JP5026115B2 - 量子井戸構造、半導体レーザ、分光計測装置及び量子井戸構造の製造方法 - Google Patents

量子井戸構造、半導体レーザ、分光計測装置及び量子井戸構造の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、量子井戸構造、半導体レーザ、分光計測装置及び量子井戸構造の製造方法に関する。
近年、中赤外領域のレーザ光を用いて医療診断、環境計測、食品検査、ガス濃度測定などを行う分光機器が注目されている。レーザ光源としては、小型、低消費電力で単色の光源が望ましく、半導体レーザはその有力な候補である。半導体レーザでは活性層に歪み量子井戸を導入することにより、発振波長の長波長化に加え、レーザ性能が大幅に改善されることがわかり、現在では、半導体結晶成長技術の進歩に伴って歪み量子井戸構造を半導体レーザに利用できるようになってきている。
特に、InP基板上に形成されるInGaAsPを用いた半導体レーザは、光ファイバを用いた通信用光源として精力的に研究開発が行われ、成熟した加工技術と優れた性能が実現されている。InP基板上に形成される半導体レーザの対象となる波長域は、前記のように光通信用途のため、主として1.25μmから1.6μmであった。
一方、近年になり、InPに対し2%程度の圧縮歪みを有するInGaAs/InGaAs(P)量子井戸構造を活性層に用いることにより、波長2.0μm以上で発振する半導体レーザが実現できることが実験的に明らかになった。これにより、従来では光通信分野にほとんど限定されてきたInP系材料を用いた半導体レーザの応用範囲が広げられることになった。
さらに、InGaAs中のGaの量を減少させることにより、圧縮歪み量が大きくなり、GaをOとしたInAsの場合においては、歪み量は3.2%となり、理論的には2μmから3μmの波長帯域のレーザ発光が可能になることがわかってきた。また、InAsにV族原子であるNやSbを加えることによっても、レーザの発振波長が増加することが知られている。
M.Gendry、V.Drouot、C.SantineIII、and G.Hollinger、「Critical thicknesses of highly strained InGaAs layers grown on InP by molecular beam epltaxy」Appl.Phys.Lett、Vol.60、No.18、4 May 1992、p.2249−2251
一般的に高歪み材料系の結晶成長においては、膜厚の増加に伴う歪み応力の増加により三次元的な島状成長が誘発される。この島状成長は量子井戸構造の結晶品質を著しく悪化させる。InP基板上のInGaAsを量子井戸層とする量子井戸構造では、InPに対して2%を超える圧縮歪みを有する場合、この三次元的な島状成長が顕著になる(上記非特許文献1参照)。
さらに、InAsやlnAsNのようなInの組成が大きい結晶では、成長中に表面からIn原子が蒸発するために平坦且つ急峻な界面を有する量子井戸構造を形成することが難しい。このように膜厚の増加に伴う島状成長と、In原子の蒸発が顕著になる場合、In組成の大きな結晶(例えばInAs)の膜厚を大きくすることができず、2μm以上での発光が得られないという問題が生じる。
従来のIn組成の大きな結晶を量子井戸層とした量子井戸構造の製造方法では、その成長温度に関して、島状成長やIn原子の蒸発を抑制するための条件が明確でなく、そのため、良質な結晶を得ることが困難であった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、In組成の大きな結晶を形成する際に最適な成長温度をとることにより、島状成長とIn原子の蒸発を抑えることができ、その結果、従来より厚みの厚いIn組成の大きな結晶を量子井戸層とした量子井戸構造を実現した、特性の高性能化を図ることができる量子井戸構造、半導体レーザ、分光計測装置及び量子井戸構造の製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための第1の発明(請求項1に対応)に係る量子井戸構造は、
InP基板上に形成される量子井戸構造において、
前記量子井戸構造は量子井戸層と障壁層とからなり、
前記量子井戸層はInAsからなり、440℃以上510℃以下の温度下で有機金属気相成長法を用いて結晶成長し、
該量子井戸層は3.2%の圧縮歪を有し、かつ、前記量子井戸層の厚さは5nmから9nmであり、
前記障壁層の厚さは20nm以上100nm以下である
