JP5869860B2 - 免震構造体のプラグ用組成物の製造方法および免震構造体用プラグの製造方法 - Google Patents

免震構造体のプラグ用組成物の製造方法および免震構造体用プラグの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、免震装置の支承等として使用される免震構造体のプラグ用組成物の製造方法、および、該プラグ用組成物を用いた免震構造体用プラグの製造方法に関する。具体的には、本発明は、低歪み領域における減衰性能を向上させた免震構造体用プラグを提供することが可能なプラグ用組成物の製造方法、および、該プラグ用組成物を用いた免震構造体用プラグの製造方法に関するものである。
従来、ゴム板等の粘弾性的性質を有する軟質板と、鋼板等の硬質板とを交互に積層した免震構造体が、免震装置の支承等として使用されている。そして、このような免震構造体の中には、例えば、軟質板と硬質板とからなる積層体の中心に中空部を形成し、そして該中空部の内部に、均一組成となるように成形したプラグ(免震構造体用プラグ)を圧入したものがある。
ここで、軟質板と硬質板とからなる積層体に圧入された上記プラグは、地震の発生に伴って積層体がせん断変形する際に塑性変形し、振動エネルギーを吸収する。そして、該プラグとしては、全体が鉛からなるプラグが用いられることが多かった。しかしながら、鉛は、環境負荷が大きく、また廃棄時等に要するコストも大きい。そのため、近年では、鉛の代替材料を用いて、十分な減衰性能、変位追従性等を有するプラグを開発することが試みられている。
具体的には、鉛の代替材料を用いたプラグとして、エラストマー成分を含む高粘性体としてのエラストマー組成物と、鉄粉等の粉体とを含有するプラグ用組成物(粉末状材料)を加圧成形してなるプラグが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−133481号公報
ここで、エラストマー組成物と粉体とを含有する粉末状のプラグ用組成物を加圧成形してなる上記従来のプラグは、大変形、即ち、大きな歪に対しては優れた減衰性能および変位追従性を示す。しかし、本発明者らが検討を進めた結果、上記従来のプラグは、鉛プラグに比べて低歪み領域(例えば、せん断歪みが50%〜100%の領域)における減衰性能が十分ではなく、低歪み領域における減衰性能に改善の余地があることが明らかとなった。
そこで、本発明者らは、エラストマー組成物と粉体とを含有するプラグ用組成物を加圧成形してなるプラグの低歪み領域における減衰性能を向上することを目的として、鋭意検討を行った。そして、本発明者らは、エラストマー組成物および粉体に加え、エラストマー組成物よりもD硬さ(タイプDデュロメータ硬さ)が30以上高い硬質樹脂を含有するプラグ用組成物を免震構造体のプラグに使用することで、低歪み領域における減衰性能に優れたプラグが得られることを見出した。
しかし、本発明者らが更に検討を進めた結果、エラストマー組成物と、粉体と、硬質樹脂とを含有するプラグ用組成物は、調製条件によっては、加圧成形に適した粉末状にならず、ブロック状(塊状)になってしまう場合があることが明らかとなった。即ち、硬質樹脂を含有するプラグ用組成物には、調製条件によってはプラグ用組成物がブロック状材料になってしまい、所望の性能を発揮するプラグの成形が困難になるという懸念があった。
そこで、本発明は、低歪み領域における減衰性能を向上させた免震構造体用プラグを提供することが可能で、且つ、成形性に優れるプラグ用組成物の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、低歪み領域における減衰性能に優れる免震構造体用プラグの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者らは、エラストマー組成物を予め調製した後に粉体および硬質樹脂と混練し、且つ、混練時の温度を所定の温度範囲内とすることにより、低歪み領域における減衰性能を向上させた免震構造体用プラグを提供することが可能な、成形性に優れるプラグ用組成物を調製し得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の免震構造体のプラグ用組成物の製造方法は、少なくともエラストマー成分を含むエラストマー組成物を調製するエラストマー組成物調製工程と、前記エラストマー組成物に対し、粉体と、前記エラストマー組成物よりもD硬さが30以上高い硬質樹脂とを加えて混練し、プラグ用組成物を得る混練工程とを含み、前記粉体は、金属粉または金属化合物粉であり、前記混練工程において、前記硬質樹脂を加えた後の混練温度を、前記硬質樹脂の軟化点以下の温度とすることを特徴とする。このように、エラストマー組成物および粉体に加えて硬質樹脂を配合すれば、低歪み領域における減衰性能に優れた免震構造体用プラグを作製することが可能なプラグ用組成物が得られる。また、混練工程における硬質樹脂添加後の混練温度を硬質樹脂の軟化点以下の温度とすれば、プラグ用組成物がブロック状になるのを抑制して、所望の性能を発揮する免震構造体用プラグを容易に成形することが可能なプラグ用組成物が得られる。更に、エラストマー組成物調製工程の後に混練工程を実施すれば、エラストマー組成物の調製を比較的高い温度(硬質樹脂の軟化点超の温度)で行うことができるので、プラグ用組成物がブロック状になるのを抑制しつつ、エラストマー組成物への配合成分が均一に分散したプラグ用組成物が得られる。
