JP4172385B2 - 免震ゴム支承体 - Google Patents

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Description

本発明は、免震ゴム支承体に係り、特に土木や建築用等の構造物を支承する免震ゴム支承体、中でも、橋梁の支承のために好適に用いられる免震ゴム支承体に関するものである。
従来から、土木や建築等の分野における構造物の支持に使用されている免震ゴム支承体は、上部構造体と下部構造体との間に介在せしめられて、配置されるものであるが、通常、それらの構造体の重量が極めて大きいところから、金属板等の剛性を有する硬質板とゴム層とが交互に積層せしめられてなる積層体構造とされており、それによって、建物の防振支持乃至は免震支持や橋梁の荷重支持、更には免震支持等の、免震ゴム支承体としての機能が効果的に果たされ得るようになっている。
具体的には、例えば、図1に示される如く、免震ゴム支承体2は、ゴムブロック4内に硬質板としての金属板6の複数枚が所定間隔を隔てて埋設されることによって、そのような金属板6と、それら金属板6,6間に位置するゴムブロック4部分であるゴム層8とが、交互に、一体的に積層されてなる構造を有していると共に、ゴムブロック4の上部及び下部には、それぞれ、金属製の上部取付板10及び下部取付板12が固着せしめられた構造となっている。そして、そのような免震ゴム支承体2は、その上部取付板10及び下部取付板12において、橋梁等の上部構造体と橋脚等の下部構造体との間に挟持、配置されて、固定せしめられ、コンクリート橋や鋼製橋等の大なる重量の上部構造体を支持するようになっているのであり、以て免震ゴム支承体としての本来の機能が奏せしめられ得るようになっている。即ち、地震、強風或いは橋上を通過する車両等による重量や加速度の影響によって生じる撓み及び変位が、免震ゴム支承体の剪断方向の緩衝作用によって吸収され、また上下方向の振動も、免震ゴム支承体の緩衝作用によって吸収され得るようになっているのである。
ところで、上記の如き構造の免震ゴム支承体は、本来的に、高減衰特性を有するものであることが望ましいことは勿論、その設置場所からして、低温度から高温度に至る広い温度領域に晒され易く、特に、橋梁の支承のために使用される橋梁用支承体にあっては、氷点下の温度から30℃を遥かに超える温度に至る厳しい自然環境下におかれることとなるところから、弾性率の温度依存性が少ないものであることが、望ましい。更に、振幅のより一層大きな地震への対策として、高歪み(具体的には、250%程度の剪断歪み)領域における減衰性能を向上せしめることが望ましい。
しかしながら、ゴム層(ゴムブロック)を与えるゴム組成物として、天然ゴム(NR)の如きゴム材料に適当な加硫剤を配合してなる、通常のゴム組成物を用いて形成された免震ゴム支承体にあっては、減衰特性が今一つ充分でないことに加えて、そのような減衰特性を向上せしめるとされる従来から公知の成分を配合したりすると、弾性率乃至は剛性の温度依存性が比較的大きくなって、免震ゴム支承体としての特性、特に弾性特性が周囲温度に左右されるという問題を内在するものであった。
このため、本願出願人にあっては、先に、弾性特性における温度依存性を小さく保ちつつ、減衰特性を有利に向上せしめ得るように、所定のゴム材料に対して、アスファルト類、タール類及びピッチ類のうちの少なくとも1種を所定割合において配合してなるゴム組成物を用いて、免震ゴム積層体のゴム層を形成することを提案した(特許文献1参照)。また、所定量のカーボンブラックを添加することで、かかるアスファルト類等の成分の含有による温度依存性に対する影響が緩衝乃至は回避され得ることを明らかにした。しかしながら、アスファルト類等のゴム組成物への配合量を多くする程、減衰特性の向上が図られ得るものの、それに相反して、弾性率の温度依存性が悪化することとなり、減衰特性と弾性率の温度依存性とのバランスを充分に確保するためには、ゴム組成物へのアスファルト類等の配合量を制限する必要があり、減衰特性の向上にも限界が生じていたのである。
このような状況下、本発明者らが、更に検討を重ねた結果、ゴム材料として、弾性特性の温度依存性が良好なブタジエンゴム(BR)を採用すれば、NRやイソプレンゴム(IR)等を主成分とする他のゴム材料を用いた場合より、減衰特性向上成分であるアスファルト類等をより一層多く配合せしめることが可能となり、これにより、弾性特性における温度依存性を小さく保ちつつ、減衰特性をより一層効果的に向上せしめ得ることを知見した。更に、高歪み領域におけるハードニングは、NR、IRに比べてBRは少なく、振幅が大きい場合において、減衰性能の向上により有効であることをも、知見した。
