JPH1025216A - 抗菌性ワックス組成物 - Google Patents

抗菌性ワックス組成物

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JPH1025216A
JPH1025216A JP19971096A JP19971096A JPH1025216A JP H1025216 A JPH1025216 A JP H1025216A JP 19971096 A JP19971096 A JP 19971096A JP 19971096 A JP19971096 A JP 19971096A JP H1025216 A JPH1025216 A JP H1025216A
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antibacterial
wax
antimicrobial
composition
agent
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JP19971096A
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Zenji Hagiwara
善次 萩原
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HAGIWARA GIKEN KK
PAINT HOUSE KK
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HAGIWARA GIKEN KK
PAINT HOUSE KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐候性に優れ、効果が長期間持続する新規な
抗菌性ワックス組成物の提供。 【解決手段】 多孔質シリカゲルの表面に銀、銅及び亜
鉛からなる群から選択される金属のイオンの少なくとも
1種を含むアルミノ珪酸塩の皮膜を有する第1の抗菌
剤、並びに銀、銅および亜鉛からなる群から選択される
金属のイオンの少なくとも1種を含む結晶性二酸化珪素
を主成分とする第2の抗菌剤を含有する抗菌性組成物、
並びにワックスを含む抗菌性ワックス組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な抗菌性組成物を含
む抗菌性ワックス組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】シリカゲル表面に殺菌作用を有する銀、
銅、亜鉛、水銀、錫、鉛、ビスマス、カドミウム、クロ
ム等の抗菌金属イオンを含むアルミノ珪酸塩の抗菌性皮
膜を有することを特徴とする抗菌性組成物は公知であ
る。該抗菌性組成物は一般細菌に対する抗菌性能は勿論
のこと、カビ類に対する抗菌性能に顕著に優れているこ
とから、これを使用した応用面の開発が活発に行われて
いる。しかしながら、前記の抗菌金属イオンを含むシリ
カゲルを母体とした非晶質の抗菌性組成物では、これを
ポリマーに混合する際、ポリマーの種類によっては好ま
しくない着色の問題、成型体の経時変化を惹起する変色
の問題があった。そのため耐候性に優れ、効果が長期間
持続する新規な材料の開発が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題および解決手段】本発明
は新規な抗菌剤組成物を含む抗菌性ワックス組成物を提
供するものである。即ち、本発明は、多孔質シリカゲル
の表面に銀、銅及び亜鉛からなる群から選択される金属
のイオンの少なくとも1種を含むアルミノ珪酸塩の皮膜
を有する第1の抗菌剤、並びに銀、銅および亜鉛からな
る群から選択される金属のイオンの少なくとも1種を含
む結晶性二酸化珪素を主成分とする第2の抗菌剤を含有
する抗菌性組成物、並びにワックスを含む抗菌性ワック
ス組成物を提供する。
【0004】上記の第1の抗菌剤は非晶質であり、第2
の抗菌剤は結晶質である。本発明の抗菌性組成物に使用
される第1の抗菌剤の主要構成成分はシリカであり、好
ましくはSiO2として70重量%以上、アルミナ(A
23)として15重量%以下を含み、これに好ましく
は0.1%以上の銀、好ましくは0.3%以上の亜鉛、
および任意に無抗菌性の1−3価の金属イオンを含有し
て構成されている。第1の抗菌剤は、細孔容積(PV)
が少なくとも0.2cm3/gであることが好ましく、
0.3cm3/g 以上のものはより好ましい。細孔容積
はさらに好ましくは0.3cm3/g〜1.5cm3/g
の範囲であり、最も好ましくは、0.7cm3/g〜
1.0cm3/gの範囲である。比表面積(SSA)
は、素材の反応性を考慮して少なくとも65m2/g以
上のものが好ましく、より好ましくは90m2/g以
上、最も好ましくは350〜600m2/gの範囲の比
表面積を有する。ただし、SSAはBETのN2ガス吸
着法による測定値、PVは水銀ポロシメーターによる測
定値であり、本明細書において言及されるこれらの値
は、それぞれ上記の方法により測定された値である。さ
らに第1の抗菌剤においては、平均細孔径(PD)はで
きるだけ大きい方が好ましく、少なくとも50オングス
トローム以上が好ましく、200オングストローム以上
のものはより好ましい。
【0005】また、平均粒径が1〜10ミクロンの時の
振動充填時の嵩比重が、0.35〜0.8g/cm3
あることが好ましく、より好ましくは0.40〜0.7
0g/cm3であり、最も好ましくは0.50〜0.6
0g/cm3である。嵩比重は粒径により若干変動する
ので、平均粒径を1〜10ミクロンとして測定する必要
がある。なお、上記の記載は1〜10ミクロンの粒径範
囲のすべてにおいて上記の嵩比重範囲にあることを必要
とする意味ではなく、該粒度範囲のいずれかにおいて上
記の嵩比重範囲にあればよいとの趣旨である。嵩比重
は、焼成の度合いを評価する尺度となるものであり、嵩
比重が大きいほど焼成が進んでいると考えることができ
る。
【0006】本発明の抗菌性組成物に使用される第2の
抗菌剤の主成分である結晶性二酸化珪素の結晶形は特に
限定するものではないが、好ましくは立方晶(cubi
c)またはクリストバライト(cristobalit
e)の結晶形を有する。また、結晶化率も特に限定する
ものではないが、好ましくは、50%以上、より好まし
くは70−100%の結晶化率を有する。第2の抗菌剤
は、X線回折の結果から、二酸化珪素の結晶構造を主な
母体として構成されていることが明らかにされた。結晶
質二酸化珪素は、好ましくは70重量%以上、より好ま
しくは75重量%以上、最も好ましくは79重量%以上
が含有される。これに加えて、好ましくは15重量%以
下、より好ましくは11重量%以下、最も好ましくは8
重量%以下の量の酸化アルミニウム(Al23)を含ん
でもよい。第2の抗菌剤は、好ましくは0.4から1.