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第2の発明(請求項2に対応)に係る量子井戸構造は、第1の発明に係る量子井戸構造において、
バンドギャップ波長が1.9μm以上2.8μm以下である
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第3の発明(請求項3に対応)に係る量子井戸構造は、第1の発明又は第2の発明に係る量子井戸構造において、
前記量子井戸層の数は1層から7層である
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第の発明(請求項に対応)に係る量子井戸構造は、第1の発明乃至第の発明のいずれかに係る量子井戸構造において、
障壁層がInPに格子整合、あるいは2%以下の引っ張り歪を有する
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第の発明(請求項に対応)に係る量子井戸構造は、第1の発明乃至第の発明のいずれかに係る量子井戸構造において、
前記量子井戸構造は光閉じ込め層に挟まれ、
該光閉じ込め層は前記量子井戸層の結晶成長温度よりも高い温度下で結晶成長した
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第の発明(請求項に対応)に係る半導体レーザは、
第1の発明乃至第の発明のいずれかに係る量子井戸構造を有し、
発振波長は1.9μmから2.8μmである
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第の発明(請求項に対応)に係る半導体レーザは、
の発明に係る量子井戸構造を有し、
前記光閉じ込め層には回折格子が形成される
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第の発明(請求項に対応)に係る半導体レーザは、第の発明又は第の発明に係る半導体レーザにおいて、
クラッド層と前記量子井戸層とからなる積層構造はメサストライプ状に形成され、
該積層構造の両側にはRu又はFeをドーピングした半絶縁性半導体結晶が埋め込まれる
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第の発明(請求項に対応)に係る半導体レーザは、第の発明又は第の発明に係る半導体レーザにおいて、
クラッド層と前記量子井戸層からなる積層構造はメサストライプ状に形成され、
該積層構造の両側にはn型、p型InP層を交互に積層したpn埋め込み層が埋め込まれる
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第10の発明(請求項10に対応)に係る分光計測装置は、
の発明乃至第の発明のいずれかに係る半導体レーザを光源として用いる
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第11の発明(請求項11に対応)に係る量子井戸構造の製造方法は、
InP基板上に第一の光閉じ込め層、量子井戸層と障壁層からなる量子井戸構造、第二の光閉じ込め層を有する積層構造を成長する量子井戸構造の製造方法において、
前記第一の光閉じ込め層を結晶成長する工程と、
前記量子井戸層と前記障壁層を結晶成長する工程と、
前記第二の光閉じ込め層を結晶成長する工程とを有し、
前記量子井戸層はInAsからなり、3.2%の圧縮歪を有し、かつ、前記量子井戸層の厚さは5nmから9nmであり、前記障壁層の厚さは20nm以上100nm以下であり、有機金属気相成長法を用いて前記量子井戸層を結晶成長する温度が440℃以上510℃以下であって、前記第一の光閉じ込め層又は前記第二の光閉じ込め層を結晶成長する温度が前記量子井戸層を結晶成長する温度より高い
ことを特徴とする。
本発明によれば、従来作製が困難であった圧縮歪み量が大きく且つ厚みの厚いIn組成の大きな結晶を量子井戸層とした量子井戸構造を容易に作製することができ、当該構造を適用したレーザの高性能化の実現に極めて有用である。
本発明に係る量子井戸構造、半導体レーザ、分光計測装置及び量子井戸構造の製造方法の実施例について、図1から図8を用いて説明する。図1は実施例1を説明する量子井戸構造を示す概略断面構造図、図2は成長温度と量子井戸層歪み量の関係の一例を示す図、図3はInAs量子井戸層膜厚とPL発光ピーク波長の関係の一例を示す図、図4は量子井戸層数とPL発光ピーク強度の関係の一例を示す図、図5は実施例4を説明する光閉じ込め型量子井戸構造を示す概略断面構造図、図6は実施例5を説明するブロードコンタクトレーザの構造を示す概略斜視図、図7は実施例6を説明するリッジ型DFBレーザの構造を示す概略斜視図、図8は実施例7を説明する埋め込み型DFBレーザの構造を示す概略斜視図である。
