JPH10236453A - 耐熱性に優れたブロー成形容器 - Google Patents

耐熱性に優れたブロー成形容器

Info

Publication number
JPH10236453A
JPH10236453A JP3948997A JP3948997A JPH10236453A JP H10236453 A JPH10236453 A JP H10236453A JP 3948997 A JP3948997 A JP 3948997A JP 3948997 A JP3948997 A JP 3948997A JP H10236453 A JPH10236453 A JP H10236453A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blow
ethylene
propylene
copolymer
propylene random
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP3948997A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3855343B2 (ja
Inventor
Kazuo Taira
和雄 平
Ikuo Komatsu
威久男 小松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Seikan Group Holdings Ltd
Original Assignee
Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Seikan Kaisha Ltd filed Critical Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority to JP3948997A priority Critical patent/JP3855343B2/ja
Publication of JPH10236453A publication Critical patent/JPH10236453A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3855343B2 publication Critical patent/JP3855343B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 内容物の排液及び押出に必要な柔軟性、加熱
殺菌等に耐える耐熱性、及び透明性と耐衝撃性との優れ
た組み合わせを有するプロピレン系重合体のブロー成形
容器を提供するにある。 【解決手段】 他のオレフィン系樹脂を含有して成る他
の層とを含む積層体において、プロピレン主体の重合体
ブロックを60乃至80重量%含有し且つエチレン含有
量が20乃至40重量%のエチレン−プロピレンランダ
ム共重合ブロックを20乃至40重量%含有するメルト
インデックス(MI)が0.3乃至15g/10min
のプロピレンランダムブロック共重合体を含有して成る
層と、融点が113℃以上の他のオレフィン系樹脂を含
有して成る他の層とを含む積層体を、ブロー成形して成
ることを特徴とするブロー成形容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、柔軟性がありしか
も加熱殺菌が可能なブロー成形容器に関するもので、よ
り詳細には成形性、柔軟性、表面の平滑性、透明性に優
れ、しかも加熱殺菌が可能であるブロー成形容器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、輸液、注射液等の液体医薬のため
の容器として、ガラス製容器が使用されていたが、耐衝
撃性に劣ると共に取扱いが不便であるため、ポリオレフ
ィン等の合成樹脂の容器が提案されていた(特開平1−
249057号公報)。
【0003】合成樹脂から成る容器として、プロピレン
系樹脂から成るものが広く使用されていたが、このブロ
ー成形容器は耐熱性には優れているものの、ポリプロピ
レンを用いた容器は硬く、大気圧でも変形しないため排
液性に難点がある。
【0004】また、従来、ブロー成形容器の製造には、
プロピレンランダム共重合体やプロピレンブロック共重
合体等の各種のプロピレン系重合体も使用されており、
更に、これらのプロピレン系重合体に各種の改質剤を配
合して、ブロー成形に使用することも知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
プロピレン系重合体から成る容器は、透明性と耐衝撃性
との組み合わせに関して未だ十分に満足しうるものでは
なかった。即ち、プロピレンランダム共重合体から成る
ブロー成形容器は、透明性には優れているものの、耐衝
撃性に劣り、落下衝撃等により容易に割れるという欠点
がある。一方、プロピレンブロック共重合体から成るブ
ロー成形容器は、耐衝撃性には優れているものの、ヘイ
ズ値が高く、透明性に劣るという欠点がある。
【0006】また、プロピレン系重合体の透明性と耐衝
撃性とを改善するために、各種エラストマー等の改質剤
を配合する方法では、改質剤のブレンド方法などの加工
法に依存して性能が変動して、安定した性能が発現され
ない場合が多く、更に目標物性の達成度も低く、また、
コスト的も不利であるという問題がある。
【0007】従って、本発明の目的は、内容物の排液及
び押出に必要な柔軟性、加熱殺菌等に耐える耐熱性、及
び透明性と耐衝撃性との優れた組み合わせを有するプロ
ピレン系重合体のブロー成形容器を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、他のオ
レフィン系樹脂を含有して成る他の層とを含む積層体に
おいて、プロピレン主体の重合体ブロックを60乃至8
