JP2000145857A - 積層ゴム支承 - Google Patents

積層ゴム支承

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JP2000145857A
JP2000145857A JP32371198A JP32371198A JP2000145857A JP 2000145857 A JP2000145857 A JP 2000145857A JP 32371198 A JP32371198 A JP 32371198A JP 32371198 A JP32371198 A JP 32371198A JP 2000145857 A JP2000145857 A JP 2000145857A
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rubber
laminated
center hole
elastic plate
elastic
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JP32371198A
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English (en)
Inventor
Toshiaki Sakaki
俊明 榊
Takaaki Ishida
孝明 石田
Tetsuro Mizoguchi
哲朗 溝口
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 面圧依存性、歪依存性およびクリープ性能を
向上する。 【解決手段】 硬質板2とゴム弾性板3とが交互に積層
されかつ中心孔4を有する積層基体5と、前記中心孔4
に充填される粘弾性の充填部材6とを具える。ゴム弾性
板3は、20゜Cにおけるヒステリシスロスが20%以
下の低減衰ゴムからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばビルや橋梁
等の構造物の基礎部分に設けられ、地震時に加わる振動
の加速度を低減させる積層ゴム支承に関する。
【0002】
【従来の技術】地震時に、ビルや橋梁等の構造物に加わ
る振動の加速度を低減する免震装置として、例えば、図
6に示すように、鋼板などの硬質板aとゴム状弾性板b
とを交互に積層しかつ接着した積層ゴム支承cが知られ
ている。
【0003】このものは、前記ゴム状弾性板bによって
水平方向に軟らかいバネ性を有するため水平方向の周期
が長く、地震時の水平方向の応答加速度を低減するのに
有効である。逆に、鉛直荷重に対しては、それと直角に
広がろうとするのを前記硬質板aが拘束するため剛性
(鉛直剛性)が高く、構造物の重量を長期間支える特性
も備えている。
【0004】しかし、地震時に作用する荷重は、構造物
のロッキングなどにより鉛直方向にも大きく変動する場
合が多く、従って、積層ゴム支承cでは、安定した免震
効果を発揮させるために、鉛直方向の面圧が変わっても
水平バネ定数の変化が小さい、すなわち面圧依存性が小
さいこと、および水平方向への変位量が変わっても水平
バネ定数の変化が小さい、すなわち歪依存性が小さいこ
とが極めて重要である。
【0005】他方、前記積層ゴム支承cでは、加硫成形
におけるゴムの加硫によって、前記硬質板aとゴム状弾
性板bとが接着して一体化するが、この積層ゴム支承c
は、一般に、サイズが直径600〜1500mmと大型
であるため、加硫時間がかかり、又中心側の温度上昇が
遅くなるなど温度分布も不均一となりやすい。従って積
層ゴム支承cには、通常、中心側からの加熱を行うため
に中心孔eが形成されており、この中心孔eは、又、積
層工程から加硫工程に至る各製造段階における硬質板a
の位置決め、および積層体の移動、運搬のためにも不可
欠となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この中
心孔eは、面圧依存性および歪依存性の低下、並びにク
