JP3125710B2 - 免震ゴム - Google Patents

免震ゴム

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JP3125710B2
JP3125710B2 JP10429797A JP10429797A JP3125710B2 JP 3125710 B2 JP3125710 B2 JP 3125710B2 JP 10429797 A JP10429797 A JP 10429797A JP 10429797 A JP10429797 A JP 10429797A JP 3125710 B2 JP3125710 B2 JP 3125710B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は複数個の硬質板と粘
弾性的性質を有する軟質板とを交互に貼り合わせた免震
ゴムに関するものであり、特にフランジ近傍に発生する
局部歪を小さくすることにより、建物と基礎部の両方に
安定に固定することを可能ならしめた、耐震性及び耐久
性に優れた免震ゴムに関するものである。 【0002】 【従来の技術】銅板等の硬質板とゴム等の粘弾性的性質
を有する軟質板とを積層した構造体(免震ゴム)が、地
震時に要求される防振性、吸振性等を満たす支承部材と
して最近注目をあびている。 【0003】このような免震ゴムは、コンクリートのよ
うな剛体建物と基礎土台との間に、横方向に柔らかい、
即ち剪断剛性率の小さい免震ゴムを挿入することによ
り、コンクリート建物の固有周期を地震の周期からずら
す作用を有し、かかる作用により、地震により建物が受
ける加速度は非常に小さくなる。 【0004】このような支承部材に用いられる免震ゴム
は、建物と土台との間に挿入され、建物全体を支える働
きをしているため、一旦設置された後は、取替えが困難
であり、また、例え技術的には取替え可能であっても、
コスト的にかなり高いものとなる。このため、免震構造
体にはコンクリート構造物と同程度の50〜60年の耐
久寿命が要求されている。 【0005】免震ゴム10は、通常、第2図(a)に示
すように、軟質板R1 ,R2 ,R3と硬質板S1
2 ,S3 との積層構造体1の上下面、即ち建物2及び
基礎3と接する部分にフランジと言われる厚い鋼板4,
5が強固に接着されて構成されている。 【0006】このような免震ゴム10においては、地震
による変形後は再び元の位置へ戻る(弾性変形)ことが
大きな特徴とされており、このため大地震時には、第2
図(b)に示す如く、建物のゆれに伴い免震ゴム10は
大きな剪断変形を起こし、硬質板S1 〜S3 にはさまれ
た軟質板R1 〜R3 は数百%におよぶ大きな引張変形を
受ける。とりわけ、軟質板の中でも、フランジに近い軟
質板R1 の表層に近い部分Xでは、剪断変形に伴い硬質
板S1 が矢印の方向に曲がるため、極めて大きな局部歪
が発生し、免震構造体の損傷、破断の原因となるものと
従来より考えられていた。 【0007】即ち、今日に至るまで、建物の重量を長期
間支えている免震ゴムに地震時の大きな剪断変形が加わ
ったとき、免震ゴムの内部にどのような局部応力、局部
歪が発生するかを詳細に解析することはなされておら
ず、このため、従来は免震ゴムを実際に変形させてみた
ときの大体の形状から、上述の如く、X部に最大の局部
歪が発生するのではないかと推測されていたのである。 【0008】従って、イギリスやニュージーランドで
は、このフランジ付近の最大局部歪による免震ゴムの破
壊をさけるために、第3図(a)の如く、免震ゴム10
の取付用フランジ8、9に凹部8a、8b、9a、9b
を設け、この凹部8a、8b、9a、9bと建物2およ
び基礎3に設けたボルト2a、2b、3a、3bとを嵌
合させて免震ゴム10を取付けている(このような方式
を「ダウエル式」という。)。このようにすることによ
り、地震発生時には第3図(b)の如く、フランジ8、
