解し、20
mLとして5mMにした。使用時にはグリシン緩衝液を
加えて種々の濃度とした。
【0028】(9)ABEI溶液;ABEI 0.02
771gに30μLの1N NaOHを加え、グリシン
緩衝液に溶解して20mLとし、5mMにした。使用時
にはグリシン緩衝液を加えて種々の濃度とした。
【0029】(10)ルミノールイソチオシアナート溶
液;ルミノールイソチオシアナート0.02192gに
30μLの1N NaOHを加え、グリシン緩衝液に溶
解して20mLとし、5mMにした。使用時にはグリシ
ン緩衝液を加えて種々の濃度とした。
【0030】(11)500mM過酸化水素溶液(pH
10.0);30%過酸化水素溶液5.65mLに、p
Hを8.8に調製した以外は前記同様のグリシン緩衝液
を加えて5Mにした。使用時にはグリシン緩衝液(pH
10.0)を加えて種々の濃度とした。
【0031】実施例1 図1から図7に示すチオ尿素誘導体から、ルミノールの
発光を増強する効果を有する化合物をスクリーニングし
た。
【0032】まず、図1から図7に示したチオ尿素誘導
体をジメチルスルホキシド(DMSO)溶液に溶解して
1mM溶液を得た。該溶液の10μLに、5×10-4
に調製したルミノール溶液を50μL加えた後、48n
Mに調製したHRP溶液を50μL加えた。更に500
mM過酸化水素溶液を50μL加え、市販のルミネッセ
ンスリーダー(アロカ(株)製、BLR−201)を用
いて前記過酸化水素添加後15秒から10秒間に渡って
発光強度を測定した。
【0033】表1に、チオ尿素誘導体を含まないDMS
O溶液について測定した結果(N)と得られた結果
(S)の比率(S/N)を示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1に示したように、図1から図7に示し
たチオ尿素誘導体中、16、21、22、32、34、
35、36、45、54、68、70、71、72、7
3、75、77、79及び81の番号を付与した18種
類のチオ尿素誘導体はS/N比30以上を示し、ルミノ
ールの発光を効果的に増強する特に好適な物質であるこ
とが示された。
【0036】次に前記18種類のチオ尿素誘導体につい
て、ルミノール発光の増強効果を再確認するために、同
様の操作を各誘導体について繰り返した。表2に結果
(平均値)を示す。
【0037】
【表2】
【0038】表2によれば、前記18種類のチオ尿素誘
導体の発光増強効果は有効なものであることが理解でき
る。中でも21の番号を付したチオ尿素誘導体;2−
(3−メチルチオウレイド−チアゾールは、再確認の結
果、これらの中でも特に強い発光増強効果を有すること
が確認された。
【0039】参考のため、前記18種類のチオ尿素誘導
体の構造式を図8に示す。これら18種類のチオ尿素誘
導体は、チオ尿素骨格を有し、かつ、簡単なアルキル基
を有している点で共通しており、該構造がルミノール発
光の増強効果を発揮することが分かる。
【0040】実施例2 実施例1において最も強いルミノールの発光増強効果を
示した、図2中で21の番号を付したチオ尿素誘導体
(以下、誘導体21と記載する)の至適濃度を調べるた
めに、以下の実験を行った。
【0041】誘導体21を含むDMSO溶液10μL
に、5×10-7又は2.5×10-5Mに調製したルミノ
ール溶液を50μL加えた後、48nMに調製したHR
P溶液を50μL加えた。更に500mM過酸化水素溶
液を50μL加え、市販のルミネッセンスリーダー(ア
ロカ(株)製、BLR−201)を用いて前記過酸化水
素添加後15秒から10秒間に渡って発光強度を測定し
た。なお、前記DMSO溶液は、誘導体21の最終濃度
が1μM〜10mMとなるように調製した。
【0042】図9に、ルミノール溶液に代えてグリシン
緩衝液を添加した場合の測定結果(N)と得られた結果
(S)の比率(S/N)を示す。図中、縦軸はS/N
比、横軸は誘導体21の濃度を示し、白四角は5×10
-7Mのルミノール溶液を用いた場合、白丸は5×10-5
Mのルミノール溶液を用いた場合の結果である。
