JPH0733615A - 抗菌防黴剤含有成形材料 - Google Patents

抗菌防黴剤含有成形材料

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JPH0733615A
JPH0733615A JP5182796A JP18279693A JPH0733615A JP H0733615 A JPH0733615 A JP H0733615A JP 5182796 A JP5182796 A JP 5182796A JP 18279693 A JP18279693 A JP 18279693A JP H0733615 A JPH0733615 A JP H0733615A
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JP
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antibacterial
resin
group
compound
antifungal
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JP5182796A
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English (en)
Inventor
Fumiko Ichinose
文子 一瀬
Akiko Azuma
彰子 東
Tsunetoshi Honda
常俊 本田
Akira Nishihara
明 西原
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 抗菌防黴剤としてビグアニジル基またはシア
ノグアニジル基を含有する加水分解性シラン化合物およ
び/またはポリシロキサン化合物を有機樹脂に配合し
た、抗菌防黴剤含有成形材料と、これから溶融成形によ
り得られたフィルム、繊維その他の成形体。 【効果】 抗菌防黴剤が耐熱性があり、樹脂に固定され
るので、溶融樹脂中に混合可能で、しかも得られた成形
体は優れた抗菌防黴性を持続して示す。耐光性や透明性
にも優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌防黴性の成形体を
製造することができる抗菌防黴剤含有成形材料に関し、
抗菌プラスチック、抗菌フィルム、抗菌繊維等の製造に
利用することができる。
【0002】
【従来の技術】抗菌性を有する樹脂は、衣食住を含む極
めて広範囲において利用が始まっている。従来、抗菌性
を有する樹脂は、抗菌剤を樹脂中に練り込むか、あるい
は樹脂製品の表面に抗菌剤を塗布することによって製造
されてきた。抗菌剤としては、主に練り込みに使用され
る無機系抗菌剤と、主に溶液状で塗布して使用される有
機系抗菌剤とがある。無機系抗菌剤の代表例は、銀など
の金属で置換されたゼオライト、合成鉱物等であり、有
機系抗菌剤としては、クロロヘキシジン、第4級アンモ
ニウム塩等が代表的なものである。
【0003】無機系抗菌剤は耐熱性であるために、溶融
状態の樹脂や繊維等に成形前に練り混むことができる
が、銀イオンを遊離しやすく、安全性や加工性において
問題がある。一方、有機系抗菌剤は、強い殺菌力を持
ち、噴霧、浸漬、塗布などの表面処理によって抗菌性を
付与できるので、処理性に優れているが、従来のものは
可溶性であって、表面から失われ易く、効果の持続性が
低かった。また、有機系抗菌剤は一般に耐熱性に劣るた
め、樹脂に練り込むことは困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐熱
性があって溶融樹脂中に練り込み可能であり、しかも環
境や人体に対して安全で、抗菌防黴効果が持続する抗菌
防黴性成形体と、その成形に用いる抗菌防黴剤含有成形
材料とを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、抗菌防黴
性を示すグアニジル基を含有する有機ケイ素化合物が、
炭素−炭素結合を基本とする従来の有機系抗菌剤化合物
に比べて耐熱性に優れ、樹脂に直接練り込んでも、その
抗菌防黴効果が失われず、上記目的を達成するための抗
菌防黴剤として最適であることを見出した。
【0006】ここに、本発明の要旨は、(1) グアニジル
基を含有する加水分解性有機シラン化合物およびグアニ
ジル基を少なくとも1個含有する有機ポリシロキサン化