なお、本発明において、「D硬さ」とは、JIS K6253に準拠して測定したタイプDデュロメータ硬さを指す。また、本発明において、「軟化点」は、JIS K7206に準拠して測定したビカット軟化温度を指す。更に、本発明において、「混練温度」とは、混練中の被混練物の温度を指す。また、本発明において、「硬質樹脂の軟化点」とは、軟化点の異なる複数の硬質樹脂が配合されている場合には、配合されている硬質樹脂のうち最も軟化点が低い樹脂の軟化点を指す。
ここで、本発明の免震構造体のプラグ用組成物の製造方法は、前記混練工程において、前記エラストマー組成物に対し、前記粉体を、複数回に分けて断続的に、或いは、連続的に加えて混練することが好ましい。粉体を断続的に、或いは、連続的にエラストマー組成物に添加して混練すれば、粉体をエラストマー組成物に一気に添加して混練する場合と比較して、混練温度および混練時のトルクの急激な増加を抑制することができ、エラストマー組成物中の紛体の分散状態を良好にすることができるからである。
そして、本発明の免震構造体のプラグ用組成物の製造方法は、前記混練工程において、前記エラストマー組成物に対し、前記粉体を複数回に分けて断続的に加えて混練し、前記エラストマー組成物に対して前記粉体を一回以上加えて混練した後に、前記エラストマー組成物と前記粉体との混合物に対して前記硬質樹脂を加えることが好ましい。粉体をエラストマー組成物に一回以上添加して混練した後に、エラストマー組成物と粉体との混合物に対して硬質樹脂を添加すれば、硬質樹脂添加後の混練温度の上昇を抑制することができるからである。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の免震構造体用プラグの製造方法は、上述した免震構造体のプラグ用組成物の製造方法の何れかを用いて製造したプラグ用組成物を金型内で加圧成形する加圧成形工程を含むことを特徴とする。このように、上述したプラグ用組成物の製造方法を用いて製造したプラグ用組成物を加圧成形すれば、低歪み領域における減衰性能に優れる免震構造体用プラグが得られる。
そして、本発明の免震構造体用プラグの製造方法は、前記加圧成形工程において、前記硬質樹脂の軟化点以下の温度で前記プラグ用組成物を加圧成形することが好ましい。プラグ用組成物を軟化点以下の温度で加圧成形すれば、低歪み領域における減衰性能が更に優れる免震構造体用プラグが得られるからである。
本発明の免震構造体のプラグ用組成物の製造方法によれば、低歪み領域における減衰性能を向上させた免震構造体用プラグを提供することが可能で、且つ、成形性に優れるプラグ用組成物を製造することができる。
また、本発明の免震構造体用プラグの製造方法によれば、低歪み領域における減衰性能に優れる免震構造体用プラグを製造することができる。
本発明に従う代表的な免震構造体用プラグの製造方法を用いて免震構造体用プラグを製造する際の操作フローを示す説明図である。 本発明に従う免震構造体用プラグの製造方法を用いて製造した免震構造体用プラグを使用した免震構造体の一例の断面図である。 免震構造体用プラグを使用した免震構造体における、水平方向の変形変位(δ)と水平方向荷重(Q)との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ここで、本発明に従う免震構造体用プラグの製造方法を用いて製造された免震構造体用プラグは、免震装置の支承等として使用される免震構造体に用いられる。また、本発明に従う免震構造体のプラグ用組成物の製造方法を用いて製造されたプラグ用組成物は、免震構造体用プラグを製造する際に用いられる。
なお、本発明に従う免震構造体用プラグの製造方法を用いて製造した免震構造体用プラグを使用した免震構造体としては、特に限定されることなく、図2に免震構造体用プラグの延在方向に沿う断面を示すような免震構造体1を挙げることができる。
ここで、図2に断面を示す免震構造体1は、剛性を有する剛性板2と、粘弾性を有する弾性板3とが交互に積層されてなり、積層方向(鉛直方向)に延びる円筒状の中空部を中心部に有する積層体4と、積層体4の中空部に圧入された円筒状の免震構造体用プラグ5と、積層体4および免震構造体用プラグ5の両端(上端および下端)に固定されたフランジ板6とを備えている。また、免震構造体1の積層体4の外周面は、被覆材7により覆われている。
そして、免震構造体1では、積層体4を構成する剛性板2と弾性板3とは、例えば、加硫接着により、或いは、接着剤により強固に貼り合わされている。なお、加硫接着を用いて積層体4を形成する場合には、剛性板2と未加硫ゴム組成物との積層体を加硫して未加硫ゴム組成物の加硫物を弾性板3とすることにより、弾性板3の成形および剛性板2と弾性板3との加硫接着を同時に行っても良い。ここで、剛性板2としては、鋼板等の金属板、セラミックス板、FRP等の強化プラスチックス板等を用いることができる。一方、弾性板3としては、加硫ゴム製の板等を使用することができる。また、積層体4は、被覆材7で覆われていなくてもよいが、酸素、オゾン、紫外線等による積層体4の劣化を防止する観点からは、積層体4の外周面は被覆材7で覆われていることが好ましい。ここで、被覆材7としては、弾性板3と同一の材料、例えば、加硫ゴム等を使用できる。
なお、この免震構造体1では、振動により水平方向のせん断力を受けた際には、積層体4およびプラグ5がせん断変形し、振動のエネルギーを効果的に吸収して、振動を速やかに減衰する。また、免震構造体1では、積層体4が、剛性板2と弾性板3とを交互に積層して構成されているため、積層方向(鉛直方向)に荷重が作用しても、圧縮が抑制されている。
