JP2623584B2 - 免震装置 - Google Patents

免震装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は複数個の硬質板と粘弾性的性質を有する軟質
板とを交互に積層してなる免震装置に関するものであ
り、特にフランジ近傍に発生する局部歪を小さくするこ
とにより、建物と基礎部の両方に安定に固定することを
可能ならしめた、耐震性及び耐久性に優れた免震装置に
関するものである。
[従来の技術] 鋼板等の硬質板とゴム等の粘弾性的性質を有する軟質
板とを積層した構造体(免震装置)が、地震時に要求さ
れる防振性、吸振性等を満たす支承部材として最近注目
をあびている。
このような免震装置は、コンクリートのような剛体建
物と基礎土台との間に、横方向に柔らかい、即ち剪断剛
性率の小さい免震装置を挿入することにより、コンクリ
ート建物の固有周期を地震の周期からずらす作用を有
し、かかる作用により、地震により建物が受ける加速度
は非常に小さくなる。
このような支承部材に用いられる免震装置は、建物と
土台との間に挿入され、建物全体を支える働きをしてい
るため、一旦設置された後は、取替えが困難であり、ま
た、例え技術的には取替え可能であっても、コスト的に
かなり高いものとなる。このため、免震構造体にはコン
クリート構造物と同程度の50〜60年の耐久寿命が要求さ
れている。
免震装置は、通常、第2図(a)に示すように、軟質
板R1,R2,R3と硬質板S1,S2,S3との積層構造体1の上下
面、即ち、建物2及び基礎3と接する部分にフランジと
言われる厚い鋼板4,5が強固に接着されて構成されてい
る。
従来、複数個の剛性を有する硬質板と粘弾性的性質を
有する軟質板とを交互に貼り合わせた積層構造体よりな
る免震装置については種々提案がなされているが、これ
らは、いずれもその全体形状が円柱又は角柱形状であっ
て、硬質板の直径(又は大きさ)はすべて同一とされて
いた。また、その厚さ、剛性率、材質等も同一のものが
用いられていた。
このような免震装置10においては、地震による変形後
は再び元の位置へ戻る(弾性変形)ことが大きな特徴と
されており、このため大地震時には、第2図(b)に示
す如く、建物のゆれに伴い免震装置10は大きな剪断変形
を起こし、硬質板S1〜S3にはさまれた軟質板R1〜R3は数
百%におよぶ大きな引張変形を受ける。とりわけ、軟質
板の中でも、フランジに近い軟質板R1の表層に近い部分
Xでは、剪断変形に伴い硬質板S1が矢印の方向に曲がる
ため、極めて大きな局部歪が発生し、免震構造体の損
傷、破断の原因となるものと従来より考えられていた。
即ち、今日に至るまで、建物の重量を長期間支えてい
る免震装置に地震時の大きな剪断変形が加わったとき、
免震装置の内部にどのような局部応力、局部歪が発生す
るかを詳細に解析することはなされておらず、このた
め、従来は免震装置を実際に変形させてみたときの大体
の形状から上述の如く、X部に最大の局部歪が発生する
のではないかと推測されていたのである。
従って、イギリスやニュージーランドでは、このフラ
ンジ付近の最大局部歪による免震装置の破壊をさけるた
めに、第3図(a)の如く、免震装置10の取付用フラン
ジ8,9に凹部8a,8b,9a,9bを設け、この凹部8a,8b,9a,9b
と建物2および基礎3に設けたボルト2a,2b,3a,3bとを
嵌合させて免震装置10を取付けている。(このような方
式を「ダウエル式」という。)このようにすることによ
り、地震発生時には第3図(b)の如く、フランジ8,9
が矢印の方向に曲がり、免震装置10におけるA部に大き
な局部歪が発生するのが防止され、免震装置10の損傷、
破断が防止されると考えられていた。
[発明が解決しようとする問題点] 第3図(a),(b)に示す従来技術は、フランジ8,
