JP4562552B2 - 意匠性塗膜の形成方法 - Google Patents
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1.(1)基材に対し、下塗材を塗付する工程、
(2)下塗材が乾燥固化する前に、平板状の粉粒体を散布する工程、
(3)樹脂固形分濃度が50〜95重量%である透明又は半透明の上塗材を、ローラーを用いて該粉粒体を押しつけながら塗付する工程、
からなることを特徴とする意匠性塗膜の形成方法。
2.上塗材が、架橋性結合剤を含有することを特徴とする項1.に記載の意匠性塗膜の形成方法。
3.平板状の粉粒体が、長径が2mm以上、厚さが1mm以下であることを特徴とする項1.または項2.に記載の意匠性塗膜の形成方法。
4.基材が床面を構成するものである項1.〜項3.のいずれかに記載の意匠性塗膜の形成方法。
本発明を床面に適用する場合、基材としては、例えば、住宅、工場、倉庫、スポーツ施設等の建築物の床面や屋上、あるいは、道路、歩道、歩道橋、プラットホーム、公園、広場、庭等の屋外床面を構成するものであれば特に限定されず使用することができる。具体的な材質としては、例えば、硬質の土面や石面、コンクリート、モルタル、アスファルト等が挙げられる。また、インターロッキング、ポーラスコンクリート等の既存の床面を改修、改装する目的で用いることもできる。本発明を壁面に適用する場合の基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、石綿セメント板、ALC板、サイディング板、押出成形板、石膏ボード、合板、鋼板、プラスチック板等が挙げられる。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、シーラー、サーフェーサー、フィラー等)が施されたものであってもよい。
結合剤としては、水溶性樹脂、水分散性樹脂、溶剤可溶形樹脂、非水分散形樹脂、無溶剤形樹脂、粉末樹脂、セメント、石膏、シリカ等の各種結合剤、あるいはこれらを複合化した結合剤等を使用することができる。本発明では特に、無溶剤形樹脂が好適に用いられる。使用可能な樹脂の種類としては、例えば、エチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、セルロース、ポリビニルアルコール等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。このうち、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、あるいはこれらの複合系を使用することが好ましい。
なお、隠ぺい率は、乾燥膜厚が100μmとなるようにフィルムアプリケータで隠ぺい率試験紙に塗り付け、温度23℃、相対湿度50%下にて48時間乾燥させることによって作製した試験片を、黒地上塗膜と白地上塗膜の視感反射率を色彩色差計「CR−300」(ミノルタ株式会社製)を用いて測定し、算出した値である。
平板状の粉粒体の形状としては、円、楕円状、多角形状、あるいはランダムな形状等特に限定されることはないが、長径と厚さの関係が、厚さ/長径で、好ましくは1/3以下、さらに好ましくは1/5以下であることが好ましい。なお、本発明でいう長径とは、各種粉粒体の形状における最長の長さのことである。
このような粉粒体は、1種でもよいし、2種以上を混合したものでもよい。本発明では、美観性のある意匠性を表現するため、異なる2種以上粉粒体を混合して用いることが好ましい。
また粉粒体が過剰に散布された場合は、刷毛やホウキ、掃除機等を用いて取り除いてもよい。この際、下塗材が完全またはある程度乾燥した状態で、過剰に散布された粉粒体を取り除けばよい。
この工程では、樹脂固形分濃度が50〜95重量%(好ましくは50〜80重量%)である上塗材を使用することにより、塗膜の最表面に上塗塗膜が確実に形成でき、優れた耐久性・耐候性を示すことができるとともに、所定の塗膜厚に1回または少ない回数で塗付することができるため、施工が容易で、工期短縮が可能である。また、揮発成分が少なく、乾燥性に優れ、床面においては翌日には歩行可能な状態に設定することができる。さらに、適度な乾燥収縮性を有するため、浮き状態の粉粒体を平滑に押さえつけることができる。
樹脂固形分濃度が50重量%より小さい場合は、上塗材が粉粒体等へ浸透し、最表面に上塗塗膜が確実に形成できない場合がある。また確実に形成するためには複数回塗り重ねなければならない。樹脂固形分濃度が95重量%より多い場合は粘度が高くなり、効率よく塗付できない場合があり、また、浮き状態の粉粒体を平滑に押さえつける効果が期待できない場合もある。
このような上塗材を、ローラーを用いて、粉粒体を押しつけながら塗付することによって、粉粒体が基材に沿って平滑に配列され、美観性のある意匠性が表現でき、さらに粉粒体を確実に固着することができる。