9が矢印の方向に曲がり、免震ゴム10におけるA部に
大きな局部歪が発生するのが防止され、免震ゴム10の
損傷、破断が防止されると考えられていた。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】周知の通り、コンクリ
ートのような剛体建物の下に免震ゴムのような柔構造物
を置いた場合、地震の横揺れ、縦揺れを受けると、単純
な水平運動以外に、垂直運動や回転運動が発生し、建物
のロッキング現象が起こり易い。 【0010】このような観点から、地震による揺れの激
しい環境下で使用される免震ゴムは、フランジを介して
土台及び基礎と完全にかつ強固に固定された安定構造で
あることが望ましい。 【0011】しかるに、第3図(a)、(b)に示す従
来技術は、フランジ8、9が基礎3にも建物2にも固定
されておらず、剪断変形に応じて曲がるような構成であ
るため、建物は非常に不安定となり、激しいロッキング
により傾動する可能性もでてくる。即ち、イギリスやニ
ュージーランドの場合は、建物の安定性よりも、フラン
ジ付近の局部歪の低減を重視したのである。 【0012】このため、従来より、フランジを介して建
物及び基礎に固定して設置しても、局部応力と局部歪の
発生が極めて少ない免震ゴム(本明細書において、この
ような免震ゴムを「基礎固定式免震ゴム」と称す。)の
出現が強く望まれていた。 【0013】本発明は上記従来の問題点を解決し、建物
及び土台に安定性良く固定して設置することができ、こ
の状態において、局部歪の発生が減少し、また局部歪に
よる損傷及び破損等が大幅に低減される、改良された免
震ゴムを提供することを目的とする。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明の免震ゴムは、複
数個の剛性を有する硬質板と粘弾性的性質を有する軟質
板とを交互に貼り合わせた積層構造体の上下面にフラン
ジが設けられてなる免震ゴムにおいて、該積層構造体の
フランジと接する部分を、フランジに向けて次第に横断
面積が大きくなるように、その外表面が内側に縦断面円
弧状ないし円弧類似形状に反った湾曲面とすることによ
り、フランジ付近の局部歪を低下させることによって構
造体全体の局部歪を平均化させた免震ゴムであって、前
記硬質板の側端部は、硬質板の厚み方向の断面において
外側に断面円弧状ないし円弧類似形状に膨出した形状で
あり、且つ積層構造体の外表面は耐候性に優れた被覆ゴ
ムで覆われており、該硬質板の側端面に形成される膨出
部の断面円弧形状は、r≧0.1mmを満たす半径rを
有する円弧形状であり、該積層構造体の外表面を被覆す
る耐候性に優れた被覆ゴムのゴム厚さが1〜30mmで
あることを特徴とする。 【0015】本発明者らは、局部歪による損傷、破損等
の問題を生じることのない基礎固定式免震ゴムについて
検討を行うにあたり、まず、免震ゴムが建物を支えるこ
とに起因する圧縮変形や、地震時の水平方向の揺れによ
る剪断変形を受けるときに、免震ゴム内のどの部分にど
のような大きさの局部歪が発生するかを解析することが
重要であると考え、ゴム材料の大変形応力の解析に着手
した。 【0016】免震ゴムが長期間建物を支え、かつ大地震
の揺れに対しても十分安全な構造体である為には、従来
の勘による経験的設計ではなく、理論的定量的設計が不
可欠であることは論を待たない。 【0017】ところで、材料の応力解析を行うには、コ
ンピュータによるFEM(有限要素法)解析を用いるの
が一般的であるが、このFEM解析を行う際、材料の応
力〜歪関係を線形近似で表示するために、微小変形に対
する解析では計算値と実測結果は一致するが、大変形に
なると計算値と実測値の一致性が非常に悪いというのが
現状である。 【0018】そこで本発明における研究においては、免
震ゴムのように特別大変形する構造体に対して、ゴム材
料の非線形性をできるだけ忠実に表示する方法を用い、
その結果、圧縮歪8.5%、剪断歪100%変形時にお
