JP5869863B2 - 免震構造体のプラグ用組成物、免震構造体用プラグおよび免震構造体 - Google Patents

免震構造体のプラグ用組成物、免震構造体用プラグおよび免震構造体 Download PDF

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本発明は、免震装置の支承等として使用される免震構造体のプラグ用組成物、および、該プラグ用組成物を用いた免震構造体用プラグ、並びに、該免震構造体用プラグを用いた免震構造体に関するものである。具体的には、本発明は、減衰性能を十分に向上させた免震構造体用プラグを提供することが可能なプラグ用組成物、該プラグ用組成物を用いた免震構造体用プラグおよび該免震構造体用プラグを用いた免震構造体に関するものである。
従来、ゴム板等の粘弾性的性質を有する軟質板と、鋼板等の硬質板とを交互に積層した免震構造体が、免震装置の支承等として使用されている。そして、このような免震構造体の中には、例えば、軟質板と硬質板とからなる積層体の中心に中空部を形成し、そして該中空部の内部に、均一組成となるように成形したプラグ(免震構造体用プラグ)を圧入したものがある。
ここで、軟質板と硬質板とからなる積層体に圧入された上記プラグは、地震の発生に伴って積層体がせん断変形する際に塑性変形し、振動エネルギーを吸収する。そして、該プラグとしては、全体が鉛からなる鉛プラグが用いられることが多かった。しかしながら、鉛は、環境負荷が大きく、また廃棄時等に要するコストも大きい。そのため、近年では、鉛の代替材料を用いて、十分な減衰性能、変位追従性等を有するプラグを開発することが試みられている。
具体的には、鉛の代替材料を用いたプラグとして、エラストマー成分を含む高粘性体としてのエラストマー組成物と、鉄粉等の粉体とを含有するプラグ用組成物を加圧成形してなるプラグが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−133481号
ここで、エラストマー組成物と粉体とを含有する粉末状のプラグ用組成物を加圧成形してなる上記従来のプラグは、大変形、即ち、大きな歪みに対しては優れた減衰性能および変位追従性を示す。しかし、本発明者らが検討を進めた結果、上記従来のプラグは、鉛プラグに比べて低歪み領域(例えば、せん断歪みが50%〜100%の領域)における減衰性能が十分ではなく、低歪み領域における減衰性能に改善の余地があることが明らかとなった。
そこで、本発明者らは、エラストマー組成物と粉体とを含有するプラグ用組成物を加圧成形してなるプラグの低歪み領域における減衰性能を向上することを目的として、鋭意検討を行った。そして、本発明者らは、エラストマー組成物および粉体に加え、エラストマー組成物よりもD硬さ(タイプDデュロメータ硬さ)が30以上高い硬質樹脂を含有するプラグ用組成物を免震構造体のプラグに使用することで、低歪み領域における減衰性能に優れたプラグが得られることを見出した。
しかし、エラストマー組成物と、粉体と、硬質樹脂とを含有するプラグ用組成物には、該プラグ用組成物を用いた免震構造体用プラグの減衰性能を全ての歪み領域(低歪み領域および高歪み領域の双方)において更に向上させる余地があるという点において未だに改善の余地があった。
そこで、本発明は、低歪み領域および高歪み領域の双方(例えば、せん断歪みが50%〜250%の領域)における減衰性能を十分に向上させた免震構造体用プラグを提供することが可能なプラグ用組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、全ての歪み領域における減衰性能に優れる免震構造体用プラグおよび該免震構造体用プラグを用いた免震構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者らは、エラストマー組成物と、粉体と、硬質樹脂とを含有するプラグ用組成物において硬質樹脂の平均粒径を所定の範囲内にすることにより、該プラグ用組成物を用いた免震構造体用プラグの減衰性能を全ての歪み領域において十分に向上させ得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の免震構造体のプラグ用組成物は、少なくともエラストマー成分を含むエラストマー組成物と、粉体と、前記エラストマー組成物よりもD硬さが30以上高く、且つ、平均粒径が200μm以下の硬質樹脂とを混合してなり、前記粉体は、金属粉または金属化合物粉であることを特徴とする。このように、エラストマー組成物および粉体に加え、エラストマー組成物よりもD硬さが30以上高い硬質樹脂を配合すれば、低歪み領域における減衰性能に優れた免震構造体用プラグを作製することが可能なプラグ用組成物が得られる。また、硬質樹脂の平均粒径を200μm以下とすれば、低歪み領域および高歪み領域の双方における減衰性能を更に向上させた免震構造体用プラグを作製することが可能なプラグ用組成物が得られる。
なお、本発明において、「D硬さ」とは、JIS K6253に準拠して測定したタイプDデュロメータ硬さを指す。また、本発明において、「平均粒径」とは、JIS Z8825−1に準拠してレーザー回折法で測定した個数基準のメディアン径(中位径)を指す。