4、より好ましくは0.45〜1.3の範囲の嵩比重を
有する。また、第2の抗菌剤は、多孔質であり、大きな
比表面積(SSA)を有する。好ましくは、0.3cm
3/g以上、より好ましくは0.4〜1.0cm3/gの
細孔容積(PV)を有し、また好ましくは、5m2/g
以上、より好ましくは25〜600m2/g、最も好ま
しくは350〜600m2/gの範囲の比表面積を有す
る。
【0007】第1の抗菌剤および第2の抗菌剤のどちら
についても、含有する金属イオンの種類に応じた好まし
い金属イオンの含有量がある。第1の抗菌剤では含有す
る金属イオンが銀イオンである場合には、その好ましい
含有量は第1の抗菌剤重量の0.2〜6重量%であり、
含有する金属イオンが銅及び亜鉛からなる群から選択さ
れる金属のイオンの少なくとも1種である場合には、そ
の好ましい含有量は第1の抗菌剤重量の2〜10重量%
である。さらに、含有する金属イオンが銀イオン、並び
に銅及び亜鉛からなる群から選択される金属のイオンの
少なくとも1種である場合には、銀イオンの量が第1の
抗菌剤重量の5重量%以下であり、銅及び亜鉛からなる
群から選択される金属のイオンの少なくとも1種の量が
第1の抗菌剤重量の6重量%以下であることが好まし
い。
【0008】同様に、第2の抗菌剤が含有する金属イオ
ンが銀イオンである場合には、その好ましい含有量は第
2の抗菌剤重量の0.2〜6重量%であり、含有する金
属イオンが銅及び亜鉛からなる群から選択される金属の
イオンの少なくとも1種である場合には、その好ましい
含有量は第2の抗菌剤重量の2〜10重量%である。さ
らに、含有する金属イオンが銀イオン、並びに銅及び亜
鉛からなる群から選択される金属のイオンの少なくとも
1種である場合には、銀イオンの量が第2の抗菌剤重量
の5重量%以下であり、銅及び亜鉛からなる群から選択
される金属のイオンの少なくとも1種の量が第2の抗菌
剤重量の6重量%以下であることが好ましい。なお、本
明細書における各金属イオンの量は、無水状態の抗菌性
組成物重量に基づくものであり、無水状態とは抗菌性組
成物と結合している水および表面付着水のない状態をい
う。
【0009】本発明の抗菌性ワックス組成物において、
第1の抗菌剤と第2の抗菌剤との混合比率は任意であ
り、所望される抗菌性能および耐候性に応じて選択する
ことができる。一般的には、第2の抗菌剤の含有量の方
が多いことが好ましく、第1の抗菌剤と第2の抗菌剤と
の好ましい混合比率は7:1から1:7の範囲であり、
より好ましくは2:1から1:7の範囲である。ワック
スの変色を防止して耐候性をより向上させるので、第2
の抗菌剤の含有量が第1の抗菌剤の含有量以上であるこ
とが好ましい。本発明の抗菌性ワックス組成物に使用さ
れる第1の抗菌剤および第2の抗菌剤のいずれも大きな
比表面積を有し、極めて多孔質である。
【0010】本発明で使用される抗菌性組成物の形状は
任意でよいが、特に微粉末の形状のものは好ましい。本
発明で使用される抗菌性組成物は一般細菌に対する抗菌
効果は勿論のこと特にカビ類(真菌類)に対しても顕著
な殺菌力を発揮する。
【0011】本発明の抗菌性ワックス組成物で使用され
る無機系の抗菌剤は有機系の抗菌剤に比較して、安全性
も高く、ワックス製品への分散性も良好であり、蒸発損
失も少ないという特徴を有する。さらに、無機系の抗菌
剤を含有する製品は細菌や真菌に対する殺菌力も優れ、
抗菌・防カビ効果が長時間に亘って保持されることを見
い出した。また、本発明の抗菌性ワックス組成物は、耐
候性に優れ、物性も良好である。本発明のワックス組成
物は、好ましくは抗菌性組成物をワックス組成物の固形
分重量の0.02〜30重量%含む。耐候性や物性がよ
り向上するので、0.05〜20重量%の範囲内がより
好ましい。抗菌性組成物の量が少ないと殺菌効果が不十
分であり、特に防カビ効果が不十分となる傾向がある。
一方抗菌性組成物の量を上記範囲以上としても殺菌・防
カビ効果はほぼ不変である上に、ワックス組成物の物性
に悪影響を与えて本来の性能を劣化させる場合がある。
【0012】本明細書において、ワックス組成物とは、
いわゆるロウの他、つや出し剤をも含む広い概念で使用
される。本発明のワックス組成物中のワックス成分とし
ては、水性ワックス、油性ワックス、および乳化性ワッ
クスのいずれのワックスも使用することができる。ま
た、乳化性固形ワックス(白色ベースト状)、液状ワッ
クス(油性液状、乳化性液状、水性液状)、固形ワック
ス(油性固形)等のいずれの形態のものも使用できる。
本発明のワックス組成物中のワックス成分として好適に
使用されるものとしては、たとえば植物ロウ、動物ロ
ウ、石油ロウ、木ロウ、および合成樹脂ワックスがあ
り、具体的にはカルナバロウ、綿ロウ、鯨ロウ、ミツロ
ウ、羊毛ロウ、木ロウ、モンタンロウ、パラフィンロ
ウ、微晶ロウ、ペトロラタム、アクリルポリマー系ワッ
クス、ポリエチレンワックスなどのポリオレフィンワッ