量子井戸層10としてInPに対し3.2%の圧縮歪みを持つInAsを、障壁層11としてInPに格子整合(歪み量は0)したIn0.53Ga0.47Asを用いた本発明の第1の実施例を、図1を用いて説明する。図1に示したように、本実施例の量子井戸構造12は、InP(100)基板13の面上にInPバッファ層14(膜厚200nm)、InAs量子井戸層10とInGaAs障壁層11からなる量子井戸構造12、InPキャップ層15(膜厚100nm)から構成されており、量子井戸層10の数は2、障壁層11の数は3である。
上記InAs量子井戸層10としては5nmのInAs層を用い、InGaAs障壁層11としてはInPに格子整合した膜厚16.5nmのInGaAs層を用いた。結晶成長は50Torrに減圧したMOVPE法によって行った。成長温度は、MOVPE成長炉のサセプタに、熱電対を埋め込んだSiウエハを置いて測定した値に基づいて決定した。全ての試料においてInPバッファ層14の成長温度は620℃とし、InAs量子井戸層10、InGaAs障壁層11、InPキャップ層15の成長温度は420℃から620℃まで変化させた。
また、III族原料としてはトリメチルインジウム(TMIn)およびトリエチルガリウム(TEGa)を用い、V族原料としてはアルシン(AsH3)およびホスフィン(PH3)を使用した。試料の構造的特性の評価にはPhilips社製のエックス線回折装置を用いた。光学的特性の評価には波長532nmのレーザを光源としたフォトルミネセンス(PL:photoluminescence)測定を室温(25℃)で行った。
成長温度が異なる試料について、エックス線回折測定を行った。図2に成長温度と作製した試料の量子井戸層10の歪み量の関係を示す。横軸に成長温度、縦軸にX線回折測定結果から導出される量子井戸層10の歪み量をプロットした。量子井戸層10がInAsで劣化なく形成されているのであれば、3.2%の歪み量を示さなければならない。図2から明らかなように、成長温度440℃から510℃で作製した試料においては、3.2%の歪み量を示している。
しかしながら、430℃以下および520℃以上においては、3.2%以下の歪み量となっている。これはInAsが島状成長やIn原子の蒸発により格子緩和が発生し、良好な量子井戸構造12が得られていないことを明らかにしている。また、プロットしたマーカが○の試料はPL発光が得られた試料で、×の試料はPL発光が得られなかった試料を示している。
つまり、成長温度520℃以上では発光が得られていない。これは成長温度が高いためにIn原子の蒸発が活発になり、量子井戸構造12の界面を悪化させたためである。成長温度を440℃から510℃の範囲にすることでInAs層を量子井戸層10とした良好な量子井戸構造12が得られることが確認された。
以上の結果より、InAsを量子井戸層10とした量子井戸構造12を作製する際には成長温度を440℃以上510℃以下に設定することで良好な特性を有する量子井戸構造12が得られることが確認された。
本実施例では、量子井戸層10としてInAsを用いたが、InP基板に対して2%以上の圧縮歪を有するInGaAsを用いても同様に良好な量子井戸構造12が得られることが確認された。ここで、InGaAsにおけるGa組成比率が零であるInAsの歪量が3.2%であるので、圧縮歪量の範囲は3.2%未満である。
また、本実施例では、障壁層11としてInPに格子整合したInGaAs層を用いたが、格子整合したInGaAsP層やInGaAlAs層を用いても同様に良好な量子井戸構造12が得られることが確認された。
実施例1とInAs量子井戸層10の膜厚が異なる実施例2について説明する。InAs量子井戸層10の成長温度および成長速度は実施例1で示された範囲の条件である。図3にInAs量子井戸層10の膜厚とPL発光ピーク波長の関係を示す。横軸にInAs量子井戸層10の膜厚、縦軸にPL発光ピーク波長をプロットしている。●が測定点を示し、実線は計算結果である。
InAs量子井戸層10の膜厚を9nmまで厚くしても発光が得られた。このときのPL発光ピーク波長は2.62μmであった。また、量子井戸層10の膜厚と発光波長の関係は計算結果と良く一致していることから、InAsを量子井戸層10とする良好な量子井戸構造12が得られていることが確認された。
