JP2010227376A - 放射線撮影装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】操作補助力を受けつつ放射線源を手動で移動させる放射線撮影装置において、放射線源の位置決め操作を迅速かつ正確に実行可能とする。
【解決手段】放射線源16と、被写体を透過した放射線を検出する放射線検出手段と、放射線源16を所定方向に往復移動可能に案内保持するガイド機構と、このガイド機構に沿って放射線源16を移動させる手動操作力を受け入れる操作部と、この操作部に手動操作力が加えられたとき、手動操作力に対応した移動速度で放射線源16を移動させる操作補助手段31、32、33、35、36、37とを備えてなる放射線撮影装置において、操作部の動きの向きを検出するセンサ35、45、55と、このセンサ35、45、55の出力信号を受け、操作部の動きの向きが所定回数以上逆転したとき、手動操作力に対する移動速度の比を下げるように操作補助手段31、32、33、35、36、37を制御する制御手段30とを設ける。
【選択図】図3

Description

本発明は、放射線源から被写体に向けて放射線を照射し、そこを透過した放射線を放射線検出手段で検出するようにした放射線撮影装置に関するものであり、より詳しくは、放射線源あるいは放射線検出手段の位置決めに係る構成が改良された放射線撮影装置に関するものである。
従来、例えば特許文献1に示されているように、被写体に向けてX線等の放射線を照射する放射線源と、その被写体を透過した放射線を検出する放射線検出手段とを備えてなる放射線撮影装置が公知となっている。なお上記放射線検出手段としては、X線フィルム等の銀塩写真フィルムや、上記特許文献1にも示されている放射線変換パネル(蓄積性蛍光体シート)や放射線固体検出器等が知られている。
この種の放射線撮影装置においては、一例として特許文献2、3に示されているように、天井から吊り下げ保持された放射線源および放射線検出手段の双方あるいは一方を水平面内で2次元方向に移動自在とするとともに、それをさらに垂直方向に移動自在として、放射線撮影の作業性、能率を向上させることが提案されている。そのような放射線撮影装置は多くの場合基本的に、水平な一方向(Y方向)に延びる状態に天井に固定されたレールと、このレールに沿って移動するY軸走行部と、このY軸走行部にY方向と直角な水平方向(X方向)に延びる状態に固定されたレールと、このレールに沿って移動するX軸走行部と、このX軸走行部から下方向(Z方向)に延びてその長さが可変とされた伸縮部と、この伸縮部に搭載された放射線源あるいは放射線検出手段とから構成されている。
上述のようにして放射線源あるいは放射線検出手段を3次元方向に移動させて所定位置に位置決めする操作は多くの場合、放射線撮影技師等の操作者が、放射線源あるいは放射線検出手段が搭載されている部分を手動操作することによってなされるが、その操作は、撮影の能率を考慮すると一般に、操作当初はそれらを大きく素早く動かし、所定位置に近付いたら位置決めを精密に行うためにゆっくり動かす、というものになる。
このような手動操作を容易にするために、動力によってこの操作を補助することが考えられている。特許文献4には、医用診断装置において被検者を乗せた寝台を外部からの力によって操作補助する装置が示されている。この操作補助装置は基本的に、ガイド機構に沿って寝台を移動させるための手動操作力を受け入れる操作部と、この操作部に手動操作力が加えられたとき、その力に対応した移動速度で寝台を移動させる操作補助手段とを備えてなるものである。この種の操作補助装置は、放射線撮影装置において上述のように放射線源あるいは放射線検出手段を移動させるために適用することも可能である。
また特許文献5にも、重量物を手動操作力によって移動させる装置において、上述のような操作補助装置を適用したものが示されている。
これらの特許文献4、5に記載された操作補助装置は、寝台等の重量物を動かすときの状況に応じて、操作補助手段による重量物移動速度を切り替える機能も備えたものである。
特開2008−167948号公報 特開2002−065655号公報 特表2007−527763号公報 特開平11−137543号公報 特開平2005−154047号公報
ところで、放射線撮影装置において放射線源あるいは放射線検出手段を操作の始めに移動させる速度は、上記寝台を移動させる速度等と比べると、一般にかなり高速である。つまり、放射線撮影の現場では多くの場合、次から次へと多数の撮影を行うことが要求されるので、素早い操作が求められるからである。
そのような状況下では、操作補助装置に前述のように移動速度を切り替える機能が付与されていても、その切り替え機能を利用して途中から上記移動速度を低下させるような操作は(前述したようにこれは、放射線源あるいは放射線検出手段が所定位置に近付いたときに求められる)、操作者にとって非常に煩わしいものとなる。特に救急医療の現場等においては、一刻も速く放射線撮影を行うことが要求されるので、移動速度を切り替える操作スイッチを手許で探したり、それを操作したりする時間さえも無いような状況であることが多い。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、放射線源あるいは放射線検出手段を手動で移動させるとともに、操作補助力を受けるように構成された放射線撮影装置において、放射線源あるいは放射線検出手段を位置決めする操作を迅速かつ正確に、しかも操作性良く実行可能とすることを目的とする。
本発明による放射線撮影装置は、
被写体に照射される放射線を発する放射線源と、
前記被写体を透過した放射線を検出する放射線検出手段と、
前記放射線源または放射線検出手段を所定方向に往復移動可能に案内保持するガイド機構と、
このガイド機構に沿って前記放射線源または放射線検出手段を移動させる手動操作力を受け入れる操作部と、
この操作部に手動操作力が加えられたとき、この手動操作力に対応した移動速度で前記放射線源または放射線検出手段を移動させる操作補助手段とを備えてなる放射線撮影装置において、
前記操作部の動きの向きを検出するセンサと、