【0043】図9から、誘導体21はルミノール濃度に
係わらず、最終濃度1mM以上で一定の発光増強効果
(一定のS/N比)を与えること、即ち誘導体21の至
適濃度が1mM以上であることが分かる。
【0044】実施例3 酸化剤(過酸化水素)の至適濃度を調べるために、以下
の実験を行った。
【0045】誘導体21を含むDMSO溶液10μL
に、5×10-7又は5×10-5Mに調製したルミノール
溶液を50μL加えた後、48nMに調製したHRP溶
液を50μL加えた。更に最終濃度が5μM〜500m
Mとなるように過酸化水素溶液を50μL加え、市販の
ルミネッセンスリーダー(アロカ(株)製、BLR−2
01)を用いて前記過酸化水素添加後15秒から10秒
間に渡って発光強度を測定した。なお、前記DMSO溶
液は、誘導体21の最終濃度が至適濃度(1mM)とな
るように調製した。
【0046】図10に、ルミノール溶液に代えてグリシ
ン緩衝液を添加した場合の測定結果(N)と得られた結
果(S)の比率(S/N)を示す。図中、縦軸はS/N
比、横軸は過酸化水素の濃度を示し、白丸は濃度が5×
10-7Mのルミノール溶液を用いた場合、白三角は、5
×10-5Mのルミノール溶液を用いた場合の結果であ
る。
【0047】図10から、誘導体21のルミノール発光
増強効果は酸化剤(過酸化水素)存在下で認められる
が、特に過酸化水素の最終濃度が50mM以上となると
一定の発光増強効果(一定のS/N比)を与えること、
即ち過酸化水素の至適濃度が50mM以上であることが
分かる。
【0048】実施例4 ルミノールの発光触媒(HRP)の至適濃度を調べるた
めに、以下の実験を行った。
【0049】誘導体21を含むDMSO溶液10μL
に、5×10-5又は5×10-4Mに調製したルミノール
溶液を50μL加えた後、最終濃度が4.8pM〜24
μMとなるように調製したHRP溶液を50μL加え
た。更に、最終濃度が500mMとなるように過酸化水
素溶液を50μL加え、市販のルミネッセンスリーダー
(アロカ(株)製、BLR−201)を用いて前記過酸
化水素添加後15秒から10秒間に渡って発光強度を測
定した。なお、前記DMSO溶液は、誘導体21の最終
濃度が1mMとなるように調製した。
【0050】図11に、ルミノール溶液に代えてグリシ
ン緩衝液(pH10)を添加した場合の測定結果(N)
と得られた結果(S)の比率(S/N)を示す。図中、
縦軸はS/N比、横軸はHRPの濃度を示し、白丸は誘
導体21添加かつ濃度が5×10-4Mのルミノール溶液
を用いた場合、白三角は誘導体21添加かつ5×10 -6
Mのルミノール溶液を用いた場合、バツ(×)は誘導体
21を添加せずかつ濃度が5×10-4Mのルミノール溶
液を用いた場合、白四角は誘導体21を添加せずかつ5
×10-6Mのルミノール溶液を用いた場合の結果であ
る。
【0051】図11によれば、誘導体21は、低濃度H
RP存在下ではHRP濃度に係わらず、一定の発光増強
効果、即ち一定のS/N比を与えることが分かる。ま
た、HRP濃度の上昇に伴い、S/N比が低下している
ことから、誘導体21の発光増強効果とHRPの発光触
媒効果は、互いに干渉する、異なる作用機作によるもの
と推測できる。
【0052】なお、4.8μM及び24μMという高濃
度HRP条件下においてS/N比がに乱れが生じている
のは、上記の干渉に加え、高濃度HRPが褐色を呈して
いることと関係があると考えられる。
【0053】実施例5 誘導体21のルミノール発光増強効果の作用機作がHR
Pの触媒効果と異なることを確認するために、以下の実
験を行った。
【0054】常温下、ABTSにクエン酸緩衝液を25
mL加え、更に30%過酸化水素を12μL加えた。こ
の溶液の200μLにリン酸緩衝液で溶解したHRPを
20μL加えたところ、10分後には緑色を呈したが、
HRP溶液に代えて誘導体21を含むリン酸緩衝液を1
0μL加えた場合、呈色は見られなかった。なお、HR
Pの最終濃度は2.5×10-6Mであり、誘導体21の