実施例1とInAs量子井戸層10の数の異なる実施例3について説明する。量子井戸層10は5nmのInAsで、障壁層11はInPに対し0.5%の引っ張り歪みを有する16.5nmもしくは20.0nmのIn0.46Ga0.54Asとした。その他の条件は実施例1で示された範囲の条件である。
図4にInAs量子井戸層10の数とPL発光ピーク強度の関係を示す。横軸にInAs量子井戸層10の数、縦軸にPL発光ピーク強度をプロットしている。いずれの障壁層11を用いた場合でも、InAs量子井戸層10の数は10層まで発光が確認された。量子井戸層10の数が増えると量子井戸構造12内の歪み応力が蓄積するため、16.5nmのInGaAs障壁層11では量子井戸層10の数を6層以上にすると単一の量子井戸構造12に比べて発光強度が半分以下となる。
それに対し、20.0nmの障壁層11を用いた場合では、InAs量子井戸層10の数が8層で半分以下となっている。障壁層11を20.0nmとすることで、7層のInAs量子井戸層10からなる量子井戸構造12が得られることが確認された。ここで、障壁層11の厚さの上限に制限はないが、実際にデバイスに用いる場合には100nm程度までが有効である。
本実施例では障壁層11の歪み量を引っ張り歪み0.5%としたが、引っ張り歪み2%もしくはInPに格子整合する場合でも同様の結果が得られることが確認された。
参考のため、実施例1から実施例3における量子井戸層10の成長条件の一例を表1に示す。
参考例1
実施例1と量子井戸層10を構成する結晶が異なる参考例1について説明する。量子井戸層10は5nmのInAsNとした。Nの原料としてはジメチルヒドラジン(DMHy)を用いた。InAsNのN組成は3%である。ここで、N組成は1%以上5%以下でも用いることができる。
その他は、実施例1で示された範囲の条件である。作製した量子井戸構造12のPL測定を行ったところ、2.8μmにピーク波長を持つ発光が得られ、良好な量子井戸構造12が得られることが確認された。
参考例ではInAsNを量子井戸層10としたが、InAsSbを用いた場合でも同様の結果が得られることが確認された。ここで、InAsSbのAs組成が零である場合に相当するInSbにおける歪量は10%程度である。したがって、本参考例に適用できるInAsSbの歪量は10%未満であると考えられる。また、InAsSbにおける歪緩和を考慮すれば5%以下の歪量が有効である。
図5に実施例4の光閉じ込め(SCH:Separate Confinement Heterostructure)構造を有する量子井戸構造を示す。本実施例では量子井戸構造12の上下にSCH層としてInPに格子整合したバンドギャップ波長が1.3μmのInGaAsP層を用いた。本実施例のSCH構造は、量子井戸構造12よりもSCH層の成長温度が高いことを特徴とする。量子井戸構造12は実施例1から実施例3及び参考例1に示した構造である。
本実施例のSCH構造の製造方法を説明する。620℃でInPバッファ層14を成長後、620℃で所定の膜厚の下部InGaAsP光閉じ込め層16を成長する。その後、InGaAs障壁層11(図1参照)を10nm成長し、AsH3雰囲気でInAs量子井戸層10(図1参照)の成長温度(例えば500℃)まで成長温度を下げる。
InAs量子井戸層10成長後、InGaAs障壁層11を10nm成長し、成長温度を620℃まで上げる。その後、上部InGaAsP光閉じ込め層16を成長する。その後、InPキャップ層15を成長する。このようなSCH構造においても実施例1から実施例3で示したものと同等な特性が得られることが確認された。
本実施例では、InGaAsP光閉じ込め層16を成長後、InGaAsを10nm成長した後に、AsH3雰囲気中で温度をInAs量子井戸層10(図1参照)の成長温度まで下げたが、InGaAs障壁層11を成長しながら成長温度を下げる、もしくは、InGaAs障壁層11を成長後、AsH3雰囲気で成長温度を下げてInAs量子井戸層10を成長するシーケンスでも同様の特性を有する量子井戸構造12が得られることが確認された。
本実施例では、SCH層としてバンドギャップ波長1.3μmのInGaAsP光閉じ込め層16を用いたが、InPに格子整合したその他のバンドギャップ波長のInGaAsP層もしくはInGaAsでも同様な特性が得られた。また、上下のSCH層の組み合わせにこれらのどの層を用いても、同様の特性が得られることが確認された。
