JPH10259854A - 免震構造体 - Google Patents

免震構造体

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JPH10259854A
JPH10259854A JP9068367A JP6836797A JPH10259854A JP H10259854 A JPH10259854 A JP H10259854A JP 9068367 A JP9068367 A JP 9068367A JP 6836797 A JP6836797 A JP 6836797A JP H10259854 A JPH10259854 A JP H10259854A
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JP
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carbon black
rubber
parts
weight
isolation structure
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Application number
JP9068367A
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English (en)
Inventor
Seiji Hara
誠治 原
Fumio Sekido
文雄 関堂
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐クリープ特性と耐鉛直荷重特性という、相
反する特性をともに満足しうる免震構造体Mを提供す
る。 【解決手段】 軟質層2を、基材ゴムと、カーボンブラ
ックと、一般式(1): 【化1】 〔式中、R1 、R2 およびR3 は、同一または異なる2
価の炭化水素基を示す。〕で表される化合物とを含有す
るゴム組成物を加硫して形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、たとえばビルや
橋梁等の建造物の基礎部分に設けられる免震構造体に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】上記建造物の、地震による破壊を防止す
べく、その基礎部分に、横方向に柔らかい免震構造体を
挿入することが検討され、実用化されつつある。上記免
震構造体としては種々の構造のものが提案されており、
その中の1つに、加硫ゴム等のゴム状弾性を有する材料
からなる軟質層と、鋼板等の剛性を有する材料からなる
拘束層とをそれぞれ複数層ずつ交互に積層した積層構造
のものがある。
【0003】上記の、積層構造の免震構造体において軟
質層に要求される最も重要な特性は、地震発生時に大変
形して、地震の巨大なエネルギーが直接、建造物に伝わ
るのを抑制する特性(免震特性)と、上記大変形時にそ
の変形のエネルギーを吸収して、建造物の振動を減衰す
る特性(ダンピング特性)である。また免震構造体に
は、建造物の巨大な荷重が長い年月にわたって加わえ続
けられることになるため、継続的に荷重が加えられた際
の軟質層の塑性変形量をできるだけ小さくして、免震構
造体の全体としてみた場合の鉛直方向への沈み込み量
(クリープ量)をできるだけ小さくする、すなわち耐ク
リープ特性を向上する必要もある。
【0004】また最近の、建造物の高層化、大重量化に
ともなって、免震構造体の軟質層には、上記の各特性に
加えてさらに、鉛直方向の剛性にすぐれること、すなわ
ち耐鉛直荷重特性の向上も要求されるようになってき
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】軟質層は一般に、未加
硫の基材ゴムと、補強剤としてのカーボンブラックとを
含有するゴム組成物を加硫して形成され、その塑性変形
量を小さくして耐クリープ特性を向上するには、上記カ
ーボンブラックの粒子径を大きくすればよいことが知ら
れている。
【0006】一方、軟質層の鉛直方向への剛性を高める
には、粒子径が小さく、かつストラクチャーの大きいカ
ーボンブラックを使用するか、あるいは剛直な構造の樹
脂(たとえばフェノール系樹脂等)を添加すればよいの
