JPH1068442A - 免震構造体 - Google Patents

免震構造体

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JPH1068442A
JPH1068442A JP8226283A JP22628396A JPH1068442A JP H1068442 A JPH1068442 A JP H1068442A JP 8226283 A JP8226283 A JP 8226283A JP 22628396 A JP22628396 A JP 22628396A JP H1068442 A JPH1068442 A JP H1068442A
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JP
Japan
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soft
layer
layers
soft layer
seismic isolation
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JP8226283A
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English (en)
Inventor
Seiji Hara
誠治 原
Fumio Sekido
文雄 関堂
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐破壊特性と耐荷重性という相反する特性を
ともに満足しうる、新規な免震構造体を提供する。 【解決手段】 引張破断伸びEB (A) の大きい軟質層2
を上層部L1および下層部L3に配置するとともに、そ
れよりも引張破断伸びEB (B) の小さい軟質層2を上記
の間の中間部L2に配置して、上記上層部L1および下
層部L3の、引張破断伸びEB (A) の大きい軟質層2に
よって、免震構造体Mの耐破壊特性を確保し、かつ中間
部L2の、引張破断伸びEB (B) の小さい軟質層2によ
って、免震構造体Mの耐荷重性を確保した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、たとえばビルや
橋梁等の建造物の基礎部分に設けられる免震構造体に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】上記ビル等の建造物の固有振動数を地震
の振動周波数からずらして、当該建造物が地震の際に受
ける横方向の加速度を減少させるべく、その基礎部分
に、横方向に柔らかい免震構造体を挿入することが検討
され、実用化されつつある。上記免震構造体としては種
々の構造のものが提案されており、その中の1つに、加
硫ゴム等のゴム弾性を有する材料からなる軟質層と、鋼
板等の剛性を有する材料からなる硬質層とをそれぞれ複
数層ずつ交互に、一対の取付けフランジ間に積層した積
層構造のものがある。
【0003】上記積層構造の免震構造体において軟質層
は、外力に対する高い耐性(耐破壊特性)を有している
必要がある。つまり免震構造体には、平常時でも常に、
建造物から巨大な圧縮荷重が加えられており、軟質層
は、この圧縮荷重によって外周部が外方へ膨張して、そ
の表面にかなり大きな引張応力が加わった状態となって
いるため、この引張応力によって裂けたりしないことが
求められるとともに、地震発生による大変形時には、場
合によっては軟質層に、局部的にではあるがおよそ20
0%程度のせん断変形が加えられるおそれがあるため、
この変形によって破壊されないことが求められる。
【0004】また近時、従来の建造物よりも重量が著し
く大きい、より大規模な建造物にも免震構造体を適用し
ようとする動きが見られるが、従来の免震構造体をその
まま適用したのでは、軟質層の耐荷重性が不十分で、地
震の際の水平方向へのせん断大変形時に免震構造体が座
屈して、免震支承機能を失うおそれがあり、これを防止
