JP2809493B2 - 抗菌・防カビ性のワックス組成物及びそれの製造法 - Google Patents

抗菌・防カビ性のワックス組成物及びそれの製造法

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JP2809493B2 JP18197390A JP18197390A JP2809493B2 JP 2809493 B2 JP2809493 B2 JP 2809493B2 JP 18197390 A JP18197390 A JP 18197390A JP 18197390 A JP18197390 A JP 18197390A JP 2809493 B2 JP2809493 B2 JP 2809493B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は殺菌作用を有する銀イオン及び所望の場合に
はこれと銅イオン及び亜鉛イオンから成る殺菌性金属イ
オン群より選ばれた金属イオンとを担持する殺菌性ゼオ
ライト固体粒子を含有する抗菌・防カビ性のワックス組
成物ならびにそれの製造法を提供するものである。
[従来の技術] 植物性、鉱物性または動物性のワックス(天然蝋;合
成蝋)、松脂のような天然樹脂、ポリエチレン、ポリ酢
酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン樹脂、アクリ
ル樹脂のような合成樹脂を基材として、これらにミネラ
ルスピリット、ミネラルターペン、ソルベントナフサ、
テルペン油のような溶媒、Span,Tween系の活性剤、トリ
エタノールアミンセッケン、ホルホリンセッケンのよう
な乳化剤や水溶媒が添加され、また場合によっては界面
活性剤、染料、香料、可塑剤、帯電防止剤等も添加され
て、現在各種のワックス製品が製造されている。これら
のワックス製品はつや出し剤(ポリシュ)として、床用
光沢剤(フロアポリシュ又はフロアワックス)、自動車
用光沢剤(カーワックス)、家具・調度用の光沢剤(つ
や出し剤)、靴クリーム、またカンキツ類のつや出し
剤、いわゆるフルーツワックスとして表皮の被膜形成剤
に使用されている。
近時、生活環境を汚染より保護して、これをクリーン
に保つことは社会的に緊急問題になっている。かかる状
況に鑑みて各種ワックス製品の抗菌・防カビ化の要望は
次第に増大している。しかしながら、生体に対して安全
性の高い、即ち毒性の少ない無機系の抗菌剤を使用して
ワックス製品に好ましい抗菌・防カビ機能を付与するた
めの満足すべき技術的方法は未だ出現してない現状にあ
る。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は新規性を有する抗菌・防カビ性のワックス組
成物を提案するものである。特定した殺菌性ゼオライト
固体粒子の各種ワックスに添加・混合して、後者の物性
を低下させることなく、これを抗菌・防カビ化して効果
が長期間に亘って維持される手段を本発明は提供する。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは有機系及び無機系の抗菌剤を用いワック
ス製品の抗菌・防カビ化について鋭意研究を進めた結
果、後者は前者の抗菌剤に比較して、安全性も高く、ワ
ックス製品への分散性も良好であり、それの蒸発損失も
少なく、且つ、後者を含有する製品は細菌や真菌に対す
る殺菌力も優れ抗菌・防カビ効果が長期に亘ることを見
い出した。後者の無機系抗菌剤の中でも、特定したゼオ
ライトのイオン交換可能な金属を銀、銅及び亜鉛の殺菌
金属イオンで所定量置換した、いわゆる殺菌性ゼオライ
ト固体粒子であって、該粒子の表面に殺菌性金属の副反
応生成物である不純物分を含まないものは構造的にも安
定しており、これを各種のワックスに均一混合してワッ
クス組成物を調製した場合に、それらの抗菌・防カビ効
果は極めて優れており、また上記の効果は長期間に亘っ
て発揮されることを本発明者らは確認して発明を完成す
るに到った。
以下に本発明の細部を述べる。
本発明は150m2/g以上の比表面積及び14以下のSiO2/Al
2O3モル比のゼオライト固体粒子の有するイオン交換容
量の約90%以下が殺菌性の銀イオン及び所望の場合には
これと銅イオン及び亜鉛イオンから成る群より選ばれた
金属イオンとにより担持されており、且つ該殺菌性固体
粒子の表面に殺菌性の置換金属の水酸化物等の不純成分
が実質的に存在しない殺菌性ゼオライト固体粒子を含有
する抗菌・防カビ性のワックス組成物である。
また本発明は、前記の殺菌性ゼオライト固体粒子を含
有する抗菌・防カビ性の新規なワックス組成物を製造す
る方法を提供するものであり、これは下記のように構成
されている。150m2/g以上の比表面積及び14以下のSiO2/
Al2O3モル比のゼオライト固体粒子の有するイオン交換
容量の約90%以下が殺菌性の銀イオン及び所望の場合に
はこれと銅イオン及び亜鉛イオンから成る群より選ばれ
た金属イオンとにより担持されており、且つ該殺菌性固
体粒子の表面に殺菌性の置換金属の水酸化物等の不純成
分が実質的に存在しない殺菌性ゼオライト固体粒子を、
該ゼオライト固体粒子0.01〜30重量部対水性ワックス、
油性ワックス、乳化性ワックス、フルーツワックス、ま
たは樹脂ワックス99.99〜70重量部の割合で、前記ワッ
クスの何れかに添加・混合することを特徴とする抗菌・
防カビ性の水性ワックス、油性ワックス、乳化性ワック
ス、フルーツワックス、または樹脂ワックスの製造法よ
り成る。
本発明の抗菌・防カビ性のワックス組成物の調製に際
して使用される殺菌性ゼオライト固体粒子(殺菌性金属
イオンの担持するゼオライト固体粒子)とは、アルミノ
珪酸塩よりなる天然または合成ゼオライト(結晶質)の
イオン交換可能な金属の一部または大部分が、殺菌性の
金属イオンとして、銀イオン(必須金属イオン)及び所
望の場合にはこれと銅イオン及び亜鉛イオンから成る群
より選ばれた金属イオンとによってイオン交換されて、
ゼオライト母体に、前記の殺菌金属がイオン結合により
安定に担持されているものを称する。本発明で使用する
殺菌性ゼオライト固体粒子の調製に当り、好適な殺菌金
属イオンとしては上述のように銀、銅及び亜鉛の3種の
金属イオンが挙げられ、これらの中で銀イオンは必須金
属イオンとして使用される。殺菌性ゼオライト固体粒子
の構成に銀を必須金属として、これに銅または亜鉛を併
用する理由は殺菌防カビ効果の向上のみならず、かかる
2価金属を共存させることにより銀を含む殺菌性ゼオラ
イト粒子の耐熱性や耐候(光)性を改善するためであ
る。
本発明の素材として使用されるゼオライトについて説
明する。ゼオライトは、一般に、三次元的に発達した骨
格構造を有する結晶質のアルミノ珪酸塩であって、それ
の一般式は、Al2O3を基準にしてxM2/nO・Al2O3・ySiO2
・zH2Oで表わさる。前記のMはイオン交換可能な金属イ
オンを表わし、通常これは1〜2価の金属イオンであり
NH4 +も含まれる。またnはこの原子価に対応する。一方
x及びyは、それぞれ金属酸化物及びシリカの係数を、
zは結晶水の数を表わしている。ゼオライトは、それの
化学組成、結晶構造、細孔径、比表面積等の物性の異な
る多くの種類が存在する。しかし本発明で使用するゼオ
ライト固体粒子の比表面積(SSA)は150m2/g(無水ゼオ
ライト基準)以上であって、ゼオライト構成成分のSiO2
/Al2O3モル比は14以下、好ましくは11以下でなければな