そして、免震構造体1は、以下に詳細に説明するプラグ用組成物の製造方法を用いて製造したプラグ用組成物を使用した免震構造体用プラグ5を用いているため、低歪み領域においても優れた減衰性能を発揮する。
(プラグ用組成物)
以下に、本発明の免震構造体のプラグ用組成物の製造方法を用いて製造されるプラグ用組成物を詳細に説明する。本発明のプラグ用組成物の製造方法を用いて製造されるプラグ用組成物は、少なくともエラストマー成分を含むエラストマー組成物と、粉体と、エラストマー組成物よりもD硬さが30以上高い硬質樹脂とを含有することを特徴とする。
ここで、エラストマー組成物と粉体とを含有し、硬質樹脂を含有しない従来のプラグ用組成物においては、粉体を配合することにより、プラグ用組成物を用いて成形した免震構造体用プラグの減衰性能を高めていた。しかし、本発明のプラグ用組成物の製造方法を用いて製造されるプラグ用組成物は、エラストマー組成物の一部を硬質樹脂で置き換えることで、エラストマー組成物と硬質樹脂との硬度差に相当する分だけ応力を高めている。そのため、このプラグ用組成物によれば、特に、成形したプラグの低歪み領域における減衰性能(特には、荷重−歪ヒステリシス曲線における切片荷重Qdや切片応力τd)を向上させることができるものと考えられる。なお、プラグ用組成物に配合する粉体(例えば、鉄粉)の量を増やすことによってもプラグの減衰性能を向上させることができる。しかし、粉体の量を増やすと、作業性が悪化したり、プラグの周りに位置する弾性板(例えば、ゴム板)を傷めたりする恐れがある。そのため、このプラグ用組成物では、上記のとおり、エラストマー組成物よりもD硬さが30以上高い硬質樹脂を配合することで、減衰性能、特には、低歪み領域での減衰性能を向上させる。
<エラストマー組成物>
上記プラグ用組成物に用いられるエラストマー組成物は、少なくともエラストマー成分を含み、更に、補強性充填剤等の配合剤を含むことができる。
ここで、エラストマー成分としては、室温でゴム弾性を呈するもの、例えば、天然ゴム、合成ゴム等のゴムや、熱可塑性エラストマーを使用することができる。これらの中でも、エラストマー成分としては、天然ゴムや合成ゴム等のゴムを使用することが好ましい。天然ゴムや合成ゴム等のゴムは、粘弾性体であり、若干の弾性は示すものの塑性が大きく、大変形にも追従でき、更に、振動後、原点に戻ったときには再び同じ状態に再凝集できるからである。また、エラストマー成分がゴムの場合(即ち、エラストマー組成物がゴム組成物の場合)、プラグの減衰性能が向上する上、耐久性も向上するからである。なお、上記エラストマー成分としては、より具体的には、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ化ゴム、多硫化ゴム、ハイパロン、エチレン酢酸ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレン−メチルアクリレート共重合体、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー等が挙げられる。これらエラストマー成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
上記エラストマー成分は、少なくとも一部、好ましくは全てが未架橋であることが好ましい。即ち、エラストマー成分がゴムの場合には、ゴムは未加硫であることが好ましい。エラストマー成分が完全に架橋されている場合、そのエラストマー成分を含むプラグ用組成物を用いて成形したプラグは、大変形を受けた際には変形するものの、変形時にプラグ中での粉体の位置を変えることができない。従って、エラストマー成分が完全に架橋されている場合、プラグは、ある限界点をもって変形への追従が不可能となり、架橋エラストマー部分が破断、或いは、架橋エラストマー部分の反発力で元の形状に戻ろうとする。そして、架橋エラストマー部分が破断してしまうと、プラグの位置が原点に戻ってもプラグが元の形状に戻らないため、減衰性能が徐々に低下してしまい、また、架橋エラストマー部分の反発力が働くと、プラグ本来の減衰性能が発揮できなくなる。一方、エラストマー成分が未架橋であれば、変形への追従が可能であり、また、プラグが大変形の履歴を受けた後、再び原点に戻った際に、プラグ全体には静水圧がかかっているため、プラグが元の形状に戻ることができる。そして、その結果、初期と同等の性能を長期に渡って維持することが可能となる。なお、架橋点が非常に少ない場合、または、プラグの表面のみが架橋されている場合は、プラグが、変形した後に元の形状に戻ることができる。従って、本発明において「未架橋」とは、架橋反応を未だ完全には経ていない状態を指し、部分的に架橋された状態も包含する。
上記エラストマー組成物は、更に、補強性充填剤を含むことが好ましい。なお、本発明において、「補強性充填剤」とは、エラストマー成分に対する補強を行っており、自身の凝集力とエラストマー成分との結合力を強く有する物質である。そして、補強性充填剤は、エラストマー成分に配合されることによって、該結合力によりエラストマー組成物全体の粘度を上昇させ、その結果としてプラグの減衰性能を向上させる作用を有する。
なお、一般に、免震構造体のプラグは、地震で発生したエネルギーを吸収する(例えば、熱等に変換する)ことで減衰効果を発揮するため、プラグの流動抵抗が大きくなるに従って、減衰効果が大きくなる。これに対し、エラストマー成分に補強性充填剤を配合した場合、エラストマー組成物の流動抵抗が大きくなり(即ち、エラストマー組成物を用いて成形したプラグの流動抵抗が大きくなり)、十分な減衰性能、変位追従性等を有するプラグを得ることが可能となる。