であるが、このいずれの場合にも、軟質層のエネルギー
ロスが増大して、圧縮時の緩和により耐クリープ特性が
低下してしまう。
【0007】すなわち耐クリープ特性と耐鉛直荷重特性
とは相反する特性であり、この相反する特性を両立させ
ることは、従来の技術では困難であった。この発明の目
的は、耐クリープ特性と耐鉛直荷重特性という、相反す
る特性をともに満足しうる、新規な免震構造体を提供す
ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、発明者らは、カップリング剤を仲立ちとして、基材
ゴムとカーボンブラックとをより強固に結び付けること
で、耐クリープ特性を向上することを検討した。つま
り、基材ゴム中に含有させるカーボンブラックとして
は、耐鉛直荷重特性の改善効果にすぐれた、粒子径が小
さく、かつストラクチャーの大きいカーボンブラックを
使用し、当該カーボンブラックと基材ゴムとをカップリ
ング剤によって化学的に結合して、圧縮時の緩和をでき
るだけ少なくすれば、耐クリープ特性が向上して、当該
耐クリープ特性と、耐鉛直荷重特性という相反する特性
を両立できるのではないかと考えたのである。
【0009】そこで、上記のごとく基材ゴムとカーボン
ブラックとを化学的に強固に結合できるカップリング剤
を求めてさらに検討を行った結果、一般式(1) :
【0010】
【化2】
【0011】〔式中、R1 、R2 およびR3 は、同一ま
たは異なる2価の炭化水素基を示す。〕で表される化合
物をカップリング剤として、未加硫のゴム組成物中に添
加すると、当該化合物中のイミノ基が、加硫により基材
ゴムと結合するとともに、ニトロ基が、カーボンブラッ
ク表面のカルボキシル基や水酸基と結合することによ
り、加硫後の軟質層中で、カーボンブラックと基材ゴム
とが強固に結合され、それによって耐クリープ特性が向
上するだけでなく、耐鉛直荷重特性もさらに向上するこ
とを見出し、この発明を完成するに至った。
【0012】したがってこの発明の免震構造体は、ゴム
状弾性を有する軟質層と、剛性を有する拘束層とを複数
層ずつ交互に積層したものであって、上記軟質層が、未
加硫の基材ゴムと、補強剤としてのカーボンブラック
と、当該カーボンブラック100重量部に対して3〜1
0重量部の、上記一般式(1) で表される化合物とを含有
するゴム組成物を加硫して形成されていることを特徴と
している。
【0013】
【発明の実施の形態】以下にこの発明の免震構造体を、
その実施の形態の一例を示す図1を参照しつつ説明す
る。図1にみるようにこの例の免震構造体Mは、円板状
の2枚の連結フランジ1、1と、両連結フランジ1、1
間に交互に積層された、同じく円板状の、複数層ずつの
軟質層2…および拘束層3…と、当該連結フランジ1、
1間で、上記軟質層2…、拘束層3…の外周を被覆する
被覆層4とを備えている。また免震構造体Mの中心部に
は、上記連結フランジ1、1、軟質層2…および拘束層
3…の各層を貫通して、通孔M1が形成されている。
【0014】上記のうち連結フランジ1および拘束層3
は、それぞれ従来同様に、鋼板等の剛性を有する材料に
て形成されており、このうち上側の連結フランジ1の上
面、および下側の連結フランジ1の下面には、それぞれ
免震構造体Mを基礎および建造物と連結するためのボル
ト(図示せず)が螺着される複数個のねじ穴12…が形
成されている。
【0015】軟質層2は、この発明では、前述したよう
に未加硫の基材ゴムと、補強剤としてのカーボンブラッ
クと、当該カーボンブラック100重量部に対して3〜
10重量部の、一般式(1) :
【0016】
【化3】
【0017】〔式中、R1 、R2 およびR3 は、同一ま
たは異なる2価の炭化水素基を示す。〕で表される化合
物とを含有するゴム組成物を加硫して形成されている。
上記基材ゴムとしては、前述した免震特性およびダンピ
ング特性にすぐれるとともに、外力に対する高い耐性
(耐破壊特性)を有する軟質層を形成しうるものが使用
される。つまり免震構造体には、前述したように平常時
でも常に、建造物から巨大な圧縮荷重が加えられてお
り、軟質層は、この圧縮荷重によって外周部が外方へ膨
張して、その表面にかなり大きな引張応力が加わった状
態となっているため、この引張応力によって裂けたりし