らない。
殺菌性を有する銀、銅または亜鉛の金属イオンを含有
する塩類水溶液は本発明で特定しているゼオライトとは
容易にイオン交換するので、上記塩類の単独または混合
液を使用して殺菌金属イオンとのイオン交換を実施して
必要とする量の殺菌金属をゼオライト母体に担持させ
て、銀、銅または亜鉛のみを担持させた殺菌性ゼオライ
ト固体粒子、または殺菌金属を複合させた、例えばAg−
Cu,Ag−Zn等のいわゆる複合型ゼオライト殺菌粒子を調
製することが可能である。しかしながら、殺菌性金属イ
オンを担持しているゼオライト粒子は、それの比表面積
が150m2/g以上で、且つSiO2/Al2O3モル比が14以下であ
るという二つの条件を満さねばならない。もしそうでな
ければ効果的な殺菌作用を達成する目的物であるワック
ス組成物が得られないことが判明した。これは、主とし
て、効果を発揮できる状態でゼオライトに固定されてい
る殺菌性金属イオンの絶対量が不足するためと考えられ
る。つまりゼオライトの交換容量、交換速度、アクセシ
ビリティなどの物理化学的特性に帰因するものと考えら
れる。従って、モレキュラーシーブとして知られている
SiO2/Al2O3モル比が前述の特定値より大きなゼオライト
類は本発明の素材として不適当である。一方SiO2/Al2O3
モル比が14以下のゼオライト類においては、殺菌作用を
有する金属イオンの単独または複数以上を均一に安定保
持させることが容易に可能であり、このためにかかるゼ
オライトを使用することにより初めて充分な抗菌、殺菌
ならびに防カビ効果が得られることが判った。加えて、
SiO2/Al2O3モル比が14を越えるシリカ比の高いゼオライ
ト類の耐酸、耐アルカリ性はSiO2含量の増大とともに増
大するが、一方これの合成に長時間を要したり、また、
かかるゼオライトのイオン交換容量も小さくまた母体内
の殺菌金属イオンの細孔内拡散にも長時間を要するの
で、かかる点より見てもシリカ比率の高いゼオライトの
使用は本発明においては得策でない。前述したSiO2/Al2
O3モル比≦14の天然または合成ゼオライトは本発明で使
用される細菌性ゼオライト固体粒子の調製用素材として
好適であり、これは物性的に見ても安定であり、抗菌化
してワックス分野への添加に際しても問題はなく、また
経済的にみても安価であるので得策である。上述した理
由にもとづいて本願発明で使用するゼオライトの比表面
積は、150m2/g以上であって、且つSiO2/Al2O3モル比は1
4以下と限定している。
本発明で使用される比表面積が150m2/g以上であっ
て、且つSiO2/Al2O3モル比が14以下のゼオライト素材と
しては天然または合成の何れのゼオライトも使用可能で
ある。例えば天然のゼオライトとしてはアナルシン(An
alcime;SiO2/Al2O3=3.6〜5.6)、チャバサイト(Chaba
zite;SiO2/Al2O3=3.2〜6.0及び6.4〜7.6)、クリノプ
チロライト(Clinoptilolite;SiO2/Al2O3=8.5〜10.
5)、エリオナイト(Erionite;SiO2/Al2O3=5.8〜7.
4)、フォジャサイト(Faujasite;SiO2/Al2O3=4.2〜4.
6)、モルデナイト(Mordenite;SiO2/Al2O3=8.34〜10.
0)、フィリップサイト(Philipsite;SiO2/Al2O3=2.6
〜6.4)等が挙げられる。これらの例示した典型的な天
然ゼオライトは本発明の素材として好適である。一方合
成ゼオライトの典型例としてはA型ゼオライト(SiO2/A
l2O3=1.4〜2.4)、X型ゼオライト(SiO2/Al2O3=2〜
3)、Y型ゼオライト(SiO2/Al2O3=3〜6)、モルデ
ナイト(SiO2/Al2O3=9〜10)等が挙げられるが、これ
らの合成ゼオライトも本発明で使用するゼオライト素材
として好適である。これらの例示したゼオライトの中で
特に好ましいものは合成のA型ゼオライト、X型ゼオラ
イト、Y型ゼオライト及び合成または天然のモルデナイ
トである。本発明で使用する殺菌性ゼオライト調製に際
しては、上記の好ましいゼオライトの単独または混合物
の状態で素材として使用できる。
加えて上述のように限定したゼオライトは、それの交
換容量が大きく、殺菌性を有する銀、銅または亜鉛イオ
ンの単独ならびに前記の複合金属イオンの保持量を大き
くしうる利点があり、その上ゼオライトと殺菌金属イオ
ンのイオン交換反応が急速に進行する特徴がある。さら
に、かかるゼオライトを用いて、本発明で使用する殺菌
性ゼオライト固体粒子のワックス分野への使用目的に応
じて、ゼオライト固体粒子に担持させる銀量や銀−銅量
または銀−亜鉛量等の調節が、イオン交換条件を調節す
ることにより容易に行なえる利点がある。
前述のように限定されたゼオライト素材の粒径や形状
については、本願では特に制限を加えるものではない
が、後述の殺菌性ゼオライト調製のためのイオン交換反
応を考慮すれば、粉末〜粒子状のゼオライト素材が好ま
しい。
次に本願で使用する殺菌性ゼオライト固体粒子の調製
法について説明する。本願発明においては、150m2/g以
上の比表面積及び14以下のSiO2/Al2O3モル比を有するゼ
オライトを使用して、それの有するイオン交換容量の約
90%以下が、殺菌性の銀イオン及び所望の場合にはこれ
と銅イオン及び亜鉛イオンから成る群より選ばれた金属
イオンとにより担持されており、且つ該殺菌性ゼオライ
ト固体粒子の表面に殺菌性の置換金属の水酸化物等の不
純成分が実質的に存在しない殺菌性ゼオライト固体粒子
を調製することが肝要である。殺菌性ゼオライト固体粒
子、例えば銀ゼオライト、銀−銅ゼオライト、銀−銅−
亜鉛等をイオン交換反応を用いて調製する際に、通常の
イオン交換反応以外に、殺菌金属イオンのゼオライト固
相における加水分解等の副反応が惹起されて、殺菌性ゼ
オライト固体粒子の表面が殺菌金属の酸化物、水酸化物
や塩基性塩等の副反応生成物の析出により汚染されるの
を防止するために、反応条件を適節に調整することが重
要である。
例えば殺菌性銀ゼオライト固体粒子の調製に際して銀
のイオン交換率を増大させる条件下でイオン交換を実施
すると、通常の銀ゼオライトの生成のイオン交換反応以
外に副反応を伴ない、銀酸化物、銀水酸化物、銀塩基性
塩等の副反応生成物が生成した白色の銀ゼオライト粒子
の表面を被覆したり、また銀ゼオライトの固相の内部に
前記の不純成分が析出する現象が見られる。このため
に、本来白色であるべき銀ゼオライト粒子は副反応生成
物により汚染されて、また銀クラスターの生成にもとづ
いて変色して灰色、黄色、橙色、時には赤色等に着色す
る。
かかる現象は、抗菌性ゼオライト固体粒子、例えばNa
AgZ(Z=A型ゼオライトの母体)の調製時、銀の交換
率が約57%付近では明かに認められる。さらに銀交換率
を90%以上にするためには、イオン交換に際して、水溶
液相に存在する銀含有塩類の濃度を増大させる必要があ
る。水溶液相の塩類濃度が大になるにつれて、イオン交
換に伴なう副反応生成物による抗菌性銀ゼオライト固体
粒子の汚染度は急激に増大する傾向にある。本来、抗菌
性銀ゼオライト固体粒子は、前述のように白色である
が、上記現象が起ると、これば前記のように変色して物
性も変化する。抗菌性ゼオライト固体粒子が、不純成分
の析出により汚染されると、その汚染量に比例して、抗
菌性銀ゼオライトの本来の細菌や真菌に対する抗菌〜殺
菌力は低下する。銀以外の他の殺菌金属を含有する抗菌