9が基礎3にも建物2にも固定されておらず、剪断変形
に応じて曲がるような構成であるため、建物は非常に不
安定となり、激しいロッキングにより傾動する可能性も
でてくる。即ち、周知の通り、コンクリートのような剛
性建物の下に免震装置のような柔構造物を置いた場合、
地震の横揺れ、縦揺れを受けると、単純な水平運動以外
に、垂直運動や回転運動が発生し、建物のロッキング現
象が起こり易い。
このような観点から、地震による揺れの激しい環境下
で使用される免震装置は、フランジを介して土台及び基
礎と完全にかつ強固に固定された安定構造であることが
望ましい。
本発明者らは、局部歪による損傷、破損等の問題を生
じることのない基礎固定式免震装置について検討を行な
うにあたり、まず、免震装置が建物を支えることに起因
する圧縮変形や、地震時の水平方向の揺れによる剪断変
形を受けるときに、免震装置内のどの部分にどのような
大きさの局部歪が発生するかを解析することが重要であ
ると考え、ゴム材料の大変形応力の解析に着手した。
免震装置が長期間建物を支え、かつ大地震の揺れに対
しても十分安全な構造体である為には、従来の勘による
経験的設計ではなく、理論的定量的設計が不可欠である
ことは論を待たない。
ところで、材料の応力解析を行なうには、コンピュー
タによるFEM(有限要素法)解析を用いるのが一般的で
あるが、このFEM解析を行なう際、材料の応力〜歪関係
を線形近似で表示するために、微小変形に対する解析で
は計算値と実測結果は一致するが、大変形になると計算
値と実測値の一致性が非常に悪いというのが現状であ
る。
そして本発明における研究においては、免震装置のよ
うに特別大変形する構造体に対して、ゴム材料の非線形
性をできるだけ忠実に表示する方法を用い、その結果、
圧縮歪8.5%、剪断歪100%変形時において、第4図に示
すように、実測(破線)と計算(実線)による変形状態
が十分に一致する解析結果を得ることができた。
しかして、このように、定量的に十分に信頼し得るFE
M解析結果を得ることができることを確認した上で、ま
ず、第5図に示すような、5層のゴム(R11,R12,R13,R
12,R11)、4層の鋼板(S11,S12,S12,S11)及びフラン
ジ4,5からなる免震装置に、圧縮歪6%、剪断歪100%を
与えた時の変形状態及び各部の主歪を調べた。その結
果、第6図に示すような変形状態(模式図)のA〜Eの
各点で、A点=B点=138%、C点=D点=51%、E点
=80%の歪値が解析された。この結果から、中心のR13
に比し、フランジ付近のR11に大きな歪が現れているこ
とが確認された。
前述した如く、免震装置の剪断変形によってフランジ
付近の引張側(即ち、第6図のA)部に大きな局部歪が
現れるということは、従来より、多くの人が経験的に信
じてきたことである。しかしながら、本発明者らによる
上記解析で更に重要なことは、フランジ付近のゴムR11
には、引張側Aのみならず、圧縮側BにAと同等以上に
大きな局部歪が現れるということである。
更に検討を重ねた結果、免震装置に圧縮変形と剪断変
形が加わった場合、フランジ付近の引張側Aと圧縮側B
に大きな局部歪が発生し、このような局部歪の偏在は、
フランジに隣接するゴム層R11のみならずR12のゴム層に
も及んでいること(もし、ゴム層の数が非常に多い場合
には、更に中心側のゴム層に影響を及ぼす。)が見出さ
れた。
この解析結果は、先願に関する研究において、極めて
重要な知見を与えた。即ち、第3図(a),(b)に示
すような、イギリス、ニュージーランドで用いられてい
る引張側のフランジが曲がるダウエル方式の場合、確か
にA部の局部歪を小さくする効果はあるものの、このよ
うな構成はB部の局部歪をより増加させる結果となり、
全体としてはフランジ付近のB部からの破壊を引き起こ