ないことが求められるとともに、地震発生による大変形
時には、場合によっては軟質層に、局部的にではあるが
およそ200%程度のせん断変形が加えられるおそれが
あるため、この変形によって破壊されないことが求めら
れる。
【0018】かかる諸特性を満足しうる軟質層を形成す
る基材ゴムとしては、これに限定されないがたとえば、
天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエ
ンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(S
BR)等があげられる。また上記以外の基材ゴムとして
はたとえばエチレン−プロピレン共重合ゴム(EP
M)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NB
R)、ブチルゴム(IIR)等があげられる。これらは
それぞれ単独で使用される他、2種以上を併用すること
もできる。
【0019】上記基材ゴム中に補強剤として含有させる
カーボンブラックとしては、ゴムの補強用として従来公
知の種々のカーボンブラックが、いずれも使用可能であ
るが、とくに前述したように、耐鉛直荷重特性の改善効
果にすぐれた、粒子径が小さく、かつストラクチャーの
大きいカーボンブラックが好適に使用される。具体的に
は、平均粒子径が50〜100nm程度で、かつストラ
クチャーを示すジブチルフタレート吸油量が80〜15
0ml/100g程度のカーボンブラックが好ましく、
かかるカーボンブラックとしては、たとえばファーネス
ブラックのうちFEF、HAF、ISAF、SAF等が
あげられる。
【0020】カーボンブラックの配合量はとくに限定さ
れないが、基材ゴム100重量部に対して10〜100
重量部であるのが好ましい。カーボンブラックの配合量
が上記の範囲未満では補強効果が不十分となって、たと
え前記一般式(1) で表される化合物を添加したとして
も、耐鉛直荷重特性を十分に改善できないおそれがあ
る。また逆に、カーボンブラックの配合量が上記の範囲
を超えた場合には、基材ゴム等の他の成分との混練加工
性が低下したり、あるいは混練後のゴム組成物の粘度が
高くなりすぎて押出加工性が低下したりするおそれがあ
る。なおカーボンブラックの配合量は、上記範囲内でも
とくに15〜80重量部であるのが好ましい。
【0021】カップリング剤としては、前記一般式(1)
で表される化合物が使用される。一般式(1) 中のR1
3 に相当する2価の炭化水素基としては、これに限定
されないがたとえばメチレン基;エチレン、プロピレ
ン、ブチレン、アミレン、ヘキシレン等のアルキレン
基;トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、
ヘキサメチレン等のポリメチレン基などがあげられる。
【0022】上記一般式(1) で表される化合物の好適な
具体例としては、これに限定されないがたとえば、下記
式(11):
【0023】
【化4】
【0024】で表されるN,N′−ビス(2−ニトロ−
2−メチルプロピル)−1,6−ヘキサンジアミンがあ
げられる。一般式(1) で表される化合物の添加量は、カ
ーボンブラック100重量部に対して3〜10重量部に
限定される。上記化合物の添加量が上記の範囲未満で
は、カーボンブラックと基材ゴムとを強固に結合して、
軟質層の耐クリープ特性、耐鉛直荷重特性を向上するこ
とができない。一方、添加量が上記の範囲を超えても、
それ以上の添加効果がえられないだけでなく、かえって
軟質層の耐鉛直荷重特性が低下するという問題を生じ
る。また、過剰の化合物が加硫後の軟質層の表面に析出
する、いわゆるブルームを生じるという問題もある。な
お一般式(1) で表される化合物の添加量は、上記範囲内
でもとくに5〜10重量部であるのが好ましい。
【0025】基材ゴムには、従来同様に加硫剤、加硫促
進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、老化防止剤、軟化
剤、可塑剤、粘着性付与剤、潤滑剤その他各種添加剤を
必要に応じて添加してもよい。上記のうち加硫剤として
は、たとえば硫黄、有機含硫黄化合物、有機過酸化物等
があげられ、このうち有機含硫黄化合物としては、たと
えばN,N′−ジチオビスモルホリン等があげられ、有
