JP2016017092A - 高減衰組成物、制震ダンパおよび免震支承 - Google Patents

高減衰組成物、制震ダンパおよび免震支承 Download PDF

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Abstract

【課題】減衰性能に優れる上、繰り返し大変形が加えられた際の物性の変化が小さい高減衰部材を形成できる高減衰組成物と、当該高減衰組成物からなる高減衰部材としての粘弾性体を備えた建築物等の制震ダンパ、免震支承を提供する。【解決手段】高減衰組成物は、ポリイソプレン系ゴム、およびポリブタジエンゴムの2種の架橋性ゴムにシリカ、アルキル型シリル化剤、フェニル型シリル化剤、ロジン誘導体、およびイミダゾール系化合物を配合した。制震ダンパ、および免震支承は、それぞれ上記高減衰組成物からなる粘弾性体を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、振動エネルギーの伝達を緩和したり吸収したりするための高減衰部材のもとになる高減衰組成物と、当該高減衰組成物からなる高減衰部材としての粘弾性体を備えた制震ダンパ、免震支承に関するものである。
例えばビルや橋梁等の建築物、産業機械、航空機、自動車、鉄道車両、コンピュータやその周辺機器類、家庭用電気機器類、さらには自動車用タイヤ等の幅広い分野において高減衰部材が用いられる。高減衰部材を用いることで振動エネルギーの伝達を緩和したり吸収したりする、すなわち免震、制震、制振、防振等をすることができる。
高減衰部材は、主に天然ゴム等の架橋性ゴムを含む高減衰組成物によって形成される。
高減衰組成物には、振動が加えられた際のヒステリシスロスを大きくして当該振動のエネルギーを効率よく速やかに減衰する性能、すなわち減衰性能を高めるためにカーボンブラック、シリカ等の無機充てん剤、あるいはロジン、石油樹脂等の粘着性付与剤等を配合するのが一般的である(例えば特許文献1〜3等参照)。
しかしこれら従来の構成では高減衰部材の減衰性能を十分に高めることはできず、減衰性能を現状よりもさらに高めるためには無機充てん剤や粘着性付与剤等の配合割合をさらに増加させること等が考えられる。
ところが多量の無機充てん剤を配合した高減衰組成物は混練が難しくなり、多量の粘着性付与剤を配合した高減衰組成物は混練時の粘着性が高くなりすぎる結果、いずれも加工性が低下して所望の立体形状を有する高減衰部材を製造するために混練したり成形加工したりするのが容易でないという問題がある。
特に工場レベルで高減衰部材を量産する場合、加工性の低さはその生産性を大きく低下させ、生産に要するエネルギーを増大させ、さらには生産コストを高騰させる原因となるため望ましくない。
そこで加工性を低下させずに減衰性能を向上するため、特許文献4では天然ゴム等の極性側鎖を有しない架橋性ゴムに、シリカと2以上の極性基を有する粘着性付与剤等とを配合することが検討されている。
ところが現状よりも減衰性能をさらに向上するために粘着性付与剤の配合割合を増加させた場合には、当該粘着性付与剤が高減衰部材の表面にブルームして金属等との接着不良などを生じることが懸念される。
特許文献5では、粘着性付与剤として特定の軟化点を有するロジン誘導体を用いることで、さらに減衰性能を向上することが検討されている。
しかし、現状よりもさらに減衰性能を向上するためにロジン誘導体の配合割合を増加させた場合には、やはり混練時の粘着性が高くなりすぎて加工性が低下するという問題がある。
特許文献6では、減衰性付与剤としてイミダゾールとヒンダードフェノール系化合物を配合してさらに減衰性能を向上することが検討されている。
さらに特許文献7では、ベースゴムとしてのジエン系ゴムにシリカ、ロジン誘導体、およびイミダゾール系化合物を配合してさらに減衰性能を向上することが検討されている。
しかしこれらの構成でも、近年のより一層の高減衰化の要求に対しては十分に対応しきれなくなりつつあるのが現状である。
特許第3523613号公報 特開2007−63425号公報 特許第2796044号公報 特開2009−138053号公報 特開2010−189604号公報 特許第5086386号公報 特許第5330460号公報
特許文献1〜7に記載の高減衰組成物によれば、以上で説明したように種々の問題を生じるおそれはあるものの、各成分の配合割合等を適度に調整することである程度の減衰性能と加工性とを両立することは可能である。
特に架橋剤成分によって架橋させた状態でのゴム分子同士の架橋構造が緩やかで減衰性能に優れた高減衰部材を形成できる上、入手がしやすく高減衰組成物をコスト安価に製造できるといった利点を有するため、架橋性ゴムとして天然ゴムを用いてシリカ等を配合した高減衰組成物が高減衰部材の形成材料として広く用いられている。
しかし、かかる従来の高減衰組成物を用いて形成した高減衰部材は、地震等によって繰り返し大変形が加えられた際に弾性率や剛性等の物性が大きく変化する傾向があった。
本発明の目的は、減衰性能に優れる上、繰り返し大変形が加えられた際の物性の変化が小さい高減衰部材を形成できる高減衰組成物と、当該高減衰組成物からなる高減衰部材としての粘弾性体を備えた建築物等の制震ダンパ、免震支承を提供することにある。
本発明は架橋性ゴム、およびシリカを含み、
前記架橋性ゴムはポリイソプレン系ゴム、およびポリブタジエンゴムの2種であり、
さらに式(1):
Figure 2016017092
