JPH10238072A - 石模様化粧パネル - Google Patents

石模様化粧パネル

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JPH10238072A
JPH10238072A JP4554697A JP4554697A JPH10238072A JP H10238072 A JPH10238072 A JP H10238072A JP 4554697 A JP4554697 A JP 4554697A JP 4554697 A JP4554697 A JP 4554697A JP H10238072 A JPH10238072 A JP H10238072A
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JP
Japan
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stone
coating
decorative
decorative layer
coating liquid
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JP4554697A
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English (en)
Inventor
Norio Fukumoto
則雄 福元
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Nichiei Co Ltd
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Nichiei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 土木建築の分野で、鉄骨構造物の壁面等に天
然石等に似せた石風の模様を形成するための化粧パネル
に関し建築現場での、壁面化粧工程の簡素化を図り、壁
面化粧層の品質管理を容易化し、化粧層の耐熱性を付与
して、石模様壁面の耐久性を図ろうとするものである。 【解決手段】 石模様化粧パネルは、構造物の側面に固
定するための金属基板と、該基板上面に形成されて石模
様を発現した化粧層と、から成るもので、上記化粧層
を、アクリル系樹脂エマルジョンと、少なくとも天然石
破砕物を含む骨材と、架橋剤から成る2種類以上の塗液
を、上記の基板上面に同時に若しくは別時にスプレー塗
布し乾燥硬化させて形成され、その塗膜硬化体が、70
℃において15kgf/cm2 以上の引張強度を有するもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土木建築の分野
で、鉄構造物の壁面等に天然石風の表面模様を形成する
ための化粧パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】建築物などの構造物、特に、鉄骨構造の
建物の外壁表面は、通常は表面仕上げがなされている
が、壁面への塗装によって石模様の化粧層を形成する方
法が知られていた。鉄骨構造物の枠組み部材に鋼板を取
付けて壁面とし、この壁面に、合成樹脂液と骨材とから
成る塗料を塗布して化粧面とし、化粧面を石模様にする
ものであった。
【0003】このような石模様の形成には、骨材として
天然石、陶器、ガラス等の粉体ないし粒体を合成樹脂
液、特に合成樹脂エマルジョン中に混合して塗液にし、
この塗液を鋼板等の壁面に塗布して、合成樹脂液を硬化
させる方法であって、これにより形成した表面化粧層
は、骨材の種類選択やその配合によって外観上石模様を
発現させるものであった。
【0004】また、従来から、石模様壁面を形成するの
に、合成樹脂エマルジョンに天然石等の骨材を配合する
方法以外にも、水性の媒体中に、予め顔料などで2色以
上に彩色した粗大な樹脂液を均一に分散させて調製した
多彩塗料を吹付け塗布し、乾燥硬化後には自然石模様の
化粧層を得る方法も知られている(例えば、特公昭58
−55991号、特開平8−151541号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】鉄骨構造物の鋼板等に
塗布される外壁塗装材の化粧層は、下地材が鋼板であ