機過酸化物としては、たとえばベンゾイルペルオキシ
ド、ジクミルペルオキシド等があげられる。
【0026】また加硫促進剤としては、たとえばテトラ
メチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジ
スルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等の
チウラム系加硫促進剤;ジブチルジチオカーバミン酸亜
鉛、ジエチルジチオカーバミン酸亜鉛、ジメチルジチオ
カーバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカーバミン酸
テルル等のジチオカーバミン酸類;2−メルカプトベン
ゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾ
ールスルフェンアミド、ジベンゾチアジルジスルフィド
等のチアゾール類;トリメチルチオ尿素、N,N′−ジ
エチルチオ尿素等のチオウレア類などの有機促進剤や、
あるいは消石灰、酸化マグネシウム、酸化チタン、リサ
ージ(PbO)等の無機促進剤があげられる。
【0027】加硫促進助剤としては、たとえば亜鉛華等
の金属酸化物や、あるいはステアリン酸、オレイン酸、
綿実脂肪酸等の脂肪酸などがあげられる。加硫遅延剤と
しては、たとえばサリチル酸、無水フタル酸、安息香酸
等の芳香族有機酸;N−ニトロソジフェニルアミン、N
−ニトロソ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジハイ
ドロキノン、N−ニトロソフェニル−β−ナフチルアミ
ン等のニトロソ化合物などがあげられる。
【0028】上記加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤お
よび加硫遅延剤は、その合計の配合量が、基材ゴム10
0重量部に対して2〜20重量部程度であるのが好まし
い。老化防止剤としては、たとえば2−メルカプトベン
ゾイミダゾール等のイミダゾール類;フェニル−α−ナ
フチルアミン、N,N′−ジ−β−ナフチル−p−フェ
ニレンジアミン、N−フェニル−N′−イソプロピル−
p−フェニレンジアミン等のアミン類;ジ−t−ブチル
−p−クレゾール、スチレン化フェノール等ノフェノー
ル類などがあげられる。
【0029】老化防止剤の配合量は、基材ゴム100重
量部に対して1〜10重量部程度が好ましい。軟化剤と
しては、たとえば脂肪酸(ステアリン酸、ラウリン酸
等)、綿実油、トール油、アスファルト物質、パラフィ
ンワックス等の、植物油系、鉱物油系、および合成系の
各種軟化剤があげられる。
【0030】軟化剤の配合量は、基材ゴム100重量部
に対して1〜30重量部程度が好ましい。可塑剤として
は、たとえばジブチルフタレート、ジオクチルフタレー
ト、トリクレジルフォスフェート等の各種可塑剤があげ
られる。可塑剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対
して5〜20重量部程度が好ましい。
【0031】粘着性付与剤としては、たとえばクマロン
・インデン樹脂、芳香族系樹脂、芳香族・脂肪族混合系
樹脂、ロジン系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂等があ
げられる。これら粘着性付与剤の配合量は、基材ゴム1
00重量部に対して5〜50重量部程度が好ましい。
【0032】さらに潤滑剤としては、ポリエチレングリ
コール、ジエチレングリコール等の各種潤滑剤があげら
れる。これら潤滑剤の配合量は、基材ゴム100重量部
に対して1〜40重量部程度が好ましい。上記以外にも
基材ゴムには、たとえば分散剤、溶剤等を適宜、配合し
てもよい。
【0033】被覆層4は、前記のように建造物の基礎部
分に設けられて、長期間にわたって使用される免震構造
体の耐候性を向上し、とくに軟質層2が、酸化劣化やオ
ゾン劣化等を生じないようにするためのもので、軟質層
2と同じ基材ゴムにて形成してもよいが、とくに耐候性
にすぐれた基材ゴムにより形成するのが好ましい。被覆
層4を形成する耐候性にすぐれた基材ゴムとしては、こ
れに限定されないがたとえば、パラメチルスチレン−イ
