JPH10265585A

JPH10265585A - 抗菌性ポリアセタール樹脂成形物

Info

Publication number: JPH10265585A
Application number: JP7354097A
Authority: JP
Inventors: Akihide Shimoda; 暁英霜田
Original assignee: Polyplastics Co Ltd
Current assignee: Polyplastics Co Ltd
Priority date: 1997-03-26
Filing date: 1997-03-26
Publication date: 1998-10-06

Abstract

(57)【要約】【課題】機械的性質を維持しつつ防カビ・抗菌性に優
れたポリアセタール樹脂成形物を提供する。【解決手段】ポリアセタール樹脂にヒンダードアミン
系物質の１種又は２種以上を配合したポリアセタール樹
脂組成物を成形してなる、大腸菌の表面生菌数が50個／
cm²以下であるポリアセタール樹脂成形物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、防カビ・抗菌性に
優れたポリアセタール樹脂成形物に関するもので、例え
ば、電気電子機器、自動車、繊維機械、カメラ、コンピ
ューター、各種事務機器、雑貨その他の各分野で用いら
れる各種機器部品として、特に防カビ・抗菌性を要求さ
れる各種機器部品に使用される好適なポリアセール樹脂
成形物を提供するものである。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
生活レベルの向上に伴って、清潔感に対する意識も向上
しており、一般工業の分野に用いられる製品に置いても
かびや細菌に対する抵抗性が要求されるようになってき
ている。一般にプラスチック材料は、比較的かびや細菌
が繁殖しにくい材料ではあるが、成形品の表面に付着し
た汚れや埃がかび類の栄養源となる為、常にこれら微生
物の発生の問題を抱えている。これら繁殖したかび類は
成形品の表面外観を損ねるだけでなく、悪臭を発生して
環境を害し、また、接触したものを汚染させる、材料の
性質を劣化させる等、種々の問題を引き起こす原因とな
る。更に近年問題化してきた、かびの胞子による小児気
管支喘息や、病院内における細菌感染等、人体に対する
直接的な悪影響も報じられるようになっている。そのた
め、近年では病院内で使用される器具に限らず一般用途
で家電、文具、日用品、建築分野、自動車分野等におい
ても防カビ・抗菌化部品を使用する場合が増加してい
る。ポリアセタール樹脂は、機械的物質、耐熱性、耐化
学薬品性、耐電気電子的性質に優れ、且つその成形加工
の容易さから、電気電子、自動車、各種機械、建材、機
能雑貨などの分野で幅広く利用されている材料である。
これまで、直接人体に触れる外観部品に用いられること
は少なかったが、電気電子機器部品、日用品、自動車内
装部品など、その強度、帯電防止性能、耐候性など他の
材料では置き換えが難しい部品に使用されることが多
く、防カビ・抗菌性を付与する要求も大きく、優れた防
カビ・抗菌性部品が求められている。

【０００３】

【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
鑑み、種々の物質の効果を確認した結果、特定の条件を
満たしたポリアセタール樹脂組成物を使用することによ
り当初の目的を達成し得るポリアセタール樹脂成形物が
得られることを見出し、本発明に到達した。即ち本発明
は、(1) 大腸菌の表面生菌数が50個／cm²以下であるポ
リアセタール樹脂成形物、(2) ポリアセタール樹脂にヒ
ンダードアミン系物質の１種又は２種以上を配合したポ
リアセタール樹脂組成物を成形してなることを特徴とす
る(1) 記載のポリアセタール樹脂成形物、(3) ポリアセ
タール樹脂組成物が、ポリアセタール樹脂 100重量部に
対しヒンダードアミン系物質の１種又は２種以上を0.01
〜２重量部配合したものである(2) 記載のポリアセター
ル樹脂成形物、(4) ヒンダードアミン系物質が、ビス
（2,2,6,6 −テトラメチル−４−ピペリジル）セバケー
ト、ビス（2,2,6,6 −ペンタメチル−４−ピペリジル）
セバケート、４−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6 −テトラ
メチルピペリジン、コハク酸ジメチル・１−（２−ヒド
ロキシエチル）−４−ヒドロキシ−2,2,6,6 −テトラメ
チルピペリジン重縮合物、ポリ〔（６−モルフォリノ−
Ｓ−トリアジン−2,4 −ジイル）〔2,2,6,6 −テトラメ
チル−４−ピペリジル〕イミノ〕−ヘキサメチレン
〔（2,2,6,6 −テトラメチル−４−ピペリジル）イミ
ノ）〕のいずれかであることを特徴とする(2) 又は(3)
記載のポリアセタール樹脂成形物である。