す原因となる。従って、ダウエル方式は、フランジ付近
の局部歪を小さくして破壊に対する安全率を増加させる
には到らず、ロッキングの危険性を導入したにすぎない
と言える。
このため、従来より、フランジを介して建物及び基礎
に固定して設置しても、局部応力と局部歪の発生が極め
て少ない免震装置(本明細書において、このような免震
装置を「基礎固定式免震装置」と称す。)の出現が強く
望まれていた。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、上記従来の問題点を解決し、建物及び土台
に安全性良く固定して設置することができ、この状態に
おいて、局部歪の発生が減少し、また局部歪による損傷
及び破損等が大幅に低減される、改良された免震装置を
提供することを目的とする。
本発明は、複数個の剛性を有する硬質板と粘弾性的性
質を有する軟質板とを交互に積層してなる積層構造体の
上下面にフランジが設けられてなる免震装置の改良に関
する。
本発明において、該積層構造体の少なくともフランジ
と接する上下部分が、フランジに向けて次第に横断面積
が大きくなるように、その外表面が内側に縦断面円弧状
又は略円弧形状に反った湾曲面とされている。そして、
この次第に横断面積が大きくなる部分では、フランジに
近い硬質板ほど大径とされている。
[作 用] 本発明の免震装置は次のような特徴を有する。
フランジ付近に、最大局部歪等の大きな局部歪が集
中することなく、免震装置全体に幅広く平均的に分布し
ている。
免震装置中に発生する最大局部歪が大幅に低減して
いる。
座屈し難くなる。
このようなことから、局部歪による免震装置の損傷,
破損等の問題が解消される。
[実施例] 以下図面を参照して実施例について説明する。
第1図は本発明の一実施例に係る免震装置20の縦断面
図である。この免震装置20は、粘弾性的性質を有するゴ
ム等の軟質板11と、鋼板等の剛性を有する硬質板12(1
2′,12″)とが交互に積層された積層構造体13の上下面
にフランジ4,5が設けられている。
しかして、本実施例の免震装置20は、積層構造体13の
フランジ4,5と接する部分の近傍は、フランジに向けて
次第に横断面積が大きくなるように、その外表面が内側
に縦断面円弧状又は略円弧状に反った湾曲面となるよう
に、各硬質板11及び軟質板12の直径が調整されている。
即ち、硬質板12,12′,12″のそれぞれの直径l1,l2,l3
は l1>l2>l3 とされている。
なお、本発明において、積層構造体の断面形状は、内
側に反った湾曲面(換言すると外側に凹形状を形成する
湾曲面)が形成されていれば良く、その形状は第1図に
示すものに制限されるものではない。例えば、第7図
(a)に示す如く、フランジ4,5近傍が湾曲面とされ積
層構造体13の軸方向中央部は円筒形状のもの(第1図の
例は、この第7図(a)に示すものに相当する。)、第
7図(b)に示す如く、積層構造体13の全体が断面円弧
形状であるもの、第7図(c)に示す如く、断面形状は
直線の組み合わせにより略円弧形状を構成しているもの
などが挙げられる。また、これらの場合において、直径
の最も小さい硬質板や軟質板は積層構造体13の軸方向中
央部に位置しているが、これらは必ずしも中央部でなく
ても良く、免震装置の設置位置に応じて、第7図(d)
に示す如く、中央部よりも若干上方に(あるいは下方
に)最も直径の小さい硬質板が位置するような湾曲面を
形成するものであっても良い。
本発明において、異なる直径の硬質板12,12′,12″に
おいて、その剛性は必ずしも同一である必要はなく、む
しろ硬質板の直径に応じて、あるいは積層構造体全体が
大変形したときの各硬質板の変形状態等に応じて、各硬
質板の剛性は異なる方が良い場合もある。この場合に
は、積層構造体に十分な免震効果が付与されるように、
各硬質板の剛性を調整する。