すべく軟質層の耐荷重性を向上することが要求されつつ
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した耐
破壊特性と耐荷重性とは本来、相反する特性であって、
この相反する両特性を両立させることは、従来の技術で
は実現が困難であった。すなわち軟質層の耐荷重性を向
上させるには、当該軟質層を構成する基材ゴム中に、キ
シレン樹脂や、あるいはベンゼン環を多く含む剛性の高
い樹脂を配合して、軟質層の剛性を向上させればよい
が、かかる高剛性の軟質層はどうしても引張破断伸びが
小さくなって、耐破壊特性が低下してしまう。
【0006】一方、軟質層の耐破壊特性を向上させるに
は、当該軟質層を構成する基材ゴム中に、クマロン・イ
ンデン樹脂のようなゴムを軟化させる作用のある樹脂を
配合したり、あるいは軟質層を天然ゴムにて形成する場
合には、当該天然ゴムの破断伸びを大きくする作用のあ
るイソプレンゴムを配合したりすればよいが、いずれの
手法を採用しても、軟質層の剛性が低下して耐荷重性が
不十分になってしまう。
【0007】この発明の目的は、耐破壊特性と耐荷重性
という相反する特性をともに満足しうる、新規な免震構
造体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、発明者は、上下一対の取付けフランジ間に積層され
た複数の軟質層を、積層位置によって役割分担させるこ
とを検討した。その結果、地震発生による大変形時に大
きなせん断変形が加わるのは、上下の取付けフランジに
近い上層部および下層部の軟質層であって、その間の中
間部の軟質層にはさほど大きなせん断変形が加わらない
ため、上記上層部と下層部の軟質層は耐破壊特性にすぐ
れたものとし、かつ中間部の軟質層は耐荷重性にすぐれ
たものとすれば、両特性を同時に満足する免震構造体を
構成できることを見出し、この発明を完成するに至っ
た。
【0009】すなわちこの発明の免震構造体は、上下一
対の取付けフランジ間に、ゴム弾性を有する軟質層と剛
性を有する硬質層とを複数層ずつ交互に積層したもので
あって、上下の取付けフランジに近い上層部および下層
部の軟質層の引張破断伸びE B (A) 〔%〕と、上記の間
の中間部の軟質層の引張破断伸びEB (B) 〔%〕とが、
式(i) : EB (A) 〔%〕−EB (B) 〔%〕>0 (i) を満足することを特徴としている。
【0010】上記構成からなるこの発明の免震構造体に
おいては、上述したように、上下の取付けフランジに近
い上層部および下層部の軟質層を、引張破断伸びE
B (A) 〔%〕の大きい、つまり耐破壊特性にすぐれたも
のとし、かつ中間部の軟質層を、上記上層部および下層
部の軟質層よりも引張破断伸びEB (B) 〔%〕の小さ
い、つまりより剛性の高い耐荷重性にすぐれたもとのし
て役割分担させているため、これら各軟質層の総合的な
作用によって、高い耐破壊特性と耐荷重性とを両立する
ことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下にこの発明の免震構造体を、
その実施の形態の一例を示す図1を参照しつつ説明す
る。図1にみるようにこの例の免震構造体Mは、円板状
の2枚の取付けフランジ1、1と、両取付けフランジ
1、1間に交互に積層された、同じく円板状の、複数層
ずつの軟質層2…および硬質層3…とを備えている。ま
た免震構造体Mの中心部には、上記取付けフランジ1、
1、軟質層2…および硬質層3…の各層を貫通して、通
孔M1が形成されている。
【0012】上記のうち取付けフランジ1および硬質層
3は、それぞれ従来同様に、鋼板等の剛性を有する材料
にて形成されており、このうち上側の取付けフランジ1
の上面、および下側の取付けフランジ1の下面には、そ
れぞれ免震構造体Mを基礎および建造物と結合するため
のボルト(図示せず)が螺着される複数個のねじ穴12
…が形成されている。
【0013】また軟質層2は、これも従来同様に、加硫
ゴム等の、ゴム弾性を有する材料にて形成されるが、前