リープ量の増加の主原因の一つであることが、近年の研
究の結果判明した。
【0007】これは以下の如き、理由によって発生する
と推測される。すなわち、積層ゴム支承cが圧縮荷重を
受けたとき、外周側では自由表面積が大きいため、ゴム
がはらみ出しやすくその分の応力が緩和されるが、圧縮
荷重全体との釣り合いを保つために、内周側では荷重の
負担が増し、従って、圧縮の応力分布は、図7に誇張し
て示すように、内周側の方が外周側よりも高くなる。実
際には、内周側でも自由表面積の存在によりゴムのはら
み出しが発生するため、内周と外周との間かつ内周より
に圧縮応力のピークpが発生する。
【0008】このように、中心孔eの形成は、荷重支持
面積を減ずるだけでなく、応力分布の不均一化および応
力のピーク値の増加を招き、さらには内周側でのゴムの
はらみ出しと相俟って水平方向への円滑な動きを阻害
し、その結果、面圧依存性および歪依存性を大きく低下
させると考えられる。
【0009】又クリープに関しては、ゴム中のアセトン
可溶分の拡散現象によって起こると考えられるが、前記
中心孔eの形成により、前記ピークpから内周側および
外周側に向かって圧力勾配f1、f2が生じ、これが駆
動力となって拡散現象が発生する。特に内周側に向く圧
力勾配f1は、圧力勾配f2よりも急勾配であるため拡
散現象への寄与が大であり、クリープ量の増加により大
きな影響を与えることとなる。
【0010】そこで本発明は、中心孔に粘弾性の充填部
材を充填することを基本として、応力分布の均一化およ
びピーク値の減少を図るとともに内周側からのゴムのは
らみ出しを抑制でき、面圧依存性および歪依存性を改善
し、かつクリープ量の低減を達成しうる積層ゴム支承の
提供を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本願請求項1の積層ゴム支承の発明は、複数の硬質
板とゴム弾性板とが交互に積層されかつ中央にこの積層
を貫通する中心孔が配される免震用の積層基体と、前記
中心孔に充填される粘弾性の充填部材とを具え、前記ゴ
ム弾性板は、20゜Cにおけるヒステリシスロスが20
%以下の低減衰ゴムから形成されることを特徴としてい
る。
【0012】又請求項2の発明では、前記中心孔は、そ
の直径dが前記積層基体の直径Dの1〜3%であること
を特徴としている。
【0013】又請求項3の発明では、前記充填部材は、
炭素又はケイ素を主構成元素とする高分子材料であるこ
とを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
示例とともに説明する。図1において、本願の積層ゴム
支承1は、複数の硬質板2とゴム状弾性板3とが交互に
積層されかつ中央にこの積層を貫通する中心孔4を設け
た積層基体5と、前記中心孔4に充填される粘弾性の充
填部材6とを具えている。
【0015】この積層ゴム支承1は、従来と同様に、前
記積層基体5の上下にボルト連結される固定板(図示せ
ず)を介して、建築物およびその基礎である上下の構造
体(図示せず)間に固定され、建築物の水平方向の振動
を免震する。なお本例では、積層ゴム支承1は、水平方
向の種々な向きの揺れにも対応できるように、円柱形状
すなわち横断面の輪郭形状が方向性のない円形形状とし
た場合が例示されているが、要求により四角形、五角形
等の多角形状で形成することもできる。
【0016】又前記積層基体5の硬質板2は、高剛性を
有する例えば鋼板などの金属製板体からなり、中央に前
記中心孔4をなす孔部を穿設した円板状に形成される。
なお、前記積層基体5の最上段及び最下段に配される上
下の硬質板2U、2Lは、他の硬質板2Mに比して厚さ
が大な厚肉板体からなり、その上面および下面には、前
記固定板(図示せず)をボルト連結するための複数のネ
ジ穴7が形成されている。
【0017】又前記ゴム状弾性板3は、前記硬質板2と
略同形状をなし、その厚さt1(図2に示す)は、前記
硬質板3の厚さt2よりも大な1.0〜8.0mm程度