〔式中Rは炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは2〜9の数を示す。〕
で表されるアルキル型シリル化剤、
式(2):
Figure 2016017092
〔式中Rは炭素数1〜3のアルキル基を示す。〕
で表されるフェニル型シリル化剤、ロジン誘導体、およびイミダゾール系化合物を含んでいる高減衰組成物である。
繰り返し大変形が加えられた際に、架橋性ゴムとして天然ゴムを用い、シリカを配合した従来の高減衰組成物からなる高減衰部材の物性が大きく変化する主な原因の一つは、変形時の発熱による高減衰部材の弾性率の低下にある。またこの問題は、天然ゴムを含むポリイソプレン系ゴム全般に発生する。
架橋性ゴムとして、天然ゴム等のポリイソプレン系ゴムとともに、温度による物性変化が小さいポリブタジエンゴムを併用すると、発熱による弾性率の低下を抑制して、繰り返し大変形が加えられた際の物性の変化を抑制できる。
しかしポリブタジエンゴムを併用すると、混練が難しくなって高減衰組成物の加工性が低下する。
これに対し架橋性ゴムとしてポリイソプレン系ゴム、およびポリブタジエンゴムを併用するとともにシリカを配合した系に、さらに式(1)で表されるアルキル型シリル化剤を配合すると高減衰組成物の加工性の低下を抑制できる。
ところがアルキル型シリル化剤のみを配合したのでは、高減衰部材の減衰性能が低下する傾向があるため、本発明では式(2)で表されるフェニル型シリル化剤、ロジン誘導体、およびイミダゾール系化合物を併用している。
すなわちアルキル型シリル化剤とフェニル型シリル化剤の併用により、高減衰部材の減衰性能の低下を抑制しながら、高減衰組成物の加工性を向上できる。
またロジン誘導体、およびイミダゾール系化合物の併用により、高減衰部材の減衰性能をさらに向上できる。
したがって本発明の高減衰組成物によれば、上記各成分を併用することの相乗効果により、加工性に優れとともに減衰性能にも優れる上、繰り返し大変形が加えられた際の物性の変化が小さい高減衰部材を形成することが可能となる。
またポリイソプレン系ゴム、およびポリブタジエンゴムは、いずれもガラス転移温度が室温(2〜35℃)付近に存在しないため、最も一般的な使用温度域である室温付近での減衰性能や物性の温度依存性を小さくして、広い温度範囲で安定した減衰性能や物性を示す高減衰部材を形成できるという利点もある。
本発明の実施例、比較例の高減衰組成物からなる高減衰部材の減衰性能を評価するために作製する、前記高減衰部材のモデルとしての試験体を分解して示す分解斜視図である。 同図(a)(b)は、前記試験体を変位させて変位量と荷重との関係を求めるための試験機の概略を説明する図である。 前記試験機を用いて試験体を変位させて求められる、変位量と荷重との関係を示すヒステリシスループの一例を示すグラフである。
〈高減衰組成物〉
本発明の高減衰組成物は、架橋性ゴムとしてのポリイソプレン系ゴム、およびポリブタジエンゴムの2種にシリカ、式(1)で表されるアルキル型シリル化剤、式(2)で表されるフェニル型シリル化剤、ロジン誘導体、およびイミダゾール系化合物を配合してなるものである。
(ポリイソプレン系ゴム)
ポリイソプレン系ゴムとしては天然ゴム、および/またはポリイソプレンゴムが挙げられ、特に入手がしやすく高減衰組成物をコスト安価に製造できるといった利点を有する天然ゴムが好ましい。
(ポリブタジエンゴム)
ポリブタジエンゴムとしては、架橋性を有する種々のポリブタジエンゴムがいずれも使用可能である。特に温度による物性変化が小さく、発熱による弾性率の低下を抑制して繰り返し大変形が加えられた際の物性の変化を抑制する機能に優れたシス−1,4結合の割合が95質量%以上の高シスポリブタジエンゴムが好ましい。
かかる高シスポリブタジエンゴムの具体例としては、例えば宇部興産(株)製のUBEPOL(登録商標)BR150〔ムーニー粘度(ML1+4、100℃):43、シス−1,4結合含量:98質量%〕、BR150B〔ムーニー粘度(ML1+4、100℃):40、シス−1,4結合含量:97質量%〕、BR130B〔ムーニー粘度(ML1+4、100℃):29、シス−1,4結合含量:96質量%〕、BR150L〔ムーニー粘度(ML1+4、100℃):43、シス−1,4結合含量:98質量%〕、BR360L〔ムーニー粘度(ML1+4、100℃):51、シス−1,4結合含量:98質量%〕、BR230〔ムーニー粘度(ML1+4、100℃):38、シス−1,4結合含量:98質量%〕、BR710〔ムーニー粘度(ML1+4、100℃):44、シス−1,4結合含量:98質量%〕、BR133P〔ムーニー粘度(ML1+4、100℃):35、シス−1,4結合含量:98質量%〕等の1種または2種以上が挙げられる。
(配合割合)
ポリイソプレン系ゴム、およびポリブタジエンゴムの2種の架橋性ゴムの総量中に占めるポリブタジエンゴムの配合割合は40質量%以上であるのが好ましく、80質量%以下であるのが好ましい。
配合割合がこの範囲未満では、ポリブタジエンゴムを配合することによる、先に説明した発熱による弾性率の低下を抑制して、高減衰部材に繰り返し大変形が加えられた際の物性の変化を抑制する効果が十分に得られないおそれがある。
またポリブタジエンゴムの配合割合が上記の範囲を超える場合には高減衰組成物の加工性が低下するおそれがある。
これに対しポリブタジエンゴムの配合割合を上記の範囲とすることで、高減衰組成物の加工性の低下を抑制しながら、なおかつ発熱による弾性率の低下と、それに伴う高減衰部材に繰り返し大変形が加えられた際の物性の変化とをより一層有効に抑制できる。