ところが、ブタジエンゴムは強度が弱く、そのようなBR或いはBRを主成分とするゴム材料を用いて、図1に示される如き免震ゴム支承体2のゴムブロック4を形成すると、ゴムブロック4の内部に埋設された金属板6の端部14に接する部位に応力が集中することにより、図2に拡大して示されるように、かかる端部14を起点として、傷乃至は破断が生じ易く、またその傷の成長が早いところから、大きなクラック16が形成されるといった問題が新たに惹起されることが、明らかとなったのである。具体的には、上部構造体の荷重や変位等によって、剪断応力を受けた際に、ゴムブロック4の内部に埋設された金属板6の端部14に接する部位に応力が集中して、局部的に大きな引張歪みが生じることとなるのであるが、ブタジエンゴム又はブタジエンゴムを主成分とするゴムにあっては、強度が弱いところから、繰り返しの剪断応力により、金属板6の端部14において、該端部14の角部に接する部位の引張歪みが破断歪みを超えて、かかる接触部位のゴムブロック4(ゴム層8)に破断やクラック16が形成されるといった問題が生じる。そして、そのような破断が生じた場合には、免震ゴム支承体全体の剪断強さが極端に小さくなり、免震ゴム支承体としての機能が大きく損なわれてしまうことが、明らかとなったのである。なお、そのような破断やクラックの発生を回避するために、金属板6の外周端の端部14の角部に面取り加工や丸み加工(R加工)を行なう等の対策を施しても、その目的を充分に達成することは困難であったのである。
一方、特許文献2には、上述せる如き免震ゴム支承体と同様に積層構造を有する積層構造体において、軟質板(ゴム層)の内側部分と周縁部分を、(a)ダンピング性が高いものとクリープ性が小さいもの、(b)耐久性が高いものと耐候性が高いもの、(c)耐薬品性や耐油性及び耐久性が高いものと耐湿性が高いもの等、互いに特性の異なる材質を用いて形成することが、明らかにされているが、そこでは、硬質板の外周端部に接する部分において惹起されるゴム層の破断については、何等の検討も為されてはいない。また、そこでは、硬質板は、その端部がゴムにて覆われることなく、外部に露出せしめられているところから、硬質板の外気との接触による腐食が懸念されるものともなっている。
特開2000−97270号公報 特公平6−22958号公報
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、硬質板の複数が、ゴムブロック内に、互いに所定間隔を隔てて埋設せしめられてなる形態にて、積層構造とされた免震ゴム支承体において、免震支承用としての有効な弾性特性の温度依存性を確保し、且つ減衰特性の向上を図りつつ、硬質板の外周端部と接触するゴム部での剪断変形時における破断やクラックの発生が効果的に防止され得るようにした構造の免震ゴム支承体を提供することにある。
そして、本発明は、上述の如き課題を解決するために為されたものであって、その第一の態様とするところは、剛性を有する硬質板とゴム層とが交互に積層せしめられた積層体から構成されてなる免震ゴム支承体にして、前記ゴム層を、ブタジエンゴム又はブタジエンゴムを主成分とするゴム材料の100重量部に対して、カーボンブラックを50〜150重量部の割合で配合し、更にアスファルト類、タール類及びピッチ類のうちの少なくとも1種を10〜100重量部の割合で配合してなるゴム組成物を用いて、形成すると共に、前記硬質板の少なくとも外周端面を、前記積層体の側面に露出せしめる一方、該積層体の側面に、該硬質板の少なくとも外周端面に接するようにして、10MPa以上の引張強度を与える被覆ゴムを、天然ゴム又はイソプレンゴムを主成分とするゴム材料の100重量部に対して、SAF、ISAF、HAF、FEF、MAF、GPF、SRF及びFTからなる群より選ばれたカーボンブラックの10〜100重量部を配合せしめてなるゴム組成物により一体的に設けたことを特徴とする免震ゴム支承体にある。
また、本発明に従う免震ゴム支承体おける第二の態様にあっては、前記補強性の高いカーボンブラックが、SAF、ISAF、HAF、FEF、MAF、GPF、SRF及びFTからなる群より選ばれる構成が、採用される。
さらに、本発明に従う免震ゴム支承体の第三の態様おいては、前記硬質板の外周端角部が面取り乃至は丸み加工されて、該硬質板が、かかる加工部位を少なくとも含む外周部を前記ゴム層から外方に突出させた形態において、該ゴム層と積層されている一方、前記被覆ゴムが、該硬質板の突出させられた外周部を覆うように設けられる。
そして、本発明に従う免震ゴム支承体おける、先述した第一の態様によれば、免震ゴム支承体の本体としての積層体を構成するゴム層が、弾性特性の温度依存性が小さな、ブタジエンゴム又はブタジエンゴムを主成分とするゴム材料に対して、所定量のカーボンブラックと、所定量のアスファルト類等の成分が、それぞれ、配合されてなるゴム組成物を用いて形成されているところから、剪断弾性率の如き弾性特性の温度依存性を低く確保しつつ、減衰特性の更なる向上を有利に実現し得ることとなる。
しかも、剪断応力を受けた際に応力が集中し易い部位、つまり、硬質板の外周端部に接する部位には、上記したブタジエンゴム系ゴムからなるゴム層を設けることなく、10MPa以上の引張強度を有する被覆ゴムが設けられているところから、かかる部位に局部的に応力が与えられても、破断が生ずるようなことが効果的に防止され、それによって、ゴム層と被覆ゴムにて一体的に形成されるゴムブロック、ひいては免震ゴム支承体に、破断やクラックが惹起されるようなことが、有利に防止されているのである。
また、本発明に従う免震ゴム支承体によれば、被覆ゴムの形成のために、充分な強度を有し、且つ物性が良好なゴム材料が採用されているところから、破断やクラックの発生が、より一層確実に防止され得ることとなる。
