JP2007263258A - 免震ゴム積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属板等の剛性を有する硬質板とゴム層とが交互に積層せしめられてなる積層体構造の免震ゴム積層体において、ゴム層が所定以上の硬度を有しつつ、弾性特性の温度依存性の改善を図り、更に、より一層の高減衰特性を実現すること。
【解決手段】剛性を有する硬質板14とゴム層16とが交互に積層せしめられて構成されてなる免震ゴム積層体10において、前記ゴム層を、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムを主成分とするゴム材料を用い、該ゴム材料の100重量部に対して、窒素吸着比表面積が100〜230m2 /gであるカーボンブラックの60〜120重量部と、炭素数が12のアルキル基を有するフェノール樹脂にて変性されたジシクロペンタジエン樹脂の10〜60重量部とをそれぞれ配合せしめてなるゴム組成物を用いて、形成した。
【選択図】図1
【解決手段】剛性を有する硬質板14とゴム層16とが交互に積層せしめられて構成されてなる免震ゴム積層体10において、前記ゴム層を、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムを主成分とするゴム材料を用い、該ゴム材料の100重量部に対して、窒素吸着比表面積が100〜230m2 /gであるカーボンブラックの60〜120重量部と、炭素数が12のアルキル基を有するフェノール樹脂にて変性されたジシクロペンタジエン樹脂の10〜60重量部とをそれぞれ配合せしめてなるゴム組成物を用いて、形成した。
【選択図】図1
Description
本発明は、免震ゴム積層体に係り、例えば土木や建築用等の構造物(特に橋梁)を支承する支承体として、また、各種構造物における免震ダンパとして、好適に用いられる免震ゴム積層体に関するものである。
従来から、土木や建築等の分野においては、金属板等の剛性を有する硬質板とゴム層とが交互に積層せしめられてなる構造の免震ゴム積層体が、建物の防振支持乃至は免震支持や橋梁の荷重支持、更には免震支持等を行なうための支承体として、広く用いられている。また、近年では、支承体としてのみならず、各種構造物における上部構造体と下部構造体との間に介在せしめられる免震ダンパとしても、用いられるようになっている。
具体的に、そのような免震ゴム積層体は、図1に例示される如き構造を呈するものである。そこにおいて、免震ゴム積層体10は、ゴムブロック12内に、硬質板としての金属製の上部取付板18、複数枚の金属板14、並びに金属製の下部取付板20が、所定間隔を隔てて埋設されることによって、そのような金属板と、それら各金属板間に位置するゴムブロック12部分であるゴム層16とが、交互に、一体的に積層されてなる構造を有している。
そして、そのような免震ゴム積層体10は、例えば構造物を支承する支承体として用いられる場合には、その上部取付板18及び下部取付板20において、橋梁等の上部構造体と橋脚等の下部構造体との間に挟持、配置されて、固定せしめられ、コンクリート橋脚等の大なる重量の上部構造体を支持するようになっているのであり、以て、免震ゴム積層体としての本来の機能が奏せしめられ得るようになっている。即ち、地震、強風、或いは橋上を通過する車両等による重量や加速度の影響によって生じる撓み及び変位が、ゴム積層体の剪断方向の緩衝作用によって吸収され、また、上下方向の振動も、ゴム積層体の緩衝作用によって吸収され得るようになっている。
ところで、上記の如き構造の免震ゴム積層体は、本来的に、高減衰特性を有するものであることが望ましいことは勿論、その設置場所からして、低温度から高温度に至る広い温度領域に晒されやすく、特に、橋梁の橋脚への支承のために使用される橋梁用支承体にあっては、氷点下の温度から30℃を遥かに超える温度に至る、厳しい自然環境下に置かれることとなるところから、弾性係数の温度依存性が少ないものであることが、望ましいのである。
このため、本発明者等にあっては、先に、特開2000−97270号公報(特許文献1)等において、天然ゴム(NR)やジエン系合成ゴム等を主成分とするゴム材料に対して、SAFの如きカーボンブラックの所定割合を配合せしめ、更に、アスファルト類、タール類及びピッチ類のうちの少なくとも1種からなる減衰特性向上成分を、所定割合において配合してなるゴム組成物を用いて、免震ゴム積層体のゴム層を形成することにより、弾性特性における温度依存性を小さく保ちつつ、減衰特性を有利に向上せしめ得ることを明らかにしたのであり、また、そこでは、そのような減衰特性向上成分による温度依存性に対する影響を効果的に緩衝して、温度依存性を可及的に小さく為すべく、可塑剤を添加することが良いことも、明らかにされている。