り、容量が小さいので、夏場の日照中には60℃以上
に、ときには80℃程度の高温になることもある。従来
の水性樹脂エマルジョンを使用した化粧層においては、
特に梅雨期から秋期に至る夏場においては、降雨や結露
により壁面の化粧層が濡れて湿潤状態になった後、その
まま乾く間もなく日光に照射されると、化粧層を含む壁
面が高温になり、化粧層が膨れるという問題があった。
従って、外壁用の化粧層には、水を含んでも膨潤しない
という耐水性、さらに、高温時に軟化したり伸びたりし
難い性質、即ち、高温強度や耐熱性、耐クリープ性が要
求される。さらに、これら外壁材の仕上げ面には、外観
上は、雨水による白化を生じないことも要求される。
【0006】本発明は、外壁面に要求される化粧層に耐
水性ないしは耐熱性を付与して上記の膨れ現象に対する
抵抗性を確保し、これにより、石模様壁面の耐候性と耐
久性を改善しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、予め金属基板
の表面に石模様を発現した化粧層を形成して石模様化粧
パネルとし、該基板を鉄構造物の側面等に取着固定し
て、石模様壁面等を形成するものであるが、化粧層は、
アクリル系樹脂エマルジョンと少なくとも天然石破砕物
を含む骨材と架橋剤とから成る1種類若しくは2種類以
上の塗液を上記基板上にスプレー塗布して硬化させて塗
膜としたものである。
【0008】本発明は、塗液に、天然石破砕物を含む骨
材に代えて若しくは該骨材と共に、多彩色調の分散粒子
を含む着色剤を配合して塗液となし、スプレー塗布して
塗膜に形成して多彩色による石模様壁面とするもが含ま
れる。
【0009】水系アクリル樹脂の硬化物は、高温水によ
り膨潤化したり、白化したりし易いが、アクリル系樹脂
エマルジョン中に又はその塗液中に予め架橋剤を含有さ
せ、塗布後の乾燥硬化の過程で、エマルジョンからのア
クリル系樹脂の鎖状高分子を架橋構造にすることによ
り、塗膜を強化し、これにより、高温湿潤時の耐水白化
性、耐膨れ性を向上し、屋外用パネルとしての耐熱性に
優れた化粧パネルとするものである。
【0010】本発明は、アクリル系樹脂エマルジョン
に、アクリル系樹脂硬化体のガラス転移温度が20℃以
下であるのものを採用する。即ち、架橋剤により高温強
化した塗膜は、低温で靱性に欠ける惧れがあり、このた
め、常温で、特に、冬季の低温で、基板上の化粧層の塗
膜が金属基板の曲げや捩りにより変形を受けると、塗膜
に亀裂が生じたり塗膜が基板上から剥離したりする可能
性がある。本発明は、予め、アクリル系樹脂エマルジョ
ンに、そのアクリル系樹脂の硬化体がガラス転移温度2
0℃以下である軟質柔軟な合成樹脂を採用することによ
り、化粧層塗膜に、架橋後の高温での強化による上記の
耐熱性と共に、低温での柔軟性、可撓性とを付与して、
低温時の変形等による亀裂や剥離を防止するのである。
【0011】そして、本発明は、特に、その塗膜の引張
強度を70℃の高温で15kgf/cm2以上に確保すること
により、特に、膨れに対する抵抗性を保証するのであ
る。即ち、塗膜をアクリル系樹脂に対する架橋剤により
強化し、70℃で15kgf/cm2以上の高温強度を確保す
れば、降雨後の日照による化粧層の膨れは完全に防止す
ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の石模様化粧パネルは、図
1に概念的な断面図を示すように、金属基板3と、該基
板3上に、合成樹脂21と骨材22とから成る化粧層2
を形成して、化粧層2により石模様を発現させるもので
ある。
【0013】金属基板3は、石模様化粧層2全体を担持
して且つ面パネルとしての強度を保持するものであり、
アルミニウム板(その合金の板も含む)、又は鋼板が使
われる。鋼板には、普通鋼の鋼板や亜鉛引き鋼板、ステ
ンレス鋼板が使用できる。鋼板が安価であるので広く使
用される。アルミニウム板は、軽量で靱性が大きく、強
度もあるので、良好に使用できる。
【0014】金属基板3は、対象の建物の外面に配設す
るのに適した形状大きさに予め成形されるが、化粧層を
形成する上面30と、上面の周囲に該上面より曲げ形成
した側面31とを有して、箱状としたものが剛性があっ
て、強度的に好ましい。特に、外壁パネルを連続的に張
り付けるものでは、図2(A)に示すように、基板1