述したように、上下の取付けフランジ1、1に近い上層
部L1および下層部L3の軟質層2の引張破断伸びEB
(A) 〔%〕と、上記の間の中間部L2の軟質層2の引張
破断伸びEB (B) 〔%〕とが、式(i) : EB (A) 〔%〕−EB (B) 〔%〕>0 (i) を満足している必要がある。
【0014】上記式(i) のごとく、上層部L1および下
層部L3の軟質層2の引張破断伸びEB (A) 〔%〕と、
中間部L2の軟質層2の引張破断伸びEB (B) 〔%〕と
に差をつけるには、たとえば 上層部L1および下層部L3の軟質層2の引張破断
伸びEB (A) 〔%〕を、中間部L2の軟質層2の引張破
断伸びEB (B) 〔%〕よりも大きくするか、あるいは 逆に中間部L2の軟質層2の引張破断伸びEB (B)
〔%〕を、上層部L1および下層部L3の軟質層2の引
張破断伸びEB (A) 〔%〕よりも小さくする、ことが考
えられる。あるいはまた、上記とを併用してもよ
い。
【0015】上記のうちの、上層部L1および下層部
L3の軟質層2の引張破断伸びEB(A) 〔%〕を、中間
部L2の軟質層2の引張破断伸びEB (B) 〔%〕よりも
大きくする方法としては、前述したように、当該軟質層
2を構成する基材ゴム中に、クマロン・インデン樹脂の
ようなゴムを軟化させる作用のある樹脂を配合したり、
あるいは軟質層を天然ゴムにて形成する場合には、当該
天然ゴムの破断伸びを大きくする作用のあるイソプレン
ゴムを配合したりする方法が好適に採用される。
【0016】またの、中間部L2の軟質層2の引張破
断伸びEB (B) 〔%〕を、上層部L1および下層部L3
の軟質層2の引張破断伸びEB (A) 〔%〕よりも小さく
する方法としては、やはり前述したように、当該軟質層
2を構成する基材ゴム中に、キシレン樹脂、フェノール
樹脂等の、ベンゼン環を多く含む剛性の高い樹脂を配合
して、軟質層の剛性を向上させる方法が好適に採用され
る。
【0017】あるいはまた、上記上層部L1および下層
部L3の軟質層2と、中間部L2の軟質層2とで、使用
する基材ゴムの種類を違えることで、引張破断伸びEB
(A)〔%〕、EB (B) 〔%〕が前記式(i) の関係となる
ようにしてもよい。この発明においては、上述したよう
に上層部L1および下層部L3の軟質層2の引張破断伸
びEB (A) 〔%〕と、上記の間の中間部L2の軟質層2
の引張破断伸びEB (B) 〔%〕とが前記式(i) の関係に
あれば、その他の構成はとくに限定されないが、前記式
(i) から求められる両者の差は100ポイント以上、つ
まり下記式(ii): EB (A) 〔%〕−EB (B) 〔%〕≧100 (ii) を満足しているのが好ましい。
【0018】上記差が100ポイント未満では、上層部
L1および下層部L3の軟質層2と、中間部L2の軟質
層2との役割分担が明確でなくなり、高い耐破壊特性と
耐荷重性とを両立できなくなるおそれがある。なお上記
差(EB (A) 〔%〕−EB (B) 〔%〕)は、上記範囲内
でもとくに50〜80ポイント程度であるのが好まし
い。
【0019】また、上層部L1および下層部L3を構成
する軟質層2の層数と、中間部L2を構成する軟質層2
の層数との割合等についても、この発明ではとくに限定
されないが、上層部L1および下層部L3を構成する軟
質層2の層数N1 (上層部L1の層数)、N2 (下層部
L3の層数)の、フランジ1、1間における全ての軟質
層2の層数NA に占める割合RL1、RL3(下記式(iii)
(iv) で表される)は、それぞれ20%以下、両者の合
計で40%以下であるのが好ましい。
【0020】RL1=N1 /NA ×100 (iii) RL3=N2 /NA ×100 (iv) 上記の割合RL1、RL3が、いずれか一方でも上記の範囲
を超えた場合には、相対的に中間部L2を構成する軟質
層2の層数が少なくなって、免震構造体全体の耐荷重性
が不十分となり、地震の際の水平方向へのせん断大変形
時に免震構造体が座屈して、免震支承機能を失うおそれ