しかしながら、そのような免震ゴム積層体を寒冷地において用いるためには、現状よりも更に温度依存性の改良が要請されており、また、それが適用される橋梁全体の低コスト設計を実現する上においては、免震ゴム積層体の減衰特性の向上が有効な手段として考えられており、そのため、更なる温度依存性の改良と減衰特性の向上とが必要とされてきている。そして、そのような要請に応えるべく、従来からの認識に従って、アスファルト類等の減衰特性向上成分の配合量を増量させれば、減衰特性は向上せしめられ得るものの、温度依存性が悪化してしまうという問題が惹起されることとなる。そして、この温度依存性が悪化すると、橋等の構造物の設計にも困難を来たすようになるのである。
また、この減衰特性を向上せしめる他の手法としては、SAFより更に小粒子のカーボンブラックを使用したり、或いはカーボンブラックを高充填したりすることも考えられるが、その場合、従来のゴム組成物にあっては、得られるゴム組成物の加工性が悪化し、焼け(スコーチ)が惹起されやすい材料となってしまう問題があり、その結果、目的とする免震ゴム積層体の作製時において、ゴム/金属間の接着剥がれや、ゴム/ゴム割れが惹起されやすいという問題を内在していた。
さらに、減衰特性を向上せしめる手法として、ジシクロペンタジエン樹脂を配合することも知られており、例えば、特許第2570340号公報(特許文献2)においては、複数個の剛性を有する硬質板と粘弾性的性質を有する軟質板とを交互に貼り合わせた免震構造体であって、軟質板を構成する材料が、ジシクロペンタジエン樹脂及びその誘導体等よりなる群から選ばれる少なくとも1種を、ゴムに配合して加硫し、所定の物性を有せしめたものが提案されている。しかしながら、ジシクロペンタジエン樹脂等が配合されたゴム材料を加硫して得られる軟質板(ゴム層)にあっては、ジシクロペンタジエン樹脂等に起因して、その硬度が低くなる(柔らかくなる)という問題を内在していたのであり、特に、高い減衰特性と共に、全体の硬度が高いことが要求される橋梁用の免震ゴム積層体においては、そのゴム層において、従来のジシクロペンタジエン樹脂等を減衰特性向上成分として使用し難いという問題があった。
ここにおいて、本発明は、かくの如き事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、金属板等の剛性を有する硬質板とゴム層とが交互に積層せしめられてなる積層体構造の免震ゴム積層体において、ゴム層が所定以上の硬度を有しつつ、弾性特性の温度依存性の改善を図り、更に、より一層の高減衰特性を実現することにある。
そして、本発明にあっては、そのような課題を有利に解決するために、剛性を有する硬質板とゴム層とが交互に積層せしめられて構成されてなる免震ゴム積層体にして、前記ゴム層が、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムを主成分とするゴム材料を用い、該ゴム材料の100重量部に対して、窒素吸着比表面積が100〜230m2 /gであるカーボンブラックの60〜120重量部と、炭素数が12のアルキル基を有するフェノール樹脂にて変性されたジシクロペンタジエン樹脂の10〜60重量部とをそれぞれ配合せしめてなるゴム組成物を用いて、形成されていることを特徴とする免震ゴム積層体を、その要旨とするものである。
このように、本発明に従う免震ゴム積層体にあっては、そのゴム層を形成するゴム組成物が、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムを主体とするゴム材料に、所定の窒素吸着比表面積を有するカーボンブラック、及び、所定のフェノール樹脂にて変性されたジシクロペンタジエン樹脂を配合せしてなるものであることから、それら配合成分により、ゴム層の硬度を所定以上に保ちつつ、弾性特性の温度依存性を何等悪化させることなく、その減衰特性を一段と向上せしめ得ることとなったのであり、以て、本発明の免震ゴム積層体は、例えば寒冷地において、建物等の防振支持乃至は免震支持等を行なう支承体として、特に、橋梁の荷重支持を行なう支承体として、また、橋梁及び建物等の免震ダンパとして、有利に用いられ得るのである。
ところで、かかる本発明に従う免震ゴム積層体は、代表的には、例えば、先に触れたように、図1に示される如き構造を呈するものであって、ゴムブロック12内に、剛性を有する硬質板として、金属製の上部取付板18、複数の金属板14、及び金属製の下部取付板20を、所定の間隔を隔てて埋設配置せしめ、それら各金属板間にゴム層16を形成してなる構造とされ、以て、それら金属板とゴム層16とが交互に積層せしめられてなる積層体構造とされているものである。そして、そこにおいて、そのような免震ゴム積層体10を構成するゴムブロック12、具体的にはゴム層16が、本発明に従って、特定のゴム組成物を用いて形成されているのである。