0重量%含有し且つエチレン含有量が20乃至40重量
%のエチレン−プロピレンランダム共重合ブロックを2
0乃至40重量%含有するメルトインデックスが0.3
乃至15g/10minのプロピレンランダムブロック
共重合体を含有して成る中間層と、融点が113℃以上
の他のオレフィン系樹脂を含有して成る内外層とを含む
積層体を、ブロー成形して成ることを特徴とするブロー
成形容器が提供される。
【0009】本発明の上記ブロー成形容器では、 1.前記プロピレンランダムブロック共重合体が150
0乃至6500kg/cm2 の曲げ弾性率を有するもの
であること、 2.前記プロピレンランダムブロック共重合体が125
乃至160℃の融点を有するものであること、 3.内外層の他のオレフィン系樹脂がプロピレンランダ
ム共重合体、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチ
レン或いはそれらを含むブレンド物であること、 4.全体の厚みが200乃至1000μmで、中間層と
内外層との厚みの比が95:5乃至20:80の範囲に
あること、が好ましい。
【0010】本発明のブロー成形容器において、内容物
の保存性が強く要求される場合には、前記積層体は水分
バリアー性或いは酸素バリアー性の樹脂を中間層として
更に備えていることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の柔軟ブロー成形容器は、
少なくとも二層構造を有するが、一つの柔軟樹脂層とし
て、プロピレン主体の重合体ブロックを60乃至80重
量%含有し且つエチレン含有量が20乃至40重量%の
エチレンプロピレンランダム共重合ブロックを20乃至
40重量%含有するメルトインデックスが0.3乃至1
5g/10minのプロピレンランダムブロック共重合
体を選択し、これを融点が113℃以上のオレフィン系
樹脂を含有して成る他の層として組み合わせたことが特
徴である。
【0012】本発明では、ブロー容器の基体となる中間
層として、前記の組成と特定のメルトインデックスとを
有するプロピレンランダムブロック共重合体を用いるこ
とにより、内容物の排液及び押出に必要な柔軟性、加熱
殺菌等に耐える耐熱性、及び透明性と耐衝撃性との優れ
た組み合わせを達成することができる。
【0013】本発明に用いる上記プロピレンランダムブ
ロック共重合体は、プロピレン主体の重合体ブロックを
60乃至80重量%及びエチレン−プロピレンランダム
共重合ブロックを20乃至40重量%含有すること、及
びエチレン−プロピレンランダム共重合ブロックが20
乃至40重量%のエチレン含有量を有することが構造上
の特徴である。
【0014】プロピレン主体の重合体ブロックは、耐熱
性に寄与する共重合成分であり、一方エチレン−プロピ
レンランダム共重合ブロックは、耐衝撃性、特に低温で
の耐衝撃性や柔軟性に寄与する成分であり、これらの重
合ブロックが上記範囲の量で存在することにより、前記
の組み合わせ物性が達成されるものである。
【0015】エチレン−プロピレンランダム共重合ブロ
ックが20重量%を下回ると、耐衝撃性も透明性も不十
分であり、更に容器としたときの柔軟性も劣るが、この
ブロックの含有量を20重量%以上とすることにより、
これらの特性が顕著に改善されるが、40重量%を上回
ると、加熱殺菌に際して熱変形を生じたり、ブロッキン
グを生じたりして、耐熱性が著しく低下する。
【0016】エチレン−プロピレンランダム共重合ブロ
ックのエチレン含有量が20重量%を下回ると、ブロー
成形品の耐衝撃性、特に低温での耐衝撃性が低下し、一
方エチレン含有量が40重量%を上回ると、成形性が低
下して、ブロー成形容器の外観特性が悪くなり、また低
温での耐衝撃性や耐熱性も低下する。
【0017】また、ブロー容器への成形性や平滑性等の
外観特性の点では、前記組成のブロック共重合体であっ
てしかもメルトインデックスが0.3乃至15g/10
minの範囲にあるものを使用することが重要である。
メルトインデックスが上記範囲を下回ると、成形に際し
てシャークスキン等が発生する傾向があり、また上記範
囲を上回ると、成形に際してドローダウン等が発生する
傾向がある。
【0018】本発明においては、上記プロピレンランダ
ムブロック共重合体を中間層とし、これに融点が113
℃以上のオレフィン系樹脂を内外層として組み合わせる
ことにより、容器の耐熱性を損なうことなく、プロピレ
ンランダムブロック共重合体中の添加剤やモノマー或い
はオリゴマーの内容物中への移行を防止して、衛生的特
性を向上させ、外部ヘイズを小さくし、内容物の透視特
性を向上させることが可能となる。また、表面光沢も向
上するという効果も得られる。
【0019】既に指摘したとおり、プロピレン系重合体
の成形に際しては、樹脂の熱安定性のために酸化防止剤
や熱安定剤を配合する必要があり、プロピレン系重合体
が内容物と直接接触する器壁構造の容器では、これらの
添加剤が内容物中に移行するのを避け得ない。また、前
述したプロピレンランダムブロック共重合体では、モノ
マーやオリゴマーが樹脂中に含有されており、これらが
内容物中に溶出するおそれもある。一方、ポリエチレン
系の樹脂では、酸化防止剤等を配合しない場合にも、実
用に耐える安定性が得られ、これを内層とすることによ
り、優れた衛生的特性が達成されるものである。通常、
プロピレン系重合体とエチレン系重合体とは接着性に乏
しいものであるが、本発明に使用するプロピレンランダ
ムブロック共重合体が、内層乃至外層のエチレン系重合
体から成る樹脂層に対しても実用に耐える接着性を示す
ことは意外の知見であった。
【0020】また、プロピレンランダムブロック共重合
体を単層で、ブロー成形容器の製造に用いると、内容物
の透視性が低下し、これは成形体の外部ヘイズ値が増大
するためである。これに対して、プロピレンランダムブ
ロック共重合体の両側に、融点が113℃以上の他のオ