さらに、本発明に従う免震ゴム支承体の第三の態様によれば、前記硬質板の外周端角部が面取り加工乃至は丸み加工され、且つかかる加工部位がブタジエン系ゴムではなく、上述せる如き所定の引張強度を与える被覆ゴムにて覆われているところから、免震ゴム支承体が剪断力を受けて、かかる加工部位に接触する被覆ゴムが引張変形せしめられた際にも、かかる外周端角部が直角に形成された場合とは異なって、加工部位に接触する被覆ゴムに、局部的に大きな引張歪みが生ずるようなことが効果的に解消乃至は緩和され得ることとなる。このため、大変形せしめられる如き大きな剪断力を受けて、加工部位に接触する被覆ゴムが大きく引張変形されることがあっても、かかる被覆ゴムに破断やクラックが生ずるようなことが、極めて効果的に防止され得るのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図3及び図4には、本発明に従う構造の免震ゴム支承体の一例が、縦断面形態及び横断面形態において、それぞれ、概略的に示されている。そこにおいて、免震ゴム支承体20は、かかる図3からも明らかなように、剛性を有する硬質板としての金属板22の複数枚(ここでは、6枚)とゴム層24の複数(ここでは、7層)とが交互に積層されてなる積層体26と、かかる積層体26の側面に、周方向の全面に亘って一体的に設けられてなる被覆ゴム28と、金属製の厚肉の上部取付プレート30及び下部取付プレート32とを含んで、構成されている。
より具体的には、複数の金属板22は、何れも、所定厚さを有し、略矩形状の平面形態を呈している。また、金属板22の外周端部の周方向に延びる上下の角部、つまり上下外周端角部34,36には、図5に拡大して示されるように、丸み加工(R加工)がそれぞれ施されており、かかる加工部位(角部34,36)は、それぞれ、湾曲面状とされている。一方、複数のゴム層24は、何れも、金属板22よりも大きな厚さを有し、且つ金属板22の平面形状よりも一回り小さな矩形状の平面形態を呈している。そして、それら金属板22の中心とゴム層24の中心が一致するように、金属板22とゴム層24とが交互に積み重ねられることによって、積層体26が形成されているのである。そして、かかる積層体26にあっては、ゴム層24が、金属板22に比して所定の寸法だけ小さくされているところから、金属板22の外周端における丸み加工部位(角部34,36)が、ゴム層24から外方に突出せしめられた構造となっている。
また、そのような金属板22の外周端部が突出した構造の積層体26の側面には、周方向の全面に亘って、積層体26の高さと同様な幅を有する所定厚さの被覆ゴム28が一体的に設けられており、この被覆ゴム28にて、丸み加工が施された加工部位(角部34,36)の外周部が覆われている。
このように、本実施形態に係る免震ゴム支承体20にあっては、一体的に設けられた被覆ゴム28とゴム層24にて、免震ゴム支承体20を与えるゴムブロックが構成されているのであり、これにて、図1や図2に示される従来の免震ゴム支承体2と同様に、該ゴムブロック内に、複数枚の金属板22が所定間隔を隔てて埋設された形態となっている。そして、そのようなゴムブロックの上下部に固着せしめられた、鉄板や鋼板等からなる上部取付プレート30と下部取付プレート32が、それぞれ、建物や橋梁等の支承対象たる上部構造体と、基礎や橋脚等の下部構造体に取り付けられて、固定されることによって、上部構造体を荷重支持、免震支持乃至は防振支持することが出来るようになっているのである。
そして、本発明においては、そのようなゴムブロックを構成するゴム層24と被覆ゴム28が、換言すれば、上述せる如き構造の積層体26を与えるゴム層24と、該積層体26の側面を覆う被覆ゴム28が、ぞれぞれ、ゴム層24にあっては高減衰特性を有するゴム、被覆ゴムにあっては機械的強度の高いゴムにて形成されているのである。
より具体的には、ゴム層24を与えるゴム組成物は、ブタジエンゴム又はブタジエンゴムを主成分とするゴム材料の100重量部に対して、カーボンブラックと共に、アスファルト類、タール類及びピッチ類のうちの少なくとも1種を、それぞれ所定割合において配合せしめてなるものである。
このように、本発明においては、減衰特性をより一層向上させるために、ゴム層24を与えるゴム組成物のベース成分であるゴム材料として、弾性特性における温度依存性が良好なブタジエンゴム(BR)や該BRを主成分として含有するものが、用いられるのである。なお、BRを主成分として含有するゴム材料を用いる場合、かかるBRは、ゴム材料の全量の少なくとも50重量%以上の割合において、好ましくは60重量%以上、更に好ましくは80重量%以上の割合において、含有されている必要がある。ここで、BRの含有量がゴム材料の50重量%に満たない場合には、目的とする減衰特性と剪断弾性率の温度依存性とのバランスを充分に発揮することが困難となる恐れがある。また、BRにブレンドされるゴム材料としては、特に制限されるものではなく、NRやIR、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等、従来から公知の各種のゴム材料が何れも採用され得る。そして、このようなBRやBRを主成分として含有するゴム材料(以下、BR系ゴム材料と呼称する)を採用することによって、NRやIRの如き従来のゴム材料を主成分として含有するゴム材料を用いる場合に比して、後述するアスファルト類、タール類及びピッチ類を多く添加せしめることが可能となって、免震ゴム支承体20の弾性特性における温度依存性の悪化を阻止乃至は抑制しつつ、免震ゴム支承体20の減衰特性をより一層効果的に向上せしめることが可能となっているのである。
