JPH10264860A - 車両用離脱部構造 - Google Patents

車両用離脱部構造

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JPH10264860A
JPH10264860A JP7557197A JP7557197A JPH10264860A JP H10264860 A JPH10264860 A JP H10264860A JP 7557197 A JP7557197 A JP 7557197A JP 7557197 A JP7557197 A JP 7557197A JP H10264860 A JPH10264860 A JP H10264860A
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JP
Japan
Prior art keywords
detachment
vehicle
fixing means
external force
collar
Prior art date
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Application number
JP7557197A
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English (en)
Inventor
Akisato Katou
章里 加藤
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常時における取付剛性確保、並びに、所定
値以上の外力が車両の所定部位に作用した際における部
材同士の連結状態の解除の容易化の両立を図る。 【解決手段】 ペダルブラケットの後端側に固着される
スライドブラケット44の狭幅開口50Bにはカラー7
4が係止されている。カラー74のフランジ部74Bに
は加締による係合部78が形成されており、これにより
カラー74はスライドブラケット44に係合されてい
る。このカラー74内へ固定ボルト80が挿入され、車
体側のスライドプレート48のウエルドナット82に螺
合されることにより、ペダルブラケットの後端側が車体
側に離脱可能に結合されている。従って、締付トルクの
影響を受けることなく離脱荷重を設定することができる
ため、前記取付剛性確保並びに解除の容易荷重の両立を
図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定値以上の外力
が車両の所定部位に作用した際に一方の部材を他方の部
材から離脱させるための車両用離脱部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、所定値以上の外力が車両の所
定部位に作用した際における乗員保護性能を高めるべ
く、当該外力が作用した際に部材同士の連結状態を解除
するという技術が採用されている。この種の構造の一例
として、特開平1−240383号公報には、所定値以
上の外力が車両前部に作用した際にペダルブラケットを
車体側から離脱させる技術が開示されている。以下、こ
の公報に開示された技術について説明する。
【0003】図15に示されるように、エンジンルーム
200と車室内空間202とを仕切る位置には、ダッシ
ュパネル204が配設されている。ダッシュパネル20
4の上端部は、車両幅方向を長手方向として配置される
閉断面構造のカウルボックス206の前端下部に結合さ
れている。このカウルボックス206の下方には、車両
用ペダル208を揺動可能に支持するペダルブラケット
210が配置されている。ペダルブラケット210の前
端部210Aは、マスタシリンダ212と一体化された
ブレーキブースタ214と共締めされることにより前述
したダッシュパネル204に固定されている。さらに、
ペダルブラケット210の後端部210Bは、カウルボ
ックス206の後端下部に離脱可能に結合されている。
【0004】次に、ペダルブラケット210の後端部2
10Bのカウルボックス206からの離脱構成について
説明する。図16に示されるように、カウルボックス2
06の後端下部には、一対のウエルドナット216が溶
着された皿状のブラケット218が溶接されている。ま
た、ペダルブラケット210の後端部210B(頂壁部
の後端側)には、長孔部220A及び広孔部220Bか
ら成る一対の開口220が形成されている。そして、図
17に示される如く、これらの開口220の長孔部22
0Aの端部側にてボルト222がウエルドナット216
に螺合されることにより、ペダルブラケット210の後
端部210Bがブラケット218を介してカウルボック
ス206の後端下部に結合されている。なお、開口22
0の長孔部220Aの孔幅はボルト222の軸径に略一
致されており、又広孔部220Bの孔幅はボルト222
の頭部径よりも大きく設定されている。
【0005】上記構成によれば、所定値以上の外力が車
両前部に作用した際に、マスタシリンダ212及びブレ
ーキブースタ214を介して、当該外力がダッシュパネ
ル204に入力されることがある。この場合、ダッシュ
パネル204は略車両後方側へ変位するため、ペダルブ
ラケット210も略車両後方側へと押圧されて変位する
ことになる。従って、ペダルブラケット210の後端部
210Bがブラケット218に対して略車両後方側へス
ライドし、ボルト222が開口220の長孔部220A
から広孔部220Bへと相対的に変位される。これによ
り、ボルト222の頭部が広孔部220Bを通って、ペ
ダルブラケット210の後端部210Bがカウルボック
ス206の後端下部から離脱される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
成による場合、ペダルブラケット210の後端部210
Bのカウルボックス206のブラケット218からの離
脱容易性と、車両用ペダル208の通常操作時における
当該後端部210Bの当該ブラケット218への取付剛
性確保との両立を図ることができないという問題があ
る。
【0007】すなわち、ペダルブラケット210の後端
部210Bのカウルボックス206のブラケット218
への取付剛性を確保するべく、ボルト222の締付トル
クを高くすると、当該後端部210B(即ち、長孔部2
20Aの周囲部)に高い締付力が作用すると共にブラケ
ット218及びボルト222の頭部に対する摺動抵抗も
高くなる。従って、当該後端部210Bはブラケット2
