JPH10256658A - 不純物添加歪多重量子井戸構造 - Google Patents

不純物添加歪多重量子井戸構造

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JPH10256658A
JPH10256658A JP5275997A JP5275997A JPH10256658A JP H10256658 A JPH10256658 A JP H10256658A JP 5275997 A JP5275997 A JP 5275997A JP 5275997 A JP5275997 A JP 5275997A JP H10256658 A JPH10256658 A JP H10256658A
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JP5275997A
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Matsuyuki Ogasawara
松幸 小笠原
Hideo Sugiura
英雄 杉浦
Manabu Mitsuhara
学 満原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歪を持つ井戸層の臨界膜厚を増加することを
目的とする。 【解決手段】 基板1と異なる格子定数を有する井戸層
3と、該井戸層3よりも大きなバンドギャップを有する
障壁層4を交互に積層して成る歪多重量子井戸構造2に
おいて、母体の元素と結合して微結晶を形成する性質を
持つ不純物を添加した井戸層を用いることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不純物の添加され
た歪多重量子井戸構造に関する。
【0002】
【従来の技術】厚さが数10Åの井戸層をそれよりもバ
ンドギャップの大きな障壁層で挟み、それらを多層に積
層した多重量子井戸構造(MQW)は現在の光半導体素
子の活性層に広く利用されている。
【0003】近年、井戸層に圧縮歪を導入した歪MQW
を活性層に用いたレーザが、従来の基板に格子整合した
井戸層を用いたMQWのそれに較べ、素子特性(閾値電
流、光出力)が向上することが多くの研究機関から報告
されている。
【0004】しかしながら、所望の歪量を持つ井戸層を
基板に格子整合した障壁層で挟み、それらを交互に多層
に積層してMQWを形成すると、MQW全体の厚さがあ
る一定の臨界値(所謂、臨界膜厚)を超えると基板とM
QWとの界面にミスフィット転位が発生する。井戸層の
歪が大きい程、臨界膜厚は小さくなる。これは、井戸層
の歪による応力が井戸層の数が増える毎に蓄積され、こ
の応力がミスフィット転位の発生を招くからである。
【0005】素子特性を向上させるためには、大きな歪
を懸ける必要があるが、MQWの厚さが臨界膜厚で制限
される。これを避けるために、歪補償型MQWが考案さ
れた。歪補償型MQWでは、圧縮歪を有する井戸層に対
し、引っ張り歪を有する障壁層を組合せることにより、
ミスフィット転位を発生させる応力を相殺させ、ミスフ
ィット転位の発生を抑制するものである。従って、大き
な歪を持つ井戸層であっても大きな厚みを持つMQWが
得られる。
【0006】歪補償型MQWを作製する際には、ガイド
ラインとして次の式で定義される実効歪εをほぼゼロに
することが提案されている(B. I. Miller et. al., App
l. Phys. Lett., 58(1991)1952) 。 ε=(εWh+εbH)/h+H 但し、hとHはそれぞれ井戸層と障壁層の厚さ、εW
εbはそれぞれ井戸層と障壁層の歪である(引張り歪は
−、圧縮歪は+の符号をとるものとする)。上記式で求
められる実効歪εをできるだけ小さくするように井戸層
及び障壁層の厚さと歪を選ぶことが、ミスフィット転位
の無い多重量子井戸層を成長するための指針である。
【0007】歪MQWは、波長域の拡大にも寄与してい
る。活性層としてInPに格子整合するInGaAsP混晶
のバルクを用いると、基板のInPと格子整合する組成
しか利用出来ないため、最長の発光波長は1.7μmで
ある。
【0008】しかし、歪MQWにおいては臨界膜厚より
薄い範囲では自由に組成を変化させることが出来る。例
えば、光計測用、医療用等の応用が期待される2μm帯
の発光波長を得ることも原理的には可能である(池上徹
彦監修、半導体フォトニクス工学、コロナ社(1995
年)、329頁、図8.8)。
【0009】2μm帯の発光波長を得るためには、井戸
層を、1.5%以上の圧縮歪を有し、100Å以上の厚
さのInGaAs層で構成する必要がある。InGaAs混晶
は、In組成が増加するほどバンドギヤップが狭くなり
発光波長はより長波長となる。
【0010】しかしながら、Inの増加に伴い格子定数
も大きくなるため、基板のInPとの格子不整が大きく
なる。それに伴い、臨界膜厚が次第に小さくなる。ま
た、井戸層の厚さが小さくなると量子効果により、発光
波長が短波側にずれるため、発光波長をより長波長側に
延ばすためには大きな歪に加え厚い井戸層が必要とな
る。
【0011】GaAsに格子整合するInGaAsP混晶を
用いる場合も、InP基板上の場合と同じように、歪M
QWを用いて波長域の拡大を行っている。その例が0.
