JP5457392B2 - 半導体レーザ - Google Patents
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Description
具体的には、動作温度が上昇しても、発振しきい値電流の増加が少なく光出力の低下が小さい、いわゆる温度特性の良い半導体レーザが望ましく、さらに注入電流の変調のみで10 Gbps以上の速度で直接変調できる半導体レーザであることが望ましい。
電子の井戸層への閉じ込めを良くするためには、井戸層と障壁層のそれぞれの伝導帯のΓ点における最下点のエネルギー差を大きくする必要がある。このエネルギー差は、一般に伝導帯のバンド不連続と呼ばれており、この伝導帯のバンド不連続を大きくすることにより、半導体レーザの温度特性の改善と高速変調の両立が可能になる。
具体的には、活性層を1つの井戸層しかない単一量子井戸構造から、2つ以上の井戸層を有する多重量子井戸構造に変えることでレーザ特性の改善が可能になる。この1つの理由は、井戸層の数を増やすことにより、各井戸層においてレーザ発振させるために必要となる電子密度の低減が可能であり、その結果として電子の井戸層から漏れ出しを抑制できるためである。
一方、電子についても、多重量子井戸構造内で電気的中性条件を満たすように分布するために、その密度も不均一になる。
図6は、この正孔および電子の不均一な分布の様子を模式的に示したものである。
さらに、Alを含む材料を用いたレーザでは、この酸化膜のためにレーザ構造の作製も制約される。例えば、InGaAsP材料系を用いたレーザでは、横モードの制御性向上や電極プロセスの容易さなどから、活性層の幅を1〜2μm程度に加工し、その両側にInPを再成長させた埋込型レーザ構造を用いることが一般的である。しかしながら、Alを含む材料では上記の酸化膜の除去が難しく、再成長が困難なために埋込型レーザ構造の作製が難しいといったレーザ構造の作製上の制約がある(例えば、非特許文献7を参照)。
InP基板上の半導体量子井戸構造を活性層とする半導体レーザにおいて、前記半導体量子井戸構造は、井戸層としてInGaAsPまたはInAsPまたはInGaAsを含み、障壁層はInGaPSbまたはInGaAsPSbを含むことを特徴とする。
上記課題を解決する第2の発明に係る半導体レーザは、
請求項1に記載の半導体レーザにおいて、前記活性層に含まれる前記井戸層の数が2以上であることを特徴とする。
上記課題を解決する第3の発明に係る半導体レーザは、
請求項1に記載の半導体レーザにおいて、発振波長が1.260μmから1.625μmまでの間であることを特徴とする。
上記課題を解決する第4の発明に係る半導体レーザは、
請求項1に記載の半導体レーザにおいて、前記活性層に含まれる前記障壁層は、そのV族元素中に占めるSbの組成が、0より大きく0.5より小さい範囲であることを特徴とする。
また、井戸層、障壁層ともにAlを含まない材料系のために酸化膜の除去が容易であり、InGaAlAs材料系を用いた場合のような酸化膜に起因した作製上の制約や長期信頼性への影響も回避することができる。
ΔEv = Ev, well − Ev, barrier (1)
ΔEc = (Ev, barrier+ Eg, barrier) − (Ev, well+ Eg, well) (2)
式(1)から、価電子帯のバンド不連続を求めることができる。III-V族半導体混晶では、同じV族元素を含む場合、この価電子帯の頂上のエネルギーがほぼ一致することが実験的に分かっている(共通アニオン則[Common Anion Rule]と呼ばれる、非特許文献8を参照)。さらに、この価電子帯の頂上のエネルギーは、計算によっても見積ることができ、実験と同様、含まれるV族元素が同じで有ればほぼ一致することが分かっている(例えば、非特許文献9を参照)。
なお、図10は、2元混晶の価電子帯の頂上のエネルギーの計算例であるが、Model-solid-theoryと呼ばれる計算方法を適用することで、3元以上の混晶に関しても価電子帯の頂上のエネルギーを求めることができる(非特許文献10を参照)。
InGaAsP井戸層は、InPに対する格子歪が+0.72%(圧縮歪)、膜厚が10 nmであり、組成は一定である。一方、InGaAsP障壁層は、InPに対する格子歪が-0.72%(引っ張り歪)、膜厚が10 nmであり、As組成を変化させてもInPに対する格子歪が一定になるように、III族元素であるInとGaの組成を変えている。
例えば、図14で伝導帯のバンド不連続が80 meVの場合、価電子帯のバンド不連続は、InGaAsP障壁層を用いた場合が160 meVであるのに対し、InGaPSb障壁層を用いた場合は125 meVである。
まず、本発明に係る半導体レーザに用いる量子井戸構造について、障壁層のSbを加えることにより伝導帯のバンド不連続が大きくなるため、電子の井戸層内への閉じ込めが強くなり、半値幅(full width at half maximum, FWHM)の狭いホトルミネセンス(PL)発光スペクトルが得られることを示す(図1と図2)。次に、この量子井戸構造を用いたレーザの実施例について示す(図3〜図5)。