18とボルト222の頭部との間から離脱しにくくな
る。
【0008】逆に、ペダルブラケット210の後端部2
10Bのカウルボックス206のブラケット218から
の離脱容易性を高めるべく、ボルト222の締付トルク
を低くすると、当該後端部210Bに作用する締付力が
弱まり、当該後端部210Bの当該ブラケット218へ
の取付剛性が低下する。
【0009】本発明は上記事実を考慮し、通常時におけ
る取付剛性確保、並びに、所定値以上の外力が車両の所
定部位に作用した際における部材同士の連結状態の解除
の容易化の両立を図ることができる車両用離脱部構造を
得ることが目的である。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、所定値以上の外力が車両の所定部位に作用した際に
一方の部材と他方の部材との結合状態を解除させるため
の車両用離脱部構造であって、一方の部材に設けられ、
外力作用方向に沿って相互に連通された離脱阻止部及び
離脱許容部を含んで構成される離脱用スリットと、離脱
許容部からは離脱可能とされると共に離脱阻止部からは
離脱不能とされ、一方の部材に軸方向への結合力を与え
ずに離脱阻止部にて一方の部材と他方の部材とを結合す
る固定手段と、この固定手段の一部と一方の部材とを相
互に係合させると共に、所定値以上の外力が車両の所定
部位に作用した際に係合状態を解除する係合手段と、を
有することを特徴としている。
【0011】請求項2記載の本発明に係る車両用離脱部
構造は、請求項1に記載の発明において、固定手段の一
部及び一方の部材の一方を他方側へ塑性変形させること
により、前記係合手段を設けた、ことを特徴としてい
る。
【0012】請求項3記載の本発明は、所定値以上の外
力が車両の所定部位に作用した際に一方の部材と他方の
部材との結合状態を解除させるための車両用離脱部構造
であって、一方の部材に設けられ、外力作用方向に沿っ
て相互に連通された離脱阻止部及び離脱許容部を含んで
構成される離脱用スリットと、離脱許容部からは離脱可
能とされると共に離脱阻止部からは離脱不能とされ、一
方の部材に軸方向への結合力を与えずに離脱阻止部にて
一方の部材と他方の部材とを結合する固定手段と、一方
の部材における離脱阻止部周辺に設けられ、固定手段の
一部が圧入されることにより当該固定手段の一部と一方
の部材とを相互に係合させると共に、所定値以上の外力
が車両の所定部位に作用した際に係合状態を解除する凹
凸加工部と、を有することを特徴としている。
【0013】請求項4記載の本発明は、所定値以上の外
力が車両の所定部位に作用した際に一方の部材と他方の
部材との結合状態を解除させるための車両用離脱部構造
であって、一方の部材に設けられ、外力作用方向に沿っ
て相互に連通された離脱阻止部及び離脱許容部を含んで
構成される離脱用スリットと、離脱許容部からは離脱可
能とされると共に離脱阻止部からは離脱不能とされ、一
方の部材に軸方向への結合力を与えずに離脱阻止部にて
一方の部材と他方の部材とを結合する固定手段と、固定
手段と一方の部材との間に弾性変形した状態で介在さ
れ、両者に弾性復元力による摩擦力を作用させることに
より当該固定手段と一方の部材とを相互に係合させると
共に、所定値以上の外力が車両の所定部位に作用した際
に係合状態を解除するバネ部材と、を有することを特徴
としている。
【0014】請求項1記載の本発明によれば、所定値以
上の外力が車両の所定部位に作用していない通常時にお
いては、一方の部材と他方の部材とは当該一方の部材に
おける離脱阻止部にて固定手段によって結合されてい
る。従って、この状態では、一方の部材と他方の部材と
の結合状態が解除されることはない。なお、この状態に
おいては、固定手段の一部と一方の部材とが係合手段に
よって相互に係合されている。
【0015】一方、所定値以上の外力が車両の所定部位
に作用すると、係合手段による固定手段の一部と一方の
部材との係合状態が解除される。このため、離脱阻止部
にて一方の部材と他方の部材とを結合していた固定手段
が離脱阻止部と相互に連通された離脱許容部に相対変位
する。これにより、離脱許容部から固定手段が離脱し、
一方の部材と他方の部材との結合状態が解除される。
【0016】ここで、本発明では、一方の部材と他方の
部材とが、当該一方の部材に軸方向への結合力が与えら
れることなく、固定手段によって結合される。このた
め、固定手段による結合力の影響を受けることなく、係
合手段による係合解除がなされる荷重(即ち、離脱荷
重)を設定することができる。従って、所定値以上の外
力が車両の所定部位に作用した際には、一方の部材と他
方の部材との結合状態が容易に解除されるように、離脱
荷重を所望の値に安定的に設定することができる。しか
も、上述したことから、離脱荷重と固定手段による結合
力とを別個に管理し得るため、通常時における一方の部
材と他方の部材との取付剛性も必要かつ充分な所望の値
に設定することができる。
【0017】請求項2記載の本発明によれば、固定手段
の一部及び一方の部材の一方を他方側へ塑性変形させる
ことにより、請求項1記載の係合手段を設けたので、部
品点数が増加せず、容易に係合手段を製作することがで
きる。
【0018】請求項3記載の本発明の作用中、所定値以
上の外力が車両の所定部位に作用していない通常時にお
ける作用、並びに、所定値以上の外力が車両の所定部位
に作用した際における一方の部材と他方の部材との結合
解除の過程は、前述した請求項1記載の発明の場合と基
本的に同様であるので割愛し、ここでは離脱荷重の安定
性に関する作用に絞って説明する。
【0019】本発明では、一方の部材における離脱阻止
部周辺に凹凸加工部が設けられており、固定手段の一部
が凹凸加工部に圧入されることにより、当該固定手段の
一部と一方の部材とが相互に係合される。このとき、固
定手段の一部は凹凸加工部に対して点接触状態又は線接
触状態で圧入されることになるため、圧入時に凹凸加工
部が変形し易くなる。このため、固定手段の圧入荷重が
高くなり過ぎるのを防止することができる。さらに、固
定手段の一部と一方の部材との相互の結合状態を解除さ
せるための離脱荷重を、凹凸加工部の面粗度或いは高さ
等によって管理することができる。従って、本発明にお
いても、所定値以上の外力が車両の所定部位に作用した
際には、一方の部材と他方の部材との結合状態が容易に
解除されるように、圧入荷重ひいては離脱荷重を所望の
値に安定的に設定することができる。
【0020】しかも、一方の部材における離脱阻止部周
辺に凹凸加工部を設ける構成であるため、部品点数が増
