JPH10249769A - 力補助装置の操作装置 - Google Patents

力補助装置の操作装置

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JPH10249769A
JPH10249769A JP9330469A JP33046997A JPH10249769A JP H10249769 A JPH10249769 A JP H10249769A JP 9330469 A JP9330469 A JP 9330469A JP 33046997 A JP33046997 A JP 33046997A JP H10249769 A JPH10249769 A JP H10249769A
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sensor
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 操作ハンドルを両手か左手か右手かのいずれ
で操作しても操作感が異ならない。 【解決手段】 モータ駆動される複数のアームにより被
支持機器としての顕微鏡2を移動可能に支持する例えば
マニピュレータスタンドである支持機構8の動作制御部
35に対し操作者の操作に応じて顕微鏡2の移動方向を
指示する力補助装置の操作装置33において、操作者が
顕微鏡2の移動方向を入力するための2つの操作部と各
操作部を連結する中間部とを有する操作ハンドル3と、
操作ハンドル3の中間部と支持機構8との間に取り付け
られると共に操作ハンドル3に付与される動きを検知し
動作制御部35に出力して顕微鏡2の移動方向を指示す
る力・トルクセンサ4と、2つの操作部のいずれの操作
部が操作されているかを判別し動作制御部35に出力し
て顕微鏡2の移動方向を修正する判別手段34とを備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、操作者が小さい力
を加えるだけで重量の大きい機器等をアクチュエータに
より補助して移動可能に支持する力補助装置に関する。
更に詳述すると、本発明は特に手術用の顕微鏡を小さい
力で移動可能に支持するのに適した力補助装置の操作装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】力補助装置は、高齢者または一般人であ
っても重さの重い物を操作者の小さい力を増幅すること
によりその物を容易に移動可能となるように支持する装
置である。例えば医療の分野では、医者が手術中に患部
を拡大して見る顕微鏡を用いることがある。この顕微鏡
が大型なものとなるとこの顕微鏡を力補助装置に支持さ
せ、小さな力で顕微鏡を移動可能としている。
【0003】この場合の力補助装置としては、顕微鏡を
錘やばね等のバランサにより支持して手動により結果的
に小さな力で移動させるものや、バランサで支持しなが
ら電気又は油圧のモータを動力源にしてジョイスティッ
クやスイッチの操作により顕微鏡を一定方向に移動また
は回転させるもの(例えば、特公平5−3304号参
照)が知られている。
【0004】また、一般的な重量物を支持する力補助装
置では、操作ハンドルへの力の掛け具合を力・トルクセ
ンサにより検知して、その結果に基づいて被支持機器を
移動させるものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たバランサにより顕微鏡を移動させる力補助装置では、
顕微鏡の位置及び向きの変化や顕微鏡の交換により重量
バランスが変化して操作者が必要とする操作力が変わっ
てしまうので、操作性が良くない。また、バランサの調
整作業が煩雑であるため、メンテナンス等が面倒となっ
てしまう。さらに、上述したバランサによるものでは顕
微鏡の焦点位置を固定したままでその焦点位置の見る方
向を変えるように周囲を移動させるいわゆるポイントロ
ック動作(一定の軌道上で移動または回転可能となる設
定)をすることができない。
【0006】また、上述したジョイスティックやスイッ
チの操作により顕微鏡を一定方向に移動または回転させ
る力補助装置では、顕微鏡を決められた一定方向にしか
移動または回転できないので、操作性が良くない。さら
に、ジョイスティックやスイッチのオンオフ動作により
顕微鏡を移動させるので、顕微鏡が急発進や急停止等の
ぎこちない動作を行ってしまい、スムーズな操作感を得
ることはできない。
【0007】さらに、上述した力・トルクセンサを使用
する力補助装置では、両手による操作と左手による操作
と右手による操作とで、操作ハンドルに操作力が加えら
れる力点の位置が変化してしまうので、それぞれの操作
で操作感が異なってしまうことがある。これは、操作力
が加えられる力点と操作ハンドルが力・トルクセンサに
検知力を与える支持点との距離・方向が力点位置の変化
に伴い変化するので、片手操作の操作方向によっては操
作者の意思によらず操作力に余分なトルクが加わって検
知されることがあるからである。
【0008】また、この力補助装置では、両手による操
作と左手又は右手による操作とのいずれであっても被支
持機器の発進や停止の動作が単一であるので、この力補
助装置を手術顕微鏡用の力補助装置に適用しても実際の
手術現場での用途や目的に対応して動作を使い分けるこ
とはできない。
【0009】そこで、本発明は、操作ハンドルを両手か
左手か右手かのいずれで操作しても操作感が異なること
のない力補助装置の操作装置を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、請求項1の発明は、モータ駆動される複数のアーム
により被支持機器を移動可能に支持する支持機構の動作
制御部に対し操作者の操作に応じて被支持機器の移動方
向を指示する力補助装置の操作装置において、操作者が
被支持機器の移動方向を入力するための2つの操作部と
各操作部を連結する中間部とを有する操作ハンドルと、
操作ハンドルの中間部と支持機構との間に取り付けられ
ると共に操作ハンドルに付与される動きを検知し動作制
御部に出力して被支持機器の移動方向を指示する力・ト
