JPH10244432A - 順送り加工装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】多品種少量生産にも対応でき、安全かつ高能率
の加工ができる順送り加工装置を提供する。 【解決手段】長尺の被加工材を長手方向にピッチ送りす
る装置を備え、複数個のパンチ・ダイセットを被加工材
の送り方向に設け、被加工材の送り方向最上流側のパン
チ・ダイセットを位置決め基準となるパイロット穴を加
工するように形成し、これらのパンチ・ダイセットの下
流側にレーザ加工手段を備えた加工ユニットと、塑性加
工を行う加工ユニットとを設け、夫々のパンチ・ダイセ
ットおよび加工ユニットがパイロット穴を基準として夫
々の加工位置を位置決めされるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば被加工材に
外形抜き、穴あけ、曲げ絞り等の加工を行う場合に、１
組の装置の中で各工程の加工を行い、順次次の工程に長
尺状の被加工材をピッチ送りして加工を追加して進め、
最終工程で加工を完了させ、所定の製品を得るように構
成した順送り加工装置に関するものであり、特に多品種
少量生産の場合に有効である順送り加工装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】図１は本発明における加工対象である製
品の例を示す説明図であり、（ａ）は平面、（ｂ）ない
し（ｄ）は夫々（ａ）におけるＡ矢視、Ｂ矢視およびＣ
矢視を示す。図１において、製品１は、例えば厚さ寸法
0.5〜 1.0mmのステンレス鋼からなり、外形寸法４０mm
×８０mmに形成される。そして外形輪郭線が凹凸状に形
成されると共に、その一部に折曲部２を有する。鎖線は
折曲部２の曲げ加工前の平面展開形状を示している。３
〜９は夫々穴であり、例えば穴３〜７は円形状に、穴８
はＤ字状に、穴９は矩形状に夫々貫通して設けられる。

【０００３】上記のような製品１を製作する場合には、
まず上記厚さ寸法のステンレス鋼板により例えば最大外
形寸法より若干大なる外形寸法の矩形状の素材をせん断
加工によって形成し、この素材に例えばパンチ・ダイセ
ットによって穴３〜９を打抜き、展開形状の外形を成形
用金型によって打抜き、最後に折曲部２を曲げ加工する
のが通常の加工手段である。なお上記外形輪郭の成形を
複数工程によって行う場合もある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように外形輪郭が複雑な形状の場合には、これを打抜き
成形する成形用金型の製作が極めて煩雑であるのみなら
ず、成形用金型の製作費が高価となる。また折曲部２を
有するため、展開寸法の予測もむずかしく、試行錯誤に
より成形用金型、すなわちパンチおよびダイの横断面寸
法の修正を行う必要がある。また製品１の外形輪郭の一
部に仕様変更があった場合には、その都度成形用金型を
再製しなければならず、煩雑な作業を伴うのみならず、
寸法精度の確保も困難であるという問題点がある。

【０００５】また上記の作業は、プレス加工装置におけ
る手作業によらざるを得ず、しかも素材寸法が小である
場合には、非能率かつ煩雑であると共に、危険を伴うと
いう問題点も併存する。

【０００６】一方、作業能率を向上させるために、１個
の加工用金型の中で各工程を順次行い、被加工材を順次
次の工程に送る型式の順送り加工金型による加工、また
は複数の加工工程に対応するパンチ・ダイセットを被加
工材の送り方向に複数個を配設した型式の順送り加工装
置による加工も考えられるが、生産個数が例えば５００
〜１０００個であるような多品種少量生産の場合には、
金型若しくはパンチ・ダイセットの製作費用が嵩むと共
に、加工立上りまでの段取時間の比率が大となり、製品
１個当たりの製作コストが高騰するという問題点があ
る。