加せず、製作も容易である。
【0021】請求項4記載の本発明の作用についても、
請求項3記載の発明の場合と同様に、離脱荷重の安定性
に関する作用に絞って説明する。
【0022】本発明では、固定手段と一方の部材との間
にバネ部材が弾性変形した状態で介在されており、両者
に弾性復元力による摩擦力を作用させることにより、当
該固定手段と一方の部材とが相互に係合される。このた
め、固定手段と一方の部材との相互の結合状態を解除さ
せるための離脱荷重は、バネ部材と固定手段、一方の部
材との接触面における摩擦係数によって決定される。す
なわち、バネ部材による摩擦係数の設定如何で離脱荷重
を管理することができる。従って、本発明においても、
所定値以上の外力が車両の所定部位に作用した際には、
一方の部材と他方の部材との結合状態が容易に解除され
るように、離脱荷重を所望の値に安定的に設定すること
ができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕以下、図1〜図8を用いて、第1実施
形態について説明する。なお、この第1実施形態が、請
求項1及び請求項2に記載の本発明の一実施形態に相当
する。
【0024】図5には、吊り下げ式のブレーキペダル1
0の周辺構造が概略的に示されている。以下、この図を
用いて、ブレーキペダル10を含む周辺構造の全体的な
構成について説明することにする。
【0025】エンジンルーム12と車室内空間14とを
仕切る位置には、ダッシュパネル16が略垂直に配置さ
れている。ダッシュパネル16の上端部は、車両幅方向
を長手方向として配置されてカウルの一部を構成する図
示しないカウルインナパネルの前方側の面にスポット溶
接等により固着されている。また、ダッシュパネル16
の下端部は、図示しないフロアパネルにスポット溶接等
により固着されている。
【0026】上述したダッシュパネル16の前方側に
は、ブレーキペダル10に付与された乗員の踏力を増強
するための踏力増強手段として機能するブレーキブース
タ20と、このブレーキブースタ20によって増強され
た圧力を液圧に変換するための液圧変換手段として機能
するマスタシリンダ22と、液圧系統の体積変化に追従
してブレーキフルードを貯留及び補充するリザーバタン
ク24とが一体的に配設されている。
【0027】一方、ダッシュパネル16の後方側には、
ブレーキペダル10を揺動可能に支持するペダルブラケ
ット26が配設されている。ペダルブラケット26は、
ダッシュパネル16への取付座面を構成するベースプレ
ート部28と、このベースプレート部28から略車両後
方側へ平行に延出される一対のサイドプレート部30
と、互いに対向するサイドプレート部30の上縁側を繋
ぐトッププレート部(図示省略)と、を含んで構成され
ている。従って、ペダルブラケット26は、全体として
は、略車両前後方向に長く底面側が開放された断面コ字
状に形成されている。また、各サイドプレート部30の
前端側の所定位置には車両前後方向に対する剛性を低下
させるための開口部34が形成されていると共に、上縁
側には車両前後方向に対する剛性を部分的に高めるため
のビード36が形成されている。
【0028】上述したペダルブラケット26のベースプ
レート部28の前面四隅には、ブレーキブースタ20か
ら突出するスタッドボルト38を挿通させるための円筒
状のカラー40が固着されている。ベースプレート部2
8は、これらのカラー40をダッシュパネル16に当接
させた状態で、内部に挿通されたスタッドボルト38に
ナット42を螺合させることによりダッシュパネル16
に固定されている。これにより、ペダルブラケット26
の前端側(即ち、ベースプレート部28)がダッシュパ
ネル16に結合されている。なお、ダッシュパネル16
の前面にウエルドナットを予め溶着させておいて、取付
ボルトをベースプレート部28側から螺入して固定する
ことも可能である。また、ダッシュパネル16とベース
プレート部28との間には、遮音材として用いられる図
示しないダッシュインシュレータが介在されている。
【0029】また、ペダルブラケット26の一対のサイ
ドプレート部30間には、吊り下げ式のブレーキペダル
10が配置されている。ブレーキペダル10は、狭幅の
板材を適宜屈曲させて形成したペダル支持部56と、こ
のペダル支持部56の下端部に設けられ乗員の踏力が付
与されるペダルパッド58と、を含んで構成されてい
る。なお、ブレーキペダル10のペダル支持部56には
図示しないリターンスプリングが係止されており、この
リターンスプリングによってブレーキペダル10は初期
位置に復帰する方向へ常時付勢されている。
【0030】また、ブレーキペダル10のペダル支持部
56の上端部には回転軸部60が設けられており、この
回転軸部60がペダルブラケット26の一対のサイドプ
レート部30に軸支されている。なお、回転軸部60の
構成の一例について簡単に触れると、ペダル支持部56
の上端部に形成された貫通孔内に略円筒状のペダルボス
が挿入されると共に、ペダルボスの両端部に円筒状のブ
ッシュが各々嵌入され、更に双方のブッシュ内へ円筒状
のカラーが挿入された後、取付ボルト62が一方のサイ
ドプレート部30の外側から挿入され、他方のサイドプ
レート部30の外側からワッシャを介してナット64が
螺合されることにより回転軸部60が構成される。
【0031】さらに、ブレーキペダル10のペダル支持
部56の中間部には、ブレーキブースタ20から突出し
てダッシュパネル16を貫通するプッシュロッド(オペ
レーティングロッド)66の先端部が連結されている。
具体的には、プッシュロッド66の先端部には、断面略
コ字形のクレビス68が取り付けられている。このクレ
ビス68の内方にはペダル支持部56が挿入状態で配置
されており、クレビス68の両側部及びペダル支持部5
6をクレビスピン70が貫通し、その貫通端部にβピン
等が係止されて抜止めされることによりプッシュロッド
66とペダル支持部56とが相対回転自在に連結されて
いる。
【0032】また、ペダルブラケット26の後端側に
は、「一方の部材」としての断面略コ字形のスライドブ
ラケット44が一部重合された状態で固着されている。
このスライドブラケット44の直上には、インパネリイ
ンフォース46から略車両前方側へ向けて突出状態で配
置された「他方の部材」としてのスライドプレート48
の先端部が配置されている。なお、インパネリインフォ
ース46は、車両幅方向を長手方向として配置された高
