JPH1025347A - ブロック共重合体 - Google Patents

ブロック共重合体

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JPH1025347A
JPH1025347A JP18047596A JP18047596A JPH1025347A JP H1025347 A JPH1025347 A JP H1025347A JP 18047596 A JP18047596 A JP 18047596A JP 18047596 A JP18047596 A JP 18047596A JP H1025347 A JPH1025347 A JP H1025347A
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敦 直原
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直樹 藤原
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 ポリビニルアルコール成分(A)および
下記の化1で表されるポリマー成分(B)からなるブロ
ック共重合体。 【化1】 (但し、R1 、R2 、R3 およびR4 は水素原子、メチ
ル基、臭素原子および塩素原子のいずれかであり、Aは
C(CH3 2 、CH2 およびSO2 のいずれかであ
り、nは1以上の整数である。) 【効果】 本発明のブロック共重合体は、疎水基表面へ
の吸着性に優れたフェノキシ基を有していることから、
カーボンブラック用分散剤、顔料用分散剤、感熱染料用
分散剤、感熱顕色剤用分散剤、紫外線吸収剤として有用
である。本発明のブロック共重合体は、単独で使用され
る他に、無変性ポリビニルアルコール、各種変性ポリビ
ニルアルコール、ポリアクリルアミドおよびその誘導
体、ポリアクリル酸、澱粉、水溶性セルロース、カゼイ
ン、ゼラチン、各種ガム類などとと併用して使用され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なビニルアルコ
ール系ブロック共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリビニルアルコールは数少ない結晶性
の水溶性高分子として優れた界面特性および強度特性を
有する事から、紙加工、繊維加工およびエマルジョン用
の安定剤に利用されているほか、ポリビニルアルコール
系フィルムおよびポリビニルアルコール系繊維等の原料
として重要な地位を占めている。一方で結晶性を制御し
たり、官能基を導入して特定の性能を向上させた高機能
化の追求も行われており、いわゆる変性ポリビニルアル
コールも種々開発されている。さらに、分子鎖の一次構
造を制御したポリビニルアルコール系ブロック重合体が
種々の方法で開発されている。
【0003】ビニルアルコール系ポリマーを1成分とす
るブロック共重合体の合成法としては、末端にチオール
基を有するポリ酢酸ビニルを連鎖移動剤として用いて、
種々のモノマーをラジカル重合した後、けん化すること
により合成する方法が知られている(特開昭59−18
911号)。しかしながら、この方法は、他成分がラジ
カル重合性モノマーの重合体に限定され、また、トリブ
ロック共重合体が得られにくいという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の方法では得ることのできなかったポリビニルアルコー
ル成分およびフェノキシ成分からなるブロック共重合
体、とりわけトリブロック共重合体を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、ポリビニルアルコー
ル成分(A)および下記の化2で表されるポリマー成分
(B)からなるブロック共重合体を見出し、本発明を完
成するに至った。
【0006】
【化2】 (但し、R1 、R2 、R3 およびR4 は水素原子、メチ
ル基、臭素原子および塩素原子のいずれかであり、Aは
C(CH3 2 、CH2 およびSO2 のいずれかであ
る。)
【0007】ポリビニルアルコール成分(A)は、実質
的にビニルアルコール単位からなるか、もしくはビニル
アルコール単位およびビニルエステル単位からなる。ビ
ニルエステル単位としては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、トリフルオロ
酢酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル等が挙げられ
る。
【0008】ポリビニルアルコール成分(A)には、本
発明の主旨を損なわない範囲で、上記以外のモノマー単
位を含有する事は差し支えない。このようなモノマー単
位としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソ
