JP5091083B2 - 免震構造体用プラグおよび免震構造体 - Google Patents

免震構造体用プラグおよび免震構造体 Download PDF

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本発明は、免震構造体用プラグおよび該プラグを用いた免震構造体に関するものである。
従来、ゴム等の粘弾性的性質を有する軟質板と鋼板等の硬質板とを交互に積層した免震構造体が、免震装置の支承等として使用されている。このような免震構造体の中には、例えば、軟質板と硬質板とからなる積層体の中心に中空部を形成し、そして該中空部の内部に、均一組成となるように成形したプラグを圧入したものがある。
上記プラグとしては、全体が鉛からなるプラグが使用されることが多く、積層体がせん断変形する際に、該プラグが塑性変形することで振動のエネルギーを吸収する。しかしながら、鉛は、環境負荷が大きく、また廃棄時等に要するコストが大きい。このため、鉛プラグは環境負荷の問題から代替材料を用いたプラグへと変更されようとしており、鉛の代替材料を用いて、十分な減衰性能、変位追従性等を有するプラグを開発することが試みられている。例えば、特公平7−84815号には、鉛プラグに代えて、積層体の中空部に固体物質と、鉱物油、植物油等の液状物質からなる粘性体とを封入し、固体物質の隙間を粘性体で充填するようにした免震装置が提案されている。
しかし、粘性体として鉱物油、植物油等の液状物質を使用したこの免震装置では、長期の使用では液状物質中で固体物質が沈殿してしまい、分散性が悪化してしまう。その結果、局所的に減衰性能が変化して、安定した減衰性能を発揮できない恐れがあった。
これに対して、特開2006−316990号公報には、塑性流動材と、金属、硬質樹脂、硬質繊維等からなる硬質充填材とを、組成がなるべく均一となるように積層体の中空部に充填した免震装置が開示されており、その塑性流動材としては、せん断降伏応力が特定の範囲にある材料が好ましいことが開示されている。
特公平7−84815号公報 特開2006−316990号公報
しかしながら、上記のような従来の鉛プラグの代替技術では、プラグとして十分な減衰特性、変位追従性等を有する免震構造体用プラグを得ることができないため、性能面で改善の余地がある。
更に、従来技術のような均一組成のプラグは、成形ムラ等により完全に均一な組成のプラグを成形することが困難であり、また、免震構造体に変位が加えられた際にプラグにかかるせん断力が位置によって異なることから、変位発生時に免震構造体中で均一に崩れずに減衰性能を十分に発揮できない場合がある。免震構造体用プラグは、変位が加えられた際にプラグが崩れることで、粉体と粉体との間の摩擦および粉体とエラストマー組成物との間の摩擦により減衰性能が発揮されるからである。そのため、均一に崩れてプラグとしての性能を十分に発揮できるプラグが求められている。
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、この発明の免震構造体用プラグは、異なる組成を有する少なくとも2種類のプラグ材を3層以上積層してなる免震構造体用プラグであって、前記プラグ材は、エラストマー成分に補強性充填剤を配合してなるエラストマー組成物と、粉体とを含有するプラグ用組成物から製造されることを特徴とする。このようにエラストマー成分に補強性充填剤を配合してなるエラストマー組成物と、粉体とを含有するプラグ用組成物を使用することにより、十分な減衰性能、変位追従性等を有する免震構造体の提供が可能な免震構造体用プラグを得ることができる。また、少なくとも2種類のプラグ材を積層してプラグ中に崩れ易い部分を設けることで、全体として崩れ易い、性能を十分に発揮し得る免震構造体用プラグを得ることができる。なお、本発明の免震構造体用プラグは、円柱のほか、三角柱、四角柱等の多角柱といった任意の形状とすることができる。
本発明の免震構造体用プラグは、前記プラグ材が、異なる硬度を有することが好ましい。ここで、硬度とは、デュロメータを用いた測定(JIS K 6253)で求められる。この場合、硬度が異なるプラグ材を積層することにより、硬度の低い部分が優先的に崩れることで全体として均一に崩れ易くなる。そのため、性能を十分に発揮し得る免震構造体用プラグを得ることができる。
本発明の免震構造体用プラグは、前記プラグ材が、前記粉体と前記エラストマー組成物との比率が異なる前記プラグ用組成物から製造されることが好ましい。この場合、粉体の比率が高い、硬く、崩れにくい層と、粉体の比率が低い、柔らかく、崩れ易い層とを設けることにより、粉体の比率の低い層が優先的に崩れてプラグ全体が均一に崩れ易くなる。そのため、性能を十分に発揮し得る免震構造体用プラグを得ることができる。
本発明の免震構造体用プラグは、前記プラグ材が、前記粉体の形状が球形と不定形とで異なる前記プラグ用組成物から製造されることが好ましい。この場合、不定形の粉体を使用したプラグ材の方が球形の粉体を使用したプラグ材より、減衰性能が良好、且つ崩れ難いので、全体として均一に崩れ易い、性能を十分に発揮し得る免震構造体用プラグを得ることができる。
本発明の免震構造体用プラグは、前記プラグ材が、前記補強性充填剤の含有率が異なる前記プラグ用組成物から製造されることが好ましい。この場合、補強性充填剤の含有率が多い、硬く、崩れにくい層と、補強性充填剤の含有率が低い、柔らかく、崩れ易い層とを設けることにより、補強性充填剤の含有率の低い層が優先的に崩れてプラグが全体として均一に崩れ易くなる。そのため、性能を十分に発揮し得る免震構造体用プラグを得ることができる。
本発明の免震構造体用プラグは更に、前記粉体が金属粉および/または金属化合物粉であることが好ましく、鉄粉であることが特に好ましい。鉄粉は、安価である上、破壊強度が高く、また、鉄粉を使用することで、プラグが優れた減衰性能を長期に渡って発揮することが可能となる。
