JP3644285B2 - ゴム支承体 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、ゴム支承体に係り、特に土木や建築用等の構造物を支承するゴム支承体、中でも、橋梁の橋脚への支承のために好適に用いられる橋梁用ゴム支承体に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、土木や建築等の分野における構造物の支持に使用されているゴム支承体は、上部構造体と下部構造体との間に介在せしめられて、配置されるものであるが、通常、それらの構造体の重量が極めて大きいところから、金属板等の剛性を有する硬質板とゴム層とが交互に積層せしめられてなる積層体構造とされており、それによって、建物の防振支持乃至は免震支持や橋梁の荷重支持、更には免震支持等の、ゴム支承体としての機能が効果的に果たされ得るようになっている。
【0003】
具体的には、例えば、図1に示される如く、ゴム支承体10は、ゴムブロック12内に硬質板としての金属板14の複数枚が所定間隔を隔てて埋設されることによって、そのような金属板14と、それら金属板14、14間に位置するゴムブロック12部分であるゴム層16とが、交互に、一体的に積層されてなる構造を有していると共に、ゴムブロック12の上部及び下部には、それぞれ、金属製の上部取付板18及び下部取付板20が固着せしめられた構造となっている。そして、そのようなゴム支承体10は、その上部取付板18及び下部取付板20において、橋梁等の上部構造体と橋脚等の下部構造体との間に挟持、配置されて、固定せしめられ、コンクリート橋脚等の大なる重量の上部構造体を支持するようになっているのであり、以てゴム支承体としての本来の機能が奏せしめられ得るようになっている。即ち、地震、強風或いは橋上を通過する車両等による重量や加速度の影響によって生じる撓み及び変位が、ゴム支承体の剪断方向の緩衝作用によって吸収され、また上下方向の振動も、ゴム支承体の緩衝作用によって吸収され得るようになっているのである。
【0004】
ところで、上記の如き構造のゴム支承体は、その設置場所からして、外気に晒され易く、特に、橋梁の橋脚への支承のために使用される橋梁用支承体にあっては、厳しい自然環境下におかれることとなる。例えば、寒冷地においては、零下となり、ゴム支承体の表面に氷結が生じる場合も認められているのである。
【0005】
このため、従来のゴム支承体にあっては、それが、橋梁等の上部構造体と橋脚等の下部構造体との間に設置された後、時間の経過につれて、ゴム層(ゴムブロック)の外表面に傷乃至はクラックが発生し易く、特にそのような問題は、厳しい低温環境下に晒される寒冷地の場合において顕著となるのである。そして、そのような傷乃至はクラックが原因にて、上部構造体から加わる偏荷重により、傷口を大きくする不具合に至らしめる結果となるのである。
【0006】
【解決課題】
かかる状況下において、本発明者らが、そのようなゴム支承体に発生する問題について、種々検討した結果、次のような事実が知見されたのである。即ち、ゴム支承体が橋梁等の上部構造体と橋脚等の下部構造体との間に設置されて、上部構造体の荷重により圧縮力を受けると、金属板(硬質板)間に位置するゴム層が側方に膨らみ、ゴム表面に引張歪みが発生すると共に、偏荷重によって、そのような歪みの増大が惹起されるのであり、そして、そのような状態下において、環境条件にてゴム表面に付着した水が、環境温度の変化によって氷結し、更に、その氷の溶解乃至は割れや、ゴム表面歪みの変化による氷の割れ等が惹起されると、ゴム表面の耐候性保護膜が欠損し、保護膜のない状態が現出することとなるのであり、しかも、低温環境下においては、通常のオゾン劣化試験に合格したゴム支承体であっても、そのような保護膜のゴム表面における再形成が遅れ、そのために、オゾンや酸素等のアタックを受けることによって、そのような保護膜のないゴム表面に、傷乃至はクラックが生じることが、明らかとなったのである。
【0007】
そして、本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、その解決課題とするところは、剛性を有する硬質板とゴム層とを交互に積層せしめてなる構造のゴム支承体におけるゴム表面傷(クラック)の発生を、低温環境下においても効果的に抑制乃至は阻止せしめ、以て寒冷地用として好適に用いられ得るゴム支承体を提供することにある。
【0008】
【解決手段】
ここにおいて、本発明は、上記せる如き課題を解決するために、剛性を有する硬質板とゴム層とが交互に積層せしめられて構成されてなるゴム支承体にして、前記ゴム層が、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムからなるゴム材料の100重量部に対して、1〜5重量部の割合のp−フェニレンジアミン系老化防止剤と、2重量部を超える割合の石油系ワックスとを配合せしめたゴム組成物を用いて形成されていると共に、かかる石油系ワックスの配合量が前記老化防止剤の配合量と同量若しくはそれ以上とされ、且つそれら石油系ワックス及び老化防止剤の合計量が3〜12重量部の範囲内とされ、更に前記石油系ワックスの一つとして、融点が45〜75℃のノルマルパラフィンが、前記ゴム材料の100重量部に対して2重量部を超える割合において用いられている一方、前記老化防止剤の一つとして、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンが、前記ゴム材料の100重量部に対して0.5〜3重量部の割合において用いられていることを特徴とするゴム支承体を、その要旨とするものである。