ここで、補強性充填剤としては、エラストマー成分との相互作用によってエラストマー組成物の粘度を向上させる効果が大きい点で、カーボンブラックおよびシリカが好ましく、カーボンブラックが特に好ましい。ここで、カーボンブラッックとしては、SAF、ISAF、HAFグレードのもの等が挙げられ、これらの中でも、SAF、ISAFグレードのもの等の、微粒子で表面積が大きいものが好ましい。また、シリカとしては、湿式シリカ、乾式シリカおよびコロイダルシリカ等が挙げられる。これら補強性充填剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
補強性充填剤の配合量は、エラストマー成分100質量部に対して60〜150質量部の範囲が好ましい。エラストマー組成物における補強性充填剤の配合量が60質量部未満では、エラストマー組成物の粘度および流動抵抗が低く、プラグの減衰性能が不十分となり易い。一方、補強性充填剤の配合量が150質量部を超えると、混練が難しく、均一なエラストマー組成物を調製し難くなる上、プラグの繰り返し安定性が低下する。
また、エラストマー組成物は、該エラストマー組成物よりもD硬さが30以上高い樹脂(硬質樹脂)以外の樹脂、例えば、該エラストマー組成物よりもD硬さが低い軟質樹脂を含有することが好ましい。エラストマー組成物が軟質樹脂を含む場合、プラグが大変形した際の減衰性能も向上させることができる。また、かかる軟質樹脂は、プラグ用組成物の調製時に加工助剤として作用し、プラグ用組成物の混練を容易にすることができる。
軟質樹脂としては、粘着付与剤としての作用を有するものが好ましい。より具体的には、軟質樹脂としては、フェノール樹脂、ロジン樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、ジシクロペンタジエン−イソプレン共重合体、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、脂環式系石油樹脂、C5留分とC9留分を共重合して得られる石油樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂およびケトン樹脂、並びに、これらの樹脂の変性樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、エラストマー組成物における軟質樹脂の配合量は、エラストマー成分100質量部に対して20〜100質量部の範囲が好ましい。軟質樹脂の配合量が20質量部未満では、大変形の際のプラグの減衰性能を向上させる効果が小さく、一方、100質量部を超えると、エラストマー組成物の加工性が低下することがある。
更に、エラストマー組成物には、エラストマー成分、補強性充填剤、軟質樹脂の他に、老化防止剤、ワックス、可塑剤、軟化剤等のエラストマー組成物に一般に添加される添加剤も配合できる。ここで、エラストマー組成物に老化防止剤を配合することにより、長期間経過した後でもプラグの物性変化を小さく抑えることが可能となる。なお、成形したプラグの物性変化を抑制するために、老化防止剤と共に、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、安定剤、難燃剤等を配合することはとりわけ有効である。
ここで、可塑剤としては、フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、テトラヒドロフタル酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、クエン酸、イタコン酸、オレイン酸、リシノール酸、ステアリン酸、リン酸、スルホン酸等の誘導体(例えば、エステル);グリコール、グリセリン、エポキシの誘導体、重合系可塑剤が挙げられる。これら可塑剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
軟化剤(オイル)としては、アロマ系オイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル等の鉱物油系軟化剤;ヒマシ油、綿実油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、パーム油、落花生油、ロジン、パインオイル等の植物油系軟化剤;シリコーン油等の低分子量オイルを挙げることができる。これら軟化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
<粉体>
上記プラグ用組成物に用いる粉体は、プラグの減衰性能を主として担う材料であり、具体的には、粉体同士の摩擦、粉体とエラストマー成分との摩擦、および、粉体と硬質樹脂との摩擦により振動を減衰させる。ここで、本発明において粉体とは、補強性充填剤および硬質樹脂以外のものを指す。そして、粉体には、例えば、金属粉、炭化ケイ素粉等が包含される。なお、プラグ用組成物が粉体を含まない場合、プラグの減衰性能が大幅に低下して、十分な減衰性能、変位追従性等を得ることができない。