また、そのようなBR系ゴム材料に対して配合される、アスファルト類、タール類及びピッチ類は、何れも、減衰特性の向上を図る成分として配合されるものであって、本発明では、それらのうちの1種が単独で、或いは2種以上が組み合わされて、用いられることとなる。なお、かくの如き成分(以下、減衰特性向上成分と呼称する)のうち、アスファルト類としては、例えば、各種の天然アスファルトの他、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、カットバックアスファルト等の石油アスファルト等が用いられ、また、タール類としては、コールタール、ケツ岩タール、木タール、オイルガスタール、石油タール、精製タール等が用いられ、更にピッチ類としては、コールタールピッチ、木タールピッチ、ロジンピッチ等が用いられる。そして、これらの減衰特性向上成分の中でも、軟化点が110℃以上であるアスファルト類及びピッチ類を使用することが好ましく、更に有利には、そのような軟化点を有する天然アスファルトの使用が、特に推奨されるのであって、それによって、弾性特性における温度依存性と減衰特性とをより一層高度に改善することが出来る。
なお、かかる減衰特性向上成分の配合量としては、目的とする減衰特性に応じて適宜に決定されることとなるが、その配合によって減衰特性の向上を有効に実現せしめるためには、上記したBR系ゴム材料の100重量部に対して、少なくとも10重量部以上、好ましくは30重量部以上、配合せしめることが必要となる。また、その余りにも多量の配合は、弾性特性の温度依存性を悪化せしめるところから、BR系ゴム材料の100重量部に対して100重量部以下、好ましくは70重量部以下の配合割合とされるのである。
また、本発明にあっては、このような特定の減衰特性向上成分に加えて、カーボンブラックが配合せしめられるのであり、それによって、減衰特性の向上に寄与すると共に、温度依存性の悪化を効果的に阻止乃至は回避することが出来る。特に、そのようなカーボンブラックは、BR系ゴム材料の100重量部に対して、50〜150重量部、好ましくは70〜110重量部の割合において配合せしめられることとなる。何故なら、かかるカーボンブラックの配合割合が、上記した範囲より少なくなると、添加による効果が充分に得られなくなる一方、多くなると、ゴム練り加工性が悪くなる恐れがあるからである。更に、そのようなカーボンブラックとしては、一次粒子径の小さなもの、一般に30nm程度以下のものが望ましく、有利にはHAFカーボン、ISAFカーボン、SAFカーボン等が好適に用いられるが、その中でも、粒径のより小さなSAFカーボンが、特に有利に用いられることとなる。また、このような粒径の小さなカーボンブラックは、減衰特性の向上にも有利に寄与するのである。
更にまた、本発明においては、ゴム層24を与えるゴム組成物に対して、凝固点が−30℃以下である可塑剤を、上記した減衰特性向上成分と組み合わせて、配合せしめることによって、減衰特性向上成分によって奏される有効な機能を維持しつつ、かかる成分による温度依存性に対する影響を効果的に緩衝して、温度依存性を可及的に小さく為すことも、可能である。そして、このような可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)等のフタレート系可塑剤;ジオクチルアジペート(DOA)、ジイソデシルアジペート(DIDA)、ジブチルグリコールアジペート、ジブチルカルビトールアジペート等のアジペート系可塑剤;ジオクチルセバケート(DOS)、ジブチルセバケート(DBS)等のセバケート系可塑剤;トリクレジルフォスフェート(TCP)、クレジルフェニルフォスフェート(CDP)、トリブチルフォスフェート(TBP)、トリオクチルフォスフェート(TOP)、トリブトキシエチルフォスフェート(TBXP)等のフォスフェート系可塑剤の他、ジ2−エチルヘキシルアゼレート(DOZ)、ジ2−エチルヘキシルドデカンジオエート(DODN)等を挙げることが出来、それらの1種、或いは2種以上が組み合わされて用いられることとなる。また、そのような可塑剤の配合量としては、特に制限されるものではないものの、ゴム材料の100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部の割合において、より好適には2〜25重量部の割合において、配合せしめられることが望ましい。けだし、その配合量が余りにも少ないと、温度依存性の改善効果を充分に発現し得なくなり、また一方、配合量が多過ぎる場合には、相溶性が悪化するため、可塑剤がゴム層24の外表面から滲み出る、所謂、ブリードを惹起することとなるからである。
而して、BR系ゴム材料に対して、特定の減衰特性向上成分や、カーボンブラックが所定割合にて配合せしめられ、更に、可塑剤が必要に応じて配合されてなるゴム組成物にあっては、従来と同様に、硫黄の如き加硫剤が添加され、更に必要に応じて、適当な加硫促進剤、ステアリン酸や亜鉛華等の加硫促進助剤、オイル等の軟化剤、ワックス、老化防止剤等の公知の各種のゴム用配合剤が、通常の範囲内において配合せしめられ、目的とするゴム層24の形成に用いられることとなるのである。そして、このようなゴム組成物にて本体ゴムであるゴム層24が形成されることによって、免震ゴム支承体20には、上述せるように、温度依存性と減衰特性とが、バランス良く、高度に付与されることとなる。