ブテンなどのオレフィン類;アクリル酸、メタクリル
酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン
酸、(無水)イタコン酸などの不飽和酸類あるいはその
塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエス
テル類;アクリルアミド、炭素数1〜18のN-アルキル
アクリルアミド、N ,N-ジメチルアクリルアミド、2−
アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、ア
クリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩
あるいはその4級塩などのアクリルアミド類;メタクリ
ルアミド、炭素数1〜18のN-アルキルメタクリルアミ
ド、N ,N-ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリル
アミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリル
アミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるい
はその4級塩などのメタクリルアミド類;N-ビニルピロ
リドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド
などのN-ビニルアミド類;アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリルなどのシアン化ビニル類;炭素数1〜18の
アルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエ
ーテル、アルコキクシアルキルビニルエーテルなどのビ
ニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化
ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニルなどのハロゲン
化ビニル類;トリメトキシビニルシランなどのビニルシ
ラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、
ジメチルアリルアルコール等が挙げられる。
【0009】ポリビニルアルコール成分(A)の重合度
は特に制限はないが、数平均重合度で10〜20000
が好ましく、20〜10000がより好ましく、20〜
5000が特に好ましい。ポリビニルアルコール成分
(A)のけん化度についても特に制限はないが、10〜
100モル%が好ましく、30〜100モル%がより好
ましく、50〜100モル%が特に好ましい。
【0010】ポリマー成分(B)の数平均重合度(n)
は特に制限はないが、1〜100が好ましく、1〜50
がより好ましく、1〜30が特に好ましい。
【0011】本発明のブロック共重合体の構造は、ポリ
ビニルアルコール成分(A)および前記の化1で表され
るポリマー成分(B)からなるA−B型のジブロック共
重合体またはA−B−A型のトリブロック共重合体であ
る。該ブロック共重合体を構成する各成分の比率は特に
制限はないが、各成分の重量比率で、成分(A)/成分
(B)=0.03〜650が好ましい。
【0012】本発明のブロック共重合体の分子量は特に
制限はないが、該ブロック重合体の4%のジメチルスル
ホキシド(DMSO)溶液の20℃の粘度(B型粘度計
で測定)で表して、2〜10,000cpの範囲が好ま
しい。
【0013】本発明のビニルアルコール系ブロック共重
合体は、チオエステル基またはチオール基を有するビニ
ルエステル系重合体に、化2で表されるポリマー成分
(B)の両末端にエポキシ基を有する化合物を反応させ
た後に加水分解する方法、あるいは両反応を同時に行う
方法により得られる。
【0014】本発明のビニルアルコール系ブロック共重
合体の製造は、チオール基またはチオエステル基とエポ
キシ基との反応を利用する。該反応は、無溶媒中もしく
はチオール基またはチオエステル基を有するビニルエス
テル系重合体および化2で表されるポリマー成分(B)
の末端にエポキシ基を有する化合物を、溶解または膨潤
させる溶剤中で実施される。このような溶剤としては、
メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、n
−ブチルアルコール等のアルコール類、酢酸、酢酸エチ
ル、酢酸メチル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、
キシレン等の芳香族類;テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、ジエチルエーテル等のエーテル類;n−ヘキサン等
の炭化水素類が挙げられる。これらの溶剤は、単独もし
くは混合して使用される。反応条件は、エポキシ基の構