がある。
【0021】また上記割合RL1、RL3の下限値について
もとくに限定されず、上層部L1および下層部L3はそ
れぞれ、上下の取付けフランジ1、1と接する最上層お
よび最下層の1層ずつの軟質層2のみで構成されていて
もよい。ただし、上記割合RL1、RL3はそれぞれ、上記
範囲内でもとくに5〜15%程度であるのがさらに好ま
しい。
【0022】軟質層2を構成する基材ゴムとしては、た
とえば天然ゴム(NR)の他、イソプレンゴム(I
R)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン
共重合ゴム(SBR)、エチレン−プロピレン共重合ゴ
ム(EPM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴ
ム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等の各種合成ゴム
があげられ、中でもとくにNR、IR、BRおよびSB
Rが好適に使用される。これらはそれぞれ単独で使用さ
れる他、2種以上を併用することもできる。
【0023】また上記基材ゴムには、従来同様に加硫
剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、補強剤、
充てん剤、軟化剤、可塑剤その他、従来公知の各種添加
剤を、必要に応じて添加してもよい。上記のうち加硫剤
としては、たとえば硫黄、有機含硫黄化合物、有機過酸
化物等があげられ、このうち有機含硫黄化合物として
は、たとえばN,N′−ジチオビスモルホリン等があげ
られ、有機過酸化物としては、たとえばベンゾイルペル
オキシド、ジクミルペルオキシド等があげられる。
【0024】また加硫促進剤としては、たとえばテトラ
メチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモ
ノスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジブチルジチ
オカーバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカーバミン酸亜
鉛、ジメチルジチオカーバミン酸ナトリウム、ジエチル
ジチオカーバミン酸テルル等のジチオカーバミン酸類;
2−メルカプトベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル
−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のチアゾー
ル類;トリメチルチオ尿素、N,N′−ジエチルチオ尿
素等のチオウレア類などの有機促進剤や、あるいは消石
灰、酸化マグネシウム、酸化チタン、リサージ(Pb
O)等の無機促進剤があげられる。
【0025】加硫促進助剤としては、たとえば亜鉛華等
の金属酸化物や、あるいはステアリン酸、オレイン酸、
綿実脂肪酸等の脂肪酸などがあげられる。加硫遅延剤と
しては、たとえばサリチル酸、無水フタル酸、安息香酸
等の芳香族有機酸;N−ニトロソジフェニルアミン、N
−ニトロソ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジハイ
ドロキノン、N−ニトロソフェニル−β−ナフチルアミ
ン等のニトロソ化合物などがあげられる。
【0026】上記加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤お
よび加硫遅延剤は、その合計の配合量が、基材ゴム10
0重量部に対して4〜15重量部程度であるのが好まし
い。老化防止剤としては、たとえば2−メルカプトベン
ゾイミダゾール等のイミダゾール類;フェニル−α−ナ
フチルアミン、N,N′−ジ−β−ナフチル−p−フェ
ニレンジアミン、N−フェニル−N′−イソプロピル−
p−フェニレンジアミン等のアミン類;ジ−t−ブチル
−p−クレゾール、スチレン化フェノール等ノフェノー
ル類などがあげられる。