レフィン系樹脂の内外層を積層すると、耐熱性を低下さ
せることなしに、透明性を顕著に改善することが可能と
なる。また、表面光沢も向上するという効果も得られ
る。前記ブロック共重合体では、成形時に樹脂表面が冷
却される際、樹脂の結晶化による体積収縮に起因すると
思われる微小凹凸が生成し、これが外部ヘイズの増加に
つながっているが、その表面に他のオレフィン系樹脂を
積層すると、このような微小凹凸の生成が抑制される
か、或いは微小凹凸が生成しても、その表面が他のオレ
フィン系樹脂で埋められて、外部ヘイズが減少するもの
と思われる。
【0021】内外層に設ける他のオレフィン系樹脂は、
113℃以上と比較的高い融点を有するため、レトルト
殺菌時の容器の熱変形等を有効に防止できるばかりでは
なく、加熱殺菌時のブロッキング傾向をも完全に解消す
ることができる。
【0022】[ブロー成形容器]本発明のブロー成形容
器の一例(ブローバッグ)を示す図1において、このブ
ローバッグ1は、内容物が充填される胴部2、胴部の下
の閉塞底部3、胴部の上の肩部4、肩部に設けられた内
容物充填口5並びに内容物取り出し部6及び閉塞底部に
設けられた支持部7からなっている。内容物取り出し部
6は管状の形に成形されており、その内部には内容物取
り出し用栓体8が液密にはめ込まれている。支持部7に
は係止用の貫通孔9が形成されている。
【0023】このブローバッグ1の器壁断面構造を示す
図2において、器壁10は、前述した特定の組成とメル
トインデックスとを有するプロピレンランダムブロック
共重合体を含有する中間層11と、融点が113℃以上
のオレフィン系樹脂を含有して成る内層12並びに外層
13とから成っている。
【0024】このブローバッグ1は、上記積層構造のパ
リソンを多層多重ダイを通して共押出し、押し出された
パリソンを割型でピンチオフすると共にパリソン内に流
体を吹き込んで、ブロー成形することにより、形成され
る。内容物取り出し用栓体8は、ブローバッグ成形後に
はめ込んでもよいし、特開平7−171195号公報に
記載されているとおり、ブロー成形時にインサートし
て、一体に成形されるようにしてもよい。
【0025】本発明のブローバッグ1を、内容物充填に
使用するには、内容物充填口5の一部を切り取ってこの
部分から液体医薬等の内容物を充填し、充填後この部分
をヒートシールに密封する。次いで、この包装体を、レ
トルト釜等の加熱殺菌装置に入れて、所定の条件下に加
熱殺菌を行い、殺菌後冷却する。
【0026】内容物を取り出して使用するときは、内容
物取り出し用栓体8に中空針を突き刺し、支持部7の貫
通孔8を架台のフック等に係止させ、ブローバッグを逆
さまに吊るすことにより、中空針を通して重力による排
液が行われる。このブローバッグでは、胴部2の材料が
柔軟であるので、大気圧による変形が容易であり、排液
性も良好である。
【0027】本発明のブロー成形容器の他の例(チュー
ブ容器)を示す図3において、このチューブ容器21
は、内容物が充填される胴部22、胴部の下のヒートシ
ールによる閉塞底部23、胴部の上の肩部24、肩部に
設けられた内容物押出口25並びに押出口にネジで係合
されたキャップ26から成っている。
【0028】このチューブ容器21の器壁断面構造を示
す図4において、器壁20は、前述した特定の組成とメ
ルトインデックスとを有するプロピレンランダムブロッ
ク共重合体を含有する第一の中間層11a、11bと、
融点が113℃以上のオレフィン系樹脂を含有して成る
内層12並びに外層13とを備えているのは、図2の場
合と同様であるが、第一の中間層11a、11bの中間
に、接着剤樹脂層14a、14bを介して、水分バリア
ー性或いは酸素バリアー性の樹脂から成る第2の中間層
15をも更に備えている。
【0029】このチューブ容器21は、上記積層構造の
パリソンを多層多重ダイを通して共押出し、押し出され
たパリソンを割型でピンチオフすると共にパリソン内に
流体を吹き込んで、ブロー成形することにより、形成さ
れる。
【0030】本発明のチューブ容器21を、内容物充填
に使用するには、前記底部23に相当する部分で、ブロ
ー成形体を切断し、この部分からペースト状の内容物を
充填し、充填後この部分をヒートシールに密封する。次
いで、この包装体を、レトルト釜等の加熱殺菌装置に入
れて、所定の条件下に加熱殺菌を行い、殺菌後冷却す
る。
【0031】このチューブ容器21は胴部が柔軟である
ため、内容物の押出特性に優れていると共に、胴部の押
圧力を解放した際のサックバックもなく、内容物の保存
性に優れている。
【0032】[中間層樹脂]本発明では、ブロー成形容
器の中間層として、プロピレン主体の重合体ブロックを
60乃至80重量%含有し且つエチレン含有量が20乃
至40重量%のエチレン−プロピレンランダム共重合ブ
ロックを20乃至40重量%含有するメルトインデック
スが0.3乃至15g/10minのプロピレンランダ
ムブロック共重合体を使用する。
【0033】このプロピレンランダムブロック共重合体
は、柔軟性と耐熱性との見地から1500乃至6500
kg/cm2 の曲げ弾性率を有することが好ましい。曲
げ弾性率が上記範囲よりも大きいものは、ブロー成形容
器の柔軟性が劣り、バッグからの排液性や、チューブか
らの押出性が低下するようになる。
【0034】また、このプロピレンランダムブロック共
重合体は、125乃至160℃の融点を有していること
が望ましい。融点が上記範囲を下回ると耐熱性が不十分
となり、一方融点が上記範囲を上回ると柔軟性が不足す
る。
【0035】上記プロピレンランダムブロック共重合体
は、フィルム形成用の樹脂として公知のものであり、例
えば、特開平6−93061号公報に記載の方法で得ら
れる。
【0036】即ち、チーグラー・ナッタ型触媒を用い
て、第一工程で実質的に不活性溶剤の不存在下にプロピ
レン主体の重合体ブロックを全重合量の60乃至80重