ルクセンサと、2つの操作部のいずれの操作部が操作さ
れているかを判別し動作制御部に出力して被支持機器の
移動方向を修正する判別手段とを備えるようにしてい
る。ここで、本明細書中では、「力・トルクセンサ」と
は、加えられた力に対して所定軸、例えばX軸,Y軸,
Z軸の軸方向の並進力と各軸回りの回転力とを同時に測
定可能なセンサを意味する。
【0011】したがって、操作ハンドルを両手で操作し
たか又はいずれかの片手で操作したかを判別手段が検知
して、操作スイッチ信号を動作制御部に出力する。動作
制御部では、操作スイッチ信号に基づいて被支持機器の
移動方向を修正する。具体的には、動作制御部は、片手
で操作することにより力・トルクセンサで検知される操
作者の意思によらない余分なトルクを打ち消すように制
御を行う。これにより、操作者が操作ハンドルを操作し
た意思通りの操作力に基づいて、被支持機器の動作が行
われる。
【0012】また、請求項2の力補助装置の操作装置で
は、2つの操作部は各々操作スイッチを有するものであ
り、判別手段は、操作スイッチのオンオフの状態に基づ
いて両方の操作部が操作されているか又はいずれの操作
部が操作されているかを判別して操作スイッチ信号を出
力すると共に、操作スイッチ信号に対応して操作部の操
作位置を所定位置に設定することにより動作制御部で被
支持機器の移動方向を修正するようにしている。
【0013】したがって、判別手段では操作スイッチの
オンオフの状態に基づいて両方の操作部が操作されてい
るか又はいずれの操作部が操作されているかを判断する
ので、操作者は操作部の選択という特別な動作を行う必
要がない。しかも、判別手段での判別がスイッチのオン
オフに基づいているので、明確になされる。
【0014】さらに、請求項3の力補助装置の操作装置
では、2つの操作部が操作される場合は、一方の操作部
のみが操作される場合に比べて被支持機器の動きが速い
ようにしている。
【0015】したがって、操作ハンドルを両手で操作す
るときには被支持機器の動きが比較的速く、片手で操作
するときには被支持機器の速度が比較的遅くなるので、
被支持機器の動きについて速度性又は精緻性のいずれを
優先するかが被支持機器の使用状態に応じて選択され
る。これにより、両手で操作するときは大まかな位置決
めを行うことが多いので速い動作が要求されることと、
片手で操作するときは微少な位置設定を行うために精緻
性が要求されることとの各要求に応ずることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成を図面に示す
実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。図1に示
すように、本実施形態の力補助装置の操作装置33は、
モータ駆動される複数のアームにより被支持機器である
手術用顕微鏡2を移動可能に支持する支持機構としての
マニピュレータスタンド8に、操作者の操作に応じて顕
微鏡2の移動方向を指示するものである。この操作装置
33は、操作者が顕微鏡2の移動方向を入力するための
操作部としての把持部3b,3bを有する操作ハンドル
3と、操作ハンドル3とマニピュレータスタンド8との
間に取り付けられて操作ハンドル3に付与される動きを
顕微鏡2の移動方向に変換して動作制御部35に指示す
る力・トルクセンサ4と、2つの把持部3b,3bのい
ずれの把持部3b,3bが操作されているかを判別し動
作制御部35に出力して顕微鏡2の移動方向を修正する
判別手段34とを備えている。
【0017】また、図1及び図3に示すように、力補助
装置の制御装置1は、基台9より関節部を介して順次駆
動可能に連結された剛体である複数のアームA1〜A7
と、複数のアームA1〜A7の各々に所定の動作をさせ
るために駆動される図示しないモータと、アームA7の
先端部に取り付けられた被支持機器としての手術用顕微
鏡2と、この顕微鏡2の近傍に配置される操作ハンドル
3と、操作ハンドル3に加えられる操作力を複数軸方向
の力・トルク情報として出力する力・トルクセンサ(以
下、FTセンサという)4と、FTセンサ4により検出
された複数軸方向の力・トルク情報をもとに複数のアー
ムA1〜A7の各関節部J1〜J6の動作指令を計算す
る動作制御部35と、動作制御部35にいずれの把持部
3b,3bが操作されたかを出力して顕微鏡2の移動方
向を修正する判別手段34と、動作制御部35からの動
作指令に基づいて複数のアームA1〜A7を駆動するモ
ータの制御を行うモータ制御部7とを備えている。この
うち、動作制御部35と判別手段34とモータ制御部7
とは、電気回路やコンピュータのソフトウェア等により
構成されて作動される。
【0018】そして、図3〜図5に示すように、複数の
アームA1〜A7と各アームA1〜A7を駆動するモー
タとによりマニピュレータスタンド8が構成されてい
る。このマニピュレータスタンド8は、基台9に支持さ
れ上下方向に移動可能な第1アームA1と、該第1アー
ムA1に対して鉛直線C1を中心に水平方向に回転可能
に取り付けられた第2アームA2と、これら第1アーム
A1及び第2アームA2を連結する第1関節部J1と、
第2アームA2に対して水平軸線C2,C2を中心に鉛
直方向に揺動可能に取り付けられた1組の平行リンクか
ら成る第3アームA3と、これら第2アームA2及び第
3アームA3を連結する第2関節部J2と、第3アーム
A3に対して水平軸C3を中心に揺動可能に取り付けら
れた第4アームA4と、これら第3アームA3及び第4
アームA4を連結する第3関節部J3と、第4アームA
4に対して鉛直軸C4を中心に水平方向に回転可能に取
り付けられた第5アームA5と、これら第4アームA4
及び第5アームA5を連結する第4関節部J4と、第5
アームA5に対して鉛直軸C5を中心に水平方向に回転
可能に取り付けられた第6アームA6と、これら第5ア
ームA5及び第6アームA6を連結する第5関節部J5
と、第6アームA6に対して水平軸C6,C6’を中心
に回転可能に取り付けられると共に顕微鏡2や操作ハン
ドル3が取り付けられた第7アームA7と、これら第6