本発明の免震構造体用プラグは、前記補強性充填剤がカーボンブラックおよび/またはシリカであることが好ましい。カーボンブラックおよびシリカは、エラストマー成分との相互作用によってエラストマー組成物の粘度を向上させる効果が大きいため、プラグの流動抵抗が大きくなり、結果として、プラグの減衰効果が大きくなる。
本発明の免震構造体用プラグの他の好適例においては、前記エラストマー成分の少なくとも一部が未架橋である。この場合、プラグが大変形の履歴を受けた後、プラグの位置が再び原点に戻った際に、プラグが元の形状に戻ることができ、その結果、初期と同等の性能を長期に渡って維持することが可能となる。
本発明の免震構造体用プラグの別の好適例においては、前記粉体の含有量が50〜74体積%である。この場合、変形時の粉体同士の摩擦及び粉体と他の成分との間の流動抵抗が十分大きいため、十分な減衰効果が得られる上、繰り返し耐久性も十分確保されており、更には、成形加工性も良好である。
本発明の免震構造体用プラグの他の好適例においては、前記エラストマー組成物における前記補強性充填剤の配合量が、前記エラストマー成分100質量部に対して60〜150質量部である。この場合、エラストマー組成物の粘度及び流動抵抗が十分高く、プラグが十分な減衰効果を発揮できる上、混練が容易で、均一な組成物を容易に得ることができ、また、プラグの繰り返し安定性も良好である。
本発明の免震構造体用プラグにおいては、前記粉体の粒径が0.1μm〜2 mmであることが好ましく、1μm〜150μmであることが更に好ましい。この場合、粉体の取り扱いが容易である上、プラグの減衰性能も十分に高い。ここで、粉体の粒径は、レーザー回折による粒子径測定(JIS Z8825−1)で求められ、該レーザー回折による方法において、粉体の粒子の長軸−短軸の平均(球形と捉えられる)を測定して得られる値である。
また、本発明の免震構造体は、剛性を有する剛性板と弾性を有する弾性板とを交互に積層した、該積層方向に延びる貫通孔を有して積層方向両端部が弾性板よりなる積層体と、前記積層体の前記貫通孔に圧入された、前記積層体の厚みより長いプラグと、前記積層体および前記プラグの前記積層方向両端面に取り付けられ、該プラグの一部が内部に位置するフランジと、を具える免震構造体において、前記プラグが上述した免震構造体用プラグであることを特徴とする。このようにすれば、均一に崩れ易く、減衰性能を十分に発揮できるプラグを用いた免震構造体を提供できる。
また、本発明の免震構造体の別の好適例においては、前記プラグが、異なる硬度を有するプラグ材を積層してなり、前記プラグ中の、硬度の最も低いプラグ材よりも硬度の高いプラグ材よりなる層の総厚みが、硬度の最も低いプラグ材よりなる層の総厚みより厚いことを特徴とするものである。通常、硬度の高いプラグの方が減衰性能が高いところ、このようにすれば、減衰性能を十分に高く維持したまま、均一に崩れ易く、且つ十分な減衰特性、変位追従性等を有するプラグを用いた免震構造体を提供することができる。
本発明の免震構造体の他の好適例においては、前記プラグが、前記粉体と前記エラストマー組成物との比率が異なる前記プラグ用組成物から製造されるプラグ材を積層してなり、前記プラグ中の、粉体の比率が最も低いプラグ用組成物よりも粉体の比率が高いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層の総厚みが、粉体の比率が最も低いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層の総厚みより厚い。このようにすれば、減衰性能を十分に高く維持したまま、均一に崩れ易く、且つ十分な減衰特性、変位追従性等を有するプラグを用いた免震構造体を提供することができる。
本発明の免震構造体の別の好適例においては、前記プラグが、前記粉体の形状が球形と不定形とで異なる前記プラグ用組成物から製造されるプラグ材を積層してなり、前記プラグ中の、不定形の粉体を含有するプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層の総厚みが、球形の粉体を含有するプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層の総厚みより厚い。このようにすれば、減衰性能を十分に高く維持したまま、均一に崩れ易く、且つ十分な減衰特性、変位追従性等を有するプラグを用いた免震構造体を提供することができる。
本発明の免震構造体の他の好適例においては、前記プラグが、前記補強性充填剤の含有率が異なる前記プラグ用組成物から製造されるプラグ材を積層してなり、前記プラグ中の、補強性充填剤の含有率が最も低いプラグ用組成物よりも補強性充填剤の含有率が高いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層の総厚みが、補強性充填剤の含有率が最も低いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層の総厚みより厚い。このようにすれば、減衰性能を十分に高く維持したまま、均一に崩れ易く、且つ十分な減衰特性、変位追従性等を有するプラグを用いた免震構造体を提供することができる。