合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の抗菌防黴
剤と少なくとも1種の有機樹脂とを含有する、抗菌防黴
剤含有成形材料、ならびに(2) 上記成形材料の成形によ
り得られた抗菌防黴性の繊維、フィルム、またはその他
の成形体である。
【0007】本発明の成形材料は、有機樹脂にグアニジ
ル基含有ケイ素化合物をブレンドして抗菌防黴性を付与
したものである。本発明で用いる樹脂は特に限定され
ず、使用する成形方法(例、溶融成形、溶液成形)を考
慮して選択すればよい。樹脂は2種以上の混合物を用い
ることもできる。本発明において使用可能な樹脂の例と
しては、塩化ビニル樹脂、塩化酢酸ビニル樹脂、酢酸ビ
ニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレンやポリ
プロピレンなどのポリオレフィン類、ポリスチレン、ポ
リアミド、ポリエステル、ABS樹脂、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アク
リル樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられるが、これ
らに限られるものではない。
【0008】本発明で使用する抗菌防黴剤は、グアニジ
ル基を含有する有機ケイ素化合物であり、具体的には、
グアニジル基を含有する加水分解性有機シラン化合
物、グアニジル基を少なくとも1個含有する有機ポリ
シロキサン化合物、またはこれらの混合物のいずれか
である。
【0009】グアニジル基を有する加水分解性有機シラ
ン化合物としては、下記一般式(1)で示されるものが好
ましい。
【0010】 X1X2X3-Si-Y1-NHC(=NH)NH-Z1 (1) ここで、X1〜X3は、その少なくとも1つは、アルコキシ
ル基 (例、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イ
ソプロポキシ基など) およびハロゲン (例、塩素) から
選ばれた加水分解性の基であり、残りは水素、C1〜C5
ルキル基 (例、メチル基、エチル基、プロピル基、イソ
プロピル基など) 、またはフェニル基などの非加水分解
性の基である。好ましくは、X1〜X3の2つ以上、より好
ましくは全部が加水分解性の基である。
【0011】Y1は、オキシ基、アゾ基、チオ基、ヒドロ
キシメチレン基、オキシカルボニル基、フェニレン基な
どの介在基を鎖中に含んでいてもよいC1〜C30 アルキレ
ン基を意味し、Z1はシアノ基または-C(=NH)NH-Z2で示さ
れる基であり、ここでZ2は水素、C1〜C20 アルキル基、
またはフェニル基であり、フェニル基の水素原子はフッ
素や塩素、臭素等のハロゲン、トリフルオロメチル基、
アルコキシル基等の1もしくは2以上の置換基で置換さ
れていてもよい。
【0012】特に、上記一般式(1) において、Yがプロ
ピレン基、Z1が-C(=NH)NH-Z2で示される基であり、Z2
ハロゲン、トリフルオロメチル等で置換された置換フェ
ニル基であるグアニジル基含有シラン化合物が、合成が
容易であって、しかも抗菌防黴活性が高いため、好まし
い。このような化合物の1例は、次の(1A)式で示される
化合物 <A> である。
【0013】
【化1】
【0014】上に示したように、一般式(1) で示される
有機シラン化合物は、そのグアニジル基に無機酸 (例、
塩酸、硫酸など) または有機酸 (酢酸、クエン酸、グル
コン酸など) が付加した酸付加塩として使用することも
できる。このグアニジル基含有加水分解性シラン化合物
は、特願平3−359589号および同3−359591号に記載の
方法で製造することができる。
【0015】上記のグアニジル基含有シラン化合物は、
分子中に含まれる -NHC(=NH)NH-Z1で示されるグアニジ
ル基 (Z1がシアノ基である場合にはシアノグアニジル
基、Z1が-C(=NH)NH-Z2で示される基である場合にはビグ
アニジル基) により、高い抗菌防黴性を発揮することが
できる。また、このシラン化合物は加水分解性基を含有
し、樹脂と混合した時に大気中の水分により容易に加水
分解して、ポリシロキサン型の不溶物となって樹脂中に
分散し、樹脂に抗菌防黴性を付与することができる。
【0016】なお、ビグアニジル基 [Z1が-C(=NH)NH-Z2
基] である場合、Z2基によりシラン化合物の抗菌防黴性
が変化することがあるので、Z2は殺菌防黴対象となる微
生物種や要求される抗菌防黴力に応じて選択することが
できる。
