JP3879499B2 - 免震ゴム積層体 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、免震ゴム積層体に係り、特に土木や建築用等の構造物を支承する免震ゴム積層体、中でも、橋梁の橋脚への支承のために好適に用いられる橋梁用免震ゴム積層体(支承体)に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、土木や建築等の分野における構造物の支持に使用されている、免震ゴム積層体たるゴム支承体は、上部構造体と下部構造体との間に介在せしめられて、配置されるものであるが、通常、それらの構造体の重量が極めて大きいために、金属板等の剛性を有する硬質板とゴム層とが交互に積層せしめられてなる積層体構造とされており、それによって、建物の防振支持乃至は免震支持や橋梁の荷重支持、更には免震支持等の、ゴム支承体としての機能が効果的に果たされ得るようになっている。
【0003】
具体的には、例えば、図1に示される如く、免震ゴム積層体10は、ゴムブロック12内に硬質板としての金属板14の複数枚が所定間隔を隔てて埋設されることによって、そのような金属板14と、それら金属板14,14間に位置するゴムブロック12部分であるゴム層16とが、交互に、一体的に積層されてなる構造を有していると共に、ゴムブロック12の上部及び下部には、それぞれ、金属製の上部取付板18及び下部取付板20が固着せしめられた構造となっているのである。そして、そのような免震ゴム積層体10は、その上部取付板18及び下部取付板20において、橋梁等の上部構造体と橋脚等の下部構造体との間に挟持、配置されて、固定せしめられ、コンクリート橋脚等の大なる重量の上部構造体を支持するようになっているのであり、以て免震ゴム積層体としての本来の機能が奏せしめられ得るようになっている。即ち、地震、強風或いは橋上を通過する車両等による重量や加速度の影響によって生じる撓み及び変位が、ゴム積層体の剪断方向の緩衝作用によって吸収され、また上下方向の振動も、ゴム積層体の緩衝作用によって吸収され得るようになっているのである。
【0004】
ところで、上記の如き構造の免震ゴム積層体は、本来的に、高い減衰特性を有するものであることが望ましいことは勿論、その設置場所からして、低温度から高温度に至る広い温度領域に晒され易く、特に、橋梁の橋脚への支承のために使用される橋梁用支承体にあっては、氷点下の温度から30℃を遙かに超える温度に至る厳しい自然環境下におかれることとなるところから、弾性係数の温度依存性が少ないものであることが、望ましい。
【0005】
しかしながら、従来の免震ゴム積層体にあっては、そのゴム層(ゴムブロック)を与えるゴム組成物として、単に、天然ゴム(NR)の如きゴム材料に適当な加硫剤を配合してなる、通常のゴム組成物が用いられているところから、減衰特性が今一つ充分でないことに加えて、そのような減衰特性を向上せしめるとされる従来から公知の成分を配合したりすると、弾性係数の温度依存性が比較的大きくなって、免震ゴム積層体としての特性、特に弾性特性が周囲温度に左右されるという問題を内在するものであった。
【0006】
かかる状況下、そのような弾性特性を向上せしめるべく、例えば、(1)カーボンブラックの配合量を増大せしめる手法や、(2)オイルの配合量を減少せしめる手法、(3)加硫剤である硫黄の添加量を増加させる手法等が、種々検討されてきているのであるが、その中で、(1)及び(2)の手法にあっては、混練り・成形時にゴムの温度が上昇してゴムが焼け易くなると共に、ゴム組成物のムーニー粘度が上昇して加工性が悪化したり、また、(3)の手法にあっては、免震ゴム積層体に必要とされる減衰特性が低下せしめられるといった問題が惹起せしめられていたのである。
【0007】