クス、シリコン樹脂系ワックス、フッ素樹脂系ワックス
などがあげられる。
【0013】本発明の抗菌性ワックス組成物は、本発明
にかかる抗菌性組成物をワックス成分と混合することに
より製造することができる。本発明で使用される抗菌性
組成物の形状や粒子径については、特に制限はないが、
粉末〜微粒子状のものが好ましい。ワックス類へ均一分
散させるために、ワックスの種類により、微粉末の抗菌
性組成物、例えば10μm以下の微粉末、より好ましく
は3μm以下の微粉末の抗菌剤を使用して抗菌・防カビ
性のワックス組成物を調製することもある。また前記の
抗菌性粒子はワックス製品の性状により、含水状態また
は無水の状態でワックス類に添加することができる。殺
菌剤粒子はワックス類への分散性も良好であり均質な抗
菌・防カビ性のワックス組成物を調製することが容易で
ある。さらに抗菌剤固体粒子のワックス類への分散度を
高めて、より均質にする目的で、有機系または無機系の
分散剤を併用することができる。ワックスが液状(油性
液状、乳化性液状、水性液状)の場合は、分散剤の添加
は効果的である。本発明の抗菌性ワックス組成物は、抗
菌剤およびワックス成分の他、任意に天然または合成樹
脂、溶剤、界面活性剤、乳化剤等を含むことができる。
【0014】本発明に使用される抗菌性組成物は、前記
ワックス成分に対する分散性も優れており、その上、充
分な抗菌・防カビ効果を長期間に亘り発揮する特徴があ
る。例えば床用光沢剤、自動車用光沢剤、家具・調度用
光沢剤、果実用光沢剤等に抗菌剤の必要量を添加・混合
して使用することができる。またワックスを有機溶媒に
溶かしたタイプの油性ポリッシュ・ワックスを水に乳化
させた水性ワックス・エマルジョンをベースとした樹脂
ワックス(合成樹脂エマルジョン系ポリッシュ)等にも
使用することができる。
【0015】本発明のワックス組成物のワックス成分と
しては、リンレイ株式会社から販売されている以下の製
品について、5重量%以下の添加量で十分な抗菌・防カ
ビ機能を付与することができることが確認された。 a)天然蝋、合成蝋合成樹脂、界面活性剤、及び水等よ
り主として構成される水性ワックス“MR”、b)カル
ナバロウ、合成ロウ、鉱物性高融点ロウ、ミネラルター
ペン系の有機溶剤、油溶性染料や香料を主成分とする油
性ワックス“BA”、c)カルナバロウ、合成ロウ、高
融点鉱物性ロウ、滑り止め剤、合成樹脂、有機溶媒、界
面活性剤及び水より主として構成される乳化性ワックス
“WA”(白木用ワックス)、d)金属架橋型合成樹脂
エマンジョン、高融点ワックスエマルジョン、レベリン
グ剤、界面活性剤、可塑剤、帯電防止剤及び水より主と
して構成されるPALMO STAR(樹脂ワック
ス)、e)シリコン系油剤、脂肪酸塩系の界面活性剤、
珪酸塩系の研摩剤、脂肪族系の有機溶剤、香料及び水主
としてより構成される床用ワックス(E6L07)、
f)天然ワックス、天然樹脂、モルホリン脂肪酸塩、水
及び食品添加用香料より主として構成されるフルーツワ
ックス−FWA。得られた抗菌・防カビ能を有するワッ
クス組成物の毒性は殆どなく、安全性が高い。したがっ
て、果実や果菜の表皮の被膜剤として特に好適である。
【0016】本発明の抗菌性組成物に使用される第1の
抗菌剤の具体的な調製方法は公知であり、第1の抗菌剤
は、多孔質のシリカゲルをアルカリ溶液とアルミン酸塩
溶液で化学処理し、シリカゲルの表面(ミクロ孔やマク
ロ孔)にイオン結合しているアルミノ珪酸塩よりなる無
抗菌層を形成し、次いで抗菌金属イオンを使用してイオ
ン交換を実施して前記の無抗菌層を抗菌層に転換し、得
られた抗菌性組成物を熱処理することにより製造でき
る。具体的には本発明の抗菌性組成物は、1)シリカゲ
ルをアルカリ溶液とアルミン酸溶液で処理し、イオン交
換可能な金属を含むアルミノ珪酸塩層をシリカゲル母体
の細孔の活性表面に実質的に固定せしめ、2)次いで
銀、銅及び亜鉛よりなる群より選ばれた少なくとも1種
の金属イオンを含む塩類溶液で処理して殺菌性の金属イ
オンをアルミノ珪酸塩層にイオン結合させ、抗菌層を形
成せしめ、3)得られた抗菌性組成物を350−800
℃で熱処理することにより製造することができる。
【0017】本発明の抗菌性組成物の出発原料として使
用されるシリカゲルは粉末状、粒子状、破砕状又はペレ
ット、タブレット等に成型された形状の何れでもよい。
原料シリカゲル(SiO2)x・(H2O)y[式中、x
及びyはそれぞれSiO2およびH2Oの係数を表わす]
は内部細孔が無数に発達しており、反応性を考慮すれば
細孔径及び比表面積の大きな、多孔質で活性のものが好
ましい。シリカゲルは粒状、球状、破砕品、粉末、成型
品(ペレット、タブレット)等の形状で市販されている
が、いずれの形状のものも使用できる。
【0018】アルカリ溶液としては例えばNaOH、K
OH、LiOHのようなアルカリ金属の水酸化物溶液を
使用して、シリカゲル含有のスラリー液を、例えば9.