硬質板の剛性は、硬質板の材質自体を変えることによ
り、あるいは硬質板の厚さを変えることにより調整する
ことができる。
ところで、鋼板等の硬質板とゴム等の軟質板との積層
体である支承部材において、硬質板のエッジ部に接触し
ている軟質板の部分に過大な応力及び歪が発生し、この
部分で損傷を起こしやすいということは周知の事実であ
る。
そこで、従来、このような硬質板のエッジ部と接触す
る軟質板の局部的な応力を減少させるために、第8図に
示す如く、軟質板21の側面に、縦断面形状が外に向って
凹曲面を成す凹部を形成したゴム支承片が知られている
(実公昭58−30818)。
しかしながら、硬質板と軟質板が多数枚貼り合わされ
た構造を有する免震装置においては、各軟質板に凹曲面
を設けることは、モールドとの離型性を悪くする;モー
ルドのコスト高になるなどの問題がある。特に軟質板の
厚さが小さい場合には、このような問題点が一層著しく
なる。
また、上記従来の積層構造体においては、鋼板等の硬
質板の端面が外部に露出しているので、この端面の部分
から腐食が進行し易いという問題もある。なお、このよ
うな腐食を防ぐために、防振ゴムなどにおいて、外部に
露出する金属板側周面を塗装などによって被覆すること
も行われているが、免震装置の場合、使用期間が著しく
長いこと(例えばコンクリート構造物の場合、60年程度
の耐久性は満たされなければならない)を考えると、こ
のような塗装による方法では、長期間に亘って耐久性を
保障することは困難である。
このような問題を解決するために、第9図に示す如
く、硬質板12(12′,12′)の側端面を外側に脹らみ出
した断面円弧状ないし円弧類似形状のものとすると共
に、この硬質板の外周囲部分をも特殊ゴム14で覆って、
硬質板11を外皮層の内部に埋め込むよう構成したものと
するのが好ましい。
この場合、硬質板12の側端面に形成される膨出部の断
面円弧形状の円弧の半径は、第9図のX部の拡大図であ
る第10図に示すrの値で、 好ましくは 0.1R≦r より好ましくは 0.3R≦r とりわけ 0.5R≦r とするのが望ましい。(ただし、1Rは半径1mmの円弧で
ある。) なお、この膨出部の円弧形状又は円弧類似形状とは、
上記の円弧以外に、局部応力を低減させるべく円弧的な
働きをするもの、例えば第11図(a),(b)の如く、
複数の直線状切断面よりなるもの、又は、第11図(c)
の如く、直線状切断面と円弧の組合せよりなるものな
ど、様々な円弧類似形状を含む。
本実施例の如く、硬質板12のエッジ部を曲線又は直線
の組合せによってなめらかなものとすることにより、エ
ッジ部の接触している軟質板11部分に発生する応力又は
歪を大幅に低減させることが可能となる。
ところで、免震装置は、使用中、常に外気にさらされ
ているため、酸素、湿度、オゾン、紫外線、原子力用に
おいては放射線、海辺における場合では海風、により長
期劣化を受ける。また、建物を支えているため、常に圧
縮荷重を受けており、平常時でもゴム層の表面部にはか
なりの引張応力が付与されている。特に、長期使用によ
ってクリーブ量が大きくなると、例え圧縮歪が数%〜10
%であっても、表面部での引張歪は100〜300%にもおよ
ぶことになる。その上、大地震発生時には、免震装置は
100〜200%の剪断歪を受けるために、この歪が複合化さ
れ、免震装置の表面部も非常に大きな歪を受けることに
なる。そして、免震装置の表面部ゴムの外気による劣化
は、引張応力や引張歪が大きくなればなる程一層進行す
る。
以上のことから、免震装置の表面部ゴムに対しては a できる限り引張歪を小さくすること b 耐候性の優れたゴムを使用すること が重要となる。
そこで、本発明者らは、この免震装置の表面部の引張
歪と耐候性について、従来の免震装置の構造に基づいて
以下のような検討を行なった。