架橋に用いられる反応性官能基の組合せとしては、例えば、エポキシ−アミン、ポリオール−イソシアネート、カルボキシル−エポキシ、カルボキシル−金属イオン、カルボキシル−カルボジイミド、カルボキシル−オキサゾリン、カルボニル−ヒドラジド、加水分解性シリル基どうし等が挙げられる。このうち、カルボキシル−エポキシ、カルボキシル−金属イオン、カルボキシル−カルボジイミド、カルボキシル−オキサゾリン、カルボニル−ヒドラジド、加水分解性シリル基同士等の組合せが好適に用いられ、特にポリオール−イソシアネートの組合せが好ましい。
本発明上塗材の厚みとしては、乾燥膜厚で、0.1mm〜3mm程度とすればよいが、本発明は、比較的薄膜であっても、上記効果が得ることができる。このような場合、乾燥膜厚は、0.1mm〜1mm、好ましくは0.1mm〜0.5mm未満となるように設定すればよい。
スレート板(600mm×600mm×4mm)を水平に置き、その上に、表1に示す原料を用いて表2に示す配合で調整した下塗材Aを、ローラーで300g/m2塗付した後、5分後に下塗材Aが乾燥する前に、フレークAとフレークBを1:1の割合で混合したフレークを手で全面に散布した。
標準状態(温度23℃、相対湿度50%)で16時間静置後、過剰に散布したフレークを刷毛とホウキで取り除き、表1に示す原料で表2に示す配合で調整した上塗材Aをローラーを用いて、塗付量350g/m2で、平滑に押しつけながら塗付し、試験体を作製した。
作製した試験体は、上塗材A塗付時に、未付着状態の粉粒体や、半付着状態の粉粒体、あるいは、浮き状態の粉粒体を平滑に押さえ固着させたため、触感的にも毛羽立ち感のない、平滑性のある塗膜が形成された。また、試験体面全面に平板状の粉粒体が平滑に配列されている為、粉粒体ひとつひとつが際立ち、多彩感のある斬新的な意匠性が得られた。また、得られた試験体は、標準状態で24時間静置後、ほぼ硬化した塗膜を形成しており、歩行可能な状態であった。なお、上塗材Aの乾燥膜厚は、0.2mmであった。
また、作製した試験体について次のような評価を行った。
(付着強さ評価)
スレート板(600mm×600mm×4mm)を標準モルタル(70mm×70mm×20mm)に替えた以外は、上記と同様の方法で試験体を得た。
得られた試験体を標準状態で7日間静置後、JIS A 6909−2003 7.9「付着強さ試験」において、付着強度を測定した。その結果、標準モルタル以上の付着強度3N/mm2以上を示すことが確認された。
(耐候性評価)
スレート板(600mm×600mm×4mm)をコンクリート板(300mm×300mm×100mm)に替えた以外は、上記と同様の方法で試験体を得た。
得られた試験体を大阪府茨木市で南向き45度傾斜にて、1ヶ月屋外暴露した後、目視にて色相変化を確認したところ、色相変化は全く認められなかった。3ヵ月、6ヵ月経過後においても異常は認められなかった。
スレート板(600mm×600mm×4mm)を水平に置き、その上に、表1に示す原料を用いて表2に示す配合で調整した下塗材Aを、ローラーで300g/m2塗付した後、5分後に下塗材Aが乾燥する前に、フレークAとフレークBを1:1の割合で混合したフレークを手で全面に散布した。
標準状態で16時間静置後、過剰に散布したフレークを刷毛及びホウキで取り除き、表1に示す原料で表2に示す配合で調整した上塗材Bをローラーを用いて、塗付量約350g/m2で、平滑に押しつけながら塗付し、試験体を作製した。
作製した試験体は、上塗材Bの固形分が本発明の規定する樹脂固形分より外れるため、塗付時に未付着状態の粉粒体や、半付着状態の粉粒体、あるいは、浮き状態の粉粒体を十分に平滑に押さえることができなった。そのため、触感的にも毛羽立ち感が際立った、平滑性に欠ける塗膜が形成された。また、粉粒体が被塗装面に対して乱雑に配列され、粉粒体ひとつひとつが際立たず、多彩感に欠ける意匠性となってしまった。なお、上塗材Bの乾燥膜厚は、0.12mmであった。
また、作製した試験体について次のような評価を行った。
(付着強さ評価)
スレート板(600mm×600mm×4mm)を標準モルタル(70mm×70mm×20mm)に替えた以外は、上記と同様の方法で試験体を得た。
得られた試験体を標準状態で7日間静置後、JIS A 6909−2003 7.9「付着強さ試験」において、付着強度を測定した。その結果、標準モルタル以上の付着強度3N/mm2以上を示すことが確認された。
(耐候性評価)
スレート板(600mm×600mm×4mm)をコンクリート板(300mm×300mm×100mm)に替えた以外は、上記と同様の方法で試験体を得た。
試験体を大阪府茨木市で南向き45度傾斜にて、1ヶ月屋外暴露した後、目視にて色相変化を確認したところ、若干の汚れと色相変化が認められた。
スレート板(600mm×600mm×4mm)を水平に置き、その上に、表1に示す原料を用いて表に示す配合で調整した下塗材Aを、ローラーで300g/m2塗付した後、5分後に下塗材Aが乾燥する前に、フレークAとフレークBを1:1の割合で混合したフレークを手で全面に散布した。
標準状態で16時間静置後、過剰に散布したフレークを刷毛とホウキで取り除き、表1に示す原料で表に示す配合で調整した上塗材Cを、乾燥膜厚が約0.2mmとなるように流しこみ、コテを用いて、平滑に塗り仕上げ(流し延べ工法)、試験体を作製した。
