JPH10258622A - サスペンションボールジョイントの取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボールジョイントの小型化と取付作業性向上
を可能とする。 【解決手段】 中間部に車間方向に向いた突当面３１を
有すると共に、突当面３１よりも先端側に隣接した嵌合
部３５を有するソケット部２９に、ボールスタッド１３
のボール部１５を嵌合させたボールジョイントを有し、
嵌合部３５を、サスペンションリンク９の取付孔９ａに
圧入すると共に、突当面３１をサスペンションリンク９
の一面９ｂ側に当接させ、サスペンションリンク９の他
面９ｃ側に係合する抜け止め手段を設けたサスペンショ
ンボールジョイントの取付構造において、抜け止め手段
は、ソケット部２９の先端側で且つ突当面３１に対し嵌
合部３５を挟む位置に設けたねじ部３９と、ねじ部３９
に螺合しサスペンションリンク９の他面９ｃ側に係合す
るナット部３７とよりなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えばフロントサ
スペンションのサスペンションリンクにナックルスピン
ドルを支持するサスペンションボールジョイントの取付
構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のサスペンションボールジョイント
の取付構造としては、例えば図６，図７に示すものがあ
る。

【０００３】図６はフロントサスペンションにおけるナ
ックルスピンドル１の支持状態を示し、車体前方側から
見た断面図である。ナックルスピンドル１は足部１ａが
アッパーボールジョイント３を介してアッパーリンク５
に取付けられ、足部１ｂがロアボールジョイント７を介
してロアリンク９に取付けられている。

【０００４】前記アッパーボールジョイント３及びロア
ボールジョイント７は基本的には同様な構造であり、ア
ッパーボールジョイント３の断面で説明すると、ソケッ
ト部１１に対してボールスタッド１３のボール部１５が
嵌合してソケット部１１の開口部１１ａがかしめられて
いる。前記ソケット部１１の外周には嵌合部１１ｂが設
けられ、アッパーリンク５の取付穴５ａに圧入されてい
る。

【０００５】前記ソケット部１１の上部には突当フラン
ジ１１ｃが設けられ、該突当フランジ１１ｃに、前記ア
ッパーリンク５の上面５ｂ側に突き当てられる突当面１
１ｄが設けられている。

【０００６】前記嵌合部１１ｂの下側にはスナップリン
グ１７が固定され、前記アッパーリンク５の下面５ｃ側
に係合している。前記ボールスタッド１３にはテーパー
部１３ａが設けられ、ナックルスピンドル１の足部１ａ
の嵌合穴１ｃに嵌合し、ナット１９で締結固定されてい
る。即ち、アッパーリンク５に対してアッパーボールジ
ョイント３は圧入と突当フランジ１１ｃ及びスナップリ
ング１７の係合とによって取付けられている。２１はダ
ストカバーである。

【０００７】これに対し、ロアボールジョイント７も基
本的にはアッパーボールジョイント３と同一構成である
が、ロアボールジョイント７のロアリンク９に対する取
付けがアッパーリンク５に対するアッパーボールジョイ
ント３の取付構造と異なっている。

【０００８】即ち、ロアボールジョイント７ではソケッ
ト部２３にステー２５が突設され、該ステー２５がボル
トナット２７を介してロアリンク９に締結固定されたも
のである。尚、ナックルスピンドル１の足部１ｂに対し
てはナット１９で締結されている。

【０００９】そして、このようにアッパーボールジョイ
ント３及びロアボールジョイント７で取付構造が異なっ
ているのは、ロアボールジョイント７をロアリンク９に
対し、より強固に取付けなければならないからである。
即ち、ロアリンク９にはサスペンション装置の図示しな
いショックアブソーバ下端が支持されているが、自動車
のフルバウンド時にショックアブソーバのバンパーラバ
ーが突き当たる時、ロアリンク９に大きな荷重が作用
し、この大きな荷重と通常の静荷重とを併せ持った荷重
を支えるからである。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
造であると、ステー２５を大きく突出させなければなら
ず、且つ複数のボルトナット２７を用いなければなら
ず、スペース的に極めて限られたロアボールジョイント
７が大型化し、スペース的に極めて不利な構造となり、
且つ締結部材の個数も多く、取付作業が煩雑で、またコ
スト高になる問題もある。