粉体としては、金属粉が好ましく、また、該金属粉としては、環境への負荷が小さいものが好ましい。具体的には、金属粉としては、例えば、鉄粉、ステンレス粉、ジルコニウム粉、タングステン粉、青銅(CuSn)粉、アルミニウム粉、金粉、銀粉、錫粉、炭化タングステン粉、タンタル粉、チタン粉、銅粉、ニッケル粉、ニオブ粉、鉄−ニッケル合金粉、亜鉛粉、モリブデン粉等が挙げられる。これらの金属粉は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの金属粉は、金属酸化物粉でもよいため、粉体としては、金属酸化物粉等の金属化合物粉も好適に使用できる。これらの粉体の中でも、鉄粉が特に好ましい。鉄粉は、安価である上、他の金属粉と対比して破壊強度が高いからである。また、鉄粉を主成分とする免震構造体用プラグは、固すぎることも脆すぎることもないため、優れた減衰性能を長期に渡って発揮することができるからである。なお、鉄粉としては、還元鉄粉、電解鉄粉、噴霧鉄粉、純鉄粉、鋳鉄粉等が挙げられるが、これらの中でも、還元鉄粉が好ましい。
プラグ用組成物における粉体の含有量は、50〜74体積%の範囲が好ましく、60〜74体積%の範囲が更に好ましい。また、(硬質樹脂+エラストマー組成物)/粉体(体積比)は、50/50〜26/74の範囲が好ましく、40/60〜26/74の範囲が更に好ましい。プラグ用組成物中の粉体の含有量が50体積%未満では、粉体間の距離が広すぎ、変形時の粉体同士の摩擦、および、粉体と他の成分との間の流動抵抗が小さくなるため、プラグの減衰性能が不十分になり易い。一方、プラグ用組成物中の粉体の含有量が74体積%を超えると、粉体同士の接触が増え、プラグの繰り返し耐久性が低下する。また、粉体の含有量が74体積%を超えると、プラグを成形する際に、プラグ用組成物から空気を十分に除くことが難しく、プラグの体積が理想体積(空気の混入が無い場合の体積)より大幅に大きくなり、プラグの減衰性能が低下する。なお、プラグ用組成物中の粉体の含有量が60〜74体積%であれば、プラグの減衰性能を良好に維持できる上、変位追従性、繰り返し安定性、加工性も良好となる。
ここで、粉体の粒径は、0.1μm〜2mmの範囲が好ましく、1μm〜150μmの範囲が更に好ましい。粉体の粒径が0.1μm未満では、取り扱いが困難であり、一方、粉体の粒径が2mmを超えると、粉体同士の摩擦が減少してプラグの減衰効果が低下する傾向がある。なお、粉体の粒径が1μm以上であれば、取り扱いが容易であり、粉体の粒径が150μm以下であれば、プラグの減衰性能が十分に高くなる。
また、粉体の形状は、不定形であることが好ましい。ここで、不定形とは、球状などの1種類の形状のみではなく、凹凸を有するものや突起を有するものなど、種々の形態を有する形状が混在していることを意味する。バルクを粉砕することなどによって得られる粉体の形状は当然に不定形であるが、球状の粉体を用いた場合と比較したところ、不定形の粉体を用いた方が良好な減衰効果が得られた。これは、不定形の粉体を使用すると、粉体同士、粉体−エラストマー成分間、粉体−硬質樹脂間の摩擦の際に引っ掛かり効果のようなものが生じ、球状のもの等を使用した場合と比較して摩擦が大きくなって、減衰性能が良好になるためであると考えられる。
<硬質樹脂>
上記プラグ用組成物は、エラストマー組成物よりもD硬さが30以上高い硬質樹脂を含有する。エラストマー組成物よりもD硬さが30以上高い硬質樹脂を配合することで、プラグ用組成物が硬くなり、プラグの低歪み領域での減衰性能(特には、荷重−歪ヒステリシス曲線における切片荷重Qdや切片応力τd)を向上させることができる。ここで、プラグの低歪み領域での減衰性能を更に向上させる観点からは、硬質樹脂のD硬さは60〜90の範囲が好ましい。硬質樹脂のD硬さが60〜90の範囲内であれば、プラグ用組成物が十分に硬くなり、プラグの低歪み領域での減衰性能を大幅に向上させることができる。
ここで、硬質樹脂としては、炭化水素系プラスチックのポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS);エンジニアリングプラスチックのポリアミド(PA)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン(PPE/PS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)等が好ましい。
硬質樹脂の含有量は、エラストマー組成物と、粉体と、硬質樹脂との合計量の5〜10体積%の範囲が好ましい。硬質樹脂の含有量が、エラストマー組成物と、粉体と、硬質樹脂との合計量の5体積%以上であれば、プラグ用組成物が十分に硬くなり、プラグの低歪み領域での減衰性能(特には、切片応力τd)を大幅に向上させることができる。また、硬質樹脂の含有量が、エラストマー成分と、粉体と、硬質樹脂との合計量の10体積%以下であれば、プラグの高歪み領域(例えば、せん断歪みが150%〜250%の領域)の減衰性能の低下を十分に抑制できる。なお、硬質樹脂の含有量が多くなりすぎると高歪み領域での減衰性能が低下するが、これは、プラグ用組成物中のエラストマー組成物の割合が減少し、プラグの高歪み領域での減衰性能の発現に大きく寄与する軟質樹脂の量が減少するためである。従って、硬質樹脂の含有量を5〜10体積%程度として硬くすることにより、低歪み領域下での応力(τd)を効果的に向上させることができる。
(プラグ用組成物の製造方法)
ここで、本発明の免震構造体のプラグ用組成物の製造方法は、エラストマー組成物を調製するエラストマー組成物調製工程と、エラストマー組成物に対して粉体および硬質樹脂を加えて混練し、プラグ用組成物を得る混練工程とを含み、硬質樹脂を加えた後の混練温度を、硬質樹脂の軟化点以下の温度とすることを特徴とする。そして、本発明のプラグ用組成物の製造方法の一例では、本発明のプラグ用組成物の製造方法の一例を用いて免震構造体用プラグを製造する際の操作フローを図1に示すように、上述したプラグ用組成物を、以下のようにして製造する。
<エラストマー組成物調製工程>
