JP3377740B2 - 力補助装置の制御方法及びこの方法を利用した制御装置 - Google Patents
力補助装置の制御方法及びこの方法を利用した制御装置Info
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Description
を補助すべく重量の大きい機器をアクチュエータにより
移動可能に支持する力補助装置に関する。更に詳述する
と、本発明は特に手術用の顕微鏡を小さい力で移動可能
に支持するのに適した力補助装置の制御方法及びこれを
利用した制御装置に関する。
っても重さの重い物を操作者の小さい力を増幅すること
によりその物を容易に移動可能となるように支持する装
置である。例えば医療の分野では、医者が手術中に患部
を拡大して見る顕微鏡が大型である場合に、小さな力で
顕微鏡を移動可能に支持するために力補助装置を使用す
ることがある。
錘やばね等のバランサにより支持して結果的に手動の小
さい力で移動させるものや、バランサで支持しながら電
気又は油圧のモータを動力源にしてジョイスティックや
スイッチの操作により顕微鏡を一定方向に移動または回
転させるもの(例えば、特公平5−3304号参照)が
知られている。
たバランサにより顕微鏡を移動させる力補助装置では、
顕微鏡の位置及び向きの変化や顕微鏡の交換により重量
バランスが変化して操作者が必要とする操作力が変わっ
てしまうので、操作性が良くない。また、バランサの調
整作業が煩雑であるため、メンテナンス等が面倒となっ
てしまう。さらに、このバランサによるものでは顕微鏡
の焦点位置を固定したままでその焦点位置の見る方向を
変えるように周囲を移動させるいわゆるポイントロック
動作(一定の軌道上で移動または回転可能となる設定)
をすることができない。
チの操作により顕微鏡を一定方向に移動または回転させ
る力補助装置では、顕微鏡を決められた一定方向にしか
移動または回転できないので、操作性が良くない。さら
に、ジョイスティックやスイッチのオンオフ動作により
顕微鏡を移動させるので、顕微鏡が急発進や急停止等の
ぎこちない動作を行ってしまい、スムーズな操作感を得
ることはできない。
位置及び向きに拘わらず操作性が一定であり、またポイ
ントロック等の一定軌道上での移動若しくは回転が可能
で、しかもモータを動力源としながらスムーズな移動ま
たは回転を行うことができる力補助装置の制御方法及び
この方法を利用した制御装置を提供することを目的とす
る。
め、請求項1の力補助装置の制御方法は、回転可能に連
結された複数のアームの先端部に取り付けられた被支持
機器の近傍に配置される操作ハンドルを備え、操作ハン
ドルに加えられる操作力を複数軸方向の信号として出力
する力・トルクセンサで検出し、この検出された複数軸
方向の力・トルク情報をもとに慣性係数及び粘性係数を
有する各軸ごとの動作速度指令ベクトルをインピーダン
ス制御を加えて計算し、動作速度指令ベクトルから姿勢
ベクトル成分を抽出して、被支持機器の座標系を原座標
系に変換する同時変換行列を用いてアームの各関節部の
動作に変換して、被支持機器の軌道を一定球面上で拘束
される関節部の動作指令を軌道制御を加えて計算し、各
関節部の動作指令に基づいて複数のアームを操作ハンド
ルに加えられる操作力方向に移動させるようにしてい
る。
は、回転可能に連結された複数のアームと、複数のアー
ムの各々を駆動するモータと、複数のアームの先端部に
取り付けられた被支持機器と、被支持機器の近傍に配置
される操作ハンドルと、操作ハンドルに加えられる操作
力を複数軸方向の信号として出力する力・トルクセンサ
と、力・トルクセンサにより検出された複数軸方向の力
・トルク情報を、慣性係数及び粘性係数を有する各軸ご
との動作速度指令ベクトルに変換するインピーダンス制
御部と、動作速度指令ベクトルから姿勢ベクトル成分を
抽出して、被支持機器の座標系を原座標系に変換する同
時変換行列を用いてアームの各関節部の動作に変換し