5〜12.5の範囲のpHに保持することにより、シリ
カゲル表面のアルカリ処理が行われる。次いでNaAl
2、KAlO2、LiAlO2のようなアルカリ金属の
アルミン酸塩溶液による化学処理が常温又は加温下に行
われる。かかる化学処理により、シリカゲルの細孔表面
に存在するSiO2がアルミン酸塩と反応し、イオン交
換可能な金属を含有するアルミノ珪酸塩層がシリカゲル
の細孔の活性表面に形成される。前記のアルミノ珪酸塩
層は無抗菌性であり、一般式 xM2/nO・Al23・ySiO2・zH2O で表示される。ここにx及びyはそれぞれ金属酸化物及
び二酸化珪素の係数を、Mはイオン交換可能な金属を、
又nはMの原子価、zは水の分子数を表す。Mは通常L
i、Na、Kのような1価金属であり、又NH4 +でもよ
い。さらにこれを例えばMg、Ca、Sr、Ba、M
n、Ni、Co又はFeのような2価金属により、イオ
ン交換を利用して、部分置換又は完全置換して使用して
も差し支えない。
【0019】前記方法で得られるシリカゲル母体の表面
上にイオン結合により固定される、アルミノ珪酸塩より
なる無抗菌層の厚さ及び組成は、シリカゲル素材の物性
やそれの使用量、アルカリ濃度、アルミン酸塩の添加
量、反応温度や反応時間等の因子を調節することにより
任意に調節できる。
【0020】次いで前述の無抗菌層中のイオン交換可能
な金属Mを抗菌〜殺菌性の金属イオンとして銀、銅及び
亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属のイ
オンを含む溶液を用いてカーラム法又はバッチ法、ある
いは両者を併用してイオン交換することにより抗菌剤が
得られる。イオン交換により、前述のMの1部又は全部
が抗菌金属イオンにより置換されて、シリカゲル母体の
表面(細孔表面)にイオン結合し母体と容易に剥離しな
い抗菌層が形成される。得られた抗菌層の金属イオンは
シリカゲルの細孔やマクロ孔に薄層をなして均質な好ま
しい状態で分布している。
【0021】熱処理工程では抗菌剤の種類や物性により
処理条件は異なるが、通常350〜800℃の熱処理が
所定時間実施される。これにより、本発明で使用される
第1の抗菌剤を得ることができる。抗菌剤が粉末状の場
合は350℃以下の温度領域における処理では焼結密度
が上がらず、又800℃以上の温度領域における処理で
は、温度の上昇につれて抗菌力は徐々に低下する傾向に
ある。熱処理の最適温度と所要時間は抗菌性組成物の形
状や組成等により変化する。例えば、抗菌金属として銀
と亜鉛を使用したシリカゲルを母体とする抗菌剤の耐熱
性は高いので、熱処理は400〜800℃の温度領域で
好適に行われ、また銀のみを使用した抗菌剤の耐熱性は
若干低いので、熱処理は380〜550℃の温度領域で
好適に行われる。又、抗菌性組成物がペレット、タブレ
ット、球状体又は塊状(凝固)体であっても、前記の3
50〜800℃の熱処理領域の中の適当な温度範囲を選
択して実施することにより、第1の抗菌剤を得ることが
できる。
【0022】上記第1の抗菌剤中には、必要とする量の
抗菌金属イオンが単独又は複合状態(Ag+,Ag+−Z
2+、Ag+−Cu2+、Ag+−Zn2+−Cu2+等)で存
在しているが、この中には1〜3価の無抗菌性の金属イ
オン、例えば1価のアルカリ金属イオン、2価のニッケ
ルやアルカリ土類金属イオン、3価の希土類元素[ラン
タノイド元素;Ln3+;原子記号58〜71の元素と原
子番号21(Sc)、39(Y)、57(La)を加え
た17元素]やヂルコニウム(ヂルコニルの状態ZrO
2+)が存在していても勿論差し支えない。さらに前記の
抗菌剤中にはアンモニウムイオン類、例えばNH4 +、C
7152 +、C816+、Me4+(TMA:テトラメ
チルアンモニウムイオン)、Et4+(TEA:テトラ
エチルアンモニウムイオン)、Pr4+(TPA:テト
ラプロピルアンモニウムイオン)が存在していても差し
支えない。
【0023】本発明で使用される第2の抗菌剤は、上記
で説明された熱処理前の第1の抗菌剤を2段階で熱処理
する事により製造される。第1段階の熱処理としては、
抗菌剤に含有される大部分の水分を除去する目的で、2
50℃〜500℃の温度領域で、常圧または減圧下で熱
処理を行う。次いで第2段階の熱処理として高温焼成を
行い、非晶質の抗菌剤を結晶性抗菌物質へ転換する。こ
の場合の焼成温度と時間は出発原料の種類や組成により
変動するが、通常800℃〜1300℃の温度範囲で所
定時間(1〜3時間)の焼成が行われて、二酸化珪素の
結晶構造を主たる母体とする、本発明で使用される結晶
性抗菌剤が調製される。ここで、「抗菌剤に含有される
大部分の水分を除去する」とは、具体的には、表面付着
水を除去するという意味である。第2段階の熱処理温度
は、800℃〜1300℃の範囲が好ましい。800℃
以下の温度では結晶化が不十分であり、かかる焼成体を
用いて抗菌化ポリマー組成物を調製した際、その耐候性
が不十分となる。一方、1300℃以上の熱処理では、
結晶化は問題なく行われ、かかる焼成体を用いて抗菌化
ポリマー組成物を調製した際、その耐候性は極めて優れ
ている。しかしながら、上限値以上の熱処理で得られる
抗菌剤の抗菌能は、温度の上昇とともに次第に低下する
傾向にあるため、剤自身の抗菌力の低下を抑えるため、
1300℃以下で熱処理を行うことが好ましい。熱処理
の好ましい温度範囲は、800℃〜1200℃である。
【0024】第2の抗菌剤の原料として使用される第1
の抗菌剤の比表面積は大きく、極めて多孔質である。ま
たこれの構成成分は無機質であるので耐熱性は何れも高
い。かかる物性を有する原料を熱処理して、結晶化させ
る際には焼成工程に於ける個々の無機構成成分の損失は
なく、焼成体の化学組成は一定に保持される利点があ
る。かかる原料を使用することにより焼成体のSSAや
気孔率の減少は適度に保たれるので、これの微粉化が容
易となる。これは最終的に得られる本発明にかかる抗菌
性組成物の細菌に対する抗菌〜殺菌速度を大きくする効
果をもたらす。
【0025】第1の抗菌剤中にアンモニウムイオン類が
存在しても差支えない旨既述したが、これを含有する第
1の抗菌剤から第2の抗菌剤を調製する場合には、下記
の効果をもたらすので好ましい場合もある。例えばNH
4 +を含有するシリカゲルを母体とした非晶質の抗菌剤を