このセンサの出力信号を受け、前記操作部の動きの向きが所定回数以上逆転したとき、前記手動操作力に対する前記移動速度の比を下げるように前記操作補助手段を制御する制御手段とが設けられたことを特徴とするものである。
ここで、上記のように手動操作力に対する前記移動速度の比を下げることを、以下、「速度低下処理」と称することにする。
なお上記「所定回数」は、基本的には1回であればよいが、2回とするのが好ましい。
また上記の制御手段は、操作部の動きの向きが逆転する毎に、手動操作力に対する移動速度の比をさらに下げるように構成されることが望ましい。
また上記の制御手段は、操作部の動きの向きが所定の下限値以上の速さで所定回数以上逆転したときに、前記速度低下処理を行うように構成されていることが望ましい。この「下限値」は、例えば操作部の動きの向きが逆転する速さを周期で示すと、1秒程度に設定しておくのが好ましい。
さらにこの制御手段は、操作部の動きの向きが所定の上限値以下の速さで所定回数以上逆転したときに、前記速度低下処理を行うように構成されていることが望ましい。
また本発明の放射線撮影装置においては、操作部に加わる力を検出する操作力検出センサが設けられる一方、前記制御手段が、上記操作力検出センサが検出する力が所定の閾値以下の場合は、速度低下処理を行わないように構成されていることが望ましい。なお上記操作力検出センサとして、荷重の加わる方向も検出可能な荷重センサを用いれば、それが検出する荷重の方向が操作部の動きの向きとなるので、操作部の動きの向き検出するセンサとして共用可能となる。
さらに上記の制御手段は、所定のキャンセル信号を受けたとき、前記速度低下処理を停止するように構成されていることが望ましい。
他方前記操作補助手段は、手動操作力が大きいほど前記移動速度を大きく設定するように構成されていることが望ましい。
また本発明の放射線撮影装置において、
操作補助手段は、放射線源または放射線検出手段を移動させるモータと、手動操作力を示す信号に所定のゲインを乗じた信号に基づいて上記モータを駆動させるドライバとを有するものであり、
制御手段は、前記ゲインを変化させることにより、速度低下処理を行うように構成されていることが望ましい。
また本発明の放射線撮影装置において特に前記ガイド機構が、放射線源または放射線検出手段を、少なくとも放射線照射軸と交わる2次元方向に往復移動可能に案内保持するものである場合は、
前記センサが、操作部の上記2次元方向についての動きの向きを各々検出可能なものとされた上で、
前記操作部が、上記2次元方向のうちの一方向について前記逆転が生じたとき、他方向に動かないようにロックされる構成を有することが望ましい。
上記の通り本発明の放射線撮影装置によれば、操作部の動きの向きを検出するセンサと、このセンサの出力信号を受け、操作部の動きの向きが所定回数以上逆転したとき、速度低下処理を行うように操作補助手段を制御する制御手段とが設けられたことにより、操作部を(つまり放射線源または放射線検出手段を)当初は大きな移動速度で迅速に操作し、そして放射線源または放射線検出手段が所定位置に近くなったら、ゆっくりと動かして高精度で位置決めすることが可能になる。
すなわち、操作部の動きの向きが所定回数以上逆転する現象が生じるのは、放射線撮影技師等の操作者が操作補助手段の補助を受けながら操作部を手動で操作しているとき、放射線源または放射線検出手段が所定位置を通り越してしまったため、操作部を手動操作で逆方向に戻すときである。つまりこの状態は、放射線源または放射線検出手段が所定位置近辺に到達したので、操作者が操作部をゆっくり精密に動かそうとしているときに生じる。そこでこの現象が生じたときに、速度低下処理を行うように操作補助手段を制御すれば、該操作補助手段による補助作用が弱められるので、この補助作用が強すぎるために操作者が放射線源または放射線検出手段を何度も所定位置を越えて行ったり来たりさせることが防止され、その位置決めが簡単かつ確実になされるようになる。
また上記現象が起きないとき、つまり操作者が、所定位置からまだ遠い所にある放射線源または放射線検出手段を所定位置に向けて大きな操作力で動かそうとしているときには、操作補助手段による補助作用が弱められることが無いから、本来の補助作用を十分に活用して放射線源または放射線検出手段を迅速に動かすことが可能である。
なお、操作部の動きの向きが逆転する現象は、放射線源または放射線検出手段が所定位置に近付いて操作者が細かく操作部を動かしている場合だけでなく、操作者が操作部を普通に大きく動かしている途中で何らかの誤操作によって散発的に1回生じる可能性もある。したがって、上記の「所定回数」を1回に設定しておくと、そのような誤操作時にも操作補助手段による補助作用が無意味に弱められてしまうことになる。それに対して、上記の「所定回数」を2回に設定しておけば、上記誤操作時は除いて、操作者が細かく操作部を動かしているときだけ上記速度低下処理が行われる確率を高めることができる。
他方、前記制御手段が、操作部の動きの向きが逆転する毎に、手動操作力に対する移動速度の比をさらに下げるように構成された場合は、操作者が細かく操作部を動かして放射線源または放射線検出手段を位置合わせする作業を、さらに容易なものとすることができる。つまり操作部の動きの向きが何度も逆転するということは、放射線源または放射線検出手段が所定位置を通り越してしまうことが何回も起きているということ、つまり操作者が位置合わせを何回も失敗しているということであるので、そのような場合には操作補助手段による上記移動速度を逐次より低く設定して行けば、それにつれて位置合わせの作業がより容易なものになる。
なお、操作部の動きの逆転の速さが所定の下限値よりも遅い場合、つまり前述した逆転の周期で示すならば1秒程度よりも長い場合、そのような逆転は、放射線源または放射線検出手段が所定位置に近付いて操作者が細かく操作部を動かしているために生じたのではなく、操作部の正常な操作の過程で生じたものと考えられる。本発明の放射線撮影装置において、操作部の動きの向きが「所定の下限値以上の速さで」という条件も満たして逆転しているときに、速度低下処理を行うように制御手段が構成されている場合は、操作者が細かく操作部を動かしていないときに速度低下処理が行われることがないので、正常な操作がなされている際に操作補助手段による補助作用が無意味に弱められることを防止可能となる。