て、被支持機器の軌道を一定球面上で拘束される関節部
の動作指令を計算する軌道制御部と、各関節部の動作指
令に基づいて複数のアームを駆動するモータの制御を行
うモータ制御部とを備えるようにしている。
ンサ」とは加えられた力に対して所定軸、例えばX軸,
Y軸,Z軸の軸方向の並進力と各軸回りの回転力とを同
時に測定可能なセンサを意味する。
によれば、操作力の力・トルク情報にインピーダンス制
御を加えて各関節部の動作指令を算出するので、複数の
アームの移動及び回転の操作にあたり調整可能な仮想的
な慣性及び粘性を主体とした操作感を得ることができ
る。これにより、マニピュレータの駆動源としてモータ
を使用しても、被支持機器は円滑に移動される。
を加えて各関節部の動作指令を算出するので、被支持機
器はポイントロック等による一定軌道上での移動や回転
を行うことができる。さらに、各アームの駆動源として
モータを使用しているので、被支持機器の位置や向きに
より負荷荷重が変化しても操作性が劣化することはな
い。
及び請求項4の力補助装置の制御装置では、力・トルク
センサを6軸の信号を出力するものであるようにしてい
る。したがって、操作ハンドルの操作力についてX,
Y,Z軸の軸方向の並進力と各軸回りの回転力とを検出
することができるので、操作ハンドルの全ての動作が検
知される。
び請求項6の力補助装置の制御装置では、被支持機器は
重量物であるようにしている。したがって、支持や移動
が困難な重量物であっても、力補助装置により移動可能
に支持される。
実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。図2及び
図3に示すように、本実施形態の力補助装置の制御装置
1は、基台9より関節部を介して順次駆動可能に連結さ
れた剛体である複数のアームA1〜A7と、複数のアー
ムA1〜A7の各々に所定の動作をさせるために駆動さ
れる図示しないモータと、アームA7の先端部に取り付
けられた被支持機器としての手術用顕微鏡2と、この顕
微鏡2の近傍に配置される操作ハンドル3と、操作ハン
ドル3に加えられる操作力を複数軸方向の力・トルク情
報として出力する力・トルクセンサ(以下、FTセンサ
という)4と、FTセンサ4により検出された複数軸方
向の力・トルク情報をもとに複数のアームA1〜A7の
各関節部J1〜J6の動作指令を計算するインピーダン
ス制御部5及び軌道制御部6と、各関節部J1〜J6の
動作指令に基づいて複数のアームA1〜A7を所定の方
向に駆動するモータの制御を行うモータ制御部7とを備
えている。このうち、インピーダンス制御部5と軌道制
御部6とモータ制御部7とは、電気回路やコンピュータ
のソフトウェア等により構成されて作動される。
アームA1〜A7と各アームA1〜A7を駆動するモー
タとによりマニピュレータスタンド8が構成されてい
る。このマニピュレータスタンド8は、基台9に支持さ
れ上下方向に移動可能な第1アームA1と、該第1アー
ムA1に対して鉛直線C1を中心に水平方向に回転可能
に取り付けられた第2アームA2と、これら第1アーム
A1及び第2アームA2を連結する第1関節部J1と、
第2アームA2に対して水平軸線C2,C2を中心に鉛
直方向に揺動可能に取り付けられた1組の平行リンクか
ら成る第3アームA3と、これら第2アームA2及び第
3アームA3を連結する第2関節部J2と、第3アーム
A3に対して水平軸C3を中心に揺動可能に取り付けら
れた第4アームA4と、これら第3アームA3及び第4
アームA4を連結する第3関節部J3と、第4アームA
4に対して鉛直軸C4を中心に水平方向に回転可能に取
り付けられた第5アームA5と、これら第4アームA4
及び第5アームA5を連結する第4関節部J4と、第5
アームA5に対して鉛直軸C5を中心に水平方向に回転
可能に取り付けられた第6アームA6と、これら第5ア
ームA5及び第6アームA6を連結する第5関節部J5
と、第6アームA6に対して水平軸C6,C6’を中心
に回転可能に取り付けられると共に顕微鏡2や操作ハン