【0027】老化防止剤の配合量は、基材ゴム100重
量部に対して1〜10重量部程度が好ましい。補強剤と
しては主にカーボンブラックが使用される他、シリカ系
やケイ酸塩系のホワイトカーボン、亜鉛華、表面処理沈
降性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレ
ー等の無機補強剤や、あるいはクマロンインデン樹脂、
フェノール樹脂、ハイスチレン樹脂(スチレン含有量の
多いスチレン−ブタジエン共重合体)等の有機補強剤も
使用できる。
【0028】また充てん剤としては、たとえば炭酸カル
シウム、クレー、硫酸バリウム、珪藻土などがあげられ
る。上記補強剤および/または充てん剤の配合量は、基
材ゴム100重量部に対して5〜150重量部程度が好
ましい。軟化剤としては、たとえば脂肪酸(ステアリン
酸、ラウリン酸等)、綿実油、トール油、アスファルト
物質、パラフィンワックス等の、植物油系、鉱物油系、
および合成系の各種軟化剤があげられる。
【0029】軟化剤の配合量は、基材ゴム100重量部
に対して10〜100重量部程度が好ましい。可塑剤と
しては、たとえばジブチルフタレート、ジオクチルフタ
レート、トリクレジルフォスフェート等の各種可塑剤が
あげられる。可塑剤の配合量は、基材ゴム100重量部
に対して5〜20重量部程度が好ましい。
【0030】また、上層部L1および下層部L3を構成
する軟質層2に添加してもよい、ゴムを軟化させる作用
のある樹脂としては、前述したクマロン・インデン樹脂
の他、たとえば脂肪族/芳香族混合系樹脂、シクロペン
タジエン樹脂等があげられる。このうちクマロン・イン
デン樹脂は、コークス炉ガス中の軽油中に含まれるソル
ベントナフサ(150〜200℃)を原料とし、これに
含まれているクマロン、インデン、スチレンなどを共重
合させた熱可塑性の樹脂である。より詳しくは、上記の
各成分を含むソルベントナフサを、硫酸などを触媒とし
て100℃程度で重合させて、反応軽沸物を除去するこ
とにより製造される。上記クマロン・インデン樹脂は、
平均分子量300〜450程度のオリゴマーであり、軟
化温度70〜160℃以上の各種のグレードのものが市
販されている。
【0031】上記の、ゴムを軟化させる作用のある樹脂
の、上層部L1および下層部L3を構成する軟質層2へ
の配合量はとくに限定されず、当該軟質層2の引張破断
伸びEB (A) 〔%〕が所定の値となるように適宜、配合
量を設定すればよいが、たとえば上記クマロン・インデ
ン樹脂の場合は、基材ゴム100重量部に対して20〜
60重量部程度、配合するのが好ましい。
【0032】一方、中間部L2を構成する軟質層2に添
加してもよい、当該軟質層2の剛性を向上させる機能を
有する樹脂としては、前述したようにキシレン樹脂、フ
ェノール樹脂等の、ベンゼン環を多く含む剛性の高い樹
脂等があげられる。このうちキシレン樹脂としては、m
−キシレンとホルムアルデヒドとを、たとえば硫酸等の
鉱酸触媒下で反応させてえられるm−キシレンホルムア
ルデヒド樹脂(XF樹脂、ストレート型キシレン樹脂)
の他、上記m−キシレンホルムアルデヒド樹脂と、フェ
ノール類、カルボン酸類、アミン類、アルコール類また
は芳香族炭化水素類等の、活性水素を有する第3成分と
の後縮合変性物(後縮合変性型キシレン樹脂)を使用し
てもよい。
【0033】上記の、軟質層2の剛性を向上させる機能
を有する樹脂の、中間部L2の軟質層2への配合量につ
いてもとくに限定されず、当該軟質層2の引張破断伸び
B(B) 〔%〕が所定の値となるように適宜、配合量を
設定すればよいが、たとえば上記キシレン樹脂の場合
は、基材ゴム100重量部に対して5〜50重量部程
度、配合するのが好ましい。
【0034】上記以外にも基材ゴムには、たとえば分散
剤、溶剤等を適宜、配合してもよい。この発明の免震構
造体Mを製造するには、まず前述した基材ゴムに上記の
各成分を添加して、たとえば密閉式混練機等を用いて混
練して製造したゴム組成物を、ローラーヘッド押出機等
を用いてシート状に成形し、ついで円板状に打ち抜いた