本発明の免震構造体において、硬度の高いプラグ材よりなる層、粉体の比率が高いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層、不定形の粉体を含有するプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層、または補強性充填剤の含有率が高いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層の厚みが、前記剛性板の厚みと前記弾性板の厚みの和の2倍以上であることが好ましい。免震構造体に横方向の変位が加えられた際にはプラグと剛性板とが接する部位に大きなせん断力がかかるところ、このように構成すれば、崩れ難いプラグ材よりなる層が必ず2枚以上の剛性板と接することとなるので、崩れ難いプラグ材よりなる層に横方向のせん断力を適切に伝えてプラグを均一に崩すことができる。なお、この崩れ難いプラグ材よりなる層の厚さは、剛性板の厚みと弾性板の厚みの和の4倍未満であることが更に好ましく、このように崩れ難いプラグ材よりなる層の厚さを適切な厚さとすることで、プラグの均一な崩れをより確実に起こすことができる。
本発明の免震構造体において、硬度の高いプラグ材よりなる層、粉体の比率が高いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層、不定形の粉体を含有するプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層、または補強性充填剤の含有率が高いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層が、隣接する少なくとも2枚の前記剛性板に当接する位置にあることが好ましい。このように構成すれば、崩れ難いプラグ材よりなる層が必ず2枚以上の剛性板と接することとなるので、崩れ難いプラグ材よりなる層に横方向の変位を適切に伝えてプラグを均一に崩すことができる。
また、本発明の免震構造体の他の好適例においては、前記プラグの両端部に位置する層が、硬度の高いプラグ材よりなる層、粉体の比率が高いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層、不定形の粉体を含有するプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層、または補強性充填剤の含有率が高いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層であり、前記両端部の層が、前記フランジに隣接する弾性板に当接する厚みを有する。このように構成すれば、免震構造体に横方向の変位が加えられた際にせん断力がかかり易い、フランジ周辺(フランジと弾性板との界面)に位置するプラグが崩れ難いプラグ材よりなるので、崩れ難いプラグ材よりなる層に横方向の変位を適切に伝えてプラグを均一に崩すことができる。なお、このプラグの両端部の層は、前記フランジから、該フランジに隣接する弾性板を超えて剛性板(フランジに直近する剛性板)まで位置するような厚みを有することが更に好ましく、このように構成すれば、免震構造体に横方向の変位が加えられた際にフランジと、フランジに最も近い剛性板とにより応力がかかるプラグの部位が、壊れ難いプラグ材よりなるので、プラグを均一に崩すことができる。
本発明によれば、分散性が良好で、十分な減衰性能、変位追従性等を有する上、変位が加えられた際に均一に崩れ易い免震構造体用プラグを提供することができる。また、かかる免震構造体用プラグを用いた免震構造体を提供することができる。
<プラグ用組成物>
以下に、本発明の免震構造体用プラグを構成するプラグ材の製造に用いられるプラグ用組成物を詳細に説明する。このプラグ用組成物は、エラストマー成分に補強性充填剤を配合してなるエラストマー組成物と、粉体とを含有することを特徴とする。
本発明者らは、十分な減衰性能、変位追従性等を有する免震構造体用プラグを提供するために、種々の粉体のみからプラグを作製し、該プラグを免震構造体に使用してみたが、粉体同士が擦れて割れてしまい、十分な耐久性を有するプラグが得られなかった。この問題点を解決すべく、本発明者らは、更に検討を進めた結果、エラストマー成分に補強性充填剤を配合してなるエラストマー組成物と、粉体とを含有する組成物からプラグを作製し、該プラグを免震構造体に使用することで、十分な耐久性、減衰特性、変位追従性等を有する免震構造体用プラグが得られることを見出した。なお、補強性充填剤を含まないエラストマー組成物を使用すると、プラグによる減衰効果が小さいため、本発明にかかるプラグ用組成物は、補強性充填剤を含むことを要する。
プラグ用組成物に用いるエラストマー成分としては、室温でゴム弾性を呈するもの、例えば、天然ゴムや合成ゴム等のゴム、熱可塑性エラストマーを使用することができ、これらの中でも、天然ゴムや合成ゴム等のゴムを使用することが好ましい。天然ゴムや合成ゴム系のポリマーは、粘弾性体で若干の弾性は示すものの塑性が大きく、大変形にも追従でき、振動後、原点に戻ったときには再び同じ状態に再凝集できる。また、エラストマー成分がゴムの場合(即ち、エラストマー組成物がゴム組成物の場合)、プラグの減衰性能が向上する上、耐久性も向上する。上記エラストマー成分として、より具体的には、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ化ゴム、多硫化ゴム、ハイパロン、エチレン酢酸ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレン−メチルアクリレート共重合体、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー等が挙げられる。これらエラストマー成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