作製した試験体は、未付着状態の粉粒体や、半付着状態の粉粒体、あるいは、浮き状態の粉粒体が、上塗塗膜へ混入し、被塗装面に対して乱雑に配列され、粉粒体ひとつひとつが際立たず、多彩感に欠ける意匠性となってしまった。
また、作製した試験体について次のような評価を行った。
(付着強さ評価)
スレート板(600mm×600mm×4mm)を標準モルタル(70mm×70mm×20mm)に替えた以外は、上記と同様の方法で試験体を得た。
得られた試験体を標準状態で7日間静置後、JIS A 6909−2003 7.9「付着強さ試験」において、付着強度を測定した。その結果、標準モルタル以上の付着強度3N/mm2以上を示すことが確認された。
(耐候性評価)
スレート板(600mm×600mm×4mm)をコンクリート板(300mm×300mm×100mm)に替えた以外は、上記と同様の方法で試験体を得た。
試験体を大阪府茨木市で南向き45度傾斜にて、1ヶ月屋外暴露した後、目視にて色相変化を確認したところ、上塗塗膜自体の変色が認められ、意匠性の低下が認められてた。
スレート板(600mm×600mm×4mm)を水平に置き、その上に、表1に示す原料を用いて表2に示す配合で調整した下塗材Aを、ローラーで300g/m2塗付した後、5分後に下塗材Aが乾燥する前に、フレークAとフレークBを1:1の割合で混合したフレークを手で全面に散布した。
標準状態で16時間乾燥後、過剰に散布したフレークを刷毛及びホウキで取り除き、試験体を作製した。
作製した試験体は、上塗材を塗付していないため、未付着状態の粉粒体や、半付着状態の粉粒体、あるいは、浮き状態の粉粒体が多数存在し、触感的にも毛羽立ち感が際立った、平滑性に欠ける意匠性が形成された。また、粉粒体が被塗装面に対して乱雑に配列され、粉粒体ひとつひとつが際立たず、多彩感に欠ける意匠性となってしまった。
また、作製した試験体について次のような評価を行った。
(付着強さ評価)
スレート板(600mm×600mm×4mm)を標準モルタル(70mm×70mm×20mm)に替えた以外は、上記と同様の方法で試験体を得た。
得られた試験体を標準状態で7日間静置後、JIS A 6909−2003 7.9「付着強さ試験」において、付着強度を測定した。その結果、0.3N/mm2であった。
(耐候性評価)
スレート板(600mm×600mm×4mm)をコンクリート板(300mm×300mm×100mm)に替えた以外は、上記と同様の方法で試験体を得た。
試験体を大阪府茨木市で南向き45度傾斜にて、1ヶ月屋外暴露した後、目視にて色相変化を確認したところ、色相変化が顕著に認められた。
スレート板(600mm×600mm×4mm)を垂直方向に立て、このスレート板の表面に、下塗材Aをローラーで300g/m2塗付した後、5分後に下塗材Aが乾燥する前に、フレークAとフレークBを1:1の割合で混合したフレークを吹き付けにより全面に散布した。
標準状態で16時間静置後、過剰に散布したフレークを刷毛で取り除き、上塗材Aをローラーを用いて塗付量350g/m2で平滑に押しつけながら塗付し、試験体を作製した。
作製した試験体は、上塗材A塗付時に、未付着状態の粉粒体や、半付着状態の粉粒体、あるいは、浮き状態の粉粒体を平滑に押さえ固着させたため、触感的にも毛羽立ち感のない、平滑性のある塗膜が形成された。また、試験体面全面に平板状の粉粒体が平滑に配列されている為、粉粒体ひとつひとつが際立ち、多彩感のある斬新的な意匠性が得られた。また、得られた試験体は、標準状態で24時間静置後、ほぼ硬化した塗膜を形成していた。なお、上塗材Aの乾燥膜厚は、0.2mmであった。
また、作製した試験体について次のような評価を行った。
(耐候性評価)
スレート板(600mm×600mm×4mm)をコンクリート板(300mm×300mm×100mm)に替えた以外は、上記と同様の方法で試験体を得た。
得られた試験体を大阪府茨木市で南向き45度傾斜にて、1ヶ月屋外暴露した後、目視にて色相変化を確認したところ、色相変化は全く認められなかった。3ヵ月、6ヵ月経過後においても異常は認められなかった。
Claims (4)
- (1)基材に対し、下塗材を塗付する工程、
(2)下塗材が乾燥固化する前に、平板状の粉粒体を散布する工程、
(3)樹脂固形分濃度が50〜95重量%である透明又は半透明の上塗材を、ローラーを用いて該粉粒体を押しつけながら塗付する工程、
からなることを特徴とする意匠性塗膜の形成方法。 - 上塗材が、架橋性結合剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の意匠性塗膜の形成方法。
- 平板状の粉粒体が、長径が2mm以上、厚さが1mm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の意匠性塗膜の形成方法。
- 基材が床面を構成するものである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の意匠性塗膜の形成方法。
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