原料として使用すると、これの高温焼成を行って結晶化
する際に分解ガスが発生し微細な発泡をともなうので、
最終的に得られる抗菌剤粉末をより多孔質に保持して、
SSAの減少を抑制し、その結果嵩比重やSSAを好ま
しい範囲に保持する効果がある。かかる物性を有するも
のは細菌類との接触を良好に保持するために、抗菌〜殺
菌速度をより大きくするという利点がある。
【0026】また、例えば、ヂルコニルイオン(ZrO
2+)、希土類元素系列のランタンイオン(La3+)と2
価金属のカルシウムイオン(Ca2+)などを含有する第
1の抗菌剤から第2の抗菌剤を調製した場合、Zr2+
La3+またはCa2+の存在は、最終的に得られる抗菌剤
の耐熱性、耐候性ならびに耐変色性を向上させる利点が
ある。さらに本願で使用される第2の結晶性抗菌剤に含
有させる抗菌金属イオン(Ag+、Zn2+、Cu2+)や
無抗菌性の金属イオン(La3+やZrO2+)の結合エネ
ルギーの差異のため、抗菌能をより増大せしめる効果も
ある。第2の抗菌剤は凝固されて、ガラス状〜セラミッ
ク状であるが、これは粗粉砕または微粉砕されて、所定
の粒子径に調製されることが好ましい。粉砕された結晶
性抗菌剤の嵩比重(見掛密度)は、原料の物性や組成、
処理温度等により異なるが、通常0.4〜1.4の範囲
となるように調製することが、抗菌性能、および抗菌剤
とポリマーを組合せて分散性良好な均質体とするために
好ましい。
【0027】本発明にかかる抗菌性ワックス組成物に好
適に用いられる抗菌性組成物の粒子径については何ら制
限を加えるものではないが、用途によっては当然に好ま
しい範囲がある。例えば一般には30〜100メッシュ
の大きさを有する抗菌剤粒子が使用されるが、ワックス
へのより均質な分散をさせるためにはさらに粒子径の細
かい、例えば200〜300メッシュの粒子またはより
微細な数ミクロン〜数十ミクロンの粒子を使用すればよ
い。抗菌剤粒子の粒径の調節は粉砕機を選択することに
より行うことができ、例えばJET粉砕機を使用すれば
微細粉末を得ることができる。
【0028】本発明の抗菌性ワックス組成物は、以下の
ような通常用いられる他の成分を含有することができ
る。例えば重合媒体、安定剤、耐候(光)性配合剤、抗
酸化剤、活性剤、つやけし剤、発泡剤、難燃剤、改質
剤、増白剤、顔料(着色剤)、無機および有機フィラー
および各種の可塑剤、滑剤を必要により添加することが
できる。また液体や有機溶剤を含有していてもよい。
【0029】本発明の効果を要約すれば下記の通りであ
る。 (1)本発明の抗菌・防カビ性のワックス類は、E.c
oilやS.aureusのような細菌に対して好まし
い抗菌〜殺菌作用を発揮しており、前記細菌類の増殖を
全く見ないばかりでなく、これらの菌をほぼ完全に死滅
させる。 (2)本願発明のワックス類の抗菌化に使用されるシリ
カゲルを母体とする第1の抗菌剤と第2の抗菌剤よりな
る抗菌性混合物は公知の抗菌剤である抗菌性ゼオライト
に比較して抗菌・防カビ能が非常に優れているので、こ
の混合物を含むワックス組成物も優れた抗菌・防カビ能
を有する。 (3)本発明の非晶質の第1の抗菌剤と結晶質の第2の
抗菌剤を含有してなる新規な抗菌・防カビ性のワックス
類は抗菌・防カビ効果が長期間に亘って持続する利点が
ある。 (4)本発明で使用される抗菌性組成物のワックス類へ
の分散性は極めて良好であり、極めて容易かつ経済的に
均質な抗菌性ワックス組成物を製造することができる。
【0030】実施例 以下において実施例により本発明をより詳細に説明する
が、これらは本発明の範囲を何等限定するものではな
い。 抗菌力の評価試験法 実施例の検体の抗菌効果及び防カビ効果を評価するため
に、ドロップ法(滴下法)による抗菌力の評価試験とカ
ビ抵抗性試験が実施された。 (1)カビ抵抗性の評価試験 被検体のカビ抵抗性試験はJIS Z2911に準じて
行われた。 使用菌株 Aspergillus niger IFO−4407; Penicillum funiculosum IFO−6345; Chaetomium globosum IFO−6347; Gliocladium virens IFO−6355; Aureobasidium pullulans IFO−6353.
【0031】胞子懸濁液の調製 上記菌株をポテトデキストロース寒天斜面培地に充分胞
子が形成されるまで培養した後、胞子を減菌0.005
%スルホコハク酸ジオクチルナトリウム溶液に懸濁させ
単一胞子懸濁液とした。各単一胞子懸濁液を等量ずつ混
合して混合胞子懸濁液を調製した。
【0032】試験操作 JISZ2911法に準拠した。供試品をシャーレの中
に置き、その上に混合胞子懸濁液を、表面がぬれるまで
散布した。前記のシャーレを29℃、湿度85%以上に
て、30日間培養した後に供試品表面に生じた菌糸の発
育状態を肉眼で観察した。前記の培養に際しては下記の
培地が使用された。 培地組成:KH2PO4(0.7g)、K2HPO4(0.
7g)、MgSO4・7H2O(0.7g)、NH4NO3
(1.0g)、NaCl(0.005g)、FeSO4
・7H2O(0.002g)、ZnSO4・7H2
(0.002g)、MnSO4・7H2O(0.002
g),寒天(15g)、グルコース、グルタミン酸ナト
リウム、及び純水(1000ml).上記のグルコース
及びグルタミン酸ナトリウムは培地中でそれぞれ2%及
び1%になるように調製された。
【0033】試験結果の評価 試験結果の評価は下記の5段階で行った。但し下記の%
は表面積に対する百分率を示す。
【0034】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 評価記号 備 考 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 0 菌の発育がまったくない 1 わずかな菌の発育(10%以下) 2 少しの菌の発育 (10〜30%) 3 中間的な菌の発育(30〜60%) 4 はげしい菌の発育(60〜100%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0035】(2)ドロップ法による抗菌力の評価試験 使用菌株 Escherichia coli IFO−12734(大腸菌): Staphylococcus aureus IFO−12732(黄色ブドウ状球菌)