【0009】
このように、本発明に従うゴム支承体にあっては、金属板の間に位置せしめられるゴム層を与えるゴム組成物に、特定のp−フェニレンジアミン系老化防止剤と所定の石油系ワックスとを、それら相互の配合量関係を維持しつつ、所定割合において配合せしめたところに、大きな特徴があるのであり、それらp−フェニレンジアミン系老化防止剤と石油系ワックスとの特定量の配合によって、それら老化防止剤及びワックスの滲出にて形成されるところのゴム層表面の耐候性保護膜が、低温環境下においても、効果的に且つ迅速に形成され得ることとなるのであり、それ故に、ゴム表面の氷の割れ等によって表面保護膜に欠損が生じた場合にあっても、その欠損部位に、新たな耐候性保護膜が効果的に且つ迅速に形成されることとなって、大気中のオゾンや酸素等の攻撃から、ゴム層を効果的に保護し得るのである。
【0010】
なお、この本発明に従うゴム支承体の望ましい態様の一つによれば、前記p−フェニレンジアミン系老化防止剤としては、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンと共に、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンが用いられ、それら二つのp−フェニレンジアミン系老化防止剤の併用によって、本発明の課題は、より一層、良く解決され得るのである。
【0011】
また、本発明に従うゴム支承体の他の望ましい態様によれば、前記石油系ワックスは、前記所定のノルマルパラフィンのみにて構成される他、かかるノルマルパラフィンと共に、該ノルマルパラフィンとは異なる他の石油系ワックスとから構成されるものである。特に、後者の場合において、該ノルマルパラフィンとは異なる他の石油系ワックスとして、該ノルマルパラフィンよりも高い融点を有しているものを選択することによって、高い温度領域における更なる耐オゾン劣化性等の性能の向上を図ることが可能となるのである。
【0012】
【発明の実施の形態】
ところで、かかる本発明に従うゴム支承体は、代表的には、図1に示される如き構造を呈するものであって、ゴムブロック12内に、剛性を有する硬質板として、所定間隔を隔てて配置された複数の金属板14によって、それら金属板14、14間に、ゴム層16が形成され、以て、それら金属板14とゴム層16とが交互に積層せしめられてなる積層構造とされているのであり、そこにおいて、それを構成するゴムブロック12(具体的には、ゴム層16)が、本発明に従って、特定のゴム組成物を用いて形成されているのである。
【0013】
すなわち、そのようなゴム組成物は、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムからなるゴム材料の100重量部に対して、1〜5重量部の割合のp−フェニレンジアミン系老化防止剤と、2重量部を超える割合の石油系ワックスとを配合せしめてなるものである。特に、それら配合剤の中で、石油系ワックスは、ゴムの表面に滲出し、保護膜を形成することで、オゾンや酸素の攻撃が直接ゴムに働かないようにプロテクトする作用を為すものであり、またp−フェニレンジアミン系老化防止剤は、かかるワックスと共にゴムの表面に滲出すると同時に、ゴム中へ透過してくるオゾンや酸素等の攻撃を、化学反応により阻止して、ゴムに対する攻撃が生じないようにするものである。
【0014】
そして、それらワックスと老化防止剤を低温下においても効果的にゴム表面に滲出せしめて、有効な耐候性保護膜を迅速に形成せしめるには、石油系ワックスとして、45〜75℃の融点を有するノルマルパラフィンが含まれるように選択する必要があると共に、そのような融点のノルマルパラフィン、更にはそれを含む石油系ワックスを、何れも、ゴム材料の100重量部に対して2重量部を超えるような割合において、好ましくは2.2重量部以上の割合において用い、また老化防止剤は、ゴム材料の100重量部に対して1重量部以上、好ましくは2重量部以上の割合において用いられることとなる。なお、かかる老化防止剤の配合量が多くなり過ぎると、ゴム層16の金属板14に対する接着性が低下し、ゴム支承体としての機能を充分に奏し得なくなるところから、その配合量は5重量部以下、望ましくは4重量部以下とされる。
【0015】