に設定している。このゴム状弾性板4には、ゴム状弾性
を有する種々の材料が使用できるが、熱的に形状が安定
していること、および復元力が大きいことから、例えば
天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン
−ブタジエン共重合ゴムなどのジエン系ゴムが好適であ
り、特に、ヒステリシスロス、温度依存性、強度、加工
性、コストなどの面で天然ゴムおよびイソプレンゴムが
望ましい。
【0018】又本例では、前記積層基体5には、その外
周を、前記上下の硬質板2U、2Lを残して被覆する外
皮ゴム層9が配される。この外皮ゴム層9は、長期に亘
って使用される積層ゴム支承1の耐候性を向上し、特に
ゴム状弾性板3が酸化やオゾン劣化などを生じないよう
にするためのものである。従って、前記ゴム状弾性板3
と同じゴムにて形成しても良いが、特に耐候性に優れ
る、例えばクロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化
ブチルゴム、EPM、EPDMを用いることが好まし
い。
【0019】これら硬質板2と、ゴム状弾性板3及び外
皮ゴム層9とはゴムの加硫接着によって一体結合してい
る。
【0020】又前記積層基体5に設ける中心孔4は、こ
の積層基体5と同心にのびる円形孔であり、従来と同様
に、加硫成型時に熱媒を挿入して中心側からの加熱を行
うとともに、積層工程から加硫工程に至る各製造段階に
おける硬質板2およびゴム状弾性板3の位置決め、およ
び積層体の移動、運搬を行うために形成している。
【0021】そして、本発明では、この中心孔4による
面圧依存性、歪依存性およびクリープへの影響をできる
だけ減じるために、前記中心孔4に粘弾性の充填部材6
を充填するとともに、前記ゴム状弾性板3を、20゜C
におけるヒステリシスロスが20%以下の低減衰ゴムで
形成している。
【0022】このような充填部材6は、積層ゴム支承1
が圧縮荷重を受ける際、前記ゴム弾性板3が内径側には
らみ出すのを効果的に抑制できる。従って、このはらみ
出に原因した水平移動への抵抗が減じられるとともに、
応力分布の均一化が図られ、かつ応力のピーク値が低減
される。
【0023】その結果、水平バネ定数の面圧依存性およ
び歪依存性を向上できる。さらに前記応力分布の均一
化、及び応力のピーク値の低減は、圧力勾配を緩傾斜せ
しめるため、ゴム中のアセトン抽出物(可溶分)の拡散
現象を抑制でき、クリープ性能の向上も達成しうる。
【0024】又本例では、前記効果をさらに高めるため
に、従来にあっては前記積層基体5の直径Dの5%程度
であった中心孔4の直径dを、1〜3%の範囲まで減じ
ている。これにより、前記ゴム弾性板3の内周側での表
面積が小さくなるため、そのはらみ出しが一段と抑制さ
れ、充填部材6との相乗作用によって、面圧依存性、歪
依存性、及びクリープ性能の向上効果がさらに高められ
る。前記直径の比d/Dが1%未満では、中心孔4から
の加熱が非常に困難になり、逆に3%を超えると、面圧
依存性の向上効果が不充分となる。
【0025】なお前記積層基体5の直径Dとは、本願で
は、荷重支持面をなす上下の硬質板2U、2Lの直径と
して定義する。
【0026】ここで、前記充填部材6には、炭素を主構
成元素とする炭素系の高分子材料およびケイ素を主構成
元素とするケイ素系の高分子材料が使用できる。
【0027】詳しくは、前記炭素系の高分子材料とし
て、ジエン系或いは非ジエン系ゴムである、例えば、天
然ゴム、イソプレンゴム、スチレンーブタジエンゴム、
アクリロニトリルーブタジエンゴム、ブチルゴム、EP
M、EPDM、フッ素ゴム、アクリルゴム、クロロプレ
ンゴム、ウレタンゴム、塩素化ポリエチレン、クロロス
ルフォン化ポリエチレンなど、或いは熱可塑性ポリマー
である、例えば、スチレンーイソプレンブロック共重合
体、スチレンーイソプレンースチレントリブロック共重
合体、スチレンーブタジエンブロック共重合体、スチレ
ンーブタジエンーステレントリブロック共重合体、これ