いて、第4図に示すように、実測(破線)と計算(実
線)による変形状態が十分に一致する解析結果を得るこ
とができた。 【0019】しかして、このように、定量的に十分に信
頼し得るFEM解析結果を得ることができることを確認
した上で、まず、第5図に示すような、5層のゴム(R
11,R12,R13,R12,R11)、4層の鋼板(S11,S
12,S13,S12,S11)及びフランジ4、5からなる免
震ゴムに、圧縮歪6%、剪断歪100%を与えた時の変
形状態及び各部の主歪を調べた。その結果、第6図に示
すような変形状態(模式図)のA〜Eの各点で、後掲の
第1表の比較例1で示すような歪値が解析された。即
ち、A点=B点=138%、C点=D点=51%、E点
=80%である。この結果から、中心のR13に比し、フ
ランジ付近のR11に大きな歪が現れていることが確認さ
れた。 【0020】前述した如く、免震ゴムの剪断変形によっ
てフランジ付近の引張側(即ち、第6図のA)部に大き
な局部歪が現れるということは、従来より、多くの人が
経験的に信じてきたことである。しかしながら、本発明
者らによる上記解析で更に重要なことは、フランジ付近
のゴムR11には、引張側Aのみならず、圧縮側BにAと
同等以上に大きな局部歪が現れるということである。 【0021】更に検討を重ねた結果、免震ゴムに圧縮変
形と剪断変形が加わった場合、フランジ付近の引張側A
と圧縮側Bに大きな局部歪が発生し、このような局部歪
の偏在は、フランジに隣接するゴム層R11のみならずR
12のゴム層にも及んでいること(もし、ゴム層の数が非
常に多い場合には、更に中心側のゴム層に影響を及ぼ
す。)から、本発明の主目的である、局部歪によって損
傷、破損等が大幅に低減された基礎固定式免震ゴムの開
発を可能となすには、このフランジ付近に特に偏在する
局部歪を減少させることが不可欠であることを見出し、
本発明を完成させた。 【0022】この解析結果は、本発明に関する研究にお
いて、極めて重要な知見を与えた。即ち、第3図
(a),(b)に示すような、イギリス、ニュージーラ
ンドで用いられている引張側のフランジが曲がるダウエ
ル方式の場合、確かにA部の局部歪を小さくする効果は
あるものの、このような構成はB部の局部歪をより増加
させる結果となり、全体としてはフランジ付近のB部か
らの破壊を引き起こす原因となる。従って、ダウエル方
式は、フランジ付近の局部歪を小さくして破壊に対する
安全率を増加させるには到らず、ロッキングの危険性を
導入したにすぎないと言える。 【0023】本発明は、世界で初めて可能とされ、また
成功された、このような解析結果に基づくものである。 【0024】本発明の免震ゴムは次のような特徴を有す
る。 【0025】 フランジ付近に、最大局部歪等の大き
な局部歪が集中することなく、免震ゴム全体に幅広く平
均的に分布している。 免震ゴム中に発生する最大局部歪が大幅に低減して
いる。,より、局部歪による免震構造体の損傷、破損
等の問題が解消される。 硬質板のエッジ部に接触している軟質板の部分に過
大な応力及び歪が発生することがなく、この部分での損
傷が防止される。 免震ゴムの積層構造体表面部は、耐候性に優れた被
覆ゴムで被覆されているため、免震ゴムの耐久安全性は
著しく高い。 【0026】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。 【0027】第1図は本発明の実施の形態に係る免震ゴ
ム20の縦断面図である。この免震ゴム20は、粘弾性
的性質を有するゴム等の軟質板11と、鋼板等の剛性を
有する硬質板12とが交互に積層された積層構造体13
の上下面にフランジ4、5が設けられている。 【0028】しかして、本発明の実施例の免震ゴム20
は、積層構造体13のフランジ4、5と接する部分は、
フランジに向けて次第に横断面積が大きくなるように、
その外表面が内側に縦断面円弧状ないし円弧類似形状に
反った湾曲面とされている。 【0029】この積層構造体13のフランジ4、5と接