は、該側面31の下部より外側に曲げ形成した固定用張
出縁32を形成してなる基板1も採用される。
【0015】金属基板3は、その主たる塗布面が、上記
の如く平面でなく、特に、円筒面、球面、その他、各種
形状の立体表面の一部をなすよえな湾曲面であってもよ
く、これにより、自然石材から切出し立体的に加工した
ような天然石や石加工物を模倣した壁面パネルが得られ
る。
【0016】上記化粧層は、アクリル系の透明樹脂エマ
ルジョンと骨材とから成る塗液を金属基板3にスプレー
塗布した塗膜である。まず、塗液のアクリル系の樹脂エ
マルジョンには、その硬化体が20℃以下のガラス転移
温度Tgを有するアクリル系エマルジョンが選ばれる。
【0017】ガラス転移温度がTg20℃以下の低い樹
脂としては、エチルアクリレート重合体、プロピルアク
リレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルア
クリレート等の単独重合体があるが、これら単独重合体
のエマルジョンでは、塗膜硬化体は、軟質しすぎて高温
での充分な強度が得難いので、好ましくは、ガラス転移
温度Tgが高く一般に硬質であって強度の大きい他の重
合体と上記軟質のアクリレートとの共重合体が使用され
る。強度の大きい他の重合体と軟質のアクリレートとを
共重合化することにより、ガラス転移温度がTg20℃
以下として柔軟ではあるが同時に高温強度を確保した共
重合体に調製したものが好ましい。この点から、樹脂エ
マルジョンのための共重合体を例示すると、メチルメタ
クリレートなどの硬質樹脂とのアクリレート共重合体、
アクリル−スチレン共重合体、アクリル−酢酸ビニル共
重合体などから、その共重合組成を調整して上記のガラ
ス転移温度Tg以下に制御したものが使用される。
【0018】より具体的には、アクリレート系共重合体
には、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重
合体、メチルメタクリレート−2エチルヘキシルアクリ
レート共重合体など利用できる。アクリル−スチレン共
重合体には、スチレン−ブチルアクリレート共重合体、
スチレン−2エチルヘキシルアクリレート共重合体など
利用できる。アクリル−酢酸ビニル共重合体には、酢酸
ビニル−2エチルヘキシルアクリレート共重合体などが
利用できる。
【0019】その他のアクリル系共重合体には、アクリ
ル−ウレタン共重合体や、アクリル−シリコン共重合体
も利用可能である。
【0020】上記のエマルジョンは、上記の重合体成分
と共に、エマルジョン形成のための界面活性剤、触媒、
造膜剤等を含むが、固形分として40〜70重量%の範
囲のものが好ましく使用できる。
【0021】塗液を構成する他方の骨材には、化粧層の
表面に石模様、特に、天然石調の模様を発現させるもの
であり、骨材は、少なくとも天然石破砕物を含んでお
り、天然石には、例えば、大理石、石灰岩、寒水石、珪
石などが利用でき、通常は、粉砕して分級した破砕粉が
使用される。天然石破砕物の粒度は、塗布の際のスプレ
ーノズルを通過できる程度の大きさ以下であればよい
が、通常は0.3〜3.0mmの範囲がよい。粒度0.
3mm以下であると、塗膜に隠蔽性がでるため、天然石
の模様が発現し難く単調となり、塗膜表面が一様で変化
のない模様となる。
【0022】天然石破砕物を含む骨材を使用する塗液
は、上記のアクリル系樹脂エマルジョンには、その硬化
体が透明であるものを使用して、これに骨材を配合して
塗液とする。塗液の塗布後のエマルジョン硬化後に、化
粧層の樹脂中に天然石破砕粉が表面から透視できるの
で、塗液を2種以上適度に塗り分けることにより、化粧
層は、天然石破砕粉による天然石模様を発現するのであ
る。
【0023】塗液は、上記の合成樹脂エマルジョンと上
記の骨材とを混合してなされるが、樹脂固形分100重
量部に対する骨材の配合量は、50〜300重量部の範
囲が適当である。この範囲より、破砕物の配合量が多い
と、接着力が不足して化粧層の強度不良となり、この範
囲より骨材の配合量が少ないと、深みのある石模様が得
られないばかりか、骨材の配合量が少な過ぎて化粧層
は、塗膜のやせや有害な艶の発生あるいは裏地の金属基
板からの反射光が視認できて好ましくない。
【0024】骨材には、上記の天然石破砕物とともに、
補助的に天然石破砕物以外のものを含んでもよいが、補