量%となるように重合し、次いで第二工程で気相中でエ
チレン含有量が20乃至40重量%のエチレン−プロピ
レンランダム共重合ブロックを全重合量の20乃至40
重量%となるように重合させることにより得られる。
【0037】本発明で使用するプロピレンランダムブロ
ック共重合体には、それ自体公知の配合剤、例えば酸化
防止剤、滑剤、造核剤等を公知の処方に従って配合する
ことができる。
【0038】[内外層樹脂]内外層を構成する樹脂とし
ては、融点が113℃以上のオレフィン系樹脂、例え
ば、プロピレン系重合体やエチレン系重合体が使用され
る。
【0039】プロピレン系重合体としては、融点が12
5℃以上であれば、アイソタクティック或いはシンジオ
タクティック構造のホモポリプロピレンやプロピレン共
重合体が使用され、プロピレン共重合体としては、プロ
ピレンブロック共重合体やプロピレンランダム共重合体
等が使用される。
【0040】透明性の点では、エチレン含有量が3乃至
15重量%のプロピレンランダム共重合体が好適であ
り、密度が0.860乃至0.915g/cm3 であっ
て、メルトインデックスが0.3乃至15g/10mi
nのものが適している。
【0041】プロピレン系重合体としては、、チグラー
・ナッタ型触媒を用いて製造したものでもよいが、柔軟
性の点及び耐溶出性では、メタロセン系触媒を用いて製
造したシンジオタクティック構造のものが優れている。
【0042】メタロセン系触媒とは、メタロセン、即
ち、置換乃至未置換のシクロペンタジエニル環2個と各
種の遷移金属で構成されている錯体から成る遷移金属成
分と、有機アルミニウム成分、特にアルミノオキサンと
から成る触媒の総称であり、遷移金属成分としては、周
期律表第IVb族、第 Vb族或いは第VIb族の金属、特に
チタニウム或いはジルコニウムが挙げられる。触媒中の
遷移金属成分としては、一般に下記式 (Cp)2 MR2 式中、Cpは置換または未置換のシクロペンタジエニル
環であり、Mは遷移金属であり、Rはハロゲン原子或い
はアルキル基である、で表されるものが一般的に使用さ
れている。
【0043】アルミノキサンとしては、有機アルミニウ
ム化合物を水と反応させることにより得られたものであ
り、線状アルミノキサン及び環状アルミノキサンがあ
る。これらのアルミノキサンは、単独でも或いは他の有
機アルミニウムとの組み合わせでも使用できる。
【0044】メタロセン系触媒を使用するエチレン及び
/またはα−オレフィンとの重合法は、特開昭58−1
9309号公報をはじめとし、多数の公報で公知であ
り、前記メタロセン系触媒の存在下、有機溶剤中、液状
単量体中或いは気相法での重合により合成されるが、こ
れらの公知の何れの方法によるものでも、前記条件を満
足するものは本発明の目的に使用できる。
【0045】プロピレンランダムブロック共重合体層以
外の層を構成するエチレン系重合体としては、融点が1
13℃以上である限り、任意のエチレン系重合体を使用
することができ、例えば線状低密度ポリエチレンやメタ
ロセン系触媒を用いて製造したエチレン−αオレフィン
共重合体、或いはこのエチレン・α−オレフィン共重合
体と高密度ポリエチレンとの組成物等が使用される。
【0046】線状低密度ポリエチレンとしては、融点が
116乃至132℃、密度が0.918乃至0.940
g/cm3 及びメルトフローレートが0.3乃至15g
/10minのものが耐熱性の点で適当である。
【0047】メタロセン系触媒を用いて製造したエチレ
ン・α−オレフィン共重合体としては、融点が115乃
至130℃、密度が0.920乃至0.942g/cm
3 及びメルトフローレートが0.5乃至15g/10m
inのものが適当である。
【0048】これらの線状低密度ポリエチレン或いはエ
チレン・α−オレフィンの共重合体の場合、α−オレフ
ィンとしては、炭素数が4乃至8の範囲にあるものが好
ましく、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4
−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等
を挙げることができる。これらのα−オレフィンは共重
合体中に3乃至15モル%の量で存在するのが好まし
い。
【0049】メタロセン系触媒を用いて得られるエチレ
ン・α−オレフィン共重合体は分子量分布が狭いが、こ
れに分子量分布の広い高密度ポリエチレンを配合するこ
とにより、成形性を改善し、透明性をも向上させること
ができる。エチレン・α−オレフィン共重合体にブレン
ドする高密度ポリエチレンとしては、分子量分布(Mw
/Mn)が3.0以上、特に3.5乃至6.0の範囲に
あるものが成形性の改善の点で有効であり、また密度は
0.940乃至0.968g/cm3 でメルトフローレ
ートは0.3乃至30g/10minの範囲内にあるも
のがよい。
【0050】メタロセン系触媒を用いて製造したエチレ
ン・α−オレフィン共重合体と高密度ポリエチレンと
は、95:5乃至60:40の重量比、特に90:10
乃至65:35の重量比で使用するのがよい。
【0051】また、内外層に用いる組成物(以下単にエ
チレン系重合体組成物と呼ぶことがある)においては、
前記高密度ポリエチレンの一部を中密度ポリエチレン或
いは高圧法ポリエチレンに置き換えるとより安定した成
形性が得られる。これらの中密度ポリエチレン或いは高
圧法ポリエチレンは、前記メタロセン系触媒で製造した
ポリエチレン或いはエチレン・α−オレフィン共重合体
と高密度ポリエチレンとの合計量100重量部当たり、
0乃至50重量部、特に3乃至40重量部の量で含有さ
せることができる。
【0052】[他の樹脂層]本発明のブロー成形容器に
おいては、内容物の保存性を高めるために酸素バリアー
性樹脂を設けることができ、酸素バリアー性樹脂の適当
な例として、エチレン−ビニルアルコール共重合体を挙