ここで、本発明の免震構造体のプラグ用組成物は、前記硬質樹脂の軟化点が150℃以上であることが好ましい。硬質樹脂の軟化点を150℃以上とすれば、プラグ用組成物を用いて作製した免震構造体用プラグの減衰性能の温度依存性を低減することができるからである。
なお、本発明において、「軟化点」は、JIS K7206に準拠して測定することができる。また、本発明において、「硬質樹脂の軟化点」とは、プラグ用組成物が軟化点の異なる複数の硬質樹脂を含む場合には、軟化点が最も低い硬質樹脂の軟化点を指す。
また、本発明の免震構造体のプラグ用組成物は、前記硬質樹脂の形状が不定形であることが好ましい。硬質樹脂の形状を不定形とすれば、プラグ用組成物を用いて作製した免震構造体用プラグの減衰性能を低歪み領域および高歪み領域の双方において更に向上させることができるからである。
なお、本発明において、「不定形」とは、1種類の形状のみではなく、凹凸を有するものや突起を有するものなど、種々の形態を有する形状が混在していることを指す。
更に、本発明の免震構造体のプラグ用組成物は、前記硬質樹脂のD硬さが60〜90であることが好ましい。硬質樹脂のD硬さが60〜90の範囲内であれば、プラグ用組成物を用いて作製した免震構造体用プラグの低歪み領域における減衰性能を大幅に向上させることができるからである。
そして、本発明の免震構造体のプラグ用組成物は、前記硬質樹脂の含有量が、前記エラストマー組成物と、前記粉体と、前記硬質樹脂との合計量の5〜10体積%であることが好ましい。硬質樹脂の含有量が、エラストマー組成物と、粉体と、硬質樹脂との合計量の5体積%以上であれば、プラグ用組成物を用いて作製した免震構造体用プラグの低歪み領域における減衰性能を大幅に向上させることができるからである。また、硬質樹脂の含有量が、エラストマー組成物と、粉体と、硬質樹脂との合計量の10体積%以下であれば、プラグ用組成物を用いて作製した免震構造体用プラグの高歪み領域における減衰性能の低下を抑制することができるからである。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の免震構造体用プラグは、上述した免震構造体のプラグ用組成物の何れかを用いて製造したことを特徴とする。このように、上述したプラグ用組成物を用いれば、低歪み領域および高歪み領域の双方における減衰性能に優れる免震構造体用プラグが得られる。
更に、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の免震構造体は、剛性を有する剛性板と弾性を有する弾性板とが交互に積層されてなり、積層方向に延びる中空部を有する積層体と、該積層体の中空部に圧入されたプラグとを具える免震構造体において、前記プラグが上述した免震構造体用プラグであることを特徴とする。このように、上述した免震構造体用プラグを用いれば、低歪み領域および高歪み領域の双方において優れた減衰性能を発揮し得る免震構造体が得られる。
本発明によれば、低歪み領域および高歪み領域の双方における減衰性能を十分に向上させた免震構造体用プラグを提供することが可能な免震構造体のプラグ用組成物を提供することができる。また、本発明によれば、低歪み領域および高歪み領域の双方における減衰性能に優れる免震構造体用プラグおよび低歪み領域および高歪み領域の双方において優れた減衰性能を発揮する免震構造体を提供することができる。
本発明に従う代表的な免震構造体用プラグを使用した免震構造体の一例の断面図である。 免震構造体用プラグを使用した免震構造体における、水平方向の変位(δ)と水平方向荷重(Q)との関係を示すグラフである。 (a)および(b)は、硬質樹脂の平均粒径の違いが免震構造体用プラグの減衰性能に及ぼす影響を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ここで、本発明に従う免震構造体は、免震装置の支承等として使用される。また、本発明に従う免震構造体用プラグは、上記免震構造体に用いられる。更に、本発明に従う免震構造体のプラグ用組成物は、上記免震構造体用プラグを製造する際に用いられる。
(免震構造体)
ここで、図1に、本発明の免震構造体用プラグを用いた本発明の免震構造体の一例について、免震構造体用プラグの延在方向に沿う断面を示す。
図1に断面を示す免震構造体1は、剛性を有する剛性板2と、粘弾性を有する弾性板3とが交互に積層されてなり、積層方向(鉛直方向)に延びる円筒状の中空部を中心部に有する積層体4と、積層体4の中空部に圧入された円筒状の免震構造体用プラグ5と、積層体4および免震構造体用プラグ5の両端(上端および下端)に固定されたフランジ板6とを備えている。また、免震構造体1の積層体4の外周面は、被覆材7により覆われている。
そして、免震構造体1では、積層体4を構成する剛性板2と弾性板3とは、例えば、加硫接着により、或いは、接着剤により強固に貼り合わされている。なお、加硫接着を用いて積層体4を形成する場合には、剛性板2と未加硫ゴム組成物との積層体を加硫して未加硫ゴム組成物の加硫物を弾性板3とすることにより、弾性板3の成形および剛性板2と弾性板3との加硫接着を同時に行っても良い。ここで、剛性板2としては、鋼板等の金属板、セラミックス板、FRP等の強化プラスチックス板等を用いることができる。一方、弾性板3としては、加硫ゴム製の板等を使用することができる。また、積層体4は、被覆材7で覆われていなくてもよいが、酸素、オゾン、紫外線等による積層体4の劣化を防止する観点からは、積層体4の外周面は被覆材7で覆われていることが好ましい。ここで、被覆材7としては、弾性板3と同一の材料、例えば、加硫ゴム等を使用できる。