する部分に形成される湾曲面の縦断面円弧形状ないし円
弧類似形状の円弧の半径は、小さすぎると湾曲面を設け
たことによる局部歪低減効果が低く、逆に大きすぎると
免震ゴムの製造が非常に困難となる。 【0030】従って、この湾曲面の円弧形状は、第1図
のVII 部の拡大図である第7図に示すように、軟質板1
1の厚さk、硬質板12の厚さhに対して、半径Lが、
次のような範囲であるようなものとするのが望ましい。 【0031】 【数1】 【0032】なお、本発明において、この湾曲面の円弧
形状又は円弧類似形状とは、第7図のような円弧形状の
他に、これに類似した形状で局部応力を低減させる効果
を有するものであれば良く、例えば第8図(a),
(b)の如き1又は複数の直線の組合せによるもの、第
8図(c)の如き直線と円弧の組合せによるもののよう
な形状等が挙げられる。 【0033】ところで、鋼板等の硬質板とゴム等の軟質
板との積層体である支承部材において、硬質板のエッジ
部に接触している軟質板の部分に過大な応力及び歪が発
生し、この部分で損傷を起こしやすいということは周知
の事実である。 【0034】そして、従来、このような硬質板のエッジ
部と接触する軟質板の局部的な応力を減少させるため
に、第9図に示す如く、軟質板21の側面に、縦断面形
状が外に向って凹曲面を成す凹部を形成したゴム支承片
が知られている(実公昭58−30818号公報)。 【0035】しかしながら、硬質板と軟質板が多数枚貼
り合わされた構造を有する免震ゴムにおいては、各軟質
板に凹曲面を設けることは、モールドとの離型性を悪く
する、モールドのコスト高になるなどの問題がある。特
に軟質板の厚さが小さい場合には、このような問題点が
一層著しくなる。 【0036】また、上記従来の積層構造体においては、
鋼板等の硬質板の端面が外部に露出しているので、この
端面の部分から腐食が進行し易いという問題も生じる。
なお、このような腐食を防ぐために、防振ゴムなどにお
いて、外部に露出する金属板側周面を塗装などによって
被覆することも行われているが、免震ゴムの場合、使用
期間が著しく長いこと(例えばコンクリート構造物の場
合、60年程度の耐久性は満たさなければならない)を
考えると、このような塗装による方法では、長期間に亘
って耐久性を保障することは困難である。 【0037】このような問題を解決するために、本発明
では、第1図に示す如く、硬質板12の側端面を、硬質
板の厚み方向の断面において外側に脹らみ出した断面円
弧状ないし円弧類似形状のものとすると共に、この硬質
板の外周囲部分を特殊ゴム14で覆って、硬質板11を
外皮層の内部に埋め込むよう構成した。 【0038】この場合、硬質板12の側端面に形成され
る膨出部の断面円弧形状の円弧の半径は、第7図に示す
rの値で、0.1mm≦rであり、 ましくは 0.3mm≦r とりわけ 0.5mm≦r とするのが望ましい。 【0039】なお、この膨出部の円弧形状又は円弧類似
形状とは、上記の円弧以外に、局部応力を低減させるべ
く円弧的な働きをするもの、例えば第10図(a),
(b)の如く、複数の直線状切断面よりなるもの、又
は、第10図(c)の如く、直線状切断面と円弧の組合
せよりなるものなど、様々な円弧類似形状を含む。 【0040】このように、硬質板12のエッジ部を曲線
又は直線の組合せによってなめらかなものとすることに
より、エッジ部の接触している軟質板11部分に発生す
る応力又は歪を大幅に低減させることが可能となる。 【0041】ところで、免震ゴムは、使用中、常に外気
にさらされているため、酸素、湿度、オゾン、紫外線、
原子力用においては放射線、海辺における場合では海
風、により長期劣化を受ける。また、建物を支えている
ため、常に圧縮荷重を受けており、平常時でもゴム層の
表面部にはかなりの引張応力が付与されている。特に、
長期使用によってクリープ量が大きくなると、例え圧縮
歪が数%〜10%であっても、表面部での引張歪は10