(シリカ)
シリカとしては、その製法によって分類される湿式法シリカ、乾式法シリカのいずれを用いてもよい。またシリカとしては、高減衰部材の減衰性能を向上する効果をさらに向上することを考慮するとBET比表面積が100〜400m/g、特に200〜250m/gであるものを用いるのが好ましい。BET比表面積は、例えば柴田化学器械工業(株)製の迅速表面積測定装置SA−1000等を使用して、吸着気体として窒素ガスを用いる気相吸着法で測定した値でもって表すこととする。
シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)製のNipSil(ニップシール)KQ等が挙げられる。
シリカの配合割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり100質量部以上であるのが好ましく、180質量部以下であるのが好ましい。
シリカの配合割合がこの範囲未満では、高減衰部材に良好な減衰性能を付与できないおそれがある。
またシリカの配合割合が上記の範囲を超える場合には高減衰組成物の加工性が低下したり、高減衰部材を繰り返し大変形させた際の耐久性が低下して、当該高減衰部材が破損したりするといった問題を生じるおそれがある。
これに対しシリカの配合割合を上記の範囲とすることで、高減衰部材にできるだけ良好な減衰性能を付与しながら、当該高減衰部材を繰り返し大変形させた際の耐久性を向上したり、高減衰組成物にできるだけ良好な加工性を付与したりできる。
(アルキル型シリル化剤)
アルキル型シリル化剤としては、式(1)で表され、式中のRが炭素数1〜3のアルキル基、nが2〜9の数である種々の化合物が挙げられる。
式(1)においてnが2〜9とされるのは、nが2未満のアルキル型シリル化剤では高減衰組成物の加工性を向上する効果が得られないおそれがあるためである。また、nが9を超えるアルキル型シリル化剤では高減衰部材に良好な減衰性能を付与できないおそれがあるためである。
これに対し式(1)中のnが上記の範囲であるアルキル型シリル化剤を用いることにより、高減衰組成物にできるだけ良好な加工性を付与しながら、高減衰部材に良好な減衰性能を付与できる。
かかるアルキル型シリル化剤の具体例としては、例えばプロピルトリエトキシシラン(R=エチル基、n=2)、ヘキシルトリメトキシシラン(R=メチル基、n=5)、へキシルトリエトキシシラン(R=エチル基、n=5)、デシルトリメトキシシラン(R=メチル基、n=9)、デシルトリエトキシシラン(R=エチル基、n=9)等の1種または2種以上が挙げられる。
アルキル型シリル化剤の配合割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり1質量部以上であるのが好ましく、10質量部以下であるのが好ましい。アルキル型シリル化剤は架橋性ゴムとなじみやすいため、かかる少量の配合で加工性の向上に効果がある。
ただし配合割合がこの範囲未満では、アルキル型シリル化剤を配合することによる、高減衰組成物の加工性を向上する効果が得られないおそれがある。
またアルキル型シリル化剤の配合割合が上記の範囲を超える場合には架橋性ゴムとなじみすぎて、たとえフェニル型シリル化剤その他を併用したとしても高減衰部材の減衰性能が低下するおそれがある。
これに対しアルキル型シリル化剤の配合割合を上記の範囲とすることで、高減衰組成物にできるだけ良好な加工性を付与しながら、高減衰部材に良好な減衰性能を付与できる。
(フェニル型シリル化剤)
フェニル型シリル化剤としては、式(2)で表され、式中のRが炭素数1〜3のアルキル基である種々の化合物が挙げられる。
かかるフェニル型シリル化剤の具体例としては、例えばフェニルトリメトキシシラン(R=メチル基)、フェニルトリエトキシシラン(R=エチル基)等の少なくとも1種が挙げられる。
フェニル型シリル化剤の配合割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり15質量部以上であるのが好ましく、30質量部以下であるのが好ましい。
配合割合がこの範囲未満では、フェニル型シリル化剤を配合することによる、高減衰部材の減衰性能の低下を抑制する効果が得られないおそれがある。
またフェニル型シリル化剤の配合割合が上記の範囲を超える場合には、却って高減衰部材の減衰性能が低下したり、高減衰組成物の加工性が低下したりするおそれがある。
これに対しフェニル型シリル化剤の配合割合を上記の範囲とすることで、高減衰組成物にできるだけ良好な加工性を付与しながら、高減衰部材に良好な減衰性能を付与できる。
(ロジン誘導体)
ロジン誘導体としては、例えばロジンと多価アルコール(グリセリン等)とのエステルやロジン変性マレイン酸樹脂等の、構成成分としてロジンを含む樹脂であって、減衰性付与剤として機能して高減衰部材の減衰性能を向上する効果を有する種々の誘導体が挙げられる。
ロジン誘導体としては、例えば荒川化学工業(株)製のパインクリスタル(登録商標)シリーズのうちKR−85(軟化点:80〜87℃)、KR−612(軟化点:80〜90℃)、KR−614(軟化点:84〜94℃)、KE−100(軟化点:95〜105℃)、KE−311(軟化点:90〜100℃)、KE−359(軟化点:94〜104℃)、KE−604(軟化点:124〜134℃)、ハリマ化成(株)製の商品名ハリエスターシリーズのうちMSR−4(軟化点:127℃)、DS−130(軟化点:135℃)、AD−130(軟化点:135℃)、DS−816(軟化点:148℃)、DS−822(軟化点:172℃)、ハリマ化成(株)製の商品名ハリマックシリーズのうち145P(軟化点:138℃)、135GN(軟化点:139℃)、AS−5(軟化点:165℃)等の1種または2種以上が挙げられる。