98μm帯レーザの活性層として用いる歪MQWである
(S.Ishikawa et. al., Tech. Dig. of Topical Meet. o
n Optical Amplifiers and Their Application, Brecke
nridge, Colorado, p.43,1994)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】歪多重量子井戸構造の
制限要因としては次の2つがある。 井戸層の厚さは、井戸層の歪に対する臨界膜厚で制限
される。 MQW全体の厚さは、実効歪に対する臨界膜厚で制限
される。 上記2項目の内、については歪補償技術を適用するこ
とにより歪MQW全体の厚さに対する制限は回避される
ことは既に説明した。
【0013】しかしながら、についての検討、即ち井
戸層の臨界膜厚を大きくするため検討は行われていな
い。井戸層の厚さは臨界膜厚で制限されるため、長波長
側への波長拡大は充分ではない。波長域の拡大のために
は、井戸層の臨界膜厚の増加が望まれている。III-V族
化合物半導体にエルビウムを添加すると波長1.55μ
m付近に鋭い発光が現われる。この発光は、エルビウム
の4f殻内遷移に起因し、温度変化に対して非常に安定
である。この特性を利用した発光素子の開発を目指して
種々の方法によりIII-V族化合物半導体中にエルビウム
を添加する方法が検討されてきた(H. Nakagome, K. Tak
ahei and Homma, J. Crystal Growth 85(1987)345)。
【0014】InP中に添加されたエルビウムは、母相
結晶のPと結合し、ErPの微結晶を形成することが判
明している(蛍光EXAFS法によるInP中に均一ドープし
たEr原子周囲の局所構造解析、河村大輔、他、電子情
報通信学会技術研究報告ED95−117、1995年1
1月24日発行)。ランタノイド元素およびアクチノイ
ド元素を固体中に添加すると、スペクトル幅が狭くかつ
効率の高い蛍光を発する。そのため、これらの元素は、
酸化物やガラスに添加され、固体レーザの材料として用
いられる。本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたも
のであり、歪を持つ井戸層の臨界膜厚を増加することを
目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の不純物添加歪多
重量子井戸構造は、基板と異なる格子定数を有する井戸
層と、該井戸層よりも大きなバンドギャップを有する障
壁層を交互に積層して成る歪多重量子井戸構造におい
て、該井戸層を構成する元素と結合して微結晶を形成す
る性質を持つ不純物を添加した井戸層を用いることを特
徴とする。前記不純物が元素の周期律表におけるランタ
ノイド元素又はアクチノイド元素であること、具体的に
は、エルビウム(元素記号:Er)、ネオジム(元素記
号:Nd)、ホロミウム(元素記号:Ho)であることを特
徴とする。
【0016】〔作用〕井戸層に添加された不純物は、井
戸層を構成する元素である母体と結合して微結晶を形成
する。この微結晶は転位の運動を阻害するから、井戸層
の臨界膜厚が増加することになる。不純物として用い
る、元素の周期律表におけるランタノイド元素又はアク
チノイド元素は、母体の元素と結合して微結晶を形成す
る性質を持つ。エルビウムは、ランタノイド元素の一種
であり、母体の元素と結合して微結晶を形成する性質を
持つ。また、Erは波長1.55μm付近の蛍光を発す
る。ネオジムは、ランタノイド元素の一種であり、母体
の元素と結合して微結晶を形成する性質を持つ。また、
Ndは波長1.3μm付近の蛍光を発する。ホロミウム
は、ランタノイド元素の一種であり、母体の元素と結合
して微結晶を形成する性質を持つ。また、Hoは波長
2.05μm付近の蛍光を発する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の基本構造を図1に示す。
同図に示すように、半導体単結晶から成る基板1の上に
井戸層3と障壁層4からなる歪多重量子井戸構造2が構
成されている。井戸層と障壁層は交互に積層され、井戸
層3にキャリアが閉じ込められる構造と成っている。基
板1としては、GaAsやInPが利用でき、障壁層4と
しては、井戸層3よりもバンドギャップの広い半導体で
あればよい。