まず、エラストマー組成物調製工程では、図1に示すように、上述したエラストマー成分に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を加えて混練して、エラストマー組成物を調製する。なお、エラストマー成分と配合剤との混練は、ニーダー、バンバリーミキサー等の通常の混練装置を用いて行うことができる。
ここで、エラストマー組成物と、粉体と、硬質樹脂とを含むプラグ用組成物を調製する場合、エラストマー組成物の原料(エラストマー成分および配合剤)と、硬質樹脂および粉体とを同時に混練装置内に投入して混練することも考えられる。しかし、本発明のプラグ用組成物の製造方法では、エラストマー組成物調製工程において予めエラストマー組成物を調製した後に、調製したエラストマー組成物と、粉体と、硬質樹脂とを混練して、プラグ用組成物を調製する。これは、エラストマー組成物の原料と、硬質樹脂および粉体とを同時に混練装置内に投入して混練した場合、エラストマー成分、配合剤、粉体および硬質樹脂が均一に分散せず、均一組成のプラグ用組成物が得られないからである。即ち、プラグ用組成物中でエラストマー成分、配合剤、粉体および硬質樹脂が均一に分散せず、所望の減衰性能を有するプラグを得ることができなくなるからである。また、後に詳細に説明するように、プラグ用組成物がブロック状の材料になるのを抑制するためには、硬質樹脂を加えた後の混練温度を硬質樹脂の軟化点以下の温度とする必要があるので、エラストマー組成物の原料と硬質樹脂とを同時に混練する場合、混練温度を十分に高めることができず、配合剤をエラストマー成分中に均一に分散させることができないからである。
なお、エラストマー組成物調製工程における混練温度は、上述した硬質樹脂の軟化点超とすることが好ましく、エラストマー成分や配合剤が熱により著しく劣化する温度未満とすることが好ましい。混練温度を硬質樹脂の軟化点よりも高くすれば、エラストマー組成物と硬質樹脂とを混練する前にエラストマー組成物の混練を高い温度で行い、エラストマー成分中に配合剤が均一に分散したエラストマー組成物を得ることができるからである。また、混練温度をエラストマー成分や配合剤が著しく劣化する温度未満とすれば、所望の性能を有するプラグ用組成物を調製することができるからである。
また、エラストマー成分に対して軟質樹脂を配合して混練する場合、混練温度は軟質樹脂の軟化点以上とすることが好ましい。混練温度を軟質樹脂の軟化点以上とすれば、エラストマー成分中に軟質樹脂を均一に分散させることができるからである。なお、「軟質樹脂の軟化点」とは、軟化点の異なる複数の軟質樹脂を配合する場合には、軟化点が最も高い軟質樹脂の軟化点を指す。
ここで、混練温度は、混練機内に設置した温度計を用いることにより、或いは、混練装置から排出された直後の被混練物(エラストマー組成物)の内部の温度を温度計で直接測定することにより測定することができる。また、混練温度は、混練機の運転条件(例えば、回転数)の変更等、既知の手法を用いて制御することができる。
<混練工程>
次に、混練工程では、図1に示すように、上記エラストマー組成物調製工程で調製したエラストマー組成物に対して粉体(例えば、鉄粉)と硬質樹脂とを加えて混練し、粉末状のプラグ用組成物を調製する。なお、エラストマー組成物と、粉体と、硬質樹脂との混練は、ニーダー、バンバリーミキサー等の通常の混練装置を用いて行うことができる。また、硬質樹脂は、硬質樹脂のペレットを既知の手法により例えば粒径100〜300μmまで粉砕してから配合することができる。
ここで、混練工程では、硬質樹脂を加えた後の混練温度を、硬質樹脂の軟化点以下の温度とする必要がある。なお、硬質樹脂を加えた後の混練温度は、硬質樹脂の軟化点未満であることが好ましく、硬質樹脂の軟化点よりも20℃以上低いことが更に好ましい。これは、硬質樹脂を加えた後の混練温度を硬質樹脂の軟化点よりも高い温度とすると、硬質樹脂とエラストマー組成物との相溶性の悪さ等に起因して、得られたプラグ用組成物がブロック状になってしまうからである。即ち、硬質樹脂の軟化点より高い温度で混練を行うと、得られたプラグ用組成物を冷却した際に、一度軟化した硬質樹脂が塊になって硬化するので、プラグ用組成物が加圧成形に不向きなブロック状の材料になってしまうからである。因みに、このようなブロック状のプラグ用組成物を加圧成形した場合、所望の形状のプラグにすることができないか、或いは、プラグ中に大量の空隙が含まれてしまうので、所望の性能を発揮するプラグを得ることができない。また、ブロック状のプラグ用組成物を加圧成形してなるプラグでは、硬質樹脂と粉体との間の摩擦が大きくならず、低歪み領域での減衰性能を十分に向上させることができない。
なお、混練工程では、エラストマー組成物と、粉体と、硬質樹脂とを同時に混練装置内に投入して混練しても良い。しかし、より均一な組成のプラグ用組成物を得る観点からは、粉体は、複数回に分けて断続的に投入、或いは、一定以上の時間に亘って連続的に投入することが好ましく、複数回に分けて断続的に投入することがより好ましい。混練装置内に大量の粉体を同時に投入した場合、混練時のトルクおよび混練温度が急激に増加して、混練温度の制御が困難になると共に、粉体がプラグ用組成物中で均一に分散し難くなるからである。
ここで、粉体を複数回(例えば、n回)に分けて断続的に投入する場合、各回の投入量は任意の量とすることができるが、図1に示すように、各回とも粉体を均等に(1/nずつ)投入することが好ましい。均等な割合で粉体を投入すれば、混練温度等の制御が容易になり、粉体が均一に分散し易いからである。