最終濃度は1×10-3Mである。
【0055】実施例4及び5の結果から、誘導体21が
HRPの触媒効果とは異なる作用機作によりルミノール
の発光を増強することが分かる。
【0056】実施例6 HRPと同様にルミノールの発光触媒効果を有すること
が知られているm−PODを用いて下記の実験を行っ
た。
【0057】誘導体21を含むDMSO溶液10μLを
ルミノール溶液50μLに加えた後1×10-4Mのm−
POD溶液を50μL加えた。更に、最終濃度が500
mMとなるように調製した過酸化水素溶液を50μL加
え、市販のルミネッセンスリーダー(アロカ(株)製、
BLR−201)を用いて前記過酸化水素添加後15秒
から10秒間に渡って発光強度を測定した。なお、前記
DMSO溶液は誘導体21の最終濃度が1mMとなるよ
うに、ルミノール溶液は、最終濃度が5×10-11 M〜
5×10-5Mとなるように調製した。また、誘導体21
を含まないDMSO溶液又はm−PODを含まない溶液
についても、同様の操作を行った。
【0058】図12に、ルミノール溶液に代えてグリシ
ン緩衝液を添加した場合の測定結果(N)と得られた結
果(S)の比率(S/N)を示す。図中、縦軸はS/N
比、横軸はルミノールの濃度を示し、白丸は誘導体21
及びm−PODを添加した場合、白四角はm−PODの
みを添加した場合、そして白三角は誘導体21のみを添
加した場合の結果を示す。
【0059】図12からは、m−PODと誘導体21の
効果に相乗効果は認められず、誘導体21のみを添加し
た場合の発光増強効果が最も良好であり、これに比べて
m−POD共存下ではS/N比が低下していることか
ら、誘導体21の発光増強効果とm−PODの発光触媒
効果は、互いに干渉する、異なる作用機作によるものと
推測できる。
【0060】実施例7 HRPやm−PODと同様にルミノールの発光触媒効果
を有することが知られているフェリシアン化カリウムを
用いて下記の実験を行った。
【0061】m−POD溶液に代えて、フェリシアン化
カリウム溶液1×10-3Mを用いた以外は実施例6と同
様の操作を行った。
【0062】図13に、ルミノール溶液に代えてグリシ
ン緩衝液を添加した場合の測定結果(N)と得られた結
果(S)の比率(S/N)を示す。図中、縦軸はS/N
比、横軸はルミノールの濃度を示し、白三角は誘導体2
1及びフェリシアン化カリウムを添加した場合、白丸は
フェリシアン化カリウムのみを添加した場合、そして白
四角は誘導体21のみを添加した場合の結果を示す。
【0063】図13からは、フェリシアン化カリウムと
誘導体21の効果に相乗効果は認められず、誘導体21
のみを添加した場合の発光増強効果が最も良好であり、
これに比べてフェリシアン化カリウム共存下ではS/N
比が低下していることから、誘導体21の発光増強効果
とフェリシアン化カリウムの発光触媒効果は、互いに干
渉する、異なる作用機作によるものと推測できる。
【0064】実施例8 従来からHRPのルミノール発光触媒作用を増強する効
果が知られている、p−ヨードフェノールを用いて下記
の実験を行った。
【0065】誘導体21を含むDMSO溶液10μLを
ルミノール溶液50μLに加えた後、HRP溶液及びp
−ヨードフェノール溶液を50μL加えた。更に、最終
濃度が500mMとなるように調製した過酸化水素溶液
を50μL加え、市販のルミネッセンスリーダー(アロ
カ(株)製、BLR−201)を用いて前記過酸化水素
添加後15秒から10秒間に渡って発光強度を測定し
た。なお、前記DMSO溶液は誘導体21の最終濃度が
1mMとなるように、ルミノール溶液は最終濃度が5×
10-11 M〜5×10-5Mとなるように調製した。ま
た、誘導体21を含まないDMSO溶液についても、同
様の操作を行った。
【0066】図14に、ルミノール溶液に代えてグリシ
ン緩衝液を添加した場合の測定結果(N)と得られた結
果(S)の比率(S/N)を示す。図中、縦軸はS/N
比、横軸はルミノールの濃度を示し、白丸はp−ヨード
フェノールのみを添加した場合、そして白三角は誘導体