げることができ、例えば、エチレン含有量が20乃至6
0モル%、特に25乃至50モル%であるエチレン−酢
酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に
99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合
体ケン化物が使用される。このエチレンビニルアルコー
ル共重合体ケン化物は、フイルムを形成し得るに足る分
子量を有するべきであり、一般に、フエノール:水の重
量比で85:15の混合溶媒中30℃で測定して0.01 d
L/g 以上、特に0.05 dL/g 以上の粘度を有すること
が望ましい。
【0053】また、水分バリアー性樹脂として、環状オ
レフィン系共重合体を使用することができ、このもの
は、オレフィンと環状オレフィンとの非晶質乃至低結晶
性共重合体(COC)から成る。共重合体を構成するオ
レフィンとしては、エチレンが好適であるが、他にプロ
ピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1ーヘキセン、1
−オクテン、3ーメチル1−ペンテン、1−デセン等の
炭素数3乃至20のα−オレフィンが、単独或いはエチ
レンとの組み合わせで使用される。環状オレフィンとし
ては、基本的には、エチレン系不飽和結合とビシクロ環
とを有する脂環族炭化水素化合物、特にビシクロ[2、
2、1]ヘプト−2−エン骨格を有する炭化水素化合物
である。この共重合体(COC)は、50乃至22モル
%、特に40乃至22モル%の環状オレフィンと残余の
エチレンとから誘導され且つ200℃以下、特に150
乃至60℃のガラス転移点(Tg)を有するのがよい。
この共重合体の分子量は、特に制限はないが、デカリン
中135℃で測定して、0.1乃至20dl/gの極限
粘度[η]を有するのがよく、また、その結晶化度は、
X線回折法で測定して、一般に10%以下、特に5%以
下である。
【0054】また、これらのバリアー性樹脂と前述した
プロピレンランダムブロック共重合体との接着性を付与
するために、無水マレイン酸グラフト変性プロピレン系
重合体やエチレン系重合体を樹脂接着剤層として使用す
ることができる。
【0055】[ブロー成形容器の製造]本発明のブロー
成形容器において、器壁の全体としての厚みは、用途や
容器の大きさ等によっても相違するが、一般的にいって
全体としての厚みが200乃至1000μm、特に30
0乃至800μmの範囲にあるのがよい。多層容器の場
合、プロピレンランダムブロック共重合体を含有して成
る層と他のオレフィン系樹脂を含有して成る層の合計厚
さとの比は、一般に95:5乃至20:80、特に9
0:10乃至25:75の範囲にあるのがよい。尚、3
層容器の場合、内外層を構成する樹脂は、同一のもので
あるのが一般的であるが、内層と外層とは異なった樹脂
で構成されていてもよいことが理解されるべきである。
【0056】全体としての厚みが上記範囲よりも小さい
と保形性や強度が不十分となり、一方上記範囲よりも大
きいと柔軟性が失われて排液性や押出性が低下するよう
になる。また、中間層の厚みが上記範囲外では、柔軟性
や耐熱性、更には透明性のバランスがとりにくくなる。
【0057】本発明のブロー容器は、プロピレンランダ
ムブロック共重合体の層を備えていることが必須不可欠
であるが、決して2層乃至3層の構成のものに限定され
ず、4層、5層、或いはそれ以上の多層構成のものであ
ってもよい。
【0058】水分バリアー性或いは酸素バリアー性の樹
脂層を備えていてもよいことは既に指摘したが、その他
に例えば、中間層と外層との間に、ブロー成形の際に生
じるスクラップ樹脂層を介在させることができる。ま
た、プロピレンランダムブロック共重合体を含有して成
る層と他のオレフィン系樹脂を含有して成る層との間に
接着性が得られない場合には、これら両層の間に接着剤
層を介在させることができ、接着性を改良する目的でい
ずれかの層にそれ自体公知の改質樹脂を用いることもで
きる。
【0059】本発明のブロー容器は、特定のプロピレン
ランダムブロック共重合体を中間層、他のオレフィン系
樹脂を内外層とし、必要あれば他の樹脂層と共に、パリ
ソンの形に溶融押出し、割型内でブロー成形することに
より得られる。
【0060】積層パリソンを形成するに際しては、樹脂
の種類に対応する数の押出機を使用し、ダイ通路内で溶
融樹脂を積層体の順序となるように合流させる。内外層
が同種の樹脂から成る場合には、分岐チャンネルを経て
他のオレフィン系樹脂が中間層に対して内外層となるよ
うに分岐させ、ダイ内で合流させる。
【0061】パリソンの溶融押出に際して、ダイヘッド
の温度は180乃至230℃の温度が適当であり、ダイ
オリフイスとしては、円形或いは偏平形状のものが使用
可能である。
【0062】割金型としては、鏡面仕上げのものでも、
サンドブラスト加工したものでも使用でき、割金型の表
面温度は一般に10乃至55℃の範囲にあることが好ま
しい。また、ブロー成形用の流体としては、滅菌処理し
た空気を用いることが好ましく、その圧力は1乃至15
kg/cm2 の範囲にあるのが適当である。
【0063】
【実施例】本発明を次の例により更に説明する。
【0064】実施例1 各種ポリプロピレン(PP)との比較(内外層ランダム
PP) 内外層にエチレン含有量6.1%のランダムPP(MI
1.3g/10min、密度0.900g/cm3 、曲
げ弾性率5000kg/cm2 、融点146℃)、中間
層に2段階の重合プロセスにて重合されたエチレン含有
量0.5%のエチレン・プロピレンブロックが75重量
%、エチレン含有量9.0%のエチレン・プロピレンラ
ンダムブロックの割合が25重量%とそれぞれエチレン
含有量の異なるエチレン・プロピレンランダムブロック
鎖よりなる2元のブロック共重合体:fPP−1(DS
C融点142℃、MI1.3g/10min、密度0.