【0018】井戸層3としては、InGaAsP等のIII-V
族化合物半導体混晶やII-VI族化合物半導体混晶を用い
ることが出来る。井戸層3は、図2(a)に示すよう
に、母体の元素と結合して微結晶を形成する性質を持つ
不純物を添加して構成されているところが従来と異な
る。従来は、図2(b)に示すように無添加の井戸層を
用いていた。井戸層3に添加する不純物としては、エル
ビウム(Er)をはじめとするランタノイド元素又はアク
チノイド元素を用いることが出来る。
【0019】エルビウムは、母体結晶のV族あるいはVI
族元素と結合し、母体結晶の中にNaCl型結晶構造をも
つ微結晶を形成する性質をもつ。この微結晶は母体結晶
中に一様に分散している。エルビウム以外のランタノイ
ド元素又はアクチノイド元素も同様の性質をもつので、
井戸層に添加する不純物として利用することが出来る。
【0020】母体の元素と結合して微結晶を形成する性
質を持つ不純物を添加した井戸層の臨界膜厚について説
明する。基板上に基板の格子定数と異なる格子定数をも
つ薄膜をエピタキシャル成長した時の臨界膜厚は、Matt
hews & Blakesleeのモデルで説明される(Defects in ep
itaxial mulitilayer, J. W. Matthews and A. E. Blak
eslee, Journal of Crystal Growth, vol.27, 1974年発
行,pp.118-125.)。同モデルでは、図3(a)に示す様
に、貫通転位がエピ層(厚さd、歪ε)の応力を受けて
滑り運動を起こす事により、界面に転位の折れ曲がりを
作り、それがミスフィット転位となる。最初にミスフィ
ット転位が現われる膜厚を臨界膜厚と言う。
【0021】転位の滑り運動を起こす力f1が、転位の
張力f2を上回るときミスフィット転位が発生するか
ら、その臨界条件f1=f2は、次式で表される。
【0022】
【数1】
【0023】ここでは、簡単化のためエピ層と基板の弾
性定数は全て同じものとした。μ、νは各々混晶の剛性
率とポワソン比であり、βはコアパラメータ、bはミス
フィット転位のバーガースベクトルの大きさである。こ
こでは、μ= 2.23×1011dyn/cm2、ν=
0.3、β=4として計算した。λ、θ及びbは幾何学
的な配置に関係した定数で、基板が(100)面であり
ミスフィット転位が60°転位の場合、cosλ=cosθ=
0.5、b=4Åである。閃亜鉛鉱型結晶構造における
バーガースペクトルは、a〈110〉/2である。
【0024】このバーガースペクトルをもつ転位が微結
晶の含んだエピタキシャル膜の中を滑り運動した場合、
図4(a)に示す様に、微結晶の間を張り出して通過し
なければならない。通過後には図4(b)に示す通り微
結晶の周りに転位ルーブが残る。この時転位が微結晶を
通過するために受ける抵抗応力は、図3(b)に示すF
l=μb2d/lcosφである。φは基板表面と滑り面の
法線のなす角であり、φ=cos-1(6-0.5)である。lは
微結晶の平均間隔である。したがって、臨界膜厚の条件
式は次式で示される。
【0025】
【数2】
【0026】転位を動かすためには、転位の張力以外
に、抵抗応力Fl=μb2d/lcosφを凌駕するだけ
の、転位の滑り運動を起こす力f1が必要であるから、
より厚い膜厚が必要になる、つまり、臨界膜厚が増加す
ることになるのである。Flの値は、微結晶の平均間隔
によって変化する。
【0027】図5は、InGaAsからなる井戸層の臨界
膜厚を微結晶の平均間隔lをパラメータにとって示した
ものである。計算は式(2)を用いて行った。横軸はI
nGaAs井戸層の歪であり、縦軸はInGaAs井戸層の厚
さである。実線および鎖線が歪に対する臨界膜厚の変化
を示している。l=∞が従来の井戸層の場合である。l
=0.1μm、l=0.05μm、が本発明の井戸層の
場合である。Flの値は微結晶の平均間隔により変化す
るので、ここでは典型的なlの値に対して臨界膜厚を計
算した。
【0028】全ての歪の範囲において本発明の井戸層の
臨界膜厚は従来の場合に比べ増加している。例えば格子
不整が1.6%の場合、従来の井戸層(l=∞)の臨界
膜厚は60Åであるが、本発明の井戸層の場合には臨界
膜厚が90Å(l=0.1μmの時)、140Å(l=
0.05μmの時)と増加している。従来、p型あるい
はn型のドーパントを添加するこのが行われていた。し
かし母体の元素と結合して微結晶を形成することはなか