21及びp−ヨードフェノールを添加した場合の結果を
示す。
【0067】図14からは、p−ヨードフェノールのH
RP触媒効果の増強効果は誘導体21の共存に影響され
ないことが分かる。
【0068】実施例9 誘導体21のルミノール発光増強効果における至適pH
を調べるために以下の実験を実験を行った。
【0069】誘導体21を含むDMSO溶液10μL
に、5×10-7又は5×10-5Mとなるように調製した
ルミノール溶液を50μL加えた後、最終濃度が500
mMとなるように調製した過酸化水素溶液を50μL加
え、市販のルミネッセンスリーダー(アロカ(株)製、
BLR−201)を用いて前記過酸化水素添加後15秒
から10秒間に渡って発光強度を測定した。なお、前記
DMSO溶液は、誘導体21の最終濃度が1mMとなる
ように調製した。また、ルミノール溶液及び過酸化水素
溶液は、pH6〜11のグリシン緩衝液を用いて調製し
た。
【0070】図15に、ルミノール溶液に代えてpH6
〜11のグリシン緩衝液を添加した場合の測定結果
(N)と得られた結果(S)の比率(S/N)を示す。
図中、縦軸はS/N比、横軸はpHを示し、白丸は5×
10-7Mのルミノール溶液を用いた場合、白三角は5×
10-5Mのルミノール溶液を用いた場合の結果である。
【0071】図15から、誘導体21のルミノール発光
増強効果はアルカリ性条件下で認められるが、特にpH
10以上の強アルカリ性条件下で一定の発光増強効果
(一定のS/N比)を与えること、即ち誘導体21の至
適pHが10以上であることが分かる。
【0072】実施例10 誘導体21のルミノール発光増強効果における界面活性
剤の影響を調べるために以下の実験を行った。界面活性
剤は、ミセル形成による発光増強作用を有することが知
られている。
【0073】5×10-6Mとなるように調製したルミノ
ール溶液50μLに水で0.2w/v%に調製した界面
活性剤溶液(ドデシル硫酸ナトリウム、Tween8
0、シクロデキストリン)を50μL加えた後、誘導体
21を含むDMSO溶液10μLを加えた。過酸化水素
溶液を50μL加え、市販のルミネッセンスリーダー
(アロカ(株)製、BLR−201)を用いて前記過酸
化水素添加後15秒から10秒間に渡って発光強度を測
定した。なお、前記DMSO溶液は、誘導体21の最終
濃度が1mMとなるように調製した。
【0074】その結果、S/N比は、界面活性剤に代え
て水を使用した場合と変化が無いか、或いは界面活性剤
の共存によりわずかながら悪化した。
【0075】
【表3】
【0076】前記3種類以外の界面活性剤(合計19種
類;表3)についても同様の結果であった。
【0077】実施例11 誘導体21を用いるルミノール定量における定量性を調
べるために以下の実験を行った。
【0078】誘導体21を含むDMSO溶液10μLを
ルミノール溶液50μLに加えた後、最終濃度が500
mMとなるように調製した過酸化水素溶液を50μL加
え、市販のルミネッセンスリーダー(アロカ(株)製、
BLR−201)を用いて前記過酸化水素添加後15秒
から10秒間に渡って発光強度を測定した。なお、前記
DMSO溶液は誘導体21の最終濃度が1mMとなるよ
うに、ルミノール溶液は最終濃度が5×10-11 M〜5
×10-5Mとなるように調製した。また、誘導体21を
含まないDMSO溶液を用いた場合、最終濃度が48n
Mとなるように調製したHRP溶液を50μL加えた場
合、pH8.8に調製したグリシン緩衝液を使用した場
合、そして最終濃度が10mMとなるように調製したp
−ヨードフェノール溶液を10μL加えた場合について
も、同様の操作を行った。
【0079】図16に、ルミノール溶液に代えてグリシ
ン緩衝液を添加した場合の測定結果(N)と得られた結
果(S)の比率(S/N)を示す。図中、縦軸はS/N
比、横軸はルミノールの濃度を示し、白丸は誘導体21
を添加せずHRPのみを添加した場合(pH8.8)、
白三角はHRPとp−ヨードフェノールを添加した場合
(pH8.8)、白四角は誘導体21及びHRPを添加