強度部材である。また、スライドプレート48も高強度
部材であり、その下端面は略車両後方側へ向けて所定の
傾斜角度で略車両下方側へ傾斜されている。以下、スラ
イドプレート48の下端面を「摺動案内面48A」と称
す。
【0033】上述したスライドブラケット44の頂壁部
44Aはスライドプレート48の先端部と離脱可能に結
合されており、以下、本実施形態の要部に係るペダルブ
ラケット26の後端側(スライドブラケット44)の車
体側構成部材(スライドプレート48)からの離脱部構
造について詳細に説明する。
【0034】図4に示されるように、上述したスライド
ブラケット44の頂壁部44Aには、開口幅が狭幅とさ
れた「離脱阻止部」としての狭幅開口50A及びこの狭
幅開口50Aと相互に連通されかつ開口幅が幅広とされ
た「離脱許容部」としての広幅開口50Bから成る「離
脱用スリット」としての離脱用開口50が形成されてい
る。さらに、頂壁部44Aにおける狭幅開口50Aの両
側には、一対のテーパ孔52が形成されている。なお、
これらの狭幅開口50A及び広幅開口50Bから成る離
脱用開口50は、所定値以上の外力が車両前部に作用し
た際にペダルブラケット26のスライドブラケット44
に入力される荷重の作用方向に沿って形成されている。
【0035】上述した離脱用開口50には、円筒状の軸
部74A及びこの軸部74Aの両端部に一体形成された
一対の鍔状のフランジ部74Bから成る鼓形状のカラー
74が装着されている。なお、カラー74は、所定強度
の金属製又は樹脂製とされている。
【0036】このカラー74の軸部74Aの外径寸法
は、狭幅開口50Aの幅方向寸法よりも僅かに小さく設
定されている。また、カラー74のフランジ部74Bの
外径寸法は狭幅開口50Aの幅方向寸法よりも大きくか
つ前述した一対のテーパ孔52を覆う程度の寸法に設定
されており、更に広幅開口50Bの幅方向寸法よりも小
さく設定されている。また、カラー74の軸部74Aの
軸方向寸法(軸長)は、スライドブラケット44の頂壁
部44Aの板厚よりも若干長く設定されている。これら
の寸法関係から、カラー74の広幅開口50Bからの挿
入並びに広幅開口50Bからの離脱は許容されるが、カ
ラー74の狭幅開口50Aからの離脱は不可とされてい
る。このため、カラー74は、図4の矢印で示される方
向に沿って広幅開口50Bから挿入された後に、狭幅開
口50Aの周囲に挿入状態で係止されるようになってい
る。
【0037】さらに、本実施形態では、図3に示される
ように、上述したカラー74を離脱用開口50の狭幅開
口50Aに係止させた後に、カラー74の上側のフラン
ジ部74Bにおける前記テーパ孔52の直上となる部位
を、加締用パンチ76でパンチングしている。これによ
り、図2に示される如く、当該部位が塑性変形してテー
パ孔52内へ係合されている。以下、この塑性変形して
テーパ孔52内へ係合された部位を「係合部78」と称
す。なお、「係合手段」としての係合部78の係合代は
カラー74の材料強度等を加味した上で決定されるが、
基本的にはブレーキペダル10の通常の繰り返し操作に
よって係合部78がテーパ孔52から離脱することがな
く、しかも所定値以上の外力が車両前部に作用した際に
は容易に破断して又は塑性変形して係合部78がテーパ
孔52から離脱するように設定されている。
【0038】図1に示されるように、上述したカラー7
4の軸部74A内へは、スライドブラケット44の頂壁
部44Aの裏面側から、ワッシャ79を介して固定ボル
ト80が挿通されている。さらに、この固定ボルト80
は、スライドプレート48の先端部底面に予め溶着され
たウエルドナット82に螺合されている。これにより、
ペダルブラケット26の後端側がスライドプレート48
に結合されている。
【0039】なお、上述したカラー74、固定ボルト8
0、及びウエルドナット82が本発明における「固定手
段」に相当する。付言すれば、狭義に解釈する場合に
は、カラー74は「離脱許容部から挿入されて離脱阻止
部にて係止されると共に一方の部材の厚さよりも長い軸
方向寸法を有する筒状の係止部材」として把握され、固
定ボルト80及びウエルドナット82は「係止部材に挿
通されて当該係止部材を介して一方の部材と他方の部材
とを結合する固定具」として把握される。
【0040】次に、本実施形態の作用並びに効果を説明
する。図5に実線で示された状態が、通常時、即ちブレ
ーキ非操作時におけるブレーキペダル10及びペダルブ
ラケット26の組付状態である。なお、この組付状態か
ら、乗員がブレーキペダル10のペダルパッド58に乗
員が踏力を付与すると、ブレーキペダル10は回転軸部
60回りに略車両前方側へ揺動され、プッシュロッド6
6が略車両前方側へ押圧される。これにより、ペダルパ
ッド58に付与された乗員の踏力は、プッシュロッド6
6を介してブレーキブースタ20に伝達されて増強され
た後、マスタシリンダ22によって液圧に変換される。
【0041】一方、所定値以上の外力が車両の前方から
作用すると、その際の荷重がマスタシリンダ22及びブ
レーキブースタ20を介してダッシュパネル16に入力
される。このため、図5に二点鎖線で示される如く、ダ
ッシュパネル16が略車両後方側(かつ略車両上方側)
へ変位することがある。
【0042】この場合、ペダルブラケット26の後端側
(即ち、スライドブラケット44)が結合されたスライ
ドプレート48ひいてはその取付相手となるインパネリ
インフォース46は共に高強度部材であることから、ペ
ダルブラケット26にはダッシュパネル16の後方変位
に伴う略車両後方側への荷重が入力される一方で、イン
パネリインフォース46側からはその際の反力が略車両
前方側への荷重として入力される。このため、スライド
ブラケット44に係止されたカラー74の係合部78が
破断又は塑性変形することにより、当該係合部78は頂
壁部44Aのテーパ孔52から離脱される。また、固定
ボルト80の締付トルク(軸力)はカラー74及びスラ
イドプレート48には直接的に作用しているものの、ス
ライドブラケット44の頂壁部44Aには作用していな
い。従って、前記の如く、カラー74の係合部78がス
ライドブラケット44のテーパ孔52から離脱される
と、スライドブラケット44のスライドプレート48へ
の拘束力が失われ、スライドブラケット44はスライド
プレート48に対して荷重作用方向である略車両後方側
へと相対的にスライドされる。これにより、カラー74
及び固定ボルト80は離脱用開口50の狭幅開口50A
から広幅開口50Bへと相対変位し、当該広幅開口50