このため、本願出願人にあっては、先に、弾性特性における温度依存性を小さく保ちつつ、減衰特性を有利に向上せしめ得るように、所定のゴム材料に対して、アスファルト類、タール類及びピッチ類のうちの少なくとも1種を所定割合において配合してなるゴム組成物を用いて、免震ゴム積層体のゴム層を形成することを提案した(特開2000−97270号公報参照)。しかしながら、かかるアスファルト類等のゴム組成物への配合によって、免震ゴム積層体のゴム層(ゴムブロック)の形成時におけるゴム組成物の加工性、例えば練り加工性や成形加工性等が低下して、生産性に望ましくない影響をもたらす等といった問題が新たに惹起されることが、判明したのである。
【0008】
【解決課題】
そこで、本発明者らは、上記したアスファルト類等の配合による特性の向上を図りつつ、ゴム層を与えるゴム組成物の加工性の向上を実現するべく、鋭意検討した結果、融点又は軟化点が86℃以上である高融点ワックスを更に配合せしめることによって、弾性特性における温度依存性や減衰特性の改善と共に、ゴム層を与えるゴム組成物の加工性の向上が良好に実現され得ることが、明らかとなったのである。
【0009】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、金属板等の剛性を有する硬質板とゴム層とが交互に積層せしめられてなる積層体構造の免震ゴム積層体にして、免震支承用として有効な弾性特性の温度依存性や減衰特性の改善を図りつつ、ゴム層を与えるゴム組成物の加工性を向上せしめた免震ゴム積層体を提供することにある。
【0010】
【解決手段】
そして、本発明にあっては、そのような課題を解決するために、剛性を有する硬質板とゴム層とが交互に積層せしめられて構成されてなる免震ゴム積層体にして、前記ゴム層が、ジエン系ゴムを主成分とするゴム材料の100重量部に対して、アスファルト類、タール類及びピッチ類のうちの少なくとも1種を1〜70重量部の割合で配合すると共に、融点又は軟化点が86℃以上である高融点ワックス(但し、ポリオレフィン系ワックスを除く)を1〜60重量部の割合で更に配合してなるゴム組成物を用いて、形成されていることを特徴とする免震ゴム積層体を、その要旨とするものである。
【0011】
すなわち、このような本発明に従う免震ゴム積層体にあっては、金属板の如き硬質板の間に位置せしめられるゴム層を与えるゴム組成物に、アスファルト類、タール類及びピッチ類のうちの少なくとも1種と共に、融点又は軟化点が86℃以上である高融点ワックスを組み合わせて、それらを、それぞれ所定割合において配合せしめたところに、大きな特徴を有しているのであるが、そこでは、そのようなアスファルト類、タール類及びピッチ類のうちの少なくとも1種のものの特定量の配合によって、弾性係数の如き弾性特性における優れた温度依存性と減衰特性の改善とを両立的に実現し得たばかりでなく、融点又は軟化点が86℃以上である高融点ワックスの特定量の配合によって、前記アスファルト類等により奏される優れた減衰特性と温度依存性に悪影響を何等もたらすことなく、ゴム組成物の練り加工性や成形加工性等を有利に向上せしめ得たのである。
【0012】
なお、かくの如き本発明に従う免震ゴム積層体における好ましい態様の一つによれば、前記ゴム組成物が、前記ゴム材料の100重量部に対して、30nm以下の一次粒子径を有するカーボンブラックを、50〜150重量部の割合において更に含んでいることが望ましく、これによって、かかるゴム組成物の加工性を充分に確保しつつ、アスファルト類等の成分の含有に起因する温度依存性への影響を効果的に緩衝乃至は回避して、目的とする弾性特性を有利に実現することが出来る。
【0013】
また、本発明に従う免震ゴム積層体の他の好ましい態様の一つにおいては、前記ゴム組成物に対して、凝固点が−30℃以下である可塑剤が、前記ゴム材料の100重量部に対して1〜50重量部の割合において、更に配合せしめられることとなる。即ち、かかる特定の可塑剤を所定量においてゴム組成物中に配合せしめることによって、前述せる如きアスファルト類等の成分の配合によって発揮される有効な減衰特性を高度に維持しつつ、減衰特性及び弾性特性の温度依存性を更に有利に小ならしめることが出来るのである。
【0014】
【発明の実施の形態】