しかも、かかる石油系ワックスの配合量は、金属板14とゴム層16との間の耐候性の点よりして、前記老化防止剤の配合量と同量若しくはそれ以上とされる必要があり、これに反して、老化防止剤の配合量よりも少なくなると、耐候性が悪くなり、オゾンクラックが発生し易くなる問題を生じる。そして、それら石油系ワックスと老化防止剤の合計量は、ゴム材料の100重量部に対して3〜12重量部、好ましくは5〜10重量部の範囲内となるようにされるのである。けだし、それらの合計量が少なくなり過ぎると、低温下における耐候性保護膜の形成が充分に行なわれ得ず、そのためオゾンや酸素の攻撃を受けて、ゴム表面に傷乃至はクラックを生じ易くなるからであり、また、多くなり過ぎると、金属板14とゴム層16との間の接着性が低下するようになるからである。
【0016】
そして、本発明にあっては、前記したp−フェニレンジアミン系老化防止剤の一つとして、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンが用いられ、且つそれは、ゴム材料の100重量部に対して0.5〜3重量部の割合において用いられるのである。このような特定のp−フェニレンジアミン系老化防止剤を0.5重量部以上の割合において用いることによって、低温環境下においても、ゴム支承体10のゴム層16表面に、有効な耐候性保護膜が形成されることとなるのである。なお、そのような特定のp−フェニレンジアミン系老化防止剤の配合量が多くなり過ぎると、ゴム層16の接着性が低下するようになるところから、その上限は、3重量部とされる。
【0017】
このように、本発明に従うゴム支承体10を構成するゴム層16を与えるゴム組成物には、特定のp−フェニレンジアミン系老化防止剤と共に、所定の石油系ワックスが、相互に特定の配合量関係をもって配合せしめられ、且つp−フェニレンジアミン系老化防止剤の一つとして、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンが、所定割合にて配合せしめられたものであるところから、ゴム支承体10におけるゴム層16(ゴムブロック12)の外表面が、引張歪みを受けた後、着氷し、そして氷の割れ等により、ゴム表面の耐候性保護膜が取られた場合にあっても、ゴム層16中の保護膜形成成分が迅速に表面に滲出して、有効な耐候性保護膜を形成することとなるところから、保護膜欠損の状態下において、オゾン、酸素等のアタックを受け、表面傷が発生する恐れが、効果的に解消され得ることとなるのである。
【0018】
なお、上記した本発明に従うゴム支承体10を構成するゴム層16を与えるゴム組成物の構成成分の一つであるゴム材料は、天然ゴム及びジエン系合成ゴムのうちの少なくとも一つからなるものであり、また、そこで、ジエン系合成ゴムとしては、合成ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等の公知のものの中から適宜に選択される。
【0019】
また、そのようなゴム材料に対して配合せしめられる、本発明に従うp−フェニレンジアミン系老化防止剤としては、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンが、必須の成分として用いられると共に、更に必要に応じて、公知の他のp−フェニレンジアミン系老化防止剤、例えば、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、混合ジアリル−p−フェニレンジアミン、フェニル・ヘキシル−p−フェニレンジアミン、フェニル・オクチル−p−フェニレンジアミン等が、併用される。特に、本発明にあっては、それら他のp−フェニレンジアミン系老化防止剤の中でも、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンとの併用が好適に採用され、それによって、本発明の作用・効果が有利に奏され得るのである。
【0020】
さらに、かかる所定のp−フェニレンジアミン系老化防止剤と共に配合せしめられる石油系ワックスは、低温環境下においてもゴム表面に効果的に滲出し得るように、45〜75℃の範囲の融点を有するノルマルパラフィンを含むものである必要があり、そして、そのような融点を有するノルマルパラフィンが、先述の如く、ゴム材料の100重量部に対して2重量部を超える割合となるように、しかも該ノルマルパラフィンを含む石油系ワックスが、ゴム材料の100重量部に対して2重量部を超える割合となるように、用いられるのである。従って、本発明では、石油系ワックスとして、前記した所定の融点を有する純粋にノルマルパラフィンのみからなるものが用いられる他、該純粋なノルマルパラフィンに対してイソパラフィン等が混入し或いは混合せしめられてなる、前記融点範囲内のものも、ノルマルパラフィンとして用いられ得、具体的には各種の市販品の中から、適宜に選択されることとなる。本発明においては、この種のノルマルパラフィンのみにて、前記した石油系ワックスが構成される他、また、この種のノルマルパラフィンと共に、該ノルマルパラフィンとは異なる他の種類の石油系ワックス類、例えばマイクロクリスタリンワックス等を、本発明における石油系ワックスとして用いることも可能である。そして、その場合において、かかるノルマルパラフィンとは異なる他の石油系ワックスとしては、該ノルマルパラフィンよりも高い融点を有しているものが有利に選択され、これによって、低温度領域は勿論のこと、高い温度領域における更なる耐オゾン劣化性等の性能の向上を効果的に図ることが出来るのである。