Bから離脱される。
【0043】離脱後のスライドブラケット44は、スラ
イドプレート48の摺動案内面48Aに沿って、略車両
後方側かつ略車両下方側へと摺動していく。なお、ペダ
ルブラケット26の一対のサイドプレート部30には開
口部34が形成されているため、ペダルブラケット26
は略車両前後方向に対する剛性が低く、又ペダルブラケ
ット26の一対のサイドプレート部30の上縁側にはビ
ード36が形成されていることから、サイドプレート部
30の上縁側での略車両前後方向に対する剛性は部分的
に高くなっている。これらのことから、ペダルブラケッ
ト26は、全体としては略車両前後方向に座屈しつつ側
面視では略「へ」の字状に変形することで、略車両前方
側へと回転変位される。
【0044】上記の如くしてペダルブラケット26がそ
の前端側(ベースプレート部28)回りに略車両前方側
へ回転変位されることにより、当該ペダルブラケット2
6に揺動可能に支持されている吊り下げ式のブレーキペ
ダル10のペダルパッド58も略車両前方側へと変位さ
れる。その結果、本実施形態によれば、所定値以上の外
力が車両前部に作用した際に、ブレーキペダル10のペ
ダルパッド58を略車両前方側へ変位させることができ
る。このため、乗員の慣性移動による脚部の膝の屈曲を
抑制することができ、ひいては乗員の脚部の膝をステア
リングコラムから遠ざけることができる。
【0045】なお、このように所定値以上の外力が車両
前部に作用した際にペダルブラケット26の後端側をス
ライドプレート48から離脱させることにより、ペダル
ブラケット26及びスライドブラケット44を介してイ
ンパネリインフォース46側に入力される荷重を低減さ
せることができるというメリットもある。従って、この
点からも、ステアリングコラムの後方変位を阻止するこ
とができ、ひいてはステアリングコラムと乗員の膝との
干渉を避けることができる。
【0046】以上が本実施形態の全体的な作用である。
ここで、本実施形態では、所定値以上の外力が車両の所
定部位に作用していない通常時においては、スライドブ
ラケット44の頂壁部44Aに形成された離脱用開口5
0の狭幅開口50Aに係止されたカラー74を介して、
固定ボルト80及びウエルドナット82によってスライ
ドブラケット44とスライドプレート48とが結合され
ている。しかも、固定ボルト80及びウエルドナット8
2による締付トルクは、前述したカラー74の軸部74
Aの軸方向寸法の設定関係から、カラー74とスライド
プレート48とに直接的に作用しているのみで、スライ
ドブラケット44自体には作用していない。
【0047】このため、固定ボルト80及びウエルドナ
ット82による締付トルク(軸力)の影響を受けること
なく、係合部78が破断又は塑性変形することにより係
合解除がなされる荷重(即ち、離脱荷重)を設定するこ
とができる。従って、所定値以上の外力が車両の所定部
位に作用した際には、スライドブラケット44とスライ
ドプレート48との結合状態が容易に解除されるよう
に、係合部78の離脱荷重を所望の値に安定的に設定す
ることができる。しかも、上述したことから、離脱荷重
と固定ボルト80及びウエルドナット82による締付ト
ルクとを別個に管理し得るため、通常時におけるスライ
ドブラケット44とスライドプレート48との取付剛性
も必要かつ充分な所望の値に設定することができる。
【0048】総じていえば、本実施形態によれば、通常
時におけるペダルブラケット26の後端側に固着された
スライドブラケット44のスライドプレート48への取
付剛性確保、並びに、所定値以上の外力が車両前部に作
用した際におけるペダルブラケット26のスライドブラ
ケット44とスライドプレート48との連結状態の解除
の容易化の両立を図ることができる。
【0049】また、本実施形態によれば、カラー74を
離脱用開口50の広幅開口50Bから挿入して狭幅開口
50Aに係止させた状態で、当該カラー74の上側のフ
ランジ部74Bの所定部位を加締用パンチ76でパンチ
ングしてスライドブラケット44の頂壁部44Aのテー
パ孔52内へかしめる(塑性変形させる)ことにより係
合部78を設ける構成であるため、部品点数が増加せ
ず、容易に製作することができる。従って、構造の簡素
化及び製作の容易化を図ることができる。
【0050】なお、本実施形態では、軸部74Aの両端
部に鍔状の一対のフランジ部74Bを備えたカラー74
を用い、そのうちの一方のフランジ部74Bにかしめに
よる係合部78を設ける構成を採ったが、これに限ら
ず、図6〜図8に示される構成を採ってもよい。簡単に
説明すると、この実施形態では、図6に示されるよう
に、円筒状の軸部84Aと、この軸部84Aの一端部に
鍔状に形成されたフランジ部84Bと、軸部84Aの他
端部における半径方向に対向する位置に設けられかつ切
込み後に径方向外側へ屈曲された一対の折曲部84C
と、から成るのカラー84が用いられている。そして、
このカラー74をスライドブラケット44の狭幅開口5
0A内へ挿入及び係止させた後に、図7及び図8に示さ
れるように、一対の折曲部84Cを加締用パンチ86で
スライドブラケット44の一対の円孔88内へ曲げ変形
させることで、当該折曲部84Cを円孔88内へ係合さ
せている。この構成によっても、前述したカラー74を
用いた場合と同様の作用並びに効果が得られる。なお、
この実施形態では、折曲部84Cが本発明の「係合手
段」に相当する。 〔第2実施形態〕次に、図9〜図11を用いて、第2実
施形態について説明する。なお、この第2実施形態が、
請求項3記載の本発明の一実施形態に相当する。また、
前述した実施形態と同一構成部分については同一番号を
付してその説明を省略することにする。
【0051】これらの図に示されるように、この実施形
態では、ローレット加工用ローラ90を加圧しながら転
動させることにより、スライドブラケット44における
狭幅開口50Aの両側の表面を塑性変形させ、これによ
り当該狭幅開口50Aの両側に「凹凸加工部」としての
一対のローレット加工部92を形成している。なお、ロ
ーレット加工部92の表面性状は粗く、スライドブラケ
ット44の頂壁部44Aの一般面よりも若干肉が盛り上
がったようになっている(図11参照)。
【0052】なお、本実施形態による場合には、カラー
74は離脱用開口50の広幅開口50Bから挿入され、
狭幅開口50Aの両側に設けられた一対のローレット加
工部92にカラー74の上側のフランジ部74Bが圧入
により係合される。
【0053】上記構成によっても、前述した第1実施形