アームA6及び第7アームA7を連結する第6関節部J
6とを備えている。
【0019】また、各関節部J1〜J6には、それぞれ
独立して回転するモータが取り付けられている。ここで
のモータとしては、電力を駆動源とするサーボモータ若
しくはステッピングモータを用いたり、また油圧モータ
を用いることができる。さらに、各関節部J1〜J6に
は、図示しない角度センサが取り付けられている。角度
センサとしては例えばエンコーダを使用することができ
る。この角度センサにより各関節部J1〜J6の現在の
角度が検出され、この検出結果から顕微鏡2の位置及び
移動時の姿勢が算出される。
【0020】第1アームA1は、本実施形態では基台9
に対して昇降及び水平方向に回転可能に取り付けられて
いる。但し、これに限らず基台9に固定しても構わな
い。各アームのそれぞれを固定状態とするか、水平又は
上下方向移動とするか、水平又は垂直方向回転とするか
等、どのように各アームを連結するかは、どのように被
支持機器を支持し動かすかによって定めるべき事項であ
り、適宜設定すれば良い内容であるので、他の構成例に
ついては細かく説明しない。また、第3アームA3,A
3は1組の平行リンク機構を構成しており、各アームA
3,A3の基端側の揺動中心線C2,C2は第2アーム
A2の鉛直方向の位置に配置され、各アームA3,A3
の先端側の揺動中心線C3,C3は第4アームA4の鉛
直方向の位置に配置されている。したがって、第4アー
ムA4は鉛直方向の姿勢が変わらずに移動可能となる。
【0021】顕微鏡2としては、光学顕微鏡や撮像素子
を有するビデオカメラ等を使用することができる。そし
て、本実施形態では、マニピュレータスタンド8による
顕微鏡2の移動及び回転は、指定された移動モードとし
て操作者により選択されたポイントロックモードか平行
移動モードかフォーカス移動モードかオールフリーモー
ドかのいずれかのモードにより行われる。
【0022】ポイントロックモードは、図8に3位置を
代表例として示すように、顕微鏡2の焦点位置10を固
定し、その固定した焦点位置10を中心にして焦点距離
を半径とする球面上で、顕微鏡2,2’,2”が常に焦
点位置10を向くように移動及び回転可能に制御するモ
ードである。このモードは、顕微鏡2により焦点位置1
0を様々な角度から見るときに使用される。
【0023】平行移動モードは、図9に3位置を代表例
として示すように、顕微鏡2,2’,2”のX,Y,Z
軸の軸方向の並進のみを許容し、回転動作を制限するモ
ードである。この場合、焦点位置10,10’,10”
も顕微鏡2の移動に伴って移動する。このモードは、手
術中の微調整時等に顕微鏡2の鏡筒の姿勢を変えたくな
い場合等に使用される。
【0024】フォーカス移動モードは、図10に示すよ
うに、顕微鏡2の鏡筒、即ち焦点軸(つまりZ軸)方向
の並進とZ軸回りの回転のみが許容されるモードであ
る。このモードは、合焦動作に使用される。
【0025】オールフリーモードは、顕微鏡2のX,
Y,Z軸の軸方向の並進及び回転の6自由度の全てを自
由に変更できるモードである。このモードは、顕微鏡2
の鏡胴や焦点を自由に移動できるので、手術を行う際の
おおざっぱな位置決め等に使用される。
【0026】なお、顕微鏡2の移動モードとしては、こ
れらのモードに限られない。例えば、顕微鏡2のX,Y
軸の軸方向の並進のみを許容し、Z軸方向の並進や各回
転を制限する平面移動モードを備えても構わない。この
場合、焦点位置10はXY平面内で移動する。
【0027】また、操作ハンドル3は、FTセンサ4を
介して第7アームA7に取り付けられている。操作ハン
ドル3は、図6及び図7に示すように、全体としてほぼ
山形の形状をなし、中間部としての取付部3aと該取付
部3aの両端部を斜めに曲折した形状の操作部としての
把持部3b,3bとを備えている。左右の把持部3b,
3bの開放端部近傍には、それぞれ2個の操作スイッチ
としてのプッシュスイッチSL1,SL2,SR1,S
R2が配置されている。これらのプッシュスイッチSL
1,SL2,SR1,SR2の操作により、顕微鏡2の
移動及び回転のモード、即ち移動方向を指定する移動モ
ードが設定される。
【0028】左上スイッチSL1と右上スイッチSR1
とは、顕微鏡2の移動及び回転のモードを設定する場合
に同じ機能を果たす。また、左下スイッチSL2と右下
スイッチSR2とも、顕微鏡2の移動及び回転のモード
を設定する場合に同じ機能を果たす。すなわち、顕微鏡
2の移動及び回転のモードを設定する場合、左手により
左側のスイッチSL1,SL2のみを操作しても、右手
により右側のスイッチSR1,SR2のみを操作して
も、両手により両側のスイッチSL1,SL2,SR
1,SR2を操作しても同じモード設定とみなされる。
但し、右手による操作と左手による操作とが不一致の場
合は動作せず、操作者に報知される。
【0029】そして、本実施形態では、少なくとも一方
の上側スイッチSL1またはSR1のオンによりポイン
トロックモードとなり、少なくとも一方の下側スイッチ
SL2またはSR2のオンにより平行移動モードとな
り、少なくとも1組の上側及び下側のスイッチSL1及
びSL2またはSR1及びSR2のオンによりオールフ
リーモードとなるようスイッチの割り付けがなされ、片
手で操作ができるモードと両手でなければ操作できない
モードとを区別している。
【0030】また、全てのスイッチをオフしている状態
では、各関節部J1〜J6がロックされることにより顕
微鏡2の位置及び姿勢がロックされ動かない。このた
め、不要な力が操作ハンドル3に加わっても顕微鏡2の
位置がずれることはない。なお、図3及び図4に示すよ
うに、操作ハンドル3及び顕微鏡2の近傍には非常停止
スイッチ32が設けられている。そして、この非常停止
スイッチ32の操作によっても各関節部J1〜J6がロ
ックされるようにしている。
【0031】さらに、各関節部J1〜J6をロックする
操作がなされた場合は、動作制御部35がその操作を検
知してモータ制御部7を制御するのみならず、モータ制
御部7の例えば位置サーボ制御部16が操作スイッチに
よるロック信号を直接受信してロックを行うようにして