すなわち、そのようなゴム組成物は、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムを主成分とするゴム材料を用い、このゴム材料の100重量部に対して、窒素吸着比表面積が100〜230m2 /gであるカーボンブラックの60〜120重量部と、炭素数が12のアルキル基を有するフェノール樹脂にて変性されたジシクロペンタジエン樹脂の10〜60重量部とをそれぞれ配合せしめてなるものであって、そこに、本発明の大きな技術的特徴が存しているのである。
そして、そこでは、先ず、かかるゴム組成物を与える主要成分たるゴム材料は、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムを主体とするポリマーにて構成されるものである。なお、ジエン系合成ゴムとしては、従来より免震ゴム積層体の製造に用いられているものであれば如何なるものであっても用いることが可能であり、例えば、合成ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等を挙げることが出来る。このようなジエン系合成ゴム及び天然ゴムのうちの少なくとも1種を主成分としたゴム材料が、本発明において用いられる。
そのようなゴム材料に配合せしめられるカーボンブラックは、窒素吸着比表面積が100〜230m2 /gの範囲内の粒状物である。この窒素吸着比表面積が100m2 /gよりも低くなると、得られる免震ゴム積層体において高減衰特性が有利に発揮され得なくなる恐れがあり、その一方、窒素吸着比表面積が230m2 /gよりも高くなると、免震ゴム積層体の作製時に、ゴム組成物の粘度が上昇して、加工性が悪化し、練り混合時に発熱が大きくなって、ポリマーが分解したりする等の問題を惹起する恐れがある。
かかる所定の窒素吸着比表面積を有するカーボンブラックは、前記したゴム材料の100重量部に対して、60〜120重量部の割合において、配合せしめられる。かかる配合量が少な過ぎると、高減衰特性の発現が不充分となる恐れがあり、また、その配合量が多過ぎると、加工性が悪化する等の問題を惹起する恐れがあるからである。
そして、本発明においては、減衰特性の向上を図る成分として、上記したカーボンブラックと共に、炭素数が12のアルキル基を有するフェノール樹脂にて変性されたジシクロペンタジエン樹脂(以下、適宜、変性ジシクロペンタジエン樹脂ともいう)が配合されるのである。
ここで、本発明において用いられる、フェノール樹脂にて変性されたジシクロペンタジエン樹脂(変性ジシクロペンタジエン樹脂)とは、例えば、ジシクロペンタジエン樹脂を、フェノール樹脂にて、クロマン環生成を主とした縮合反応により変性したものであって、フェノール−ホルマリン初期縮合物とジシクロペンタジエン樹脂とを反応させて得られたもの等を挙げることが出来る。
そのような変性ジシクロペンタジエン樹脂をゴム材料に配合してなるゴム組成物を用いて、免震ゴム積層体を作製すると、かかる変性ジシクロペンタジエン樹脂におけるジシクロペンタジエン樹脂部は、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴム、並びにカーボンブラックとの相溶性が良好で、ゴムブロック12(ゴム層16)における減衰特性の向上に有利に寄与すると共に、そのフェノール樹脂部は、本来的に粘性減衰効果を有し、また、ゴム層16の硬度の向上に有利に寄与し得るものであるところから、かかる変性ジシクロペンタジエン樹脂にあっては、ゴムブロック12(ゴム層16)内に良好に分散し、その減衰特性の向上及び所定の硬度の発揮に効果的に寄与し、以て、所定の硬度を有しつつ、加工性や弾性特性の温度依存性を何等悪化させることなく、その減衰特性を一段と向上せしめた免震ゴム積層体10が得られるのである。
ここで、本発明において用いられる変性ジシクロペンタジエン樹脂は、炭素数が12のアルキル基を有するフェノール樹脂にて変性されたものである。かかる炭素数が12のアルキル基としては、如何なるものであっても良く、例えば、直鎖状アルキル基(ドデシル基)を例示することが出来る。また、フェノール樹脂としては、従来より公知の各種フェノール樹脂であって、上記した所定のアルキル基にて変性可能なものであれば、如何なるものも採用可能である。