態と同様の作用並びに効果(即ち、通常時におけるペダ
ルブラケット26の後端側の車体側への取付剛性確保、
並びに、所定値以上の外力が車両前部に作用した際にお
けるペダルブラケット26の後端側と車体側との連結状
態の解除の容易化の両立)が得られる。
【0054】離脱荷重の安定性に関して補足すると、本
実施形態では、スライドブラケット44における狭幅開
口50Aの両側に塑性変形を利用した一対のローレット
加工部92を形成すると共に、カラー74を狭幅開口5
0Aへ圧入することで、当該カラー74の上側のフラン
ジ部74Bをローレット加工部92に係合させる構成で
あるため、カラー74とスライドブラケット44の頂壁
部44Aとの相互の係合状態を解除するための離脱荷重
は、ローレット加工部92の面粗度或いは凹凸の高さ等
によって管理することができる。さらに、カラー74の
圧入に際しては、カラー74の上側のフランジ部74B
とローレット加工部92とが線接触状態となるので、ロ
ーレット加工部92が容易に変形し、圧入荷重が高くな
り過ぎるのを防止することができる。なお、面接触状態
で圧入させる構造の場合には、面全体を変形させる必要
があることから、いきおい圧入荷重は大きくなり勝ちで
ある。これらのことから、本実施形態においても、前述
した第1実施形態と同様に、離脱荷重を所望の値に安定
的に設定することができる。
【0055】しかも、本実施形態においても、スライド
ブラケット44の頂壁部44Aの所定部位にローレット
加工部92を設ける構成であるため、部品点数が増加せ
ず、製作も容易である。
【0056】なお、本実施形態では、凹凸加工部として
ローレット加工部92を採用したが、これに限らず、圧
入時にカラー74との接触状態が点接触状態或いは線接
触状態となるような凹凸加工部であればすべて適用可能
である。 〔第3実施形態〕次に、図12〜図14を用いて、第3
実施形態について説明する。なお、この第3実施形態
が、請求項4記載の本発明の一実施形態に相当する。ま
た、前述した実施形態と同一構成部分については同一番
号を付してその説明を省略することにする。
【0057】図12及び図13に示される実施形態で
は、扁平なカラー100及びバネクリップ102が使用
されている。カラー100は、円筒状の軸部100A
と、この軸部100Aの下端部から半径方向外側へ延出
された鍔状のフランジ部100Bと、軸部100Aの上
端部からスライドブラケット44の幅方向へ延出された
略矩形平板状のスプリング係止部100Cと、によって
構成されている。なお、スプリング係止部100Cは、
その中央部と両側部とで所定の段差が設けられている。
【0058】一方、バネクリップ102は、帯板状の基
部102Aと、この基部102Aの両端部下側から延出
された一対の脚部102Bと、基部102Aの両端部上
側から脚部102Bに対して平行に延出された一対のア
ーム部102Cと、によって構成されている。なお、脚
部102Bの前部及び後部には、下側へ凹む一対の凹部
104が形成されている。また、アーム部102Cの中
間部には脚部102B側へ凹む凹部106が形成されて
いる。
【0059】上述したバネクリップ102は、カラー1
00のスプリング係止部100Cに装着されている。バ
ネクリップ102がスプリング係止部100Cに装着さ
れた状態では、スプリング係止部100Cは一対の脚部
102B及び一対のアーム部102Cによって弾性的に
挟持された状態にある。さらに、バネクリップ102が
装着されたカラー100がスライドブラケット44の狭
幅開口50Aへ係止された状態では、各脚部102Bは
いずれも上下方向に加圧されて弾性変形した状態にあ
る。従って、この状態では、脚部102Bの上下方向へ
の弾性復元力(バネ反力)が、スライドブラケット44
の頂壁部44A及びカラー100のスプリング係止部1
00Cの裏面にそれぞれ作用して、バネクリップ102
と両者の接触面に所定の摩擦力をそれぞれ発生させてい
る(摩擦係合させている)。
【0060】上記構成によっても、前述した第1実施形
態と同様の作用並びに効果(即ち、通常時におけるペダ
ルブラケット26の後端側の車体側への取付剛性確保、
並びに、所定値以上の外力が車両前部に作用した際にお
けるペダルブラケット26の後端側と車体側との連結状
態の解除の容易化の両立)が得られる。なお、スライド
ブラケット44のスライドプレート48からの離脱に際
しては、バネクリップ102の脚部102Bが頂壁部4
4A上を摺動することにより、カラー100の狭幅開口
50Aから広幅開口50Bへの相対移動が許容されるこ
とになる。
【0061】離脱荷重の安定性に関して補足すると、本
実施形態では、所定形状のバネクリップ102をカラー
100に装着させ、更にこれをスライドブラケット44
の狭幅開口50Aに係止させることにより、スライドブ
ラケット44の頂壁部44A及びカラー100のスプリ
ング係止部100Cに脚部102Bの弾性復元力による
摩擦力をそれぞれ作用させる構成であるため、カラー1
00とスライドブラケット44との相互の係合状態を解
除するための離脱荷重は、バネクリップ102の脚部1
02Bとカラー100のスプリング係止部100Cとの
接触面における摩擦係数、並びに、当該脚部102Bと
スライドブラケット44の頂壁部44Aとの接触面にお
ける摩擦係数によって決定される。すなわち、本実施形
態によれば、バネクリップ100による摩擦係数の設定
如何で離脱荷重を管理することができる。このため、本
実施形態においても、前述した第1実施形態と同様に、
離脱荷重を所望の値に安定的に設定することができる。
【0062】一方、図14に示される実施形態では、固
定ボルト108そのものを利用して、前述した図12及
び図13に示される実施形態と略同様の効果が得られる
ように構成した点に特徴がある。すなわち、図14に示
されるように、固定ボルト108の鍔部108Aに隣接
する部位には周面平滑な平滑部108Bが形成されてお
り、この平滑部108Bに皿バネ110及び円筒状のカ
ラー112がこの順に嵌合されている。
【0063】従って、固定ボルト108をウエルドナッ
ト82に螺合させてスライドブラケット44とスライド
プレート48とを結合させた状態では、皿バネ110が
弾性変形して、その弾性復元力がスライドブラケット4
4の頂壁部44Aの裏面と固定ボルト108の鍔部10
8Aの裏面にそれぞれ作用して所定の摩擦力を発生させ
ている(摩擦係合させている)。上記構成によれば、皿
バネ110とスライドブラケット44との相互の係合状