【0036】細菌の菌液の調製 普通寒天培地で37℃で18時間培養した試験菌体をリ
ン酸緩衝液(1/15M、pH=7.2)に浮遊させ1
8cells/mlの懸濁液を造り、適時これを希釈
して試験に用いた。 ドロップ法による試験操作 アルコール綿で洗浄した被検体(50×50mm)の各
表面(片面)に菌液1mlを滴下し、25℃で保存し
た。菌数測定は液検体の菌液について、菌数測定用培地
を用い混釈平板培養法により行われた。生菌数の測定は
所定時間経過後に行われた。前記の培養に際しては M
ueller Hinton 2(BBL) 培地が使
用された。
【0037】参考例−1 本例は本願で使用する抗菌金属として銀及び亜鉛を含む
第1の抗菌剤の製造例を示したものである。本例に於て
は出発原料のシリカゲルとして、FDゲル[富士デエヴ
ィソン(株)のシリカゲル;SSA=450m2/g;
細孔容積(P.V.)=0.80cm3/g;細孔径
(P.D.)=70オングストローム;粒径40メッシ
ュパス]430gに、アルミン酸ナトリウム190g
と、水1700mlを添加し、pH=12.3で、約6
0℃で10時間、間欠的に攪拌しながら中間組成物の合
成を行った。合成反応終了後、瀘過し、次いで固相を温
水を用いて洗浄した。洗浄終了後、固相を100℃−1
10℃で乾燥した。生成した中間組成物はNa=4.3
1%、Al=5.00%(いずれも無水基準)の組成を
有していた。上記で得られた中間組成物120gに対し
て0.17M AgNO3−0.40M Zn(NO3
2混合溶液240mlを添加し、反応温度を60℃に保
持して5時間に亘るイオン交換反応を連続攪拌下で行っ
た。この際イオン交換時の水溶液相のpHをほぼ3.9
5に保持した。イオン交換終了後、瀘過し、固相を水洗
された。水洗は洗浄液中にAgClテストによりAg+
の存在が認められなくなるまで実施された。最終的に水
洗品は100〜110℃で乾燥された。乾燥品はSiO
2=83.38%、およびAl23=7.56%を含有
していた。また乾燥品中の抗菌金属含量はAg=2.9
1%、Zn=2.81%(いずれも無水基準)であり、
SSA=329m2/g、P.V.=0.73cm3/g
であった。前記抗菌剤の乾燥品は微粉末化により平均粒
子径(Dav)=3.2μmとされ、抗菌・防カビ性の
ワックス組成物の試作に供された。
【0038】参考例2 本参考例では、本発明で使用される第2の結晶性抗菌剤
の製造方法について示す。サンプル1〜7の抗菌剤を調
製するための出発原料は、参考例1で得られたシリカゲ
ルを母体とした抗菌剤である。これには無抗菌性の金属
イオンとして1価のアルカリ金属(Na+)も少量含有
されていた。上記の粉末状の出発原料を使用して、これ
を表1に示したように350℃で1時間予備加熱し、大
部分の水分を除去した。次いで、高温焼成を表記したよ
うに、800℃〜1200℃の温度域で1又は2時間実
施し、結晶性抗菌剤の焼成体を得た。得られた塊状の焼
成体を粉砕機を用いて粗粉化した後、さらにJET粉砕
して微粉末とした。本発明の第2の抗菌剤であるサンプ
ル1〜7はSiO2=83.38%、およびAl23
7.56%を含有し、その抗菌金属としては、3.6ま
たは3.7%の銀及び2.0%の亜鉛を含有している。
また本例で微粉化された抗菌剤の平均粒子径(Dav)
は表1に記載したように、2.9〜8.3μmの範囲内
にあり、かかる粉体の嵩比重(見掛密度)は0.40〜
1.00(d1)及び0.46〜1.10(d2)の範囲
内にある。但しd1及びd2は、それぞれ軽く充填したと
き及び振動充填時の嵩比重を示すものであり、具体的な
測定方法は以下のとおりである。 軽く充填した時の嵩比重(d1):200ミリリットル
のメスシリンダーに粉末を入れ、軽く振動させ、粉末が
沈降した後、粉末の容量と重量を測定して算出した。 振動充填時の嵩比重(d2):200ミリリットルのメ
スシリンダーに振動させながら粉末を入れ、粉末が沈降
した後、さらに振動を繰り返し、最終的に粉末の容量と
重量を測定して算出した。
【0039】
【表1】
【0040】実施例1 本実施例は抗菌・防カビ性を有する本発明のワックス組
成物(乳化性固形ワックス;白色ベースト状)の調製例
と調製品のカビ抵抗性試験に関するものである。本ワッ
クスの調製に際し、抗菌性組成物としては参考例1で得
られた第1の抗菌剤と参考例2で得られた第2の抗菌剤
の等量混合物が使用された。本実施例においては、以下
の手順で固形ワックス(1−BL,1−1及び1−2)
を調製した。天然蝋(カルナバロウ、モンタンロウ)、
合成蝋(アデカワックス;旭電化)、乳化剤(ソルビタ
ン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェノー
ルエーテル)、石油系溶剤(ミネラルスピリット)、及
び抗菌性組成物を、以下に示す量で計量の上乳化容器に
入れた。次いで混合物を、蝋の融点を上回る温度に加熱
し、攪拌し、均一にした。次に攪拌混合を続行しながら
所定量の熱湯(95℃±5℃)を投入した。乳化終了
後、所定量の滑り止め剤(コロイダルシリカ)を添加し
た。冷却を開始し、流動状態のうちに内容物を所定の容
器に充愼し、本発明の乳化性固形ワックスを調製した。
乳化性固形ワックスは50×50mm(厚さ約3mm)
の形状の試験片とされ、これを用いてカビ抵抗性試験が
実施された。
【0041】 実施例1の固形ワックスの配合 カルナバロウ 10重量部 モンタンロウ 10 アデカワックス 5 ソルビタン脂肪酸エステル 2 ポリオキシエチレン ノニルフェニルエーテル 1 ミネラルスピリット 34 抗菌性組成物 * コロイダルシリカ(すべりどめ剤) 6 水 32 *各試験片において、抗菌性組成物の量(無水基準)は
以下の通りである。 試験片:1−BL=抗菌性組成物無添加;空試験用 1−1=抗菌性組成物1%含有; 1−2=抗菌性組成物3%含有
【0042】比較例1 本比較例は本発明の抗菌・防カビ性のワックス組成物
(乳化性固形ワックス;白色ペースト状)の性能を比較
するために行われたものである。本比較例に於ては本発
明の抗菌性組成物の代わりに公知の抗菌性ゼオライト
(NaAgZnZ;ZはA型ゼオライトの母体;Ag=