【０００７】本発明は、上記従来の技術に存在する問題
点を解決し、特に多品種少量生産の場合においても対応
でき、安全かつ高能率で加工が可能である順送り加工装
置を提供することを課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明においては、フープ状の長尺の被加工材を
長手方向に間欠的にピッチ送りする送り装置を設けると
共に、側面の輪郭形状を略Ｕ字状に形成し少なくとも１
対のパンチとダイとを対向して設けてなる複数個のパン
チ・ダイセットを被加工材の送り方向に沿って設け、か
つこれらのパンチ・ダイセットの開口部を被加工材の端
縁部から内方に進入させた状態に配設し、前記パンチ・
ダイセットの上方に上下動可能に形成した作動プレート
を設け、被加工材の送り方向最上流側のパンチ・ダイセ
ットを被加工材の位置決め基準となるべきパイロット穴
を加工するように形成し、前記パンチ・ダイセットの被
加工材の送り方向下流側に、少なくとも製品の外形加工
を行うレーザ加工手段を備えかつ被加工材に対して少な
くとも水平面内において相対移動可能に形成した加工ユ
ニットを設け、このレーザ加工手段を備えた加工ユニッ
トの被加工材の送り方向下流側に製品の少なくとも一部
の外形寸法の変更を伴う塑性加工を行う加工ユニットを
設け、前記夫々のパンチ・ダイセットおよび加工ユニッ
トが前記パイロット穴を基準として夫々の加工位置を位
置決めされるように構成する、という技術的手段を採用
した。

【０００９】

【発明の実施の形態】図２は本発明の実施の形態におけ
る被加工材の加工工程を示す要部平面説明図であり、前
記図１に示す製品１を加工する場合を示している。図２
において、１０は被加工材であり、例えばフープ状に巻
回された長尺材料から巻戻され、レベラーおよび間欠ピ
ッチ送り装置（何れも図示せず）を介して平坦化され、
かつ定ピッチＰ宛矢印方向に間欠的にピッチ送りされ
る。

【００１０】１１〜１６は夫々第１工程ないし第６工程
であり、被加工材１０に対するパイロット穴１７および
穴３〜６の穴あけ（第１工程１１）、穴７，８の穴あけ
（第２工程１２）、穴９の穴あけ（第３工程１３）、折
曲部２および外形輪郭の一部を形成するレーザ加工（第
４工程１４）、折曲部２の折曲げ加工（第５工程１５）
および外形輪郭の残部を形成するレーザ加工および分離
（第６工程１６）を行う状態を示す。

【００１１】次に１８はパンチ・ダイセットであり、後
述するように形成され、被加工材１０の位置決めの基準
となるパイロット穴１７および図１に示す穴３〜９を加
工すべきパンチおよびダイを備え、被加工材１０の送り
方向に沿って夫々第１工程１１ないし第３工程１３を構
成するように所定の位置に位置調整可能に配設されてい
る。なおパイロット穴１７を加工するパンチ・ダイセッ
ト１８は、被加工材１０の送り方向の最上流側に設け
る。

【００１２】１９は加工ユニットであり、折曲部２を加
工すべきパンチおよびダイを備え、第５工程１５に対応
する位置に位置調整可能に設けられる。なお第４工程１
４および第６工程１６に相当する位置には、後述するよ
うに形成され、被加工材１０に対して少なくとも製品の
外形加工を行うレーザ加工手段を備えると共に、被加工
材１０に対して少なくとも水平面内、例えばＸＹ方向に
相対移動可能に形成した加工ユニットを設ける。２０は
パイロットガイドであり、パイロット穴１７に係合する
上下動可能のパイロットピン（図示せず）を備え、例え
ば第１工程１１ないし第３工程１３および第５工程１５
に設けられる。

【００１３】なお第１工程１１ないし第６工程１６にお
いては、被加工材１０に設けられたパイロット穴１７に
夫々パイロットピンが係合し、前記パンチ・ダイセット
１８および加工ユニット１９が、パイロット穴１７を基
準として夫々の加工位置を位置決めされるように構成さ
れている。図２においては、パイロット穴１７に（＋）
記号を付することにより、上記パイロットピンが係合し
ていることを示している。

【００１４】図３および図４は各々図２におけるパンチ
・ダイセット１８の例を示す要部断面側面図および要部
平面図である。図３および図４において、３１はフレー
ムであり、例えば鉄鋼材料により、側面の輪郭形状若し
くは縦断面形状を略Ｕ字状に形成し、フレーム３１の開
放端部に少なくとも１対のパンチ・ダイを同軸的にかつ
係脱可能に設ける。