ドル3が取り付けられた第7アームA7と、これら第6
アームA6及び第7アームA7を連結する第6関節部J
6とを備えている。
独立して回転するモータが取り付けられている。ここで
のモータとしては、電力を駆動源とするサーボモータ若
しくはステッピングモータを用いたり、また油圧モータ
を用いることができる。さらに、各関節部J1〜J6に
は、図示しない角度センサが取り付けられている。角度
センサとしては例えばエンコーダを使用することができ
る。この角度センサにより各関節部J1〜J6の現在の
角度が検出され、この検出結果から顕微鏡2の位置及び
姿勢が算出される。
に対して昇降及び回転可能に取り付けられている。但
し、これには限られず基台9に固定しても構わない。各
アームのそれぞれを固定状態とするか、水平又は上下方
向移動とするか、水平又は垂直方向回転とするか等、ど
のように各アームを連結するかは、どのように被支持機
器を支持して動かすかによって定めるべき事項であり、
適宜設定すれば良い内容であるので他の構成例について
は細かく説明しない。また、第3アームA3,A3は1
組の平行リンク機構を構成しており、各アームA3,A
3の基端側の揺動中心線C2,C2は第2アームA2の
鉛直方向の位置に配置され、各アームA3,A3の先端
側の揺動中心線C3,C3は第4アームA4の鉛直方向
の位置に配置されている。したがって、第4アームA4
は鉛直方向の姿勢が変わらずに移動可能となる。
を有するビデオカメラ等を使用することができる。そし
て、本実施形態では、マニピュレータスタンド8による
顕微鏡2の移動及び回転は、指定された移動モードとし
て操作者により選択されたポイントロックモードか平行
移動モードかフォーカス移動モードかオールフリーモー
ドかのいずれかのモードにより行われる。
代表例として示すように、顕微鏡2の焦点位置10を固
定しその固定した焦点位置10を中心にして焦点距離を
半径とする球面上で、顕微鏡2,2’,2”が常に焦点
位置10を向くように移動及び回転可能に制御するモー
ドである。このモードは、顕微鏡2により焦点位置10
を様々な角度から見るときに使用される。
として示すように、顕微鏡2,2’,2”のX,Y,Z
軸の軸方向の並進のみを許容し、回転動作を制限するモ
ードである。この場合、焦点位置10,10’,10”
も顕微鏡2の移動に伴って移動する。このモードは、手
術中の微調整時等に鏡筒の姿勢を変えたくない場合等に
使用される。
うに、顕微鏡2の鏡筒、即ち焦点軸(つまりZ軸)方向
の並進とZ軸回りの回転のみが許容されるモードであ
る。このモードは、合焦動作に使用される。
Y,Z軸の軸方向の並進及び回転の6自由度の全てを自
由に変更できるモードである。このモードは、顕微鏡2
の鏡胴や焦点を自由に移動できるので手術を行う際のお
おざっぱな位置決め等に使用される。
れらのモードに限られない。例えば、顕微鏡2のX,Y
軸の軸方向の並進のみを許容し、Z軸方向の並進や各回
転を制限する平面移動モードを備えても構わない。この
場合、焦点位置10はXY平面内で移動する。
介して第7アームA7に取り付けられている。操作ハン
ドル3は、図6及び図7に示すように、全体としてほぼ
山形の形状をなし、中央の取付部3aと該取付部3aの
両端部を斜めに曲折した形状の把持部3b,3bとを備
えている。左右の把持部3b,3bの開放端部近傍に
は、それぞれ2個のプッシュスイッチSL1,SL2,
SR1,SR2が配置されている。これらのプッシュス
イッチSL1,SL2,SR1,SR2の操作により、
顕微鏡2の移動及び回転の所定モード、即ち移動方向を
指定する移動モードが設定される。
とは、顕微鏡2の移動及び回転のモードを設定する場合
に同じ機能を果たす。また、左下スイッチSL2と右下
スイッチSR2とも、顕微鏡2の移動及び回転のモード
を設定する場合に同じ機能を果たす。すなわち、顕微鏡
2の移動及び回転のモード設定する場合、左手により左
側のスイッチSL1,SL2のみを操作しても、右手に