助的骨材には、例えば、着色骨材が使用でき、硅砂等の
粉粒体の表面を所望の色相、明るさ、彩りに別個の塗剤
により予め着色したものがある。特に、天然石破砕物に
ない色彩を発現させるのに、1種又は2種以上が使用さ
れる。また、陶器、セラミックス、ガラス等の粉体ない
し粒体を適宜混合してもよい。
【0025】本発明においては、上記骨材とともに、着
色用の顔料を配合して塗液全体を単一色に着色するもの
も採用される。1色または2色以上の着色塗液は、基板
上に塗り分けて、顔料の塗り分けと表面凹凸模様によ
り、天然石模様とすることができる。
【0026】本発明には、アクリル系樹脂エマルジョン
中に、上記骨材に代えて、多彩色の分散粒子を含む着色
剤を配合した塗料、即ち、多彩塗料が利用される。多彩
色分散粒子は、アクリル系樹脂エマルジョンをベースエ
マルジョン(分散媒)としてこの中に、通常は肉眼で視
認できる程度の大きさで着色されて色彩の異なる2種類
以上のコロイド状の不溶性分散粒子が分散懸濁したもの
で、多彩塗料として知られている。例えば、分散粒子と
しては、予め顔料により所定の色彩に調節した塗料をフ
レーク状にゲル化したフレーク塗料が利用でき、フレー
ク塗料は、アクリル系樹脂エマルジョンに配合されてフ
レーク状に分散し、これに他の所要の充填剤が配合され
て塗液にされる。
【0027】本発明においては、さらに、塗液中に架橋
剤を含む。架橋剤は、硬化した塗膜中の樹脂の強度を高
め、これにより、化粧層の膨潤の防止し高温での強度を
高めるものである。架橋剤は、公知のものが広く使用可
能であるが、本発明の壁面パネル用としては、アクリル
系エマルジョンは、アクリル共重合体の直鎖又は側鎖
に、例えば、アクリル鎖中に、カルボキシル基−COO
Hを含むものが採用され、例えば、エマルジョンの製造
時にカルボキシル基−COOHを含むアクリル酸などを
共重合成分として予め添加して重合化させておく。そし
て塗液製造時に架橋剤には、酸化亜鉛、酸化鉄などの金
属酸化物系架橋剤と、グリセロールポリグリシジルエー
テルなどの有機系架橋剤とが好ましく使用される。架橋
剤を含む塗液は、塗布後の乾燥硬化の過程で、カルボキ
シル基と架橋剤の酸化物とが結合して、高分子の架橋構
造が得られ、形成された塗膜の高温での強度が確保で
き、耐熱性と耐水性とが付与され、特に、パネルの湿潤
後の高温環境で使用されても化粧層に膨れが生じない。
このような架橋剤は、予め合成樹脂エマルジョン中に含
まれていてもよいが、塗液調製過程で添加することもで
きる。
【0028】塗液には、さらに、分散剤、消泡剤、所要
の増粘剤や水などが添加されて、スプレー塗布に好適な
塗液に調製される。塗膜形成時の垂れの防止と凹凸面の
形成のために塗液の粘度は、8000〜50000cp
sの範囲とするのが適当である。
【0029】塗液は、天然石破砕物を含む塗液の場合に
は、1種類又は2種類以上、通常は色調の異なる2種類
以上の塗液が準備され、各塗液は骨材の種類・配合を適
宜変えてエマルジョン中に添加して調製される。各塗液
は、合成樹脂エマルジョンの種類を原則的には同じもの
にするが、骨材の種類と配合は、塗布して乾燥後の硬化
体が所望の石調になるように別個に調節してもよい。ま
た、合成樹脂エマルジョンと骨材の配合を同じにして、
顔料のみを塗液ごとに変えて、各塗液を異なる色調に調
整したものも使用できる。他方、上記の多彩塗料を利用
する塗液の場合には、1つの塗液に色彩の違う分散粒子
を2種類以上の配合が容易であるので、通常は、1種類
だけが使用される。
【0030】化粧層を形成するには、基板上に各塗液を
それぞれ別個のスプレーノズルより塗布し、塗布面で塗
液が適当に重なりあって、石の表面模様を形成するよう
にスプレーノズルを操作する。例えば、第1の塗液は、
霧化して全面にリシン状に均一塗布し、色調の異なる第
2の塗液は、第1の塗布面の乾燥後にその上に斑点状な
いし玉状に滴下させて、塗布してもよい。これにより斑
紋状の石模様が得られる。或いは、第1の塗液を均一に
塗布した後、色彩の異なる第2と第3の塗液をいずれも
玉状に不均一に塗布して、表面の凹凸と色彩の変化によ
り石模様を発現することも適宜なされ、その塗布方法に
制限は特にない。
【0031】塗布後には、常温で保持して乾燥して硬化
させ、化粧パネルとする。乾燥硬化の過程は、加温して