一方、上述せる如きゴム層24に一体的に設けられる被覆ゴム28は、ゴム層24を構成するBR系ゴムよりも大きな機械的強度を有するもの、具体的には、JIS K6251に準拠して測定される引張強さが10MPa以上、好ましくは15MPa以上であるゴムにて形成されることとなる。なお、ここにおいて、かかる引張強度が10MPaに満たない場合には、気温変化によって生じる剪断応力等、常時の繰り返し歪みによる破断やクラックの発生を充分に防止することが出来ず、耐久性を満足することが出来なくなったり、また、大地震の際の剪断歪みに対応することが出来ず、免震ゴム支承体が破壊されて、その機能を失う恐れがある。また、引張強度の上限としては、特に制限されるものではないものの、被覆ゴム28の引張強度があまりに大きくなり過ぎると、ゴムとしての伸びが得られなくなる恐れがあるところから、一般に、50MPa以下、好ましくは40MPa以下とされることが、望ましい。
また、かくの如き被覆ゴム28を与えるゴム組成物としては、適当なゴム材料の1種又は2種以上のブレンド物を、ベース成分として含み、更に必要に応じて、ゴム用配合剤の1種又は2種以上を適宜な配合組成において、添加、配合せしめてなるゴム組成物の中から、上記した10MPa以上の引張強度を加硫後において有利に実現し得るゴム組成物が適宜に選択されて、用いられることとなるのである。このゴム組成物のベース成分であるゴム材料としては、特に制限されるものではないものの、NR又はIRを主成分とするゴム材料が、好適に用いられる。ここで、NR又はIRを主成分とするゴム材料としては、NR又はIRが単独で用いられてなるものであっても良く、また、NR又はIRを主成分として含有する、具体的には50重量%以上において含有するブレンド物であっても良い。なお、NRやIRにブレンドされるゴム材料としては、例えば、BR、SBR、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレン二元共重合体(EPM)を挙げることが出来る。
また、上述せる如き被覆ゴム28を与えるゴム組成物には、目的とする引張強度を実現するために、補強性の高いカーボンブラックが配合されるのである。なお、そのようなカーボンブラックとしては、例えば、SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、GPF、SRF、FT等を挙げることが出来、それらの1種、或いは2種以上が組み合わされて用いられることとなる。更に、そのようなカーボンブラックの配合量としては、ゴム材料の100重量部に対して、10〜100重量部の割合において、より好適には30〜80重量部の割合において、配合せしめられることとなる。けだし、その配合量が余りにも少ないと、カーボンブラックの添加効果を得ることが出来なくなるからであり、また、多過ぎる場合には、ゴム練り加工性が悪くなり、ゴム焼け等の問題が生じ易くなるからである。

更に、被覆ゴム28を与えるゴム組成物には、従来と同様に、硫黄の如き加硫剤が添加され、更に必要に応じて、適当な加硫促進剤、ステアリン酸や亜鉛華等の加硫促進助剤、オイル等の軟化剤、ワックス、老化防止剤等の公知の各種のゴム用配合剤が、通常の範囲内において配合せしめられ、目的とする被覆ゴム28の形成に用いられることとなる。
なお、上記したゴム用配合剤の中でも、特に、石油系ワックスやp−フェニレンジアミン系老化防止剤が添加されることが望ましく、これらを添加することによって、低温環境下におけるクラックの発生を有利に防止することが可能となる。より詳細には、低温環境下においては、ゴム表面に氷結が生じることがあり、その氷の溶解乃至は割れや、ゴム表面歪みの変化による氷の割れ等により、ゴム表面の耐候性保護膜が欠損し、そして、かかる保護膜の欠如した部分がオゾンや酸素等により劣化して、クラックが発生し易くなるのであるが、上記石油系ワックスは、ゴムの表面に滲出して保護膜を形成することで、オゾンや酸素の攻撃が直接、被覆ゴム28に働かないように保護する作用を為し、また、p−フェニレンジアミン系老化防止剤は、かかる石油系ワックスと共にゴムの表面に滲出すると同時に、ゴム中へ透過するオゾンや酸素等の攻撃を、化学反応により阻止して、ゴムに対する攻撃が生じないように作用するのである。
また、それらの保護膜形成成分(石油系ワックスやp−フェニレンジアミン系老化防止剤)を、低温下においてもゴム表面に効果的に滲出せしめて、有効な耐候性保護膜を迅速に形成せしめるには、石油系ワックスとして、45〜75℃の融点を有するものが好適に用いられると共に、そのような融点のワックスを、ゴム材料の100重量部に対して、好ましくは2重量部を超える割合において、更に好ましくは2.2重量部以上の割合において用い、また老化防止剤は、ゴム材料の100重量部に対して、好ましくは1.5〜5重量部、更に好ましくは2〜4重量部の割合において、用いることが望ましい。
さらに、上記石油系ワックスの配合量は、オゾンクラックの発生をより一層効果的に防止するために、前記老化防止剤の配合量と同量若しくはそれ以上とされることが望ましい。また、それら石油系ワックスと老化防止剤の合計量は、ゴム材料の100重量部に対して3.7〜12重量部、好ましくは5〜10重量部の範囲内となるようにされることが望ましい。何故なら、それらの合計量が少なくなり過ぎると、低温下における耐候性保護膜の形成が充分に行なわれ得ず、そのためオゾンや酸素の攻撃を受けて、ゴム表面に傷乃至はクラックを生じ易くなるからであり、また、多くなり過ぎると、被覆ゴム28の接着性が低下するようになるからである。