【００１１】本発明は、小型で、取付作業の容易なサス
ペンションボールジョイントの取付構造の提供を課題と
する。

【００１２】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、中間
部に軸方向に向いた突当面を有すると共に、該突当面よ
りも先端側に隣接した嵌合部を有するソケット部内に、
該ソケット部の開口からボールスタッドのボール部を嵌
合させたボールジョイントを備え、前記嵌合部を、サス
ペンションリンクの取付孔に圧入すると共に、前記突当
面を前記サスペンションリンクの一面側に当接させ、該
サスペンションリンクの他面側に係合する抜け止め手段
を設けたサスペンションボールジョイントの取付構造に
おいて、前記抜け止め手段は、前記ソケット部の先端側
で且つ前記突当面に対し前記嵌合部を挟む位置に設けた
ねじ部と、該ねじ部に螺合し前記サスペンションリンク
の他面側に係合するナット部とよりなることを特徴とす
る。

【００１３】従って、ボールジョイントの嵌合部をサス
ペンションリンクの取付孔に圧入し、該ソケット部の突
当面をサスペンションリンクの一側面に突設させ、ソケ
ット部の先端側のねじ部にナット部を螺合させてサスペ
ンションリンクの下面側に係合させ、ボールジョイント
をサスペンションリンクに取付けることができる。

【００１４】請求項２の発明は、請求項１記載のサスペ
ンションボールジョイントの取付構造であって、前記ソ
ケット部の外周に、前記突当面を有する圧入用の周フラ
ンジを設け、該周フランジの外周面に圧入治具に対する
回転止め用の係合面を設けたことを特徴とする。

【００１５】従って、請求項１の発明の作用に加え、ソ
ケット部をサスペンションリンクの取付孔に圧入する
時、圧入治具を周フランジに嵌合させるようにして圧入
作業を行なうことができる。同時に、圧入治具と周フラ
ンジとが係合面によって回転方向に係合するから、ソケ
ット部のねじ部にナット部を捩じ込んでもソケット部が
サスペンションリンクの取付孔に対して回転するような
ことを規制することができる。

【００１６】請求項３の発明は、請求項２記載のサスペ
ンションボールジョイントの取付構造であって、前記ソ
ケット部の開口側に、前記ボール部に係合孔が係合して
ボール部の抜け止めを行なう抜止プレートを設け、該抜
止プレートの係合孔を前記ボールスタッドの揺動に対応
して長孔状に形成したことを特徴とする。

【００１７】従って、請求項２の発明の作用に加え、ソ
ケット部に対するボールスタッドのボール部の抜け止め
を抜止プレートによって行なうことができる。且つ、サ
スペンションのバウンド、リバウンド時にボールスタッ
ドが大きく揺動する方向に係合孔の長い方を向けること
によってボールスタッドの揺動に対応することができな
がら、ボール部の小型化を図ることができる。

【００１８】請求項４の発明は、請求項１〜３のいずれ
かに記載のサスペンションボールジョイントの取付構造
であって、前記サスペンションリンクは、フロントサス
ペンションのロアリンクであることを特徴とする。

【００１９】従って、請求項１〜３のいずれかの発明の
作用に加え、フロントサスペンションのロアリンクに対
してロアボールジョイントを取付け、請求項１〜３の作
用を奏することができる。

【００２０】

【発明の効果】請求項１の発明では、ソケット部からス
テー等が大きく突出することがなく、ロアボールジョイ
ントの取付構造をコンパクトにすることができ、スペー
ス的に極めて有利な構造となる。又、複数の締結具を必
要とすることなく、ソケット部に設けたねじ部に１個の
ナット部を締結することで固定することができるため、
取付作業が極めて容易であり、且つ部品点数が少なくコ
ストダウンを図ることもできる。

【００２１】請求項２の発明では、請求項１の発明の効
果に加え、ナット部の締め付けに際して、取付孔に対し
て圧入してあるソケット部の嵌合部が回転するのを規制
することができ、また圧入が固い時でもサスペンション
リンク側が変形するようなことを規制することができ
る。