した場合(pH8.8)、そしてバツ(×)は誘導体2
1のみを添加した場合(pH10.0)の結果を示す。
【0080】図16からは、至適pHであるpH10で
は、誘導体21のみを添加した場合が最も直線性が良好
であった。この場合の検出下限界は10fmol/50
μLであり、HRPのみを添加した場合と比べて約10
0倍、検出感度を向上できることが分かる。
【0081】実施例12 実施例10の結果に基づき、ルミノールをラベルとする
測定法への応用可能性を実証するため、以下の実験を行
った。実験には、ルミノールと比較して蛋白質等との反
応性が向上したルミノール誘導体(ABEI及びルミノ
ールイソシアナート)及びルミノールのラベル化剤であ
る、4−(5’,6’−ジメトキシベンゾチアゾリル)
−N−フェニル−フタリルヒドラジドを使用した。参考
のため、ルミノール、ABEI及びルミノールイソシア
ナートの構造を図17に示す。
【0082】誘導体21を含むDMSO溶液10μLを
ルミノール(ルミノール誘導体)溶液50μLに加えた
後、最終濃度が500mMとなるように調製した過酸化
水素溶液を50μL加え、市販のルミネッセンスリーダ
ー(アロカ(株)製、BLR−201)を用いて前記過
酸化水素添加後15秒から10秒間に渡って発光強度を
測定した。なお、前記DMSO溶液は誘導体21の最終
濃度が1mMとなるように、ルミノール(ルミノール誘
導体)溶液は最終濃度が5×10-11 M〜5×10-5
となるように調製した。また、グリシン緩衝液のpHは
全てpH10.0とした。
【0083】図18及び図19に、ルミノール(ルミノ
ール誘導体)溶液に代えてグリシン緩衝液を添加した場
合の測定結果(N)と得られた結果(S)の比率(S/
N)を示す。図18及び図19中、縦軸はS/N比、横
軸はルミノールの濃度を示す。図18中、白四角はルミ
ノールの場合、白丸はルミノールイソチオシアナートの
場合、そして白三角はABEIの場合を示す。また図1
9中、白丸はルミノールの場合、白四角はABEIの場
合、そして白三角は4−(5’,6’−ジメトキシベン
ゾチアゾリル)−N−フェニル−フタリルヒドラジドの
場合をそれぞれ示す。
【0084】図18からは、ルミノールと比較してルミ
ノール誘導体では1/10〜1/100程度検出感度が
低下するが、HRPを用いた場合と同等の感度を得られ
るうえ、直線性が良好であることが分かる。また図19
からは、ルミノールのラベル化体である4−(5’,
6’−ジメトキシベンゾチアゾリル)−N−フェニル−
フタリルヒドラジドではルミノールと同等の検出感度を
得られることが分かる。 実施例13 誘導体21による、ルミノール又はルミノール誘導体発
光量の経時的変化を調べるために以下の実験を行った。
【0085】誘導体21を含むDMSO溶液10μL
を、最終濃度が5×10-7Mとなるように調製したルミ
ノール(ルミノール誘導体)溶液50μLに加えた後、
最終濃度が500mMとなるように調製した過酸化水素
溶液を50μL加え、市販のルミネッセンスリーダー
(アロカ(株)製、BLR−201)を用いて前記過酸
化水素添加後300秒間に渡って発光強度を測定した。
なお、前記DMSO溶液は誘導体21の最終濃度が1m
Mとなるように調製した。また、グリシン緩衝液のpH
は全てpH10.0とした。
【0086】比較のため、ルミノール(ルミノール誘導
体)溶液に代えてグリシン緩衝液を加えた場合及び、誘
導体21に代えて最終濃度480nMのHRPと最終濃
度10mMのp−ヨードフェノールを加えた場合につい
ても同様の操作を行った。
【0087】図20に測定結果を示す。図20では、縦
軸にS/N比ではなく発光の絶対量を、横軸に時間
(秒)を示す。図中、aはルミノール(ルミノール誘導
体)を添加していない場合、cは誘導体21とルミノー
ルを加えた場合、eは誘導体21と4−(5’,6’−
ジメトキシベンゾチアゾリル)−N−フェニル−フタリ
ルヒドラジドを加えた場合、dは誘導体21とABEI
を加えた場合、そしてbは誘導体21に代えてHRPと