より右側のスイッチSR1,SR2のみを操作しても、
両手により両側のスイッチSL1,SR1,SL2,S
R2を操作しても同じモード設定とみなされる。但し、
右手による操作と左手による操作とが不一致の場合は動
作せず、操作者に報知される。
の上側スイッチSL1又はSR1のオンによりポイント
ロックモードとなり、少なくとも一方の下側スイッチS
L2又はSR2のオンにより平行移動モードとなり、少
なくとも1組の上側及び下側のスイッチSL1及びSR
1またはSL2及びSR2のオンによりオールフリーモ
ードとなるようスイッチの割り付けがなされている。
では、各関節部J1〜J6がロックされることにより顕
微鏡2の位置及び姿勢がロックされ動かない。このた
め、不要な力が操作ハンドル3に加わっても顕微鏡2の
位置がずれることはない。
のモードをポイントロックモードか平行移動モードかオ
ールフリーモードかのいずれかとしているが、これに限
られず例えばスイッチを増設したり割り付けを変更する
等してフォーカス移動モードや更に別のモードを含めて
も構わない。
1,SR2としては、いずれもボタンを押圧していると
きのみオンされ指を離すとボタンが戻ってオフになる種
類のスイッチが使用されている。但し、スイッチの割り
付けやスイッチの種類は、これらに限られないのは勿論
である。さらに、本実施形態では左右の把持部3b,3
bに2個ずつのスイッチを配置しているが、これには限
られず、例えば、スイッチを左右の把持部3b,3bに
1個ずつ配置して、スイッチをオン(クリック動作)し
た回数によりモードを切り換えるようにしても良い。
盤形状の市販品(フォーストルクセンサ、ビーエルオー
トテック社製、又は6軸力覚センサ、ニッタ社製)の6
軸フォーストルクセンサが使用されている。この6軸フ
ォーストルクセンサは、X,Y,Z軸の各軸方向である
3方向の並進力及びX,Y,Z軸の各軸回りの3方向の
トルクを検出するもので、基体に歪みゲージを張り付
け、その歪みゲージの出力信号を処理することで、上記
6軸方向の力・トルク情報である信号を得ることができ
るセンサである。このFTセンサ4は、図7に示すよう
に、FTセンサ4の内プレート4aには操作ハンドル3
の取付部3aが固定され、FTセンサ4の外筒4bは第
7アームA7に止着されている。このFTセンサ4は、
内蔵された複数の歪みゲージにより操作ハンドル3への
操作力の力またはトルクを6軸方向について検出する。
ーダンス制御部5との間には、FT(力・トルク)セン
サアンプ11とFT(力・トルク)センサ信号処理部1
2と操作力座標変換部13とが介在されている。これら
FTセンサアンプ11とFTセンサ信号処理部12と操
作力座標変換部13とは、電気回路やコンピュータのソ
フトウェア等により構成され作動される。
が接続されている。このFTセンサアンプ11は、FT
センサ4からの力・トルク情報である上記6軸方向のア
ナログ信号を増幅してデジタル信号に変換する。
号処理部12が接続されている。FTセンサ信号処理部
12は、FTセンサアンプ11からのデジタル信号をフ
ィルタに通過させて高周波成分をノイズカットすると共
にFTセンサ4の固有の補正値に基づいて較正する。す
なわち、FTセンサ4は通常、固有のバイアス等を持っ
ているので、このような測定値を較正して正しい6軸方
向の力またはトルクに変換する。
標変換部13が接続されている。操作力座標変換部13
は、操作ハンドル3の操作方向とFTセンサ4の取付方
向とのずれを補正するためにFTセンサ信号処理部12
で得られた6軸方向の力またはトルクの座標変換を行
う。すなわち、FTセンサ4を第7アームA7に取り付
ける際に取付スペースの都合により、FTセンサ4が検
知する6軸方向の座標とマニピュレータスタンド8の6
軸方向の座標とが一致しないことがある。この場合にF
Tセンサ4が測定した6軸方向の座標を操作力座標変換
部13により補正してマニピュレータスタンド8の座標
と一致させるものである。