また、本発明においては、炭素数が12のアルキル基を有するフェノール樹脂にて変性されたジシクロペンタジエン樹脂を、更に、合成イソプレンゴム、合成ブタジエンゴム又はロジンにて変性してなるものも、用いることが可能である。なお、かかる変性に際しては、それらの液状物(液状イソプレンゴム、液状ブタジエンゴム等)が、有利に用いられる。
さらに、そのような変性ジシクロペンタジエン樹脂の配合量としては、目的とする減衰特性等に鑑みて適宜に決定されることとなるが、その配合において充分な減衰特性の向上を発揮せしめるためには、ゴム材料の100重量部に対して、少なくとも10重量部以上、好ましくは20重量部以上、配合せしめることが必要となる。また、その余りにも多量の配合は、形成されるゴムブロック12における弾性特性の温度依存性を悪化せしめる恐れもあるところから、ゴム材料の100重量部に対して、60重量部以下、好ましくは40重量部以下の配合割合とされる。
なお、本発明においては、凝固点が−30℃以下である可塑剤を、上記したカーボンブラックとアルコキシシラン変性フェノール樹脂に組み合わせて、配合せしめることによって、それらカーボンブラック及びアルコキシシラン変性フェノール樹脂によって奏される効果的な機能を維持しつつ、それらの成分(特にカーボンブラック)による温度依存性に対する影響を効果的に緩衝して、かかる温度依存性を小さくすることに有利に寄与せしめることも可能である。そのような可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)等のフタレート系可塑剤;ジオクチルアジペート(DOA)、ジイソデシルアジペート(DIDA)、ジブチルグリコールアジペート、ジブチルカルビトールアジペート等のアジペート系可塑剤;ジオクチルセバケート(DOS)、ジブチルセバケート(DBS)等のセバケート系可塑剤;トリクレジルフォスフェート(TCP)、クレジルフェニルフォスフェート(CDP)、トリブチルフォスフェート(TBP)、トリオクチルフォスフェート(TOP)、トリブトキシエチルフォスフェート(TBXP)等のフォスフェート系可塑剤の他、ジ−2−エチルへキシルアゼレート(DOZ)、ジ−2−エチルヘキシルドデカンジオエート(DODN)等を挙げることが出来、それらの1種或いは2種以上が組み合わされて、用いられることとなる。
また、そのような性質を有する可塑剤にあっては、ゴム材料の100重量部に対して、1〜50重量部の割合において、より好適には、2〜25重量部の割合において配合せしめられるものである。蓋し、その配合量があまりにも少ないと、温度依存性の改善効果を充分に発現し得なくなり、その一方、配合量が多過ぎる場合にあっては、相溶性が悪化するため、本発明に係る免震ゴム積層体10において、可塑剤がゴムブロック12(ゴム層16)の外表面から滲み出る、所謂、ブリードの如き問題を惹起するようになる。
加えて、本発明においては、従来より、温度依存性の低下を阻止乃至は抑制しつつ、減衰特性の向上を図る成分として公知のアスファルト類、タール類、ピッチ類を、適宜、配合することが可能である。具体的に、アスファルト類としては、各種の天然アスファルトの他、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、カットバックアスファルト等の石油アスファルトが、また、タール類としては、コールタール、ケツ岩タール、木タール、オイルガスタール、石油タール、精製タール等が、更に、ピッチ類としては、コールタールピッチ、木タールピッチ、ロジンピッチ等が、本発明の目的を阻害しない量的割合において用いられ得る。
そして、上述の如き、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムを主成分とするゴム材料に対して、特定のカーボンブラックや変性ジシクロペンタジエン樹脂が、所定割合において配合せしめられ、また可塑剤やアスファルト類等が所定割合にて配合されてなるゴム組成物には、従来と同様に、硫黄の如き加硫剤が添加され、更に、必要に応じて、適当な加硫促進剤、ステアリン酸や亜鉛華等の加硫促進助剤、オイル等の軟化剤、ワックス、老化防止剤等の公知の各種のゴム用配合剤が、通常の範囲内において配合せしめられ、目的とするゴム層16を与えるゴムブロック12の形成に用いられることとなるのである。
また、かくの如きゴム組成物を用いて、本発明に従う免震ゴム積層体を製造するに際しては、従来から公知の各種の手法が適宜に採用され、例えば、図1に示される如き免震ゴム積層体10を得るには、密閉式混練り機等により、所定のゴム組成物の混練りを行なった後において、加硫成形金型を用いて、所定の金属板14、並びに、上部及び下部取付板18、20の存在下、所定のゴム組成物を注入して、ゴムブロック12を加硫成形せしめることにより、それら各金属板の間にゴム層16が介在せしめられて、一体的に加硫接着されてなる構造とする方法や、適当な接着剤を用いて、各金属板とゴム組成物から形成されたゴム層16とを交互に積層接着せしめて、一体化することにより、積層体と為す方法等が、採用されることとなる。