性ゼオライト固体粒子、例えばNaCuZ,NaCuY(Y=Y型
ゼオライトの母体)等の調製に際しても、イオン交換の
条件が適切でないと、前述した銀ゼオライトと同様な現
象が見られ、副反応による不純成分の析出が抗菌性ゼオ
ライト表面に見られる。
本願発明でワックス類に添加・混合して使用される殺
菌性ゼオライト固体粒子はワックス類に好ましい抗菌〜
殺菌力を発揮するとともに、それの物性に悪影響を与え
ぬよう、前述したような不純成分の析出物をできるだけ
含まぬものを使用することが望ましい。かかる目的で、
本願発明においては、既述のように150m2/g以上の比表
面積及び14以下のSiO2/Al2O3モル比を有するゼオライト
を使用して、それの有するイオン交換容量の約90%以下
が殺菌性の銀イオン及び所望の場合には銅イオン及び亜
鉛イオンから成る群より選ばれた金属イオンとにより担
持されており、且つ該殺菌性ゼオライト固体粒子(例:N
aAgZnZ;NaAgZnY;NaAgCuX;NaAgCuY、但し前記のNaは他の
無抗菌性の金属(1価〜2価金属、NH4 +も含む)で一部
または全部が置換されていてもよい。Y及びXはそれぞ
れY型ゼオライト及びX型ゼオライトの母体を表わす)
の表面に殺菌性の置換金属の水酸化物等の不純成分が、
実質的に存在してないものを調製し、これをワックス類
に添加して抗菌防カビ性のワックス組成物を調製するこ
とが望まれる。殺菌金属によるゼオライト固体粒子のイ
オン交換可能な金属との置換は、既述のように、ゼオラ
イトのイオン交換容量未満、特にそれの約90%以下とす
べきである。かかる手段を講ずることにより、不純成分
の析出を抑制できる。イオン交換容量の飽和値を越え、
物理吸着を起こしている細菌性ゼオライト固体粒子は、
それの表面汚染度が著しく大であり、殺菌効果及びそれ
の持続性が不充分である。例えば銅、亜鉛、銀などで飽
和されたゼオライトを20〜30重量%含む船舶用塗料が知
られている(佛国特許第1061158号)。しかし、この塗
料は貝や藻類などの駆除には適しているが、殺菌性につ
いては満足できるものではないことが判った。即ち、前
記の金属で飽和されたゼオライトは、前述の説明でも明
らかなように抗菌性ゼオライトの表面に多くの副反応に
もとづく不純成分が析出し汚染されており、このために
殺菌性能も本来の抗菌性ゼオライトに比較して低下する
傾向があることが判明した。
次に本発明で限定したゼオライト素材(無抗菌性)を
殺菌性ゼオライト粒子に転換する場合を例を挙げて説明
する。
通常殺菌性銀ゼオライト固体粒子の調製に際しては、
硝酸銀のような水溶液塩の溶液がイオン交換に使用され
るが、その際塩類濃度が過大にならないように、また水
溶液相のpHが7以下好ましくは3.5〜6.8になるよう調整
することが望まれる。例えばA型ゼオライト、X型ゼオ
ライト、Y型ゼオライト、またはモルデナイト中のイオ
ン交換可能な金属例えばナトリウムイオンを、イオン交
換反応を利用して、銀イオンと置換して各種の銀ゼオラ
イトに転換する際に銀イオン濃度が、例えば1〜2M AgN
O3のような高い場合は、銀イオンはゼオライト固相内の
ナトリウムイオンと置換すると同時に、副反応によりゼ
オライト固相中に銀の酸化物、水酸化物、塩基性塩が沈
澱析出する傾向が見られる。かかる現象のために本来の
ゼオライトに比較して、析出量に比例し、殺菌性ゼオラ
イトの多孔率は減少し、比表面積も減少する欠点があ
る。また比表面積はさほど減少しなくとも、上記のよう
な不純成分の銀ゼオライト固相への析出により、殺菌〜
抗菌力は低下する傾向にある。かかる銀化合物の銀ゼオ
ライト相への析出を防止するためには、銀溶液の濃度を
より希釈状態例えば0.3M AgNO3以下に保つと同時にイオ
ン交換時の水溶液相のpHを、前記のように、7以下、好
ましくは3.5〜6.8の範囲に調節することが望ましい。も
っとも安全なAgNO3の濃度は0.1M以下である。かかる濃
度のAgNO3溶液使用時は、得られる殺菌性ゼオライト固
体粒子の比表面積は、もとの素材ゼオライトのそれとほ
ぼ同等であり、またそれの抗菌〜殺菌力も好ましい状態
で発揮されることが判明した。
次に殺菌性銅ゼオライト固体粒子の調製に際しても、
前述した銀ゼオライト固体粒子のイオン交換による調製
に見られるような副反応が惹起されて銅ゼオライト粒子
の汚染問題が起る。例えばA型ゼオライト、X型ゼオラ
イト、Y型ゼオライト、またはモルデナイト中のイオン
交換可能な金属例えばナトリウムイオンを銅イオンと交
換して銅ゼオライトに転換する際に、1M CuSO4溶液使用
時は、Cu2+はゼオライト固相中のNa+と置換されるが、
これと同時に副反応により、固相中に、Cu3(SO4)(O
H)のような塩基性沈澱が析出するために、生成した
銅ゼオライトの多孔率は減少して比表面積も少なくなる
傾向がある。かかる析出物が見られると、抗菌性銅ゼオ
ライト粒子の本来の抗菌力は析出量に応じて低下する欠
点がある。上述したような不純成分の析出を防止するた
めには使用する水溶性銅塩溶液をより希釈状態に保持、
例えば0.1M以下、より好ましくは0.05M以下に維持し、
且つ水溶液相のpHを微酸性(pH≦5)に保ってイオン交
換反応を実施することが望ましい。かかる方法を講ずる
ことにより、得られる殺菌性銅ゼオライト粒子の比表面
積は素材ゼオライトのそれとほぼ同等であり、好ましい
殺菌効果を有する活性な粒子が得られる。
A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライトま
たはモルデナイト中のイオン交換可能な金属、例えばナ
トリウムイオンを亜鉛イオンと交換して殺菌性の亜鉛ゼ
オライトを調製する場合、使用する塩類が1〜3M付近で
は、前述の銀や銅のイオン交換に際して見られるような
副反応生成物の析出傾向は殆んど見られない。通常本発
明で使用する殺菌性亜鉛ゼオライト粒子は前記濃度付近
の亜鉛塩類を使用して、微酸性領域でイオン交換を実施
することにより、目的とする品質の優れたものが容易に
調製される。
上述したような殺菌性ゼオライト固体粒子の調製は、
前述の濃度と液性を有する殺菌金属含有溶液を用いて、
これとゼオライト素材とのイオン交換をバッチ法で実施
すればよい。またゼオライト素材中の殺菌金属含有量を
増大させるためには、バッチ処理の回数を増大すればよ
い。一方、前述した濃度を有する殺菌金属イオンを含有
する塩類溶液を使用して、カーラム法によりイオン交換
を行ってゼオライト素材を殺菌化する場合は、イオン交
換塔に適当の粒度を有するゼオライト素材を充填し、こ
れをpHを調節した殺菌金属イオンを含有する塩類溶液を
用いて所定流速で処理すれば、容易に殺菌性ゼオライト
固体粒子が調製される。
本願発明で使用される銀−亜鉛、銀−銅等をイオン結
合により特定したゼオライト母体に担持させた殺菌性ゼ
オライト固体粒子は、前述のように、使用したゼオライ
トのイオン交換容量の約90%以下が殺菌金属で保持され
ているものであり、且つ該殺菌性固体粒子の表面には記
述した不純成分が実質的に含まれないものである。かか
る殺菌性粒子は、前述したようなイオン交換法により、
銀ゼオライト、銅ゼオライト及び亜鉛ゼオライトを個別
的に調製し、必要に応じて、これらの殺菌性ゼオライト
の所定量を混合して目的とする殺菌性ゼオライト固体粒
子を調製することができる。あるいは、銀と亜鉛よりな
る殺菌性塩類水溶液または銀と銅よりなる殺菌性塩類水
溶液と本願で特定したゼオライトのイオン交換を実施す
れば、複合殺菌金属を含有する均質な殺菌性ゼオライト