ソブチレン共重合体の臭素化物、IIR、EPM等があ
げられる。
【0034】被覆層4は、上記基材ゴムに、加硫剤、加
硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、補強剤、充てん
剤、軟化剤、可塑剤その他、各種添加剤を添加したゴム
組成物により形成される。この発明の免震構造体Mを製
造するには、まず前述した各成分を、たとえば密閉式混
練機等を用いて混練して製造した軟質層2用の未加硫の
ゴム組成物を、ローラーヘッド押出機等を用いてシート
状に成形し、ついで円板状に打ち抜いた後、打ち抜いた
シートを複数枚、連結フランジ1、1、および複数枚の
拘束層3…とともに、図1に示す順序で積層して円柱状
の積層体とする。
【0035】つぎにこの円柱状の積層体のうち、軟質層
2…と拘束層3…に相当する部分の周囲に、上述した被
覆層4用の未加硫のゴム組成物のシートを巻きつける。
なおこの際、連結フランジ1、1、軟質層2…用のシー
ト、および拘束層3…の各層間と、上記の各層と被覆層
4用のシートとの間にはそれぞれ、加硫接着剤を介在さ
せてもよい。
【0036】そして上記の組み立てたものを所定の温
度、圧力で加熱、加圧してやると、未加硫のシートが加
硫されて軟質層2…と被覆層4とが形成されるととも
に、当該軟質層2…および被覆層4と、連結フランジ
1、1と、拘束層3…とが互いに加硫接着されて、図1
に示す免震構造体Mがえられる。なお上記免震構造体M
の中心部に形成された通孔M1は、上記加硫の際に、2
枚の連結フランジ1、1と、軟質層2…となるシート
と、拘束層3…とを位置決めするためのものであり、製
造方法によっては省略することもできる。
【0037】また図1の免震構造体Mは、軟質層2…、
拘束層3…の外径が、連結フランジ1、1の外径よりも
小さくなっており、当該連結フランジ1、1間で、軟質
層2…、拘束層3…の外周のみを、被覆層4によって被
覆していたが、上記連結フランジ1、1、軟質層2…、
拘束層3…の外径を全て同じにして、この全ての部材の
外周を、被覆層4で被覆してもよい。
【0038】あるいはまた、上記被覆層4は省略しても
よい。その他、この発明の要旨を変更しない範囲で、種
々の設計変更を施すことができる。
【0039】
【実施例】以下にこの発明を、実施例、比較例に基づい
て説明する。 実施例1 〈ゴム組成物の作製〉NR〔SMR CV60〕65重
量部とIR〔シェル化学(株)製のカリフレックスIR
309〕35重量部とを基材ゴムとし、この基材ゴム合
計100重量部に、カーボンブラックHAF〔三菱化学
(株)製のダイヤブラックH〕30重量部と、前記式(1
1)で表されるN,N′−ビス(2−ニトロ−2−メチル
プロピル)−1,6−ヘキサンジアミン1.5重量部
〔カーボンブラック100重量部あたり5重量部に相
当〕と、下記の各成分とを配合し、密閉式混練機で混練
してゴム組成物を作製した。
【0040】 (成 分) (重量部) ・アロマオイル 2.5 〔ジャパンエナジー(株)製のJOMOX140〕 ・老化防止剤 アンチゲンFR 2.0 〔住友化学(株)製、アミンとケトンの反応生成物〕 2−メルカプトベンゾイミダゾール 1.5 〔大内新興化学(株)製のノクラックMB〕 ・加硫剤 粉末硫黄〔鶴見化学(株)製〕 1.5 ・加硫促進剤 テトラブチルチウラムジスルフィド 1.0 〔大内新興化学(株)製のノクセラーTBT−n〕 ジベンゾチアジルジスルフィド 1.0 〔大内新興化学(株)製のノクセラーDM〕 ・加硫遅延剤 サントガードPVI 0.2 〔モンサント(株)製〕 ・加硫促進助剤 亜鉛華〔東邦亜鉛(株)製の銀嶺R〕 4.0 ステアリン酸〔日本油脂(株)製の桐〕1.0 〈免震構造体の製造〉上記ゴム組成物をローラーヘッド
押出機により、幅400mm、厚み2.1mmのシート
状に成形したのち、外径180mmでかつその中心部に
内径21mmの通孔を有する円板状に打ち抜いた。
【0041】つぎに上記円板状のシート25枚を、当該
シートと同じく外径180mmでかつその中心部に内径
21mmの通孔を有する、厚み1mmの円板状の拘束鋼
板(拘束層)24枚と交互に積層し、かつその上下に、
外径196mmでかつその中心部に内径21mmの通孔
を有する、厚み19.0mmの円板状の連結鋼板(連結