比較のため、障壁層にInGaAsP(InPに対する格子歪が-0.6%、膜厚が10.5 nm、バンドギャップ波長が1.1μm)、井戸層に〔試料1〕と〔試料2〕と同じ組成と膜厚のInGaAsPを持つ〔試料3〕を作製する。
図2は、作製した〔試料1〕〜〔試料3〕のPL発光スペクトルを示している。縦軸には、規格化したPL発光強度を用いているが、実際の試料間での発光強度の差も±10%以内に収まっており、発光強度の差異はほとんどない。PL発光スペクトルのピーク半値幅は、障壁層にInGaPSbを用いた〔試料1〕と〔試料2〕では31 meVであるのに対して、障壁層にInGaAsPを用いた〔試料3〕では35 meVである。このように、障壁層をInGaAsPからInGaPSbに変えることにより、PL発光スペクトルのピーク半値幅を小さくできる。井戸層の組成と膜厚は、図2のすべての試料で同じため、PL発光のピーク半値幅の差異は障壁層に起因したものである。すなわち、InGaPSb障壁層を用いた試料では、InGaAsP障壁層を用いた試料よりも伝導帯のバンド不連続が大きいため、電子を井戸層により強く閉じ込めることができ、その結果として狭い半値幅のPL発光ピークが得られることが分かる。
まず、本発明に係る半導体レーザの層構成を図3の断面図を用いて説明する。本発明に係る半導体レーザでは、まず、図3に示すようにn型InP基板7上に、膜厚0.5 μmのn型InPバッファ層8を成長した。引き続き、膜厚0.1μm、バンドギャップ波長1.0μmのInGaAsP層9を成長した後、10層のInAsP井戸層と11層のInGaPSb障壁層からなる多重量子井戸構造10を成長し、その上に膜厚0.1μm、バンドギャップ波長1.0μmのInGaAsP層11、膜厚1.5μmのp型InP層12を成長させた。最後に、p型InP層12の上にp型InGaAs層13を成長した。
一方、多重量子井戸構造10を構成するInGaPSb障壁層は、そのSb組成が2.6%〔試験体1〕と3.6%〔試験体2〕の異なるSb組成のInGaPSb障壁層を持つ2つ試料を検討する。こられのInGaPSb障壁層は、ともにInPに対する格子歪が-0.60%、膜厚が10.5 nmである。
成長には、有機金属分子線エピタキシー法を用い、成長時の基板温度は、InGaAsP層9、多重量子井戸構造10、InGaAsP層11が530℃、それ以外の層が500℃である。
n型電極15は、n型InP基板7を薄く研磨した後、この上に金属を蒸着した後、熱処理して形成する。
レーザ構造は、へき開により共振器を形成したファブリペロー型レーザであり、共振器長は600μmである。
半導体レーザにおける温度特性の評価には、一般に特性温度と呼ばれるパラメータを用いる。特性温度は、しきい値電流の温度変化を測定することにより、次式から求めることができる。
Jth = J0 exp (T/T0)
ここで、Jthは動作温度 T におけるしきい値電流密度、J0は定数、T0が特性温度である。
このInGaPSb障壁層を用いることでレーザの温度特性が改善される理由は、前述のようにInGaAsP障壁層を用いた場合に比べて、伝導帯のバンド不連続を大きくできることと、価電子帯のバンド不連続を小さくできることによるものである。この2つは、ともにレーザの高速変調を可能にするものであり、本特許のレーザ構造を用いれば高速で直接変調できるレーザの作製も容易である。
すなわち、発振波長に応じて、Sbを含まない材料系を用いた井戸層と、Sbを含む材料系を用いた障壁層を用い、それぞれの組成と膜厚を変更すれば良い。例えば、発振波長が1.625μmの多重量子井戸レーザを得ようとすれば、井戸層にInAsPに比べてバンドギャップを小さくできるInGaAs、障壁層にInGaPSbに比べてバンドギャップを小さくできるInGaAsPSbを用いても良く、本実施例と同様にInGaAsP障壁層を用いた場合に比べ、レーザにおける温度特性の改善や高速変調が容易になることは云うまでもない。
2 InP
3 InGaPSb障壁層
4 InGaAsP井戸層
5 多重量子井戸構造
6 InP
7 n型InP基板
8 n型InP
9 InGaAsP
10 InAsP/InGaPSb多重量子井戸
11 InGaAsP
12 p型InP
13 p型InGaAs
14 p型電極
15 n型電極
Claims (4)
- InP基板上の半導体量子井戸構造を活性層とする半導体レーザにおいて、
前記半導体量子井戸構造は、井戸層としてInGaAsPまたはInAsPまたはInGaAsを含み、障壁層はInGaPSbまたはInGaAsPSbを含むことを特徴とする半導体レーザ。 - 請求項1に記載の半導体レーザにおいて、前記活性層に含まれる前記井戸層の数が2以上であることを特徴とする半導体レーザ。
- 請求項1に記載の半導体レーザにおいて、発振波長が1.260μmから1.625μmまでの間であることを特徴とする半導体レーザ。
- 請求項1に記載の半導体レーザにおいて、前記活性層に含まれる前記障壁層は、そのV族元素中に占めるSbの組成が、0より大きく0.5より小さい範囲であることを特徴とする半導体レーザ。
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