なお、上記した石油系ワックスとしては、パラフィンワックスやマイクロクリスタリンワックス等として市販されているものが好適に用いられる一方、p−フェニレンジアミン系老化防止剤としては、例えば、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、混合ジアリル−p−フェニレンジアミン、フェニル・ヘキシル−p−フェニレンジアミン、フェニル・オクチル−p−フェニレンジアミン等が挙げられ、これらのうちの1種が単独で、或いは2種以上が組み合わされて、用いられることとなる。
このように、被覆ゴム28を与えるゴム組成物にp−フェニレンジアミン系老化防止剤と石油系ワックスが配合されると、低温環境下において、免震ゴム支承体20の外表面を構成する被覆ゴム28が、引張歪みを受けた後、着氷し、そして氷の割れ等により、ゴム表面の耐候性保護膜が取られた場合にあっても、被覆ゴム28中の保護膜形成成分が迅速に表面に滲出して、有効な耐候性保護膜を形成することとなるところから、被覆ゴム28が劣化して、クラックが発生するようなことが、効果的に解消され得ることとなるのである。
ところで、上述せる如きゴム組成物の各々を用いて、本発明に従う免震ゴム支承体を製造するに際しては、何等特別な手法は採用されるものではなく、例えば、ゴム層24を与えるゴム組成物を用いて、それをシート状に成形せしめることにより、未加硫のゴムシートを作製し、次いで、加硫成形金型を用いて、その金型内に、得られた未加硫のゴムシートと、金属板22と交互に重ね合わせて、未加硫の積層体を形成し、更に、かかる未加硫の積層体の存在下、かかる金型内に被覆ゴム28を与えるゴム組成物を導入して、各ゴム組成物を一体的に加硫せしめてゴムブロックを形成する方法や、上記した未加硫の積層体を加硫した後、得られた積層体26の側面に、適当な接着剤を用いて、被覆ゴム28を接着せしめて一体化することにより、ゴムブロックを形成する方法等が、適宜に採用されることとなる。また、そのようなゴムブロックに対して、上部取付プレート30や下部取付プレート32を固着せしめるに際しても、ゴム組成物の加硫時に、上下部取付プレート30,32を重ね合せて、一挙に加硫接着せしめる手法や、積層体26を形成した後に、上下部取付プレート30,32を重ね合せて、ボルト等の連結手段を介して固着せしめる手法等、従来から公知の各種手法が何れも採用され得る。
このようにして製造される免震ゴム支承体20にあっては、本体ゴムであるゴム層24を与えるゴム組成物として、特定の減衰特性向上成分やカーボンブラックが配合された、BR系ゴム材料からなるものが採用されているところから、弾性特性の温度依存性の悪化を抑制しつつ、減衰特性の更なる向上が実現され得るのである。また、減衰特性の向上によって、橋梁部材の柱等を細くすることも可能となり、ひいては橋全体のコストの低廉化を図ることも可能となる。
また、本実施形態の免震ゴム支承体20にあっては、金属板22の上下外周端角部34,36に対して、それぞれ、丸み加工(R加工)が施されることにより、該金属板22の外周端面が、外方に向かって円弧状に膨出する凸状湾曲面形状とされていると共に、かかる金属板22の上下外周端角部34,36を含む外周端面に接する部位に、10MPa以上の引張強度を有する被覆ゴム28が配置されているところから、剪断力を受けて、金属板22の端部乃至は湾曲状角部に接触する被覆ゴム28が引張変形された際にも、被覆ゴム28の引張歪みが破断歪みを越えて、破断が生じるようなことが効果的に防止され、その結果、被覆ゴム28やゴム層24、ひいては免震ゴム支承体20に、破断やクラック等が惹起せしめられるようなことが、有利に防止され得ているのである。
加えて、上述せる如き免震ゴム支承体20は、積層体26の側面が被覆ゴム28に覆われることによって、金属板22が、ゴムブロック内に埋設された構造とされ、金属板22の外部への露出が皆無ならしめられているところから、金属板22と外気との接触による腐食の発生が効果的に防止され得るといった利点も享受されることとなる。
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
例えば、上記の実施形態では、金属板22の外周端角部32,36に対して丸み加工が施されていたが、丸み加工に代えて面取り加工が施されても良く、この場合にあっても、かかる外周端角部が直角に形成された場合に比して、加工部位に接触する被覆ゴム28に、局部的に大きな引張歪みを生ずるようなことが、極めて効果的に解消乃至は緩和され得ることとなる。
また、本発明においては、局部的に大きな引張歪みによるゴム破断を有利に防止するために、丸み加工や面取り加工が施された外周端角部を有する金属板22が、特に好適に採用され得るものの、そのような丸み加工や面取り加工が施されていない金属板を用いることも、勿論可能である。