また、操作部の動きの向きが、所定の上限値以下の速さでという条件も満たして逆転しているときに、速度低下処理を行うように制御手段が構成されている場合も、操作補助手段による補助作用が無意味に弱められることを防止可能となる。すなわち、操作部の動きの向きが大きな速さで逆転する現象は、操作者の操作以外の要因で発生している可能性が高い。したがって、操作部の動きの向きが所定の上限値以下の速さで逆転しているときという条件も付けて、速度低下処理を行うようにすれば、操作者による操作以外の要因で操作部の動きの向きが逆転している際に、不要な速度低下処理を行って、操作補助手段による補助作用を無意味に弱めてしまうことが防止される。
また本発明の放射線撮影装置において、操作部に加わる力を検出する操作力検出センサが設けられる一方、この操作力検出センサが検出する力が所定の閾値以下の場合は速度低下処理を行わないように制御手段が構成されている場合は、操作部の動きの向きを検出するセンサのノイズによる誤作動を防止できる。すなわち、操作部の動きの向きを検出するセンサの出力に何らかの要因でノイズが乗ると、その出力が、あたかも操作部の動きの向きが変わったように不安定に変動することがある。しかしここで、上述の通りの操作力検出センサを設けるとともに制御手段を上記の構成としておけば、実際に操作部が操作されたときだけ速度低下処理がなされるようになり、上記ノイズの影響を排除できることになる。
さらに、本発明の放射線撮影装置において特に制御手段が、所定のキャンセル信号を受けたとき速度低下処理を停止するように構成されている場合は、操作者がこのキャンセル信号を発するように装置を操作することにより、速度低下処理がなされることが好ましくないモード、例えば操作部を大きく素早く動かすモード等において速度低下処理がなされてしまうことを確実に防止可能となる。
また本発明の放射線撮影装置のガイド機構が、放射線源または放射線検出手段を、少なくとも放射線照射軸と交わる2次元方向に往復移動可能に案内保持するものである場合において、前記センサが操作部の2次元方向についての動きの向きを各々検出可能なものとされた上で、操作部が、上記2次元方向のうちの一方向について動きの逆転が生じたとき、他方向に動かないようにロックされる構成を有する場合は、放射線源または放射線検出手段の位置決め操作がより容易になされることになる。つまり、上記2次元方向のうちの一方向について操作部の動きの向きが逆転するのは、操作者がその方向に関して放射線源または放射線検出手段を精密に位置決めしようとしているときであるので、その際には操作部が他方向に動かないようにすれば、操作部が同時に2つの方向に不安定に動いてしまうことを防止して、1方向ずつ確実に位置決めを行えるようになる。
本発明の一実施形態による放射線撮影装置を示す全体斜視図 上記放射線撮影装置の一部を拡大して示す斜視図 上記放射線撮影装置の電気的構成を示すブロック図 上記放射線撮影装置の撮影時状態を示す側面図 上記放射線撮影装置の別の撮影時状態を示す側面図 上記放射線撮影装置における操作部の動きを説明する図 上記操作部の動きを検出するセンサの出力を示すグラフ 上記放射線撮影装置における一部処理の流れを示すフローチャート 上記放射線撮影装置における操作部の移動速度変化特性を説明する図
1 放射線撮影装置
10 Y軸レール
11 X軸レール
12 走行台車
13 管球昇降部
14 操作ブロック
15 伸縮機構
16 X線管球
19 カラータッチパネル
20 コンピュータ
21 第1ダイヤル
22 第2ダイヤル
23 ハンドル
25 回転保持部
29 アンプ付きスピーカ
30 制御部
31 X軸制御部
32、42、52、62、72 ACサーボアンプ
33、43、53、63、73 サーボモータ
34、44、54、64、74、91、92 ポテンショメータ
35 X軸操作力センサ
41 Y軸制御部
45 Y軸操作力センサ
50 X線発生回路
51 Z軸制御部
55 Z軸操作力センサ
61 α軸制御部
71 β軸制御部
97 管球スイッチ
100 走行ユニット
200 臥位撮影台
202、303 放射線固体検出器
300 立位撮影台
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1および図2はそれぞれ、本発明の一実施形態による放射線撮影装置の全体構成、その中の要部を示す斜視図であり、また図3はこの放射線撮影装置の電気的構成を示すブロック図である。
図1に示されるようにこの放射線撮影装置1は、天井走行ユニット100と、横になった状態の被写体を撮影するための臥位撮影台200と、立った状態の被写体を撮影するための立位撮影台300とから構成されている。
天井走行ユニット100は、一方向(Y方向)に延びる状態にして病院の天井等に水平に固定された1対のY軸レール10、10と、これらのY軸レール10、10と直交する水平方向(X方向)に延設された1対のX軸レール11、11と、これらのX軸レール11、11に沿って走行可能とされるとともに、各X軸レール11に取り付けられてY軸レール10に係合する車輪(図示せず)に駆動力を与え、それによりX軸レール11、11をY軸レール10、10沿って走行させる走行台車12と、この走行台車12から下方に延びる状態に取り付けられた管球昇降部13と、この管球昇降部13の下端近傍に取り付けられた撮影要素搭載部としての操作ブロック14とから構成されている。なお上記Y軸レール10、10とX軸レール11、11と管球昇降部13とは、本発明におけるガイド機構を構成するものである。
上記管球昇降部13は、大きさが互いに異なる複数の筒状部材が同軸に組み合わされてなる伸縮機構15を備え、走行台車12内に配置された駆動機構により伸縮長つまり垂直方向の長さが変えられるようになっている。なお本実施形態では、この垂直方向をZ方向と規定する。
臥位撮影台200は、ベッド201と、このベッド201の下方において放射線検出面202aが上向きになるように水平に配置された放射線固体検出器202とを有している。なおこのように配置された放射線固体検出器202の放射線曝射軸方向、つまり放射線検出面202aの法線Gが延びる方向は垂直方向(Z方向)となる。