【００１５】すなわち３２はダイであり、例えば工具鋼
により、中心部に加工すべき穴に対応する貫通穴３３を
有する短円柱状に形成して、フレーム３１の開放端部の
下方に嵌着する。次に３４はストリッパーであり、中空
円筒状に形成し、フレーム３１の開放端部の上方に嵌着
したブッシュ３５内に上下方向摺動可能に嵌挿する。３
６はばねであり、ストリッパー３４に設けたスナップリ
ング３７を介してストリッパー３４を上方に付勢させる
ためのものである。

【００１６】３８はパンチであり、例えば工具鋼により
中実円柱状に形成し、ストリッパー３４内に上下方向相
対移動自在に嵌挿する。なおパンチ３８はその上端部に
固着したパンチヘッド３９と、ストリッパー３４の上端
部に設けたシートリング４０との間に介装したゴム緩衝
材４１により、上方に付勢されている。またパンチ３８
の下端部は、被加工材１０に加工すべき穴の形状寸法と
対応して形成されている。

【００１７】４２はキーストッパーであり、フレーム３
１の開放端部の上面に止ねじ４３を介して固着され、ス
トリッパー３４およびパンチ３８の回り止めの機能を有
する。４４はパイロットピンであり、フレーム３１の位
置決めのためのものであり、ゲージプレート２３に穿設
されたパイロット穴２４と係合する。４５は取付ボルト
穴である。すなわち、パンチ・ダイセット１８および加
工ユニット１９の位置は、ゲージプレート２３に設けら
れたパイロット穴２４によって決定される。

【００１８】上記の構成により、フレーム３１を図３に
示すようにゲージプレート２３を介して取付台２２に取
付け、ダイ３２上に被加工材１０を載置した状態で、そ
の上方に設けられた作動プレートを介してパンチ３８を
下降させれば、被加工材１０に穴あけ加工を行うことが
できる。この場合、ストリッパー３４はパンチ３８が下
降して穴あけ加工を行った後上昇するまで被加工材１０
を押圧しており、穴あけ加工に伴う被加工材１０の位置
ずれおよび跳躍を防止するのである。

【００１９】図５は本発明の実施の形態におけるレーザ
加工手段を備えた加工ユニットの例を示す要部側面図で
あり、前記図２における第４工程１４および第６工程１
６に設けられるものである。図５において、加工ユニッ
ト５０はベース板５１上に支持台５２を介して設けられ
る。５３はＸＹテーブルであり、例えばＮＣ制御装置を
介して各々駆動モータ５４，５５により直交するＸＹ方
向に移動可能に形成されている。

【００２０】ＸＹテーブル５３には取付部材５６を介し
て出射ユニット５７が被加工材１０の上方に臨むように
設けられ、この出射ユニット５７にはケーブル５８を介
してレーザ発振器５９が接続されている。次に６０は保
持台であり、ベース板５１上に被加工材１０の移動およ
び保持が可能のように設けられる。６１は位置決めプレ
ートであり、中空板状に形成されると共に、シリンダ６
２により、被加工材１０を押圧可能に構成されている。
６３はパイロットピンであり、被加工材１０に設けられ
たパイロット穴（図示せず、図２における符号１７参
照）と係合可能に位置決めプレート６１に突設される。

【００２１】上記の構成により、図２において、まず順
送り加工に先立って、被加工材１０の送り方向最先端部
にパンチ・ダイセット１８により被加工材１０に位置決
めの基準となるべきパイロット穴１７を穴あけする。次
に送り装置（図示せず）により被加工材１０をピッチＰ
だけ間欠送りし、第１工程１１においてパイロットガイ
ド２０のパイロットピン（図示せず）を上記パイロット
穴１７に係合させた状態で（（＋）記号を付されてい
る）、穴３〜６の穴あけと、次のパイロット穴１７の穴
あけとを同時に行う。

【００２２】この場合、被加工材１０が送られるピッチ
Ｐは、先に設けられたパイロット穴１７へのパイロット
ピンの係合と、次に加工されるパイロット穴１７の位置
とによって決定される。そして以後の夫々の工程におい
ては、パイロット穴１７に夫々の工程におけるパイロッ
トガイドのパイロットピンが係合することによって被加
工材１０に対する加工位置が位置決めされる。