なお、本発明に従う免震ゴム積層体において、剛性を有する硬質板として用いられる上部及び下部取付板18、20、並びに、金属板14としては、耐圧縮性に優れた鉄板や鋼板が好適に用いられ得るものであるが、他の金属材質のものであっても、何等差支えなく、更には、硬質プラスチック板材等であっても、耐圧縮性に優れたものであれば、同様に使用可能である。
また、かかる免震ゴム積層体10の全体形状としては、その設置形態に応じた適宜の形状が採用され、例えば、平面形態において、四角形形状や円板形状の他に、楕円形状や五角形、六角形等の多角形形状とすることも可能であり、更に、金属板やゴム層16の積層数にあっても、免震ゴム積層体の用途に応じて、適宜に決定されることとなる。
以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には、上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
先ず、下記表1及び表2に示される各種配合組成のゴム組成物(本発明例1〜6及び比較例1〜4を調製した。なお、かかるゴム組成物の調製に際して、ゴム材料としては、合成イソプレンゴム(IR)及び合成ブタジエンゴム(BR)を用いると共に、減衰特性向上成分たる変性ジシクロペンタジエン樹脂としては、ドデシル基を有するフェノール樹脂にて変性されたジシクロペンタジエン樹脂(変性ジシクロペンタジエン樹脂A、融点:114℃)、又は、かかる変性ジシクロペンタジエン樹脂Aを液状ブタジエンゴムにて変性したもの(変性ジシクロペンタジエン樹脂B、融点:100℃)を用いた。また、ドデシル基を有するフェノール樹脂と、融点が100℃のジシクロペンタジエン樹脂を用いると共に、カーボンブラックとしては、窒素吸着比表面積が171m2 /gのものを用いた。なお、この窒素吸着比表面積は、JIS−K−6217−1997に準拠して、測定されたものである。また、DOAは、可塑剤としてのジオクチルアジペートであり、MSA及びTBTは、それぞれ、加硫促進剤としてのN−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド及びテトラブチルチウラムジスルフィドを示している。
次いで、上記で得られた各種ゴム組成物を用いて、引張強度(MPa)、弾性率(N/mm2 )及び減衰定数(%)を測定した。
−引張強度の測定−
各種ゴム組成物を、150℃×30分の加硫条件にて、加硫成形することにより、厚さ2mmの加硫シートを得、得られた加硫シートからJIS−K−6251−1993の「加硫ゴムの引張試験法」に規定されるダンベル状3号形試験片を作製した。得られた試験片を用いて、同JIS−K−6251−1993の「加硫ゴムの引張試験法」に規定される試験法に従って、所定の引張試験機により、試験片が切断するまで引張せしめて、引張強度(MPa)を測定した。その結果を、下記表1及び2に併せ示す。
各種ゴム組成物を、150℃×30分の加硫条件にて、加硫成形することにより、厚さ2mmの加硫シートを得、得られた加硫シートからJIS−K−6251−1993の「加硫ゴムの引張試験法」に規定されるダンベル状3号形試験片を作製した。得られた試験片を用いて、同JIS−K−6251−1993の「加硫ゴムの引張試験法」に規定される試験法に従って、所定の引張試験機により、試験片が切断するまで引張せしめて、引張強度(MPa)を測定した。その結果を、下記表1及び2に併せ示す。
−弾性率及び減衰定数の測定−
先ず、各種ゴム組成物と、4枚の金属板(25mm×90mm×4mm)とを用いて、150℃×30分の条件にて加硫成形することにより、図2に示す試験体(4ブロックラップシエア型試験体)を作製した。なお、かかる試験体におけるゴム部の大きさは、25mm×20mm×4mmとした。
先ず、各種ゴム組成物と、4枚の金属板(25mm×90mm×4mm)とを用いて、150℃×30分の条件にて加硫成形することにより、図2に示す試験体(4ブロックラップシエア型試験体)を作製した。なお、かかる試験体におけるゴム部の大きさは、25mm×20mm×4mmとした。