固体粒子が容易に調製される。
本願発明で使用される殺菌性ゼオライト固体粒子の調
製に際して出発原料として用いられる好ましいゼオライ
ト素材は、表−1に記載したように、A型ゼオライト、
Y型ゼオライト、X型ゼオライト及びモルデナイトであ
る。これらのNa型ゼオライト中のイオン交換可能なナト
リウムを本願で使用する殺菌金属、銀、銅(II)または
亜鉛で飽和置換した場合の殺菌金属の含有量(無水基
準)の計算値は表記の通りである。また各ゼオライトの
イオン交換容量の値も併せて表示した。しかしながら、
本願発明で使用する殺菌性ゼオライト固体粒子中に占め
る殺菌金属の全含有量は、既述の理由にもとづいて、ゼ
オライトのイオン交換容量の約90%以下に保持する必要
がある。例えばNaAgZnZやNaAgZnYの粒子中に含まれる銀
や亜鉛の殺菌金属の全含有量は、それぞれ上記のA型ゼ
オライト及びY型ゼオライトのイオン交換容量の約90%
以下に担持されるよう調節されることが必要である。ま
た前記殺菌性ゼオライト固体粒子中のイオン交換可能な
金属(Na)は他の1〜2価の無抗菌性の金属〔アルカリ
金属、アルカリ土類金属(NH4 +も含まれる)、其の他〕
で部分〜完全置換されているものを使用しても差支えな
い。次に本願発明で使用する殺菌性ゼオライト固体粒子
が、前述したような好ましい例示したゼオライトの混合
物より成る場合は、これに含まれる殺菌金属の含量が混
合ゼオライトの有する全交換容量の約90%以下になるよ
うに保持させればよい。
抗菌・防カビ性のワックス組成物の調製に際して使用
される殺菌性ゼオライト固体粒子中に占められる銀の量
は、通常の場合、30重量%以下で充分であり、より好ま
しい範囲は0.1〜25重量%である。一方銅(II)及び亜
鉛の殺菌性ゼオライト粒子中の含量は、通常の場合、20
重量%以下であり、より好ましくは0.1〜17重量%であ
る。Ag−ZnやAg−Cuのような複合殺菌金属を含有してな
る殺菌性ゼオライト固体粒子中の殺菌金属の含量は、通
常のワックス組成物への添加に際しては、0.1〜25重量
%の範囲にあればよい。
次に本願発明で使用される殺菌性ゼオライト固体粒子
の形状や粒子径については特に本願では制限を加えるも
のではないが、粉末〜粒子状のものが好ましい。ワック
ス類へ均一分散させるために、ワックスの形状により、
微粉末、例えば15μm以下の微粉末、より好ましくは3
μm以下の微粉末を使用して抗菌・防カビ性のワックス
組成物を調製することもある。また前記の粒子はワック
ス製品の性状により、含水状態(結晶水含有)または無
水の状態でワックス類に添加される。さらに殺菌性固体
粒子のワックス類への分散度を高めて、より均質にする
目的で、有機系または無機系の分散剤が併用される場合
がある。
本願の抗菌・防カビ性のワックス組成物について説明
する。
本発明の抗菌・防カビ性のワックス組成物は、150m2/
g以上の比表面積及び14以下のSiO2/Al2O3モル比のゼオ
ライト固体粒子の有するイオン交換容量の約90%以下が
殺菌性の銀イオン及び所望の場合にはこれと銅イオン及
び亜鉛イオンから成る群より選ばれた金属イオンとによ
り担持されており、且つ該殺菌性固体粒子の表面に殺菌
性の置換金属の水酸化物等の不純成分が実質的に存在し
ない殺菌性ゼオライト固体粒子を含有して構成されるも
のであって、本組成物は全く新規なものである。本発明
の抗菌・防カビ性のワックス組成物とは水性ワックス・
油性ワックス、乳化性ワックス、フルーツワックス及び
樹脂ワックス等よりなる抗菌・防カビ性のワックス類の
総てを含むものである。例えば、後述の実施例に見られ
る乳化性固形ワックス(白色ペースト状)、樹脂ワック
ス(液状)、液状ワックス(油性液状、乳化性液状、水
性液状)、固形ワックス(油性固形)等に殺菌性ゼオラ
イト粒子を含有させて得られるワックス組成物は総て本
発明に包含されるものである。殺菌性ゼオライト固体粒
子の前記の抗菌・防カビ性のワックス組成物全重量に対
する割合が0.01〜30重量%であれば充分な抗菌・防カビ
性効果が発揮される。この下限値以下の殺菌性ゼオライ
ト固体粒子のワックス類への添加では殺菌効果の点で不
満足であり、特に防カビ効果の点で不満足である。一方
上限値を越えた、例えば40重量%以上の添加量としても
抗菌・防カビ効果はほぼ不変である上に、ワックス組成
物の物性に影響を与え、それの本来の性能を劣化させる
傾向にある。抗菌・防カビ性のワックス組成物中の殺菌
性固体粒子の含有量の範囲は、上述のように0.01〜30重
量%であるが、より好ましい範囲は0.05〜20重量%であ
る。本願で、前述のように、特定した殺菌性固体粒子は
ワックス類への分散性も良好であり均質な抗菌・防カビ
性のワックス組成物を調製することが容易に可能であ
る。ワックスが液状(油性液状、乳化性液状、水性液
状)の場合は殺菌性固体粒子の分散をより均質にするた
めの分散剤の添加は効果的である。
さらに本発明は、150m2/g以上の比表面積及び14以下
のSiO2/Al2O3モル比のゼオライト固体粒子の有するイオ
ン交換容量の約90%以下が殺菌性の銀イオン及び所望の
場合にはこれと銅イオン及び亜鉛イオンから成る群より
選ばれた金属イオンとにより担持されており、且つ該殺
菌性固体粒子の表面に殺菌性の置換金属の水酸化物等の
不純成分が実質的に存在しない殺菌性ゼオライト固体粒
子を、該ゼオライト固体粒子0.01〜30重量部対水性ワッ
クス、油性ワックス、乳化性ワックス、フルーツワック
ス、または樹脂ワックス99.99〜70重量部の割合で、前
記ワックスの何れかに添加・混合することを特徴とする
抗菌・防カビ性の水性ワックス、油性ワックス、乳化性
ワックス、フルーツワックス、または樹脂ワックスの製
造法を提供するものである。
ワックス製品は、基材として、ワックス蝋類(植物性
ワックス、鉱物性ワックス、動物性ワックス)、天然及
び合成樹脂、石油系または水等の溶剤、界面活性剤、乳
化剤等を用いて製造されるが、本発明に使用される殺菌
性ゼオライト固体粒子は、ワックス製品に対する分散性
も優れており、充分な抗菌・防カビ効果を長期間に亘り
発揮する特徴がある。例えば床用光沢剤、自動車用光沢
剤、家具・調度用光沢剤、果実用光沢剤等に本願の殺菌
性ゼオライト固体粒子の必要量を添加・混合して使用す
れば、上記の剤の本来の目的に加えて、抗菌・防カビ効
果を新たに付与することができる。またワックスを有機
溶媒に溶かしたタイプの油性ポリッシュ・ワックスを水
にて乳化させた水性ワックス・エマルジョンをベースと
した樹脂ワックス(合成樹脂エマルジョン系ポリッシ
ュ)等に殺菌性ゼオライト固体粒子を適当量添加すれ
ば、これらに対して抗菌・防カビ機能を付与できる。
リンレイの水性ワックス“MR"は天然蝋、合成蝋、合
成樹脂、界面活性剤、及び水等より主として構成されて
いるが、これに本願で規定した殺菌性ゼオライト固体粒
子を、例えば1〜5%含有させて水性ワックス組成物を
構成すれば、本来の機能に併せて抗菌・防カビ能を付与
することが可能であることが確認された。次にリンレイ
の油性ワックス“SA"は、カルナバロウ、合成ロウ、鉱
物性高融点ロウ、ミネラルターペン系の有機溶剤、油溶
性染料や香料を主成分とするものであるが、これに0.2
〜5%殺菌性ゼオライト固体粒子を添加・混合した場合
に優れた抗菌・防カビ効果を発揮することが認められ
た。またリンレイの乳化性ワックス“WA"(白木用ワッ
クス)はカルナバロウ、合成ロウ、高融点鉱物性ロウ、