なお、この免震構造体1では、振動により水平方向のせん断力を受けた際には、積層体4および免震構造体用プラグ5がせん断変形し、振動のエネルギーを効果的に吸収して、振動を速やかに減衰する。また、免震構造体1では、積層体4が、剛性板2と弾性板3とを交互に積層して構成されているため、積層方向(鉛直方向)に荷重が作用しても、圧縮が抑制されている。
そして、免震構造体1は、以下に詳細に説明する本発明のプラグ用組成物を使用した免震構造体用プラグ5を用いているため、低歪み領域および高歪み領域の双方(例えば、せん断歪みが50%〜250%の領域)において優れた減衰性能を発揮する。
(プラグ用組成物)
以下に、本発明の免震構造体のプラグ用組成物を詳細に説明する。本発明のプラグ用組成物は、少なくともエラストマー成分を含むエラストマー組成物と、粉体と、エラストマー組成物よりもD硬さが30以上高い硬質樹脂とを混合してなり、硬質樹脂の平均粒径が200μm以下であることを特徴とする。
ここで、エラストマー組成物と粉体とを含有し、硬質樹脂を含有しない従来のプラグ用組成物においては、粉体を配合することにより、プラグ用組成物を用いて成形した免震構造体用プラグ(以下、単に「プラグ」と称することがある。)の減衰性能を高めていた。しかし、本発明のプラグ用組成物では、エラストマー組成物の一部を硬質樹脂で置き換えることで、エラストマー組成物と硬質樹脂との硬度差に相当する分だけ応力を高めている。そのため、このプラグ用組成物によれば、特に、成形したプラグの低歪み領域における減衰性能(特には、荷重−歪ヒステリシス曲線における切片荷重Qdや、切片応力τd)を向上させることができるものと考えられる。なお、プラグ用組成物に配合する粉体(例えば、鉄粉)の量を増やすことによってもプラグの減衰性能を向上させることができる。しかし、粉体の量を増やすと、作業性が悪化したり、プラグの周りに位置する弾性板(例えば、ゴム板)を傷めたりする恐れがある。そのため、本発明のプラグ用組成物では、上記のとおり、エラストマー組成物よりもD硬さが30以上高い硬質樹脂を配合することで、減衰性能、特には、低歪み領域での減衰性能を向上させる。
また、エラストマー組成物と、粉体と、硬質樹脂とを含有するプラグ用組成物を用いた免震構造体用プラグでは、地震等の発生によりプラグが変形した際に、粉体同士の摩擦、硬質樹脂同士の摩擦、粉体と硬質樹脂との摩擦、並びに、粉体または硬質樹脂とエラストマー成分との摩擦により振動を減衰させる。そのため、このプラグ用組成物では、硬質樹脂同士の摩擦、並びに、硬質樹脂とエラストマー成分または粉体との摩擦を増加させ、プラグ用組成物を用いた免震構造体用プラグの減衰性能を更に向上させるために、硬質樹脂の平均粒径を200μm以下とする。即ち、このプラグ用組成物では、硬質樹脂同士が接触する面積、並びに、硬質樹脂とエラストマー成分または粉体とが接触する面積を増加させ、硬質樹脂同士の摩擦、並びに、硬質樹脂とエラストマー成分または粉体との摩擦を増加させるために、上述した平均粒径を有する硬質樹脂を使用する必要がある。
<エラストマー組成物>
上記プラグ用組成物に用いられるエラストマー組成物は、少なくともエラストマー成分を含み、更に、補強性充填剤等の配合剤を含むことができる。
ここで、エラストマー成分としては、室温でゴム弾性を呈するもの、例えば、天然ゴム、合成ゴム等のゴムや、熱可塑性エラストマーを使用することができる。これらの中でも、エラストマー成分としては、天然ゴムや合成ゴム等のゴムを使用することが好ましい。天然ゴムや合成ゴム等のゴムは、粘弾性体であり、若干の弾性は示すものの塑性が大きく、大変形にも追従でき、更に、振動後、原点に戻ったときには再び同じ状態に再凝集できるからである。また、エラストマー成分がゴムの場合(即ち、エラストマー組成物がゴム組成物の場合)、プラグの減衰性能が向上する上、耐久性も向上するからである。なお、上記エラストマー成分としては、より具体的には、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ化ゴム、多硫化ゴム、ハイパロン、エチレン酢酸ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレン−メチルアクリレート共重合体、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー等が挙げられる。これらエラストマー成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