900g/cm3 、曲げ弾性率5000kg/cm2
を層比20:60:20にて、樹脂温度およそ192
℃、総吐出量22kg/hrにて押出し、図1に示す匁
付け量18g、容量300ccの偏平ブローバッグを毎
分10本の速度にて成形した(本発明1)。
【0065】これと比較のため、中間層の樹脂として、
比較例1ではエチレン含有量4.1%のブロックPP
(MI1.5g/10min、密度0.897g/cm
3 、曲げ弾性率7200kg/cm2 )、比較例2では
エチレン含量6.6%のランダムPP(MI1.2g/
10min、密度0.890g/cm3 、曲げ弾性率6
500kg/cm2 )、比較例3ではエチレン含有量2
%のアタクチックポリプロピレン:a−PP(DSC融
点141℃、MI2.3g/10min、密度0.90
0g/cm3 、曲げ弾性率1200kg/cm2 )、比
較例4ではリアクターメイドTPOと称されるエチレン
含有量7.1%のポリプロピレン系樹脂:r−PP(D
SC融点160℃、MI2.3g/10min、密度
0.900g/cm3 、曲げ弾性率1600kg/cm
2 )、比較例5では比較例2と同じエチレン含有量6.
6%のランダムPP(MI1.2g/10min、密度
0.890g/cm3 、曲げ弾性率6500kg/cm
2 )80部に対しゴム成分としてスチレン/ブタジエン
ブロック共重合体の水素添加物を20部ブレンドしたも
のを用いて、同様のブローバッグを成形した。
【0066】得られた結果を表1に示す。この結果、中
間層に一般のブロックPPを用いた場合(比較例1)、
落下強度はほぼ実用性がある水準であるが、透明性に劣
りこの例のように中間層を用いて外部ヘイズを無くして
も、内容液を透視出来る水準にはならなかった。また一
般のランダムPPを用いて透明性を改善しても(比較例
2)、落下による割れが多くなり、特に凍結温度では全
数割れが生じた。更に、アタクチックPP(比較例3)
はランダムPPより透明性、落下強度のバランスがよい
ものの、0℃を切ると急激に割れ易くなる傾向にあっ
た。一方、落下耐性を改良するための従来の2つの方法
では(比較例4、比較例5)いずれも透明性が低下し実
用水準を満たさなかった。特にゴム成分を添加すると耐
熱性も低下し、加熱殺菌時にバッグの首部分や吊り具部
分が変形した。
【0067】本発明のエチレン・プロピレンランダム/
プロピレンブロック共重合体:fPP−1では、透明
性、耐熱性、落下強度の3要件がいずれも良好であり、
加熱殺菌可能な柔軟ブローバッグとしてバランスのとれ
た性能を示した。
【0068】
【表1】 * レトルト殺菌条件:121℃、30分、()内の数値は別に種々の 温度にて確認した耐熱限界温度(℃)を示す。(以下同じ) ** 蒸留水を220cc充填し5℃及び−20℃に半日放置したもの各 50袋について、垂直、水平各5回、高さ1mより落下させ、破壊の有無 を確認した。(以下同じ)
【0069】実施例2 各種内外層樹脂(fPP−2) 中間層に、2段階の重合プロセスにて重合されたエチレ
ン含有量1.0%のエチレン・プロピレンブロックが6
5重量%、エチレン含有量7.7%のエチレン・プロピ
レンランダムブロックの割合が35重量%とそれぞれエ
チレン含有量の異なるエチレン・プロピレンランダムブ
ロック鎖よりなる2元のブロック共重合体:fPP−2
(DSC融点139℃、MI1.5g/10min、密
度0.900g/cm3 、曲げ弾性率4400kg/c
2 )を使用し、内外層として、線状エチレン・α−オ
レフィン共重合体:LL−1(MFR3.4g/10m
in、密度0.922g/cm3 、融点119℃)(本
発明2)、メタロセン系シングルサイト触媒を用いて重
合されたエチレン・α−オレフィン共重合体:mPE−
1(MFR4.5g/10min、密度0.927g/
cm3 、分子量分布Mw/Mn3.7、融点121℃)
(本発明3)、そしてメタロセン系シングルサイト触媒
を用いて重合されたシンジオタクチックPP:synP
P−1((DSC融点137℃、MI3.5g/10m
in、密度0.890g/cm3 、曲げ弾性率4800
kg/cm2 )(本発明4)を使用し、層比20:6
0:20にて、実施例1と同様に樹脂温度およそ192
℃、総吐出量22kg/hrにて押出し、図1に示す匁
付け量18g、容量300ccの偏平ブローバッグを毎
分10本の速度にて成形した。
【0070】得られた結果を表2に示す。その結果、若
干の容器外観、透明性、耐熱性の違いがあるものの、い
ずれの場合も実用水準にある容器性能を示した。特に多
段の特殊重合プロセスにて重合されたエチレン・プロピ
レンランダム/プロピレンブロック共重合体はエチレン
・α−オレフィン共重合体と共押し出しした場合、従来
のランダムPPなどから予想されるのに反して、実用的
に十分な密着強度が得られた。要求される殺菌温度、透
明性などに応じて、内外層樹脂としてポリエチレン系、