滑り止め剤、合成樹脂、有機溶媒、界面活性剤及び水よ
り構成されるものであるが、これに対して殺菌性ゼオラ
イト固体粒子5%以下の添加・混合して充分に分散させ
ることにより、好ましい抗菌・防カビ効果を発揮するこ
とが確認された。さらにリンレイPALMO STAR(樹脂ワッ
クス)は金属架橋型合成樹脂エマルジョン、高融点ワッ
クスエマルジョン、レベリング剤、界面活性剤、可塑
剤、帯電防止剤及び水より主として構成される粘度4.0
±2.0c.p.(23℃)のものであるが、これに殺菌性ゼオ
ライト固体粒子の微粉末1〜5%を均一に分散させるこ
とにより、前例と同様に優れた抗菌・防カビ効果を発揮
することが判明した。さらにリンレイの床用ワックス
(E6LO7)は天然ロウ、合成ロウ、乳化剤、アルカリ可
溶性レジン、レベリング剤、香料及び水より構成される
ものであり、これの粘度は2c.p.(25℃)であるが、こ
れに殺菌性ゼオライト固体粒子の粉末0.2〜5%含有さ
せることにより、優れた抗菌・防カビ効果を示すことが
確認された。
次にリンレイのフルーツワックス−FWAは天然ワック
ス、天然樹脂、モルホリン樹脂酸塩、水及び食品添加用
香料より構成されるものであるが、これに対して殺菌性
ゼオライト固体粒子の微粉末(NaAgZnZまたはNaAgZnY)
を0.01〜4%添加して均一に分散させることにより、新
たに抗菌・防カビ機能を付与することができることが判
明した。かかる抗菌・防カビ能を有するフルーツワック
ス組成物の毒性は殆んどなく、安全性も高いので果実や
果菜の表皮の被膜剤として好適である。
[発明の効果] 本発明の殺菌性ゼオライト固体粒子を含有して成る抗
菌・防カビ性のワックス組成物はワックス本来の特性を
発揮するのは勿論のこと、一般細菌に対しても優れた殺
菌力を示し、またカビ抵抗性試験に関する実施例に見ら
れるように、極めて好ましい防カビ効果を発揮する特徴
がある。さらに本発明の組成物の使用により、前記の抗
菌・防カビ効果は長期間保持される利点がある。
[実 施 例] 次に本発明の具体例として参考実施例及び実施例につ
いて述べる。本発明はその要旨を越えぬ限り本実施例に
限定されるものではない。
実施例の検体の殺菌〜抗菌効果及び防カビ効果を評価
するために、ドロップ法(滴下法)による抗菌力の評価
試験とカビ抵抗性試験が実施された。
(1)カビ抵抗性の評価試験 被検体のカビ抵抗性試験はJIS Z2911に準じて行われ
た。
(i) 使用菌株 Aspergillus niger IFO−4407;Penicillium funiculo
sum IFO−6345;Chaetomium globosum IFO−6347;Gliocl
adium virens IFO−6355;Aureobasidium pulluland IFO
−6353. (ii)胞子懸濁液の調製 上記菌株をポテトデキストロース寒天斜面培地に充分
胞子が形成されるまで培養した後、胞子を減菌0.05%ス
ルホコハク酸ジオクチルナトリウム溶液に懸濁させ単一
胞子懸濁液とした。
各単一胞子懸濁液を等量ずつ混合して混合胞子懸濁液
を調製した。
(iii)試験操作 (a) JIS法を準據した。供試品をシャーレの中に置
き、その上に混合胞子懸濁液を、表面がぬれるまで散布
した。
(b) 前記のシャーレを温度29℃、湿度85%以上にて
30日間培養した後に供試品表面に生じた菌糸の発育状態
を肉眼で観察した。
前記の培養に際しては下記の培地が使用された。
培地組成:KH2PO4(0.7g)、K2HPO4(0.7g)、MgSO4・7H
2O(0.7g)、NH4NO3(1.0g)、NaCl(0.005g)、FeSO4
・7H2O(0.002g)、ZnSO4・7H2O(0.001g)、MnSO4・7H
2O(0.002g)、寒天(15g)、及び純水(1000ml) (iv)試験結果の評価 試験結果の評価は下記の5段階に別けて行った。但し
下記の%は表面積に対する百分率を示す。
(2)ドロップ法による抗菌力の評価試験 (i) 使用菌株 Escherichia coli IFO−12734;Pseudomonas aerugino
sa IFO−12689. (ii) 細菌の菌液の調製 普通寒天培地で37℃で18時間培養した試験菌体をリン
酸緩衝液(1/15M,pH=7.2)に浮遊させ108cells/mlの懸
濁液を造り、適時これを希釈して試験に用いた。
(iii) ドロップ法による試験操作 アルコール綿で洗浄した被検体(50×50mm)の各表面
(片面)に菌液1mlを滴下し、25℃で保存した。
測定は被検体上の菌液について、菌数測定用培地を用
いた混釈平板培養法により菌数を測定した。
前記の培養に際しては細菌用のMueller Hinton2(BB
L)培地が使用された。
参考実施例−1 本例は殺菌金属として銀を担持した殺菌性ゼオライト
固体粒子の調製例に関するものである。
ナトリウム型のAゼオライト(NaZ;1.03Na2O・Al2O3
・1.94SiO2・xH2O;Dav(平均粒子径)=1.5μm;SSA(比
表面積)=671m2/g)の乾燥粉末約1.0kgを水洗して、水
洗終了時の液のpHが8.7になるようにした。次いで前
記水洗済みNaZに水約1.5を加えてゼオライトスラリー
液を調製し、これを攪拌下に保って、0.05N HNO3溶液が
徐々に滴下され、スラリー液のpHは4付近に保持され
た。前記のスラリー液に対して0.05M AgNO3溶液約4.4
が、攪拌下に、徐々に滴下された後、水溶液相のpHは最
終的に4.1に調整され、次いで連続攪拌が3時間40分に
亘って実施されてNaZ中のNa+とAg+とのイオン交換反応
が室温下で行われた。反応終了後、ゼオライト固相は
過され、次いでAg+が液中に認められなくなるまで固
相の水洗が実施され、引続き水洗品は100〜110℃で乾燥
された。乾燥品は解砕されて、最終的にNaAgZ微粉末が
調製された。
本参考実施例に於ては乾燥NaAgZ粉末0.92kgが得ら
れ、これのDav=1.6μm(光透過法)であり、Ag=2.98
%(無水NaAgZ粉末基準)であった。またSSA=669m2/g
であった。本参考実施例で得られたNaAgZ微粉末は、X
線回折や電子顕微鏡試験より、完全にA型ゼオライトの
構造を示しており、その中に不純成分の銀酸化物や塩基
性塩等の存在は認められず、良質の殺菌性ゼオライト粒
子より成ることが判明した。
参考実施例−2 本例は殺菌金属として銀及び亜鉛を複合担持した殺菌
性ゼオライト固体粒子の調製例に関するものである。
ナトリウム型のYゼオライト(NaY;1.12Na2O・Al2O3
・4.36SiO2・xH2O;Dav=0.49μm;SSA=932m2/g)の乾燥
粉末約1.0kgを水洗して、NaY中に含まれる遊離アルカリ
を除去して、水洗終了時の液のpHが8.8になるように
した。次いで前記の水洗済みNaYに水を添加して、ゼオ
ライトスラリー液を調製し、これを攪拌下に保持して希
硝酸溶液が徐々に滴下され、スラリー液のpHは4以下に
保持された。前記のスラリー液に対して水を加えて希釈
した後、混合殺菌性塩類溶液0.019M AgNO3−1.35M Zn
(NO3約8が添加され、次いで水溶液相のpHは最
終的に3.9に調節された(水溶液相の全容は約9)。
上記混合液は4時間に亘って攪拌されて、NaY中のNa+
一部とAg+及びZn2+のイオン交換反応が室温下で実施さ
れた。反応終了後、ゼオライト固相は過され、次いで
Ag+及びZn2+が液中に認められなくなるまで固相は水