一方立位撮影台300は、ガイド部301と、このガイド部301に沿って上下方向に移動自在とされた昇降台302と、この昇降台302の内部において放射線検出面303aが横向きとなるように配置された放射線固体検出器303とを有している。なおこのように配置された放射線固体検出器303の放射線曝射軸方向、つまり放射線検出面303aの法線Hが延びる方向は水平方向(Y方向)となる。
次に図2を参照して、操作ブロック14について詳しく説明する。この操作ブロック14は、放射線の一例としてのX線を被写体に向けて発するX線管球16と、このX線管球16を保持する管球保持部17と、X線管球16から発せられたX線のビーム拡がり方向等を制御するコリメータ18と、表示手段および入/出力インターフェイスとしてのカラータッチパネル19を備えたコンピュータ20と、該操作ブロック14を移動させたり、向きを変える等の操作を行うための棒状部材からなるハンドル23と、このハンドル23の一部にその長軸と中心軸を揃えて取り付けられた円板状の第1ダイヤル21および第2ダイヤル22とを備えている。
上記第1ダイヤル21および第2ダイヤル22はそれぞれ、その中心軸の回りに正逆回転可能として、該中心軸の方向に並べて配設されている。特に本実施形態ではこれら両ダイヤル21および22が、操作ブロック14の(つまりX線管球16の)移動量を微調節する微調ダイヤルとして機能するように構成されている。
上記構成の操作ブロック14は図1に示すように、回転保持部25を介して管球昇降部13の下端に取り付けられている。この回転保持部25は操作ブロック14を管球昇降部13に対して、図1中のα方向並びにβ方向に回転自在に保持する。ここでβ方向は、Z方向に延びる軸を回転中心とする回転方向であり、α方向は水平方向に延びる軸(その向きは操作ブロック14のβ方向の回転位置によって異なる)を回転中心とする回転方向である。
次に図3を参照して、この放射線撮影装置1の電気的な構成について説明する。先に述べた走行台車12(図1参照)内には、この走行台車12をX軸レール11、11に沿って走行させる図示外の車輪を正逆回転駆動するサーボモータ33と、X軸レール11、11をY軸レール10、10に沿って走行させる図示外の車輪を正逆回転駆動するサーボモータ43と、伸縮機構15を伸縮動作させて管球昇降部13を昇降させるサーボモータ53とが配設されており、それらのサーボモータ33、43、53の駆動量および駆動方向は各々ACサーボアンプ32、42、52を介してX軸制御部31、Y軸制御部41、Z軸制御部51によって制御される。それらの制御部31、41、51の動作は、制御配線60を介して接続された制御部30によって制御される。
また、上記サーボモータ33、43、53の駆動量および駆動方向つまりは操作ブロック14のX、Y、Z方向についての移動量および移動方向を各々検出するポテンショメータ34、44、54が設けられ、それらの出力はそれぞれ上記X軸制御部31、Y軸制御部41、Z軸制御部51に入力されるとともに、制御部30に入力される。
なお本実施形態では上記X軸制御部31、ACサーボアンプ32およびサーボモータ33によって第1の駆動部が構成され、Y軸制御部41、ACサーボアンプ42およびサーボモータ43によって第2の駆動部が構成され、Z軸制御部51、ACサーボアンプ52およびサーボモータ53によって第3の駆動部が構成されている。
一方操作ブロック14(図1参照)内には、該操作ブロック14を図1のα方向に回転させるサーボモータ63と、該操作ブロック14を図1のβ方向に回転させるサーボモータ73とが配設されている。それらのサーボモータ63、73の駆動量および駆動方向は各々ACサーボアンプ62、72を介してα軸制御部61、β軸制御部71によって制御される。それらの制御部61、71の動作は、制御配線60を介して接続された前記制御部30によって制御される。なお本例では、上記α軸制御部61、ACサーボアンプ62およびサーボモータ63によって第4の駆動部が構成されている。
また、上記サーボモータ63、73の駆動量および駆動方向つまりは操作ブロック14のα、β方向についての回転量および回転方向を各々検出するポテンショメータ64、74が設けられ、それらの出力はそれぞれ上記α軸制御部61、β軸制御部71に入力されるとともに、制御部30に入力される。
前述したコンピュータ20(図1参照)は、制御配線60を介して制御部30と接続されている。そしてこのコンピュータ20には、図1に示したカラータッチパネル19と、音声による各種案内や警報を発するためのアンプ付きスピーカ29が接続されている。
また操作ブロック14は、後述するように自動的に移動する他、操作者がハンドル23を握ってX、Y、Z方向に動かすことにより、所望の位置に停止させることも可能となっている。操作ブロック14には、このようにして移動されるときのX、Y、Z方向に関する操作力を各々検出するX軸操作力センサ35、Y軸操作力センサ45、Z軸操作力センサ55が取り付けられており、それらの検出出力は各々可変LPF(ローパスフィルタ)36、46、56を介してモータ速度情報発生回路37、47、57に入力される。これらのモータ速度情報発生回路37、47、57が発生したモータ速度情報は、制御配線60を介して制御部30に入力される。
操作ブロック14の一部には、それが動かされたときに加わる加速度を検出する加速度センサ83が取り付けられており、その検出出力は上記可変LPF(ローパスフィルタ)36、46、56に入力されるようになっている。
図1に示したX線管球16はX線発生装置50により駆動されてX線を発生する。このX線発生装置50およびコリメータ18(図1参照)の動作は、制御配線60を介して制御部30によって制御される。また制御部30には制御配線60を介して管球スイッチ97が接続されており、この管球スイッチ97からX線発生装置50にX線管球16を発光させるトリガ信号が入力される。
操作ブロック14には、前述した第1ダイヤル21、第2ダイヤル22の回転量および回転方向をそれぞれ検出するポテンショメータ91、92が設けられており、それらの検出出力はそれぞれ制御配線60を介して制御部30に入力されるようになっている。本例では上記第1ダイヤル21、ポテンショメータ91および制御部30、並びに第2ダイヤル22、ポテンショメータ92および制御部30によって、操作ブロック14を微小量ずつ移動させる微調モードが実行されるが、それについての詳しい説明は省略する。また上記第1ダイヤル21および第2ダイヤル22は例えば半透明の部材から形成され、その内部にはそれぞれ、ダイヤル照明用のLEDユニット81、82が設置されている。