ロジン誘導体の配合割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり3質量部以上であるのが好ましく、50質量部以下であるのが好ましい。
配合割合がこの範囲未満では、ロジン誘導体を配合することによる、高減衰部材の減衰性能の低下を抑制する効果が得られないおそれがある。
またロジン誘導体の配合割合が上記の範囲を超える場合には、高減衰組成物の加工性が低下するおそれがある。
これに対しロジン誘導体の配合割合を上記の範囲とすることで、高減衰組成物にできるだけ良好な加工性を付与しながら、高減衰部材に良好な減衰性能を付与できる。
(イミダゾール系化合物)
イミダゾール系化合物としては、例えばイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−へプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等の1種または2種以上が挙げられる。
イミダゾール系化合物の配合割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり0.1質量部以上であるのが好ましく、10質量部以下であるのが好ましい。
配合割合がこの範囲未満では、イミダゾール系化合物を配合することによる、高減衰部材の減衰性能の低下を抑制する効果が得られないおそれがある。
またイミダゾール系化合物の配合割合が上記の範囲を超える場合には、いわゆるゴム焼けを生じやすくなって加工性が低下するおそれがある。
これに対しイミダゾール系化合物の配合割合を上記の範囲とすることで、高減衰組成物にできるだけ良好な加工性を付与しながら、高減衰部材に良好な減衰性能を付与できる。
特に高減衰部材に良好な減衰性能を付与する効果の点で、イミダゾール系化合物としてはイミダゾールが好ましい。
(その他の成分)
本発明の高減衰組成物には、上記の各成分に加えてさらにシリカ以外の他の無機充てん剤や、あるいは架橋性ゴムを架橋させるための架橋成分等を適宜の割合で配合してもよい。
このうち他の無機充てん剤としては、例えばカーボンブラック等が挙げられる。
またカーボンブラックとしては、その製造方法等によって分類される種々のカーボンブラックのうち、充てん剤として機能しうるカーボンブラックの1種または2種以上が使用可能である。
カーボンブラックの配合割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり1質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下であるのが好ましい。
架橋成分としては、架橋性ゴムを架橋しうる種々の架橋成分が使用可能である。特に硫黄加硫系の架橋成分を用いるのが好ましい。
硫黄加硫系の架橋成分としては加硫剤、促進剤、および促進助剤を組み合わせたものが挙げられる。特に高減衰部材のゴム弾性が上昇して減衰性能が低下する問題を生じにくい加硫剤、促進剤、促進助剤を組み合わせるのが好ましい。
このうち加硫剤としては、例えば硫黄や含硫黄有機化合物等が挙げられる。特に硫黄が好ましい。
促進剤としては、例えばスルフェンアミド系促進剤、チウラム系促進剤等が挙げられる。促進剤は、種類によって加硫促進のメカニズムが異なるため2種以上を併用するのが好ましい。
このうちスルフェンアミド系促進剤としては、例えば大内新興化学工業(株)製のノクセラー(登録商標)NS〔N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド〕等が挙げられる。またチウラム系促進剤としては、例えば大内新興化学工業(株)製のノクセラーTBT〔テトラブチルチウラムジスルフィド〕等が挙げられる。
促進助剤としては例えば酸化亜鉛、ステアリン酸等が挙げられる。通常は両者を促進助剤として併用するのが好ましい。
加硫剤、促進剤、促進助剤の配合割合は特に限定されず、高減衰部材の用途等によって異なる減衰性能や物性等に応じて適宜調整すればよい。
ただし加硫剤の配合割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、3質量部以下であるのが好ましい。
またスルフェンアミド系促進剤の配合割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、3質量部以下であるのが好ましい。
またチウラム系促進剤の配合割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、3質量部以下であるのが好ましい。
酸化亜鉛の配合割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり1質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下であるのが好ましい。
さらにステアリン酸の配合割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり1質量部以上であるのが好ましく、3質量部以下であるのが好ましい。