後、打ち抜いたシートを複数枚、フランジ1、1、およ
び複数枚の硬質層3…とともに、図1に示す順序で積層
して円柱状の積層体とする。なおこの際、各層間には加
硫接着剤を介在させてもよい。
【0035】そして上記の積層体を所定の温度、圧力で
加熱、加圧してやると、未加硫のシートが加硫されて軟
質層2…が形成されるとともに、当該軟質層2…とフラ
ンジ1、1および軟質層2…と硬質層3…とが互いに加
硫接着されて、図1に示す免震構造体Mがえられる。ま
た上記免震構造体Mの中心部に形成された通孔M1は、
上記加硫の際に、2枚のフランジ1、1と、軟質層2…
となるシートと、硬質層3…とを位置決めするためのも
のであり、製造方法によっては省略することもできる。
【0036】また免震構造体は、前記のように建造物の
基礎部分に設けられて、長期間にわたって使用されるた
め、その耐候性を向上し、とくに軟質層2が、酸化劣化
やオゾン劣化等を生じないようにするために、その外周
面を、耐候性にすぐれた被覆層によって被覆してもよ
い。被覆層を構成する耐候性にすぐれた材料としては、
これに限定されないがたとえば、パラメチルスチレン−
イソブチレン共重合体の臭素化物、IIR、EPM等が
あげられる。
【0037】上記被覆層はたとえば、加硫前のシートの
状態で、同じく加硫前の前記積層体の外周に巻きつけた
ものを、前記の加硫と同時に加硫するとともに、フラン
ジ1、1、軟質層2…および硬質層3…と加硫接着する
ことで形成される。
【0038】
【実施例】以下にこの発明を、参考例、実施例、比較例
に基づいて説明する。 参考例1 NR〔SMR CV60〕65重量部と、IR〔シェル
化学(株)製のカリフレックスIR309〕35重量部
とを基材ゴムとし、この基材ゴム100重量部に、クマ
ロン・インデン樹脂〔新日鉄化学(株)製のエスクロン
G90〕48重量部と、下記の各成分とを配合し、密閉
式混練機で混練してゴム組成物(A) を作製した。
【0039】 (成 分) (配合量) ・補強剤 カーボンブラックLS−ISAF 50重量部 〔三菱化学(株)製のダイヤプラックL1〕 ・軟化剤 アロマオイル 10重量部 〔ジャパンエナジー(株)製のJOMOX100E〕 ・老化防止剤 2−メルカプトベンゾイミダゾール 2重量部 〔大内新興化学(株)製のノクラックMB〕 ・加硫剤 粉末硫黄〔鶴見化学(株)製〕 0.9重量部 ・加硫促進剤 N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンア
ミド 〔大内新興化学(株)製のノクセラーNS〕1.7重量
部 テトラメチルチウラムジスルフィド 0.9重量部 〔大内新興化学(株)製のノクセラーTBT−n〕 ・加硫遅延剤 サントガードPVI 0.3重量部 〔モンサント(株)製〕 ・加硫促進助剤 亜鉛華〔東邦亜鉛(株)製の銀嶺R〕3重量部 ステアリン酸〔日本油脂(株)製の桐〕1重量部 つぎに、上記ゴム組成物(A) をローラーヘッド押出機に
より、幅300mm、厚み2.2mmのシート状に成形
したのち打ち抜いて、外径180mmでかつその中心部
に内径20mmの通孔を有する、上層部および下層部用
の円板状のシート(A) を製造した。
【0040】参考例2 クマロン・インデン樹脂を配合しなかったこと以外は参
考例1と同様にしてゴム組成物(B) を作製し、このゴム
組成物(B) から、参考例1と同様にして、同寸法の、中
間部用の円板状のシート(B) を製造した。 引張破断伸びの測定 上記参考例1、2で作製したゴム組成物(A)(B)を厚み2
mmのシート状に押出成形し、プレス加硫して、2mm
厚の加硫シートを作製した。そして上記の加硫シートを
打ち抜いて、JIS K6301「加硫ゴム物理試験方
法」に規定されたダンベル状1号形の試験片を作製し、
この試験片の引張破断伸びを、引張速度500mm/
分、雰囲気温度20℃の条件下、万能型引張試験機を用
いて測定したところ、ゴム組成物(A) から形成された加
硫シートの引張破断伸びEB (A) =890%、ゴム組成