【００２２】請求項３の発明では、請求項２の発明の効
果に加え、ボール部の小型によってボールジョイントを
より小型化することができ、よりスペース的に有利な構
造にすることができる。

【００２３】請求項４の発明では、フロントサスペンシ
ョンのロアリンクにおいて、請求項１〜３の効果を奏す
ることができる。

【００２４】

【発明の実施の形態】図１，図２は本発明の一実施形態
に係り、図１は図６に対応する断面図、図２は図７に対
応する斜視図である。尚、図６，図７と対応する構成部
分には同符号を付して説明し、また重複した説明は省略
する。

【００２５】図１，図２において、アッパーボールジョ
イント３及びその周辺構造については上記図６のものと
同一である。一方、ロアボールジョイント７の取付構造
が異なっている。即ち、図１，図２の構造では、ソケッ
ト部２９の上下中間部に軸方向に向いた突当面３１を有
する周フランジ３３が一体に設けられている。該突当面
３１よりもソケット部２９の先端側に隣接して嵌合部３
５が設けられている。

【００２６】該嵌合部３５はロアリンク９の取付孔９ａ
に圧入されている。前記周フランジ３３の突当面３１は
ロアリンク９の一面側である下面９ｃ当設されている。
ロアリンク９の他面側である上面９ｃ側には抜止手段を
構成するナット部３７が係合している。ナット部３７は
前記ソケット部２９の先端側で、且つ前記突当面３１に
対し前記嵌合部３５を挟む位置に設けたねじ部３９に螺
合している。前記周フランジ３３の外周には図１〜図４
のように、二面幅の係合面４１ａ，４１ｂが設けられて
いる。

【００２７】又、図１のように、前記ソケット部２９の
開口２９ａ側にはボール部１５の抜け止めを行なう抜止
プレート４３が設けられている。抜止プレート４３の固
定は、ソケット部２９の開口２９ａをかしめることによ
って行なわれている。前記抜止プレート４３の前記ボー
ル部１５に係合する係合孔４５は図１，図５のように長
孔状に形成されている。即ち、係合孔４５は図５のよう
に下側から見て楕円状を呈し、係合孔４５の長手方向の
両端に下側から見て円弧形状を呈する面取り４５ａが設
けられている。係合孔４５の長手方向はサスペンション
のバウンド、リバウンド時のボールスタッド１３の大き
な揺動方向に向けられており、図１で図面の左右方向
（車幅方向）に向けられたものである。

【００２８】取付けに際しては、ナット部３７を締め込
む前に、嵌合部３５をロアリンク９の取付孔９ａに圧入
する。この圧入は、図２，図３のような治具４７を周フ
ランジ３３にまで嵌合させており、治具４７に対してソ
ケット部２９は係合面４１ａ，４１ｂの係合によって回
転せず、位置決めを正確に行なうことができる。これに
よってロアリンク９の取付孔９ａに対し正確に圧入する
ことができる。かかる圧入によって周フランジ３３の突
当面３１が取付孔９ａの下面９ｂに突き当たる。

【００２９】次に、治具４７をそのままにしてねじ部３
９にナット部３７を締結する。この締結によってナット
部３７がロアリンク９の上面９ｃ側に係合してロアボー
ルジョイント７のロアリンク９に対する取付けを完了す
ることができる。ボールスタッド１３のナックルスピン
ドル１の足部１ｂに対する取付けは、テーパー部１３ａ
とナット１９との締結によって行なわれている。

【００３０】かかるロアボールジョイント７の取付けに
よってソケット部２９にステーを突設する必要がなく、
また単一のナット部３７で締結することができるため、
ロアリンク９に対するロアボールジョイント７の強固な
取付構造でありながら、ロアボールジョイント７を小型
化することができ、スペース的に極めて有利な構造とな
る。

【００３１】又、ナット部３７が単一であるため、部品
点数が少なく、取付作業が極めて容易であり、またコス
トダウンを図ることもできる。

【００３２】取付孔９ａに対しソケット部２９を圧入す
る時、治具４７によって正確に位置決めながら圧入する
ことができるため、係合孔４５を長孔状にしてボールス
タッドの大きな揺動方向に正確に向けることができるた
め、ボールスタッドに十分な揺動ストロークを与えなが
らボール部１５自体の大きさを小さくすることもでき、
この点からもロアボールジョイント７の小型化を図るこ
とができる。