本発明の高減衰組成物には、さらに必要に応じて軟化剤、粘着性付与剤、老化防止剤等の各種添加剤を、適宜の割合で配合してもよい。
このうち軟化剤は高減衰組成物の加工性をさらに向上するための成分であって、当該軟化剤としては、例えば室温(2〜35℃)で液状を呈する液状ゴムが挙げられる。また液状ゴムとしては、例えば液状ポリイソプレンゴム、液状ニトリルゴム(液状NBR)、液状スチレンブタジエンゴム(液状SBR)等の1種または2種以上が挙げられる。
このうち液状ポリイソプレンゴムが好ましい。液状ポリイソプレンゴムとしては、例えば(株)クラレ製のクラプレン(登録商標)LIR−30(数平均分子量:28000)、LIR−50(数平均分子量:54000)等が挙げられる。
液状ポリイソプレンゴムの配合割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり5質量部以上であるのが好ましく、50質量部以下であるのが好ましい。
配合割合がこの範囲未満では、当該液状ポリイソプレンゴムを配合することによる、高減衰部材の加工性を向上する効果が十分に得られないおそれがある。一方、液状ポリイソプレンゴムの配合割合が上記の範囲を超える場合には高減衰部材の減衰性能が低下するおそれがある。
また他の軟化剤としては、例えばクマロンインデン樹脂等が挙げられる。
クマロンインデン樹脂としては、主にクマロンとインデンの重合物からなり、平均分子量1000以下程度の比較的低分子量であって、軟化剤として機能しうる種々のクマロンインデン樹脂が挙げられる。
かかるクマロンインデン樹脂としては、例えば日塗化学(株)製のニットレジン(登録商標)クマロンG−90〔平均分子量:770、軟化点:90℃、酸価:1.0KOHmg/g以下、水酸基価:25KOHmg/g、臭素価9g/100g〕、G−100N〔平均分子量:730、軟化点:100℃、酸価:1.0KOHmg/g以下、水酸基価:25KOHmg/g、臭素価11g/100g〕、V−120〔平均分子量:960、軟化点:120℃、酸価:1.0KOHmg/g以下、水酸基価:30KOHmg/g、臭素価6g/100g〕、V−120S〔平均分子量:950、軟化点:120℃、酸価:1.0KOHmg/g以下、水酸基価:30KOHmg/g、臭素価7g/100g〕等の1種または2種以上が挙げられる。
クマロンインデン樹脂の配合割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり3質量部以上であるのが好ましく、20質量部以下であるのが好ましい。
粘着性付与剤としては、例えば石油樹脂等が挙げられる。
石油樹脂としては、例えば丸善石油化学(株)製のマルカレッツ(登録商標)M890A〔ジシクロペンタジエン系石油樹脂、軟化点:105℃〕等が好ましい。
石油樹脂の配合割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり3質量部以上であるのが好ましく、30質量部以下であるのが好ましい。
老化防止剤としては、例えばベンズイミダゾール系、キノン系、ビスフェノール系、ポリフェノール系、アミン系等の各種老化防止剤の1種または2種以上が挙げられる。特にベンズイミダゾール系老化防止剤、キノン系老化防止剤、およびビスフェノール系老化防止剤の3種を併用するのが好ましい。
このうちベンズイミダゾール系老化防止剤としては、例えば大内新興化学工業(株)製のノクラック(登録商標)MB〔2−メルカプトベンズイミダゾール〕等が挙げられる。またキノン系老化防止剤としては、例えば丸石化学品(株)製のアンチゲンFR〔芳香族ケトン−アミン縮合物〕等が挙げられる。さらにビスフェノール系老化防止剤としては、例えば大内新興化学工業(株)製のノクラックNS−30〔4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)〕等が挙げられる。
老化防止剤の配合割合は、ベンズイミダゾール系老化防止剤が、架橋性ゴムの総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下であるのが好ましい。またキノン系老化防止剤は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下であるのが好ましい。さらにビスフェノール系老化防止剤の配合割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下であるのが好ましい。
本発明の高減衰組成物を用いて製造できる高減衰部材としては、例えばビル等の建築物の基礎に組み込まれる免震用の免震支承、建築物の構造中に組み込まれる制震(制振)用の制震ダンパ、吊橋や斜張橋等のケーブルの制振部材、産業機械や航空機、自動車、鉄道車両等の防振部材、コンピュータやその周辺機器類あるいは家庭用電気機器類等の防振部材、さらには自動車用タイヤのトレッド等が挙げられる。
本発明によれば2種の架橋性ゴム、シリカ、アルキル型シリル化剤、フェニル型シリル化剤、ロジン誘導体、イミダゾール系化合物その他、各種成分の種類とその組み合わせおよび配合割合を調整することにより、それぞれの用途に適した優れた減衰性能を有する高減衰部材を得ることができる。
〈制震ダンパ〉
特に本発明の高減衰組成物を形成材料として用いて、建築物の構造中に組み込まれる制震ダンパの粘弾性体を形成した場合には、当該粘弾性体が高い減衰性能を有するため、かかる粘弾性体を含む制震ダンパの減衰性能を向上して、その全体を小型化したり、1つの建築物に組み込む数を減らしたりしても、従来と同等またはそれ以上の制震性能を得ることができる。