0〜300%にもおよぶことになる。その上、大地震発
生時には、免震ゴムは100〜200%の剪断歪を受け
るために、この歪が複合化され、免震ゴムの表面部も非
常に大きな歪を受けることになる。そして、免震ゴムの
表面部ゴムの外気による劣化は、引張応力や引張歪が大
きくなればなる程一層進行する。 【0042】以上のことから、免震ゴムの表面部ゴムに
対しては (a) できる限り引張歪を小さくすること (b) 耐候性の優れたゴムを使用すること が重要となる。 【0043】そこで、本発明者らは、この免震ゴムの表
面部の引張歪と耐候性について、従来の免震ゴムの構造
に基づいて以下のような検討を行った。 【0044】現在提案されている免震ゴムには、次のよ
うなものがある。 【0045】 第11図に示す如く、ゴム層21と金
属板22とが積層され、金属板22のエッジ部22aは
表面に出ているか、薄い(0.5〜1mm程度)ゴム層
で被われている。 第12図に示す如く、ゴム層21と金属板22とが
積層され、金属板22のエッジ部22aは厚い表面ゴム
23で被われている。これらの免震構造体に使用されて
いるゴム材料は、イギリス、ニュージーランドにおける
天然ゴム系、フランスにおけるクロロプレンゴム系に大
別される。 【0046】即ち、フランスでは耐候性を重視する結
果、クロロプレンゴムを用いており、一方、イギリス、
ニュージーランドでは、ゴムの耐破壊特性を重視して、
天然ゴムを用いている。そして、イギリスでは、天然ゴ
ムの耐候性(耐熱老化性、耐オゾン性、耐酸化劣化性な
ど)の悪さを補うために、第12図の如く、厚い表面ゴ
ム層を形成する方法が採用されている(例えば、ロスア
ンゼルス郊外に建てられた裁判所に用いられているイギ
リス製免震ゴムの場合、表面ゴム層厚は75mmとなっ
ている。)。 【0047】本発明者らは、まず静荷重時及び地震時に
免震ゴムの外表面部に発生する引張歪を低減させるため
に、第12図の積層構造体の外側を被覆する外表面ゴム
23(以下、積層構造体の鋼板等の硬質板のエッジ端よ
り外表面までの部分(第12図における厚層Tの部分)
を「外皮層」と呼ぶ。)について検討した。 【0048】しかして、外皮層の外気にふれる外表面に
発生する局部歪は、外皮層厚Tが増加するにつれ、次第
に減少するが、ある程度の厚さに達すると、それ以上厚
くしても局部歪を小さくする作用は極めて乏しくなるこ
とが認められた。一方、外皮層の厚さが増加する程、材
料的にコスト高となるのみならず、加硫を大幅に遅らせ
るために、全体として相当のコスト高となる。 【0049】このようなことから、外皮層の厚さTは1
〜30mm、望ましくは2〜20mm、とりわけ3〜1
5mmとする。 【0050】一方、前述の通り免震ゴムは常に外気にさ
らされた状態で使用されるため、免震ゴムの外表面は極
めて耐候性の優れたゴムで保護されている必要がある。 【0051】これに対して、従来の免震ゴムのうち、ゴ
ム材料として耐候性の良いクロロプレンゴムを用いた場
合、クロロプレンゴムはヒステリシスロスが大きいため
クリープが大きくなるのはもとより、耐寒性が悪く、低
温結晶化し易いことから、低温においてゴムの硬度が増
加するため、クロロプレンゴムを用いた免震ゴムは本来
の免震性能が発揮できなくなると共に、高価なクロロプ
レンゴムを用いることによって製品コストが大幅に増加
するという欠点がある。 【0052】一方、天然ゴムは周知の通り耐候性が悪
く、劣化した天然ゴムでは、オゾンクラックの発生等、
目に見える変化が起こるだけではなく、弾性率が大幅に
増加し、破断強度、破断時伸びが大幅に低下する。即
ち、大気中の長期劣化によって、天然ゴムは表面に無数
のオゾンクラックを有し、しかも脆い材料に変化してし
まうのである。 【0053】従って、第12図のような構成とした場合
においても、表面のゴム層が劣化し、このような劣化層
で被われていると、内部のゴム層は劣化していない場合
でも、地震による繰り返し大変形等を受けると、まず表