洗され、引続き水洗品は100〜110℃で乾燥された。乾燥
品は解砕されて最終的にNaAgZnY微粉末が調製された。
本参考実施例に於ては、乾燥NaAgZnY粉末0.83kgが得
られ、これのDav=0.51μm(光透過法)であり、殺菌
金属の含有量はAg=2.12%,Zn=8.69%(無水NaAgZnY基
準)であった。またSSA=934m2/gであった。本参考実施
例で得られたNaAgZnY微粉末は、X線回折や電子顕微鏡
試験より、完全にY型ゼオライト構造を示しており、そ
の中には不純成分の銀や亜鉛の酸化物、水酸化物、塩基
性塩等の存在は認められず、品質の殺菌性ゼオライト粒
子より成ることが確認された。
実施例−1 本例は抗菌・防カビ性を有する本発明のワックス組成
物(乳化性固形ワックス;白色ペースト状)の調製例と
調製品のカビ抵抗性試験に関するものである。
本ワックス組成物の調製に際しては殺菌性ゼオライト
固体粒子〔参考実施例−2で調製されたNaAgZnY粉末:Ag
=2.12g;Zn=8.69%(無水のNaAgZnY基準);Dav=0.51
μm;SSA=934m2/g〕として銀と亜鉛を含有するY型ゼオ
ライトの微粉末が使用された。
本例においては、固形ワックス(LW−BL,LW−2及びL
W−3)は下記の方法により調製された。素材として天
然蝋(カルナバロウ、モンタンロウ)、合成蝋(アデカ
ワックス;旭電化)、乳化剤(ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル)、
石油系溶剤(ミネラルスピリット)、及び殺菌性ゼオラ
イト固体粒子(NaAgZnY)の所定量を計量の上乳化容器
に入れる。次いで混合物は、蝋の融点を上回る温度に加
熱され、攪拌されて、均一になるようにした。次に攪拌
混合を続行しながら熱湯(95℃±5℃)の所定量が投入
された。乳化終了後、所定量の滑り止め剤(コロイダル
シリカ)が添加された。冷却を開始し、流動状態の中に
内容物は所定の容器に充填されて、本発明の乳化性固形
ワックスが調製された。乳化性固定ワックス(LW−BL,L
W−2及びLW−3)は50×50mm(厚さ約3mm)の形状の試
験片とされ、これを用いてカビ抵抗性試験が実施され
た。
実施例−1の素材の配合は下表の如くであった。
カルナバロウ 10重量部 モンタンロウ 10 アデカワックス 5 ソルビタン脂肪酸エステル 2 ポリオキシエチレン ノニフェニルエーテル 1 ミネラルスピリット 35 殺菌性ゼオライト固体粒子 * コロイダルシリカ 5 水 32 * 上記の全素材混合物中にNaAgZnY(無水基準)とし
て下記含有量になるよう添加された。
試験片:LW−BL(空試験用;殺菌性ゼオライト固体粒子
無添加の乳化性固形ワックス);LW−2(NaAgZnY,1%含
有の乳化性固形ワックス);LW−3(NaAgZnY,3%含有の
乳化性固形ワックス) カビ抵抗性の試験結果を表−2に示した。殺菌性ゼオ
ライト固体粒子NaAgZnYを1%含有する検体LW−2及び
3%含有する検体LW−3の評価値は、それぞれ1及び0
である。一方前述の殺菌性ゼオライト固体粒子を含有し
ない、空試験用の検体LW−BLの評価値は4であり、防カ
ビ能は全く見られない。これらの試験結果よりも、本願
発明の抗菌・防カビ性の固形ワックス(乳化性固形ワッ
クス)組成物は優れた防カビ機能を有することは明かで
ある。
実施例−2 本例は抗菌・防カビ性を有する本発明のワックス組成
物(樹脂ワックス;パーモスタープロ;液状;懸濁状)
の調製例と、調製品のカビ抵抗性試験に関するものであ
る。
本ワックス組成物の調製に際しては、殺菌性ゼオライ
ト固定粒子として、銀と亜鉛とを含有するA型ゼオライ
トの微粉末〔NaAgZnZ;Ag=3.12%;Zn=5.34%(無水NaA
gZnZ基準);Dav=3.2μm;SSA=617m2/g〕が使用され
た。
本例においては、樹脂ワックス(パーモスタープロ)
を含浸させた試験片LP−BL,LP−2及びLP−3は下記の
方法により調製された。予め少量の水を容器に入れ、こ
れを攪拌しながら、所定量の可塑剤(トリブトキシエチ
ルフォスフェート、ジエチレングリコールモノエチルエ
ーテル)を添加する。次いで予め乳化重合したアクリル
系合成樹脂エマルジョン(プライマルB−336;ローム&
ハース)の所定量が上記に添加され、内容物は攪拌され
た。さらに上記内容物に対して、予め乳化されたポリエ
チレンエマルジョン(ハイテックE−4B;東邦化学)が
流入され攪拌された。得られた混合物に対して、上述の
殺菌性ゼオライト固体粒子の所定量が添加されて、攪拌
が20分以上行われて、最終的に本発明の樹脂ワックスが
調製された。上述の如く調製された樹脂ワックス(懸濁
液状)は50×50mmの紙に含浸されてコートされ、これ
を用いてカビ抵抗性試験が実施された。
実施例−2の素材の配合は下記の如くであった。
水 47重量部 トリブトキシエチルフォスフェート 2 ジエチレングリコール モノエチルエーテル 4 プライマルB−336 40 ハイテックE−4B 7 殺菌性ゼオライト固体粒子 * * 上記の全素材混合物中のNaAgZnZの含有量は1%及
び3%になるよう調製された。
LP−BL:抗菌剤無添加の空試験用の検体であり、上記の
樹脂ワックス組成物中に含浸させて調製。
LP−2 :NaAgZnZを、無水物として、1%含有する上記の
樹脂ワックス組成物を含浸させて得られた試験片。
LP−3 :NaAgZnZを、無水物として、3%含有する上記の
樹脂ワックス組成物を含浸させて得られた試験片。
本例により得られた樹脂ワックス組成物を50×50mmの
紙に含浸させて得られた試験片LP−BL(空試験用;抗
菌剤無添加)、NaAgZnZを1%含有する樹脂ワックス組
成物に含浸させて得られた試験片LP−2及びNaAgZnZと
して3%含浸する樹脂ワックス組成物に含浸させて得ら
れた試験片LP−3のカビ抵抗性の試験結果を表−3に記
載した。殺菌性ゼオライト固体粒子NaAgZnZとして1%
及び3%を含む樹脂ワックス組成物を含浸させた検体の
評価値は、何れも0であり、一方空試験用の検体LP−BL
の評価値は1でカビの発生が認められた。これらの試験
結果よりも、本発明の抗菌・防カビ性の樹脂ワックス組
成物は殺菌性ゼオライト固体粒子を1%含有しておけ
ば、好ましい防カビ効果を発揮することは明白である。
実施例−3 本例は抗菌・防カビ性を有する本発明のワックス組成
物〔液状ワックス(油性液状);茶色懸濁液状〕の調製
例と調製品のカビ抵抗性試験の評価に関するものであ
る。
本実施例−3では、実施例−2で使用されたと同じ殺
菌性ゼオライト固体粒子NaAgZnZの微粉末が使用され
た。
本例においては、液状ワックス(油性液状)を含浸さ
せた試験片LB−BL,LB−2及びLB−3は下記の方法によ
り調製された。天然蝋(カルナバロウ、パラフィンロ
ウ、ヌカロウ)、合成蝋(アデカワックス;旭電化)、
ポリエチレンロウ及び殺菌性ゼオライト固体粒子の所定
量は溶解容器に投入されて、混合物は加熱されて溶解混
合された。次いで石油系溶剤(ミネラルスプリット)、
滑り止め剤(コロイダルシリカ)及び染料が添加され混
合された。混合物は冷却されて本発明の液状ワックス
(油性液状)が調製された。上述の如く調製された液状
ワックスは50×50mmの紙に含浸コートされて試験片が
調製され、これを用いてカビ抵抗性試験が実施された。
実施例−3の素材の配合は下記の如くであった。