【０００４】

【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるポリアセタール樹脂は、オキシメチ
レン基（-CH₂O-）を主たる構成単位とする高分子化合物
で、ポリオキシメチレンホモポリマー、オキシメチレン
基以外に他の構成単位を少量含有するコポリマー（ブロ
ックコポリマーを含む）、ターポリマーの何れにても良
く、また、分子が線状のみならず、分岐、架橋構造を有
するものであってもよい。また、その重合度等に関して
も特に制限はない。

【０００５】本発明において、大腸菌の表面生息数の測
定方法は以下の方法に従った。大腸菌の表面生息数は50
個／cm²以下であることが望ましい。本発明における大
腸菌の表面生息数の測定方法において、初期の接種用菌
液には１〜５×10⁵個の菌を含んでおり、処理を行うこ
とで試験片表面（20cm²）の菌数が１×10³個以下（50
個／cm²以下）になれば減菌率として99％以上になり、
抗菌性が認められるレベルとなる。菌数がこれより少な
い場合は抗菌性について、まったく問題がないが、この
菌数が50個／cm²よりも多い場合はもはや抗菌性がある
とはいえない。

【０００６】《大腸菌の表面生息数の測定法》（１）試験片の調製試験用成形品を50±２mm角の正方形に切断し、その前面
をエタノールを含ませた局方ガーゼで軽く２〜３回拭い
た後、乾燥したものを試験片とする。なお、成形品の形
状によって同一の樹脂を用いて試験片を成形して使用す
る。（２）試験菌の培養試験菌（大腸菌：Escherichia coli IFO 3972 ）をＮＡ
培地に移植し温度35±１℃で16〜24時間前々培養する。
前々培養した菌をＮＡ培地に移植し温度35±１℃で16〜
20時間前培養する。（３）接種用菌液の調製滅菌精製水で1000倍に希釈したＮＢ培地に前培養した菌
を均一に分散させて、菌数が 2.0×10⁵〜1.0 ×10⁶個
／mlとなるように調製したものを接種用菌液とする。（４）試験操作試験片を滅菌シャーレに入れ、その試験面に接種用菌液
0.5ml（１〜５×10⁵個の菌を含む）を接種し、その上
に45mm各の被覆フィルムを被せてふたをした後、温度35
±１℃、相対湿度90％以上の条件下で保存する。（５）生菌数の測定保存24時間後の試験片について、試
験片及び被覆フィルムに付着している菌をＳＣＤＬＰ培
地10mlを用いて滅菌シャーレ中に十分に洗い出し、この
洗い出した液の中の生菌数を、ＳＡ培地を使用した寒天
平板培養法（温度35±１℃で48時間培養）により測定
し、生菌数を測定する。単位平方センチメートル当たり
に換算する。また、保存24時間後の滅菌シャーレについ
て試験片と同様にして測定した生菌数を「対照」とす
る。

【０００７】本発明において使用されるヒンダードアミ
ン系物質としては立体障害性基を有するピペリジン誘導
体で、その例を示せば、ビス（2,2,6,6 −テトラメチル
−４−ピペリジル）セバケート、ビス（2,2,6,6 −ペン
タメチル−４−ピペリジル）セバケート、４−ベンゾイ
ルオキシ−2,2,6,6 −テトラメチルピペリジン、コハク
酸ジメチル・１−（２−ヒドロキシエチル）−４−ヒド
ロキシ−2,2,6,6 −テトラメチルピペリジン重縮合物な
どである。ここにあげたヒンダードアミン系物質は何れ
もすでにポリアセタール樹脂の安定剤として提案されて
いる物質が多く、それ自体としては特に新しい物質では
ない。しかし、何れの物質も特に防カビ剤、抗菌剤の用
途としては使用されておらず、これらの添加により防カ
ビ性、抗菌性を示すという報告は無い。本発明の如く、
ポリアセタール樹脂中に添加共存する場合は顕著にその
相乗効果が発揮されることを発見し、かかる特定成分の
安定剤をポリアセタールに共存させた組成物は、従来の
ポリアセタール樹脂組成物に比べて顕著な防カビ・抗菌
性を有し、物理的性質や機械的性質、熱安定性等に対す
る悪影響も少ない。本発明において用いられるヒンダー
ドアミン系物質の量は、ポリアセタール樹脂 100重量部
に対し0.01〜2.0 重量部が適当であり、特に0.02〜1.0
重量部が好ましい。これらの成分は過小の場合には効果
が期待できず、また、いたずらに過大に添加しても経済
的不利のみならず、押出や、成形などの加工性を害し、
機械的性質や熱安定性にも好ましくない影響を生じる。