上記エラストマー成分は、少なくとも一部、好ましくは全てが未架橋であることが好ましく、より具体的には未加硫であることが好ましい。エラストマー成分が完全に架橋されている場合、大変形を受けた際には変形するものの、変形時に粉体の位置が変わることができず、ある限界点をもって変形への追従が不可能となり、架橋エラストマー部分が破断、或いは、架橋エラストマー部分の反発力で元の形状に戻ろうとする。架橋エラストマー部分が破断してしまうと、プラグの位置が原点に戻ってもプラグが元の形状に戻らないため、減衰性能が徐々に低下してしまい、また、架橋エラストマー部分の反発力が働くと、本来の減衰性能が発揮できなくなる。一方、エラストマー成分が未架橋であれば、変形への追従が可能であり、また、プラグが大変形の履歴を受けた後、再び原点に戻った際に、プラグ全体には静水圧がかかっているため、プラグが元の形状に戻ることができ、その結果、初期と同等の性能を長期に渡って維持することが可能となる。なお、架橋点が非常に少ない場合、または、プラグの表面のみが架橋されている場合は、プラグが変形した後に、元の形状に戻れるため、本発明において未架橋とは、架橋反応を未だ完全には経ていない状態をさし、部分的に架橋された状態も包含する。
プラグ用組成物に用いる補強性充填剤とは、エラストマー成分に対する補強を行っており、自身の凝集力とエラストマー成分との結合力を強く有する物質であり、エラストマー成分に配合されることによって、該結合力によりエラストマー組成物全体の粘度を上昇させ、その結果としてプラグの減衰性能を向上させる作用を有する。一般に、免震構造体のプラグは、地震で発生したエネルギーを吸収する(例えば、熱等に変換する)ことで、減衰効果を発揮するため、プラグの流動抵抗が大きくなるに従って、減衰効果が大きくなる。これに対し、エラストマー成分に補強性充填剤を配合した場合、エラストマー組成物の流動抵抗が大きくなり、十分な減衰性能、変位追従性等を有するプラグを得ることが可能となる。
上記補強性充填剤としては、エラストマー成分との相互作用によってエラストマー組成物の粘度を向上させる効果が大きい点で、カーボンブラック及びシリカが好ましく、カーボンブラックが特に好ましい。ここで、カーボンブラッックとしては、SAF、ISAF、HAFグレードのもの等が挙げられ、これらの中でも、SAF、ISAFグレードのもの等の微粒子で表面積が大きいものが好ましい。また、シリカとしては、湿式シリカ、乾式シリカ、及びコロイダルシリカ等が挙げられる。これら補強性充填剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記エラストマー組成物における補強性充填剤の配合量は、上記エラストマー成分100質量部に対して60〜150質量部の範囲が好ましい。補強性充填剤の配合量が60質量部未満では、エラストマー組成物の粘度及び流動抵抗が低く、プラグの減衰性能が不十分となり易い。一方、補強性充填剤の配合量が150質量部を超えると、混練が難しく、均一な組成物を得難くなる上、プラグの繰り返し安定性が低下する。
上記エラストマー組成物には、更に樹脂を配合することが好ましい。上記エラストマー組成物は、補強性充填剤を含むものの、それだけではプラグの大変形の際、減衰性能が低下する傾向がある。これに対して、エラストマー組成物が補強性充填剤に加えて樹脂を含む場合、大変形の際にも、プラグの減衰性能を向上させることができる。また、樹脂は、加工助剤としても作用し、プラグ組成物の混練を容易にすることができる。
上記樹脂としては、粘着付与剤としての作用を有するものが好ましく、より具体的には、フェノール樹脂、ロジン樹脂、ジシクロペンダジエン(DCPD)樹脂、ジシクロペンダジエン−イソプレン共重合体、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、脂環式系石油樹脂、C5留分とC9留分とを共重合して得られる石油樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、及びこれらの樹脂の変性樹脂等が挙げられる。これら樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、エラストマー組成物における樹脂の配合量は、上記エラストマー成分100質量部に対して20〜100質量部の範囲が好ましい。樹脂の配合量が20質量部未満では、プラグの減衰性能を向上させる効果が小さく、一方、100質量部を超えると、エラストマー組成物の加工性が低下する。
上記エラストマー組成物には、上記エラストマー成分、補強性充填剤、樹脂の他に、老化防止剤、ワックス、可塑剤、軟化剤等のエラストマー組成物に一般に添加される添加剤も配合できる。エラストマー組成物に老化防止剤を配合することにより、長期間経過した後でもプラグの物性変化を小さく抑えることが可能となる。なおそのような目的のために、老化防止剤と共に、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、安定剤、難燃剤等を配合することはとりわけ有効である。
上記可塑剤としては、フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、テトラヒドロフタル酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、クエン酸、イタコン酸、オレイン酸、リシノール酸、ステアリン酸、リン酸、スルホン酸等の誘導体(例えば、エステル);グリコール、グリセリン、エポキシの誘導体、重合系可塑剤が挙げられる。これら可塑剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
上記軟化剤(オイル)としては、アロマ系オイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル等の鉱物油系軟化剤;ヒマシ油、綿実油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、パーム油、落花生油、ロジン、パインオイル等の植物油系軟化剤;シリコーン油等の低分子量オイルを挙げることができる。これら軟化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