らの水素添加物、軟質PVC、オレフィン系エラストマ
ーなどが使用できる。またケイ素系の高分子材料とし
て、シリコンゴムが使用できる。
【0028】次に、前記中心孔4は、前述の如く、加硫
成型時の中心側からの加熱のために用いられるため、前
記充填部材6の充填は、積層基体5の加硫成形後に行う
ことが不可欠である。そのために、充填方法としては、
以下の(1)〜(3)のものが採用される。 (1) 常温で液状をなす充填部材6を流し込み、これを
硬化剤によって粘弾性状に硬化させる方法: (2) 粘弾性状の充填部材6を一旦加熱によって軟化或
いは溶融させ、これを流し込んだ後に冷却させる方法: (3) 充填部材6を粘弾性状のまま充填する方法:
【0029】この中で、前記(1)の方法には、室温硬化
型の液状ゴムとして知られる前記ウレタンゴム、及びシ
リコンゴムが好適に使用できる。又前記(2)の方法に
は、前記熱可塑性ポリマーが好適に使用できる。又前記
(3)の方法には、未加硫の前記ジエン系及び非ジエン系
のゴムが好適に使用できる。なお加硫済のジエン系及び
非ジエン系のゴムを、圧入することも可能ではあるが、
充填が難しくしかも中心孔4内に隙間ができやすくなる
など好ましくない。なお前記充填には、例えばエクスト
ルーダーガン、押出機、プレス機などが好適に使用でき
る。
【0030】なお前記充填部材6においては、低分子成
分を多量に含む材料は、この低分子成分が前記ゴム状弾
性板3に移行して免震性能を悪化させる恐れがあるた
め、好ましくない。ただしゴム状弾性板3と親和性のほ
とんどない(浸透しない)低分子成分は問題ない。又充
填部材6としては、前記ゴム状弾性板3と略同組成の材
料が使用可能であるが、この中心孔4の容積が全体の体
積に対して十分小さいので、特にヒステリシスロスを考
慮する必要はない。
【0031】次に、本発明においては、前記クリープ量
の低減効果を充分に確保するために、前述の如く、20
゜Cにおけるヒステリシスロスが20%以下の低減衰ゴ
ムで前記ゴム状弾性板3を形成している。なお充分な低
減効果とは、60年後の推定クリープ量が8%以下とな
ることを意図している。
【0032】ここで、積層ゴム支承の減衰特性の尺度と
しては、通常、損失正接(tan δ)が用いられる。しか
しこの損失正接は、微小振幅に対する応答遅れとして測
定される量であり、最大振幅が300〜400%近くに
も達する積層ゴム支承においては、むしろ減衰性を、静
的なヒステリシスロスで捉えることが好ましく、又この
ヒステリシスロスを用いることにより、クリープ性能と
の相関関係が明確となった。
【0033】なお、前記ヒステリシスロスは、図3に示
す如く、単純伸張0〜100%の範囲の応力−歪み曲線
において、変形過程Y1で加えられたエネルギー(面積
X1)と回復過程Y2で失った損失エネルギー(面積X
2)との比X2/X1を意味する。
【0034】このヒステリシスロスが20%以下の低減
衰ゴムを用いることによって、表1に示す如く、クリー
プ性能が大巾に改善されるのが確認できる。なお表1
は、前記直径比d/Dが2.5%の中心孔4を有しかつ
充填部材6が充填されていない場合の積層ゴム支承を用
い、ゴム弾性板3のヒステリシスロスが15%、20
%、23%と変化したときのクリープへの影響を、ヒス
テリシスロスが20%の時を100とした指数で示した
ものである。なお表1中、KH(50)、KH(15
0)、KH(250)は、圧縮荷重を荷重支持面積で除
した面圧が夫々50、150、250kgf/cm2 とし
て、水平方向の歪を300%与えた時に、歪±100%
の点を結んだ傾きから計算される水平剛性である。すな
わち、前記KHは、図4(A)に示すように、積層ゴム
支承1の荷重−歪曲線における歪±100%の点を結ん
だ線分A1、A2の傾きの平均値であり、いわゆる接線
剛性を意味する。なお図4(B)に示すように、水平方
向の歪を100%与えた時の歪±100%の点を結んだ
線分Bの傾きを、水平剛性Kh(表3で用いる)で示