も構わない。
【0032】本実施形態では、顕微鏡2の移動及び回転
のモードをポイントロックモードか平行移動モードかオ
ールフリーモードかのいずれかとしているが、これに限
らず例えばスイッチを増設したり割り付けを変更する等
してフォーカス移動モードや更に別のモードを含めても
構わない。
【0033】また、各スイッチSL1,SL2,SR
1,SR2は、いずれもボタンを押圧しているときのみ
オンされ、指を離すとボタンが戻ってオフになる種類の
スイッチが使用されている。但し、スイッチの割り付け
やスイッチの種類は、これらに限られないのは勿論であ
る。さらに、本実施形態では左右の把持部3b,3bに
2個ずつのスイッチを配置しているが、これには限られ
ず、例えばスイッチを左右の把持部3b,3bに1個ず
つ配置して、スイッチをオン(クリック動作)した回数
によりモードを切り換えるようにしても良い。
【0034】そして、図1に示すように、各操作スイッ
チSL1,SL2,SR1,SR2には判別手段34が
接続されている。判別手段34では、各操作スイッチS
L1,SL2,SR1,SR2の操作状態に基づいて両
方の把持部3b,3bが操作されているか又はいずれか
の一方の把持部3bが操作されているかを判別し、この
結果を操作スイッチ信号として動作制御部35に出力す
る。
【0035】判別方法は、例えば左側スイッチSL1,
SL2のみがオンされている場合は左側の把持部3bの
みが操作されていると判断し、右側スイッチSR1,S
R2のみがオンされている場合は右側の把持部3bのみ
が操作されていると判断し、左右のスイッチSL1,S
L2,SR1,SR2がオンされている場合は両側の把
持部3b,3bが操作されていると判断する。
【0036】なお、本実施形態では判別手段34を動作
制御部35と別個に設けているが、これに限らず判別手
段を動作制御部35に含めて制御するようにしても構わ
ない。すなわち、各操作スイッチSL1,SL2,SR
1,SR2のオンオフの状態を動作制御部35に直接送
信して、動作制御部35ではいずれかの把持部3b,3
bが操作されているかを判別して顕微鏡2の移動方向を
修正するようにしても構わない。
【0037】FTセンサ4は、操作ハンドル3の取付部
3aとマニピュレータスタンド8との間に取り付けられ
ると共に、操作ハンドル3に付与される動きを検知し動
作制御部35に出力して顕微鏡2の移動方向を指示す
る。このFTセンサ4としては、本実施形態では円盤形
状の市販品(フォーストルクセンサ、ビーエルオートテ
ック社製、6軸力覚センサ、ニッタ社製)の6軸フォー
ストルクセンサが使用されている。この6軸フォースト
ルクセンサは、X,Y,Zの各軸方向である3方向の並
進力及びX,Y,Zの各軸回りの3方向のトルクを検出
するもので、基体に歪みゲージを貼り付け、その歪みゲ
ージの出力信号を処理することで、上述の6軸方向の力
・トルク情報である信号を得ることができるセンサであ
る。このFTセンサ4は、図7に示すように、FTセン
サ4の内プレート4aには操作ハンドル3の取付部3a
が固定され、FTセンサ4の外筒4bは第7アームA7
に止着されている。そして、内蔵された複数の歪みゲー
ジにより操作ハンドル3への操作者の操作力又はトルク
を6軸方向について検出する。
【0038】図1に示すように、FTセンサ4と動作制
御部35との間には、FT(力・トルク)センサアンプ
11とFT(力・トルク)センサ信号処理部12とが介
在されている。これらFTセンサアンプ11とFTセン
サ信号処理部12とは、電気回路やコンピュータのソフ
トウェア等により構成され作動される。
【0039】FTセンサ4には、FTセンサアンプ11
が接続されている。このFTセンサアンプ11は、FT
センサ4からの力・トルク情報である6軸方向のアナロ
グ信号を増幅してデジタル信号に変換する。
【0040】FTセンサアンプ11には、FTセンサ信
号処理部12が接続されている。FTセンサ信号処理部
12は、FTセンサアンプ11からのデジタル信号をフ
ィルタに通過させて高周波成分をノイズカットすると共
にFTセンサ4の固有の補正値に基づいて較正する。す
なわち、FTセンサ4は必ずしも6軸方向の力またはト
ルクを直接的に測定できるとは限らず、例えば8枚の歪
みゲージにより測定された8軸方向に相当する測定値を
得ることがあるので、このような測定値を6軸方向の力
またはトルクに変換する。ただし、FTセンサ4により
直接的に6軸方向の力またはトルクを測定できる場合
は、6軸方向の力またはトルクに変換する工程は不要と
なるのは勿論である。また、FTセンサ信号処理部12
は、実際に使用するFTセンサ4に固有のばらつきを補
正する場合もある。
【0041】本実施形態では、FTセンサ4と動作制御
部35との間にFTセンサアンプ11とFTセンサ信号
処理部12とが介在されているが、これに限らずFTセ
ンサ4により6軸の力またはトルクを直接得られるので
あれば、これらFTセンサアンプ11とFTセンサ信号
処理部12とを設けなくても構わない。
【0042】FTセンサ信号処理部12には動作制御部
35が接続されている。動作制御部35は、操作力座標
変換部13とインピーダンス制御部5と軌道制御部6と
を備えている。
【0043】操作力座標変換部13は、操作ハンドル3
の操作方向とFTセンサ4の取付方向とのずれを補正す
るためにFTセンサ信号処理部12で得られた6軸方向
の力またはトルクの座標変換を行う。すなわち、FTセ
ンサ4を第7アームA7に取り付ける際に取付スペース
の都合により、FTセンサ4が検知する6軸方向の座標
とマニピュレータスタンド8の6軸方向の座標とが一致
しないことがある。この場合にFTセンサ4が測定した
6軸方向の座標を座標変換してマニピュレータスタンド
8の座標と一致させるものである。なお、FTセンサ4
が検知する6軸方向の座標とマニピュレータスタンド8
の6軸方向の座標とがFTセンサ4の取付時から一致す
るのであれば、各座標を一致させる処理を要しないのは
勿論である。
【0044】また、操作力座標変換部13では、判別手