ポリプロピレン系の樹脂が適宜選択でき、栓体も内外層
樹脂に応じたものが使用可能となった。
【0071】また、本発明2、3ではポリエチレン系樹
脂の特徴として、酸化防止剤を用いずとも十分実用的成
形安定性が確保され、この系統の樹脂からなる層を内外
層に配することで、内容品への添加剤の移行などの問題
を殆ど回避できた。更に、本発明3、4ではメタロセン
系シングルサイト触媒を用いた樹脂を内外層に配するこ
とで、内容品へのモノマー、オリゴマーなどの移行量を
低減できる。また、この場合表面光沢も向上し、内容品
の透視性も改善された。
【0072】
【表2】
【0073】実施例3 層構成(fPPの曲げ弾性率、共重合化) ここでは2段階の重合プロセスにて重合され、共重合化
が異なり、各種の曲げ弾性率を有するエチレン・プロピ
レンランダム/プロピレンブロック共重合体について、
またそれらについて各種層構成の柔軟ブローバックを作
成した。2段階の重合プロセスにて重合されたブロック
共重合体として、(1)エチレン含有量1.5%のエチ
レン・プロピレンブロックが35重量%、エチレン含有
量7.7%のエチレン・プロピレンランダムブロックの
割合が65重量%とそれぞれエチレン含有量の異なるエ
チレン・プロピレンランダムブロック鎖よりなる2元の
ブロック共重合体:fPP−3(DSC融点136℃、
MI1.5g/10min、密度0.900g/c
3 、曲げ弾性率2200kg/cm2 )、(2)エチ
レン含有量1.0%のエチレン・プロピレンブロックが
65重量%、エチレン含有量9.7%のエチレン・プロ
ピレンランダムブロックの割合が35重量%とそれぞれ
エチレン含有量の異なるエチレン・プロピレンランダム
ブロック鎖よりなる2元のブロック共重合体:fPP−
4(DSC融点137℃、MI2.5g/10min、
密度0.900g/cm3 、曲げ弾性率3900kg/
cm2 )、(3)プロピレンブロックが80重量%、エ
チレン含有量5.7%のエチレン・プロピレンランダム
ブロックの割合が20重量%の2元のブロック共重合
体:fPP−5(DSC融点146℃、MI2.1g/
10min、密度0.900g/cm3 、曲げ弾性率6
400kg/cm2 )、(4)プロピレンブロックが8
5重量%、エチレン含有量5.7%のエチレン・プロピ
レンランダムブロックの割合が15重量%の2元のブロ
ック共重合体:fPP−6(DSC融点148℃、MI
2.2g/10min、密度0.900g/cm3 、曲
げ弾性率7200kg/cm2 )、を使用した。
【0074】そしてそれとの多層構成に用いる内外層樹
脂として、(A)メタロセン系シングルサイト触媒を用
いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体:m
PE−2(MFR4.3g/10min、密度0.92
8g/cm3 、分子量分布Mw/Mn3.2)をベース
樹脂とし、これに比較的分子量分布が広い高密度ポリエ
チレン(MFR5.0g/10min、密度0.951
g/cm3 、分子量分布Mw/Mn5.4)、比較的密
度の高い高圧法低密度ポリエチレンLD−2(MFR
3.0g/10min、密度0.928g/cm 3 )を
この順に60:20:20の割合でブレンドしたもの:
MPE−2、(B)メタロセン系シングルサイト触媒を
用いて重合されたエチレン含有量2.0%のシンジオタ
クチックランダムPP:synPP−2((DSC融点
135℃、MI4.1g/10min、密度0.890
g/cm3 、曲げ弾性率4500kg/cm2 )を用い
て、表3に示す構成よりなる先の実施例と同じ柔軟ブロ
ーバッグを成形した。
【0075】その結果、エチレン含有量の高いブロック
鎖の割合が40重量%を越え、しかもその樹脂の層比が
9割を越えて支配的になると、非常に柔軟になり、透明
性も良くなるものの、耐熱性が劣り、加熱殺菌時に栓体
周辺などに熱変形が生じた(比較例5)。また、この場
合fPP−3が内容品と接液するため溶出物が多くなる
傾向にあった。エチレン含有量の高いブロック鎖の割合
を40重量%以下に抑え、透明性が若干犠牲になるがブ
ロック共重合体:fPP−4の層割合を低めることによ
り溶出物の量を減らすことができ、熱変形も回避できた
(本発明5)。
【0076】内外層にmPE−2を配することで中間層
のPP系ブロック共重合体のそれぞれのエチレン含有
量、ブロック鎖の割合、層比など、柔軟性を確保しつ
つ、かなり広い組み合わせ範囲で用いることができた
(本発明6〜8)。PP系ブロック共重合体層の厚みが
薄くなると、落下衝撃性が、特に凍結温度において劣っ
てくる傾向にあった(本発明7、8)。この傾向はPP
系ブロック共重合体の曲げ弾性率が高くなるほど顕著
で、内外層にsynPP−2を用いた場合には、割れが
発生した(比較例6)。
【0077】
【表3】
【0078】実施例4 EVOH層構成 内外層にメタロセン系シングルサイト触媒を用いて重合