また走行台車12にはそのX方向傾斜(X−Z面内の傾き)およびY方向傾斜(Y−Z面内の傾き)を検出する2軸傾斜センサである台車傾斜センサ95が取り付けられ、管球昇降部13の下端近傍にも、その長軸のX方向傾斜およびY方向傾斜を検出する2軸傾斜センサであるZ軸傾斜センサ96が取り付けられている。それらのセンサ95、96の検出出力はそれぞれ制御配線60を介して制御部30に入力され、走行台車12や管球昇降部13の傾斜によって生じるX線管球位置の不正を補正するために利用されるが、その点は本発明と直接的な関連が無いので詳しい説明は省略する。
なお制御配線60は図示外のメインコンピュータに接続され、そのメインコンピュータによって臥位撮影台200および立位撮影台300等と連係して天井走行ユニット100が制御されるようになっているが、その点についても詳しい説明は省略する。
以下、上記の構成を有する本実施形態の放射線撮影装置1の作用について説明する。この放射線撮影装置1は基本的に、図4に示すように臥位撮影台200を使った撮影、図5に示すように立位撮影台300を使った撮影のいずれかを行うことができる。
図4に示す場合は、ベッド201の上に横たわった状態で被写体Fが載置され、操作ブロック14はX線管球16(図2参照)が下向きになる状態に配置され、この状態で管球スイッチ97を押すことによりX線管球16が駆動される。それにより、該X線管球16から発せられて被写体Fを透過した放射線が放射線固体検出器202によって検出され、該放射線固体検出器202から、被写体Fの透過放射線画像情報を担持する信号が得られる。
図5に示す場合は、昇降台302の前に位置するように立った状態に被写体Fが配置され、操作ブロック14はX線管球16(図2参照)が横向きになる状態に配置され、この状態で管球スイッチ97を押すことによりX線管球16が駆動される。それにより、該X線管球16から発せられて被写体Fを透過した放射線が放射線固体検出器303によって検出され、該放射線固体検出器303から、被写体Fの透過放射線画像情報を担持する信号が得られる。
なお図4の状態から図5の状態に変えるときは操作ブロック14が、ハンドル23を握って行う手動操作、あるいはサーボモータ63の駆動により図1のα方向に回転される。
以上のような放射線撮影を行うに当たっては、X線管球16を放射線固体検出器202あるいは303に対して所定の位置に設定する必要がある。以下、そのためのX線管球16の移動について、図4の状態で撮影を行う場合を例に取って説明する。
X線管球16を保持している操作ブロック14は、前記サーボモータ33、43、53の駆動によってX、Y、Z方向に移動可能である。そのように操作ブロック14を移動させる場合は、例えばカラータッチパネル19を介してX線管球16の停止位置情報が入力され、その情報に基づいて制御部30がサーボモータ33、43、53の駆動量および駆動方向を決定し、その駆動量および駆動方向に関する情報をX軸制御部31、Y軸制御部41、Z軸制御部51に入力する。
X軸制御部31、Y軸制御部41、Z軸制御部51は入力された情報に基づいてサーボモータ33、43、53の駆動量および駆動方向を制御し、その結果操作ブロック14が、つまりはX線管球16が所望のX、Y、Z方向位置に設定される。こうして設定されるX線管球16のX、Y、Z方向位置は各々ポテンショメータ34、44、54によって検出され、検出された位置情報がカラータッチパネル19に表示される。したがって操作者はこの表示を確認しながら、所望の位置にX線管球16を静止させることができる。
以上のようなX線管球16の移動モードを、以下「粗動モード」と称する。なおX線管球16の位置は、例えばそれと対面する状態に配置されている放射線固体検出器202あるいは303の中心位置を原点とする2次元座標等によって規定される。また、X線管球16が放射線撮影のために駆動される前は、X線の照射口や前記コリメータ18から位置確認用のレーザビームを出射させ、それを照射臥位撮影台200のベッド201あるいは立位撮影台300の昇降台302に照射させ、そのレーザビームの照射位置を見ることによってX線管球16の位置を確認可能としてもよい。
またX線管球16は、以下「PA(パワーアシスト)モード」というモードで移動させることも可能である。このPAモードは、サーボモータ33、43、53の駆動力で操作ブロック14の動きを補助しながら、操作者が手操作で操作ブロック14を移動させるモードである。すなわちこの場合は操作者が片手でハンドル23(図2参照)を握り、操作ブロック14をX、Y、Z方向の任意の方向、またはそれらの合成方向に移動させる。
このとき、図3に示したX軸操作力センサ35、Y軸操作力センサ45、Z軸操作力センサ55がそれぞれX、Y、Z方向の操作力の向きおよび大きさを検出し、それらの検出出力が各々可変LPF36、46、56を介してモータ速度情報発生回路37、47、57に入力される。モータ速度情報発生回路37、47、57は基本的に、上記操作力が大きいほどより高速を指示するモータ速度情報を発する。制御部30はこのモータ速度情報を受けて、その速度に対応した回転速度で、かつ上記操作力の向きに対応した回転方向でサーボモータ33、43、53を回転させる指示信号をX軸制御部31、Y軸制御部41、Z軸制御部51に入力する。
以上の操作によりX線管球16が所望位置に来たことを、前述の粗動モードの場合と同様にして操作者が確認すると、操作者は操作ブロック14を移動させる操作を停止する。すると、モータ速度情報発生回路37、47、57が発するモータ速度情報は、速度0「ゼロ」を示すものとなり、操作ブロック14が停止する。またこのとき、必要に応じてサーボモータ33、43、53の出力軸に組み込まれたブレーキが作動されて、操作ブロック14が動かないようにロックされる。なお、図3に示した加速度センサ83は、手動で移動される操作ブロック14の加速度を検出し、その検出された加速度に応じて可変LPF36、46、56の特性が変えられるようになっている。