ところで、かかる本発明に従う免震ゴム積層体は、代表的には、図1に示される如き構造を呈するものであって、ゴムブロック12内に、剛性を有する硬質板として、所定間隔を隔てて配置された複数の金属板14によって、それら金属板14,14間に、ゴム層16が形成され、以て、それら金属板14とゴム層16とが交互に積層せしめられてなる積層構造とされているものであり、そこにおいて、このような免震ゴム積層体10を構成するゴムブロック12(具体的には、ゴム層16)が、本発明に従って、特定のゴム組成物を用いて形成されているのである。
【0015】
すなわち、そのようなゴム組成物は、所定のゴム材料に対して、アスファルト類、タール類及びピッチ類のうちの少なくとも1種と共に、融点又は軟化点が86℃以上である高融点ワックスを、それぞれ所定割合において配合せしめて、構成されるものであって、そこに、本発明の大きな特徴が存しているのである。なお、ここで、かかる融点又は軟化点が86℃以上である高融点ワックスには、ポリオレフィン系ワックスは含まれないものとし、以下の説明にあっても、同様とする。
【0016】
ここにおいて、かかるアスファルト類、タール類及びピッチ類は、何れも、弾性特性における温度依存性の悪化を阻止乃至は抑制しつつ、減衰特性の向上を図る成分として配合されるものであって、本発明では、それらの1種乃至は複数が組み合わされて、用いられることとなる。なお、かくの如き成分(以下、減衰特性向上成分と呼称する)のうち、アスファルト類としては、例えば、各種の天然アスファルトの他、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、カットバックアスファルト等の石油アスファルト等が用いられ、また、タール類としては、コールタール、ケツ岩タール、木タール、オイルガスタール、石油タール、精製タール等が用いられ、更にピッチ類としては、コールタールピッチ、木タールピッチ、ロジンピッチ等が用いられる。そして、それらの中でも、軟化点が110℃以上であるアスファルト類及びピッチ類を使用することが好ましく、更に有利には、かかる軟化点を有する天然アスファルトの使用が、特に推奨されるのであって、それによって、弾性特性における温度依存性と減衰特性とをより一層高度に改善することが出来る。
【0017】
そして、この種の減衰特性向上成分の配合量としては、目的とする減衰特性に応じて適宜に決定されることとなるが、その配合によって充分な減衰特性の向上を発揮せしめるためには、ゴム材料の100重量部に対して、少なくとも1重量部以上、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上、配合せしめることが必要となる。また、その余りにも多量の配合は、形成されるゴムブロック12の弾性特性の温度依存性を悪化せしめるようになるところから、ゴム材料の100重量部に対して、70重量部以下、好ましくは60重量部以下の配合割合とされるのである。
【0018】
一方、上述せる如き減衰特性向上成分と共に、ゴム組成物に配合せしめられる融点又は軟化点が86℃以上である高融点ワックスは、前記した減衰特性向上成分により奏される高減衰特性を有利に確保しつつ、弾性特性における温度依存性に大きな影響を与えることなく、それを充分高度に維持すると共に、該減衰特性向上成分により低下するゴム組成物の加工性、例えば、練り加工性や成形加工性等を、実用上、有利となる程度にまで高めることが出来るという特徴を発揮するものである。
【0019】
すなわち、かかる融点又は軟化点が86℃以上である高融点ワックスを配合することによって、ゴム組成物の粘度が有利に低下せしめられ得ることとなり、以て、後に詳述する如き免震ゴム積層体10の製造におけるゴム組成物の混練り工程において、混練り性が良好なものとなって、その練り時間の短縮化が有利に図られ得ると共に、混練りゴムの温度上昇に起因してゴムが焼けるようなことも効果的に防止され得るのであり、更には、各種ゴム用配合剤をゴム組成物に配合するような場合に、ゴム組成物中において配合剤が均一に且つ容易に分散するようになり、以て所望の特性が充分に奏され得るようになる。また、ゴム組成物の成形工程において、射出成形性や押出成形性、カレンダー分出し性等が優れたものとなる他、金型を用いた成形を行なう場合において、得られる製品(免震ゴム積層体10)の型離れ性が良くなると共に、高温雰囲気下でのゴム層16の引裂き強度も向上することとなるところから、金型から製品を取り出す際にゴム層16において裂けが発生するようなことが、効果的に阻止され得ることとなる。更には、加硫前のゴム組成物におけるスコーチの発生が有利に防止され得るという利点もある。