次いで、剪断試験機にて、得られた試験体に対して、図2に示す方向に、変形周波数:0.5Hzにて加振せしめることにより、剪断特性試験を実施し、その歪みが175%である場合の弾性率(175%弾性率:N/mm2 )を求めた。また、かかる試験後の試験体を1日以上放置した後、歪みが250%の減衰定数(%)を求めた。弾性率及び減衰定数は、具体的には、剪断特性試験にて得られたヒステリシスループ(図3参照)と、下記式より、それぞれ算出し、10回の平均値を求めた。
[弾性率]=(K・H)/A
K:絶対バネ定数=Fmax/δmax
H:試験体中におけるゴム層の合計の厚み
A:ゴム層の断面積
[減衰定数]={ΔW/(2πW)}×100
W:試験体の弾性エネルギーで、図3に示す三角形の面積
ΔW:試験体が吸収するエネルギーの合計で、ヒステリシスループにより囲まれ た部分の面積(図3参照)
また、175%弾性率については、−20℃及び20℃のそれぞれの条件下にて測定した後、その結果を用いて[−20℃下での弾性率]/[20℃下での弾性率]を算出し、算出した値を弾性率の温度依存性(比)とした。かかる弾性率の温度依存性(比)の値が小さいほど、弾性率の温度依存性が小さいことを示す。弾性率(20℃)、減衰定数、弾性率の温度依存性(比)の結果を、下記表1及び2に併せ示す。
[弾性率]=(K・H)/A
K:絶対バネ定数=Fmax/δmax
H:試験体中におけるゴム層の合計の厚み
A:ゴム層の断面積
[減衰定数]={ΔW/(2πW)}×100
W:試験体の弾性エネルギーで、図3に示す三角形の面積
ΔW:試験体が吸収するエネルギーの合計で、ヒステリシスループにより囲まれ た部分の面積(図3参照)
また、175%弾性率については、−20℃及び20℃のそれぞれの条件下にて測定した後、その結果を用いて[−20℃下での弾性率]/[20℃下での弾性率]を算出し、算出した値を弾性率の温度依存性(比)とした。かかる弾性率の温度依存性(比)の値が小さいほど、弾性率の温度依存性が小さいことを示す。弾性率(20℃)、減衰定数、弾性率の温度依存性(比)の結果を、下記表1及び2に併せ示す。
かかる表1及び表2の結果からも明らかなように、本発明例1〜6に係るゴム組成物は、何れも、弾性率が所定値(0.6N/mm2 )以上の値を示しつつ、高い減衰定数を有し、且つ、弾性率の温度依存性が小さいことが認められたのであり、更に、比較例1〜4のゴム組成物に比べて、減衰特性と弾性率の温度依存性のバランスにおいて、優れていることが認められたのである。
10 免震ゴム積層体
12 ゴムブロック
14 金属板
16 ゴム層
18 上部取付板
20 下部取付板
12 ゴムブロック
14 金属板
16 ゴム層
18 上部取付板
20 下部取付板
Claims (1)
- 剛性を有する硬質板とゴム層とが交互に積層せしめられて構成されてなる免震ゴム積層体にして、前記ゴム層が、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムを主成分とするゴム材料を用い、該ゴム材料の100重量部に対して、窒素吸着比表面積が100〜230m2 /gであるカーボンブラックの60〜120重量部と、炭素数が12のアルキル基を有するフェノール樹脂にて変性されたジシクロペンタジエン樹脂の10〜60重量部とをそれぞれ配合せしめてなるゴム組成物を用いて、形成されていることを特徴とする免震ゴム積層体。
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JP (1) | JP2007263258A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015004005A (ja) * | 2013-06-21 | 2015-01-08 | 東洋ゴム工業株式会社 | 防振ゴム用ゴム組成物 |
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JP2570340B2 (ja) * | 1987-04-06 | 1997-01-08 | 株式会社ブリヂストン | 免震構造体 |
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JP2003041057A (ja) * | 2001-07-26 | 2003-02-13 | Toyo Tire & Rubber Co Ltd | タイヤ用ゴム組成物 |
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2006
- 2006-03-29 JP JP2006090187A patent/JP2007263258A/ja active Pending
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