【0021】
そして、かくの如く、所定のゴム材料に対して、特定のp−フェニレンジアミン系老化防止剤や石油系ワックスが所定割合にて配合せしめられてなるゴム組成物には、更に必要に応じて、カーボンブラック等の補強剤、オイル等の軟化剤、加硫促進剤、ステアリン酸や亜鉛華等の加硫促進助剤、加硫剤等のゴム用配合剤が、通常の範囲内において配合せしめられ、目的とするゴム層16を与えるゴムブロック12の形成に用いられることとなるのである。
【0022】
また、かくの如きゴム組成物を用いて、本発明に従うゴム支承体を製造するに際しては、従来から公知の各種の手法が適宜に採用され、例えば、図1に示される如きゴム支承体10を得るには、加硫成形金型を用いて、金属板14或いはそれと共に、上部及び下部取付板18、20の存在下、ゴム組成物を注入して、ゴムブロック12を加硫成形せしめることにより、金属板14、14の間にゴム層16が介在せしめられて、一体的に加硫接着されてなる構造とする方法や、適当な接着剤を用いて、金属板14とゴム組成物から形成されたゴム層16とを交互に積層、接着せしめて、一体化することにより、積層体と為す方法等が採用されることとなる。
【0023】
なお、本発明に従うゴム支承体において、剛性を有する硬質板として用いられる金属板14としては、耐圧縮性に優れた鉄板や鋼板が好適に用いられ得るものであるが、他の金属材質のものであっても、何等差し支えなく、更には硬質プラスチック板材等であっても、耐圧縮性に優れたものであれば、同様に使用可能である。
【0024】
また、かかるゴム支承体10の全体形状としては、その設置形態に応じた適宜の形状が採用され、例えば、平面形態において、四角形形状や円盤形状の他、楕円形状や五角形、六角形等の多角形形状とすることも可能であり、更に金属板14やゴム層16の積層数にあっても、ゴム支承体の用途に応じて適宜に決定されることとなるのである。
【0025】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には以上の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0026】
先ず、下記表1乃至表4に示される各種配合組成のゴム組成物を調製した。次いで、それぞれのゴム組成物から、140℃×20分の加硫条件を採用して、低温オゾン試験及び接着剥離試験のための加硫ゴム試験片を作製した後、それぞれの試験を行なって、その結果を、それぞれの表に併せ示した。なお、ゴム材料としては、天然ゴム(NR)を用いると共に、p−フェニレンジアミン系老化防止剤としては、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(3C)及びN−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(6C)を用い、更に、石油系ワックスとしては、融点(MP)が51.7℃のノルマルパラフィン(フレークパラフィン)、またはそれと共に、融点(MP)が70℃のマイクロクリスタリンワックスを用い、それぞれの表に示される配合組成において、目的とするゴム組成物を調製した。
【0027】
なお、下表における低温オゾン試験は、それぞれのゴム組成物から得られたダンベル1号片(JIS)を試料として、50%の伸長を行なった後、1時間以内に、オゾン濃度:50pphm、雰囲気温度:−30℃の低温オゾン槽内に投入し、96時間後において、各試料における亀裂の発生の有無を観察し、JIS−K−6259に基づいて評価して、亀裂なしの場合を○、亀裂の発生が認められる場合を×として示した。
【0028】
また、接着剥離試験は、金属片とゴムとの間の接着性について評価するものであって、具体的には、JIS−K−6256の「加硫ゴムの接着試験方法」における「5.金属片とゴムの90度はく離試験」に準拠して、鉄板に接着したゴムを、90度の方向に剥離せしめて、その剥離部分の状態を観察し、ゴム部の破損割合が100%のものを○、ゴム部と接着剤間に破損部分があるものを×として、示した。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
これらの表の結果から明らかなように、表1及び表2に示される本発明例1〜8のゴム組成物は、何れも、低温オゾン試験及び接着剥離試験において、優れた特徴を発揮するものであることが認められるのである。特に、ここで採用した低温オゾン試験は、50%伸長によって、試料の表面に形成されている耐候性保護膜に欠損部を生じさせ、その欠損部が修復されない間に、低温雰囲気下において、耐オゾン性の評価を行なうという、従来の試験方法よりも、更に厳しい試験であるが、そのような厳しい低温オゾン試験においても、本発明例のゴム組成物から得られた加硫ゴム試料が、低温下において、何等の亀裂も生じていないことは、そのようなゴム組成物を用いて、図1に示される如き、金属板14とゴム層16との積層構造体であるゴム支承体10を作製した場合において、それが、低温下においても、傷乃至はクラックをゴム表面に発生し難いものであることは、容易に理解されるところである。また、本発明例7のゴム組成物にあっては、所定のノルマルパラフィンと共に、更に融点の高いマイクロクリスタリンワックスが石油系ワックスとして配合せしめられていることによって、低温オゾン劣化に対する優れた耐久性能が損なわれることなく、高温においても優れた耐オゾン性を発揮するものであることを認めた。