【0017】本発明で使用しうる別の抗菌防黴剤はグア
ニジル基を少なくとも1個含有する有機ポリシロキサン
化合物であり、このポリシロキサン化合物は次の一般式
(2)で示される構成単位を少なくとも1個以上含有する
ケイ素ポリマーである。
【0018】−XYSiO− (2) ここで、XはC1〜C5の直鎖または分岐アルキル基を意味
し、特にメチル基またはエチル基が好ましい。Yはグア
ニジル基を含有する1価の基を意味し、好ましくは、式
-Y1-NHC(=NH)NH-Z1 (式中、Y1およびZ1は上記と同じ意
味) で示される基である。
【0019】このグアニジル基含有ポリシロキサン化合
物は、通常は液状であり、その粘度は25℃で 0.1〜100
万 cStの範囲内が可能であるが、好ましくは5〜5万 c
Stである。この有機ポリシロキサン化合物も同様に、グ
アニジル基に無機酸または有機酸が付加した酸付加塩で
あってもよい。
【0020】この有機ポリシロキサン化合物も、(2) 式
の−XYSiO−なる構成単位中に含まれるシアノグアニ
ジル基またはビグアニジル基により、前記(1) 式で示さ
れるシラン化合物と同様に高い抗菌防黴性を示す。樹脂
との結合力を高めるために、ポリシロキサン分子中にア
ミノ、エポキシ、アクリルなどといった反応性の官能基
を導入してもよい。また、ビグアニジル基を含有する場
合、ポリシロキサン化合物の抗菌防黴力はやはりZ2基に
より変化することがあるので、殺菌防黴対象となる微生
物種や要求される抗菌防黴力に応じてZ2を選択すればよ
い。ポリシロキサン分子中の抗菌防黴性構成単位 (−X
YSiO−) の数は少なくとも1個あればよいが、2個以
上存在していても構わない。
【0021】このようなグアニジル基含有ポリシロキサ
ン化合物の具体例は、次の(2A)式で示される化合物 <B
> である。
【0022】
【化2】
【0023】有機ポリシロキサン化合物は、一般にシリ
コーン油として、繊維処理剤、樹脂改質剤、撥水剤、離
型剤などを含む多様な用途に使用されている。本発明で
使用する上記(2) 式のグアニジル基含有ポリシロキサン
化合物も、樹脂とブレンドすることによって、抗菌防黴
性以外に、例えば、繊維であれば、艶出し、柔軟性、撥
水性といった、シリコーンに固有の望ましい特性を同時
に付与することができると期待される。
【0024】本発明で用いるグアニジル基含有抗菌防黴
剤は、加水分解性有機シラン化合物と有機ポリシロ
キサン化合物のいずれのタイプであっても、樹脂と高い
結合性を示す固定化型の抗菌防黴剤である。そのため、
樹脂と混合して成形体とした場合に、従来の無機系抗菌
剤のように銀が遊離したり、また従来の有機系抗菌剤の
ように樹脂から早期に溶出することがなく、優れた抗菌
防黴効果の持続性・耐久性と人体や環境に対する高い安
全性とを兼ね備えているという、望ましい特徴を有して
いる。
【0025】本発明の抗菌防黴剤含有成形材料は、1種
もしくは2種以上の有機樹脂と前記のグアニジル基含有
シラン化合物およびポリシロキサンから選ばれた1種も
しくは2種以上の抗菌防黴剤とを含有していればよく、
有機樹脂と抗菌防黴剤の種類に応じて、粉末混合物、溶
融ブレンド、練り込み混合物、溶液、分散液など各種の
形態をとることができ、これらはいずれも常法により製
造すればよい。
【0026】例えば、抗菌防黴剤が加水分解性有機シラ
ン化合物である場合には、このシラン化合物は固体のま
まで有機樹脂と混合し、この粉末混合物またはこれを溶
融した溶融ブレンドの形態の成形材料を適当な成形法で
溶融成形するか、或いはシラン化合物を適当な有機溶媒
(例、アルコール) に溶解した溶液を、液状の有機樹脂
或いはアルコール混和性有機溶媒中の有機樹脂の溶液ま
たは分散液と混合して、溶液または分散液状態の成形材
料を調製し、これを用いて注型や流延などの溶液成形法
により成形を行うことができる。
【0027】抗菌防黴剤がポリシロキサンである場合に
は、溶融または軟化した有機樹脂中に液状のポリシロキ
サンを練り込んで成形材料を得、これを溶融成形する
か、或いは液状の有機樹脂または適当な有機溶媒中の有
機樹脂の溶液または分散液とポリシロキサンとを混合し
て、溶液または分散液状態の成形材料として成形に使用
することができる。ポリシロキサンの溶解に適した有機
溶媒としては、アルコール類、エーテル類、トルエンな
どの芳香族炭化水素類を使用することが可能である。
【0028】有機樹脂に対する抗菌防黴剤の配合量は、
一般に樹脂重量に対して0.01〜50重量%である。この範