3.18%;Zn=3.25%;Dav=2.7μm;
SSA<57m2/g)が使用されて、ワックス組成物
(乳化性固形ワックス;白色ペースト状)が調製され
た。カビ抵抗性の試験結果を表2に示した。本発明の抗
菌性組成物をそれぞれ1%及び3%を含有する検体1−
1及び1−2の評価値は何れも0でカビの発育を見な
い。一方、公知の抗菌性ゼオライト系の抗菌剤(比較例
1)をそれぞれ1%及び3%含有してなるワックス1−
3及び1−4では何れもカビの発育が見られる。1−B
Lは空試験用の検体で抗菌剤無添加であり、これは全く
防カビ能は示さない。これらのカビ抵抗性試験結果よ
り、本発明で使用する抗菌性組成物は、例えば代表的な
公知の抗菌性である抗菌性ゼオライトに比較して抗菌性
能(防カビ能)が優れていることは明らかである。
【0043】
【表2】
【0044】実施例2 本実施例は抗菌・防カビ性を有する本発明のワックス組
成物〔液状ワックス(油性液状);懸濁液状〕の調製例
と調製品のカビ抵抗性試験の評価に関するものである。
本実施例においてはシリカを母体とする第1の抗菌剤は
下記の方法で合成された。シリカゲル〔TBゲル、10
〜20メッシュ品(豊田化工株式会社製)〕とアルミン
酸ナトリウムの水熱合成により得られたシリカを母体と
する中間組成物(無抗菌性:Na=3.83%;AgN
3=3.24%)120gに対して、0.23M A
gNO3溶液約240mlを添加した後、常温(〜25
℃)付近で12時間に亘ってイオン交換反応を行い、第
1の抗菌剤を得た。これは粉砕され微粉末とされた。得
られた抗菌剤は抗菌金属としてAg=5.04%(無水
基準)を含有し、;SSA=324m2/g;P.V=
0.66cm3/g;Dav=4.9μmであった。第
2の抗菌剤としては参考例2のサンプルNo.3の抗菌
剤が使用された。上記の抗菌剤組成物の重量比は第1の
抗菌剤/第2の抗菌剤=2/1とし、下記の方法により
抗菌化ワックスが調製された。液状ワックス(油性液
状)を含浸させた試験片2−BL,2−1及び2−2は
下記の方法により調製された。天然蝋(カルナバロウ、
バラフィンロウ、ヌカロウ)、合成蝋(アデカワック
ス:旭電化)、ポリエチレンロウ及び抗菌性組成物の所
定量を溶解容器に投入し、混合物を加熱して溶解混合し
た。次いで石油系溶剤(ミネラルスプリット)、滑り止
め剤(コロイダルシリカ)及び染料を添加し混合した。
混合物を冷却して本発明の液状ワックス(油性液状)を
調製した。上述の如く調製された液状ワックスは50×
50mmの濾紙に含浸コートされて試験片が調製され、
これを用いてカビ抵抗性試験が実施された。実施例2の
ワックス組成物の配合を以下に示した。
【0045】実施例2の固形ワックスの配合 カルナバロウ 3重量部 パラフィンロウ 3 ヌスロウ 2 ポリエチレンロウ 2 ミネラルスピリット 87 コロイダルシリカ(すべりどめ剤) 3 染料 少量 抗菌性組成物 * 抗菌性ゼオライト* *各試験片において、抗菌性組成物の量(無水基準)は
以下の通りである。 試験片:2−BL抗菌性組成物無添加;空試験用; 2−1=抗菌性組成物0.6%含有; 2−2=抗菌性組成物2%含有 2−3=抗菌性ゼオライト2%含有
【0046】次に調製された検体のカビ抵抗性の試験結
果を表3に示した。本発明の抗菌・防カビ性のワックス
組成物検体2−1(抗菌性組成物を0.6%含有)及び
2−2(抗菌性組成物を2.0%含有)の評価値は何れ
も0であり、優れた防カビ能を発揮することが判明し
た。一方比較例である2−3は公知の抗菌性ゼオライト
(NaAgZ;Z=A型ゼオライトの母体;Ag=5.
97%)(無水基準);SiO2/Al23 モル比=
1.99;平均粒子径Dav=2.98μm;SSA=
674m2/g 2%を含浸コートして得た試験片であ
る。2−BLは抗菌剤無添加の空試験用の検体であり、
これには多くカビの発生が見られる。2−2及び2−3
検体を比較すれば、2−2検体ではカビの発生が全く見
られず、本願で使用する抗菌性組成物が比較例に使用し
た抗菌性ゼオライトよりも抗菌性がより優れていること
は明白である。
【0047】
【表3】
【0048】実施例−3 本実施例は抗菌・防カビ性を有する本発明のワックス組
成物[液状ワックス(乳化性液状ワックス)]調製例と
調製品のカビ抵抗性試験に関するものである。本組成物
の調製に際しては抗菌金属として銀及び銅を含有してな
るシリカを主成分としアルミナを副成分とする第1の抗
菌剤(Ag=2.35%;Cu=0.52%;SSA=
321m2/g,P.V=0.66cm3/g;Dav=
4.2μm)と参考例2のサンプルNo.3である第2
の抗菌剤が使用された。第1の抗菌剤と第2の抗菌剤は
等量混合されて、下記の方法で抗菌・防カビ性のワック
ス組成物が調製された。配合を以下に示す。本発明に於
ては乳化性液状ワックスを含浸させた試験片3−BL,
3−1及び3−2が下記の方法で調製された。天然蝋
(カルバナロウ、パラフィンロウ)、合成蝋(アデカワ
ックス;旭電化)、乳化剤(ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル)及
び前記の抗菌性組成物の微粉末の所定量を乳化容器に投
入して加熱溶解した。上記混合物に対して、石油系溶剤
を加え、次いで攪拌下に熱湯(95℃±5℃)の所定量
を加えた。引続き滑り止め剤(コロイダルシリカ)の所
定量を加えた。前記混合物は均一化された後、急冷され
て本発明の乳化性液状ワックス組成物が調製された。調
製されたワックス組成物は50×50mmの濾紙に含浸
コートされて試験片が調製され、これを用いてカビ抵抗
性試験が実施された。
【0049】実施例3の素材の配合 カルナバロウ 4重量部 パラフィンロウ 5 アデカワックス 2 ソルビタン脂肪酸エステル 1 ポリオキシンエチレン ノニルフェニルエーテル 6重量部 抗菌性組成物 * ミネラルスピリット 25 水 51 コロイダルシリカ 6 * 上記の抗菌性組成物の含有量は下記のように1%、
2%及び3%になるように調製された。 3−BL:抗菌剤無添加の空試験用の検体(抗菌剤無添
加の液状ワックス組成物を含浸して得られた試験片)。 3−1、3−2、および3−3:抗菌性組成物を、無水
物として、それぞれ1%、2%および3%含有する上記