上記エラストマー成分は、少なくとも一部、好ましくは全てが未架橋であることが好ましい。即ち、エラストマー成分がゴムの場合には、ゴムは未加硫であることが好ましい。エラストマー成分が完全に架橋されている場合、そのエラストマー成分を含むプラグ用組成物を用いて成形したプラグは、大変形を受けた際には変形するものの、変形時にプラグ中での粉体の位置を変えることができない。従って、エラストマー成分が完全に架橋されている場合、プラグは、ある限界点をもって変形への追従が不可能となり、架橋エラストマー部分が破断、或いは、架橋エラストマー部分の反発力で元の形状に戻ろうとする。そして、架橋エラストマー部分が破断してしまうと、プラグの位置が原点に戻ってもプラグが元の形状に戻らないため、減衰性能が徐々に低下してしまい、また、架橋エラストマー部分の反発力が働くと、プラグ本来の減衰性能が発揮できなくなる。一方、エラストマー成分が未架橋であれば、変形への追従が可能であり、また、プラグが大変形の履歴を受けた後、再び原点に戻った際に、プラグ全体には静水圧がかかっているため、プラグが元の形状に戻ることができる。そして、その結果、初期と同等の性能を長期に亘って維持することが可能となる。なお、架橋点が非常に少ない場合、または、プラグの表面のみが架橋されている場合は、プラグが、変形した後に元の形状に戻ることができる。従って、本発明において「未架橋」とは、架橋反応を未だ完全には経ていない状態を指し、部分的に架橋された状態も包含する。
上記エラストマー組成物は、更に、補強性充填剤を含むことが好ましい。なお、本発明において、「補強性充填剤」とは、エラストマー成分に対する補強を行っており、自身の凝集力とエラストマー成分との結合力を強く有する物質である。そして、補強性充填剤は、エラストマー成分に配合されることによって、該結合力によりエラストマー組成物全体の粘度を上昇させ、その結果としてプラグの減衰性能を向上させる作用を有する。
なお、一般に、免震構造体のプラグは、地震で発生したエネルギーを吸収する(例えば、熱等に変換する)ことで減衰効果を発揮するため、プラグの流動抵抗が大きくなるに従って、減衰効果が大きくなる。これに対し、エラストマー成分に補強性充填剤を配合した場合、エラストマー組成物の流動抵抗が大きくなり(即ち、エラストマー組成物を用いて成形したプラグの流動抵抗が大きくなり)、十分な減衰性能、変位追従性等を有するプラグを得ることが可能となる。
ここで、補強性充填剤としては、エラストマー成分との相互作用によってエラストマー組成物の粘度を向上させる効果が大きい点で、カーボンブラックおよびシリカが好ましく、カーボンブラックが特に好ましい。ここで、カーボンブラッックとしては、SAF、ISAF、HAFグレードのもの等が挙げられ、これらの中でも、SAF、ISAFグレードのもの等の、微粒子で表面積が大きいものが好ましい。また、シリカとしては、湿式シリカ、乾式シリカおよびコロイダルシリカ等が挙げられる。これら補強性充填剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
補強性充填剤の配合量は、エラストマー成分100質量部に対して60〜150質量部の範囲が好ましい。エラストマー組成物における補強性充填剤の配合量が60質量部未満では、エラストマー組成物の粘度および流動抵抗が低く、プラグの減衰性能が不十分となり易い。一方、補強性充填剤の配合量が150質量部を超えると、混練が難しく、均一なエラストマー組成物を調製し難くなる上、プラグの繰り返し安定性が低下する。
また、エラストマー組成物は、該エラストマー組成物よりもD硬さが30以上高い樹脂(硬質樹脂)以外の樹脂、例えば、該エラストマー組成物よりもD硬さが低い軟質樹脂を含有することが好ましい。エラストマー組成物が軟質樹脂を含む場合、プラグが大変形した際の減衰性能も向上させることができる。また、かかる軟質樹脂は、プラグ用組成物の調製時に加工助剤として作用し、プラグ用組成物の混練を容易にすることができる。
軟質樹脂としては、フェノール樹脂、ロジン樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、ジシクロペンタジエン−イソプレン共重合体、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、脂環式系石油樹脂、C5留分とC9留分を共重合して得られる石油樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂およびケトン樹脂、並びに、これらの樹脂の変性樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、エラストマー組成物における軟質樹脂の配合量は、エラストマー成分100質量部に対して20〜100質量部の範囲が好ましい。軟質樹脂の配合量が20質量部未満では、大変形の際のプラグの減衰性能を向上させる効果が小さく、一方、100質量部を超えると、エラストマー組成物の加工性が低下することがある。
更に、エラストマー組成物には、エラストマー成分、補強性充填剤、軟質樹脂の他に、老化防止剤、ワックス、可塑剤、軟化剤等のエラストマー組成物に一般に添加される添加剤も配合できる。ここで、エラストマー組成物に老化防止剤を配合することにより、長期間経過した後でもプラグの物性変化を小さく抑えることが可能となる。なお、成形したプラグの物性変化を抑制するために、老化防止剤と共に、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、安定剤、難燃剤等を配合することはとりわけ有効である。