乾燥硬化を促進する方法も採用できる。本発明に使用す
る塗液は、硬化の過程では、塗液中ないしエマルジョン
中に配合されている架橋剤により、重合体の架橋反応を
促進し、塗膜が一層強化される。重合体の架橋により、
化粧層は高温での強度が高くなり、高温湿潤環境で使用
する場合の化粧層の耐水性が向上して、水による白化や
軟化に対する抵抗性が改良され、また、高温での化粧層
の膨れの発生がほぼ完全に防止できる。
【0032】本発明は、化粧層の膨れを防止するため
に、70℃での引張強度を15kgf/cm2 以上に確保す
る。ここに、引張強度は、JIS A6021に準拠し
て、上記塗液から注型乾燥養生した塗膜よりダンベル3
号試験片を形成し、この試験片を測定した引張強度をい
うものとする。このようにして、本発明の化粧パネル
は、塗液への架橋剤の添加と塗膜の高温強度とを確保す
ることにより、上述のような湿潤後の日照による化粧層
の膨れを確実に防止できるのである。
【0033】以上の成形過程は、通常は、工場内で量産
的に実施され、例えば、ローラコンベア上を移動中の基
板に対して、2つ以上のスプレーノズルからの吐出量を
調節しながら少なくとも2種類以上の塗液を同時に又は
前後遅らせて石模様を形成するように噴霧ないし滴下し
て塗布し、その後、基板は順次に乾燥硬化の工程に送ら
れる。乾燥硬化の工程では、基板上に塗布された塗液
は、そのまま常温下で保持するか又は加温して、塗液を
乾燥して硬化させ、化粧層となる。化粧パネルの一例
を、図2(B)に断面図で、図2(C)に正面図で示し
てある。
【0034】このように形成された多数の化粧パネル
は、その側面ないし縁部を鉄骨構造物の枠材にビス等の
止具で固定し、外壁パネル、軒天井、柱型パネル等に使
用される。化粧パネル間の縁部に防水用のシーリング
材、シリコーン系コーキング剤を塗着して、外観上目地
を備えた建物の壁面など外装面を構成することもでき
る。こうして、所要数の化粧パネルを配列して固定する
作業だけで、壁面に石模様を形成することが容易にで
き、しかも、現場においては塗装工程の一部省略等の施
工工数の削減に有効となる。
【0035】なお、上記の化粧パネルは、基板上に直接
に化粧層を形成したものであったが、化粧パネル上面と
化粧層との間に、プライマー層を介在させてもよい。プ
ライマー層は、基板と化粧層との間の接着性を改善し
て、耐剥離性を改善することができる。このようなプラ
イマー層には、エポキシ系プライマーが好ましく使用さ
れる。さらに、基板が普通鋼板から形成したものである
場合には、通常の錆止め塗料を塗布した上に上記塗液に
よる化粧層を形成するのがよい。
【0036】また、化粧パネルの化粧層の表面には、さ
らに透明なトップコートを塗布してもよい。これによ
り、化粧パネルの表面が保護され、しかも、化粧パネル
は光沢を備えた石模様パネルとすることができる。
【0037】
【実施例】
〔膨れ試験〕塗液は、メチルメタクリレート−2エチル
ヘキシルアクリレートを主成分するアクリル系共重合体
の樹脂エマルジョン(三井東圧化学(株)製造、品名
「E−193」)(以下、アクリル系エマルジョンAと
いう)に、骨材として寒水石及び架橋剤として亜鉛華
を、表1の配合で添加して、調製した。比較例の塗液
は、架橋剤を配合しない点を除いて、上記実施例の配合
の塗液と同じものを準備した。
【0038】
【表1】
【0039】塗液を基板(15×30cm)に塗布して
乾燥硬化させて、40〜60℃で16時間保持したもの
を試験パネルとした。膨れ試験は、上記試験体の半分を
水に16時間浸漬した後に、塗膜側に赤外線ランプ(2
00V、250W)により25cmの間隔を開けて照射
し、照射開始後60分程度で表面温度が約90℃に上が
った時点で、表面の膨れ状態を観察した。さらに照射を
中断して常温近くまで放冷した後、再度赤外線照射をし
て90℃程度に昇温する過程を最高60回まで繰り返し
た。照射による膨れ試験の結果を表2にまとめてある
が、アクリル系エマルジョンに架橋剤の亜鉛華を配合し
た実施例の塗膜が、湿潤後の高温での耐水性ないし耐膨
れ性に優れていることがわかる。
【0040】
【表2】
【0041】〔強度試験〕上記膨れ試験に用いた表1の
実施例及び比較例の配合の塗液を、厚みが1mmになる
ように調節された型枠に流し込み、20℃で3日養生し
た後、ダンベル3号試験片に打ち抜いて、強度試験を行