の液状ワックス組成物を含浸して得られた試験片。 検体のカビ抵抗性試験の結果を表4に示した。前記の抗
菌性組成物を1%,2%及び3%含浸コートして得られ
た試験片3−1、3−2、および3−3の評価値は何れ
も0であり、全くカビの発生を見ないことが判明した。
一方抗菌性組成物を含有しない空試験片3−BLの評価
値は4であって、これはカビ抵抗性を殆んど示さないこ
とがわかる。以上の試験より本発明のワックス組成物は
優れた防カビ性を発揮していることは明らかである。
【0050】
【表4】
【0051】実施例4 本実施例は抗菌・防カビ性を有する本発明の油性固形ワ
ックスの調製例とドロップ法による調製品の抗菌力の評
価試験に関するものである。抗菌化ワックスの調製に際
しては参考例1で調製されたシリカゲルを母体とする非
晶質の第1の抗菌剤と参考例2のサンプルNo.3であ
る結晶質の第2の抗菌剤が使用された。第1の抗菌剤と
第2の抗菌剤とは等量で混合され使用された。本例にお
いては、固形ワックス組成物(4−BL,4−1,4−
2及び4−3)は下記の方法で調製された。天然蝋(カ
ルナバロウ、バラフィンロウ、ヌカロウ)、合成蝋(ア
デカワックス(旭電化)、ポリエチレンロウ)、及び前
記の抗菌性組成物の所定量が溶解容器に投入され、引続
き滑り止め剤(コロイダルシリカ)と染料が添加され
た。均一混合された後、内容物は冷却されて、最終的に
本発明の油性固形ワックス組成物が調製された。
【0052】 実施例4の配合 カルバナロウ 7重量部 パラフィンロウ 10 ヌカロウ 6 ポリエチレンロウ 4 抗菌性組成物 * ミネラルスピリット 70 コロイダルシリカ 3 油性染料 少量 *上記の配合混合物中の抗菌性組成物含有量は1、2及
び3%になるように調製された。
【0053】抗菌力テスト用の検体は50×50m/m
(厚さ約2m/m)に調製された。 4−BL:空試験用の検体(抗菌剤無添加の油性固形ワ
ックス) 4−1、4−2、および4−3:抗菌性組成物を無水物
としてそれぞれ1%、2%及び3%を含有してなる抗菌
・防カビ性の油性固形ワックス組成物 抗菌力の試験結果を表5に示したが、本発明で得られた
抗菌性固形ワックス組成物はE.coli(大腸菌)や
S.aureus(黄色ブドウ球菌)に対して優れた抗
菌力を発揮しており、抗菌テストを開始して12時間経
過後には何れの検体でも上記の細菌はほぼ完全に死滅す
ることが判明した。一方、空試験用の検体4−BLでは
抗菌〜殺菌効果は全く見られなかった。以上の抗菌力試
験は本発明の抗菌性ワックス組成物は細菌に対しても優
れた抗菌力を発揮することを示す。
【0054】
【表5】
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09G 1/08 C09G 1/08 // C10G 73/00 9547−4H C10G 73/00 C11B 5/00 C11B 5/00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質シリカゲルの表面に銀、銅及び亜
    鉛からなる群から選択される金属のイオンの少なくとも
    1種を含むアルミノ珪酸塩の皮膜を有する第1の抗菌
    剤、並びに銀、銅および亜鉛からなる群から選択される
    金属のイオンの少なくとも1種を含む結晶性二酸化珪素
    を主成分とする第2の抗菌剤を含有する抗菌性組成物、
    並びにワックスを含む抗菌性ワックス組成物。
  2. 【請求項2】 第1の抗菌剤が含有する金属イオンが銀
    イオンであり、その量が第1の抗菌剤重量の0.2〜6
    重量%である、請求項1記載の抗菌性ワックス組成物。
  3. 【請求項3】 第1の抗菌剤が含有する金属イオンが銅
    および亜鉛からなる群から選択される金属のイオンの少
    なくとも1種であり、その量が第1の抗菌剤重量の2〜
    10重量%である、請求項1記載の抗菌性ワックス組成
    物。
  4. 【請求項4】 第1の抗菌剤が第1の抗菌剤重量の5重
    量%以下の銀イオンと、第1の抗菌剤重量の6重量%以
    下の銅及び亜鉛からなる群から選択される金属のイオン
    の少なくとも1種を含む、請求項1記載の抗菌性ワック
    ス組成物。
  5. 【請求項5】 第2の抗菌剤が含有する金属イオンが銀
    イオンであり、その量が第2の抗菌剤重量の0.2〜6
    重量%である、請求項1から4のいずれか1項記載の抗
    菌性ワックス組成物。
  6. 【請求項6】 第2の抗菌剤が含有する金属イオンが銅
    および亜鉛からなる群から選択される金属のイオンの少
    なくとも1種であり、その量が第2の抗菌剤重量の2〜
    10重量%である、請求項1から4のいずれか1項記載
    の抗菌性ワックス組成物。
  7. 【請求項7】 第2の抗菌剤が第2の抗菌剤重量の5重
    量%以下の銀イオンと、第2の抗菌剤重量の6重量%以
    下の銅及び亜鉛からなる群から選択される金属のイオン
    の少なくとも1種を含む、請求項1から4のいずれか1
    項記載の抗菌性ワックス組成物。
  8. 【請求項8】 ワックスが、水性ワックス、油性ワック
    ス、乳化性ワックスまたはそれらの混合物である請求項
    1から6のいずれか1項記載の抗菌性ワックス組成
    物。。
  9. 【請求項9】 第1の抗菌剤と第2の抗菌剤の合計量
    が、抗菌性ワックス組成物重量の0.02〜30重量%
    である、請求項1から8のいずれか1項記載の抗菌性ワ
    ックス組成物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2802127A1 (es) * 2019-07-04 2021-01-15 Moracho Jimenez Angel Procedimiento para tratar las vides, composición aplicada y método de obtención de la misma

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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