フランジ)2枚を重ね合わせた状態で、油圧プレスで圧
着した。
【0042】つぎに、上記積層体のうち2枚の連結フラ
ンジ間の、軟質層および拘束層となるシートおよび拘束
鋼板の周囲に、パラメチルスチレン−イソブチレン共重
合体の臭素化物〔エクソン化学(株)製のEXXPRO
EMDX 89−4〕からなる厚み3.0mmのシー
トを巻きつけた状態で、専用の金型に仕込み、油圧プレ
スで加圧しつつ加熱して加硫させた。加硫条件は、加硫
圧200kgf/cm 2 、加硫温度150℃とした。
【0043】そして加硫後に金型から取り出して、図1
に示す形状を有し、全体の厚みが107mm、通孔M1
の内径が20mm、2枚の連結フランジ1、1間の距離
が69mm、軟質層2の1層の厚みが1.8mmである
免震構造体のモデルを製造した。 比較例1 軟質層用のゴム組成物に、前記式(11)で表されるN,
N′−ビス(2−ニトロ−2−メチルプロピル)−1,
6−ヘキサンジアミンを添加しなかったこと以外は実施
例1と同様にして、同寸法の免震構造体のモデルを製造
した。
【0044】比較例2、3 前記式(11)で表されるN,N′−ビス(2−ニトロ−2
−メチルプロピル)−1,6−ヘキサンジアミンの添加
量を0.6重量部〔カーボンブラック100重量部あた
り2重量部に相当、比較例3〕、または3.6重量部
〔カーボンブラック100重量部あたり12重量部に相
当、比較例4〕としたこと以外は実施例1と同様にし
て、同寸法の免震構造体のモデルを製造した。
【0045】実施例2 カーボンブラックHAFに代えて、カーボンブラックF
EF〔東海カーボン(株)製のシーストSO〕30重量
部を使用したこと以外は実施例1と同様にして、同寸法
の免震構造体のモデルを製造した。 比較例4 軟質層用のゴム組成物に、前記式(11)で表されるN,
N′−ビス(2−ニトロ−2−メチルプロピル)−1,
6−ヘキサンジアミンを添加しなかったことと、カーボ
ンブラックHAFに代えて、カーボンブラックFEF
〔三菱化学(株)製のダイヤブラックH〕30重量部を
使用したこと以外は実施例1と同様にして、同寸法の免
震構造体のモデルを製造した。
【0046】上記各実施例、比較例で製造した免震構造
体のモデル、および各実施例、比較例で使用した軟質層
用のゴム組成物について、以下の各試験を行って、その
特性を評価した。 免震構造体の耐クリープ特性試験 各実施例、比較例で製造した免震構造体Mのモデルを、
雰囲気温度60℃の条件下で1昼夜、放置した後、上記
の温度条件下で、上下の連結フランジ1、1間に、50
tonクリープ試験機〔近江度量衡(株)製〕を用い
て、図2に黒矢印で示すように鉛直方向の荷重〔50k
gf/cm2 〕をかけた。
【0047】そして荷重をかけ始めて1分間、経過した
時点から計時を開始して10万分(およそ1666.7
時間)経過した時点で、2枚の連結フランジ1、1間の
距離を測定して、元の距離(=69mm)からの減少量
(mm)をクリープ量として求めて、その大小により免
震構造体Mのモデルの耐クリープ特性を評価した。 免震構造体の耐鉛直荷重特性試験 雰囲気温度20℃の条件下、上記50tonクリープ試
験機〔近江度量衡(株)製〕を用いて、各実施例、比較
例で製造した免震構造体Mのモデルの、上下の連結フラ
ンジ1、1間に加える鉛直方向の荷重(図2に黒矢印で
示す)を、90秒間かけて、0kgf/cm2 から60
kgf/cm2 まで増加させ、ついで90秒間かけて0
kgf/cm2 に戻す操作を1サイクルとして、3サイ
クル繰り返した。
【0048】そして3サイクル目の、荷重が増大する過
程のうち荷重が10kgf/cm2および50kgf/
cm2 の時点での全体鉛直荷重F10(tf)、F50(t
f)と、上記両時点での、上下のフランジ間の寸法の、
平常時からの減少量で表される鉛直方向の変移量χ
10(cm)、χ50(cm)、とから、下記式: K=(F50−F10)/(χ50−χ10) により、鉛直ばね定数K〔tf/cm〕を求めて、その
大小により免震構造体Mのモデルの耐鉛直荷重特性を評
価した。なお全体鉛直荷重とは、上記荷重の数値に、連
結フランジ1の面積を乗じて求められる、免震構造体M
のモデルの全体にかかる荷重のことである。
【0049】加硫ゴムの圧縮永久ひずみ試験 各実施例、比較例で使用したゴム組成物を加硫、成形し