上記のプラグ用組成物に用いる粉体は、プラグの減衰性能を主として担う材料であり、具体的には、粉体同士の摩擦及び粉体とエラストマー成分との摩擦により振動を減衰させる。ここで、本発明において粉体とは、補強性充填剤以外のものを指し、例えば、金属粉、炭化ケイ素粉等を包含する。なお、プラグ用組成物が粉体を含まない場合、プラグの減衰性能が大幅に低下して、十分な減衰性能、変位追従性等を得ることができない。
上記粉体としては、金属粉が好ましく、また、該金属粉としては、環境への負荷が小さいものが好ましく、例えば、鉄粉、ステンレス粉、ジルコニウム粉、タングステン粉、青銅(CuSn)粉、アルミニウム粉、金粉、銀粉、錫粉、炭化タングステン粉、タンタル粉、チタン粉、銅粉、ニッケル粉、ニオブ粉、鉄−ニッケル合金粉、亜鉛粉、モリブデン粉等が挙げられ、これら金属粉は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、これら金属粉は、金属酸化物粉でもよいため、上記粉体としては、金属酸化物粉等の金属化合物粉も好適に使用できる。これら粉体の中でも、鉄粉が特に好ましい。鉄粉は、安価である上、他の金属粉と対比して破壊強度が高く、また、鉄粉を主成分とする免震構造体用プラグは、固すぎることも脆すぎることもないため、優れた減衰性能を長期に渡って発揮することができる。なお、鉄粉としては、還元鉄粉、電解鉄粉、噴霧鉄粉、純鉄粉、鋳鉄粉等が挙げられるが、これらの中でも、還元鉄粉が好ましい。
プラグ用組成物において上記粉体の含有量は、50〜74体積%の範囲が好ましい。プラグ用組成物中の粉体の含有量が50体積%未満では、粉体間の距離が広すぎ、変形時の粉体同士の摩擦、及び粉体と他の成分との間の流動抵抗が小さくなるため、減衰性能が不十分である。一方、プラグ用組成物中の粉体の含有量が74体積%を超えると、粉体同士の接触が増え、繰り返し耐久性が低下する上、プラグ用組成物からプラグを成形する際に、プラグ用組成物から空気を十分に除くことが難しく、プラグの体積が理想体積(空気の混入が無い場合の体積)より大幅に大きくなり、プラグの減衰性能が低下する。
上記粉体の粒径は、0.1μm〜2 mmの範囲が好ましく、1μm〜150μmの範囲が更に好ましい。粉体の粒径が0.1μm未満では、取り扱いが困難であり、一方、粉体の粒径が2 mmを超えると、粉体同士の摩擦が減少して減衰効果が低下する傾向がある。なお、粉体の粒径が1μm以上であれば、取り扱いが容易であり、粉体の粒径が150μm以下であれば、プラグの減衰性能が十分に高くなる。
また、上記粉体の形状は、不定形であることが好ましい。ここで、不定形とは、球状などの1種類の形状のみではなく、凹凸を有するものや突起を有するものなど、種々の形態を有する形状が混在していることを意味する。バルクを粉砕することなどによって得られる粉体の形状は当然に不定形であるが、球状の粉体を用いた場合と比較したところ、不定形の粉体を用いた方が良好な減衰効果が得られた。これは、不定形の粉体を使用すると、粉体同士、粉体−エラストマー成分間の摩擦の際に引っ掛かり効果のようなものが生じ、球状のもの等を使用した場合と比較して摩擦が大きくなって、減衰性能が良好になるためであると考えられる。
本発明の免震構造体用プラグの製造に用いられるプラグ用組成物は、エラストマー成分に補強性充填剤を配合してなるエラストマー組成物と、粉体とを用いる以外特に制限はなく、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、第一工程において、エラストマー成分に、補強性充填剤と、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を加えて混練して、エラストマー組成物を調製する。
次に、第二工程において、上記エラストマー組成物に粉体を加えて更に混練する。第二工程においては、粉体を複数回に分けて配合することが好ましく、粉体を複数回に分けて配合することで、均一なプラグ用組成物を製造することが可能となる。
上記プラグ用組成物の製造の第一及び第二工程には、ニーダー、バンバリーミキサー等の通常の混練装置を用いることができる。また、混練の条件も、特に限定されるものではなく、当該技術分野において通常に用いられている条件を適宜改変して本発明の組成物が十分に混練されるような条件を設定することができる。例えば、第二工程の混練条件としては、回転数が20〜40 rpmの範囲で、温度は100℃程度が好ましい。エラストマー成分の粘度低下を抑えるためには、回転数は低い方が好ましい。また、温度については、エラストマー組成物への粉体の分散を良くするために、エラストマー組成物を軟化させるのに十分な温度が好ましいが、温度が高過ぎると、エラストマー成分が劣化したり、冷却に時間がかかり過ぎて生産性が低下したりする。なお、混練された組成物を排出する前に、圧力を開放して無加圧で混練することが好ましく、無加圧で混練することによって、組成物が固まりにならず、組成物の取り出しが容易となる。
<免震構造体用プラグ>
本発明の免震構造体用プラグは、上述したプラグ用組成物から製造された、例えば硬度や組成が異なる、少なくとも2種類のプラグ材を交互に少なくとも3層積層してなることを特徴とし、十分な減衰性能、変位追従性等を有する。本発明の免震構造体用プラグは、上記プラグ用組成物を用いて、例えば、以下の2つの製造方法の何れかを用いて製造することができる。