段34で得られた操作スイッチ信号に基づいて、操作ス
イッチSL1,SL2,SR1,SR2の操作状態に応
じた補正をも行っている。この補正は、操作ハンドル3
への操作力とFTセンサ4が検出した検知力とのずれを
修正するものである。すなわち、操作ハンドル3につい
て、操作力が加えられる力点である操作位置としての操
作点3cとFTセンサ4に検知力を与える支持点である
検知点3dとがずれているため、操作方向によっては操
作者の意思に反して操作力にトルクが加わってしまうこ
とがある。
【0045】また、操作ハンドル3を両手で操作した場
合と片手のみで操作した場合とでは、操作力に加わるト
ルクが異なったものとなる。このため、操作スイッチの
オンオフの状態から操作ハンドル3を操作する手は両手
か右手か左手かを判別手段34で検出して、その結果で
ある操作スイッチ信号に応じて補正値を変更する。
【0046】ここで、操作点3c及び検知点3dのずれ
や片手操作によって真の操作力に加わってしまったトル
クを操作力座標変換部13において補正する手順を以下
に説明する。図7に示すように、検知点3dから各操作
点3cに向かうベクトルRを設定する。ここで、検知点
3dと各操作点3cとは、いずれも予め所定位置に設定
されている。
【0047】そして、左側スイッチSL1,SL2のみ
がオンされている場合は、操作点3cは左側スイッチS
L1,SL2の中央部にあるものとしてベクトルRL
設定される。また、右側スイッチSR1,SR2のみが
オンされている場合は、操作点3cは右側スイッチSR
1,SR2の中央部にあるものとしてベクトルRR が設
定される。さらに、左右のスイッチSL1,SL2,S
R1,SR2がオンされている場合は、操作点3cは左
右のスイッチSL1,SL2,SR1,SR2の中央部
にあるものとしてベクトルRC が設定される。各ベクト
ルRL ,RR ,RC は、操作ハンドル3の形状や操作ス
イッチの位置により、数式1のように固有の値に設定さ
れている。
【0048】
【数1】R=[du dv dw]T これに対し、FTセンサ4では、数式2に示す検知力ベ
クトルfと検知トルクベクトルτとが検出される。
【0049】
【数2】f=[fu fv fw]T τ=[τu τv τw]T ここで、検知トルクベクトルτを、ベクトルR成分τR
とベクトルRに垂直な成分τX とに分解する。また、求
める操作トルクベクトルTのみによって発生する検知力
ベクトルをft とする。そして、検知トルクベクトルτ
とτR とτX との関係は数式3に示すものとなる。
【0050】
【数3】τ=τX+τR τR=αR τX・R=0 さらに、ここからαを求めると数式4に示すものとな
る。
【0051】
【数4】α=(τ・R)/(R・R) したがって、検知トルクベクトルτのτR とτX とを求
めると数式5に示すようになる。
【0052】
【数5】
【0053】また、τR の大きさは数式6に示すものと
なる。
【0054】
【数6】
【0055】ここで、τR が十分に大きい場合は、数式
7に示す関係が成立するため、操作力ベクトルF及び操
作トルクベクトルTは数式8に示すようになる。
【0056】
【数7】f=F (∵ft=0) τ=R×F+T (∵τX=R×F、τR=T) (F・τX=0、R・τX=0)
【0057】
【数8】F=f T=τR(=τ−R×F) また、τR が十分に小さい場合は、数式9に示す関係が
成立する。
【0058】
【数9】τ≒τX=R×F f=F+ft、T=−R×ft (ft・T=0、ft・R=0) このため、操作トルクベクトルTは数式10に示すよう
に求められる。
【0059】
【数10】
【0060】また、操作力ベクトルFは数式11に示す
ように求められるが、このうち検知力ベクトルft は数
式12に示すように求める。
【0061】
【数11】F=f−ft
【0062】
【数12】
【0063】したがって、以上に述べた手順により操作
力ベクトルF及び操作トルクベクトルTから成る操作者
の意思による操作力が算出される。なお、本実施形態で
は、操作力変換部13において操作スイッチ信号に対応
した操作点3cを所定位置に設定しているが、この設定
を判断手段34において行うようにしても構わない。
【0064】さらに、操作力座標変換部13では、操作
ハンドル3の重力補償に関する補正をも行うことが好ま
しい。その方法は公知のもので構わない。
【0065】そして、操作力座標変換部13には、イン
ピーダンス制御部5が接続されている。インピーダンス
制御部5では、インピーダンス制御が行われる。一般的
には、インピーダンス制御とは、アクチュエータをトル
ク発生装置として数式13によりアクチュエータの操作
力Tmを制御する方法である。
【0066】
【数13】 Tm=(J−Jn)θ”+(C−Cn)θ’+Kn(θr−θ) θ”=(1/Jn){Kn(θr−θ)−Cnθ’+Td} 本実施形態では、インピーダンス制御部5は、操作者が
操作ハンドル3を操作する際に重力負荷や弾性的な振動
を感ずることなく慣性または粘性を感じながら操作でき
るように、6軸方向の力またはトルクを慣性または粘性
を感じられる操作感を得られるような各軸方向の速度ま
たは角速度の指令ベクトルに変換する。したがって、顕
微鏡2の操作者はより自然な動作に近いアナログ的な操
作感を得ることができ、肉体的・精神的な負担が軽減さ
れる。
【0067】慣性または粘性を感じられる操作感を得ら
れるようなインピーダンス制御部5での変換の方法とし
ては、公知の方法を利用することができる。例えば、慣
性及び粘性の一般的な運動方程式である数式14を数式
15のように変形して、FTセンサ4により検出された
力・トルクベクトルfから速度ベクトルvを得る。
【0068】
【数14】Mv’+Cv=f 但し、M:慣性係数行列、C:粘性係数行列
【0069】
【数15】v=(Ms+C)-1f ここで、v=(Mx My Mz Rx Ry Rz)
T 但し、Mx,My,Mzは焦点のX,Y,Z軸方向の並
進速度指令を表し、Rx,Ry,Rzは焦点のX,Y,
Z軸回りの回転角速度指令を表す。
【0070】したがって、操作点3cでの力・トルク信