以上の説明から明らかなように本実施形態では、X軸制御部31、ACサーボアンプ32、サーボモータ33、X軸操作力センサ35、可変LPF36およびモータ速度情報発生回路37により、X方向に関する操作補助手段が構成されている。またY軸制御部41、ACサーボアンプ42、サーボモータ43、Y軸操作力センサ45、可変LPF46およびモータ速度情報発生回路47によりY方向に関する操作補助手段が構成され、Z軸制御部51、ACサーボアンプ52、サーボモータ53、Z軸操作力センサ55、可変LPF56およびモータ速度情報発生回路57によりZ方向に関する操作補助手段が構成されている。
ただし図5の状態で撮影がなされるときは、図4の状態で撮影がなされる場合と比べて、操作ブロック14がα軸(図1参照)の周りに回転されてその向きが90°変えられるので、図4の状態で撮影がなされるときにY軸操作力センサ45、可変LPF46およびモータ速度情報発生回路47と定義されていた各要素が、それぞれZ軸操作力センサ55、可変LPF56およびモータ速度情報発生回路57と定義変えされ、反対に図4の状態で撮影がなされるときにZ軸操作力センサ55、可変LPF56およびモータ速度情報発生回路57と定義されていた各要素が、それぞれY軸操作力センサ45、可変LPF46およびモータ速度情報発生回路47と定義変えされる。この定義変えは、操作ブロック14の上記回転をポテンショメータ64が検出したとき、制御部30によってなされる。
次に、上記PAモード時になされるX線管球16の位置決めについて、図4の状態でなされる撮影を例に取ってさらに詳しく説明する。このPAモードにおいて、操作者がX線管球16を所定位置に位置決めしようとして操作ブロック14を動かすとき、一回の操作でピタリと位置決めできるのは稀であり、操作ブロック14が(つまりはX線管球16が)所定位置を通り越したり、そこから戻すと操作ブロック14が所定位置を反対側に通り越す、といったことが繰り返されることも多い。
図6はそのような現象の一例を示すものであり、ここでは操作ブロック14の左右方向つまり図4中のY方向についての動きで示している。この場合、X線管球16の放射線照射軸Rが、被写体F上に×で示す目標照射位置を向くように位置決めがなされるが、まず図中に破線で示す位置から操作者によって操作ブロック14が図中右方に動かされると、サーボモータ43による操作補助力を受けていることもあって、放射線照射軸Rが目標照射位置を大きく右方に通り越すことがある。これに気付いた操作者が操作ブロック14を左方に戻すと、今度は目標照射位置を反対の左方側に通り越す・・・・といったことが起こり得る。同図中に示す(1)、(2)、(3)は、このようなことが有って操作ブロック14の動きの向きが逆転したことを、順を追って示している。
上記のような現象が起きるとき、図3に示すY軸操作力センサ45の出力信号は、例えば図7に示すように変化する。なおこのY軸操作力センサ45は、荷重が加わった方向も検出できる荷重センサからなるものであって、操作ブロック14の動きの方向を検出するセンサも兼ねている。この点は、図3に示すX軸操作力センサ35およびZ軸操作力センサ55も同様である。
本実施形態の放射線撮影装置1は、Y軸操作力センサ45あるいはX軸操作力センサ35の出力信号が図7のように、操作力の向きが逆転を繰り返していることを示しているとき、制御部30が前述の速度低下処理を実行するように構成されている。以下、本発明における制御手段としての制御部30が行うこの速度低下処理について、その流れを示す図8を参照して説明する。
制御部30はまずステップS1で、X軸操作力センサ35およびY軸操作力センサ45の出力信号から操作力の測定を開始し、次にステップS2で、管球スイッチ97が操作される等により既に撮影操作に入っているか、前述の「粗動モード」に入っているか、そして操作ブロック14の位置微調整が終了した旨を入力するスイッチが押印されているか、の条件が1つでも満足されているかどうかを判定する。この判定結果が「YES」である場合、制御部30は次にステップS3において、モータ速度情報発生回路37あるいは47における演算部のゲイン(これについては後に詳述する)を所定値にリセットし、処理の流れはステップS1に戻る。
ステップS2での判定結果が「NO」である場合、制御部30は次にステップS4において、X軸操作力センサ35あるいはY軸操作力センサ45の出力信号から、所定の閾値以上の操作力(荷重)が逆方向に加わっている状態が一定回数発生しているかどうかを判定する。つまりこれは図7において説明すると、X方向あるいはY方向において、一つの方向(正方向)を向く閾値以上の操作力が図中白丸で示すように検出された後、図中黒丸で示すように他の方向(逆方向)を向く閾値以上の操作力が検出されたかどうかを判定するものである。この図7の例では、(1)、(2)、(3)で示すように操作ブロック14の移動の向きが逆転することが3回有ることにより、上記黒丸で示す操作力の逆転検出が3回なされる。本例では、上記「一定回数」を例えば1回としている。そこで図7の例では、ステップS4の判定結果は「YES」となる。
なお、上記操作力の逆転検出は、その逆転が所定の下限値以上の速さでなされた場合のみについて行われる。つまり例えばこの速さを、逆転の周期を表すものとして黒丸間の周期(最初の黒丸については、白丸の左隣で閾値の操作力が測定されてからその最初の黒丸までの周期)で規定して、それが例えば1秒以下である場合についてのみ、操作力逆転として検出される。
上記ステップS4での判定結果が「NO」である場合、処理の流れは最初のステップS1に戻る。一方、ステップS4での判定結果が「YES」である場合、制御部30は次にステップS5において、モータ速度情報発生回路37あるいは47における演算部のゲインを変更する。以下、このゲインおよびその変更について説明する。
モータ速度情報発生回路37および47は、それぞれX軸操作力センサ35、Y軸操作力センサ45の電流出力をアンプで電圧信号に変換し、該電圧信号を演算部に通して所定のゲインを乗算し、その乗算結果に対応したモータ速度情報をそれぞれX軸制御部31、Y軸制御部41に送って、各サーボモータ33、34の回転速度を設定する。なお上記X軸操作力センサ35およびY軸操作力センサ45としては、例えば正、逆方向の最大70Nの操作力を検出して±1.5mVに亘る電流出力を発するものが用いられる。また上記アンプとしては、±1mVの電流を0〜3Vの電圧信号に変換するものが用いられる。