ここで、可塑剤としては、フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、テトラヒドロフタル酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、クエン酸、イタコン酸、オレイン酸、リシノール酸、ステアリン酸、リン酸、スルホン酸等の誘導体(例えば、エステル);グリコール、グリセリン、エポキシの誘導体、重合系可塑剤が挙げられる。これら可塑剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
軟化剤(オイル)としては、アロマ系オイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル等の鉱物油系軟化剤;ヒマシ油、綿実油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、パーム油、落花生油、ロジン、パインオイル等の植物油系軟化剤;シリコーン油等の低分子量オイルを挙げることができる。これら軟化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
<粉体>
上記プラグ用組成物に用いる粉体は、プラグの減衰性能を主として担う材料であり、具体的には、粉体同士の摩擦、粉体とエラストマー成分との摩擦、および、粉体と硬質樹脂との摩擦により振動エネルギーを減衰させる。ここで、本発明において粉体とは、補強性充填剤および硬質樹脂以外のものを指す。そして、粉体には、例えば、金属粉、炭化ケイ素粉等が包含される。なお、プラグ用組成物が粉体を含まない場合、プラグの減衰性能が大幅に低下して、十分な減衰性能を得ることができない。
粉体としては、金属粉が好ましく、また、該金属粉としては、環境への負荷が小さいものが好ましい。具体的には、金属粉としては、例えば、鉄粉、ステンレス粉、ジルコニウム粉、タングステン粉、青銅(CuSn)粉、アルミニウム粉、金粉、銀粉、錫粉、炭化タングステン粉、タンタル粉、チタン粉、銅粉、ニッケル粉、ニオブ粉、鉄−ニッケル合金粉、亜鉛粉、モリブデン粉等が挙げられる。これらの金属粉は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの金属粉は、金属酸化物粉でもよいため、粉体としては、金属酸化物粉等の金属化合物粉も好適に使用できる。これらの粉体の中でも、鉄粉が特に好ましい。鉄粉は、安価である上、他の金属粉と対比して破壊強度が高いからである。また、鉄粉を主成分とする免震構造体用プラグは、固すぎることも脆すぎることもないため、優れた減衰性能を長期に渡って発揮することができるからである。なお、鉄粉としては、還元鉄粉、電解鉄粉、噴霧鉄粉、純鉄粉、鋳鉄粉等が挙げられるが、これらの中でも、還元鉄粉が好ましい。
プラグ用組成物における粉体の含有量は、50〜74体積%の範囲が好ましく、60〜74体積%の範囲が更に好ましい。また、(硬質樹脂+エラストマー組成物)/粉体(体積比)は、50/50〜26/74の範囲が好ましく、40/60〜26/74の範囲が更に好ましい。プラグ用組成物中の粉体の含有量が50体積%未満では、粉体間の距離が広すぎ、変形時の粉体同士の摩擦、および、粉体と他の成分の間の流動抵抗が小さくなるため、プラグの減衰性能が不十分になり易い。一方、プラグ用組成物中の粉体の含有量が74体積%を超えると、粉体同士の接触が増え、プラグの繰り返し耐久性が低下する。また、粉体の含有量が74体積%を超えると、プラグを成形する際に、プラグ用組成物から空気を十分に除くことが難しく、プラグの体積が理想体積(空気の混入が無い場合の体積)より大幅に大きくなり、プラグの減衰性能が低下する。なお、プラグ用組成物中の粉体の含有量が60〜74体積%であれば、プラグの減衰性能を良好に維持できる上、変位追従性、繰り返し安定性、加工性も良好となる。
ここで、粉体の粒径は、0.1μm〜2mmの範囲が好ましく、1μm〜150μmの範囲が更に好ましい。粉体の粒径が0.1μm未満では、取り扱いが困難であり、一方、粉体の粒径が2mmを超えると、粉体同士の摩擦が減少してプラグの減衰効果が低下する傾向がある。なお、粉体の粒径が1μm以上であれば、取り扱いが容易であり、粉体の粒径が150μm以下であれば、プラグの減衰性能が十分に高くなる。
また、粉体の形状は、不定形であることが好ましい。ここで、不定形とは、球状などの1種類の形状のみではなく、凹凸を有するものや突起を有するものなど、種々の形態を有する形状が混在していることを意味する。バルクを粉砕することなどによって得られる粉体の形状は当然に不定形であるが、球状の粉体を用いた場合と比較したところ、不定形の粉体を用いた方が良好な減衰効果が得られた。これは、不定形の粉体を使用すると、粉体同士、粉体−エラストマー成分間、粉体−硬質樹脂間の摩擦の際に引っ掛かり効果のようなものが生じ、球状のもの等を使用した場合と比較して摩擦が大きくなって、減衰性能が良好になるためであると考えられる。
<硬質樹脂>