また架橋性ゴムとしてポリイソプレン系ゴム、およびポリブタジエンゴムの2種を併用しており、粘弾性体の減衰性能や物性等の温度依存性を小さくできることから、例えば温度差の大きい建築物の外壁付近に制震ダンパを設置することもできる。
したがって本発明によれば、建築物等における、制震ダンパによる制震性能の設計の自由度を拡げることもできる。
〈免震支承〉
また本発明の高減衰組成物と形成材料として用いて、建築物の基礎に組み込まれる免震用の免震支承の粘弾性体を形成した場合には、やはり当該粘弾性体が高い減衰性能を有するため、かかる粘弾性体を含む免震支承の減衰性能を向上して、その全体を小型化したり、1つの建築物に組み込む数を減らしたりしても、従来と同等またはそれ以上の免震性能を得ることができる。
〈実施例1〉
(高減衰組成物の調製)
架橋性ゴムとしては天然ゴム〔SMR(Standard Malaysian Rubber)−CV60〕50質量部、およびポリブタジエンゴム〔宇部興産(株)製のUBEPOL(登録商標)BR150、ムーニー粘度(ML1+4、100℃):43、シス−1,4結合含量:98質量%〕50質量部を用いた。
架橋性ゴムの総量中に占めるポリブタジエンゴムの配合割合は50質量%であった。
かかる架橋性ゴムの総量100質量部に、シリカ〔東ソー・シリカ(株)製のNipSil(ニップシール)KQ〕150質量部、式(1)で表されるアルキル型シリル化剤としてのヘキシルトリエトキシシラン〔信越化学工業(株)製のKBE−3063、R=エチル基、n=5〕5質量部、式(2)で表されるフェニル型シリル化剤としてのフェニルトリエトキシシラン〔信越化学工業(株)製のKBE−103〕25質量部、ロジン誘導体〔荒川化学工業(株)製のパインクリスタル(登録商標)KE−604、軟化点:124〜134℃〕20質量部、およびイミダゾール系化合物としてのイミダゾール〔日本合成化学工業(株)製〕2.5質量部と、下記表1に示す各成分とを配合し、密閉式混練機を用いて混練して高減衰組成物を調製した。
混錬は容易であり、加工性は良好(○)と評価した。
なお表1中の質量部は、それぞれ架橋性ゴムの総量100質量部あたりの質量部である。
Figure 2016017092
表中の各成分は下記のとおり。
液状ポリイソプレンゴム:(株)クラレ製のLIR−50、数平均分子量:54000
カーボンブラック:FEF、東海カーボン(株)製のシーストSO
ベンズイミダゾール系老化防止剤:2−メルカプトベンズイミダゾール、大内新興化学工業(株)製のノクラックMB
キノン系老化防止剤:丸石化学品(株)製のアンチゲンFR
ビスフェノール系老化防止剤:4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、大内新興化学工業(株)製のノクラックNS−30
酸化亜鉛2種:三井金属鉱業(株)製
ステアリン酸:日油(株)製の「つばき」
クマロン樹脂:軟化点90℃、日塗化学(株)製のニットレジン(登録商標)クマロンG−90
ジシクロペンタジエン系石油樹脂:軟化点105℃、丸善石油化学(株)製のマルカレッツ(登録商標)M890A
5%オイル処理粉末硫黄:加硫剤、鶴見化学工業(株)製
スルフェンアミド系加硫促進剤:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製のノクセラー(登録商標)NS
チウラム系加硫促進剤:テトラブチルチウラムジスルフィド、大内新興化学工業(株)製のノクセラーTBT−N
〈実施例2〉
架橋性ゴムとしての天然ゴムの配合量を60質量部、ポリブタジエンゴムの配合量を40質量部としたこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。混錬は容易であり、加工性は良好(○)と評価した。
架橋性ゴムの総量中に占めるポリブタジエンゴムの配合割合は40質量%であった。
〈実施例3〉
架橋性ゴムとしての天然ゴムの配合量を20質量部、ポリブタジエンゴムの配合量を80質量部としたこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。混錬は容易であり、加工性は良好(○)と評価した。
架橋性ゴムの総量中に占めるポリブタジエンゴムの配合割合は80質量%であった。
〈実施例4〉
架橋性ゴムの総量100質量部あたりのシリカの配合割合を100質量部としたこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。混錬は容易であり、加工性は良好(○)と評価した。
〈実施例5〉
架橋性ゴムの総量100質量部あたりのシリカの配合割合を180質量部としたこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。混錬は容易であり、加工性は良好(○)と評価した。
〈実施例6〉
式(1)で表されるアルキル型シリル化剤として、プロピルトリエトキシシラン〔エボニックインダストリーズ社製のDynasylan(登録商標)PTEO、R=エチル基、n=2〕5質量部を配合したこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。混錬は容易であり、加工性は良好(○)と評価した。
〈実施例7〉