物(B) から形成された加硫シートの引張破断伸びE
B (B) =770%であった。
【0041】実施例1 上記参考例2で製造した中間部用のシート(B) 23枚
を、当該シートと同じく外径180mmで、かつその中
心部に内径21mmの通孔を有する、厚み1mmの円板
状の鋼板からなる24枚の硬質層と交互に積層し、かつ
その上下に、参考例1で製造した上層部および下層部用
のシート(A) を1枚ずつ積層するととに、さらにその上
下に、外径180mmでかつその中心部に内径21mm
の通孔を有する、厚み19.8mmの鋼板製のフランジ
を1枚ずつ重ね合わせた状態で、油圧プレスで圧着し
た。
【0042】つぎに上記積層体を専用の金型に仕込み、
油圧プレスで加圧しつつ加熱して加硫させて、図1に示
す形状を有し、全体の厚みが108.6mm、外径が1
80mm、通孔M1の内径が21mm、フランジ1、1
間の距離が69mm、各軟質層2の厚みが1.8mm
で、かつ2次形状係数(=軟質層の外径/軟質層の総厚
み)が4.0であるとともに、上下の取付けフランジ
1、1と接する最上層および最下層の1層ずつの軟質層
2、2にて上層部L1および下層部L3が構成され、そ
の間の23層の軟質層2にて中間部L2が構成された、
免震構造体のモデルを製造した。
【0043】なお加硫条件は、加硫圧200kgf/c
2 、加硫温度×時間:120℃×10分→130℃×
10分→140℃×10分→150℃×120分とし
た。 実施例2 上下の取付けフランジ1、1と接する最上層および最下
層の1層ずつを含む、上下各3層ずつの軟質層2…を、
参考例1で製造したシート(A) にて形成して、上層部L
1および下層部L3を構成するとともに、その間の19
層の軟質層2…を、参考例2で製造したシート(B) にて
形成して中間層L2を構成したこと以外は実施例1と同
様にして、同寸法の免震構造体のモデルを製造した。
【0044】比較例1 上下の取付けフランジ1、1間の25層の軟質層2…を
全て、参考例2で製造したシート(B) にて形成したこと
以外は実施例1と同様にして、同寸法の免震構造体のモ
デルを製造した。 比較例2 上下の取付けフランジ1、1間の25層の軟質層2…を
全て、参考例1で製造したシート(A) にて形成したこと
以外は実施例1と同様にして、同寸法の免震構造体のモ
デルを製造した。
【0045】上記各実施例、比較例で製造した免震構造
体のモデルについて、以下の試験を行って、その特性を
評価した。 せん断破壊試験 雰囲気温度20℃の条件下、各実施例、比較例で製造し
た免震構造体Mのモデルの、上下の取付けフランジ1、
1間に、図2(a) に黒矢印で示すように鉛直方向の荷重
〔80kgf/cm2 〕をかけつつ、上側の取付けフラ
ンジ1を、図中白矢印で示すように水平方向に、変位速
度20mm/分で変位させて、軟質層をせん断変形させ
た。
【0046】そして軟質層にはく離破断が発生した時点
での伸びD(%)を破断時伸びとして記録した。なお伸
びD(%)は、上側のフランジ1の水平方向の変位量d
〔mm〕と、軟質層の総厚みt〔この場合は1.8mm
×25枚=45mm〕とから、下記式(v) : D(%)=d/t×100 (v) により求めた。
【0047】大変形繰り返し疲労試験 雰囲気温度20℃の条件下、各実施例、比較例で製造し
た免震構造体Mのモデルの、上下の取付けフランジ1、
1間に、図2(b) に黒矢印で示すように鉛直方向の荷重
〔80kgf/cm2 〕をかけつつ、上側の取付けフラ
ンジ1を、図中白矢印で示すように水平方向に、前記式
(v) により求められる伸びDが200%となるように、
周波数0.5Hzで繰り返し水平変位させた。そして、
軟質層の外面を目視にて観察して、当該軟質層にき裂が
発生するまでに要した水平変位の繰り返し回数を記録し
た。なお上記の繰り返し変位に際しては、軟質層の発熱
を抑えて、当該軟質層の温度を30℃以下に保持すべ
く、50回ごとに1時間の休止期間を設定した。
【0048】鉛直ばね定数の測定 雰囲気温度20℃の条件下、各実施例、比較例で製造し