す。従って、例えばKH(50)/KH(150)は、
面圧が150から50kgf/cm2 に変化したときの水
平剛性の変化の割合を意味し、1.00に近いほど面圧
依存性は優れている。
【0035】
【表1】
【0036】表1に示す如く、ヒステリシスロスが20
%を超えても、面圧依存性はさほど悪化しないが、クリ
ープ性能が大巾に低下するのが確認できる。
【0037】なお前記減衰ゴムを得るためには、前述の
如くヒステリシスロスが小さい天然ゴム及びイソプレン
ゴムを用いるのが好適であり、又加硫剤、加硫促進剤、
加硫促進助剤、加硫遅延剤、老化防止剤、補強剤、軟化
剤、可塑剤、粘着付与剤等を下記の如く使用するのが良
い。
【0038】加硫剤としては、硫黄が基材ゴム100重
量部に対して0.5〜7.0重量部配合することが好ま
しい。0.5重量部未満では、ゴム弾性板での架橋点密
度が低下して、ゴム弾性板の弾性率や強度が不充分とな
り、積層ゴム支承1の耐破壊特性が実用レベル以下とな
ってしまう恐れがある。逆に7.0重量部を超えると、
過剰の硫黄が所謂ブルームを生じさせる恐れがある。従
って、好ましくは1.0〜6.0重量部の範囲である。
【0039】加硫促進剤としては、例えばテトラメチル
チウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスル
フィド等のチウラム系加硫促進剤; ジブチルジチオカ
ーバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカーバミン酸亜鉛、ジ
メチルジチオカーバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオ
カーバミン酸テルル等のジチオカーバミン酸類; 2-メ
ルカプトベンゾチアゾール、N-シクロへキシル-2- ベン
ゾチアゾールスルフェンアミド等のチアゾール類; ト
リメチルチオ尿素、N 、 N'- ジエチルチオ尿素等のチオ
ウレア類などの有機促進剤や、あるいは消石灰、酸化マ
グネシウム、酸化チタン、リサージ(PbO )等の無機促
進剤があげられる。
【0040】加硫促進助剤としては、例えば亜鉛華など
の金属酸化物や、或いはステアリン酸、オレイン酸、綿
実脂肪酸等の脂肪酸などがあげられる。
【0041】加硫遅延剤としては、例えばサリチル酸、
無水フタル酸、安息香酸等の芳香族有機酸; N-ニトロ
ソジフェニルアミン、N-ニトロソ-2,2,4- トリメチル-
1,2-ジハイドロキノン、N-ニトロソフェニル- β- ナフ
チルアミン等のニトロソ化合物などがあげられる。
【0042】これら加硫促進剤、加硫促進助剤、及び加
硫遅延剤は、加硫剤を加えた合計配合量が、基材ゴム1
00重量部に対して2〜20重量部程度であるのが好ま
しい。
【0043】老化防止剤としては、例えば2-メルカプト
ベンゾイミタゾール等のイミダゾール類; フェニル-
α- ナフチルアミン、N 、 N'- ジ- β- ナフチル-P- フ
ェニレンジアミン、N-フェニル-N'-イソプロピル−P-フ
ェニレンジアミン等のアミン類; ジ-t- ブチル-P- ク
レゾール、スチレン化フェノール等のフェノール類など
があげられる。この老化防止剤の配合量は、基材ゴム10
0 重量部に対して1〜10重量部程度が好ましい。
【0044】補強剤としては、ISAF、HAF、GP
F、FEF、SRFなどの各種のカーボンブラックが使
用できるが、基材ゴム100重量部に対して10〜30
重量部程度に止めることが必要である。なおシリカは、
ヒステリシスロスを大きくするため好ましくないが、も
し使用する場合には、カーボンブラックよりも配合量を
減じるとともに、カップリング剤を併用する。
【0045】軟化剤としては、例えば脂肪酸(ステアリ
ン酸、ラウリン酸等)、綿実油、トール抽、アスファル
ト物質、パラフィンワックス等の植物油系、鉱物油系、
および合成系の各種軟化剤があげられる。この軟化剤の
配合量は、基材ゴム100重量部に対して30重量部以
下で要求により使用する。