本実施形態において、X軸操作力センサ35、Y軸操作力センサ45が検出する操作力Fと、サーボモータ33、34による操作ブロック14の移動速度(つまりX線管球移動速度)Vとの間には、Cを係数としてF=C・Vの関係が成立する。この係数Cは、上記ゲインの逆数に所定の係数を乗じたものである。
本例では、操作ブロック14の操作力が40NのときX線管球移動速度の最大値400mm/sが得られるようになっている。つまりこのときの係数Cは0.1(Ns/mm)であり、これがデフォルト値としてモータ速度情報発生回路37および47与えられている。また操作ブロック14の停止位置精度を1mmとし、それを1秒で合わせられるように、操作ブロック14の操作力が5NのときX線管球移動速度の最小値1mm/sが得られるようにされている。その場合の係数Cは5(Ns/mm)である。
そして上記X線管球移動速度の最大値と最小値との間でさらに2通りの移動速度が得られるように、係数Cとして例えば0.37(Ns/mm)と1.37(Ns/mm)とが設定可能となっている。この係数Cと前記ゲインとの関係は前述の通りであるから、ゲインの設定次第で、これら4通りの係数Cのいずれかを用いることが可能である。
図9は、上述のようにして設定される4通りの係数Cで決まる、操作力とX線管球移動速度との関係を示すものである。なおこの図9は、操作力とX線管球移動速度との関係を概略的に示すものであって、数値は上に述べたものと一致していない。またこの例では、操作力とX線管球移動速度との関係が直線的になっているが、自然な操作感が得られるように、曲線で示されるような関係が採用されてもよい。
このような4通りの関係を設定可能としておいて、通常はデフォルト値の係数Cを用いて図9の関係Dを得る一方、図8のステップS4における判定結果が「YES」であることが1回有る毎にステップS5で前記ゲインを逐次変更すれば、操作ブロック14の動きの向きの逆転が(1)、(2)、(3)と重ねて検出される毎に、操作力とX線管球移動速度との関係は図9にそれぞれ(1)、(2)、(3)で示すように変化するようになる。こうすることにより、操作ブロック14が所定位置を通り越してしまう毎にその移動速度がより低く変更されるので、X線管球16の位置合わせが容易に行えるようになる。
また、操作ブロック14の動きの向きの逆転が検出されないとき、つまり操作者が、所定位置からまだ遠い所にある操作ブロック14を所定位置に向けて大きな操作力で動かそうとしているときには、図9の関係Dとすることにより、操作ブロック14を迅速に動かすことが可能である。
なお、操作ブロック14の動きの向きの逆転の速さが前記「下限値」よりも遅い場合、つまり前述した周期で示すならば1秒程度よりも長い場合、そのような逆転は、操作ブロック14が、つまりはX線管球16が所定位置に近付いて操作者が細かく操作ブロック14を動かしているために生じたのではなく、正常な操作の過程で生じたものと考えられる。本実施形態の放射線撮影装置1では、そのような場合には速度低下処理が行われないようになっているので、操作補助手段による補助作用が無意味に弱められることを防止できる。
また、操作ブロック14の動きの向きが逆転する現象は、操作ブロック14が所定位置に近付いて操作者が細かく操作部を動かしている場合だけでなく、操作者が操作ブロック14を普通に大きく動かしている途中で何らかの誤操作によって散発的に1回生じる可能性もある。したがって、図8のステップS4における「一定回数(所定回数)」を1回に設定しておくと、そのような誤操作時にも操作補助手段による補助作用が無意味に弱められる可能性がある。そのような不具合を防止する上では、上記の「所定回数」を2回に設定しておくのが好ましい。そうすれば、上記誤操作時は除いて、操作者が細かく操作ブロック14を動かしているときだけ速度低下処理が行われる確率を高めることができる。
また、操作ブロック14の動きの向きが、所定の下限値以上という条件に加えて、所定の上限値以下の速さでという条件も満たして逆転しているときに、速度低下処理を行うように制御部30を構成すれば、操作補助手段による補助作用が無意味に弱められることを防止可能となる。すなわち、操作ブロック14の動きの向きが大きな速さで逆転する現象は、操作者の操作以外の要因で発生している可能性が高い。したがって、操作ブロック14の動きの向きが所定の上限値以下の速さで逆転しているときという条件も付けて、速度低下処理を行うようにすれば、操作者による操作以外の要因で操作ブロック14の動きの向きが逆転している際に、不要な速度低下処理を行って、操作補助手段による補助作用を無意味に弱めてしまうことが防止される。なお上記の「上限値」としては、例えば逆転の速さを周期で表す場合ならば、1/10秒程度とするのがよい。
ここで本発明の放射線撮影装置においては、PAモード下において、操作ブロック14を比較的高速例えば300〜400mm/s程度の速度で大きく動かすためのモードと、X線管球16の位置を微調整するために操作ブロック14を比較的低速で動かすためのモードとを随意に切り替える手段を設けておき、後者のモードにおいてのみ前述の速度低下処理を行うようにしてもよい。
また本実施形態の放射線撮影装置1においては、図8のステップS4における「閾値」以上の操作力が検出されることも速度低下処理を行う上での条件としているので、X軸操作力センサ35およびY軸操作力センサ45のノイズによる誤作動を防止できる。すなわち、それらのセンサ35、36の出力に何らかの要因でノイズが乗ると、その出力が、あたかも操作ブロック14の動きの向きが変わったように不安定に変動することがある。しかしここで、上記閾値以上の操作力が検出されることも速度低下処理を行う上での条件としておけば、実際に操作ブロック14が操作されたときだけ速度低下処理がなされるようになり、上記ノイズの影響を排除できることになる。