現在提案されている免震装置には、次のようなものが
ある。
第12図に示す如く、ゴム層21と金属板22とが積層さ
れ、金属板22のエッジ部22aは表面に出ているか、薄い
(0.5〜1mm程度)ゴム層で被われている。
第13図に示す如く、ゴム層21と金属板22とが積層さ
れ、金属板22のエッジ部22aは厚い表面ゴム23で被われ
ている。
これらの免震構造体に使用されているゴム材料は、イ
ギリス、ニュージーランドにおける天然ゴム系、フラン
スにおけるクロロプレンゴム系に大別される。
即ち、フランスでは耐候性を重視する結果、クロロプ
レンゴムを用いており、一方、イギリス、ニュージーラ
ンドでは、ゴムの耐破壊特性を重視して、天然ゴムを用
いている。そして、イギリスでは、天然ゴムの耐候性
(耐熱老化性、耐オゾン性、耐酸化劣化性など)の悪い
のを補うために、第13図の如く、厚い表面ゴム層を形成
する方法が採用されている。(例えば、ロスアンゼルス
郊外に建てられた裁判所に用いられているイギリス製免
震装置の場合、表面ゴム層厚は75mmとなっている。) 本発明者らは、まず静荷重時及び地震時に免震装置の
外表面部に発生する引張歪を低減させるために、第13図
の積層構造体の外側を被覆する外表面ゴム23(以下、積
層構造体の鋼板等の硬質板のエッジ端より外表面までの
部分(第13図における厚層Tの部分)を「外皮層」と呼
ぶ。)について検討した。
しかして、外皮層の外気にふれる外表面に発生する局
部歪は、外皮層厚Tが増加するにつれ、次第に減少する
が、ある程度の厚さに達すると、それ以上厚くしても局
部歪を小さくする作用は極めて乏しくなることが認めら
れた。一方、外皮層の厚さが増加する程、材料的にコス
ト高となるのみならず、加硫を大幅に遅らせるために、
全体として相当のコスト高となる。
このようなことから、外皮層の厚さTは1〜30mm、望
ましくは2〜20mm、とりわけ3〜15mmとするのが好まし
い。ただし、免震装置に耐火性等の他の性能が特に要求
される場合においては、外皮層を30mmを超える厚さとす
ることも可能である。
一方、前述の通り免震装置は常に外気にさらされた状
態で使用されるため、免震装置の外表面は極めて耐候性
の優れたゴムで保護されている必要がある。
これに対して、従来の免震装置のうち、ゴム材料とし
て耐候性の良いクロロプレンゴムを用いた場合、クロロ
プレンゴムはヒステリシスロスが大きいためクリープが
大きくなるのはもとより、耐寒性が悪く、低温結晶化し
易いことから、低温においてゴムの硬度が増加するた
め、クロロプレンゴムを用いた免震装置は本来の免震性
能が発揮できなくなると共に、高価なクロロプレンゴム
を用いることによって製品コストが大幅に増加するとい
う欠点がある。
一方、天然ゴムは周知の通り耐候性が悪い。劣化した
天然ゴムでは、オゾンクラックの発生等、目に見える変
化が起こるだけではなく、弾性率が大幅に増加し、破断
強度、破断時伸びが大幅に低下する。即ち、大気中の長
期劣化によって、天然ゴムは表面に無数のオゾンクラッ
クを有し、しかも脆い材料に変化してしまうのである。
従って、第9図のような構成とした場合においても、
表面のゴム層が劣化し、このような劣化層で被われてい
ると、内部のゴム層は劣化していない場合でも、地震に
よる繰り返し大変形等を受けると、まず表面の劣化層が
簡単に破断し、更にそれが引き金となって内部のゴム層
全体の破断をもたらす可能性がある。(例えば熱劣化性
の優れたAゴムの表面に、熱劣化性の悪いBゴムを薄く
塗布してこれを熱劣化させると、Aゴムの表面に形成さ
れたBゴムの熱劣化層のため、折り曲げただけでAゴム
も簡単に破断することがある。) また、免震装置の表面ゴム層に発生したオゾンクラッ
ク等の亀裂から水分が侵入すると、硬質板の金属に錆が
発生し、またこれにより、金属板とゴム層とが剥離する