また、粉体を複数回に分けて断続的に投入する場合、硬質樹脂は、粉体を一回以上投入して混練した後に、エラストマー組成物と粉体との混合物に対して投入することが好ましい。粉体を添加した後は混練温度が上昇し易いが、粉体をエラストマー組成物に一回以上投入して混練した後に硬質樹脂を添加すれば、硬質樹脂添加後の混練温度の上昇を抑制することができるからである。なお、硬質樹脂の投入は、粉体のn−1回目の投入以前に行うことが好ましく、粉体の二回目の投入と同時に行うことがより好ましい。投入後の混練時間が長いほど、プラグ用組成物中で硬質樹脂がより均一に分散するからである。
ここで、硬質樹脂添加後の混練温度の上昇の抑制と、プラグ用組成物中での硬質樹脂の均一な分散とを両立する観点からは、混練工程における全混練時間をTとした時に、硬質樹脂は、混練工程の開始から0.2T〜0.5Tの間に投入することが好ましい。
なお、混練工程における混練温度の測定および制御は、エラストマー組成物調製工程と同様にして行うことができる。
(免震構造体用プラグ)
本発明の免震構造体用プラグの製造方法を用いて製造される免震構造体用プラグは、上述した製造方法に従い製造したプラグ用組成物を用いて製造されたことを特徴とする。そして、この免震構造体用プラグは、低歪み領域における減衰性能に優れる。
(免震構造体用プラグの製造方法)
ここで、本発明の免震構造体用プラグの製造方法は、上述した製造方法に従い製造したプラグ用組成物を金型内で加圧成形する加圧成形工程を含むことを特徴とする。
<加圧成形工程>
加圧成形工程では、混練装置から取り出した粉末状のプラグ用組成物を成型装置(円筒状金型)に移し、金型内のプラグ用組成物を両側または片側からプッシャーで押して加圧(プレス加工)することにより、プラグを成形する。なお、プラグ用組成物を加圧する際に使用するプレス機としては、当該技術分野において通常使用されているものを採用することができる。また、成形圧力は、特に限定されることなく、0.7t/cm2以上とすることができる。
ここで、加圧成形工程においてプラグを成形する際の温度(成形温度)は、特に限定されることなく、常温から硬質樹脂の軟化点までの範囲内とすることが好ましく、硬質樹脂の軟化点未満とすることが特に好ましい。成形温度を高温にすれば、成形されたプラグ中の空隙(空気の残存)を減少させることができ、プラグの減衰性能を更に高めることができるからである。一方、成形温度を硬質樹脂の軟化点よりも高くすると、加圧成形時に硬質樹脂が軟化し、所望の減衰性能を有するプラグが成形できなくなる可能性があるからである。
なお、成形温度は、例えば、円筒状金型やプッシャーの内部、或いは、円筒状金型の内周面またはプッシャーの先端部(即ち、成形されたプラグの表面と接触する部分)に温度計を設置することにより測定することができる。また、成形温度は、円筒状金型の加熱等、既知の手法を用いて制御することができる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明の免震構造体のプラグ用組成物の製造方法および免震構造体用プラグの製造方法は上記一例に限定されることは無く、本発明の免震構造体のプラグ用組成物の製造方法および免震構造体用プラグの製造方法には、適宜変更を加えることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜4、比較例2〜4)
まず、ニーダーを用いて、表1に示す配合処方のエラストマー組成物を表2に示す条件で調製した(エラストマー組成物調製工程)。
次に、ニーダーを用いて、エラストマー組成物と、粉体としての鉄粉(粒径=40μm,不定形な還元鉄粉)と、表2に示す硬質樹脂とを、表2に示す体積比および条件で混練して、プラグ用組成物を調製した(混練工程)。なお、鉄粉は、4回に分けて等量ずつニーダーに投入した。また、硬質樹脂は、粒径100〜300μmに粉砕したものを、鉄粉の2回目の投入と同時にニーダーに投入した。
最後に、得られたプラグ用組成物を温度100℃、圧力1.3ton/cm2で加圧成形して、直径が45mmの円柱状の免震構造体用プラグを作製した(加圧成形工程)。なお、比較例2〜4では、円柱状の免震構造体用プラグを成形することができなかった。
そして、得られた円柱状の免震構造体用プラグについて、下記の方法で減衰性能を評価した。また、プラグ用組成物について、形状および成形性を下記の方法で評価した。更に、エラストマー組成物および硬質樹脂のD硬さをJIS K6253に準拠して測定した。結果を表2に示す。
(比較例1)
硬質樹脂を使用せず、エラストマー組成物と鉄粉とを表2に示す体積比および条件で混練した以外は、実施例1と同様にしてエラストマー組成物、プラグ用組成物および円柱状の免震構造体用プラグを作製した。そして、実施例1と同様にして、免震構造体用プラグの減衰性能、並びに、プラグ用組成物の形状および成形性を評価した。結果を表2に示す。
<プラグ用組成物の形状>
目視により、得られたプラグ用組成物の形状を評価した。そして、直径30mm以上の塊になっている場合には、「ブロック状」と評価し、直径30mm以上の塊が見られない場合には、「粉末状」と評価した。
<プラグ用組成物の成形性>
直径160mm、高さ120mmの円柱状の免震構造体用プラグの成形を試みた際に、成形できたプラグの空隙率が3.5%以下であった場合には「○(良好)」とし、空隙率が3.5%超であった場合または円柱状に成形できなかった場合には「×(不良)」とした。
なお、「空隙率」とは、免震構造体用プラグの製造に使用したプラグ用組成物の理論比重(ρA)と免震構造体用プラグの実比重(ρB)との差(ρA−ρB)を、免震構造体用プラグの製造に使用したプラグ用組成物の理論比重(ρA)で除し、百分率で表した値(={(ρA−ρB)/ρA}×100%)を指す。