本実施例では、InAs量子井戸層10(図1参照)以外の層の成長温度を620℃としたが、高品質の結晶が成長できればよく、InAs量子井戸層10の成長温度より高ければよい。一般的には700℃程度までの成長温度で高品質の結晶が成長することができる。
実施例5として実施例4で示したSCH構造を用いて作製したブロードコンタクトレーザについて図6を用いて説明する。InP基板13(図1参照)上にSiを1×1018cm3の濃度にドーピングしたn型InPクラッド層17を成長し、実施例4で示したSCH構造を作製する。その後、Znを1×1018cm3の濃度でドーピングしたp型InPクラッド層18、p型InGaAsPコンタクト層19を順次形成する。
本実施例で用いた量子井戸構造12は、3層のInAs量子井戸層10(図1参照)と、20.0nmのInPに格子整合したInGaAs障壁層11(図1参照)、100nmのバンドギャップ波長1.3μmのInGaAsP光閉じ込め層16からなる。コンタクト層19の成長後、SiO2をマスク20として、40μm幅のストライプ構造を形成し、p型電極21を蒸着する。その後、InP基板13を研磨して、裏面にn型電極22を蒸着する。最後に共振器長900μmの長さに劈開し、レーザ構造が作製される。
本実施例のレーザは量子井戸層10(図1参照)の膜厚を変えることで、室温連続動作において波長1.9μmから2.6μmでのマルチモード発振が得られ、いずれもしきい値電流密度は1.5kA/cm2程度であり、30mW程度の光出力が得られた。
本実施例では量子井戸層10としてInAsを用いたが、量子井戸層10にInAsNもしくはInAsSbを用いることで、2.8μmまでの発振が得られ、その他の特性も同様の結果が得られることが確認された。
実施例6として実施例4で示したSCH構造用いて作製したリッジ型分布帰還型レーザについて図7を用いて説明する。実施例4と同様にSCH構造を作製した後、上部InGaAsP光閉じ込め層16に回折格子を電子ビーム露光およびウェットエッチングを用いて形成し、分布帰還型(DFB:Disthbuted Feedback)構造を作製する。
その後、p型InPクラッド層18、InGaAsPコンタクト層19を再成長する。コンタクト層19成長後、SiO2をマスク20としてドライエッチングおよびウエットエッチングを併用して1.5μm幅のストライプ構造を作製する。その後、ストライプ脇にSiO220を形成し、p型電極21を蒸着する。n型電極22形成後、共振器長900μmに劈開し、リッジ型DFBレーザ構造が作製される。
本実施例のレーザは、室温連続動作において波長1.9μmから2.8μmでの単一モード発振が得られ、しきい値電流は30mA程度であり、5mW程度の光出力が得られた。また、いずれのレーザにおいても注入電流と動作温度の制御により、4nmの波長変化が可能であった。
実施例7として実施例4で示したSCH構造用いて作製した埋め込み型DFBレーザについて図8を用いて説明する。実施例6と同様にDFB構造を作製後、p型InPクラッド層18を再成長する。その後、SiO2をマスク20(図7参照)としてドライエッチングおよびウェットエッチングを用いて1.4μm幅のストライプ構造を作製する。
その後、ルテニウム(Ru)をドーピングした半絶縁性InPによりストライプ脇を埋め込む。その後、p型InPクラッド層18を積み増し成長し、さらにInGaAsPコンタクト層19を形成する。p型、n型電極を形成し、共振器長900μmに劈開し、埋め込み型DFBレーザが作製される。本実施例のレーザは実施例6と同等の特性が得られた。
本実施例では、ストライプ脇の埋め込み層23としてRuをドーピングした半絶縁性InP層を用いたが、Feをドーピングした半絶縁性InP層、もしくはn型、P型InP層を交互に積層したpn埋め込み層を用いた場合も同様の特性が得られることが確認された。
実施例8として実施例6、7で示したDFBレーザを用いた気体分子の分光計測装置について説明する。この分光計測装置は、気体分子の吸収線(例えば、CO2:2.05μm、N2O:2.13μm、CO:2.33μm)と同一の発振波長の実施例6実施例7記載のDFBレーザを用いることで、従来の通信波長帯のレーザを用いた場合に比べ、2桁以上の感度で計測できた。
本発明は、例えば、圧縮歪みの大きい量子井戸層を有する良質な量子井戸構造、半導体レーザ、分光計測装置及び量子井戸構造の製造方法に適用することが可能である。