号の各軸成分がインピーダンス制御により各軸方向の動
作指令である速度指令に変換され求められる。また、慣
性係数行列Mや粘性係数行列Cの大きさは通常固定でよ
いが、これらの大きさを可変とし操作性を調整可能にす
ることが好ましい。
【0071】さらに、インピーダンス制御部5では、判
別手段34からの操作スイッチ信号に基づいて、操作ハ
ンドル3を両手で操作するときには大きな操作ゲインに
より顕微鏡2の移動または回転の速度が比較的速く、片
手で操作するときには小さな操作ゲインにより顕微鏡2
の速度が比較的遅くなるように設定されている。これに
より、顕微鏡2の移動・回転について速度性又は精緻性
のいずれを優先するかが顕微鏡2の使用状態、即ち両手
で操作するか片手で操作するかに応じて選択することが
できる。これは、両手で操作するときは大まかな位置決
めを行うことが多いので速い動作が要求されることと、
片手で操作するときは手術中に顕微鏡2を覗いているこ
とが多いので微少な位置設定を行うために精緻性が要求
されることによるものである。
【0072】また、インピーダンス制御部5には、軌道
制御部6が接続されている。軌道制御部6は、判別手段
34からの操作スイッチ信号により顕微鏡2の移動モー
ドを判断し、操作スイッチSL1,SL2,SR1,S
R2により選択された顕微鏡2の移動モードに基づいて
顕微鏡2が移動可能な軌道を設定すると共に、その軌道
上で操作ハンドル3の操作に対応した顕微鏡2の移動及
び回転の方向を決定する。すなわち、軌道制御部6で
は、インピーダンス制御部5で算出された移動速度指令
ベクトルを各移動モードに合致する動作指令に変換す
る。
【0073】各移動モードにおける動作指令としての顕
微鏡2の移動及び回転の動作速度指令ベクトルの変換方
法を以下に説明する。
【0074】固定された第1アームA1の座標系を原座
標系とし、顕微鏡2の焦点位置10の座標系を焦点座標
系とした場合に、この焦点座標系の原座標系に対する同
時変換行列Tfが公知の方法により求める。例えば、ベ
クトル(△x △y △zθx θy θz)T に対す
る同時変換行列Tfは、数式16に示すものとなる。そ
して、各モード固有の既知の回転行列Ruを基にして、
数式17に示すように新たな同時変換行列Tf’を求め
る。
【0075】
【数16】
【0076】
【数17】Tf’=Tf・Ru 例えばポイントロックモードでは、顕微鏡2の焦点位置
10を中心に焦点距離を一定に保ちながら顕微鏡2の位
置と姿勢を一定球面上のみの移動として許す動作である
から、同時変換行列Tfの位置ベクトル(u v w)
を変更せずに姿勢ベクトル(θu θv θw)のみを
変更する動作を行う。具体的には、焦点座標系のu,
v,w軸回りの回転θu,θv,θwのみを行う。例え
ば、u軸回りにθuだけ回転させる際の回転行列Ru
は、数式18に示すものとなる。
【0077】
【数18】
【0078】そして、インピーダンス制御部5で算出さ
れた動作速度指令ベクトルを同時変換行列Tf’により
変換する。その際に、動作速度指令ベクトルの各要素の
うち、移動モードにより異なる所定の要素のみを使用す
る。
【0079】オールフリーモードでは、X,Y,Zの各
軸方向の並進及び回転(姿勢変更)の6自由度全てを自
由にできるモードであるから、焦点の動作速度指令ベク
トルは数式19に示すものとなる。
【0080】
【数19】(Mx My Mz Rx Ry Rz)T この動作速度指令ベクトルのMx,My,Mzは焦点の
X,Y,Z軸方向の並進速度指令を表し、Rx,Ry,
Rzは焦点のX,Y,Z軸回りの回転角速度指令を表
す。したがって、このモードではインピーダンス制御部
5で算出された動作速度指令ベクトルをそのまま変換す
ることになる。
【0081】ポイントロックモードでは、焦点位置10
が固定され焦点回りの回転のみが許容されるので、動作
速度指令ベクトルは数式20に示すものとなる。
【0082】
【数20】 (0 0 0 Rx+αMy Ry+αMx Rz)T したがって、インピーダンス制御部5で算出された動作
速度指令ベクトルのうち、焦点のX,Y,Z軸方向の並
進速度指令を表すMx,My,Mzの各要素は位置ベク
トルとしては無視されるので、操作力として軸方向への
並進力が加えられても顕微鏡2がその方向に移動してし
まうことはない。なお、焦点回りの球面上で移動を行う
ときに操作ハンドル3の操作点3cが僅かに並進してい
ることから、Rx及びRyについて並進を考慮した補正
がなされている。
【0083】平行移動モードでは、動作速度指令ベクト
ルは数式21に示すものとなる。
【0084】
【数21】(Mx My Mz 0 0 0)T したがって、操作点3cでの各軸回りの回転指令は無効
となり、顕微鏡の向きは維持される。
【0085】フォーカス移動モードでは、動作速度指令
ベクトルは数式22に示すものとなる。
【0086】
【数22】(0 0 Mz 0 0 Rz)T したがって、顕微鏡2の鏡筒軸の軸方向の並進と該軸回
りの回転のみが許容される。
【0087】なお、各モードにおける顕微鏡2の移動及
び回転の動作速度指令ベクトルの変換方法は上述した本
実施形態のような方法に限らず、他の方法でも構わない
のは勿論である。
【0088】さらに、図1に示すように、動作制御部3
5にはモータ制御部7が接続されている。モータ制御部
7は、運動学変換部14と位置指令変換部15と位置サ
ーボ制御部16とサーボドライバ17とを有している。
【0089】軌道制御部6に接続される運動学変換部1
4は、軌道制御部6により算出された動作速度指令ベク
トルに従って顕微鏡2を動作させる際の各関節部J1〜
J6を駆動するためのモータの角速度を算出する。各モ
ータの角速度の算出は、角度センサにより得られた各関
節部J1〜J6の角度から顕微鏡2の位置及び向きを求
め、この顕微鏡2を上述した起動制御部6により算出さ
れた動作速度指令ベクトルに従って動作させるように逆
運動学変換により行われ各モータの位置(角度)指令を
出力する。
【0090】そして、運動学変換部14に接続される位
置指令変換部15では、各モータの角位置指令を補間し