【0020】
そして、本発明では、かくの如き融点又は軟化点が86℃以上である高融点ワックスが、ゴム材料の100重量部に対して、1〜60重量部の割合となるように、好適には5〜40重量部となる割合において、配合せしめられることとなる。けだし、融点又は軟化点が86℃以上である高融点ワックスの配合量が過少である場合には、充分な加工性を実現することが出来なくなるからであり、また、過大な配合量にあっては、ゴム組成物の粘度が過度に低くなったり、弾性特性における温度依存性が大きくなるからである。
【0021】
ここにおいて、かかる融点又は軟化点が86℃以上である高融点ワックスとしては、融点が86℃以上、若しくは、軟化点が86℃以上のワックスであれば、特に限定されるものではなく、従来から公知の各種のワックス、例えば、動・植物ワックス、鉱物ワックス、石油ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、その他合成ワックス、配合ワックス、酸化ワックス、水素化ワックス、その他加工ワックス等の中から、適宜に選定して、使用することが出来る。なお、ここにおいて、軟化点は、JIS−K−7206−1999に示される如き手法にて測定された温度であることが望ましい。
【0022】
けだし、融点又は軟化点が86℃に満たないような低融点のワックスがゴム組成物中に配合されても、ゴム組成物の粘度は有利に低下されるものの、上述せる如き減衰特性向上成分により奏される効果が悪影響を受けたり、或いは、弾性率が低下せしめられる等といった問題が惹起される恐れがあるからである。なお、従来より、ゴム組成物には、耐候性を向上せしめる等の目的において、しばしば、ワックス類が添加されることがあり、ゴム用ワックスが市販されているのであるが、そのようなゴム用ワックスは、一般に、融点又は軟化点が低く、86℃に満たないものである。
【0023】
また、上述せる如き減衰特性向上成分及び融点又は軟化点が86℃以上である高融点ワックスと共に、本発明に従う免震ゴム積層体10を構成するゴム層16を与えるゴム組成物の構成成分の一つであるゴム材料としては、従来から免震ゴム積層体の製造に用いられている各種のゴム材料の中から適宜に選定されることとなるが、本発明にあっては、かかるゴム材料の主成分として、ジエン系ゴム、つまり、天然ゴム及びジエン系合成ゴムのうちの少なくとも1種以上が、採用されることとなる。なお、そのジエン系合成ゴムとしては、合成ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等を例示することが出来る。また、ゴム材料には、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、他のゴム材料等がブレンドされていても、何等差支えない。
【0024】
而して、本発明に係るゴム組成物には、上記の融点又は軟化点が86℃以上である高融点ワックスの他にも、前記した減衰特性向上成分に組み合わせて、カーボンブラックを配合せしめることが望ましく、それによって、温度依存性が悪化するのを、より一層効果的に阻止乃至は回避することが出来る。そして、かかるカーボンブラックは、一般に、ゴム材料の100重量部に対して、50〜150重量部の割合、好ましくは70〜100重量部の割合において、配合せしめられることとなる。何故ならば、その配合量が少なくなり過ぎると、目的とする弾性特性を充分に得ることが出来なくなるからであり、逆に配合量が過多となる場合には、ゴム組成物の練り加工性や成形加工性等が大きく低下するようになるからである。
【0025】