式(1)で表されるアルキル型シリル化剤として、デシルトリエトキシシラン〔信越化学工業(株)製のKBE−3103、R=エチル基、n=9〕5質量部を配合したこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。混錬は容易であり、加工性は良好(○)と評価した。
〈実施例8〉
架橋性ゴムの総量100質量部あたりのイミダゾールの配合割合を0.1質量部としたこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。混錬は容易であり、加工性は良好(○)と評価した。
〈実施例9〉
架橋性ゴムの総量100質量部あたりのイミダゾールの配合割合を10質量部としたこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。混錬は容易であり、加工性は良好(○)と評価した。
〈実施例10〉
架橋性ゴムの総量100質量部あたりのロジン誘導体の配合割合を3質量部としたこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。混錬は容易であり、加工性は良好(○)と評価した。
〈実施例11〉
架橋性ゴムの総量100質量部あたりのロジン誘導体の配合割合を50質量部としたこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。混錬は容易であり、加工性は良好(○)と評価した。
〈比較例1〉
架橋性ゴムとして天然ゴムを配合せず、ポリブタジエンゴムのみ100質量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製しようとしたが、十分に混練することができなかったので以降の試験を断念した。加工性は不良(×)と評価した。
〈比較例2〉
架橋性ゴムとしてポリブタジエンゴムを配合せず、天然ゴムのみ100質量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。混錬は容易であり、加工性は良好(○)と評価した。
架橋性ゴムの総量中に占めるポリブタジエンゴムの配合割合は0質量%であった。
〈比較例3〉
シリカを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。混錬は容易であり、加工性は良好(○)と評価した。
〈比較例4〉
フェニル型シリル化剤としてのフェニルトリエトキシシランを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製しようとしたが、十分に混練することができなかったので以降の試験を断念した。加工性は不良(×)と評価した。
〈比較例5〉
アルキル型シリル化剤としてのヘキシルトリエトキシシランを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製しようとしたが、十分に混練することができなかったので以降の試験を断念した。加工性は不良(×)と評価した。
〈比較例6〉
イミダゾールを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。混錬は容易であり、加工性は良好(○)と評価した。
〈比較例7〉
ロジン誘導体を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。混錬は容易であり、加工性は良好(○)と評価した。
〈減衰特性試験〉
(試験体の作製)
実施例、比較例で調製した高減衰組成物をシート状に押出成形したのち打ち抜いて図1に示すように円板1(厚み5mm×直径25mm)を作製し、この円板1の表裏両面にそれぞれ加硫接着剤を介して厚み6mm×縦44mm×横44mmの矩形平板状の鋼板2を重ねて積層方向に加圧しながら150℃に加熱して高減衰組成物を加硫させるとともに、円板1を2枚の鋼板2と加硫接着させて、高減衰部材のモデルとしての減衰特性評価用の試験体3を作製した。
(変位試験)
図2(a)に示すように試験体3を2個用意し、かかる2個の試験体3をそれぞれ一方の鋼板2を介して1枚の中央固定治具4にボルトで固定するとともに、それぞれの試験体3の他方の鋼板2に1枚ずつの左右固定治具5をボルトで固定した。そして中央固定治具4を図示しない試験機の上側の固定アーム6にジョイント7を介してボルトで固定し、かつ2枚の左右固定治具5を試験機の下側の可動盤8にジョイント9を介してボルトで固定した。
次にこの状態で、可動盤8を図中に白抜きの矢印で示すように固定アーム6の方向に押し上げるように変位させて、円板1を図2(b)に示すように試験体3の積層方向と直交方向に歪み変形させた状態とし、次いでこの状態から可動盤8を図中に白抜きの矢印で示すように固定アーム6の方向と反対方向に引き下げるように変位させて、円板1を図2(a)に示す状態に戻す操作を1サイクルとして、円板1を繰り返し歪み変形、すなわち振動させた際の、当該試験体3の積層方向と直交方向への円板1の変位量(mm)と、その際の荷重(N)との関係を示すヒステリシスループH(図3参照)を求めた。
測定は温度20℃の環境下、一連の操作を3サイクル実施して3回目の値を求めた。また最大変位量は、円板1を挟む2枚の鋼板2の積層方向と直交方向のずれ量が円板1の厚みの100%となるように設定した。
次いで、かかる測定により求めた図3に示すヒステリシスループHのうち最大変位点と最小変位点とを結ぶ、図中に太線の実線で示す直線Lの傾きKeq(N/mm)を求め、当該傾きKeq(N/mm)と、円板1の厚みT(mm)と、円板1の断面積A(mm)とから式(a):