まず、成形装置内で異なる組成を有するプラグ用組成物を順次成形して免震構造体用プラグを製造する場合には、最初に、上記のようにして調製した所定の組成を有するプラグ用組成物を混練装置から取り出して成形装置に投入し、温度および圧力をかけてプレス加工することによって第1層のプラグ材を所定厚みで成形する。そして次に、第1層とは異なる組成を有するプラグ用組成物を、成形装置内の第1層の上に投入し、第1層と同様にプレス加工して第2層のプラグ材を第1層のプラグ材の上に一体成形する。その後、同様の手法により成形装置内でプラグ材を順次成形して積層し、免震構造体用プラグを成形する。なお、プレス加工に使用するプレス機としては、当該技術分野において通常使用されているものを採用することができる。また、プレス加工の条件も、特に限定されるものではなく、当該技術分野において通常に用いられている条件を適宜改変してプラグの成型に適した条件を設定することができる。例えば、プレス加工の条件としては、プレス温度は常温〜150℃の範囲が好ましく、成形圧力は0.7 t/cm2以上が好ましい。
一方、異なる組成を有するプラグ用組成物を成形したプラグ材を作製し、その成形されたプラグ材を積層することで免震構造体用プラグを製造する場合には、最初に、異なる組成を有するプラグ用組成物を混練装置から取り出し、それぞれ成形装置にてプレス加工してプラグ材とする。ここで、プレス加工に用いる装置および条件は、上記と同様の当該技術分野において通常使用されているものを用いることができる。そして次に、該プラグ材を積層して加圧することでプラグ材同士をつなげ、免震構造体用プラグを成形することができる。なお、上記プラグ材の積層および加圧は、免震構造体を構成する積層体の中空部にプラグ材を重ねて挿入し、プラグ材が挿入された中空部に蓋をすることにより該プラグ材を加圧するようにしても良い。また、プラグ材の積層は、既知の接着剤を用いてプラグ材同士を接着して行っても良い。
<免震構造体>
本発明の免震構造体は、2枚のフランジ間に、剛性を有する剛性板と弾性を有する弾性板とを交互に積層した、該積層方向に延びる貫通孔を有して積層方向両端部が弾性板よりなる積層体と、該積層体の貫通孔に圧入された、該積層体の厚みより長いプラグとを具え、該プラグが上述の免震構造体用プラグであるものであり、減衰性能、変位追従性等が高い。以下に、図面を参照しながら本発明の免震構造体の例を詳細に説明する。
図1にその断面図を示す免震構造体1は、略ドーナツ盤状の、剛性を有する剛性板2と弾性を有する弾性板3とを交互に積層してなり、積層方向(鉛直方向)に伸びる円柱状の中空部4を有する積層体5と、該中空部4に圧入されたプラグ6と、積層体5およびプラグ6の両端(上端および下端)に固定された、略ドーナツ盤状のフランジ板7と円盤状の封止板8とよりなる2枚のフランジ9と、積層体5の外周面を覆う被覆材10とを具えている。
積層体5を構成する剛性板2と弾性板3とは、例えば、加硫接着により、あるいは接着剤により強固に貼り合わされている。なお、加硫接着においては、剛性板2と未加硫ゴム組成物とを積層してから加硫を行い、未加硫ゴム組成物の加硫物が弾性板3となる。ここで、剛性板2としては、鋼板等の金属板、セラミックス板、FRP等の強化プラスチックス板等を使用することができる。一方、弾性板3としては、加硫ゴム製の板等を使用することができる。また、本発明の免震構造体を構成する積層体は、被覆材10で覆われていなくてもよいが、積層体5の外周面が被覆材10で覆われている場合、積層体5に外部から雨や光が届かなくなり、酸素やオゾン、紫外線による積層体5の劣化を防止できる。なお、被覆材10としては、弾性板3と同一の材料、例えば、加硫ゴム等を使用できる。
積層体5は、振動に起因する変位により水平方向のせん断力を受けた際には、せん断変形して、振動のエネルギーを吸収する。また、積層体5は、剛性板2と弾性板3とが交互に積層されてなるため、積層方向(鉛直方向)に荷重が作用しても、圧縮が抑制されている。
更に、上記積層体5の中空部4に圧入されたプラグ6も、振動に起因する変位により水平方向のせん断力を受けた際には、積層体5と共にせん断変形して、振動のエネルギーを効果的に吸収し、振動を速やかに減衰することができる。ここで、本発明の免震構造体は、プラグ6として上述したような少なくとも2種類のプラグ材を交互に少なくとも3層積層したプラグを用いているため、十分な減衰性能、変位追従性等を有する。
なお、積層するプラグ材の組成および厚みは、前述したように適宜調整したものを用いることができ、例えば図1に示すように、第1組成のプラグ材61と、第2組成のプラグ材62(プラグ材61の硬度はプラグ材62の硬度より高い)とを交互に積層する場合において、第1組成のプラグ材61を、隣接する2枚の剛性板2、または隣接するフランジ9と剛性板2に当接する厚みとし、第2組成のプラグ材62を弾性板3の厚みより薄い厚みとして第1組成のプラグ材61間に積層することができる。このようにすれば、水平方向の変位が加えられた際に比較的大きなせん断力がかかる剛性板2と弾性板3との界面に接するプラグ材を、崩れ難い第1組成のプラグ材61とすると共に、該第1組成のプラグ材61の間を崩れ易い第2組成のプラグ材62でつなぐことができるので、プラグ材6が全体的に均一に崩れ易くなり、十分な減衰性能、変位追従性等を発揮できる。
また、2枚のフランジ9は、例えば一方を地盤に、他方を構造物にボルト(図示せず)で固定することにより、免震構造体1を地盤と構造物との間に取り付けるためのものであり、フランジ板7および封止板8には、鋼板等の金属板、セラミックス板、FRP等の強化プラスチックス板等を使用することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(プラグ材A〜F)
ニーダーを用いて、表1に示す配合処方のエラストマー組成物を調製し、次に、該エラストマー組成物と鉄粉とを表1に示す体積比で混練してプラグ用組成物を調製した。そして、該プラグ用組成物を温度25℃、圧力1.3 ton/cm2でプレス加工して直径45 mmで円柱状のプラグ材を作製した。
Figure 0005091083
*1 天然ゴム, 未加硫, RSS#4
*2 ポリブタジエンゴム(低シス), 未加硫, 旭化成製「ジエンNF35R」