カルナバロウ 3重量部 パラフィンロウ 3 ヌカロウ 2 ポリエチレンロウ 2 ミネラルスピリット 88 コロイダルシリカ 2 染料 少量 殺菌性ゼオライト固体粒子 * * 上記の全素材混合物中のNaAgZnZの含有量は1%及
び3%になるように調製された。
LB−BL:抗菌剤無添加の空試験用の検体であり、上記の
液状ワックス組成物を含浸して調製。
LB−2 :NaAgZnZを、無水物として、1%含有する上記の
液状ワックス組成物を含浸して得られた試験片。
LB−3 :NaAgZnZを、無水物として、1%含有する上記の
液状ワックス組成物を含浸して得られた試験片。
検体のカビ抵抗性の試験結果を表−4に示した。殺菌
性ゼオライト固体粒子(NaAgZnZ:実施例−2で使用され
たものと同一品)を1%及び3%を含有する液状ワック
ス組成物を含浸コートさせて得られた試験片LB−2及び
LB−3の評価値は、何れも0であり、優れた防カビ能を
有することが判明した。一方、前記の殺菌性ゼオライト
固体粒子を含有しない空試験用の検体LB−BLでは、防カ
ビ能は全く見られない。これらの試験よりも、本発明の
抗菌・防カビ性の液状ワックス(油性液状ワックス)組
成物は、殺菌性ゼオライト固体粒子が1%存在すれば、
優れた防カビ効果を発揮することが確認された。
実施例−4 本例は抗菌・防カビ性を有する本発明のワックス組成
物〔液状ワックス(乳化性液状ワックス);白色〕の調
製例と調製品のカビ抵抗性試験に関するものである。
本組成物の調製に際しては、殺菌性ゼオライト固体粒
子として、銀と亜鉛とを含有して成るA型ゼオライトの
微粉末及び銀と銅とを含有して成るA型ゼオライトの微
粉末が使用された。前述のNaAgZnZ微粉末は、実施例−
2で使用されたものと同一品である。また前記のNaAgCu
Z粉末としてはAg=3.26%、Cu=5.61%(無水NaAgCuZ基
準)、Dav=2.9μm及びSSA=624m2/gを有するものが使
用された。
本例において、液状ワックス(乳化性液状)を含浸さ
せた試験片LLW−BL,LLW−2及びLLW−3は下記の方法に
より調製された。天然蝋(カルバナロウ、パラフィンロ
ウ)、合成蝋(アデカワックス;旭電化)、乳化剤(ソ
ルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフ
ェノールエーテル)及び殺菌性ゼオライト固体粒子(Na
AgZnZまたはNaAgCuZ)の所定量が乳化容器に投入されて
加熱溶解された。前記混合物に対して、石油系溶剤が流
入され、次いで攪拌下に熱湯(95℃±5℃)の所定量が
流入された。引続き滑り止め剤(コロイダルシリカ)の
所定量が投入された。前記混合物は均一化された後、急
冷されて本発明の液状ワックス(乳化性液状ワックス)
組成物が調製された。上述の如く調製されたワックス組
成物は50×50mmの紙に含浸コートされて試験片が調製
され、これを用いてカビ抵抗性試験が実施された。
実施例−4の素材の配合は下記の如くであった。
カルナバロウ 4重量部 パラフィンロウ 5 アデカワックス 2 ソルビタン脂肪酸エステル 1 ポリオキシエチレン ノニルフェニルエーテル 6重量部 殺菌性ゼオライト固体粒子 * ミネラルスピリット 25 水 52 コロイダルシリカ 5 * 上記の全素材混合物中のNaAgZnZの含有量は1%及
び3%になるように調製された。またNaAgCuZ使用時
は、全素材混合物中のNaAgCuZ含量は3%になるよう調
製された。
LLW−BL:抗菌剤無添加の空試験用の検体(上記の液状ワ
ックス組成物を含浸して得られた試験片)。
LLW−2 :NaAgZnZを、無水物として、1%含有する上記
の液状ワックス組成物を含浸して得られた試験片。
LLW−3 :NaAgZnZを、無水物として、3%含有する上記
の液状ワックス組成物を含浸して得られた試験片。
LLW−4 :NaAgCuZを、無水物として、3%含有する上記
の液状ワックス組成物を含浸して得られた試験片。
検体のカビ抵抗性試験の結果を表−5に示した。殺菌
性ゼオライト固体粒子として前述の組成を有するNaAgZn
Zを1%及び3%含有する液状ワックス組成物を含浸コ
ートて得られた試験片LLW−2及びLLW−3の評価値は、
何れも0である。またNaAgCuZを3%含有する液状ワッ
クス組成物を含浸コートして得られた検体LLW−4の評
価値も0であった。一方殺菌性ゼオライト固体粒子を含
有しない液状ワックス組成物を含浸コートして得られた
空試験用の検体LLW−BLの評価値は4であり、これはカ
ビ抵抗性を殆んど示さないことが判明した。以上の試験
より、本発明のワックス組成物〔液状ワックス(乳化性
液状ワックス)〕は優れた防カビ効果を発揮することは
明かである。
実施例−5 本例は抗菌・防カビ性を有する本発明のワックス組成
物〔液状ワックス(水性液状ワックス);床用;リンレ
イE6LO7〕の調製例と調製品のカビ抵抗性試験に関する
ものである。
本抗菌性のワックス組成物〔リンレイE6LO7)の調製
に際しては、実施例−1で使用されたと同一の殺菌性ゼ
オライト固体粒子〔NaAgZnY;Ag=2.12%;Zn=8.69%
(無水NaAgZnY基準);Dav=0.5μm;SSA=934m2/g〕が使
用された。
本例においては、後述の方法で調製された液状ワック
ス(水性液状)を含浸コートして試験片W−1,W−2及
びW−3が調製された。天然蝋(カルナバロウ、パラフ
ィンロウ)、合成蝋(アデカワックス;旭電化)、乳化
剤(ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフ
ェノールエーテル)及び殺菌性ゼオライト固体粒子NaAg
ZnYの所定量が乳化容器に投入されて加熱された。前記
混合物を攪拌下に保持しながら、所定量の熱湯が投入さ
れた。前記操作を終了後、内容物は急冷された。冷却
後、前記混合物に対して、予め水溶液としたアルカリ可
溶性レシン(デュレツ;住友ベークライト)の所定量が
流入され、攪拌されて、本発明の液状ワックス組成物が
調製された。上述の如く調製されたワックス組成物は50
×50mmの紙に含浸コートされて試験片が調製され、こ
れを用いてカビ抵抗性試験が実施された。
実施例−5の素材の配合は下記の如くであった。
カルナバロウ 4重量部 パラフィンロウ 4 アデカワックス 2 ソルビタン脂肪酸エステル 1 ポリオキシエチレン ソルビタン脂肪酸エステル 2 ポリオキシエチレン ノニルフェノールエーテル 0.5 殺菌性ゼオライト固体粒子 * 水 85.5 デュレツ 1 * 上記の全素材混合物中のNaAgZnYの含有量は0.5%及
び1%になるように調製された。
W−1:抗菌剤無添加の空試験用の検体(上記の液状ワッ
クス組成物を含浸して得られた試験片) W−2:NaAgZnYを、無水物として、0.5%含有する上記の
液状ワックス組成物を含浸して得られた試験片 W−3:NaAgZnYを、無水物として、1%含有する上記の
液状ワックス組成物を含浸して得られた試験片 上述の方法で調製された液状ワックス(水性液状ワッ
クス)組成物を用いて得られた試験片のカビ抵抗性の試
験結果を表−6に記載した。前述の組成を有するNaAgZn
Yを0.5%及び1%分散させて得られた液状ワックス組成
物を試験紙(50×50mm)に含浸コートして得られた検体
W−2及びW−3は何れも優れた防カビ効果を示し、表
記のように評価値は0であり、一方空試験用のW−1検
体の試験値は4であり、これの防カビ能は殆んど認めら
ない。かかる試験よりも本発明の抗菌・防カビ性の液状