た免震構造体Mのモデルの、上下の取付けフランジ1、
1間に加える鉛直方向の荷重を、90秒間かけて、0k
gf/cm2 から60kgf/cm2 まで増加させ、つ
いで90秒間かけて0kgf/cm2 に戻す操作を1サ
イクルとして、3サイクル繰り返した。そして3サイク
ル目の、荷重が増大する過程のうち荷重が10kgf/
cm2 および50kgf/cm2 の時点での全体鉛直荷
重F10(tf)、F50(tf)と、上記両時点での、上
下のフランジ間の寸法の、平常時からの減少量で表され
る鉛直方向の変位量χ10(cm)、χ50(cm)とか
ら、下記式(vi): K=(F50−F10)/(χ50−χ10) (vi) により、鉛直ばね定数K〔tf/cm〕を求めた。なお
全体鉛直荷重とは、上記荷重に取付けフランジ1の面積
を乗じて求められる、免震構造体の全体にかかる荷重の
ことである。
【0049】以上の結果を、表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】表1より、引張破断伸びEB (A) の大きい
軟質層を上層部および下層部に配置するとともに、それ
よりも引張破断伸びEB (B) の小さい軟質層を上記の間
の中間部に配置した実施例1、2の免震構造体のモデル
はいずれも、上記引張破断伸びEB (B) の小さい軟質層
のみを用いた比較例1の免震構造体のモデルに比べて、
破断時伸びが大きく、かつき裂が発生するまでに要した
水平変位の繰り返し回数が多いことから、耐破壊特性に
すぐれていることが確認された。
【0052】また、上記実施例1、2の免震構造体のモ
デルはいずれも、引張破断伸びEB(A) の大きい軟質層
のみを用いた比較例2の免震構造体のモデルに比べて、
鉛直ばね定数が大きいことから、耐荷重性にすぐれるこ
とも確認された。
【0053】
【発明の効果】以上、詳述したようにこの発明によれ
ば、耐破壊特性と耐荷重性という相反する特性をともに
満足しうる、新規な免震構造体を提供できるという、特
有の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の免震構造体の、実施の形態の一例を
示す部分切り欠き斜視図である。
【図2】同図(a) は、この発明の実施例、比較例で作製
した免震構造体のモデルに対して行ったせん断破壊試験
の方法を説明する図、同図(b) は、大変形繰り返し疲労
試験の方法を説明する図である。
【符号の説明】
M 免震構造体 1 取付けフランジ 2 軟質層 3 硬質層 L1 上層部 L2 中間部 L3 下層部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上下一対の取付けフランジ間に、ゴム弾性
    を有する軟質層と剛性を有する硬質層とを複数層ずつ交
    互に積層した免震構造体であって、上下の取付けフラン
    ジに近い上層部および下層部の軟質層の引張破断伸びE
    B (A) 〔%〕と、上記の間の中間部の軟質層の引張破断
    伸びEB (B) 〔%〕とが、式(i) : EB (A) 〔%〕−EB (B) 〔%〕>0 (i) を満足することを特徴とする免震構造体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006241918A (ja) * 2005-03-07 2006-09-14 Goto Ikueikai 座屈安定性に優れた積層ゴム支承
JP2018054109A (ja) * 2016-09-30 2018-04-05 昭和電線ケーブルシステム株式会社 復元ゴム及びこの取付構造

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JP4738846B2 (ja) * 2005-03-07 2011-08-03 学校法人五島育英会 座屈安定性に優れた積層ゴム支承
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