上記プラグ用組成物は、エラストマー組成物よりもD硬さが30以上高く、且つ、平均粒径が200μm以下の硬質樹脂を含有する。
このように、エラストマー組成物よりもD硬さが30以上高い硬質樹脂を配合することで、プラグ用組成物が硬くなり、プラグの低歪み領域での減衰性能(特には、荷重−歪ヒステリシス曲線における切片荷重Qdや、切片応力τd)を向上させることができる。
また、平均粒径が200μm以下の硬質樹脂を配合することで、硬質樹脂同士の摩擦、並びに、硬質樹脂とエラストマー成分または粉体との摩擦が増加し、低歪み領域のみならず、高歪み領域での減衰性能も向上させることができる。
ここで、プラグの低歪み領域での減衰性能を更に向上させる観点からは、硬質樹脂のD硬さは60〜90の範囲が好ましい。硬質樹脂のD硬さが60〜90の範囲内であれば、プラグ用組成物が十分に硬くなり、プラグの低歪み領域での減衰性能を大幅に向上させることができる。
また、低歪み領域および高歪み領域での減衰性能を更に向上させる観点からは、硬質樹脂の平均粒径は150μm以下であることが好ましい。なお、硬質樹脂のハンドリング性の観点からは、硬質樹脂の平均粒径は80μm以上であることが好ましい。
また、プラグ用組成物に配合する硬質樹脂は、軟化点が150℃以上の樹脂であることが好ましい。硬質樹脂の軟化点が150℃以上であれば、プラグが変形により発熱した場合でも、硬質樹脂が軟化し難いので、プラグが十分な減衰性能を発揮することができるからである。即ち、プラグの減衰性能の温度依存性を低減することができるからである。因みに、プラグ用組成物では、硬質樹脂の配合によってエラストマー組成物の含有量が低減されているため、低温領域におけるプラグの減衰性能の温度依存性も改善される。
更に、プラグ用組成物に配合する硬質樹脂は、形状が不定形であることが好ましい。不定形の硬質樹脂を使用すれば、硬質樹脂同士、硬質樹脂−エラストマー成分間、粉体−硬質樹脂間の摩擦の際に硬質樹脂が潤滑剤のように働き、低歪み(低せん断応力)領域でも、粉体間で十分な摩擦が起こるからである。また、高歪み(大変形)領域においては、不定形な硬質樹脂がプラグの変形に伴って塑性変形を起こし、減衰性能の向上に寄与するからである。即ち、不定形の硬質樹脂を使用すれば、低歪み領域および高歪み領域の双方において減衰性能が良好になるからである。
なお、不定形とは、球状などの1種類の形状のみではなく、凹凸を有するものや突起を有するものなど、種々の形態を有する形状が混在していることを意味する。そして、硬質樹脂のペレットを粉砕することなどによって得られる樹脂の形状は、当然に不定形である。
ここで、上述した硬質樹脂としては、炭化水素系プラスチックのポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS);エンジニアリングプラスチックのポリアミド(PA)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン(PPE/PS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)等が好ましい。
なお、これらの硬質樹脂の平均粒径は、破砕や分級などの既知の手法を用いて調整することができる。
そして、硬質樹脂の含有量は、エラストマー組成物と、粉体と、硬質樹脂との合計量の5〜10体積%の範囲が好ましい。硬質樹脂の含有量が、エラストマー組成物と、粉体と、硬質樹脂との合計量の5体積%以上であれば、プラグ用組成物が十分に硬くなり、プラグの低歪み領域での減衰性能(特には、切片応力τd)を大幅に向上させることができる。また、硬質樹脂の含有量が、エラストマー成分と、粉体と、硬質樹脂との合計量の10体積%以下であれば、プラグの高歪み領域の減衰性能の低下を十分に抑制できる。なお、硬質樹脂の含有量が多くなりすぎると高歪み領域での減衰性能が低下するが、これは、プラグ用組成物中のエラストマー組成物の割合が減少し、プラグの高歪み領域での減衰性能の発現に大きく寄与する軟質樹脂の量が減少するためである。従って、硬質樹脂の含有量を5〜10体積%程度として硬くすることにより、低歪み領域下での応力(τd)を効果的に向上させることができる。
<プラグ用組成物の製造>
ここで、本発明の免震構造体のプラグ用組成物は、エラストマー組成物と、粉体と、上述した硬質樹脂とを用いる以外特に制限はなく、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、第一工程において、エラストマー成分に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を加えて混練して、エラストマー組成物を調製する。
なお、エラストマー成分に対して軟質樹脂を配合して混練する場合、混練温度は軟質樹脂の軟化点以上とすることが好ましい。混練温度を軟質樹脂の軟化点以上とすれば、エラストマー成分中に軟質樹脂を均一に分散させることができるからである。