【００３３】しかも、周フランジ３３と治具４７の係合
面４１ａ，４１ｂとによる係合によって回転止めができ
るから、ナット部３７をねじ部３９に締め込む時も嵌合
部３５が取付孔９ａに対し回転したり、或いは嵌合部３
５からロアリンク９に入力が行なわれてロアリンク９の
取付孔９ａ周囲が変形する等といった不具合を防止する
ことができる。

【００３４】更に、周フランジ３３に係合面４１ａ，４
１ｂを設けたことにより、治具４７で圧入を行ないなが
ら回転止めができるため、圧入作業とナット部３７の締
め込み作業を連続的に行ない、治具の持ち換えを不要と
し、作業性を著しく向上させることができる。

【００３５】尚、本発明の構造は、アッパーリンクに対
するアッパーボールジョイントに適用することも可能で
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る断面図である。

【図２】本発明の一実施形態に係る分解斜視図である。

【図３】本発明の一実施形態に係り、治具と周フランジ
との係合を示す断面図である。

【図４】本発明の一実施形態に係り、ソケット部と治具
との関係の斜視図である。

【図５】本発明の一実施形態に係る抜止プレートに係
り、（ａ）は下面図、（ｂ）は（ａ）のｂ−ｂ線矢視断
面図である。

【図６】従来例に係る断面図である。

【図７】従来例に係る分解斜視図である。

【符号の説明】

１ ナックルスピンドル １ａ，１ｂ 足部 ７ ロアボールジョイント（ボールジョイント） ９ ロアリンク（サスペンションリンク） ９ａ 取付孔 ９ｂ 下面 ９ｃ 上面 １３ ボールスタッド １５ ボール部 ２９ ソケット部 ２９ａ 開口 ３１ 突当面 ３３ 周フランジ ３５ 嵌合部 ３７ ナット部 ３９ ねじ部 ４１ａ，４１ｂ 係合面 ４３ 抜止プレート ４５ 係合孔 ４７ 治具

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中間部に軸方向に向いた突当面を有する
   と共に、該突当面よりも先端側に隣接した嵌合部を有す
   るソケット部内に、該ソケット部の開口からボールスタ
   ッドのボール部を嵌合させたボールジョイントを備え、 前記嵌合部を、サスペンションリンクの取付孔に圧入す
   ると共に、前記突当面を前記サスペンションリンクの一
   面側に当接させ、該サスペンションリンクの他面側に係
   合する抜け止め手段を設けたサスペンションボールジョ
   イントの取付構造において、 前記抜け止め手段は、前記ソケット部の先端側で且つ前
   記突当面に対し前記嵌合部を挟む位置に設けたねじ部
   と、該ねじ部に螺合し前記サスペンションリンクの他面
   側に係合するナット部とよりなることを特徴とするサス
   ペンションボールジョイントの取付構造。
2. 【請求項２】 請求項１記載のサスペンションボールジ
   ョイントの取付構造であって、 前記ソケット部の外周に、前記突当面を有する圧入用の
   周フランジを設け、 該周フランジの外周面に圧入治具に対する回転止め用の
   係合面を設けたことを特徴とするサスペンションボール
   ジョイントの取付構造。
3. 【請求項３】 請求項２記載のサスペンションボールジ
   ョイントの取付構造であって、 前記ソケット部の開口側に、前記ボール部に係合孔が係
   合してボール部の抜け止めを行なう抜止プレートを設
   け、 該抜止プレートの係合孔を前記ボールスタッドの揺動に
   対応して長孔状に形成したことを特徴とするサスペンシ
   ョンボールジョイントの取付構造。
4. 【請求項４】 請求項１〜３のいずれかに記載のサスペ
   ンションボールジョイントの取付構造であって、 前記サスペンションリンクは、フロントサスペンション
   のロアリンクであることを特徴とするサスペンションボ
   ールジョイントの取付構造。