危険性もある。
免震装置には、前述の如く、約60年という長年月にわ
たる耐久性が要求されること、多少なりとも劣化した部
分が生じた場合には、これが破断して、免震装置全体の
破断につながりかねないこと、地震発生時にはどのよう
な不測の変形を受けるとも限らず、これがために多少の
劣化も軽視することはできないこと、免震装置は建物と
人命を支えるものであることから、その安全性は常に完
璧であるべきであること等を考慮した場合、免震装置は
その使用の環境下で劣化性の極めて少ないものであるこ
とが望まれる。しかも、あらゆる工業生産に要求される
ことであるが、製品コストを低く押さえることは常に要
求されることである。
従って、天然ゴムなどの耐候性の悪いゴムを用いて構
成される免震装置の場合、その外表面部を耐候性の優れ
た特殊ゴムで被覆することが要求されてくるのである。
第9図に示す本発明の実施例において、積層構造体13
との外表面部の特殊ゴム14として好適な耐候性に優れた
ゴムとしては、例えば、ブチルゴム、アクリルゴム、ポ
リウレタン、シリコンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、
エチレンプロピレンゴム(EPR及びEPDM)、ハイパロ
ン、塩素化ポリエチレン、エチレン酢酸ビニルゴム、エ
ピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム等が挙げられ
る。これらのうち、特にブチルゴム、ポリウレタン、エ
チレンプロピレンゴム、ハイパロン、塩素化ポリエチレ
ン、エチレン酢酸ビニルゴム、クロロプレンゴムが耐候
性の面からは効果的である。更に軟質板を構成するゴム
等との接着性を考慮した場合には、ブチルゴム、エチレ
ンプロピレンゴム、クロロプレンゴムが望ましく、とり
わけエチレンプロピレンゴムを用いるのが最も好まし
い。
これらのゴム材料は単独で用いても、2種以上をブレ
ンドして用いても良い。また、伸び、その他の物性を改
良するために市販ゴム、例えば、天然ゴム、イソプレン
ゴム、エチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニト
リルゴム等とブレンドしても良い。更に、これらのゴム
材料には、各種充填剤、老化防止剤、可塑剤、軟化剤、
オイル等、ゴム材料に一般的な配合剤を混合しても良
い。特に、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエ
ン樹脂を、ゴム材料100重量部に対し10〜40重量部、更
にロジン誘導体を5〜20重量部添加することにより、破
壊特性、金属との接着性等が大幅に改良され、極めて有
利である。なお、この場合、ロジン誘導体としては、主
成分がアビエチン酸、ピマール酸及びこれらに類似した
構造のカルボン酸の混合物で各種のロジン系エステル、
重合ロジン、水素添加ロジン、硬化ロジン、ハイロジ
ン、樹脂酸亜鉛、変性ロジン等が挙げられる。
本発明においては、基本的には前述の外皮層を、上記
の耐候性に優れた特殊ゴムで構成し、その厚さを前述の
外皮層厚さTと一致されるのが好ましいが、製造上ない
しその他の理由により不可能な場合には、この特殊ゴム
14の厚さ、即ち、第9図の厚さtは必ずしも外皮層厚さ
Tと一致していなくても良い。その場合、特殊ゴム厚さ
tは、1〜20mm、望ましくは2〜15mm、とりわけ2〜10
mmとするのが好ましい。このような特殊ゴムBは、軟質
板11、硬質板12およびフランジ4,5に強固に接着するこ
とが重要であるが、接着は a 軟質板11のゴム材料(以下「内部ゴム」ということ
がある。)と特殊ゴム14とを同時に加硫接着する方法。
b 内部ゴムのみ先に加硫した後、特殊ゴムを加硫させ
て接着させる二段式加硫接着法。
c 内部ゴム、特殊ゴムを別々に加硫した後、接着剤で