なお、本実施形態の放射線撮影装置1においては、制御部30を、所定のキャンセル信号を受けたとき速度低下処理を停止するように構成しておくことが望ましい。そのようにすれば、操作者がこのキャンセル信号を発するように装置を操作することにより、速度低下処理がなされることが好ましくないモード、例えば前述の粗動モード等において速度低下処理がなされてしまうことを確実に防止可能となる。上記のキャンセル信号は、例えば操作ブロック14が所定の速度以上で動かされたときに自動的に発せられるようにしておくのが望ましい。
また、例えばY方向について速度低下処理を行っている際には、制御部30からX軸制御部31にブレーキ指令信号を送るなどにより、例えばサーボモータ33の内蔵ブレーキを作動させて、操作ブロック14がX方向には動かないようにロックさせるのが望ましい。そのようにすれば、操作ブロック14の位置決め操作がより容易になされることになる。つまり、Y方向について速度低下処理がなされるのは、操作者がその方向に関して操作ブロック14を精密に位置決めしようとしているときであるので、その際には該操作ブロック14がX方向に動かないようにすれば、操作ブロック14が同時に2つの方向に不安定に動いてしまうことを防止して、1方向ずつ確実に位置決めを行えるようになる。同様に、X方向について速度低下処理を行っている際にも、操作ブロック14がY方向に動かないようにロックさせるのが望ましい。
以上、X線管球16を撮影要素搭載部である操作ブロック14に搭載した構成を有する実施形態について説明したが、本発明は放射線固体検出器等の放射線検出手段を撮影要素搭載部に搭載して、この放射線検出手段の方を移動させる構成を有する放射線撮影装置に対しても適用可能である。例えば図1に示した放射線固体検出器202を撮影要素搭載部に搭載する場合は、上記実施形態においてX線管球16の向きを放射線照射軸Rの方向で規定していた代わりに、放射線固体検出器202の向きを検出面法線Gの方向で規定すればよい。
また放射線検出手段も放射線固体検出器に限らず、その他前述した蓄積性蛍光体シートや銀塩X線フィルム等を放射線検出手段として備える放射線撮影装置にも本発明は適用可能である。
また、ガイド機構および駆動部も、以上説明した実施形態における天井吊り下げ型ものに限られる訳ではなく、その他例えば、床上に設置したロボットアーム等からなるものを適用することも勿論可能である。

Claims (9)

  1. 被写体に照射される放射線を発する放射線源と、
    前記被写体を透過した放射線を検出する放射線検出手段と、
    前記放射線源または放射線検出手段を所定方向に往復移動可能に案内保持するガイド機構と、
    このガイド機構に沿って前記放射線源または放射線検出手段を移動させる手動操作力を受け入れる操作部と、
    この操作部に手動操作力が加えられたとき、この手動操作力に対応した移動速度で前記放射線源または放射線検出手段を移動させる操作補助手段とを備えてなる放射線撮影装置において、
    前記操作部の動きの向きを検出するセンサと、
    このセンサの出力信号を受け、前記操作部の動きの向きが所定回数以上逆転したとき、前記手動操作力に対する前記移動速度の比を下げるように前記操作補助手段を制御する制御手段とが設けられたことを特徴とする放射線撮影装置。
  2. 前記制御手段が、前記逆転が起きる毎に、前記手動操作力に対する前記移動速度の比をさらに下げるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の放射線撮影装置。
  3. 前記制御手段が、前記操作部の動きの向きが所定の下限値以上の速さで所定回数以上逆転したとき、前記手動操作力に対する前記移動速度の比を下げる処理を行うように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の放射線撮影装置。
  4. 前記制御手段が、前記操作部の動きの向きが所定の上限値以下の速さで所定回数以上逆転したとき、前記手動操作力に対する前記移動速度の比を下げる処理を行うように構成されていることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の放射線撮影装置。
  5. 前記操作部に加わる力を検出する操作力検出センサが設けられ、
    前記制御手段が、前記操作力検出センサが検出する力が所定の閾値以下の場合は、前記手動操作力に対する前記移動速度の比を下げる処理を行わないように構成されていることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の放射線撮影装置。
  6. 前記制御手段が、所定のキャンセル信号を受けたとき、前記手動操作力に対する前記移動速度の比を下げる処理を停止するように構成されていることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の放射線撮影装置。
  7. 前記操作補助手段が、前記手動操作力が大きいほど前記移動速度を大きく設定するように構成されていることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の放射線撮影装置。
  8. 前記操作補助手段が、前記放射線源または放射線検出手段を移動させるモータと、前記手動操作力を示す信号に所定のゲインを乗じた信号に基づいて前記モータを駆動させるドライバとを有するものであり、
    前記制御手段が、前記ゲインを変化させることにより、前記手動操作力に対する前記移動速度の比を下げるように構成されていることを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の放射線撮影装置。
  9. 前記ガイド機構が、前記放射線源または放射線検出手段を、少なくとも放射線照射軸と交わる2次元方向に往復移動可能に案内保持するものであり、
    前記センサが、前記操作部の前記2次元方向についての動きの向きを各々検出可能なものであり、
    前記操作部が、前記2次元方向のうちの一方向について前記逆転が生じたとき、他方向に動かないようにロックされる構成を有することを特徴とする請求項1から8いずれか1項記載の放射線撮影装置。
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