p−ヨードフェノールを加えた場合の結果である。図2
0からは、HRPとp−ヨードフェノールを加えた場
合、約10秒後での発光強度は大きく、かつ、発光の経
時的減衰率が大きいのに対し、誘導体21を使用した場
合には経時的減衰率が小さいことが分かる。
【0088】実施例14 誘導体21による、ルミノール発光量の経時的変化にお
けるHRPの効果を調べるために以下の実験を行った。
【0089】誘導体21を含むDMSO溶液10μLを
最終濃度が480nMとなるように調製したHRP溶液
50μLに加え、更に最終濃度が5×10-7Mとなるよ
うに調製したルミノール溶液50μLに加えた後、最終
濃度が500mMとなるように調製した過酸化水素溶液
を50μL加え、市販のルミネッセンスリーダー(アロ
カ(株)製、BLR−201)を用いて前記過酸化水素
添加後800秒間に渡って発光強度を測定した。なお、
前記DMSO溶液は誘導体21の最終濃度が1mMとな
るように調製した。また、ルミノール及び過酸化水素を
溶解するグリシン緩衝液のpHは、一部を除きpH1
0.0とした。
【0090】比較のため、ルミノール溶液に代えてグリ
シン緩衝液を加えた場合、誘導体21に代えて最終濃度
10mMのp−ヨードフェノールを加えた場合について
も同様の操作を行った。
【0091】図21に、測定結果を示す。図21では、
縦軸にS/N比ではなく発光の絶対量を、横軸に時間
(秒)を示す。図中、fはルミノールを添加していない
場合(pH10.0)、bは誘導体21とルミノールを
加えた場合(pH10.0)、cはHRPとルミノール
を加えた場合(pH8.8)、aはHRPとルミノール
を加えた場合(ルミノールを溶解したグリシン緩衝液の
pHは10.0であり、過酸化水素を溶解したグリシン
緩衝液のpHは8.8である)、dは誘導体21、HR
P及びルミノールを加えた場合(pH10.0)、そし
てeはp−ヨードフェノール、HRP及びルミノールを
加えた場合(pH8.8)の結果である。
【0092】図21からは、HRP及び誘導体共存下で
は、いったん発光強度が減少するが、約600秒後には
過酸化水素添加直後よりも大きな発光強度を示すことが
分かる。また、p−ヨードフェノールはHRP共存下で
過酸化水素添加直後の発光強度を大きく増強するが、誘
導体21は単独でもルミノール発光の増強効果を有する
が、その効果は単に強度の増強に止まらず、過酸化水素
添加後800秒においても発光強度の減衰を防止し得る
ことが分かる。
【0093】
【発明の効果】本発明のチオ尿素誘導体は、単独でルミ
ノール等の発光を増強する効果を発揮する。その増強効
果は、ルミノールの定量性でいえば、従来知られた方法
(HRPによる触媒効果)に比較して約100倍と実用
上十分な感度を得ることができる。
【0094】該化合物は特に困難な操作を必要とせず、
低コストで合成することが可能なうえ、非常に安定であ
ることから、例えば大量製造し長期間保存することもで
き、かつ、使用後は特に面倒な処理を施すことなく廃棄
することも可能である。
【0095】この結果、本発明のチオ尿素誘導体を用い
てルミノール等の発光を増強しようとする場合には、一
操作毎に試薬を調製するというような煩雑さを解消する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1でスクリーニングに供された化
合物の一部を示すものである。
【図2】図2は実施例1でスクリーニングに供された化
合物の一部を示すものである。
【図3】図3は実施例1でスクリーニングに供された化
合物の一部を示すものである。
【図4】図4は実施例1でスクリーニングに供された化
合物の一部を示すものである。
【図5】図5は実施例1でスクリーニングに供された化
合物の一部を示すものである。
【図6】図6は実施例1でスクリーニングに供された化
合物の一部を示すものである。
【図7】図7は実施例1でスクリーニングに供された化
合物の一部を示すものである。
【図8】図8は、実施例1で再確認に供された化合物を
示すものである。