貼り合わせる方法。
などにより容易に行える。接着に際し、内部ゴムと特殊
ゴムの接着が不良である場合には、両者の間に両者に対
して接着性の良好な第三のゴム層を介在させても良い。
また、内部ゴム及び/又は特殊ゴムに接着性向上のため
の添加物を配合しても良い。
第9図に示す実施例の如く、硬質板のエッジ部を円弧
形状ないし円弧類似形状に膨出させて適当な厚さの特殊
ゴムで被覆することにより、免震装置のフランジ付近の
局部歪をより低減化させ、免震装置全体として歪の平均
化を計ると共に局部歪の絶対値を低減化させることがで
きる。
ところで、第1図、第9図に示すような構成により、
フランジ付近の局部歪が小さくなった場合においても、
免震装置の他の部分の局部歪が大きくなり、全体として
みると最大局部歪が低減していないということが一般に
起こる可能性もある。
従って、フランジ付近の局部歪を低減化し、かつ免震
装置全体の局部歪を平均化すると共に、各部における局
部歪の絶対値を減少させるには、これまで述べてきた本
発明の特徴とする構造、即ち、積層構造体の少なくとも
フランジと接する上下部分が、フランジに向けて次第に
横断面積が大きくなるように、その外表面が内側に縦断
面円弧状又は略円弧状に反った湾曲面とされており、か
つこの次第に横断面積が大きくなる部分においては、フ
ランジに近い硬質板ほど大径であること、特にこのよう
な構造において、 (i) 積層構造体のフランジと接する部分に形成され
る湾曲面の形状。
(ii) 硬質板の側端面に形成される膨出部の形状。
(iii) 積層構造体の外表面を被覆する特殊ゴムの厚
さ。
による改良効果を十分引き出すべく、各要素のバランス
を保つことが何より重要である。しかしてこのバランス
は、本発明者らが開発した大変形用FEM計算によって初
めて良好に保たれることが可能とされるのである。
なお、本発明において、硬質板12の材質としては、金
属、セラミックス、プラスチックス、FRP、ポリウレタ
ン、木材、紙板、スレート板、化粧板などを用いること
ができるが、なかでも鋼板が好ましい。また軟質板11と
しては、ゴム状弾性を有するものであって、各種の加硫
ゴム、未加硫ゴムなどの有機材料、これらの発泡体など
各種のものを用いることができるが、加硫ゴムが好まし
い。
特に軟質板の材料としては、特に軟質板にダンピング
効果(エネルギー吸収能力)を与えようとする場合に
は、次のようなゴム組成物が好ましい。即ち、 天然ゴムを主成分とするゴム100重量部にシクロペ
ンタジエン樹脂及び/又はジシクロペンタジエン樹脂を
15〜100重量部配合したもの 又は ゴム100重量部に軟化点又は融点が150℃以下のフェ
ノール樹脂を3〜40重量部配合したもの であって、加硫後の特性が下記(i),(ii)を満足す
るものである。
(i)25℃、100%引張変形時のピステリシス比が0.1〜
0.7 (ii)5Hz、0.01%動的変形時の−10℃、30℃における
貯蔵弾性率E(-10)、E(30)の比E(-10)/E(30)が1.0〜2.5 これらの硬質板12及び軟質板11の形状は、円形、方
形、その他五角形、六角形の多角形としても良い。この
のような硬質板と軟質板とを接着させるには、接着剤を
用いたり共加硫すれば良い。
このような本発明の免震装置は、免震作用の他に、除
振(防振、制振)等の特性を備えている。
ところで、本発明の免震装置においては、免震効果と
共により高い減衰効果を発揮させるための別の方法とし
て、第14図に示す如く、軟質板及び硬質板よりなる積層
構造体13の中心部に円筒状の空間を設け、この空間にダ
ンパー15を配置したものとするのが好ましい。
ダンパー15の材料としては、 未加硫ゴム及び/又は加硫ゴムに必要に応じて充填
剤を充填したもの 樹脂又は粘性体や可塑剤等を配合した樹脂 FRP 等の粘弾性材料等が好ましい。