ハンドル3の重力補償に関する補正をも行うことが好ま
しい。その方法は公知のもので構わない。
ンピーダンス制御部5との間にFTセンサアンプ11と
FTセンサ信号処理部12と操作力座標変換部13とが
介在されているが、これに限らずFTセンサ4による測
定値が6軸の力またはトルクに対応し操作力との間で座
標が一致するものであれば、これらFTセンサアンプ1
1とFTセンサ信号処理部12と操作力座標変換部13
とを設けなくても構わない。
ピーダンス制御部5が接続されている。一般的には、イ
ンピーダンス制御とはアクチュエータをトルク発生装置
として数式1によりアクチュエータの操作力Tmを制御
する方法である。
Kn(θr−θ) θ”=(1/Jn){Kn(θr−θ)−Cnθ’+T
d} 本実施形態では、インピーダンス制御部5は、操作者が
操作ハンドル3を操作する際に重力負荷や弾性的な振動
を感ずることなく慣性または粘性を感じながら操作でき
るように、6軸方向の力またはトルクを慣性又は粘性を
感じられる操作感を得られるような各軸方向の速度また
は角速度の指令ベクトルに変換する。したがって、顕微
鏡2の操作者はより自然な動作に近いアナログ的な操作
感を得ることができ、肉体的・精神的な負担が軽減され
る。
るようなインピーダンス制御部5での変換の方法として
は、公知の方法を利用することができる。例えば、慣性
及び粘性の一般的な運動方程式である数式2を数式3の
ように変形して、FTセンサ4により検出された力・ト
ルクベクトルfから速度ベクトルvを得る。
T 但し、Mx,My,Mzは焦点のX,Y,Z軸方向の並
進速度指令を表し、Rx,Ry,Rzは焦点のX,Y,
Z軸回りの回転角速度指令を表す。
号の各軸成分がインピーダンス制御により各軸方向の動
作指令である速度指令に変換され求められる。また、慣
性係数行列Mや粘性係数行列Cの大きさは通常固定で良
いが、これらの大きさを可変として操作性を調整可能に
することが好ましい。
作ハンドル3を両手で操作するときには大きな操作ゲイ
ンにより顕微鏡2の移動または回転の速度が比較的速
く、片手で操作するときには小さな操作ゲインにより顕
微鏡2の速度が比較的遅くなるように設定されている。
これにより、顕微鏡2の移動・回転について速度性又は
精緻性のいずれを優先するかを顕微鏡2の使用状態、即
ち両手で操作するか片手で操作するかに応じて選択する
ことができる。これは、両手で操作するときは大まかな
位置決めを行うことが多いので速い動作が要求されるこ
とと、片手で操作するときは手術中に顕微鏡2を覗いて
いることが多いので微少な位置設定を行うために精緻性
が要求されることとによるものである。
6が接続されている。軌道制御部6は、操作スイッチS
L1,SL2,SR1,SR2により選択された顕微鏡
2の移動モードに基づいて顕微鏡2が移動可能な軌道を
設定すると共に、その軌道上で操作ハンドル3の操作に
対応した顕微鏡2の移動及び回転の方向を決定する。す
なわち、軌道制御部6では、インピーダンス制御部5で
算出された移動速度指令ベクトルを各移動モードに合致
する動作指令に変換する。
微鏡2の移動及び回転の動作速度指令ベクトルの変換方
法を以下に説明する。
標系とし、顕微鏡2の焦点位置10の座標系を焦点座標
系とした場合に、この焦点座標系の原座標系に対する同
時変換行列Tfが公知の方法により求められる。例え
ば、ベクトル(△x △y △z θx θy θz)
T に対する同時変換行列Tfは、数式4に示すものとな
る。そして、各モード固有の既知の回転行列Ruを基に
して、数式5に示すように新たな同時変換行列Tf’を
求める。
10を中心に焦点距離を一定に保ちながら顕微鏡2の位
置と姿勢を一定球面上のみの移動として許す動作である
から、同時変換行列Tfの位置ベクトル(u v w)
を変更せずに姿勢ベクトル(θu θv θw)のみを
変更する動作を行う。具体的には、焦点座標系のu,
v,w軸回りの回転θu,θv,θwのみを行う。例え
ば、u軸回りにθuだけ回転させる際の回転行列Ru