造およびチオール基またはチオエステル基の構造により
異なるが、通常、溶剤を使用する場合のポリマー濃度は
5〜90重量%であり、チオール基またはチオエステル
基の濃度/エポキシ基の濃度(モル比)=1.0〜5.
0であり、反応温度0〜250℃であり、反応時間0.
01〜20時間である。エポキシ基とチオール基との反
応における反応触媒としては、3級アミン(例えばトリ
エチルアミン、ピリジン等)、ホスフィン(例えばトリ
ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等)、水酸
化ナトリウム、テトラエチルアンモニウムヒドロオキサ
イド、ナトリウムメチラート等の塩基性化合物が好まし
い。エポキシ基とチオエステル基との反応における反応
触媒としては、テトラブチルアンモニウムクロリド、テ
トラブチルアンモニウムブロミド等の4級アンモニウム
塩が好ましい。また、チオールの酸化を防止するため
に、反応系を脱気あるいは窒素置換したり、酸化防止剤
等を添加することもできる。
【0015】チオール基またはチオエステル基とエポキ
シ基との反応に引き続く加水分解反応は、通常のポリビ
ニルエステルのけん化に用いられる塩基性触媒または酸
触媒を用いたけん化反応がそのまま適用できる。すなわ
ち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメ
チラート等の塩基性触媒やp−トルエンスルホン酸等の
酸性触媒を用い、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール、エチレングリコール等のアルコールや
グリコールを溶媒に用いて反応が行われる。この場合、
ビニルエステル系重合体や触媒の溶解性を向上するため
に、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスルホ
キシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トル
エン、アセトン、酢酸メチル、水等の溶剤が適宜混合し
て使用される。加水分解反応の条件は、使用するビニル
エステル系重合体の構造や目的とするポリビニルアルコ
ールのけん化度によって適宜設定されるが、通常、触媒
濃度/ビニルエステル単位濃度(モル比)=0.001
〜1.2であり、反応温度20〜180℃であり、反応
時間0.1〜20時間である。
【0016】本発明のビニルアルコール系ブロック共重
合体は、化2で表されるポリマー成分(B)の両末端に
エポキシ基を有する化合物をメルカプト化したものを連
鎖移動剤に用いてビニルエステルを重合した後、生成し
たポリマーを加水分解する方法によっても得ることがで
きる。
【0017】
【実施例】以下、合成例や実施例により本発明をさらに
具体的に説明するが、本発明は実施例により何等制限さ
れるものではない。なお、合成例や実施例中の「部」や
「%」は、特に断わりのない限りそれぞれ「重量部」お
よび「重量%」を表す。
【0018】(片末端にチオエステル基を有するビニル
エステル系重合体) 合成例1 攪拌機、還流冷却管、窒素導入管および温度計を備えた
反応器に、酢酸ビニルモノマー440部とメタノール1
10部を仕込み、窒素ガスを15分バブリングして脱気
した。別途、チオ酢酸0.25部をメタノール10部に
溶解したチオールの初期添加液、チオ酢酸3.8部にメ
タノールを加えて全量を40部にしたチオールの連続添
加液およびメタノール50部に2,2'- アゾビスイソブチ
ロニトリル0.16部を溶解した開始剤溶液を調製し、
窒素ガスをバブリングすることにより窒素置換した。反
応器の昇温を開始し、内温が60℃になった時点で、別
途調製したチオ酢酸の初期添加液と開始剤溶液を、この
順序で添加しすると共に、チオ酢酸の連続添加液の添加
を開始した。チオ酢酸の連続添加は、重合の進行に伴う
反応器内の固形分濃度の増加に合わせて、下記の表1の
値を目標に実施した。なお、固形分濃度はサンプリング
により重量法でチェックした。
【0019】
【表1】
【0020】チオ酢酸を連続添加しながら、重合を4時
間継続した後、冷却して重合を停止した。この時の固形
分濃度は50.1%であった。次に、30℃の減圧下で
メタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノ
マーの除去を行い、ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液
(濃度53.2%)を得た。このメタノール溶液の一部
をエーテル中に投入してポリマーを回収し、アセトン−
エーテルで2回再沈精製した後、40℃で減圧乾燥し
た。この精製ポリマーについて、CDCl3 を溶媒に用
いてプロトンNMR(日本電子(株)製、型式:GSX
−270)測定およびアセトン中の極限粘度測定(JI
S)を実施したところ、数平均重合度212の片末端に