実施例1を説明する量子井戸構造を示す概略断面構造図である。 成長温度と量子井戸層歪み量の関係の一例を示す図である。 InAs量子井戸層膜厚とPL発光ピーク波長の関係の一例を示す図である。 量子井戸層数とPL発光ピーク強度の関係の一例を示す図である。 実施例4を説明する光閉じ込め型量子井戸構造を示す概略断面構造図である。 実施例5を説明するブロードコンタクトレーザの構造を示す概略斜視図である。 実施例6を説明するリッジ型DFBレーザの構造を示す概略斜視図である。 実施例7を説明する埋め込み型DFBレーザの構造を示す概略斜視図である。
10 InAs量子井戸層
11 InGaAs障壁層
12 量子井戸構造
13 InP基板
14 InPバッファ層
15 InPキャップ層
16 InGaAsP光閉じ込め層
17 n型InPクラッド層
18 p型InPクラッド層
19 p型InGaAsPコンタクト層
20 SiO2マスク
21 p型電極
22 n型電極

Claims (11)

  1. InP基板上に形成される量子井戸構造において、
    前記量子井戸構造は量子井戸層と障壁層とからなり、
    前記量子井戸層はInAsからなり、440℃以上510℃以下の温度下で有機金属気相成長法を用いて結晶成長し、
    該量子井戸層は3.2%の圧縮歪を有し、かつ、前記量子井戸層の厚さは5nmから9nmであり、
    前記障壁層の厚さは20nm以上100nm以下である
    ことを特徴とする量子井戸構造。
  2. 請求項1に記載の量子井戸構造において、
    バンドギャップ波長が1.9μm以上2.8μm以下である
    ことを特徴とする量子井戸構造。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の量子井戸構造において、
    前記量子井戸層の数は1層から7層である
    ことを特徴とする量子井戸構造。
  4. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載の量子井戸構造において、
    障壁層がInPに格子整合、あるいは2%以下の引っ張り歪を有する
    ことを特徴とする量子井戸構造。
  5. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載の量子井戸構造において、
    前記量子井戸構造は光閉じ込め層に挟まれ、
    該光閉じ込め層は前記量子井戸層の結晶成長温度よりも高い温度下で結晶成長した
    ことを特徴とする量子井戸構造。
  6. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載の量子井戸構造を有し、
    発振波長は1.9μmから2.8μmである
    ことを特徴とする半導体レーザ。
  7. 請求項に記載の量子井戸構造を有し、
    前記光閉じ込め層には回折格子が形成される
    ことを特徴とする半導体レーザ。
  8. 請求項又は請求項に記載の半導体レーザにおいて、
    クラッド層と前記量子井戸層とからなる積層構造はメサストライプ状に形成され、
    該積層構造の両側にはRu又はFeをドーピングした半絶縁性半導体結晶が埋め込まれる
    ことを特徴とする半導体レーザ。
  9. 請求項又は請求項に記載の半導体レーザにおいて、
    クラッド層と前記量子井戸層からなる積層構造はメサストライプ状に形成され、
    該積層構造の両側にはn型、p型InP層を交互に積層したpn埋め込み層が埋め込まれる
    ことを特徴とする半導体レーザ。
  10. 請求項乃至請求項のいずれかに記載の半導体レーザを光源として用いる
    ことを特徴とする分光計測装置。
  11. InP基板上に第一の光閉じ込め層、量子井戸層と障壁層からなる量子井戸構造、第二の光閉じ込め層を有する積層構造を成長する量子井戸構造の製造方法において、
    前記第一の光閉じ込め層を結晶成長する工程と、
    前記量子井戸層と前記障壁層を結晶成長する工程と、
    前記第二の光閉じ込め層を結晶成長する工程とを有し、
    前記量子井戸層はInAsからなり、3.2%の圧縮歪を有し、かつ、前記量子井戸層の厚さは5nmから9nmであり、前記障壁層の厚さは20nm以上100nm以下であり、有機金属気相成長法を用いて前記量子井戸層を結晶成長する温度が440℃以上510℃以下であって、前記第一の光閉じ込め層又は前記第二の光閉じ込め層を結晶成長する温度が前記量子井戸層を結晶成長する温度より高い
    ことを特徴とする量子井戸構造の製造方法。
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