態を解除するための離脱荷重は、皿バネ110の先端部
とスライドブラケット44の頂壁部44Aとの接触面に
おける摩擦係数、並びに、皿バネ110の基部と固定ボ
ルト108の鍔部108Aとの接触面における摩擦係数
(主たる要因となるものは前者)によって決定される。
すなわち、本実施形態によれば、皿バネ110による摩
擦係数の設定如何で離脱荷重を管理することができる。
このため、本実施形態においても、前述した図12及び
図13に示される実施形態と軌を一にするものといえ
る。
【0064】なお、図12及び図13に示される実施形
態では、カラー100、固定ボルト80、及びウエルド
ナット82(後二者については図示省略)が請求項4記
載の「固定手段」に相当し、バネクリップ102が「バ
ネ部材」に相当する。また、図14に示される実施形態
では、皿バネ110が「バネ部材」に相当するが、この
皿バネ110はカラー112、固定ボルト108、ウエ
ルドナット82と相まって「固定手段」を構成するもの
でもある。つまり、図14に示される実施形態では、皿
バネ110が「固定手段」と「バネ部材」とを兼ねてい
る。
【0065】なお、上述した実施形態では、スライドブ
ラケット44の頂壁部44Aに狭幅開口50A及び広幅
開口50Bから成る離脱用開口50を形成したが、これ
に代えて、一端が開放されたスリットを形成する構成を
用いてもよい。すなわち、請求項1、請求項3、請求項
4における「離脱用スリット」とは、本明細書では離脱
用開口50のような開口並びに前記のようなスリットの
双方を含む概念として定義して使用している。付言すれ
ば、前記のような一端が開放されたスリットを用いた場
合、当該スリットの略全域が「離脱阻止部」に相当し、
又当該スリットにおける外部と連通された開放端が「離
脱許容部」に相当する。
【0066】また、上述した実施形態では、スライドブ
ラケット44の頂壁部44A側に離脱用開口50を形成
したが、これに限らず、スライドプレート48側に離脱
用開口50等の「離脱用スリット」を形成してもよい。
【0067】さらに、上述した実施形態、例えば第1実
施形態では固定手段の一部であるカラー74と固定ボル
ト80とを別体で構成したが、これに限らず、両者を一
体形成する構成を採ってもよい。この場合、カラー相当
部分を有する固定ボルトを固定的に保持し、ウエルドナ
ット82に代えて通常のナットを螺合させ、当該ナット
側で締付トルクを管理すればよい。
【0068】また、第1実施形態では、カラー74の上
側のフランジ部74Bを加締用パンチ76でスライドブ
ラケット44の頂壁部44Aのテーパ孔52にかしめる
(変形させる)構成を採ったが、これに限らず、逆の構
成を採ってもよい。例えば、カラー74の一対のフラン
ジ部74Bに同軸上の孔を形成しておき(下側のフラン
ジ部74Bにはテーパ孔を形成し、上側のフランジ部7
4Bには当該テーパ孔よりも大径とされて加締用パンチ
が挿通可能な円孔を形成しておき)、スライドブラケッ
ト44の頂壁部44Aをかしめて下側のフランジ部74
Bのテーパ孔内へ係合させる構成を採ってもよい。さら
に、上下のフランジ部74B及びスライドブラケット4
4の頂壁部44Aに同軸上の貫通孔を形成しておき、こ
れらの貫通孔内へ所定の剪断荷重が作用することにより
剪断して係合状態を解除するシェアピンを挿通させてか
しめる構成を採ってもよい。
【0069】さらに、上述した実施形態では、吊り下げ
式のブレーキペダル10を対象として本発明を適用した
が、これに限らず、吊り下げ式のクラッチペダル等の車
両用ペダルに対して本発明を適用することも可能であ
る。
【0070】また、車両用ペダルの範疇を越えて、例え
ば、所定値以上の外力が車両前部に作用した際にステア
リングコラムを車体側から離脱させるための離脱構造と
して、本発明を適用することも可能であり、所定値以上
の外力が車両の所定部位に作用した際に一方の部材と他
方の部材との結合状態を解除して離脱させる必要がある
ものであれば、本発明はすべて適用可能である。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の本発
明に係る車両用離脱部構造は、一方の部材に設けられ、
外力作用方向に沿って相互に連通された離脱阻止部及び
離脱許容部を含んで構成される離脱用スリットと、離脱
許容部からは離脱可能とされると共に離脱阻止部からは
離脱不能とされ、一方の部材に軸方向への結合力を与え
ずに離脱阻止部にて一方の部材と他方の部材とを結合す
る固定手段と、この固定手段の一部と一方の部材とを相
互に係合させると共に、所定値以上の外力が車両の所定
部位に作用した際に係合状態を解除する係合手段と、を
有するので、通常時における取付剛性確保、並びに、所
定値以上の外力が車両の所定部位に作用した際における
部材同士の連結状態の解除の容易化の両立を図ることが
できるという優れた効果を有する。
【0072】請求項2記載の本発明に係る車両用離脱部
構造は、請求項1に記載の発明において、固定手段の一
部及び一方の部材の一方を他方側へ塑性変形させること
により、係合手段を設けたので、構造の簡素化及び製作
の容易化を図ることができるという優れた効果を有す
る。
【0073】請求項3記載の本発明に係る車両用離脱部
構造は、一方の部材に設けられ、外力作用方向に沿って
相互に連通された離脱阻止部及び離脱許容部を含んで構
成される離脱用スリットと、離脱許容部からは離脱可能
とされると共に離脱阻止部からは離脱不能とされ、一方
の部材に軸方向への結合力を与えずに離脱阻止部にて一
方の部材と他方の部材とを結合する固定手段と、一方の
部材における離脱阻止部周辺に設けられ、固定手段の一
部が圧入されることにより当該固定手段の一部と一方の
部材とを相互に係合させると共に、所定値以上の外力が
車両の所定部位に作用した際に係合状態を解除する凹凸
加工部と、を有するので、請求項1記載の発明と同様
に、通常時における取付剛性確保、並びに、所定値以上
の外力が車両の所定部位に作用した際における部材同士
の連結状態の解除の容易化の両立を図ることができ、し
かも構造の簡素化及び製作の容易化を図ることができる
という優れた効果を有する。
【0074】請求項4記載の本発明に係る車両用離脱部
構造は、一方の部材に設けられ、外力作用方向に沿って
相互に連通された離脱阻止部及び離脱許容部を含んで構
成される離脱用スリットと、離脱許容部からは離脱可能
とされると共に離脱阻止部からは離脱不能とされ、一方
の部材に軸方向への結合力を与えずに離脱阻止部にて一