アセチルチオ基を有するポリ酢酸ビニルであった。
【0021】合成例2〜4 ビニルエステルモノマーの種類や量、メタノールの量、
開始剤の種類や量、および未反応ビニルエステルモノマ
ーの除去に一部n−ブタノールを使用することなどの条
件を適宜変更し、合成例1に準じて、表2に示す片末端
にチオエステル基を有するビニルエステル系重合体を得
た。
【0022】
【表2】
【0023】実施例1 攪拌機、還流冷却管、窒素導入管および温度計を備えた
反応器に、合成例1で得られた片末端にチオエステル基
を有する重合体のメタノール溶液(濃度44.5%)1
00部と、ポリマー成分(B)の両末端にエポキシ基を
有する下記の化3で表される化合物(但し、R1
2 、R3 およびR4 =H,A=C(CH32 ,n=
2)(商品名:エピコート1001、油化シェルエポキ
シ(株)製)1.3部を酢酸メチル30部に溶解したも
のを混合し、15分窒素ガスをバブリングした後、水酸
化ナトリウム0.1部をメタノール18部に溶解したも
のを仕込んだ。攪拌しながら40℃で1時間反応させた
後、濃度10%の水酸化ナトリウムのメタノール溶液を
20部添加し、けん化を行った。40℃で5時間放置し
た後、粉砕し、酢酸3部を加えて中和した後、ソックス
レー抽出器を用いてTHFで48時間以上洗浄し、60
℃で20時間以上乾燥して、ビニルアルコール系ブロッ
ク共重合体を得た。該重合体のIRおよびプロトンNM
R(d6 −DMSO)を測定したところ、エポキシ基は
完全に消失しており、フェノキシ基とアセチル基の比率
より、A−B−A型のブロック共重合体の生成が確認さ
れた(ブロック効率=0.99)。ビニルエステル単位
のけん化度は98.7モル%であった。
【0024】
【化3】
【0025】実施例2 窒素導入管を備えた溶融混練機に、合成例1で得られた
片末端にチオエステル基を有する重合体の乾燥物100
部とエピコート1001(油化シェルエポキシ(株)
製)2.9部を投入して混合し、15分窒素ガスを導入
した後、テトラブチルアンモニウムクロライド0.16
部を仕込んだ。窒素を導入しながら、100℃で1時間
混練し、反応物を得た。反応物をメタノール中に懸濁さ
せ、40℃にて濃度10%の水酸化ナトリウムのメタノ
ール溶液を20部添加し、けん化を行った。40℃で5
時間放置した後、粉砕し、酢酸6部を加えて中和した
後、ソックスレー抽出器を用いてTHFで48時間以上
洗浄し、60℃で20時間以上乾燥して、ビニルアルコ
ール系ブロック重合体を得た。該重合体のIRおよびプ
ロトンNMR(d6 −DMSO)を測定したところ、エ
ポキシ基は完全に消失しており、フェノキシ基とアセチ
ル基の比率より、A−B−A型のブロック共重合体の生
成が確認できた(ブロック効率=0.97)。ビニルエ
ステル単位のけん化度は98.7モル%であった。
【0026】実施例3〜8 ビニルエステル系重合体の種類、両末端エポキシ化合物
の種類や量などを表3に示す条件に変更したこと以外
は、実施例1に準じて反応を行い、表3に示すA−B−
A型のビニルアルコール系ブロック共重合体を得た。
【0027】
【表3】
【0028】(表3の脚注) MeOH: メタノール MeOAc:酢酸メチル THF: テトラヒドロフラン NaOH: 水酸化ナトリウム TBAC: テトラブチルアンモニウムクロライド TEA: トリエチルアミン ブロック効率(モル比)=反応したフェノキシ/仕込み
フェノキシ エピコート:油化シェルエポキシ(株)社製、両末端エ
ポキシ化合物 エピコート1001:化3で表される両末端にエポキシ
基を有する化合物(但し、R1 、R2 、R3 およびR4
=H,A=C(CH3 2 ,n=2) エピコート1004:化3で表される両末端にエポキシ
基を有する化合物(但し、R1 、R2 、R3 およびR4
=H,A=C(CH3 2 ,n=4) エピコート1007:化3で表される両末端にエポキシ
基を有する化合物(但し、R1 、R2 、R3 およびR4
=H,A=C(CH3 2 ,n=9) エピコート1009:化3で表される両末端にエポキシ
基を有する化合物(但し、R1 、R2 、R3 およびR4
=H,A=C(CH3 2 ,n=12) エピコート807: 化3で表される両末端にエポキシ
基を有する化合物(但し、R1 、R2 、R3 およびR4
=H,A=CH2 ,n=0)
【0029】(両末端にメルカプト基を有する化合物) 合成例5 攪拌機、還流冷却管、窒素導入管および温度計を備えた
反応器に、エピコート1001(油化シェルエポキシ
(株)製)300部と酢酸メチル540部を仕込み、窒
素ガスを15分バブリングして脱気した。別途、チオ酢
酸57部を酢酸メチル50部に溶解した液を添加した。
酢酸メチル50部にトリエチルアミン3.8部を溶解し
た溶液を調製し添加後、窒素ガスをバブリングしながら
50℃で2時間反応させた。得られた反応物中の未反応
のチオ酢酸を蒸留により除去し、メタノール350部と