ワックス(水性液状)組成物(リンレイE6LO7;床用)は
優れた防カビ性を有することは明かである。
実施例−6 本例は抗菌・防カビ性を有する本発明のワックス組成
物〔固形ワックス(油性固形)〕の調製例とドロップ法
による調製品の抗菌力の評価試験に関するものである。
本組成物の調製に際しては殺菌性ゼオライト固体粒子
として、NaAgZnZ微粉末〔Ag=3.28%;Zn=5.12%(無水
NaAgZnZ基準);Dav=2.6μm;SSA=620m2/g〕が使用され
た。
本例においては、固形ワックス組成物(WS−BL,WS−
1,WS−2及びWS−3)は下記の方法で調製された。天然
蝋(カルナバロウ、パラフィンロウ、ヌカロウ)、合成
蝋(アデカワックス(旭電化)、ポリエチレンロウ)、
及び殺菌性ゼオライト固体粒子NaAgZnZの所定量が溶解
容器に投入され、次いで加熱下に混合された。さらに石
油系溶剤の所定量が前記の混合物に投入され、引続き滑
り止め剤(コロイダルシリカ)と染料が添加された。均
一混合された後、内容物は冷却されて、最終的に本発明
の油性固形ワックス組成物が調製された。
実施例−6の素材の配合は下記の如くであった。
カルナバロウ 7重量部 パラフィンロウ 10 ヌカロウ 6 ポリエチレンロウ 4 殺菌性ゼオライト固体粒子 * ミネラルスピリット 70 コロイダルシリカ 2 油性染料 少量 * 上記の全素材混合物中のNaAgZnZの含有量は1,2及び
3%になるように調製された。
検体:50×50mm(厚さ約2mm) WS−BL:空試験用の検体であって、油性固形ワックス組
成物中に抗菌剤を含まない WS−1 :NaAgZnZを、無水物として、1%含有する油性固
形ワックス組成物 WS−2 :NaAgZnZを、無水物として、2%含有する油性固
形ワックス組成物 WS−3 :NaAgZnZを、無水物として、3%含有する油性固
形ワックス組成物 前述の方法で調製された油性固形ワックス組成物は50
×50mm(厚さ約2mm)の試験片(WS−BL,WS−1,WS−2及
びWS−3)とされ、これらの試験片を用いて、前記のド
ロップ法(噴霧法)によって、抗菌力の評価試験が行わ
れて表−7記載の結果が得られた。
殺菌性ゼオライト固体粒子NaAgZnZを1〜3%含有す
る本発明の油性固形ワックス組成物より成る検体は、表
−7に示したように、Escherichia coli(大腸菌)やPs
eudomonas aeruginosa(緑膿菌)のような細菌に対して
優れた抗菌力を発揮しており、抗菌テスト開始後6時間
の経過時点で前記の細菌は、何れも完全に死滅してい
る。一方空試験用の検体WS−BLでは、前記菌に対する抗
菌〜殺菌効果は見られない。かかる抗菌力試験よりも、
本発明の抗菌・防カビ性のワックス組成物は細菌に対し
て優れた殺菌力を発揮していることは疑いない。
本発明の実施態様は下記の通りである。
1.150m2/g以上の比表面積及び14以下のSiO2/Al2O3モル
比のゼオライト固体粒子の有するイオン交換容量の約90
%以下が殺菌性の銀イオン及び所望の場合にはこれと銅
イオン及び亜鉛イオンから成る群より選ばれた金属イオ
ンとにより担持されており、且つ該殺菌性固体粒子の表
面に殺菌性の置換金属の水酸化物等の不純成分が実質的
に存在しない殺菌性ゼオライト固体粒子を含有する抗菌
・防カビ性のワックス組成物。
2.ゼオライト固体粒子がA型ゼオライト、X型ゼオライ
ト、Y型ゼオライト、モルデナイトまたは前記のゼオラ
イトの少なくとも2種以上の混合ゼオライトから構成さ
れていることを特徴とする上記第1項記載の抗菌・防カ
ビ性のワックス組成物。
3.水性ワックスよりなる上記第1項記載の抗菌・防カビ
性のワックス組成物。
4.油性ワックスよりなる上記第1項記載の抗菌・防カビ
性のワックス組成物。
5.乳化性ワックスよりなる上記第1項記載の抗菌・防カ
ビ性のワックス組成物。
6.樹脂ワックスよりなる上記第1項記載の抗菌・防カビ
性のワックス組成物。
7.フルーツワックスよりなる上記第1項記載の抗菌・防
カビ性のワックス組成物。
8.殺菌性ゼオライト固体粒子のワックス組成物全重量に
対する割合が0.01〜30重量%であることを特徴とする上
記第1項〜7項の何れかに記載の抗菌・防カビ性のワッ
クス組成物。
9.150m2/g以上の比表面積及び14以下のSiO2/Al2O3モル
比のゼオライト固体粒子の有するイオン交換容量の約90
%以下が殺菌性の銀イオン及び所望の場合にはこれと銅
イオン及び亜鉛イオンから成る群より選ばれた金属イオ
ンとにより担持されており、且つ該殺菌性固体粒子の表
面に殺菌性の置換金属の水酸化物等の不純成分が実質的
に存在しない殺菌性ゼオライト固体粒子を、該ゼオライ
ト固体粒子0.01〜30重量部対水性ワックス、油性ワック
ス、乳化性ワックス、フルーツワックス、または樹脂ワ
ックス99.99〜70重量部の割合で、前記ワックスの何れ
かに添加・混合することを特徴とする抗菌・防カビ性の
水性ワックス、油性ワックス、乳化性ワックス、フルー
ツワックス、または樹脂ワックスの製造方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 憲二 神奈川県厚木市毛利台3―11―8 (72)発明者 山崎 公三郎 大阪府豊中市利倉西2―17―1―416 (56)参考文献 特開 昭61−138647(JP,A) 特開 昭63−156540(JP,A) 特開 平1−221242(JP,A) 特開 昭62−241939(JP,A) 特開 平3−269030(JP,A) 特開 平3−161409(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 91/00 - 91/08 A01N 25/08 A01N 59/16 - 59/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】150m2/g以上の比表面積及び14以下のSiO2/
    Al2O3モル比のゼオライト固体粒子の有するイオン交換
    容量の約90%以下が殺菌性の銀イオン及び所望の場合に
    はこれと銅イオン及び亜鉛イオンから成る群より選ばれ
    た金属イオンとにより担持されており、且つ該殺菌性固
    体粒子の表面に殺菌性の置換金属の水酸化物等の不純成
    分が実質的に存在しない殺菌性ゼオライト固体粒子を含
    有する抗菌・防カビ性のワックス組成物。
  2. 【請求項2】150m2/g以上の比表面積及び14以下のSiO2/
    Al2O3モル比のゼオライト固体粒子の有するイオン交換
    容量の約90%以下が殺菌性の銀イオン及び所望の場合に
    はこれと銅イオン及び亜鉛イオンから成る群より選ばれ
    た金属イオンとにより担持されており、且つ該殺菌性固
    体粒子の表面に殺菌性の置換金属の水酸化物等の不純成
    分が実質的に存在しない殺菌性ゼオライト固体粒子を、
    該ゼオライト固体粒子0.01〜30重量部対水性ワックス、
    油性ワックス、乳化性ワックス、フルーツワックス、ま
    たは樹脂ワックス99.99〜70重量部の割合で、前記ワッ
    クスの何れかに添加・混合することを特徴とする抗菌・
    防カビ性の水性ワックス、油性ワックス、乳化性ワック
    ス、フルーツワックス、または樹脂ワックスの製造法。
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