面の劣化層が簡単に破断し、更にそれが引き金となって
内部のゴム層全体の破断をもたらす可能性がある(例え
ば熱劣化性の優れたAゴムの表面に、熱劣化性の悪いB
ゴムを薄く塗布してこれを熱劣化させると、Aゴムの表
面に形成されたBゴムの熱劣化層のため、折り曲げただ
けでAゴムも簡単に破断することがある。)。 【0054】また、免震ゴムの表面ゴム層に発生したオ
ゾンクラック等の亀裂から水分が侵入すると、硬質板の
金属に錆が発生し、またこれにより、金属板とゴム層と
が剥離する危険性もある。 【0055】免震ゴムには、前述の如く、約60年とい
う長年月にわたる耐久性が要求されること、多少なりと
も劣化した部分が生じた場合には、これが破断して、免
震ゴム全体の破断につながりかねないこと、地震発生時
にはどのような不測の変形を受けるとも限らず、これが
ために多少の劣化も軽視することはできないこと、免震
ゴムは建物と人命を支えるものであることから、その安
全性は常に完璧であるべきであること等を考慮した場
合、免震ゴムはその使用の環境下で劣化性の極めて少な
いものであることが望まれる。しかも、あらゆる工業生
産に要求されることであるが、製品コストを低く押さえ
ることは常に要求されることである。 【0056】従って、天然ゴムなどの耐候性の悪いゴム
を用いて構成される免震ゴムの場合、その外表面部を耐
候性の優れた被覆ゴム(以下「特殊ゴム」と称する場合
がある。)で被覆することが要求されてくるのである。 【0057】第1図に示す実施の形態において、積層構
造体13の外表面部の特殊ゴム14として好適な耐候性
に優れたゴムとしては、例えば、ブチルゴム、アクリル
ゴム、ポリウレタン、シリコンゴム、フッ素ゴム、多硫
化ゴム、エチレンプロピレンゴム(EPR及びEPD
M)、ハイパロン、塩素化ポリエチレン、エチレン酢酸
ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴ
ム等が挙げられる。これらのうち、特にブチルゴム、ポ
リウレタン、エチレンプロピレンゴム、ハイパロン、塩
素化ポリエチレン、エチレン酢酸ビニルゴム、クロロプ
レンゴムが耐候性の面からは効果的である。更に軟質板
を構成するゴム等との接着性を考慮した場合には、ブチ
ルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴムが
望ましく、とりわけエチレンプロピレンゴムを用いるの
が最も好ましい。 【0058】これらのゴム材料は単独で用いても、2種
以上をブレンドして用いても良い。また、伸び、その他
の物性を改良するために市販ゴム、例えば、天然ゴム、
イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエン
ゴム、ニトリルゴム等とブレンドしても良い。更に、こ
れらのゴム材料には、各種充填剤、老化防止剤、可塑
剤、軟化剤、オイル等、ゴム材料に一般的な配合剤を混
合しても良い。特に、シクロペンタジエン又はジシクロ
ペンタジエン樹脂を、ゴム材料100重量部に対し10
〜40重量部、更にロジン誘導体を5〜20重量部添加
することにより、破壊特性、金属との接着性等が大幅に
改良され、極めて有利である。なお、この場合、ロジン
誘導体としては、主成分がアビエチン酸、ピマール酸及
びこれらに類似した構造のカルボン酸の混合物で各種の
ロジン系エステル、重合ロジン、水素添加ロジン、硬化
ロジン、ハイロジン、樹脂酸亜鉛、変性ロジン等が挙げ
られる。 【0059】本発明においては、基本的には前述の外皮
層を、上記の耐候性に優れた特殊ゴムで構成し、その厚
さを前述の外皮層厚さTと一致されるのが好ましいが、
製造上ないしその他の理由により不可能な場合には、こ
の特殊ゴム14の厚さ、即ち、第7図の厚さtは必ずし
も外皮層厚さTと一致していなくても良い。その場合、
特殊ゴム厚さtは、1〜20mm、望ましくは2〜15
mm、とりわけ2〜10mmとするのが好ましい。この