なお、そのようなカーボンブラックとしては、一次粒子径の小さなもの、一般に、30nm程度以下の一次粒子径を有するカーボンブラックが望ましく、有利にはHAFカーボン、ISAFカーボン、SAFカーボン等が好適に用いられるが、その中でも、粒径のより小さなSAFカーボンが、特に有利に用いられることとなる。このような粒径のカーボンブラックを配合することによって、減衰特性の向上にも大いに寄与し得るばかりでなく、前記融点又は軟化点が86℃以上である高融点ワックスによってもたらされる加工性の向上効果を最大限に享受することが出来るのである。
【0026】
また、本発明においては、ゴム組成物に対して、凝固点が−30℃以下である可塑剤を配合せしめることによって、前記減衰特性向上成分によって奏される有効な機能を維持しつつ、かかる成分による温度依存性に対する影響を効果的に緩衝して、温度依存性を可及的に小さく為すことも、可能である。そして、このような可塑剤としては、例えば、ジオクチルアジペート(DOA)、ジイソデシルアジペート(DIDA)、ジブチルグリコールアジペート、ジブチルカルビトールアジペート等のアジペート系可塑剤;ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)等のフタレート系可塑剤;ジオクチルセバケート(DOS)、ジブチルセバケート(DBS)等のセバケート系可塑剤;トリクレジルフォスフェート(TCP)、クレジルフェニルフォスフェート(CDP)、トリブチルフォスフェート(TBP)、トリオクチルフォスフェート(TOP)、トリブトキシエチルフォスフェート(TBXP)等のフォスフェート系可塑剤の他、ジ2−エチルヘキシルアゼレート(DOZ)、ジ2−エチルヘキシルドデカンジオエート(DODN)等を挙げることが出来、それらの1種、或いは2種以上が組み合わされて用いられることとなる。
【0027】
また、そのような性質を有する可塑剤を配合するに際しては、ゴム材料の100重量部に対して、1〜50重量部の割合において、より好適には2〜25重量部の割合において、配合せしめることが望ましい。これは、その配合量が余りにも少ないと、温度依存性の改善効果を充分に発現し得なくなるからであり、また一方、配合量が多すぎる場合には、相溶性が悪化するため、本発明に係る免震ゴム積層体10において、可塑剤がゴムブロック12(ゴム層16)の外表面から滲み出る、所謂、ブリードを惹起することとなるからである。
【0028】
而して、このように、所定のゴム材料に対して、特定の減衰特性向上成分及び融点又は軟化点が86℃以上である高融点ワックスがそれぞれ所定割合にて配合せしめられ、また、カーボンブラックや可塑剤が所定量において配合されてなるゴム組成物には、従来と同様に、硫黄の如き加硫剤が添加され、更に必要に応じて、適当な加硫促進剤、ステアリン酸や亜鉛華等の加硫促進助剤、オイル等の軟化剤、老化防止剤等の公知の各種のゴム用配合剤が、通常の範囲内において配合せしめられ、そしてそれが目的とするゴム層16を与えるゴムブロック12の形成に用いられることとなる。
【0029】
また、かくの如きゴム組成物を用いて、本発明に従う免震ゴム積層体を製造するに際しては、従来から公知の各種の手法が適宜に採用され、例えば、図1に示される如き免震ゴム積層体10を得るには、密閉式混練り機等により、所定のゴム組成物の混練りを行なった後において、加硫成形金型を用いて、所定の金属板14或いはそれと共に、上部及び下部取付板18,20の存在下、混練りされたゴム組成物を射出等により成形キャビティ内に注入せしめて、ゴムブロック12を加硫成形せしめることにより、金属板14,14の間にゴム層16が介在せしめられて、一体的に加硫接着されてなる構造とする方法や、ゴム組成物を混練りせしめ、次いでそれを押出成形したり、或いはカレンダーにて所定厚みに分出しせしめて成形すること等により、ゴム層16を形成した後、適当な接着剤を用いて、その得られたゴム層16と所定の金属板14とを交互に積層、接着せしめて、ゴムブロック12を作製し、更に必要に応じて、その上下面に取付板18,20を接着せしめて一体化することにより、積層体と為す方法等が、採用されることとなる。
【0030】