Figure 2016017092
により等価せん断弾性率Geq(N/mm)を求めた。
等価せん断弾性率Geq(N/mm)が大きいほど初期の物性が良好と判定できる。そこで比較例2における等価せん断弾性率Geq(N/mm)を100としたときの各実施例、比較例の等価せん断弾性率Geq(N/mm)の相対値を求めた。
また図3中に斜線を付して示したヒステリシスループHの全表面積で表される吸収エネルギー量ΔWと、同図中に網線を付して示した、先の直線Lと、グラフの横軸と、直線LとヒステリシスループHとの交点から横軸におろした垂線Lとで囲まれた領域の表面積で表される弾性歪みエネルギーWとから式(b):
Figure 2016017092
により等価減衰定数Heqを求めた。等価減衰定数Heqが大きいほど試験体3は減衰性能に優れていると判定できる。
そこで比較例2における等価減衰定数Heqを100としたときの各実施例、比較例の等価減衰定数Heqの相対値を求め、当該相対値が105以上であるものを合格として、高減衰部材の減衰性能を評価した。
(繰り返し大変形が加えられた際の物性評価)
上記変位試験と同様の条件で温度20℃の環境下、最大変位量が100%の大変形を30回繰り返した際の、変形3回目の等価せん断弾性率Geq(3)(N/mm)と、変形30回目の等価せん断弾性率Geq(30)(N/mm)との比Geq(30)/Geq(3)を求めた。
かかる比が1に近いほど、試験体3は繰り返し大変形が加えられた際の弾性率の低下、ひいては物性の変化が小さいと判定できる。そこで比較例2における比Geq(30)/Geq(3)を100としたときの各実施例、比較例の比Geq(30)/Geq(3)の相対値を求め、当該相対値が100を超えるものを合格として、繰り返し大変形が加えられた際の物性の変化を評価した。
以上の結果を表2〜表4に示す。
Figure 2016017092
Figure 2016017092
Figure 2016017092
表2〜表4の実施例1〜11、比較例1〜7の結果より、ポリイソプレン系ゴムとしての天然ゴムと、ポリブタジエンゴムの2種の架橋性ゴムの併用系にシリカ、アルキル型シリル化剤、フェニル型シリル化剤、ロジン誘導体、およびイミダゾール系化合物を配合することにより、加工性に優れとともに減衰性能にも優れる上、繰り返し大変形が加えられた際の物性の変化が小さい高減衰部材を形成できることが判った。
また実施例1〜11の結果より、ポリブタジエンゴムの配合割合は、架橋性ゴムの総量の40質量%以上、80質量%以下であるのが好ましいことが判った。
さらに実施例1〜11の結果より架橋性ゴムの総量100質量部あたりの、ロジン誘導体の配合割合は3質量部以上、50質量部以下、イミダゾール系化合物の配合割合は0.1質量部以上、10質量部以下、シリカの配合割合は100質量部以上、180質量部以下であるのが好ましいことが判った。
H ヒステリシスループ
直線
垂線
W エネルギー
ΔW 吸収エネルギー量
1 円板
2 鋼板
3 試験体
4 中央固定治具
5 左右固定治具
6 固定アーム
7 ジョイント
8 可動盤
9 ジョイント

Claims (8)

  1. 架橋性ゴム、およびシリカを含み、
    前記架橋性ゴムはポリイソプレン系ゴム、およびポリブタジエンゴムの2種であり、
    さらに式(1):
    Figure 2016017092
    〔式中Rは炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは2〜9の数を示す。〕
    で表されるアルキル型シリル化剤、
    式(2):
    Figure 2016017092
    〔式中Rは炭素数1〜3のアルキル基を示す。〕
    で表されるフェニル型シリル化剤、ロジン誘導体、およびイミダゾール系化合物を含んでいる高減衰組成物。
  2. 前記ポリイソプレン系ゴムは天然ゴムである請求項1に記載の高減衰組成物。
  3. 前記架橋性ゴムの総量中に占めるポリブタジエンゴムの配合割合は40質量%以上、80質量%以下である請求項1または2に記載の高減衰組成物。
  4. 前記ロジン誘導体の配合割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり3質量部以上、50質量部以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の高減衰組成物。
  5. 前記イミダゾール系化合物の配合割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり0.1質量部以上、10質量部以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の高減衰組成物。
  6. 前記シリカの配合割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり100質量部以上、180質量部以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の高減衰組成物。
  7. 前記請求項1ないし6のいずれか1項に記載の高減衰組成物からなる粘弾性体を備える制震ダンパ。
  8. 前記請求項1ないし6のいずれか1項に記載の高減衰組成物からなる粘弾性体を備える免震支承。
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