て、各モータの位置サーボ系に同期した位置(角度)指
令を生成する。すなわち、位置指令変換部15は運動学
変換部14による各モータの角位置を補間する。このた
め、運動学変換部14で十分に細かく各モータの角位置
の算出がなされていれば、位置指令変換部15はなくて
も構わない。
【0091】また、図1及び図11に示すように、PI
D制御器から成る位置サーボ制御部16とサーボドライ
バ17とモータ18と該モータ18による回転位置を検
出するための角度センサであるエンコーダ19は、モー
タ18の角度がエンコーダ19により角度信号として検
出され、この検出出力が位置サーボ制御部16にフィー
ドバックされて制御される位置(角度)サーボ制御系と
なっている。そして、マニピュレータスタンド8の所定
箇所に取り付けられた各関節部J1〜J6を駆動するモ
ータについて、それぞれこのような位置(角度)サーボ
制御系によって制御される。
【0092】この位置(角度)サーボ制御系の中で、サ
ーボドライバ17はPWMインバータ等による電力変換
器であり、位置サーボ制御部16から出力された位置指
令信号をモータ駆動用の電力に変換してモータ18に供
給する。このサーボドライバ17としては、電流フィー
ドバック補償を含んだものを使用しても構わない。ま
た、モータ18としてACモータを使用する場合は、コ
ミュテーション制御を行う。
【0093】ところで、本実施形態では位置サーボ制御
部16をPID制御器から成るものとしフィードバック
制御のみによりモータ駆動の制御を行っているが、これ
に限らず他の手段によりモータ駆動の制御を行っても構
わない。
【0094】以上により構成した力補助装置の制御装置
の作動を図2に示すフローチャートに沿って説明する。
【0095】操作者が操作ハンドル3に設けられたプッ
シュスイッチSL1,SL2,SR1,SR2を押して
所望の移動モードを選択しながら操作ハンドル3を操作
すると、その操作によって操作ハンドル3に加えられた
操作力はFTセンサ4により検出される。FTセンサ4
は、操作ハンドル3に加えられた操作力を受けて、その
操作力の力またはトルクを6軸方向のFTセンサ信号と
して出力する(ステップ101)。FTセンサ信号はF
Tセンサアンプ11及びFTセンサ信号処理部12で処
理されて、FTセンサ4における6軸方向の力・トルク
に関するデジタル信号に変換される(ステップ102,
ステップ103)。
【0096】一方、ハンドル操作と同時に操作されるプ
ッシュスイッチ等の操作スイッチSL1,SL2,SR
1,SR2の操作を行うと(ステップ104)、操作ハ
ンドル3を両手か右手か左手かのいずれで操作している
かが判別されて操作スイッチ信号として出力される(ス
テップ114)。操作スイッチ信号は、操作力座標変換
部13とインピーダンス制御部5と軌道制御部6とに伝
達される。ここで、操作力座標変換部13では、操作ハ
ンドル3の操作が両手か片手かにより座標変換方法を異
ならせるようにしている。
【0097】そして、操作力座標変換部13では、操作
スイッチ信号に基づき操作ハンドル3を両手か右手か左
手かのいずれで操作しているかにより座標変換方法を異
ならせてFTセンサ4の座標系を顕微鏡2の焦点座標系
に変換する(ステップ105)。この時、FTセンサ4
の取り付けと顕微鏡2の関係を補正して顕微鏡2の向き
に合致した方向の力とトルクの信号に変換する。変換さ
れた信号はインピーダンス制御部5によりインピーダン
ス制御されて、操作者に慣性と粘性とを感じさせる速度
指令に変換される(ステップ106)。さらに、軌道制
御部6では、操作者が操作スイッチSL1,SL2,S
R1,SR2により設定し操作スイッチ信号から判断さ
れる移動モードに応じて所定の軌道に沿って顕微鏡2が
移動するように、速度指令が選択または変換される(ス
テップ107)。
【0098】一方、各関節部J1〜J6を駆動する各モ
ータの回転角度は、各モータに連結されたエンコーダに
より検出されている(ステップ113)。このエンコー
ダにより検出される角度信号は、運動学変換部14と位
置サーボ制御部16とサーボドライバ17とに入力され
る。
【0099】軌道制御された各モータ用の速度指令は運
動学変換部14で逆運動学変換され、各モータ(各軸)
を駆動するための角位置指令に変換される(ステップ1
08)。この角位置指令は位置指令変換部15で位置サ
ーボ制御部16に同期するよう補間される(ステップ1
09)。そして、位置サーボ制御部16及びサーボドラ
イバ17を介して各モータ(各軸)ごとにモータ駆動の
フィードバック制御を行う(ステップ110〜ステップ
112)。これにより、アームA1〜A7の移動及び回
転を行うための各モータを制御することにより、操作者
は顕微鏡2に所望の移動モードである移動または回転を
与えることができる。
【0100】したがって、本実施形態の力補助装置の制
御装置によれば、操作力座標変換部13でFTセンサ4
の座標系を顕微鏡2の焦点座標系に変換する際に、操作
スイッチSL1,SL2,SR1,SR2の操作状態に
応じた補正をも行っているので、操作ハンドル3の操作
を両手で行っても片手のみで行っても自然な操作感を得
ることができる。
【0101】また、本実施形態の力補助装置の制御装置
によれば、操作者が加える操作力の力・トルク情報にイ
ンピーダンス制御部5によりインピーダンス制御を加え
て各関節部J1〜J6の動作を行うモータに対して動作
指令を算出し、各モータを制御することにより複数のア
ームA1〜A7の移動及び回転の操作にあたり慣性及び
粘性を主体とした自然な操作感を得ることができる。こ
れにより、顕微鏡2の移動及び回転を自然に近くスムー
ズに行うことができる。
【0102】なお、上述の実施形態は本発明の好適な実
施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発
明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能で
ある。例えば、本実施形態では被支持機器として手術用
の顕微鏡2を用いているが、これに限らず他の機器を用