なお、本発明に従う免震ゴム積層体において、剛性を有する硬質板として用いられる金属板としては、耐圧縮性に優れた鉄板や鋼板が好適に用いられ得るものであるが、他の金属材質のものであっても、何等差し支えなく、更には硬質プラスチック板材等であっても、耐圧縮性に優れたものであれば、同様に使用可能である。
【0031】
また、かかる免震ゴム積層体の全体形状としては、その設置形態に応じた適宜の形状が採用され、例えば、平面形態において、四角形形状や円盤形状の他に、楕円形状や五角形、六角形等の多角形形状とすることも可能であり、更に金属板やゴム層の積層数にあっても、免震ゴム積層体の用途に応じて適宜に決定されることとなるのである。
【0032】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を含む幾つかの実験例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実験例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0033】
先ず、下記表1〜表3に示される各種配合組成のゴム組成物(実験例1〜19)を調製した。なお、かかるゴム組成物の調製に際して、ゴム材料としては、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、又は合成イソプレンゴム(IR)を用いると共に、ピッチとしてはコールタールピッチ、タールとしては精製コールタール、更にアスファルトとしては、ストレートアスファルト、若しくは軟化点が110℃の天然アスファルトを、それぞれ用いた。また、融点又は軟化点が86℃以上である高融点ワックスとしては、下記表4に示されるものを用いる一方、比較のための融点又は軟化点が86℃に満たないワックスとして、融点:65℃のマイクロクリスタリンワックス(サンノック、大内新興化学工業株式会社製)を用いた。更に、軟化剤としては、ナフテン系プロセスオイル乃至はアロマオイルを用いると共に、加硫剤としては硫黄を用いる一方、加硫促進助剤として、亜鉛華(ZnO)及びステアリン酸を用いた。更にまた、表中におけるDOA及びDOPは、可塑剤としてのジオクチルアジペート(凝固点:−60℃)及びジオクチルフタレート(凝固点:−50℃)を、それぞれ示している一方、MSA及びTBTは、それぞれ、加硫促進剤としてのN−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド及びテトラブチルチウラムジスルフィドを示すものである。なお、カーボンブラックとして用いたSAFカーボン及びHAFカーボンの一次粒子径は、それぞれ、19nm及び30nm程度であった。
【0034】
次いで、上記で得られた各種ゴム組成物を用いて、JIS−K−6300−1994の「未加硫ゴム物理試験方法」における「6.ムーニー粘度試験」に準拠して、L型ロータを用いて、予熱時間:1分、ロータの回転時間:3分、及び試験温度121℃の試験条件下で、それぞれのムーニー粘度を求めると共に、以下のゴム特性評価試験をそれぞれ行ない、それらの結果を、下記表1〜3に併せ示した。
【0035】
また、各種ゴム組成物から、150℃×30分の加硫条件を採用して、JIS−K−6394−1998「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの動的性質試験方法」に規定される金具付円柱状のせん断方法用試験片を作製した。なお、そのような試験片の作製に際しては、各ゴム組成物の加工性(練り加工性、成形加工性)について、○、×の2段階において、客観的に評価した。次に、その得られた各試験片を用いて、JIS−K−6394−1998に規定される「6.大形試験装置による動的性質試験」に従って、試験温度:−10℃、23℃及び40℃、試験振動数:0.5Hz、平均歪み(剪断):0%、歪み振幅(剪断):175%の条件下において、それぞれ荷重−撓み曲線を求め、それより、各測定温度での絶対バネ定数:|K* |(−10℃)、|K* |(40℃)、23℃での損失角の正弦:sin δ、及び23℃での弾性率(貯蔵剪断弾性係数G1 )を求め、また、以下の式から、減衰定数及びG(温度依存性)をそれぞれ算出して、得られた弾性率、減衰定数及びG(温度依存性)の結果を下記1〜3に併せ示した。