【０００８】また、本発明のポリアセタール樹脂成形物
には、その目的に応じて更に公知の各種添加剤も配合し
得る。添加剤の例を示せば、各種の安定剤、着色剤、滑
剤、離型剤、核剤、耐候性安定剤、帯電防止剤、異種ポ
リマー、有機改良剤などである。また、本発明の目的と
する樹脂材料の性能を大幅に低下させない範囲であれ
ば、無機、有機、金属などの繊維状、板状のフィラー或
いは粉粒状充填剤を１種または２種以上使用することも
できる。本発明のポリアセタール樹脂成形物に使用する
ポリアセタール樹脂組成物の調製法は特に制限が無く、
従来の樹脂組成物調製法として一般に用いられている公
知の設備と方法により容易に調製される。例えば、各
成分を混合した後、押出機により練込押出してペレット
を調製し、しかる後成形する方法、一旦組成の異なる
ペレットを調製し、そのペレットを所定量混合して成形
に供し成形後に目的組成の成形品を得る方法等、何れも
使用できる。また、樹脂成分の一部を細かい粉体として
これ以上の成分と混合し添加することは、これらの成分
の均一配合を行う上で好ましい方法である。また、これ
らの配合を高濃度にしたマスターバッチを作り、これを
成形時の他のペレットに添加する方法も使用できる。ま
た、本発明のポリアセタール樹脂成形物は、押出成形、
射出成形、圧縮成形、真空成形、発泡成形のいずれによ
って成形をおこなってもよい。

【０００９】本発明のポリアセタール樹脂成形物の用途
は、通常ポリアセタール樹脂が使用される用途の全てに
応用できるが、特に防カビ・抗菌性を必要とすると考え
られる用途に特に好適に使用できる。具体的な例を示せ
ば少なくともポリアセタール樹脂成形品から構成され
た、電気電子機器のスイッチボタン類、ボールペンなど
の文房具のペン軸、キャップ、フロッピーディスクのシ
ャッター、自動車のインサイドハンドルやシフトノブの
ボタン類、サッシの枠、シャワーヘッド、吐水口等人間
の手に触れる分野で使用する用途に適している。

【００１０】

【実施例】以下実施例により本発明を更に具体的に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。な
お、実施例において抗菌性の評価に用いた方法、即ち大
腸菌の成形物表面生息数の測定は前述の通りである。実施例１〜４ポリアセタール樹脂（ポリプラスチックス（株）製「ジ
ュラコンＭ90−44」）100重量部に、表１に示す量のヒ
ンダードアミン系物質を配合し、ブレンダーを用いて混
合後、30mm２軸押出機にて溶融混練し、ペレット状の組
成物を得た。次いで、このペレットから射出成形機を用
いて試験片（50mm×70mm×３mm厚）を作製し、前述の抗
菌性評価試験を行った。また、このペレットから射出成
形機を用いてASTM１号引張試験片を成形し引張強伸度を
測定した。結果を表２に示す。比較例１〜３比較の為、表１に示すように、抗菌剤を配合していない
系及び実施例で示した以外の化合物を配合した系につい
て同様の評価を行った。結果を表２に示す。

【００１１】

【表１】

【００１２】

【表２】

【００１３】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の成形品は十分な防カビ・抗菌性を有しており、従来ポ
リアセタール樹脂が用いられてきた用途はもちろん、防
カビ・抗菌が必要とされる用途に幅広く利用できる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号ＦＩＣ０８Ｌ 59/00 Ｃ０８Ｌ 59/00

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】大腸菌の表面生菌数が50個／cm²以下で
あるポリアセタール樹脂成形物。
【請求項２】ポリアセタール樹脂にヒンダードアミン
系物質の１種又は２種以上を配合したポリアセタール樹
脂組成物を成形してなることを特徴とする請求項１記載
のポリアセタール樹脂成形物。
【請求項３】ポリアセタール樹脂組成物が、ポリアセ
タール樹脂 100重量部に対しヒンダードアミン系物質の
１種又は２種以上を0.01〜２重量部配合したものである
請求項２記載のポリアセタール樹脂成形物。
【請求項４】ヒンダードアミン系物質が、ビス（2,2,
6,6 −テトラメチル−４−ピペリジル）セバケート、ビ
ス（2,2,6,6 −ペンタメチル−４−ピペリジル）セバケ
ート、４−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6 −テトラメチル
ピペリジン、コハク酸ジメチル・１−（２−ヒドロキシ
エチル）−４−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジン重縮合物、ポリ〔（６−モルフォリノ−Ｓ−ト
リアジン−2,4 −ジイル）〔2,2,6,6 −テトラメチル−
４−ピペリジル〕イミノ〕−ヘキサメチレン〔（2,2,6,
6 −テトラメチル−４−ピペリジル）イミノ）〕のいず
れかであることを特徴とする請求項２又は３記載のポリ
アセタール樹脂成形物。