酢酸メチル350部を加え均一溶液とした。15分窒素
バブリングした後、撹拌しながら、濃度10%の水酸化
ナトリウムのメタノール溶液12部を添加し、40℃で
アルカリ処理を行った。10分後に水酸化ナトリウムと
当量の酢酸を加え中和した。得られた化合物のプロトン
NMR(d6 −CDCL3 )を測定したところ、エポキ
シ基は完全に消失しており、両末端のメルカプト化が確
認された(メルカプト化率=91.6%)。
【0030】合成例6〜8 両末端エポキシ化合物の種類や量、チオエステル化合物
の種類や量などを表4に示す条件に変更したこと以外
は、合成例5と同様にして表4に示す両末端にメルカプ
ト基を有する化合物を得た。
【0031】
【表4】
【0032】(表4の脚注) MeOH: メタノール MeOAc:酢酸メチル THF: テトラヒドロフラン NaOH: 水酸化ナトリウム TEA: トリエチルアミン メルカプト化率(モル比)=反応後のメルカプト基量/
反応前のエポキシ基量×100 エピコート: 表4の脚注参照
【0033】実施例9 攪拌機、還流冷却管、窒素導入管および温度計を備えた
反応器に、酢酸ビニルモノマー440部とメタノール1
10部を仕込み、窒素ガスを15分バブリングして脱気
した。合成例5で得られた化合物(酢酸メチル/メタノ
ール=1/1の20%溶液)5部の初期添加液、合成例
5で得られた化合物の20%溶液(酢酸メチル/メタノ
ール=1/1)120部の連続添加液およびメタノール
10部に、2,2'- アゾビスイソブチロニトリル0.24
部を溶解した開始剤溶液を調製し、窒素ガスをバブリン
グすることにより窒素置換した。反応器の昇温を開始
し、内温が60℃になった時点で、両末端にメルカプト
基を有する化合物の初期添加液と開始剤溶液を、この順
序で添加し、両末端にメルカプト基を有する化合物の連
続添加液の添加を開始して、重合を続けた。両末端にメ
ルカプト基を有する化合物の連続添加は、重合の進行に
伴う反応器内の固形分濃度の増加にあわせて、下記の表
5の値を目標に実施した。なお、固形分濃度はサンプリ
ングにより重量法でチェックした。
【0034】
【表5】
【0035】両末端にメルカプト基を有する化合物を連
続添加しながら、重合を4時間継続し、冷却して重合を
停止した。この時の固形分濃度は46.5%であった。
次に、30℃の減圧下でメタノールを時々添加しながら
未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、ポリ酢酸ビ
ニルのメタノール溶液(濃度52.3%)を得た。得ら
れたポリマーのアセトン中の極限粘度測定(JIS)を
実施したところ、数平均重合度120であった。このメ
タノール溶液100部に、40℃にて濃度10%の水酸
化ナトリウムのメタノール溶液を20部添加し、けん化
を行った。40℃で5時間放置した後、粉砕し、酢酸8
部を加えて中和した後、ソックスレー抽出器を用いてT
HFで48時間以上洗浄し、60℃で20時間以上乾燥
して、ビニルアルコール系ブロック共重合体を得た。該
重合体のプロトンNMR(d6 −DMSO)を測定した
ところ、フェノキシ基とアセチル基の比率より、A−B
−A型のブロック共重合体の生成が確認された。ビニル
エステル単位のけん化度は98.9モル%であった。
【0036】実施例10〜12 ビニルエステルモノマーの種類や量、連鎖移動剤の種類
や量、メタノールの量、開始剤の種類や量および未反応
ビニルエステルモノマーの除去に一部n−ブタノールを
使用したことなどを表6に示す条件に変更したこと以外
は、実施例9に準じて反応を行い、表6に示すA−B−
A型のビニルアルコール系ブロック共重合体を得た。
【0037】
【表6】
【0038】ブロック効率(モル比)=連鎖移動したフ
ェノキシ/仕込みフェノキシ
【0039】
【発明の効果】本発明のブロック共重合体は、疎水基表
面への吸着性に優れたフェノキシ基を有していることか
ら、カーボンブラック用分散剤、顔料用分散剤、感熱染
料用分散剤、感熱顕色剤用分散剤、紫外線吸収剤として
有用である。本発明のブロック共重合体は、単独で使用
される他に、無変性ポリビニルアルコール、各種変性ポ
リビニルアルコール、ポリアクリルアミドおよびその誘
導体、ポリアクリル酸、澱粉、水溶性セルロース、カゼ
イン、ゼラチン、各種ガム類などとと併用して使用され
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコール成分(A)および
    下記の化1で表されるポリマー成分(B)からなるブロ
    ック共重合体。 【化1】 (但し、R1 、R2 、R3 およびR4 は水素原子、メチ
    ル基、臭素原子および塩素原子のいずれかであり、Aは
    C(CH3 2 、CH2 およびSO2 のいずれかであ
    り、nは1以上の整数である。)
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