は、数式6に示すものとなる。
れた動作速度指令ベクトルを同時変換行列Tf’により
変換する。その際に、動作速度指令ベクトルの各要素の
うち、移動モードにより異なる所定の要素のみを使用す
る。
方向の並進及び回転(姿勢変更)の6自由度全てを自由
に動作できるモードであるから、焦点の動作速度指令ベ
クトルは数式7に示すものとなる。
X,Y,Z軸方向の並進速度指令を表し、Rx,Ry,
Rzは焦点のX,Y,Z軸回りの回転角速度指令を表
す。したがって、このモードではインピーダンス制御部
5で算出された動作速度指令ベクトルをそのまま変換す
ることになる。
が固定され焦点回りの回転のみが許容されるので、動作
速度指令ベクトルは数式8に示すものとなる。
速度指令ベクトルのうち、焦点のX,Y,Z軸方向の並
進速度指令を表すMx,My,Mzの各要素は位置ベク
トルとしては無視されるので、操作力として軸方向への
並進力が加えられても顕微鏡2がその方向に移動してし
まうことはない。なお、焦点回りの球面上で移動を行う
ときに操作ハンドル3の操作点3cが僅かに並進してい
ることから、Rx及びRyについて並進を考慮した補正
がなされている。
ルは数式9に示すものとなる。
となり、顕微鏡の向きは維持される。
ベクトルは数式10に示すものとなる。
りの回転のみが許容される。
び回転の動作速度指令ベクトルの変換方法は上述した本
実施形態のような方法に限らず、他の方法でも構わない
のは勿論である。
とマニピュレータスタンド8として例示する各関節用の
モータ部との間にモータ制御部7が介在されている。モ
ータ制御部7は、運動学変換部14と位置指令変換部1
5と位置サーボ制御部16とサーボドライバ17とを有
し、各関節部J1〜J6を駆動するためのモータを制御
する。なお、図2中、モータ制御部7はマニピュレータ
8に接続した図として記載してある。
算出された動作速度指令ベクトルに従って顕微鏡2を動
作させる際の各関節部J1〜J6を駆動するためのモー
タの角速度を算出する。各モータの角速度の算出は、角
度センサにより得られた各関節部J1〜J6の角度から
顕微鏡2の位置及び向きを求め、この顕微鏡2を前述の
軌道制御部6により算出された動作速度指令ベクトルに
従って動作させるように逆運動学変換により行われ、各
モータの位置(角度)指令を出力する。
タの角位置指令を補間して、各モータの位置サーボ系に
同期した位置(角度)指令を生成する。すなわち、位置
指令変換部15は運動学変換部14による各モータの角
位置を補間する。このため、運動学変換部14で十分に
細かく各モータの角位置の算出がなされていれば、位置
指令変換部15はなくても構わない。
D制御器から成る位置サーボ制御部16とサーボドライ
バ17とモータ18と該モータ18による回転位置を検
出するための角度センサであるエンコーダ19は、モー
タ18の角度がエンコーダ19により角度信号として検
出され、この検出出力が位置サーボ制御部16にフィー
ドバックされるようになされた位置(角度)サーボ制御
系となっている。そして、マニピュレータスタンド8の
所定箇所に取り付けられた各関節部J1〜J6を駆動す
るためのモータは、それぞれこのような位置(角度)サ
ーボ制御系によって制御される。
ーボドライバ17はPWMインバータ等による電力変換
器であり、位置サーボ制御部16から出力された位置指
令信号をモータ駆動用の電力に変換してモータ18に供
給する。このサーボドライバ17としては、電流フィー
ドバック補償を含んだものを使用しても構わない。ま
た、モータ18としてACモータを使用する場合は、コ
ミュテーション制御を行う。
部16を一般的なPID制御器から成るものとしフィー
ドフォワード制御及びフィードバック制御によりモータ
駆動の制御を行っているが、これに限らず他の手段によ
りモータ駆動の制御を行っても構わない。
の作動を図1に示すフローチャートに沿って説明する。
シュスイッチSL1,SL2,SR1,SR2を押して