*3 カーボンブラック, ISAF, 東海カーボン製「シースト6P」
*4 樹脂, 日本ゼオン製「ゼオファイン」、新日本石油化学製「日石ネオポリマー140」、丸善石油化学製「マルカレッツM−890A」, 「ゼオファイン」:「日石ネオポリマー140」:「マルカレッツM−890A」=40:40:20(質量比)
*5 可塑剤, ジオクチルアジペート(DOA)
*6 その他の配合剤, 亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤[住友化学製「アンステージ6C]、ワックス[新日本石油製「プロトワックス1」], 亜鉛華:ステアリン酸:老化防止剤:ワックス=4:5:3:1(質量比)
*7 鉄粉1, 粒径=40μm, 不定形還元鉄粉
(硬度測定)
上記作製したプラグ材A〜Fの硬度を、デュロメータD型(高分子計器社社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
表1のプラグ材A〜Fから、プラグ組成物中の、エラストマー組成物に対する鉄粉の体積比率が高くなるに従って、成形されたプラグ材の硬度が高くなることがわかる。
(実施例1〜6)
また、上記作製したプラグ材A〜Fから2種類以上のプラグ材を選択し、表2に示すような厚さおよび順番で積層した免震構造体用プラグを、それぞれ100個作製した。なお、表2中の「プラグ材積層数」という欄は、積層したプラグ材の数を示し、「端部プラグ材」という欄は、プラグ材の上端および下端を構成するプラグ材が何れのプラグ材よりなるかを示し、「中央プラグ材」という欄は、プラグの端部プラグ材間の部分を構成するプラグ材を示す。
(比較例1)
更に、ニーダーを用いて、プラグ材Aと同じ配合処方のエラストマー組成物を調製し、該エラストマー組成物をプラグ材A〜Fと同様にプレス加工して単一の組成物(エラストマー組成物のみ)からなる免震構造体用プラグを100個作製した。
(比較例2)
プラグ材Aのみからなる免震構造体用プラグを100個作製した。
(減衰性能評価)
中央に円筒状の中空部を有し、外径が225 mmで、剛性を有する剛性板[鉄板、厚さ1.2mm]と弾性を有する弾性板[加硫ゴム(G'=0.4 MPa)、厚さ2mm]とが、フランジ板[鉄板、厚さ37mm]および封止板[鉄板、厚さ32mm]からなるフランジ間に交互に積層されてなる積層体の中空部に、上記実施例1〜6、および比較例1〜2で作製した免震構造体用プラグを圧入して、免震構造体を作製した。なお、上記剛性板および弾性板の積層は、フランジに隣接する板を弾性板とし、弾性板22枚と剛性板21枚を交互に積層した。また、プラグの体積は、積層体の中空部の体積の1.01倍とした。そして、上記免震構造体に対して、下記の方法で減衰性能を評価した。
具体的には、上記免震構造体に対し、動的試験機を用いて鉛直方向に基準面圧をかけた状態で水平方向に加振して規定変位のせん断変形を生じさせた。なお、加振変位は、積層体の総厚さを100%として、歪50〜250%とし、加振周波数は0.33 Hzとし、垂直面圧は10 MPaとした。図2に、水平方向の変形変位(δ)と免震構造体の水平方向荷重(Q)との関係を示す。図2中のヒステリシス曲線で囲まれた領域の面積ΔWが広くなるほど、振動のエネルギーを多く吸収できることを意味する。ここでは、簡便のため、歪200%における切片荷重Qd(変位0における水平荷重値)でプラグの減衰性能を評価した。なお、切片荷重Qdは、ヒステリシス曲線が縦軸と交差する点での荷重Qd1、Qd2を用いて、下記式:
d=(Qd1+Qd2)/2
から計算した。また、Qをプラグの断面積Aで割ってτを計算した。ここで、これらの計算値は、Qdまたはτが大きくなる程、ヒステリシス曲線で囲まれた領域の面積が広くなり、減衰性能が優れることを示す。
そして、上記免震構造体を用いた測定、並びにQdおよびτの計算を、作製した全てのプラグ(実施例毎に100個)に対して行った。その結果に対し、プラグ材Aと同一の組成物を用いて完全に均一なプラグを作製した場合における、該完全均一プラグを使用した免震構造体の歪150%におけるτの理論値(τ150%=85kgf/cm)と比較して、80%以下のτとなったプラグ(80%未達プラグ)の個数をカウントした。結果を表2に示す。
Figure 0005091083
*8 中央プラグ材を構成するプラグ材C,A,C,A,Cの各厚みは12.84mm
*9 中央プラグ材を構成するプラグ材B,C,D,E,D,C,Bの各厚みは9.17mm
表2の実施例1〜6および比較例1〜2から、単一の組成からなるプラグと比較し、異なる組成(硬度)を有する2種類以上のプラグ材を積層させたプラグの方が、減衰性能の優れた均一に崩れるプラグを安定的に提供できることがわかる。
また、表2の実施例5より、硬度の高いプラグ材の厚みが、剛性板の厚みと弾性板の厚みとの和の2〜3倍であるプラグが、より優れた減衰性能を示すことがわかる。
更に、実施例4〜5より、プラグ中で硬度の高いプラグ材の占める割合が、硬度の最も低いプラグ材の占める割合より高いプラグの方が、より優れた減衰性能を示すことがわかる。
表2の実施例2〜6より、端部のプラグ材が、フランジから突出する長さ以上の長さを有する場合に、より優れた減衰性能を示すことがわかる。また、実施例3〜6の結果から、端部のプラグ材は、フランジに隣接する弾性板を超えて第1の剛性板まで達する長さ以上の長さを有することが好ましく、そのような場合に、更に優れた減衰性能を示すことがわかる。
本発明の免震構造体の一例の断面図である。 プラグを使用した免震構造体における、水平方向の変形変位(δ)と水平方向荷重(Q)との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 免震構造体
2 剛性板
3 弾性板
4 中空部
5 積層体
6 プラグ
7 フランジ板
8 封止板