囲内で、十分な抗菌防黴力が持続的に得られ、かつ有機
樹脂の特性が著しく阻害されないように決定すればよ
い。有機樹脂に対する抗菌防黴剤の好ましい配合量は
0.1〜20重量%、より好ましい配合量は 0.5〜10重量%
である。
【0029】本発明の成形材料は、有機樹脂と抗菌防黴
剤と必要により用いる有機溶媒のほかに、成形材料に一
般に添加されうる各種の添加剤を含有していてもよい。
このような任意添加剤としては、架橋剤もしくは硬化
剤、滑剤、酸化防止剤、展延剤、可塑剤、紫外線吸収
剤、充填剤、着色剤、発泡剤等がある。
【0030】本発明の成形材料を溶融成形する場合、溶
融成形法としては、射出成形、押出、プレス成形、圧縮
成形、溶融紡糸、ブロー成形、注型など各種の成形法が
可能であり、特に制限されないが、射出成形のように成
形後の冷却が速い成形方法が特に好ましい。溶融成形温
度は使用した有機樹脂種によって異なるが、通常は80〜
300 ℃、好ましくは 160〜260 ℃の範囲内である。本発
明で用いる抗菌防黴剤は有機ケイ素化合物であり、炭素
系有機化合物に比べて耐熱性に優れているので、このよ
うな溶融温度に耐え、溶融成形が可能となる。
【0031】また、本発明の成形材料が溶液または分散
液状である場合には、注型や流延によるフィルムやシー
トの成形、湿式紡糸による繊維の成形等が可能である。
本発明の成形材料から得られる成形体の形状について
も、繊維、フィルムなどのほかに、棒、管、シート、ビ
ンや各種容器などの中空体、その他の立体成形体のいず
れも可能であり、制限はない。本発明の成形材料の成形
により得られた成形体は、成形材料中の抗菌防黴剤がマ
トリックス樹脂中に均一に分散し、かつマトリックス樹
脂に固定化されているため、抗菌防黴剤が遊離せず、高
い抗菌防黴効果を長期間にわたって発揮できる。従っ
て、本発明により、例えば、靴下、カーペットなどを含
む各種繊維製品、壁紙、内装材などの建築材料、食品包
装用や農業用フィルム、ビンその他の食品容器、発泡ス
チロール等のトレーや箱類、製靴材料、家具、さらには
黴を嫌う各種電気電子機器など、衣食住を含む家庭用品
から農漁業用品、さらには工業用品に至るまで、あらゆ
る用途に使用される有機樹脂成形製品に抗菌防黴性を付
与することができる。
【0032】また、本発明で用いるシラン系およびポリ
シロキサン系の抗菌防黴剤はいずれも、透明樹脂に混合
した時に透明性を実質的に阻害せず、また耐光性にも優
れているので、樹脂の変色の原因となることもない。従
って、例えば、本発明の成形材料からブロー成形で透明
フィルムを得ることができ、得られたフィルムは、例え
ば屋外で直射日光に曝されても抗菌防黴性が持続する。
【0033】
【実施例】以下に実施例を示すが、これらは本発明を限
定するものではない。実施例および比較例中、%は特に
指定のない限り重量%である。実施例1 塩化ビニル樹脂粉末50gを前記一般式(1A)で示されるビ
グアニジル基含有アルコキシシラン化合物 <A> 2.5 g
と混合し、この混合物をヒートロールを用いて150 ℃で
溶融した後、プレス成形により厚み1mmの板状に成形し
た。この樹脂板の抗菌性を次のようにして試験した。
【0034】[抗菌性試験法]得られた樹脂板から2cm×
2cmの試験片を作成し、この試験片を室温の蒸留水に24
時間浸漬した後、100 ℃で15分間乾燥した。その後、試
験片を30 ml 容の滅菌済容器に入れ、菌懸濁液 (試験
菌:クレブシエラ・ニューモニエ<Klebsiellapneumonia
e>) 0.1 ml(菌数 : 5.5×105 個/ml)を接種し、35℃で2
4時間静置培養した。次に、この容器に滅菌水10mlを加
えて振盪し、集菌後に生菌数を測定した。その結果、表
1に示すように、生菌は認められなかった。
【0035】実施例2 ポリプロピレン粉末500 gを化合物 <A> 0.5 gと混合
し、この混合物をヒートロールを用いて170 ℃で溶融し
た後、プレス成形により厚み2mmの板状に成形した。こ
の樹脂板の抗菌性を実施例1と同様に試験した結果を表
1に示す。
【0036】実施例3 ポリスチレン樹脂粉末500 gを化合物 <A> 40gと混合
し、この混合物を射出成形機を用いて、溶融温度200
℃、金型温度=室温で厚み2mmの板状に成形した。得ら
れた樹脂板の抗菌性を実施例1と同様に試験した結果を
表1に示す。
【0037】実施例4 ABS樹脂粉末200 gを化合物 <A> 40gと混合し、こ
の混合物を射出成形機を用いて、溶融温度200 ℃、金型