ような特殊ゴム14は、軟質板11、硬質板12および
フランジ4、5に強固に接着することが重要であるが、
接着は次のa〜cの方法などにより容易に行える。 【0060】a 軟質板11のゴム材料(以下「内部ゴ
ム」ということがある。)と特殊ゴム14とを同時に加
硫接着する方法。 b 内部ゴムのみ先に加硫した後、特殊ゴムを加硫させ
て接着させる二段式加硫接着法。 c 内部ゴム、特殊ゴムを別々に加硫した後、接着剤で
貼り合せる方法。 【0061】接着に際し、内部ゴムと特殊ゴムの接着が
不良である場合には、両者の間に両者に対して接着性の
良好な第三のゴム層を介在させても良い。また、内部ゴ
ム及び/又は特殊ゴムに接着性向上のための添加物を配
合しても良い。 【0062】第1図に示す実施の形態の如く、硬質板の
エッジ部を円弧形状ないし円弧類似形状に膨出させて適
当な厚さの特殊ゴムで被覆することにより、免震ゴムの
フランジ付近の局部歪をより低減化させ、免震ゴム全体
として歪の平均化を計ると共に局部歪の絶対値を低減化
させることができる。 【0063】ところで、第1図に示すような構成によ
り、フランジ付近の局部歪が小さくなった場合において
も、免震ゴムの他の部分の局部歪が大きくなり、全体と
してみると最大局部歪が低減していないということが一
般に起こる可能性もある。 【0064】従って、フランジ付近の局部歪を低減化
し、かつ免震ゴム全体の局部歪を平均化すると共に、各
部における局部歪の絶対値を減少させるにはこれまで述
べてきた (i)積層構造体のフランジと接する部分に形成される
湾曲面の形状 (ii)硬質板の側端面に形成される膨出部の形状 (iii)積層構造体の外表面を被覆する特殊ゴムの厚さ による改良効果を十分引き出すべく、各要素のバランス
を保つことが何より重要である。しかしてこのバランス
は、本発明者らが開発した大変形用FEM計算によって
初めて良好に保たれることが可能とされるのである。 【0065】なお、本発明において、硬質板12の材質
としては、金属、セラミックス、プラスチックス、FR
P、ポリウレタン、木材、紙板、スレート板、化粧板な
どを用いることができるが、なかでも鋼板が好ましい。
また軟質板11としては、ゴム状弾性を有するものであ
って、各種の加硫ゴム、未加硫ゴムなどの有機材料、こ
れらの発泡体など各種のものを用いることができるが、
加硫ゴムが好ましい。 【0066】このような硬質板と軟質板とを接着させる
には、接着剤を用いたり共加硫すれば良い。 【0067】このような本発明の免震ゴムは、免震作用
の他に、除振(防振、制振)等の特性を備えている。 【0068】 【実施例】以下に、具体的な実施例及び比較例を挙げて
本発明をより詳細に説明する。 【0069】実施例1,比較例1 第1図に示すような本発明の免震ゴムについて、変形時
の各位の主歪を求めた。 【0070】なお、軟質板としては天然ゴムを主体とす
る加硫ゴム、硬質板としては鋼板を用い、特殊ゴムとし
てはEPDMを主体とするゴム100重量部に対し、ジ
シクロペンタジエン樹脂27重量部、ハイロジン10重
量部、その他カーボンブラック等を配合した加硫ゴムを
用いた。 【0071】また、軟質板厚さに、硬質板厚さh、硬質
板長さl、特殊ゴム厚さt、形状率、硬質板の側端の膨
出部となる円弧の半径r及びフランジに接する積層構造
体の湾曲面をなす円弧の半径Lは以下の通りである。 【0072】k=10mm h= 2mm l=70mm t= 5mm 形状率=l/4k=1.45 r= 1mm L=0.92×(h+k)=11.04mm このような構成の免震ゴムに、圧縮歪6%、剪断歪10
0%を加えた時の変形形状の模式図を第13図に示す。
また第13図に表示された各点における主歪のFEM解
析値を表1に示す。 【0073】なお比較例として第5図に示す免震ゴム
(材質形状率、ゴム厚さ、鋼板厚さは同様)について同
様に実験を行い、第6図に示す各点の主歪の測定値を表