【図9】図9は、実施例2における誘導体21の至適濃
度の検討結果を示す図である。
【図10】図10は実施例3における過酸化水素の至適
濃度の検討結果を示す図である。
【図11】図11は、実施例4におけるHRP効果の検
討結果を示す図である。
【図12】図12は、実施例6におけるm−PODを用
いた検討結果を示す図である。
【図13】図13は、実施例7におけるフェリシアン化
カリウムを用いた検討結果を示す図である。
【図14】図14は、実施例8におけるp−ヨードフェ
ノールを用いた検討結果を示す図である。
【図15】図15は、実施例9における至適pHの検討
結果を示す図である。
【図16】図16は、実施例11における検討結果(ル
ミノールの検量線)を示す図である。
【図17】図17は、ルミノール誘導体の構造を示す図
である。
【図18】図18は、実施例12における検討結果(ル
ミノール誘導体の検量線)を示す図である。
【図19】図19は、実施例12における検討結果(ル
ミノール誘導体の検量線)を示す図である。
【図20】図20は、実施例13における検討結果を示
す図である。
【図21】図21は、実施例14における検討結果を示
す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/533 G01N 33/533

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チオ尿素骨格及びアルキル基を有し、酸化
    剤共存及びアルカリ性条件下でルミノール等の発光を増
    強するチオ尿素誘導体。
  2. 【請求項2】前記酸化剤が過酸化水素である、請求項1
    のチオ尿素誘導体。
  3. 【請求項3】チオ尿素骨格及びアルキル基を有し、酸化
    剤共存及びアルカリ性条件下でルミノール等の発光を増
    強するチオ尿素誘導体を使用する、ルミノール等の発光
    を増強する方法。
  4. 【請求項4】前記酸化剤が過酸化水素である、請求項3
    の方法。
  5. 【請求項5】チオ尿素骨格及びアルキル基を有し、酸化
    剤共存及びアルカリ性条件下でルミノール等の発光を増
    強するチオ尿素誘導体を含むルミノール等の発光増強
    剤。
  6. 【請求項6】前記酸化剤が過酸化水素である、請求項5
    の発光増強剤。
  7. 【請求項7】少なくともルミノール等、標的物質及び標
    的物質に特異的に結合する特異結合物質を含む複合体を
    形成した後、該複合体をアルカリ性条件下で、酸化剤共
    存及びアルカリ性条件下でルミノール等の発光を増強す
    るチオ尿素誘導体及び酸化剤と接触させることを特徴と
    する、前記標的物質の測定法。
  8. 【請求項8】前記酸化剤が過酸化水素である、請求項7
    の測定法。
  9. 【請求項9】前記標的物質が免疫原性を有する物質であ
    る、請求項7の測定法。
  10. 【請求項10】前記標的物質が核酸である、請求項7の
    測定法。
  11. 【請求項11】ルミノール等でラベルした特異結合物質
    を使用する、請求項7の測定法。
  12. 【請求項12】ルミノール等でラベルした、特異結合物
    質に対して結合する物質を使用する請求項7の測定法。
  13. 【請求項13】液体クロマトグラフィーにおけるプレラ
    ベル法又はポストラベル法であることを特徴とする請求
    項7の測定法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007531862A (ja) * 2003-12-31 2007-11-08 カウンシル オブ サイエンティフィク アンド インダストリアル リサーチ 農薬分析のための方法およびキット
JP2017161349A (ja) * 2016-03-09 2017-09-14 東ソー株式会社 化学発光用材料供給容器

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