【００２３】次に第２工程１２および第３工程１３にお
いては、上記同様にパイロットピンがパイロット穴１７
に各々係合することにより、被加工材１０に対する加工
位置が位置決めされ、穴７、８および穴９が加工され
る。

【００２４】そして第４工程１４においては、上記同様
にして被加工材１０に対する位置決めを行った状態にお
いて、例えば図５に示すようなレーザ加工手段を備えた
加工ユニット５０により、折曲部２およびその近傍の外
形輪郭をレーザ加工（切断）する。

【００２５】第５工程１５においては、加工ユニット１
９により、折曲部２が被加工材１０の裏面に突出するよ
うに折曲げ加工が行われる。次いで第６工程１６におい
て、前記第４工程１４におけると同様のレーザ加工が行
われ、製品の残りの外形輪郭が形成され、製品１が被加
工材１０から分離されるのである。

【００２６】上記の発明の実施の形態においては、折曲
げ加工の前後にレーザ加工工程を設けた例を示したが、
折曲げ加工の前工程において製品の外形輪郭の大部分を
レーザ加工によって形成し、折曲げ加工の後において、
被加工材１０との残余の連結部を打抜きまたはせん断に
よって分離するようにしてもよい。なお製品の外形輪郭
すべてに対して折曲げ加工その他の塑性加工を行うよう
にしてもよい。

【００２７】

【発明の効果】本発明は、以上記述のような構成および
作用であるから、下記のような効果を奏し得る。 （１）加工部位毎にパンチ・ダイセットを設置できるた
め、加工装置を小型化できる。 （２）製品に局部的な加工仕様変更があっても、パンチ
・ダイセットの最小限の変更または交換で対応できる。 （３）長尺状の被加工材に対して相対移動可能に形成し
たレーザ加工手段により、外形加工を行い得るため、専
用の成形金型を使用する必要がなく、特に多品種少量生
産の場合においても順送り加工が可能であり、安全かつ
高能率で加工することができる。 （４）加工工程が分割されているのに拘らず、夫々の加
工工程においてはパイロットピンがパイロット穴に係合
して被加工材に対する加工位置が正確に位置決めされる
ため、高精度の製品を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明における加工対象である製品の例を示す
説明図であり、（ａ）は平面、（ｂ）ないし（ｄ）は夫
々（ａ）におけるＡ矢視、Ｂ矢視およびＣ矢視を示す。

【図２】本発明の実施の形態における被加工材の加工工
程を示す要部平面説明図である。

【図３】図２おけるパンチ・ダイセット１８の例を示す
要部断面側面図である。

【図４】図２におけるパンチ・ダイセット１８の例を示
す要部平面図である。

【図５】本発明の実施の形態におけるレーザ加工手段を
備えた加工ユニットの例を示す要部側面図である。

【符号の説明】

１０ 被加工材 １８ パンチ・ダイセット １９，５０ 加工ユニット

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フープ状の長尺の被加工材を長手方向に
   間欠的にピッチ送りする送り装置を設けると共に、側面
   の輪郭形状を略Ｕ字状に形成し少なくとも１対のパンチ
   とダイとを対向して設けてなる複数個のパンチ・ダイセ
   ットを被加工材の送り方向に沿って設け、かつこれらの
   パンチ・ダイセットの開口部を被加工材の端縁部から内
   方に進入させた状態に配設し、前記パンチ・ダイセット
   の上方に上下動可能に形成した作動プレートを設け、被
   加工材の送り方向最上流側のパンチ・ダイセットを被加
   工材の位置決め基準となるべきパイロット穴を加工する
   ように形成し、前記パンチ・ダイセットの被加工材の送
   り方向下流側に、少なくとも製品の外形加工を行うレー
   ザ加工手段を備えかつ被加工材に対して少なくとも水平
   面内において相対移動可能に形成した加工ユニットを設
   け、このレーザ加工手段を備えた加工ユニットの被加工
   材の送り方向下流側に製品の少なくとも一部の外形寸法
   の変更を伴う塑性加工を行う加工ユニットを設け、前記
   夫々のパンチ・ダイセットおよび加工ユニットが前記パ
   イロット穴を基準として夫々の加工位置を位置決めされ
   るように構成したことを特徴とする順送り加工装置。