温度80℃で厚み2mmの板状に成形した。この樹脂板の抗
菌性を実施例1と同様に試験した結果を表1に示す。
【0038】比較例1 実施例1で使用したのと同じ塩化ビニル樹脂粉末を、化
合物 <A> と混合せずに、樹脂粉末単独で同様にプレス
成形して、厚さ1mmの樹脂板を得た。この樹脂板の抗菌
性を実施例1と同様に試験した結果を表1に示す。
【0039】比較例2 化合物 <A> の代わりに、従来の有機系抗菌剤化合物で
あるトリメトキシシリルプロピルジメチルオクタデシル
アンモニウムクロライド (第4級アンモニウム含有加水
分解性シラン化合物) を同じ量で使用した以外は実施例
1と同様の混合および成形操作により、抗菌剤を含有す
る樹脂板を得た。この樹脂板の抗菌性を実施例1と同様
に試験した結果を表1に示す。
【0040】比較例3 化合物 <A> の代わりに、従来の無機系抗菌剤化合物と
して銀置換アパタイト(銀置換率2.5 重量%) を同じ
で使用した以外は実施例1と同様の混合および成形操作
により、抗菌剤を含有する樹脂板を得た。この樹脂板の
抗菌性を実施例1と同様に試験した結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】表1からわかるように、本発明の成形材料
から得られた実施例の樹脂板は、優れた抗菌力を示し
た。即ち、実施例2では抗菌防黴剤の配合量が樹脂の0.
1 重量%と非常に少なかったが、それでも未処理の比較
例1に比べて菌数が100 万分の1近くに減少し、優れた
抗菌作用を示した。それ以外の実施例では生菌数0の完
全な抗菌力を示した。
【0043】一方、従来の有機系または無機系抗菌剤を
配合した比較例2および3は、いずれも抗菌作用が本発
明に比べて劣っていた。
【0044】実施例5 実施例1で得た化合物 <A> 含有塩化ビニル樹脂板と、
比較例1で得た化合物<A> を含有しない塩化ビニル樹
脂板の各試験片 (3cm×3cm) をポテトデキストロース
寒天培地上に置き、下記の4種のかびをそれぞれ接種し
て、2週間後の発育状態を観察した。結果を表2に示
す。
【0045】
【表2】
【0046】実施例6 ポリエチレン粉末100 gを化合物 <A> 5gと混合し、
この混合物を160 ℃で溶融した後、ブロー成形して膜厚
30μmの透明フィルムを得た。このフィルムの光透過率
を可視紫外分光光度計で測定した結果を図1に示す。抗
菌防黴剤を加えないポリエチレン単独のフィルムと同程
度の光透過率を示し、抗菌防黴剤により透明性が著しく
損なわれないことがわかった。
【0047】比較例4 化合物 <A> に代えて、無機系抗菌剤である銀置換アパ
タイト (銀置換率2.5重量%) を同じで使用した以外
は実施例6と同様の方法で、ポリエチレンフィルムを得
た。このフィルムの光透過率を図1に併せて示す。この
図から明らかなように、可視域での光透過率は30%前後
であり、透明性が著しく低下した。
【0048】実施例7 実施例6で得た抗菌防黴剤含有ポリエチレンフィルムを
用いて、UVランプにより促進耐光性を調べた。その結
果、100 時間照射で変色は認められなかった。
【0049】比較例5 比較例4で得た、銀置換アパタイトを含有するポリエチ
レンフィルムを用いて、実施例7と同様に促進耐光性を
調べたところ、変色が認められた。
【0050】実施例8 塩化ビニル樹脂粉末50gを前記一般式(2A)で示されるビ
グアニジル基含有ポリシロキサン化合物 <B> 2.5 gと
混合した。この混合物をヒートロールを用いて150 ℃で
溶融した後、プレス成形により厚み1mmの板状に成形し
た。この樹脂板の抗菌性を実施例1と同様に試験した。
ただし、接種菌数は 6.3×105 個/ml であった。その結
果、表3に示すように、生菌は認められなかった。
【0051】実施例9 ポリスチレン樹脂粉末500 gを化合物 <B> 40gと混合
し、この混合物を射出成形機を用いて、溶融温度200
℃、金型温度=室温で厚み2mmの板状に成形した。得ら
れた樹脂板の抗菌性を実施例8と同様に試験した結果を
表3に示す。
【0052】実施例10 市販のエポキシ樹脂680 g (固形分30%) を、溶媒のト
ルエン500 g、化合物<B> 40gおよび硬化剤のイソシ
アネート16gと混合し、この混合液を型枠に注型するこ
とにより成形して、厚み2mmの樹脂板を得た。この樹脂
板の抗菌性を実施例8と同様に試験した結果を表3に示
す。
【0053】実施例11 市販のノボラック型フェノール樹脂330 g (固形分30