次に、第二工程において、上記エラストマー組成物に、上記粉体と、上記硬質樹脂とを加えて更に混練する。ここで、第二工程においては、混練温度を硬質樹脂の軟化点未満の温度とすることが好ましい。硬質樹脂の軟化点より高い温度で混練を行うと、得られたプラグ用組成物を冷却した際に、一度軟化した硬質樹脂が塊になって硬化するので、プラグ用組成物が加圧成形に不向きなブロック状の材料になってしまう。また、第二工程においては、粉体および硬質樹脂を複数回に分けて配合することが好ましい。粉体および硬質樹脂を複数回に分けて配合することで、均一なプラグ用組成物を製造することが可能となる。
ここで、第二工程では、必要に応じて、エラストマー組成物、粉体および硬質樹脂以外の成分を投入および混練しても良い。
なお、上記プラグ用組成物の製造の第一工程および第二工程には、ニーダー、バンバリーミキサー等の通常の混練装置を用いることができる。また、混練の条件も、特に限定されるものではなく、当該技術分野において通常に用いられている条件を適宜改変して使用することができる。例えば、第二工程の混練条件としては、回転数が20〜40rpmの範囲で、温度は100℃程度が好ましい。エラストマー成分の粘度低下を抑えるためには、回転数は低い方が好ましい。
(免震構造体用プラグ)
本発明の免震構造体用プラグは、上述したプラグ用組成物を用いて製造されたことを特徴とする。そして、この免震構造体用プラグは、低歪み領域における減衰性能のみならず、高歪み領域における減衰性能も優れている。
<免震構造体用プラグの製造>
ここで、本発明の免震構造体用プラグは、特に限定されることなく、上述したプラグ用組成物を金型内で加圧成形して製造することができる。
具体的には、本発明の免震構造体用プラグは、上記のようにして調製したプラグ用組成物を混練装置から取り出し、成型装置(円筒状金型)に移した後、金型内のプラグ用組成物を両側または片側からプッシャーで押して加圧(プレス加工)することにより成形することができる。なお、プラグ用組成物を加圧する際に使用するプレス機としては、当該技術分野において通常使用されているものを採用することができる。また、成形圧力は、特に限定されることなく、0.7t/cm2以上とすることができる。
ここで、プラグを成形する際の温度(成形温度)は、特に限定されることなく、常温から硬質樹脂の軟化点までの範囲内とすることが好ましい。成形温度を高温にすれば、成形されたプラグ中の空隙(空気の残存)を減少させることができ、プラグの減衰性能を更に高めることができるからである。一方、成形温度を硬質樹脂の軟化点よりも高くすると、加圧成形時に硬質樹脂が軟化し、所望の減衰性能を有するプラグが成形できなくなる可能性があるからである。
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明の免震構造体のプラグ用組成物、免震構造体用プラグおよび免震構造体は上記一例に限定されることは無く、本発明の免震構造体のプラグ用組成物、免震構造体用プラグおよび免震構造体には、適宜変更を加えることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜6、比較例1〜3)
まず、ニーダーを用いて、表1に示す配合処方のエラストマー組成物を調製した。
次に、ニーダーを用いて、エラストマー組成物と、粉体としての鉄粉(粒径=40μm,不定形な還元鉄粉)と、表2〜3に示す硬質樹脂とを、表2〜3に示す体積比で混練して、プラグ用組成物を調製した。
最後に、得られたプラグ用組成物を温度100℃、圧力1.3ton/cm2で加圧成形して、直径が45mmの円柱状の免震構造体用プラグを作製した。
そして、得られた円柱状の免震構造体用プラグについて、下記の方法で減衰性能を評価した。また、エラストマー組成物および硬質樹脂のD硬さをJIS K6253に準拠して測定した。結果を表2〜3および図3に示す。
(従来例1)
硬質樹脂を使用せず、エラストマー組成物と鉄粉とを表2に示す体積比で混練した以外は、実施例1と同様にしてエラストマー組成物、プラグ用組成物および円柱状の免震構造体用プラグを作製した。そして、実施例1と同様にして、免震構造体用プラグの減衰性能を評価した。結果を表2および図3に示す。
<減衰性能>
中央に円筒状の中空部を有し、外径が225mmで、剛性を有する剛性板[鉄板]と弾性を有する弾性板[加硫ゴム板(G'=0.4MPa)]とが交互に積層されてなる積層体の中空部に、免震構造体用プラグを圧入して、図1に示す構造の免震構造体を作製した。なお、圧入前の免震構造体用プラグの体積は、積層体の中空部の体積の1.01倍とした。
そして、作製した免震構造体に対し、温度20℃の条件下、動的試験機を用いて、鉛直方向に基準面圧をかけた状態で水平方向に加振して規定変位のせん断変形を生じさせた。なお、加振変位は、積層体の総厚さを100%として、歪み50〜250%とし、加振周波数は0.33Hzとし、垂直面圧は10MPaとした。図2に、水平方向の変位(δ)と免震構造体の水平方向荷重(Q)との関係を示す。本試験においては、まず、歪50%、100%、200%および250%における切片荷重Qd(変位0における水平方向荷重値)を求めた。なお、切片荷重Qdは、ヒステリシス曲線が縦軸と交差する点での荷重Qd1、Qd2を用いて、下記式:
d=(Qd1+Qd2)/2
から計算した。更に、切片荷重Qdとプラグの断面積Sを用いて、下記式:
τd=Qd/S