【0046】可塑剤としては、例えばジブチルフタレー
ト、ジオクチルフタレート、トリクレジルフォスフェー
ト等の各種可塑剤があげられる。この可塑剤は、基材ゴ
ム100重量部に対して20重量部以下で要求により使
用する。
【0047】粘着性付与剤としては、たとえばクマロン
・インデン樹脂、芳香族系樹脂、芳香族・脂肪族混合系
樹脂、ロジン系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂等があ
げられる。しかし、粘着性付与剤は軟化剤としても働く
が、種類や量によっては、ヒステリシスロスに影響を与
え、特にクマロン・インデン樹脂は、ヒステリシスロス
が大きくなるため多く使用することは好ましくない。従
って、ヒステリシスロスに影響を与えない例えば脂肪族
系炭化水素樹脂や脂肪族系環状炭化水素樹脂などの樹脂
を用い、基材ゴム100重量部に対して20重量部以下
で要求により使用する。
【0048】なおヒステリシスロスの下限値は、必要な
ゴム物性を発揮するためには、5%以上とすることが必
要であり、通常8%以上に設定される。
【0049】また本例では、積層ゴム支承1の面圧依存
性および歪依存性をさらに向上するために、前記図2に
示すように、上下の硬質板2U、2Lの直径Dと、前記
ゴム弾性板3の直径D1との差(D−D1)を、前記ゴ
ム弾性板3の厚さt1の8倍以上に設定している。言い
換えると、前記ゴム弾性板3の外端縁3Eから硬質板2
U、2Lの外端縁2Eまでの半径方向の距離Lを、厚さ
t1の4倍以上に設定している。
【0050】これは、前記積層ゴム支承1に、大きな鉛
直荷重が作用し、かつ大きい水平方向の剪断歪みが加え
られたとき、もし従来と同様に距離L=0の場合には、
図5(A)に一点鎖線で誇張して示すように、前記上下
の硬質板2U、2Lから水平方向外側に突出する部分1
0に曲げ応力が集中し、特に硬質板2U、2Lに隣接す
る硬質板2Mに曲げ変形が起こりやすくなる。その結
果、積層ゴム支承1の耐座屈性、耐破断性を低下させる
とともに、水平移動する際の大きな障害となり、面圧依
存性および歪依存性を損る。
【0051】そこで、本例の如く、距離Lを隔てること
により、図5(B)に誇張して示すように、硬質板2
U、2Lの突出部分11が、前記硬質板2Mが曲げ変形
しようとするのを押さえ込んで阻止することができる。
又、図5(A)の如く、従来、上下の硬質板2U、2L
から外にはずれたゴム部分Jは、まったく荷重支持の働
きが失われておりかつ破断を促進させる原因にもなる。
しかし、図5(B)の本例では、このゴム部分Jにも荷
重支持の働きが生じ、又破断を抑制する。これにより、
耐座屈性、耐破断性を高めると同時に、面圧依存性、歪
依存性をさらに向上できる。
【0052】なお、積層ゴム支承では、最大振幅が40
0%にもおよぶ場合が想定されることから、確実な効果
を得るためには、前記距離Lを厚さt1の4倍以上とす
ることが必要である。
【0053】なお本例では、前記ゴム弾性板3と中の硬
質板2Mとは実質的に同径であり、又前記外皮ゴム層9
の厚さは、前記距離Lと等しい場合を例示している。
【0054】
【実施例】表2の(A)に示す組成の低減衰ゴムにより
厚さt1=1.6mmのゴム弾性板3を成形し、これと
厚みt2=1.2mmの鋼板からなる硬質板2Mとを交
互に積層して、直径D1=180mm、内径d=4.5
mmの小型の積層基体5を作成した。このとき、上下の
硬質板2U、2Lの厚さは19.5mm、距離Lすなわ
ち外皮ゴム層9の厚さは5mm、一次形状係数S1=3
4.6、二次形状係数S2=4.95である。
【0055】又前記積層基体5の中心孔4内に、表2の
(B)に示す組成の未加硫の充填部材6を、前記(3) の
方法にて充填し、実施例1の積層ゴム支承を試作した。
【0056】次に、比較例1として、内径d=10m
m、かつ充填部材6がない以外は実施例1と同構成の積
層ゴム支承を試作した。
【0057】
【表2】
【0058】これら実施例1および比較例1の面圧依存