所望の移動モードを選択しながら操作ハンドル3を操作
すると、その操作によって操作ハンドル3に加えられた
操作力はFTセンサ4により検出される。FTセンサ4
は、操作ハンドル3に加えられた操作力を受けて、その
操作力の力またはトルクを6軸方向のFTセンサ信号と
して出力する(ステップ101)。FTセンサ信号はF
Tセンサアンプ11及びFTセンサ信号処理部12で処
理されて、FTセンサ4における6軸方向の力・トルク
に関するデジタル信号に変換される(ステップ102,
ステップ103)。この信号はさらに、操作力座標変換
部13によりFTセンサ4の取り付けと顕微鏡2の関係
を補正されて顕微鏡の向きに合致した方向の力とトルク
の信号に変換される(ステップ105)。
されたプッシュスイッチ等の操作スイッチSL1,SL
2,SR1,SR2の指示により、操作者が選択した顕
微鏡2の移動モードに対応した操作スイッチ信号が発生
する(ステップ104)。操作スイッチ信号は、操作力
座標変換部13とインピーダンス制御部5と軌道制御部
6とに伝達される。操作力座標変換部13では、ハンド
ル3の操作が両手か片手かにより座標変換方法を異なら
せる。
号は、インピーダンス制御部5によりインピーダンス制
御されて、操作者に慣性と粘性とを感じさせる速度指令
に変換される(ステップ106)。さらに、軌道制御部
6では、操作者が操作スイッチSL1,SL2,SR
1,SR2により設定した移動モードに応じて所定の軌
道に沿って顕微鏡2が移動するように、速度指令が選択
または変換される(ステップ107)。
ータの回転角度は、各モータに連結されたエンコーダに
より検出されている(ステップ113)。このエンコー
ダにより検出される角度信号は、運動学変換部14と位
置サーボ制御部16とサーボドライバ17とに入力され
る。
動学変換部14で逆運動学変換され、各モータ(各軸)
を駆動するための角位置指令に変換される(ステップ1
08)。この角位置指令は位置指令変換部15で位置サ
ーボ制御部16に同期するよう補間される(ステップ1
09)。そして、位置サーボ制御部16及びサーボドラ
イバ17を介して各モータ(各軸)ごとにモータ駆動の
フィードフォワード制御及びフィードバック制御を行う
(ステップ110〜ステップ112)。このように、ア
ームA1〜A7の移動及び回転を行うための各モータを
制御することにより、操作者は顕微鏡2に所望の移動ま
たは回転を与えることができる。
御装置によれば、操作者が加える操作力の力・トルク情
報にインピーダンス制御部5によりインピーダンス制御
を加えて各関節部J1〜J6の動作を行うモータに対し
て動作指令を算出し、各モータを制御することにより複
数のアームA1〜A7の移動及び回転の操作にあたり慣
性及び粘性を主体とした自然な操作感を得ることができ
る。これにより、顕微鏡2の移動及び回転を自然に近く
スムーズに行うことができる。
施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発
明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能で
ある。例えば、本実施形態では被支持機器として手術用
の顕微鏡2を用いているが、これに限らず他の機器を用
いても構わない。具体的には、本実施形態の力補助装置
を病院や家庭等での介護作業の補助や、一般産業での重
量物運搬の補助や、産業用ロボットのダイレクトティー
チング作業の補助に適用することができる。また、上述
した各実施形態におけるアームA1〜A7は水平方向の
回転及び垂直方向の回転の双方を行い、それによって被
支持機器としての顕微鏡2があらゆる向きを向くことが
できるようになっているが、用途によっては水平方向の
回転のみ又は垂直方向の回転のみのアーム構成でも良
く、また上下方向移動や水平方向移動を加えても良い。
1の力補助装置の制御方法並びに請求項2の力補助装置
の制御装置によると、操作力の力・トルク情報に軌道制