った。
【0029】図1に示された本発明の歪多重量子井戸構
造をレーザの活性層に応用する際には、基板1とMQW
2の間に光閉じ込め層を挿入したり、MQW2の上に光
閉じ込め層を積層したりすることは、良く知られた変更
である。
【0030】〔実施例1〕本発明の歪多重量子井戸構造
を1.55μm帯に発光波長を有する歪MQWに適用し
た実施例を説明する。
【0031】井戸層は2.1%の圧縮歪を有するエルビ
ウム添加のInAsP(典型的な厚さ50Å)から成り、
障壁層は基板に格子整合した100Å厚さの1.3μm
組成のInGaAsPから成る。井戸層の数は4である。
基板は(001)面方位を有するInPである。
【0032】この歪MQWの発光波長は1.55μmで
あった。InAsPは、InGaAsPとのへテロ界面にお
ける伝導帯の不連続が大きいため、InAsPを井戸層と
しInGaAsPを障壁層とした場合、発光波長の温度依
存性が小さくなる。
【0033】そのため、InAsPを井戸層としInGaA
sPを障壁層とする歪多重量子井戸構造を活性層に用い
たレーザは、発振波長の温度依存性が小さいレーザとな
る。このことは1.3μm帯のレーザにおいて実証され
ている(H. Oohashi, T. Hirono, S. Seki, H. Sugiura,
J. Nakano, M. Yamamoto, Y. Tohmori, and K. Yokoya
ma, J. Appl. Phys., 77(1995)4119) 。1.3μm帯に
おけるInAsP井戸層の歪は、高々1.5%程度であっ
た。
【0034】しかし、1.55μm帯の発光波長を実現
するためには、InAsP井戸層の歪が2.1%以上で、
厚さが50Å以上必要であることが、計算から判明して
いる。Erを添加しないInAsP層の臨界膜厚は、図5
に示す様に、歪が2.1%の時40Å以下であった。
【0035】そのため、InAsP井戸層の成長において
井戸層にミスフィット転位が入り、欠陥の無い歪MQW
が得られなかった。しかしながら、本発明においてはE
rを添加したInAsPを井戸層に用いたため、井戸層の
臨界膜厚が増加し、2.1%の歪をもつ井戸層を50Å
成長してもミスフィット転位が入らず、欠陥の無い歪M
QWを得ることが出来た。
【0036】井戸層に添加したエルビウムは1.55μ
m付近に鋭い発光をもつため、歪MQWからの発光効率
が高くなった。
【0037】〔実施例2〕本発明の歪多重量子井戸構造
を1.3μm帯に発光波長を有する歪MQWに適用した
実施例を説明する。
【0038】井戸層は1.6%の引張歪を有するNd添
加のInGaAsP(典型的な厚さ100Å)から成り、
障壁層は0.35%の圧縮歪を有する150Å厚さの
1.1μm組成のInGaAsPから成る。井戸層の数は
6である。基板は( 001)面方位を有するInPであ
る。
【0039】この歪MQWの発光波長は1.3μmであ
った。引張歪井戸層を持つ歪多重量子井戸構造は、圧縮
歪井戸層を持つ歪多重量子井戸構造に比べ、微分利得が
大きくなる。
【0040】そのため、引張歪井戸層を持つ歪多重量子
井戸構造をレーザの活性層に用いると、レーザの高速変
調が可能となる。微分利得は井戸層の引張歪が大きい程
大きくなる。また井戸層の厚さは、100Åにおいて微
分利得が極大となる(池上徹彦監修、半導体フォトニク
ス工学、コロナ社(1995年)、352頁の図8.2
7と第353頁の図8.28)。
【0041】図5によれば、母体の元素と結合して微結
晶を形成する性質を持つ不純物を添加していないInGa
AsP層において、欠陥の無い厚さ100ÅのInGaAs
Pに掛けられる歪は、高々1.0%である。尚、一層の
微分利得の向上のために、1.0%以上の引張歪を掛け
た厚さ100ÅのInGaAsP層の実現が望まれてい
た。
【0042】Ndを添加しないInGaAsP層の臨界膜厚
は、図5に示す様に、歪が1.6%の時60Åであっ
た。そのため、InGaAsP井戸層の成長において井戸
層にミスフィット転位が入り、欠陥の無い歪MQWが得
られなかった。
【0043】しかしながら、本発明においてはNdを添
加したInGaAsPを井戸層に用いたため、井戸層の臨
界膜厚が増加し、1.6%の歪をもつ井戸層を100Å
成長してもミスフィット転位が入らず、欠陥の無い歪M
QWを得ることが出来た。井戸層に添加したNdは1.3
μm付近に鋭い発光をもつため、歪MQWからの発光効