また、この場合、微小振動に対する減衰効果を改善す
るために、第15図に示す如く、ダンパー15と積層構造体
13の空洞内壁との間に間隙を設け、この間隙にダンパー
15よりも低弾性のゴム等の材料16を介在させたり、ある
いは、この間隙に空気層を形成することは、極めて有効
である。
以下、実験例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
実験例1 第9図に示すような本発明の免震装置及び第16図に示
すような比較装置について、鉛直荷重(60kg/cm2)を加
えた状態で剪断変形させた時に生じる最大局部歪の値を
求めた。結果を第2表に示す。
なお、第9図及び第16図の免震装置において、各部材
の寸法等は第1表の通りである。(ただし、第16図にお
いて、第9図における部材と同一の機能を有する部材は
同一符号を付し、その説明を省略する。) いずれの場合においても軟質板としては天然ゴムを主
体とする加硫ゴム、硬質板としては鉄板を用い、特殊ゴ
ムとしてはEPDMを主体とするゴム100重量部に対し、ジ
シクロペンタジエン樹脂27重量部、ハイロジン10重量
部、その他カーボンブラック等を配合した加硫ゴムを用
いた。
第2表より、本発明の免震装置では、最大局部歪を大
幅に低減できることが明らかである。
[発明の効果] 本発明の免震装置は局部歪の発生が極めて効果的に減
少され、また座屈し難くなることから、局部歪や座屈に
よる免震装置の損傷、破断等が少なくなり、極めて耐久
性に優れたものとなる。しかも、フランジを介して建物
及び基礎に固定することができることから、建物等を安
定に支承することが可能となる。
このような、本発明の免震装置は、本発明に関する研
究において、変形時に免震装置に発生する局部歪の定量
的解析が可能となったことにより、初めて実現したもの
であり、従来の免震装置とは明確に区別されるべきもの
であり、その学問的、工業的意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例に係る免震装置の縦断面図、第
2図及び第3図は従来例を示す断面図であって、各々
(a)は平常時、(b)は地震発生時を示す。第4図は
一般的な免震装置のFEM解析結果を示す図、第5図は主
歪の解析に用いた従来の免震装置の断面図、第6図は第
5図の免震装置の変形時の模式図である。第7図(a)
〜(d)は各々本発明の免震装置の他の例を示す図、第
8図は従来の免震装置の一部断面図、第9図は本発明の
免震装置の別の実施例を示す断面図、第10図は第9図X
部の拡大図、第11図(a)〜(c)は硬質板の側端面の
膨出部の例を示す図、第12図及び第13図は従来の免震装
置の断面図、第14図及び第15図は本発明の他の実施例を
示す断面図、第16図は実験例1で用いた比較例装置の断
面図である。 4,5……フランジ、11……軟質板、 12……硬質板、13……積層構造体、 14……特殊ゴム、15……ダンパー、 20……免震装置。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数個の剛性を有する硬質板と粘弾性的性
    質を有する軟質板とを交互に積層してなる積層構造体の
    上下面にフランジが設けられてなる免震装置において、
    該積層構造体の少なくともフランジと接する上下部分
    が、フランジに向けて次第に横断面積が大きくなるよう
    に、その外表面が内側に縦断面円弧状又は略円弧状に反
    った湾曲面とされており、かつこの次第に横断面積が大
    きくなる部分においては、フランジに近い硬質板ほど大
    径であることを特徴とする免震装置。
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