<減衰性能>
中央に円筒状の中空部を有し、外径が225mmで、剛性を有する剛性板[鉄板]と弾性を有する弾性板[加硫ゴム板(G'=0.4MPa)]とが交互に積層されてなる積層体の中空部に、免震構造体用プラグを圧入して、図2に示す構造の免震構造体を作製した。なお、圧入前の免震構造体用プラグの体積は、積層体の中空部の体積の1.01倍とした。
そして、作製した免震構造体に対し、動的試験機を用いて、鉛直方向に基準面圧をかけた状態で水平方向に加振して規定変位のせん断変形を生じさせた。なお、加振変位は、積層体の総厚さを100%として、歪み50〜250%とし、加振周波数は0.33Hzとし、垂直面圧は10MPaとした。図3に、水平方向の変形変位(δ)と免震構造体の水平方向荷重(Q)との関係を示す。本試験においては、まず、歪み50%、100%、200%および250%における切片荷重Qd(変位0における水平方向荷重値)を求めた。なお、切片荷重Qdは、ヒステリシス曲線が縦軸と交差する点での荷重Qd1、Qd2を用いて、下記式:
d=(Qd1+Qd2)/2
から計算した。更に、切片荷重Qdとプラグの断面積Sを用いて、下記式:
τd=Qd/S
から、切片応力τd(変位0における水平応力値)を計算した。τdが大きくなる程、免震構造体用プラグの減衰性能が優れることを示す。
Figure 0005869860
*1 天然ゴム:未加硫,RSS#4
*2 スチレン−ブタジエンゴム:旭化成製「アサプレン6500」
*3 ポリブタジエンゴム:低シス,未加硫,旭化成製「ジエンNF35R」
*4 カーボンブラック:ISAF,東海カーボン製「シースト6P」
*5 ポリエステルポリオール:日本ゼオン製「ゼオファイン100M」(D硬さ:20、軟化点:80℃)
*6 シクロペンタジエン:丸善石油化学製「ESCOREZ8180」(D硬さ:12、軟化点:80〜92℃)
*7 C8−C10芳香族炭化水素留分:新日本石油化学製「ネオポリマー140」(D硬さ:10、軟化点:145℃)
*8 亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤;住友化学製「アンステージ6C」、ワックス;新日本石油製「プロトワックス1」、亜鉛華:ステアリン酸:老化防止剤:ワックス=4:5:3:1(質量比)
なお、「D硬さ」はJIS K6253に準拠して測定し、「軟化点」はJIS K7206に準拠して測定した。
Figure 0005869860
*9 低密度ポリエチレン(LDPE):東京インキ製「LDPD 1050」,D硬度=65,軟化点=110℃
*10 高密度ポリエチレン(HDPE):三井化学製「ミペロン」,D硬度=69,軟化点=140℃
*11 ポリフェニレンオキサイド(PPO):旭化成ケミカルズ社製「SX−101」,D硬度=75,軟化点=160℃
*12 ポリエーテルスルホン(PES):BASF製「E2010GP」,D硬度=76,軟化点=285℃
*13 鉄粉:パウダテック製,粒径=40μm,不定形還元鉄粉
表2より、実施例1〜4の免震構造体用プラグは、比較例1の免震構造体用プラグよりも低歪み領域における減衰性能が優れていることが分かる。また、表2より、比較例2〜3のプラグ用組成物は、ブロック状であり、成形性が悪いことが分かる。
本発明によれば、低歪み領域における減衰性能を向上させた免震構造体用プラグを提供することが可能で、且つ、成形性に優れるプラグ用組成物を製造することができる。
また、本発明によれば、低歪み領域における減衰性能に優れる免震構造体用プラグを製造することができる。
1 免震構造体
2 剛性板
3 弾性板
4 積層体
5 免震構造体用プラグ
6 フランジ板
7 被覆材

Claims (5)

  1. 少なくともエラストマー成分を含むエラストマー組成物を調製するエラストマー組成物調製工程と、
    前記エラストマー組成物に対し、粉体と、前記エラストマー組成物よりもD硬さが30以上高い硬質樹脂とを加えて混練し、プラグ用組成物を得る混練工程と、
    を含み、
    前記粉体は、金属粉または金属化合物粉であり、
    前記混練工程において、前記硬質樹脂を加えた後の混練温度を、前記硬質樹脂の軟化点以下の温度とすることを特徴とする、免震構造体のプラグ用組成物の製造方法。
  2. 前記混練工程において、前記エラストマー組成物に対し、前記粉体を、複数回に分けて断続的に、或いは、連続的に加えて混練することを特徴とする、請求項1に記載の免震構造体のプラグ用組成物の製造方法。
  3. 前記混練工程において、前記エラストマー組成物に対し、前記粉体を複数回に分けて断続的に加えて混練し、
    前記エラストマー組成物に対して前記粉体を一回以上加えて混練した後に、前記エラストマー組成物と前記粉体との混合物に対して前記硬質樹脂を加えることを特徴とする、請求項2に記載の免震構造体のプラグ用組成物の製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の免震構造体のプラグ用組成物の製造方法を用いて製造したプラグ用組成物を金型内で加圧成形する加圧成形工程を含むことを特徴とする、免震構造体用プラグの製造方法。
  5. 前記加圧成形工程において、前記硬質樹脂の軟化点以下の温度で前記プラグ用組成物を加圧成形することを特徴とする、請求項4に記載の免震構造体用プラグの製造方法。
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