率が高くなった。
【0044】〔実施例3〕本発明の歪多重量子井戸構造
を2.05μm帯に発光波長を有する歪MQWに適用し
た実施例を説明する。
【0045】井戸層は1.6%の圧縮歪を有するHo添加
のInGaAs(典型的な厚さ120Å) から成り、障壁
層は基板に格子整合した200Å厚さの1.5μm組成
のInGaAsPから成る。井戸層の数は4である。基板
は( 001)面方位を有するInPである。
【0046】この歪MQWの発光波長は2.05μmで
あった。2.05μm帯のレーザは、発振波長が二酸化
炭素(CO2)等の気体分子の吸収帯にあるため、ガス
センサーや医療機器へ応用が期待されている(特開平5
−142146号)。2.05μm帯の発光波長を得る
ためには、井戸層を、1.5%以上の圧縮歪を有し、1
00Å以上の厚さのInGaAs層で構成する必要があ
る。InGaAs混晶は、In組成が増加するほどバンドギ
ャップが狭くなり発光波長はより長波長となる。
【0047】しかしながら、Inの増加に伴い格子定数
も大きくなるため、基板のInPとの格子不整が大きく
なる。それに伴い、臨界膜厚が次第に小さくなる。ま
た、井戸層の厚さが小さくなると量子効果により、発光
波長が短波側にずれるため、発光波長をより長波長側に
延ばすためには大きな歪に加え厚い井戸層が必要とな
る。
【0048】Hoを添加しないInGaAsP層の臨界膜厚
は、図5に示す様に、歪が1.6%の時60Åであっ
た。そのため、InGaAsP井戸層の成長において井戸
層にミスフィット転位が入り、欠陥の無い歪MQWが得
られなかった。
【0049】しかしながら、本発明においてはHoを添
加したInGaAsPを井戸層に用いたため、井戸層の臨
界膜厚が増加し、1.6%の歪をもつ井戸層を120Å
成長してもミスフィット転位が入らず、欠陥の無い歪M
QWを得ることが出来た。井戸層に添加したHoは2.
05μm付近に鋭い発光をもつため、歪MQWからの発
光効率が高くなった。
【0050】
【発明の効果】以上、実施例に基づいて具体的に説明し
たように、本発明によれば、微結晶が転位の運動を阻害
するため、井戸層の臨界膜厚が増加する。そのため、欠
陥の無い歪多重量子井戸構造が得られるという顕著な効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の歪多重量子井戸構造の基本構造を示す
図である。
【図2】井戸層の概念図である。
【図3】ミスフィット転位の形成機構を示す説明図であ
る。
【図4】本発明の井戸層におけるミスフィット転位の形
成機構を示す説明図である。
【図5】本発明の井戸層の臨界膜厚を示すグラフであ
る。
【符号の説明】 1 基板 2 歪多重量子井戸構造 3 井戸層 4 障壁層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と異なる格子定数を有する井戸層
    と、該井戸層よりも大きなバンドギャップを有する障壁
    層を交互に積層して成る歪多重量子井戸構造において、
    該井戸層を構成する元素と結合して微結晶を形成する性
    質を持つ不純物を添加した井戸層を用いることを特徴と
    する不純物添加歪多重量子井戸構造。
  2. 【請求項2】 前記不純物が元素の周期律表におけるラ
    ンタノイド元素又はアクチノイド元素であることを特徴
    とする請求項1記載の不純物添加歪多重量子井戸構造。
  3. 【請求項3】 前記不純物がエルビウムであることを特
    徴とする請求項1記載の不純物添加歪多重量子井戸構
    造。
  4. 【請求項4】 前記不純物がネオジムであることを特徴
    とする請求項1記載の不純物添加歪多重量子井戸構造。
  5. 【請求項5】 前記不純物がホロミウムであることを特
    徴とする請求項1記載の不純物添加歪多重量子井戸構
    造。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010287873A (ja) * 2009-05-15 2010-12-24 Opnext Japan Inc 半導体発光素子
JP2012256685A (ja) * 2011-06-08 2012-12-27 Hamamatsu Photonics Kk 半導体発光素子

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