%) を、溶媒のエタノール200 g、化合物 <B> 10gお
よび硬化剤のヘキサメチレンテトラミン5gと混合し、
この混合物を型枠に注型することにより成形して、厚み
2mmの樹脂板を得た。この樹脂板の抗菌性を実施例8と
同様に試験した結果を表3に示す。
【0054】実施例12 市販のアミノアルキド樹脂1500g (固形分30%) を、溶
媒のトルエン1000gおよび化合物 <B> 0.5 gと混合
し、得られた混合液を流延し、120 ℃で20分間焼付けし
て、厚み1mmの樹脂板を得た。この樹脂板の抗菌性を実
施例8と同様に試験した結果を表3に示す。
【0055】実施例13 市販の熱硬化性アクリル樹脂340 g (固形分30%) を、
溶媒のキシロール200gおよび化合物 <B> 2.5 gと混
合し、得られた混合液を流延し、150 ℃で20分間焼付け
して、厚み1mmの樹脂板を得た。この樹脂板の抗菌性を
実施例8と同様に試験した結果を表3に示す。
【0056】比較のために、比較例1〜3で得た樹脂板
を使用して、実施例8と同様に抗菌性を試験した結果も
表3に併せて示す。
【0057】
【表3】
【0058】表3からわかるように、本発明の成形材料
から得られた実施例の樹脂板は、優れた抗菌力を示した
のに対し、従来の有機系または無機系抗菌剤を配合した
比較例2および3は、いずれも抗菌作用が本発明に比べ
て劣っていた。
【0059】実施例14 実施例8で得た化合物 <B> 含有塩化ビニル樹脂板と、
比較例6で得た化合物<B> を含有しない塩化ビニル樹
脂板の各試験片 (3cm×3cm) をポテトデキストロース
寒天培地上に置き、下記の4種のかびをそれぞれ接種し
て、2週間後の発育状態を観察した。結果を表4に示
す。
【0060】
【表4】
【0061】実施例15 ポリエチレン粉末100 gを化合物 <B> 5gと混合し、
この混合物を160 ℃で溶融した後、ブロー成形して膜厚
30μmの透明フィルムを得た。このフィルムの光透過率
を可視紫外分光光度計で測定した結果を図2に示す。抗
菌防黴剤を加えないポリエチレン単独のフィルムと同程
度の光透過率を示し、抗菌防黴剤により透明性が著しく
損なわれないことがわかった。
【0062】実施例16 実施例15で得た抗菌防黴剤含有ポリエチレンフィルムを
用いて、UVランプにより促進耐光性を調べた。その結
果、100 時間照射で変色は認められなかった。
【0063】
【発明の効果】以上からわかるように、本発明の抗菌防
黴剤含有成形材料から成形された成形体は、従来の無機
系抗菌剤を含有する樹脂成形体を上回る優れた抗菌性と
防黴性を示し、さらに耐光性や透明性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で得た本発明の有機シラン系抗菌防黴剤
含有樹脂フィルムと、比較例で得た銀置換アパタイト含
有樹脂フィルムの光透過率を示す。
【図2】実施例で得た本発明のポリシロキサン系抗菌防
黴剤含有樹脂フィルムと比較例で得た銀置換アパタイト
含有樹脂フィルムの光透過率を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西原 明 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グアニジル基を含有する加水分解性有機
    シラン化合物およびグアニジル基を少なくとも1個含有
    する有機ポリシロキサン化合物よりなる群から選ばれた
    少なくとも1種の抗菌防黴剤と少なくとも1種の有機樹
    脂とを含有する、抗菌防黴剤含有成形材料。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の成形材料の成形により得
    られた抗菌防黴性の繊維、フィルム、およびその他の成
    形体。
JP5182796A 1993-07-23 1993-07-23 抗菌防黴剤含有成形材料 Pending JPH0733615A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004037273A (ja) * 2002-07-03 2004-02-05 Oji Paper Co Ltd 水分析方法及び装置
JP2004339149A (ja) * 2003-05-15 2004-12-02 Chisso Corp シリコーン変性された抗菌剤及び抗菌性樹脂組成物

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