て、JIS K6301「加硫ゴムの物理試験方法」の
うち圧縮永久ひずみ試験に規定された、厚み12.70
±0.13mm、直径29.0mmの直円柱状の試験片
を作製した。そしてこの試験片の圧縮永久ひずみ(%)
を、上記の圧縮永久ひずみ試験方法に則って、70℃、
22時間の条件で測定した。
【0050】加硫ゴムの低伸長応力試験 各実施例、比較例で使用したゴム組成物をシート状に押
出成形し、プレス加硫して、厚み2mmの加硫シートを
作製した。そしてこの加硫シートを打ち抜いて、JIS
K6301「加硫ゴムの物理試験方法」のうち低伸長
応力試験に規定されたたんざく状1号試験片を作製し、
この試験片の低伸長応力を、上記の低伸長応力試験方法
に則って、伸長率25%、2回の予備伸長時の伸長率3
7.5%の条件で測定した。
【0051】そしてこの試験で測定された25%伸長応
力σ25(kgf/cm2 )に、JIS K6386「防
振ゴムのゴム材料」に規定された係数1.639を乗じ
て、静的せん断弾性率GS (kgf/cm2 )を求め
た。以上の結果を表1、2に示す。なお下記表1、2
中、カップリング剤の欄の「対C.B.換算値」とは、
カップリング剤の添加量を、カーボンブラック100重
量部に対する添加量に換算した値を示している。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】表1の実施例1と比較例1、実施例2と比
較例4の結果より、カーボンブラックの種類にかかわら
ず、カップリング剤を添加することによって、耐クリー
プ特性および耐鉛直荷重特性を向上できることがわかっ
た。また上記実施例1、2の結果より、カーボンブラッ
クの種類によって、つまりその平均粒径、ストラクチャ
ー等の特性の違いによって、耐クリープ特性と耐鉛直荷
重特性を調整できることもわかった。さらに表2の結果
より、カップリング剤の添加量が、カーボンブラック1
00重量部あたり3〜10重量部のときに、耐クリープ
特性および耐鉛直荷重特性がともに最も良好となること
がわかった。
【0055】
【発明の効果】以上、詳述したようにこの発明によれ
ば、軟質層を構成する基材ゴムとカーボンブラックと
を、特定のカップリング剤の作用によって化学的に強固
に結合することによって、耐クリープ特性と耐鉛直荷重
特性という、相反する特性をともに満足しうる免震構造
体がえられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の免震構造体の、実施の形態の一例を
示す部分切り欠き斜視図である。
【図2】この発明の実施例、比較例で作製した免震構造
体のモデルに対して行った各試験における、荷重の方向
を説明する図である。
【符号の説明】
M 免震構造体 2 軟質層 3 拘束層
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI E04B 1/36 E04B 1/36 B E04H 9/02 331 E04H 9/02 331A

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゴム状弾性を有する軟質層と、剛性を有す
    る拘束層とを複数層ずつ交互に積層した免震構造体であ
    って、上記軟質層が、未加硫の基材ゴムと、補強剤とし
    てのカーボンブラックと、当該カーボンブラック100
    重量部に対して3〜10重量部の、一般式(1) : 【化1】 〔式中、R1 、R2 およびR3 は、同一または異なる2
    価の炭化水素基を示す。〕で表される化合物とを含有す
    るゴム組成物を加硫して形成されていることを特徴とす
    る免震構造体。
  2. 【請求項2】ゴム組成物におけるカーボンブラックの含
    有量が、基材ゴム100重量部に対して10〜100重
    量部である請求項1記載の免震構造体。
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JP2013181155A (ja) * 2012-03-05 2013-09-12 Nitto Denko Corp 制振シート

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