から、切片応力τd(変位0における水平応力値)を計算した。τdが大きくなる程、免震構造体用プラグの減衰性能が優れることを示す。
Figure 0005869863
*1 天然ゴム:未加硫,RSS#4
*2 ポリブタジエンゴム:低シス,未加硫,旭化成製「ジエンNF35R」
*3 カーボンブラック:ISAF,東海カーボン製「シースト6P」
*4 ポリエステルポリオール:日本ゼオン製「ゼオファイン100M」(D硬さ: 20、軟化点:80℃)
*5 シクロペンタジエン:丸善石油化学製「ESCOREZ8180」(D硬さ:12、軟化点:80〜92℃)
*6 C8−C10芳香族炭化水素留分:新日本石油化学製「ネオポリマー140」(D硬さ:10、軟化点:145℃)
*7 亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤;住友化学製「アンステージ6C」、ワックス;新日本石油製「プロトワックス1」、亜鉛華:ステアリン酸:老化防止剤:ワックス=4:5:3:1(質量比)
なお、「D硬さ」はJIS K6253に準拠して測定し、「軟化点」はJISK7206に準拠して測定した。
Figure 0005869863
Figure 0005869863
*8 ポリプロピレン(PP):プライムポリマー製「プライムポリプロ」,D硬さ=69,軟化点=165℃
*9 ポリフェニレンオキサイド(PPO):旭化成ケミカルズ社製「SX−101」,D硬さ=66,軟化点=160℃
*10 ポリエーテルスルホン(PES):BASF製「E2010GP」,D硬さ=76,軟化点=285℃
*11 鉄粉:パウダテック製,粒径=40μm,不定形還元鉄粉
*12 ポリ塩化ビニル(PVC):徳山積水工業製「セキスイPVC TS」,D硬さ=63,軟化点=70℃
なお、「D硬さ」はJIS K6253に準拠して測定し、「軟化点」はJIS K7206に準拠して測定した。また、「平均粒径」はJIS Z8825−1に準拠してレーザー回折法で測定した。
各免震構造体について水平方向の変位δ(歪み)と切片応力τdとの関係を示す表2〜3および図3より、実施例1〜6および比較例1〜2の免震構造体用プラグは、従来例1および比較例3の免震構造体用プラグと比較し、低歪み領域における減衰性能が向上していることが分かる。また、実施例1〜6の免震構造体用プラグは、比較例1〜2の免震構造体用プラグと比較し、全ての歪み領域において減衰性能が向上していることが分かる。
<減衰性能の温度依存性評価>
実施例1の免震構造体用プラグと、従来例1の免震構造体用プラグとについて、試験温度を表4に示すように変更した以外は上記と同様にして、減衰性能の評価を行った。そして、100%歪み時における切片応力τdについて、試験温度20℃の切片応力τdを100として、指数評価した。結果を表4に示す。
Figure 0005869863
表4より、実施例1の免震構造体用プラグは、従来例1の免震構造体用プラグと比較し、温度依存性が低減されていることが分かる。
本発明によれば、低歪み領域および高歪み領域の双方における減衰性能を十分に向上させた免震構造体用プラグを提供することが可能な免震構造体のプラグ用組成物を提供することができる。また、本発明によれば、低歪み領域および高歪み領域の双方における減衰性能に優れる免震構造体用プラグおよび低歪み領域および高歪み領域の双方において優れた減衰性能を発揮する免震構造体を提供することができる。
1 免震構造体
2 剛性板
3 弾性板
4 積層体
5 免震構造体用プラグ
6 フランジ板
7 被覆材

Claims (7)

  1. 少なくともエラストマー成分を含むエラストマー組成物と、
    粉体と、
    前記エラストマー組成物よりもD硬さが30以上高く、且つ、平均粒径が200μm以下の硬質樹脂と、
    を混合してなり、
    前記粉体は、金属粉または金属化合物粉であることを特徴とする免震構造体のプラグ用組成物。
  2. 前記硬質樹脂の軟化点が150℃以上であることを特徴とする、請求項1に記載の免震構造体のプラグ用組成物。
  3. 前記硬質樹脂の形状が不定形であることを特徴とする、請求項1または2に記載の免震構造体のプラグ用組成物。
  4. 前記硬質樹脂のD硬さが60〜90であることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の免震構造体のプラグ用組成物。
  5. 前記硬質樹脂の含有量が、前記エラストマー組成物と、前記粉体と、前記硬質樹脂との合計量の5〜10体積%であることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の免震構造体のプラグ用組成物。
  6. 請求項1に記載の免震構造体のプラグ用組成物を用いて製造したことを特徴とする、免震構造体用プラグ。
  7. 剛性を有する剛性板と弾性を有する弾性板とが交互に積層されてなり、積層方向に延びる中空部を有する積層体と、該積層体の中空部に圧入されたプラグとを具える免震構造体において、
    前記プラグが請求項6に記載の免震構造体用プラグであることを特徴とする、免震構造体。
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