9 フランジ
10 被覆材
61 プラグ材
62 プラグ材

Claims (17)

  1. 異なる組成を有する少なくとも2種類のプラグ材を3層以上積層してなる免震構造体用プラグであって、
    前記プラグ材は、エラストマー成分に補強性充填剤を配合してなるエラストマー組成物と、粉体とを含有するプラグ用組成物から製造される、免震構造体用プラグ。
  2. 前記プラグ材が、異なる硬度を有する、請求項1に記載の免震構造体用プラグ。
  3. 前記プラグ材が、前記粉体と前記エラストマー組成物との比率が異なる前記プラグ用組成物から製造される、請求項1に記載の免震構造体用プラグ。
  4. 前記プラグ材が、前記粉体の形状が球形と不定形とで異なる前記プラグ用組成物から製造される、請求項1に記載の免震構造体用プラグ。
  5. 前記プラグ材が、前記補強性充填剤の含有率が異なる前記プラグ用組成物から製造される、請求項1に記載の免震構造体用プラグ。
  6. 前記粉体が金属粉及び/又は金属化合物粉であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の免震構造体用プラグ。
  7. 前記粉体が鉄粉であることを特徴とする請求項6に記載の免震構造体用プラグ。
  8. 前記補強性充填剤がカーボンブラック及び/又はシリカであることを特徴とする請求項1または請求項5に記載の免震構造体用プラグ。
  9. 剛性を有する剛性板と弾性を有する弾性板とを交互に積層した、該積層方向に延びる貫通孔を有して積層方向両端部が弾性板よりなる積層体と、
    前記積層体の前記貫通孔に圧入された、前記積層体の厚みより長いプラグと、
    前記積層体および前記プラグの前記積層方向両端面に取り付けられ、該プラグの一部が内部に位置するフランジと、を具える免震構造体において、
    前記プラグが、請求項1〜8の何れかに記載の免震構造体用プラグである、免震構造体。
  10. 前記プラグが、請求項2に記載の免震構造体用プラグであり、
    前記プラグ中の、硬度の高いプラグ材よりなる層の総厚みが、硬度の最も低いプラグ材よりなる層の総厚みより厚い、請求項9に記載の免震構造体。
  11. 前記プラグが、請求項3に記載の免震構造体用プラグであり、
    前記プラグ中の、粉体の比率が高いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層の総厚みが、粉体の比率が最も低いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層の総厚みより厚い、請求項9に記載の免震構造体。
  12. 前記プラグが、請求項4に記載の免震構造体用プラグであり、
    前記プラグ中の、不定形の粉体を含有するプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層の総厚みが、球形の粉体を含有するプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層の総厚みより厚い、請求項9に記載の免震構造体。
  13. 前記プラグが、請求項5に記載の免震構造体用プラグであり、
    前記プラグ中の、補強性充填剤の含有率が高いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層の総厚みが、補強性充填剤の含有率が最も低いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層の総厚みより厚い、請求項9に記載の免震構造体。
  14. 請求項10〜13の何れかに記載の免震構造体において、
    硬度の高いプラグ材よりなる層、粉体の比率が高いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層、不定形の粉体を含有するプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層、または補強性充填剤の含有率が高いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層の厚みが、前記剛性板の厚みと前記弾性板の厚みの和の2倍以上である、免震構造体。
  15. 請求項10〜13の何れかに記載の免震構造体において、
    硬度の高いプラグ材よりなる層、粉体の比率が高いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層、不定形の粉体を含有するプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層、または補強性充填剤の含有率が高いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層が、隣接する少なくとも2枚の前記剛性板に当接する位置にある、免震構造体。
  16. 請求項10〜15の何れかに記載の免震構造体において、
    前記プラグの両端部に位置する層が、硬度の高いプラグ材よりなる層、粉体の比率が高いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層、不定形の粉体を含有するプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層、または補強性充填剤の含有率が高いプラグ用組成物から製造されたプラグ材よりなる層であり、
    前記両端部の層が、前記フランジに隣接する弾性板に当接する厚みを有する、免震構造体。
  17. 前記両端部の層が、前記フランジに直近の剛性板に当接する厚みを有する、請求項16に記載の免震構造体。
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