また、上記実施形態の免震ゴム支承体20にあっては、金属板22の外周端部が、本体ゴムであるゴム層24から外方に突出され、かかる突出された部分が、被覆ゴム28にて覆われた構造、言い換えれば、被覆ゴム28が積層体26の側面(外周面)から内方に突出した構造とされているが、図6や図7に示される免震ゴム支承体38のように、金属板40とゴム層42とが積層されてなる積層体44の側面(外周面)が面一とされて、そのような積層体44の側面に、上述せる如き所定の引張強度を有する被覆ゴム46が一体的に設けられても良い。但し、本発明の目的を達成するためには、金属板40の少なくとも外周端面48は、積層体44の側面に露出され、かかる金属板40の少なくとも外周端面48に接するように、被覆ゴム46が設けられる必要がある。要するに、本発明においては、剪断応力を受けた際に応力が集中し易い、金属板の外周端部に接する部位に、所定の引張強度を有する被覆ゴムを位置せしめる必要があるのである。
さらに、剛性を有する硬質板として用いられる金属板22としては、耐圧縮性に優れた鉄板や鋼板が好適に用いられ得るが、他の金属材質のものであっても、何等差し支えなく、更には、硬質プラスチック板材等であっても、耐圧縮性に優れたものであれば、同様に使用可能である。
加えて、上例では、免震ゴム支承体20として、平面形態において、矩形状のものが採用されていたが、免震ゴム支承体20の全体形状は、その設置形態に応じた適宜の形状が採用され得るのであり、上記した矩形状の他にも、例えば、平面形態において、円形状や楕円形状、五角形、六角形等の多角形状とすることも可能である。また、金属板22やゴム層24の大きさや積層数にあっても、免震ゴム支承体の用途に応じて適宜に決定されることとなる。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
−ゴム層−
先ず、下記表1に示される各種配合組成のゴム組成物(実施例1〜3及び比較例1,2)を調製した。なお、かかるゴム組成物の調製に際して、ゴム材料としては、ブタジエンゴム(BR,旭化成(株)製ジエンNF35R)、又は合成イソプレンゴム(IR)を用いると共に、アスファルトとしては、軟化点が160℃の天然アスファルトを、更にカーボンブラックとしては、一次粒子径が19nmのSAFカーボンを、それぞれ用いた。更に、加硫剤としては硫黄を用いる一方、加硫促進助剤として、亜鉛華(ZnO)及びステアリン酸を用いた。更にまた、表1中におけるDOAは、可塑剤としてのジオクチルアジペート(凝固点:−60℃)を示す一方、MSA及びTBTは、それぞれ、加硫促進剤としてのN−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド及びテトラブチルチウラムジスルフィドを示すものである。
そして、上記で得られた各種ゴム組成物を用いて、150℃×30分の加硫条件を採用して、JIS K6394(1998)「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの動的性質試験方法」に規定される金具付円柱状のせん断方法用試験片を作製した。次に、その得られた各試験片を用いて、JIS K6394(1998)に規定される「6.大形試験装置による動的性質試験」に従って、試験温度:−10℃、20℃又は40℃、試験振動数:0.5Hz、平均歪み(剪断):0%、歪み振幅(剪断):175%又は250%の条件下において、それぞれ荷重−撓み曲線を、11回連続して測定した。
そして、得られた2回目から11回目までの計10回の荷重−撓み曲線から、各測定温度での等価剛性:Keq(−10℃)、Keq(40℃)、及び、20℃での等価減衰定数:Heqを求めた。また、得られた等価剛性を用い、以下の式から、G(温度依存性)をそれぞれ算出した。そして、得られた等価減衰定数及びG(温度依存性)の結果を下記表1に示すと共に、G(温度依存性)と等価減衰定数との関係を示すグラフ(図8)にプロットした。
G(温度依存性)=Keq(−10℃)/Keq(40℃)
また、上述の如くして得られた等価減衰定数及びG(温度依存性)の結果から、それら等価減衰定数とG(温度依存性)のバランスが良好であるものを○、それ以外のものを×として、総合的な評価を行ない、その結果を、下記表1に示した。
Figure 0004172385
かかる表1や図8の結果から明らかなように、実施例1〜3に係るゴム組成物からなるゴムにあっては、何れも、比較例1,2に係るゴム組成物からなるゴムに比して、弾性特性における温度依存性と減衰特性のバランスが良好であることが、つまり、低いG(温度依存性)と高い等価減衰定数が実現されていることが、認められる。
また、上記で得られた実施例1及び比較例1に係るゴム組成物を用いて、150℃×20分の加硫条件を採用して、JIS K6251の「加硫ゴムの引張試験方法」に規定されるダンベル状3号形試験片を作製した。そして、得られた各試験片を用いて、「加硫ゴムの引張試験方法」に規定される試験方法に従って、所定の引張試験機により、試験片を引張せしめ、引張歪みと引張応力(モジュラス)との関係を求め、下記表2及び図9に示した。
Figure 0004172385
かかる表2や図9の結果から明らかなように、実施例1に係るゴム組成物からなるゴムにあっては、比較例1に係るゴム組成物からなるゴムに比して、モジュラスの増加が急激ではなく、ハードニングし難いことが、分かる。
−被覆ゴム−