いても構わない。具体的には、本実施形態の力補助装置
を病院や家庭等での介護作業の補助や、一般産業での重
量物運搬の補助や、産業用ロボットのダイレクトティー
チング作業の補助に適用することができる。
【0103】また、上述した実施形態におけるアームA
1〜A7は水平方向の回転及び垂直方向の回転の双方を
行い、それによって被支持機器としての顕微鏡2があら
ゆる向きを向くことができるようになっているが、これ
には限られず用途によっては水平方向の回転のみ又は垂
直方向の回転のみのアーム構成でも良く、また上下方向
移動や水平方向移動を加えても良い。
【0104】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、請求項
1の力補助装置の操作装置は、操作者が被支持機器の移
動方向を入力するための操作ハンドルと、操作ハンドル
の中間部と支持機構との間に取り付けられると共に操作
ハンドルに付与される動きを検知し動作制御部に出力し
て被支持機器の移動方向を指示する力・トルクセンサ
と、2つの操作部のいずれの操作部が操作されているか
を判別し動作制御部に出力して被支持機器の移動方向を
修正する判別手段とを備えるようにしているので、動作
制御部は片手で操作することにより力・トルクセンサで
検知される操作者の意思によらない余分なトルクを打ち
消すように制御を行うことができ、操作者が操作ハンド
ルを操作した意思通りの操作力に基づいて被支持機器の
動作を行うことができる。このため、操作ハンドルを両
手か左手か右手かのいずれで操作しても、同等な操作感
を得ることができる。
【0105】また、請求項2の力補助装置の操作装置で
は、2つの操作部は各々操作スイッチを有するものであ
り、判別手段は操作スイッチのオンオフの状態に基づい
て両方の操作部が操作されているか又はいずれの操作部
が操作されているかを判別して操作スイッチ信号を出力
すると共に、操作スイッチ信号に対応して操作部の操作
位置を所定位置に設定することにより動作制御部で被支
持機器の移動方向を修正するようにしているので、操作
者が操作部の選択という特別な動作を行うことなくいず
れの操作部が操作されているかを判別することができ
る。しかも、判別手段での判別がスイッチのオンオフに
基づいているので、判別を明確に行うことができる。
【0106】さらに、請求項3の力補助装置の操作装置
では、2つの操作部が操作される場合は一方の操作部の
みが操作される場合に比べて被支持機器の動きが速いよ
うにしているので、被支持機器の動きについて速度性又
は精緻性のいずれを優先するかを被支持機器の使用状態
に応じて選択することができる。これにより、両手で操
作するときは大まかな位置決めを行うことが多いので速
い動作が要求されることと、片手で操作するときは微少
な位置設定を行うために精緻性が要求されることとの各
要求に応ずることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る力補助装置の操作装置を示す力補
助装置の制御装置を示す概念図である。
【図2】力補助装置の制御方法を示すフローチャートで
ある。
【図3】マニピュレータスタンドを示す側面図である。
【図4】顕微鏡の取付状態を示す顕微鏡の側面図であ
る。
【図5】マニピュレータスタンドを示すスケルトン図で
ある。
【図6】操作ハンドル及び操作スイッチを示す正面図で
ある。
【図7】操作ハンドルの力・トルクセンサへの取付状態
を示す斜視図である。
【図8】ポイントロックモードでの顕微鏡の移動状態を
示す斜視図である。
【図9】平行移動モードでの顕微鏡の移動状態を示す斜
視図である。
【図10】フォーカス移動モードでの顕微鏡の移動状態
を示す斜視図である。
【図11】モータの位置サーボ制御の一実施形態を示す
ブロック図である。
【符号の説明】
2 顕微鏡(被支持機器) 3 操作ハンドル 3a 取付部(中間部) 3b 把持部(操作部) 3c 操作点(操作位置) 4 力・トルクセンサ 8 マニピュレータスタンド(支持機構) 33 操作装置 34 判別手段 35 動作制御部 A1〜A7 アーム SL1,SL2,SR1,SR2 操作スイッチ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モータ駆動される複数のアームにより被
    支持機器を移動可能に支持する支持機構の動作制御部に
    対し操作者の操作に応じて前記被支持機器の移動方向を
    指示する力補助装置の操作装置において、操作者が前記
    被支持機器の移動方向を入力するための2つの操作部と
    各操作部を連結する中間部とを有する操作ハンドルと、
    前記操作ハンドルの中間部と前記支持機構との間に取り
    付けられると共に前記操作ハンドルに付与される動きを
    検知し前記動作制御部に出力して前記被支持機器の移動
    方向を指示する力・トルクセンサと、2つの前記操作部
    のいずれの前記操作部が操作されているかを判別し前記
    動作制御部に出力して前記被支持機器の移動方向を修正
    する判別手段とを備えたことを特徴とする力補助装置の
    操作装置。
  2. 【請求項2】 2つの前記操作部は各々操作スイッチを
    有するものであり、前記判別手段は、前記操作スイッチ
    のオンオフの状態に基づいて両方の前記操作部が操作さ
    れているか又はいずれの前記操作部が操作されているか
    を判別して操作スイッチ信号を出力すると共に、前記操
    作スイッチ信号に対応して前記操作部の操作位置を所定
    位置に設定することにより前記動作制御部で前記被支持
    機器の移動方向を修正することを特徴とする請求項1記
    載の力補助装置の操作装置。
  3. 【請求項3】 2つの前記操作部が操作される場合は、
    一方の前記操作部のみが操作される場合に比べて前記被
    支持機器の動きが速いことを特徴とする請求項1または
    2記載の力補助装置の操作装置。
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