方の部材と他方の部材とを結合する固定手段と、固定手
段と一方の部材との間に弾性変形した状態で介在され、
両者に弾性復元力による摩擦力を作用させることにより
当該固定手段と一方の部材とを相互に係合させると共
に、所定値以上の外力が車両の所定部位に作用した際に
係合状態を解除するバネ部材と、を有するので、請求項
1記載の発明と同様に、通常時における取付剛性確保、
並びに、所定値以上の外力が車両の所定部位に作用した
際における部材同士の連結状態の解除の容易化の両立を
図ることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るペダルブラケットの離脱部
構造の要部を示す拡大断面図である。
【図2】スライドブラケットの離脱用開口にカラーが係
止されかつ係合部が形成された状態を示す図1に対応す
る要部拡大断面図である。
【図3】図2に示される係合部を形成するための工程を
示す要部拡大断面図である。
【図4】スライドブラケットの離脱用開口にカラーを挿
入する前の状態を示す斜視図である。
【図5】第1実施形態に係るペダルブラケット及びブレ
ーキペダルを含む周辺構造を示す概略側面図である。
【図6】カラーの構成を変更した別の実施形態を示す図
4に対応する斜視図である。
【図7】図6に示される状態からカラーが離脱用開口に
係止されて係合用の折曲部を形成する際の工程を示す図
3に対応する要部拡大断面図である。
【図8】図7に示される状態から係合用の折曲部が形成
された状態を示す図2に対応する要部拡大断面図であ
る。
【図9】第2実施形態に係るペダルブラケットの離脱部
構造の要部を示す図4に対応する斜視図である。
【図10】図9に示される状態からスライドブラケット
にローレット加工部が形成された状態を示すスライドブ
ラケットの斜視図である。
【図11】図10に示されるローレット加工部を備えた
スライドブラケットにカラーが装着された状態を示すス
ライドブラケットの側面図である。
【図12】第3実施形態のペダルブラケットの離脱部構
造に用いられるカラー及びバネクリップを示す斜視図で
ある。
【図13】図12(A)はバネクリップ付きのカラーが
スライドブラケットに装着された状態を示す平面図であ
り、同図(B)は当該スライドブラケットの側面図であ
り、同図(C)は当該スライドブラケットの適宜断面線
に沿って切断した状態を示す断面図である。
【図14】第3実施形態に属する別の実施形態を示す図
1に対応する要部拡大断面図である。
【図15】従来例に係るブレーキペダル周辺の全体構成
を示す側面図である。
【図16】図15に示されるペダルブラケット及びブラ
ケットを拡大して示す斜視図である。
【図17】組付状態における長孔に対するボルトの位置
を示す平面図である。
【符号の説明】
44 スライドブラケット(一方の部材) 48 スライドプレート(他方の部材) 50 離脱用開口(離脱用スリット) 50A 狭幅開口(離脱阻止部) 50B 広幅開口(離脱許容部) 74 カラー(固定手段) 78 係合部(係合手段) 80 固定ボルト(固定手段) 82 ウエルドナット(固定手段) 84 カラー(固定手段) 84C 折曲部(係合手段) 92 ローレット加工部(凹凸加工部) 100 カラー(固定手段) 102 バネクリップ(バネ部材) 108 固定ボルト(固定手段) 110 皿バネ(バネ部材、固定手段) 112 カラー(固定手段)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定値以上の外力が車両の所定部位に作
    用した際に一方の部材と他方の部材との結合状態を解除
    させるための車両用離脱部構造であって、 一方の部材に設けられ、外力作用方向に沿って相互に連
    通された離脱阻止部及び離脱許容部を含んで構成される
    離脱用スリットと、 離脱許容部からは離脱可能とされると共に離脱阻止部か
    らは離脱不能とされ、一方の部材に軸方向への結合力を
    与えずに離脱阻止部にて一方の部材と他方の部材とを結
    合する固定手段と、 この固定手段の一部と一方の部材とを相互に係合させる
    と共に、所定値以上の外力が車両の所定部位に作用した
    際に係合状態を解除する係合手段と、 を有することを特徴とする車両用離脱部構造。
  2. 【請求項2】 固定手段の一部及び一方の部材の一方を
    他方側へ塑性変形させることにより、前記係合手段を設
    けた、 ことを特徴とする請求項1に記載の車両用離脱部構造。
  3. 【請求項3】 所定値以上の外力が車両の所定部位に作
    用した際に一方の部材と他方の部材との結合状態を解除
    させるための車両用離脱部構造であって、 一方の部材に設けられ、外力作用方向に沿って相互に連
    通された離脱阻止部及び離脱許容部を含んで構成される
    離脱用スリットと、 離脱許容部からは離脱可能とされると共に離脱阻止部か
    らは離脱不能とされ、一方の部材に軸方向への結合力を
    与えずに離脱阻止部にて一方の部材と他方の部材とを結
    合する固定手段と、 一方の部材における離脱阻止部周辺に設けられ、固定手
    段の一部が圧入されることにより当該固定手段の一部と
    一方の部材とを相互に係合させると共に、所定値以上の
    外力が車両の所定部位に作用した際に係合状態を解除す
    る凹凸加工部と、 を有することを特徴とする車両用離脱部構造。
  4. 【請求項4】 所定値以上の外力が車両の所定部位に作
    用した際に一方の部材と他方の部材との結合状態を解除
    させるための車両用離脱部構造であって、 一方の部材に設けられ、外力作用方向に沿って相互に連
    通された離脱阻止部及び離脱許容部を含んで構成される
    離脱用スリットと、 離脱許容部からは離脱可能とされると共に離脱阻止部か
    らは離脱不能とされ、一方の部材に軸方向への結合力を
    与えずに離脱阻止部にて一方の部材と他方の部材とを結
    合する固定手段と、 固定手段と一方の部材との間に弾性変形した状態で介在
    され、両者に弾性復元力による摩擦力を作用させること
    により当該固定手段と一方の部材とを相互に係合させる
    と共に、所定値以上の外力が車両の所定部位に作用した
    際に係合状態を解除するバネ部材と、 を有することを特徴とする車両用離脱部構造。
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