減衰定数=(sin δ)/2
G(温度依存性)=|K* |(−10℃)/|K* |(40℃)
【0036】
そして、上述の如くして得られた減衰定数、G(温度依存性)及び弾性率の結果から、それらの全てが、実用上、問題のない程度に有効であるものを○、それ以外のものを×として、総合的な評価を行ない、それらの結果を、下記表1〜3に併せ示した。
【0037】
【表1】
Figure 0003879499
【0038】
【表2】
Figure 0003879499
【0039】
【表3】
Figure 0003879499
【0040】
【表4】
Figure 0003879499
【0041】
かかる表1〜3の結果から明らかなように、実験例1〜16に係るゴム組成物にあっては、何れも、弾性特性において温度依存性の影響をあまり受けることがなく、しかも減衰特性の向上に効果があることが認められ、また、ムーニー粘度が適度な値となっていると共に、その加工性(練り加工性、成形加工性)においても良好なものとなっていることが、分かる。
【0042】
これに対して、融点又は軟化点が86℃以上である高融点ワックスが何等含有されていない実験例17に係るゴム組成物にあっては、ムーニー粘度が高く、加工性が悪くなっていることが認められる。また、減衰特性向上成分が何等含有されていない実験例18のゴム組成物にあっては、高い減衰特性が得られず、練り加工性も悪化している。更に、実験例19のゴム組成物にあっては、融点が65℃であるマイクロクリスタリンワックスが配合されているところから、弾性率が低下していると共に、練り加工性も悪化していることが認められる。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明に従う免震ゴム積層体にあっては、弾性特性における温度依存性の悪化が極めて有利に抑制されつつ、減衰特性の改善が図られ得ることに加えて、それを構成するゴム層を与えるゴム組成物の加工性においても、極めて優れたものと為され得たのである。従って、そのような特徴を有する免震ゴム積層体が容易且つ有利に製造され得ることとなったのであり、またそれは免震支承用の高減衰支承体として有利に用いられ得、地震、強風、或いは橋上を通過する車両等による重量や加速度の影響によって生じる撓み及び変位が、ゴム積層体の剪断方向における緩衝作用によって有効に吸収され、更に上下方向の振動も、ゴム積層体の緩衝作用によって、有利に吸収され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される免震ゴム積層体の代表的な一例を示す、一部切欠説明図である。
【符号の説明】
10 免震ゴム積層体 12 ゴムブロック
14 金属板 16 ゴム層
18 上部取付板 20 下部取付板

Claims (3)

  1. 剛性を有する硬質板とゴム層とが交互に積層せしめられて構成されてなる免震ゴム積層体にして、前記ゴム層が、ジエン系ゴムを主成分とするゴム材料の100重量部に対して、アスファルト類、タール類及びピッチ類のうちの少なくとも1種を1〜70重量部の割合で配合すると共に、融点又は軟化点が86℃以上である高融点ワックス(但し、ポリオレフィン系ワックスを除く)を1〜60重量部の割合で更に配合してなるゴム組成物を用いて、形成されていることを特徴とする免震ゴム積層体。
  2. 前記ゴム組成物が、前記ゴム材料の100重量部に対して、30nm以下の一次粒子径を有するカーボンブラックを、50〜150重量部の割合において更に含んでいる請求項1記載の免震ゴム積層体。
  3. 前記ゴム組成物に対して、凝固点が−30℃以下である可塑剤が、前記ゴム材料の100重量部に対して1〜50重量部の割合において、更に配合せしめられている請求項1又は請求項2記載の免震ゴム積層体。
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