御を加えて各関節部の動作指令を算出することにより、
被支持機器は一定球面上で拘束される動作即ちポイント
ロックによる一定軌道上での移動や回転を行うことがで
き、操作性を向上させることができる。さらに、各アー
ムの駆動源としてモータを使用しているので、被支持機
器の位置や向きにより負荷荷重が変化したときの操作性
の劣化を防止することができる。また、操作力の力・ト
ルク情報にインピーダンス制御を加えて各関節部の動作
指令を算出することにより複数のアームの移動及び回転
の操作にあたり慣性及び粘性を主体とした自然な操作感
を得ることができ、被支持機器の移動及び回転をスムー
ズに行うことができる。
及び請求項4の力補助装置の制御装置では、力・トルク
センサを6軸の信号を出力するものであるようにしてい
るので、操作ハンドルの操作力についてX,Y,Z軸の
軸方向の並進力と各軸回りの回転力とを検出することが
でき、操作ハンドルの全ての動作を検知することができ
る。このため、被支持機器を全ての方向に移動及び回転
させることができる。
び請求項6の力補助装置の制御装置では、被支持機器は
重量物であるようにしているので、支持や移動が困難な
重量物を容易に移動可能に支持することができる。
ャートである。
ある。
る。
ある。
ある。
を示す斜視図である。
示す斜視図である。
視図である。
を示す斜視図である。
ブロック図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 回転可能に連結された複数のアームの先
端部に取り付けられた被支持機器の近傍に配置される操
作ハンドルを備え、前記操作ハンドルに加えられる操作
力を複数軸方向の信号として出力する力・トルクセンサ
で検出し、この検出された複数軸方向の力・トルク情報
をもとに慣性係数及び粘性係数を有する各軸ごとの動作
速度指令ベクトルをインピーダンス制御を加えて計算
し、前記動作速度指令ベクトルから姿勢ベクトル成分を
抽出して、前記被支持機器の座標系を原座標系に変換す
る同時変換行列を用いて前記アームの各関節部の動作に
変換して、前記被支持機器の軌道を一定球面上で拘束さ
れる前記関節部の動作指令を軌道制御を加えて計算し、
前記各関節部の動作指令に基づいて前記複数のアームを
前記操作ハンドルに加えられる操作力方向に移動させる
ことを特徴とする力補助装置の制御方法。 - 【請求項2】 回転可能に連結された複数のアームと、
前記複数のアームの各々を駆動するモータと、前記複数
のアームの先端部に取り付けられた被支持機器と、前記
被支持機器の近傍に配置される操作ハンドルと、前記操
作ハンドルに加えられる操作力を複数軸方向の信号とし
て出力する力・トルクセンサと、前記力・トルクセンサ
により検出された複数軸方向の力・トルク情報を、慣性
係数及び粘性係数を有する各軸ごとの動作速度指令ベク
トルに変換するインピーダンス制御部と、前記動作速度
指令ベクトルから姿勢ベクトル成分を抽出して、前記被
支持機器の座標系を原座標系に変換する同時変換行列を
用いて前記アームの各関節部の動作に変換して、前記被
支持機器の軌道を一定球面上で拘束される前記関節部の
動作指令を計算する軌道制御部と、前記各関節部の動作
指令に基づいて前記複数のアームを駆動する前記モータ
の制御を行うモータ制御部とを備えたことを特徴とする
力補助装置の制御装置。 - 【請求項3】 前記力・トルクセンサは、6軸の信号を
出力するものであることを特徴とする請求項1記載の力
補助装置の制御方法。 - 【請求項4】 前記力・トルクセンサは、6軸の信号を
出力するものであることを特徴とする請求項2記載の力
補助装置の制御装置。 - 【請求項5】 前記被支持機器は重量物であることを特
徴とする請求項1または3記載の力補助装置の制御方
法。 - 【請求項6】 前記被支持機器は重量物であることを特
徴とする請求項2または4記載の力補助装置の制御装
置。
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