【0034】
これに対して、表3及び表4の比較例1〜7として示されるゴム組成物にあっては、p−フェニレンジアミン系老化防止剤としてのN−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンの配合量が少なかったり、p−フェニレンジアミン系老化防止剤の全体としての配合量が少なかったり、或いはノルマルパラフィンからなる石油系ワックスの配合量が少なかったり、更には、石油系ワックス(ノルマルパラフィン)よりもp−フェニレンジアミン系老化防止剤の方が多量に用いられたりすると、低温オゾン試験において亀裂の発生が認められ、これにより、低温下における耐久性に問題を生じることが理解される。また、それら比較例のゴム組成物の配合処方において、p−フェニレンジアミン系老化防止剤の配合量が多過ぎたり、更には、それら老化防止剤と石油系ワックスとの配合量が多過ぎたりすると、金属片とゴムとの間の接着性が悪化して、ゴム支承体としての機能を低下せしめ、その耐久性に問題を生じるのである。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従うゴム支承体にあっては、地震、強風、或いは橋上の通過する車両等による重量や加速度の影響によって生じる撓み及び変位が、ゴム支承体の剪断方向における緩衝作用によって、有効に吸収され、更に上下方向の振動も、ゴム支承体の緩衝作用によって、有利に吸収されることとなることは勿論、そのようなゴム支承体において、剛性を有する硬質板と共に積層構造を構成するゴム層が、天然ゴム乃至はジエン系合成ゴムをベースとして、これに、特定のp−フェニレンジアミン系老化防止剤と石油系ワックスとを、所定の配合量関係において配合せしめてなるゴム組成物にて、形成せしめられていることによって、低温下における耐オゾン性が効果的に向上せしめられ、ゴム表面に亀裂乃至はクラックの生じ難いものとなったのであり、以て、経年使用後においても、亀裂の発生しない、寒冷地用ゴム支承体として、有利に用いられ得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるゴム支承体の代表的な一例を示す、一部切欠き説明図である。
【符号の説明】
10 ゴム支承体 12 ゴムブロック
14 金属板 16 ゴム層
18 上部取付板 20 下部取付板
Claims (5)
- 剛性を有する硬質板とゴム層とが交互に積層せしめられて構成されてなるゴム支承体にして、前記ゴム層が、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムからなるゴム材料の100重量部に対して、1〜5重量部の割合のp−フェニレンジアミン系老化防止剤と、2重量部を超える割合の石油系ワックスとを配合せしめたゴム組成物を用いて形成されていると共に、かかる石油系ワックスの配合量が前記老化防止剤の配合量と同量若しくはそれ以上とされ、且つそれら石油系ワックス及び老化防止剤の合計量が3〜12重量部の範囲内とされ、更に前記石油系ワックスの一つとして、融点が45〜75℃のノルマルパラフィンが、前記ゴム材料の100重量部に対して2重量部を超える割合において用いられている一方、前記老化防止剤の一つとして、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンが、前記ゴム材料の100重量部に対して0.5〜3重量部の割合において用いられていることを特徴とするゴム支承体。
- 前記p−フェニレンジアミン系老化防止剤として、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンと共に、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンが用いられている請求項1に記載のゴム支承体。
- 前記石油系ワックスが、前記ノルマルパラフィンのみにて構成されている請求項1又は請求項2に記載のゴム支承体。
- 前記石油系ワックスが、前記ノルマルパラフィンと共に、該ノルマルパラフィンとは異なる他の石油系ワックスとから構成されている請求項1又は請求項2に記載のゴム支承体。
- 前記ノルマルパラフィンとは異なる他の石油系ワックスが、該ノルマルパラフィンよりも高い融点を有している請求項4に記載のゴム支承体。
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