1に併記する。 【0074】 【表1】【0075】表1より明らかなように、実施例1の免震
ゴムでは フランジ付近の引張側、圧縮側の局部歪の大幅な低
下 免震ゴム全体としての局部歪の平均化 最大局部歪の大幅低減 などが達成され、本発明の効果は極めて明白である。 【0076】 【発明の効果】本発明の免震ゴムは局部歪の発生が極め
て効果的に減少されることから、局部歪による免震ゴム
の損傷、破断等が少なくなり、また、硬質板のエッジ部
での損傷も防止される上に、耐候性も著しく良好となる
ため、極めて耐久性に優れたものとなる。しかも、フラ
ンジを介して建物及び基礎に固定することができること
から、建物等を安定に支承することが可能となる。 【0077】このような、本発明の免震ゴムは、本発明
に関する研究において、変形時に免震ゴムに発生する局
部歪の定量的解析が可能となったことにより、初めて実
現したものであり、従来の免震ゴムとは明確に区別され
るべきものであり、その学問的、工業的意義は極めて大
きい。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施の形態に係る免震ゴムの縦断面図
である。 【図2】従来例を示す断面図であって、(a)は平常
時、(b)は地震発生時を示す。 【図3】従来例を示す断面図であって、(a)は平常
時、(b)は地震発生時を示す。 【図4】一般的な免震ゴムのFEM解析結果を示す図で
ある。 【図5】主歪の解析に用いた従来の免震ゴムの断面図で
ある。 【図6】第5図の免震ゴムの変形時の模式図である。 【図7】第1図のVII 部の拡大図である。 【図8】フランジ付近の湾曲面の形状例を示す図であ
る。 【図9】従来の免震ゴムの一部断面図である。 【図10】硬質板の側端面の膨出部の形状例を示す図で
ある。 【図11】従来の免震ゴムの断面図である。 【図12】従来の免震ゴムの断面図である。 【図13】実験例における実施例ゴムの変形時の模式図
である。 【符号の説明】 4,5 フランジ 11 軟質板 12 硬質板 13 積層構造体 14 特殊ゴム 20 免震ゴム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 光明 東京都保谷市柳沢5−7−6 (56)参考文献 実開 昭56−59218(JP,U) 実公 昭50−32691(JP,Y1) 「改訂防振ゴム」社団法人 日本鉄道 車両工業会編 昭和50年8月15日発行 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 1/00 - 6/00 F16F 15/00 - 15/08 E04B 1/36 E04H 9/02 331

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.複数個の剛性を有する硬質板と粘弾性的性質を有す
    る軟質板とを交互に貼り合わせた積層構造体の上下面に
    フランジが設けられてなる免震ゴムにおいて、 該積層構造体のフランジと接する部分を、フランジに向
    けて次第に横断面積が大きくなるように、その外表面が
    内側に縦断面円弧状ないし円弧類似形状に反った湾曲面
    とすることにより、フランジ付近の局部歪を低下させる
    ことによって構造体全体の局部歪を平均化させた免震ゴ
    ムであって、 前記硬質板の側端部は、硬質板の厚み方向の断面におい
    て外側に断面円弧状ないし円弧類似形状に膨出した形状
    であり、 且つ積層構造体の外表面は耐候性に優れた被覆ゴムで覆
    われており、該硬質板の側端面に形成される膨出部の断
    面円弧形状は、 r≧0.1mm を満たす半径rを有する円弧形状であり、 該積層構造体の外表面を被覆する耐候性に優れた被覆ゴ
    ムのゴム厚さが1〜30mmで あることを特徴とする免
    震ゴム。
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