また一方、下記表3に示される配合組成のゴム組成物(実施例4,5)を調製した。なお、かかるゴム組成物の調製に際して、ゴム材料としては、天然ゴム(NR)又は合成イソプレンゴム(IR)を用いると共に、カーボンブラックとしては、一次粒子径が19nmのSAFカーボンを用いた。更に、老化防止剤としては、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)(RD)、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(3C)及びN−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(6C)を用いる一方、石油系ワックスとしては、融点が65℃のマイクロクリスタリンワックスを用いた。また、軟化剤としてはアロマオイルを、加硫剤としては硫黄を、加硫促進剤としてはN−シクロヘキシルベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CZ)を、加硫促進助剤としては亜鉛華(ZnO)及びステアリン酸を、それぞれ用いた。
そして、上記で得られた2種類のゴム組成物を用いて、150℃×20分の加硫条件を採用して、JIS K6251の「加硫ゴムの引張試験方法」に規定されるダンベル状3号形試験片を作製した。次に、その得られた各試験片を用いて、「加硫ゴムの引張試験方法」に規定される試験方法に従って、所定の引張試験機により、試験片をそれが切断するまで引張せしめて、切断に至るまでの最大引張力を測定して、引張強度を求め、得られた結果を下記表3に示した。
Figure 0004172385
かかる表3の結果から明らかなように、実施例4,5に係るゴム組成物からなるゴムにあっては、何れも、引張強度が10MPa以上となっている。
次に、上記で得られたゴム層形成用のゴム組成物(実施例1〜3)と、被覆ゴム形成用のゴム組成物(実施例4,5)を用いて、図6に示される如き形状を有する10種類の免震ゴム支承体(20)の供試体を作製した。但し、金属板(40)としては、矩形の4つの角部と上下外周端角部に丸み加工の施された、400mm(長さ)×400mm(幅)×3.2mm(厚さ)の矩形状板の5枚を採用する一方、それら隣り合う金属板の間には、それぞれ、400mm(長さ)×400mm(幅)×9mm(厚さ)のゴム層(42)を、合計で6層形成した。また、かかる金属板とゴム層とが交互に積層された積層体の側面には、厚さ10mmにおいて、被覆ゴム(46)を一体的に設けた。そして、被覆ゴムにて覆われた積層体の上下端部に、400mm(長さ)×400mm(幅)×32mm(厚さ)の鋼板を、それぞれ螺子止めすることによって、一体的に取り付けた。
そして、下記表4に示される試験条件にて、「せん断疲労試験」を行ない、初期及び水平加振回数:1000回毎に、下記表4に示される性能確認試験(「鉛直剛性試験」及び「水平剛性試験」)を行なって、クラック等の外観異常を確認したところ、何れの供試体にあっても、クラックの発生が有利に抑制されることを、認めた。なお、「せん断疲労試験」の初期及び1000回後の性能確認試験は、供試体を、恒温槽を用いて23℃で8時間以上保持した後において、実施すると共に、鉛直剛性試験は、水平剛性試験に先立って行なうようにした。
Figure 0004172385
従来の免震ゴム支承体の一例を示す一部切欠き説明図である。 図1におけるA部拡大断面説明図である。 本発明に従う免震ゴム支承体の代表的な一例を示す縦断面説明図である。 図3におけるIV−IV断面説明図である。 図3におけるB部拡大断面説明図である。 本発明に従う免震ゴム支承体の別の一例を示す縦断面説明図である。 図6におけるC部拡大断面説明図である。 実施例において、G(温度依存性)と等価減衰定数との関係を示すグラフである。 実施例において、引張歪みとモジュラスとの関係を示すグラフである。
符号の説明
20,38 免震ゴム支承体 22,40 金属板
24,42 ゴム層 26,44 積層体
28,46 被覆ゴム 30 上部取付プレート
32 下部取付プレート 34 上外周端角部
36 下外周端角部 48 外周端面

Claims (2)

  1. 剛性を有する硬質板とゴム層とが交互に積層せしめられた積層体から構成されてなる免震ゴム支承体にして、前記ゴム層を、ブタジエンゴム又はブタジエンゴムを主成分とするゴム材料の100重量部に対して、カーボンブラックを50〜150重量部の割合で配合し、更にアスファルト類、タール類及びピッチ類のうちの少なくとも1種を10〜100重量部の割合で配合してなるゴム組成物を用いて、形成すると共に、前記硬質板の少なくとも外周端面を、前記積層体の側面に露出せしめる一方、該積層体の側面に、該硬質板の少なくとも外周端面に接するようにして、10MPa以上の引張強度を与える被覆ゴムを、天然ゴム又はイソプレンゴムを主成分とするゴム材料の100重量部に対して、SAF、ISAF、HAF、FEF、MAF、GPF、SRF及びFTからなる群より選ばれたカーボンブラックの10〜100重量部を配合せしめてなるゴム組成物により一体的に設けたことを特徴とする免震ゴム支承体。
  2. 前記硬質板の外周端角部が面取り乃至は丸み加工されて、該硬質板が、かかる加工部位を少なくとも含む外周部を前記ゴム層から外方に突出させた形態において、該ゴム層と積層されている一方、前記被覆ゴムが、該硬質板の突出させられた外周部を覆うように設けられている請求項1に記載の免震ゴム支承体。
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