性、およびクリープ性能を測定し、その結果を表3に示
した。
【0059】(1)面圧依存性テスト:鉛直方向および
水平方向に荷重負荷又は変位負荷可能な2軸試験器を用
い、試供品に、50、150、250kgf/cm2 の面圧
を夫々作用させた状態において、総ゴム層厚さに対して
100%、200%、300%の水平方向歪みを周波数
0.3Hzで負荷し、その時の水平剛性Kh,KHを測
定した。
【0060】(2)クリープ性能テスト:温度60゜C
において圧縮荷重を負荷し、面圧150kgf/cm2 を作
用させ、その時の積層ゴム支承高さの経時変化を測定し
た。具体的には、載荷1分後の高さを基準高さとし、そ
こから60000分経過後の沈み込み量(変化量)を前
記基準高さで除した値を100倍したものをクリープ率
とした(表1のクリープ率も同様の測定方法を用いてい
る)。評価は実施例1のクリープ率を100とした指数
で示し、数値が大なほどクリープ性能に劣っている。
【0061】
【表3】
【0062】
【発明の効果】本発明は叙上の如く構成しているため、
応力分布の均一化およびピーク値の減少を図るとともに
内周側からのゴムのはらみ出しを抑制でき、面圧依存
性、歪依存性およびクリープ性能を向上することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の積層ゴム支承の斜視図であ
る。
【図2】その一部を拡大して示す断面図である。
【図3】ヒステリシスロスを説明する応力−歪み曲線で
ある。
【図4】(A)、(B)は水平剛性を説明する線図であ
る。
【図5】(A)、(B)は、実施例の作用効果の一つを
説明する断面図である。
【図6】従来技術の一例を示す断面図である。
【図7】従来品に作用する圧縮の応力分布を示す線図で
ある。
【符号の説明】
2、2U、2L、2M 硬質板 3 ゴム弾性板 4 中心孔 5 積層基体 6 充填部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J048 AA01 BB03 BD04 BD05 DA01 EA38 3J059 AB12 BA43 BA54 BC01 BC07 BC19 BD01 DA20 GA42

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の硬質板とゴム弾性板とが交互に積層
    されかつ中央にこの積層を貫通する中心孔が配される免
    震用の積層基体と、前記中心孔に充填される粘弾性の充
    填部材とを具え、 前記ゴム弾性板は、20゜Cにおけるヒステリシスロス
    が20%以下の低減衰ゴムから形成されることを特徴と
    する積層ゴム支承。
  2. 【請求項2】前記中心孔は、その直径dが前記積層基体
    の直径Dの1〜3%であることを特徴とする請求項1記
    載の積層ゴム支承。
  3. 【請求項3】前記充填部材は、炭素又はケイ素を主構成
    元素とする高分子材料であることを特徴とする請求項1
    又は2記載の積層ゴム支承。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013002509A (ja) * 2011-06-14 2013-01-07 Swcc Showa Device Technology Co Ltd 積層ゴム支承体
JP2013044416A (ja) * 2011-08-25 2013-03-04 Swcc Showa Device Technology Co Ltd 積層ゴム支承体
CN104179118A (zh) * 2014-08-20 2014-12-03 重庆邮电大学 抗冲隔振型桥墩磁流变支座-阻尼器的设计方法及装置
JP2016028208A (ja) * 2014-07-10 2016-02-25 昭和電線デバイステクノロジー株式会社 積層ゴム支承体

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