った。試験は、20℃及び70℃の温度で、JIS A
6021に準じて引張強度と破断伸びを調べた。その結
果を、表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】表3から、従来の比較例のものは、高温で
の強度の低下が大きいが、実施例は、常温強度ととも
に、高温での強度が相対的に高い。この強度の改善は、
架橋剤の配合による高分子鎖の架橋による効果であり、
前項の膨れ試験において、水浸漬後の長時間の繰り返し
加熱においても膨れの発生が抑制できた主たる要因でも
ある。
【0044】〔実施例1〕以下に、骨材を使用した塗液
からの石模様化粧パネルの製造例を示す。 (1)塗液の調製 上記の膨れ試験に使用したのと同じアクリレート系エマ
ルジョンAを使用して、このエマルジョンに表4に記載
の如く骨材、架橋剤及び他の添加剤を配合して、塗液に
調製した。骨材は、天然石破砕粉として寒水石の粉(粒
度100メッシュより細かい細粒と、32〜80メッシ
ュの粗粒の2種)を使用した。塗液は三分して、それぞ
れ別個に顔料を配合して、A液(黒)、B液(グレー)
及びC液(淡いグレー)の3色の塗液に調製した。
【0045】
【表4】
【0046】(2)塗布 縁部と側面部を備えて上面が外形1000mm×100
0mmの方形の基板を厚み1.6mmの鋼板で成形して
予め防錆塗装をして、準備した。第1工程は、黒色で下
地を隠蔽するために下塗り層を形成するものであり、A
液(黒)を基板の防錆塗装面にスプレー塗布して、下塗
り層を形成した。塗布方法は、口径5mmのノズルで5
kg/cm2 の空気圧の下でスプレーし、A液(黒)の
塗布量は、1.0kg/m2 であった。第2工程は、表
面仕上げをするためのもので、B液(グレー)及びC液
(淡いグレー)をそれぞれ別個のスプレー容器に入れ
て、上記基板の下塗り層上にエアスプレーにより交互に
玉状に吹き付けて、外観が石柄模様に調整した。口径
7.5mmのノズルで2〜3kg/cm2 の空気圧の下
でスプレーし、塗液は2色でおおよそ1.5kg/m2
の割合で塗布して化粧層とした。塗布後、塗液を乾燥さ
せて硬化させて、パネルの外観を石柄模様にすることが
できた。
【0047】〔実施例2〕この実施例1では、無彩色系
のパネル化粧層を形成する例を示したが、これに代え
て、明るい有彩色系のパネル化粧層を形成することも可
能であり、この例として、塗液の配合例を表5に示す。
この例では、塗液は、アクリル系エマルジョンとして、
メチルメタクリレート−2エチルヘキシルアクリレート
を主成分するアクリル系エマルジョン(カネボウNSC
(株)製造、品名「AD−69」、架橋剤が樹脂製造過
程で含まれている以下アクリル系エマルジョンBとい
う)を使用して、これを、A液(グレー)は、グレーに
着色した硅砂で着色し、B液(赤)は、赤色に着色した
硅砂で着色し、C液(白)は、寒水石だけで着色したも
のである。鋼板基板の防錆処理をした表面に、第1工程
ではA液(グレー)のスプレー塗布で下塗り層とし、第
2工程は、この上に、B液(赤)とC液(白)とで、玉
状に交互に吹き付けして赤み掛かった石柄模様の化粧層
を形成した。
【0048】
【表5】
【0049】〔実施例3〕次の例は、多彩模様塗料によ
る石模様化粧層の形成する例を示す。 (1)塗液の調製 多彩色調分散粒子を含む着色剤として、フレーク塗料を
使用した。塗液は、表6に示すように、上記実施例2の
アクリル系エマルジョンBを使用して、塗料1と塗料2
とに、色調の異なる3種のフレーク塗料の配合割合を変
えて、調製した。
【0050】(2)塗布 第1工程は、実施例1と同様に、防錆処理をした鋼板の
基板上に、実施例2に示したグレー色の骨材入りの塗液
(A)を均一に吹き付けして下塗り層とし、乾燥させ
た。下塗り層の形成は、塗液(A)をノズル口径5mm
程度で空気圧5kg/cm2 で1.0kg/m2 の割合
で均一に吹きつけた。
【0051】第2の工程では、その下塗り層上に、さら
に、グレー色の塗液(A)を玉状に吹き付けて、表面が
凹凸状の起伏形成層を形成した。起伏形成層は、グレー
色の塗液(A)をノズル口径7.5mm程度で空気圧3
kg/cm2 の低圧で、0.6kg/m2 の塗布量で不
均一に玉状に成形した。
【0052】第3の工程では、この起伏形成層上に、多
彩模様塗料1ををノズル口径5mm程度で空気圧4kg
/cm2 で1.5kg/m2 の割合で均一に吹きつけ
て、比較的厚い化粧層を形成し、全体に石柄模様に仕上
げた。
【0053】
【表6】
【0054】
【発明の効果】本発明の石模様化粧パネルは、金属基板
の上面に予め石模様を発現した化粧層を形成して化粧パ
ネルとしたので、鉄構造物の壁面等を直接取り付けるこ
とにより、建物に簡便に石風の壁面を形成することがで
き、しかも、上記化粧層は、アクリル系の樹脂エマルジ
ョンと骨材とから成る塗液を上記の基板上面にスプレー
塗布し乾燥硬化させた塗膜であるので、この化粧パネル
は、工場内で所望の図柄の天然石模様のパネルを量産的
に製作し、且つ品質管理も容易正確にすることができ
る。このような石模様化粧パネルは、建築現場に移送し
て、建物の外面等に取着するだけで、建物壁面を石造り
風に簡単に構成することができる利点がある。
【0055】本発明では、塗液のアクリル系樹脂エマル
ジョンに架橋剤を含有するので、塗液の乾燥硬化後に
は、アクリル樹脂の架橋が進み、耐熱性、耐水性が向上
した熱水的に安定な化粧層を形成することができ、高温
壁面での化粧層の膨れが防止でき、高温湿潤環境で使用
する場合の化粧層の白化ないし軟化性に対する抵抗性を
改良することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に係る金属基板上に形成した化粧
層の模式的な部分縦断面を示すす。
【図2】本発明の実施例にかかる金属基板(A)及び化
粧層を形成したパネル(B)の断面図、並びにパネルの
正面図(C)を示す。
【符号の説明】
1 石模様化粧パネル 2 化粧層 21 樹脂 22 骨材 3 金属基板 31 側面 32 縁部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物の壁面に固定するための金属基板
    と、該基板上面に形成されて石模様を発現した化粧層
    と、から成る石模様化粧パネルであって、 上記化粧層が、アクリル系樹脂エマルジョンと、天然石
    破砕物を含む骨材と、架橋剤と、から成る塗液をスプレ
    ー塗布して硬化させた塗膜であり、 上記アクリル系樹脂エマルジョンは、そのアクリル系樹
    脂硬化体のガラス転移温度が20℃以下であることを特
    徴とする石模様化粧パネル。
  2. 【請求項2】 構造物の壁面に固定するための金属基板
    と、該基板上面に形成されて石模様を発現した化粧層
    と、から成る石模様化粧パネルであって、 上記化粧層が、アクリル系樹脂エマルジョンと、多彩色
    調の分散粒子を含む着色剤と、架橋剤と、から成る塗液
    をスプレー塗布して硬化させた塗膜であり、 上記アクリル系樹脂エマルジョンは、そのアクリル系樹
    脂硬化体のガラス転移温度が20℃以下であることを特
    徴とする石模様化粧パネル。
  3. 【請求項3】 上記化粧層は、塗膜が70℃の温度にお
    いて15kgf/cm2 以上の引張強度を有することを特徴と
    する請求項1又は2記載の石模様化粧パネル。
  4. 【請求項4】 上記金属基板が、当該上面の周囲に曲げ
    形成した側面と、該側面の下部に外側に曲げ形成した固
    定用の張出縁と、を備えた請求項1又は2に記載の化粧
    パネル。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007296459A (ja) * 2006-04-28 2007-11-15 Kansai Paint Co Ltd 多彩模様塗膜形成方法、多彩模様塗装物品及び多彩模様塗装物品の補修塗装方法
JP4621901B2 (ja) * 2008-12-24 2011-02-02 独立行政法人海上技術安全研究所 防汚塗料組成物および基材の防汚方法
JP2013117093A (ja) * 2011-12-01 2013-06-13 Shin Etsu Polymer Co Ltd コーナー用サイディング材及びその製造方法
JP2015081283A (ja) * 2013-10-22 2015-04-27 藤倉化成株式会社 模様塗料組成物の製造方法

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