されたエチレン・α−オレフィン共重合体:mPE−3
(MFR3.3g/10min、密度0.927g/c
3 、分子量分布Mw/Mn4.2)、その双方内側に
2段階の重合プロセスにて重合されたブロック共重合体
として、エチレン含有量1.0%のエチレン・プロピレ
ンブロックが70重量%、エチレン含有量9.7%のエ
チレン・プロピレンランダムブロックの割合が30重量
%とそれぞれエチレン含有量の異なるエチレン・プロピ
レンランダムブロック鎖よりなる2元のブロック共重合
体:fPP−7(DSC融点139℃、MI2.5g/
10min、密度0.900g/cm3 、曲げ弾性率3
800kg/cm2 )、さらにその内側に無水マレイン
酸変性の高圧法ポリエチレン(MFR3.3g/10m
in、密度0.925g/cm3 )を介して、エチレン
含有量32mole%のエチレン・酢酸ビニル共重合体
ケン化物をそれぞれの層比8:20:3:8:3:5
0:8にて4種7層の構成にて、外径38φ、底シール
前全高160mm、側壁の最低肉厚0.52mm、匁付
け重量約11g、約80本/分の成形速度にてブローチ
ューブを成形した。このチューブは、121℃の加熱殺
菌に耐える耐熱性を持ち、そして透明性に優れると同時
に内容品をスクイズするに適度な柔軟性を有し、底のシ
ール強度、破裂強度に優れており、バリヤー性とあわせ
内容品の保存性も良好であった。
【0079】
【発明の効果】本発明によれば、プロピレン主体の重合
体ブロックを60乃至80重量%含有し且つエチレン含
有量が20乃至40重量%のエチレン−プロピレンラン
ダム共重合ブロックを20乃至40重量%含有するメル
トインデックスが0.3乃至15g/10minのプロ
ピレンランダムブロック共重合体を含有して成る中間層
と、融点が113℃以上の他のオレフィン系樹脂を含有
して成る内外層とを含む積層体をブロー成形することに
より、内容物の排液及び押出に必要な柔軟性、加熱殺菌
等に耐える耐熱性、及び透明性と耐衝撃性との優れた組
み合わせを有するプロピレン系重合体のブロー成形容器
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブロー成形容器の一例(ブローバッ
グ)を示す正面図である。
【図2】図1のブロー成形容器の器壁の断面構造を示す
拡大断面図である。
【図3】本発明のブロー成形容器の他の例(チューブ容
器)を示す正面図である。
【図4】図3のブロー成形容器の器壁の断面構造を示す
拡大断面図である。
【符号の説明】
1 ブローバッグ 2 胴部 3 閉塞底部 4 肩部 5 内容物充填口 6 内容物取り出し部 7 支持部 8 内容物取り出し用栓体 9 貫通孔 10 器壁 11 中間層(第1の中間層) 12 内層 13 外層 14 接着剤樹脂層 15 第2の中間層 20 器壁 21 チューブ容器 22 胴部 23 閉塞底部 24 肩部 25 内容物押出口 26 キャップ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 他のオレフィン系樹脂を含有して成る他
    の層とを含む積層体において、プロピレン主体の重合体
    ブロックを60乃至80重量%含有し且つエチレン含有
    量が20乃至40重量%のエチレン−プロピレンランダ
    ム共重合ブロックを20乃至40重量%含有するメルト
    インデックス(MI)が0.3乃至15g/10min
    のプロピレンランダムブロック共重合体を含有して成る
    層と、融点が113℃以上の他のオレフィン系樹脂を含
    有して成る他の層とを含む積層体を、ブロー成形して成
    ることを特徴とするブロー成形容器。
  2. 【請求項2】 前記プロピレンランダムブロック共重合
    体が1500乃至6500kg/cm2 の曲げ弾性率を
    有するものである請求項1記載のブロー成形容器。
  3. 【請求項3】 前記プロピレンランダムブロック共重合
    体が125乃至160℃の融点を有するものである請求
    項1記載のブロー成形容器。
  4. 【請求項4】 他の層のオレフィン系樹脂がプロピレン
    ランダム共重合体或いはシンジオタクティック構造のプ
    ロピレン系重合体である請求項1または2記載のブロー
    成形容器。
  5. 【請求項5】 他の層のオレフィン系樹脂が線状低密度
    ポリエチレン、メタロセン系触媒を用いて製造したエチ
    レン・α−オレフィン共重合体或いは前記エチレン・α
    −オレフィン共重合体と高密度ポリエチレンとのブレン
    ド物である請求項1または2記載のブロー成形容器。
  6. 【請求項6】 前記積層体が、水分バリアー性或いは酸
    素バリアー性の樹脂を一つの層として更に備えた請求項
    1乃至5の何れかに記載のブロー成形容器。
  7. 【請求項7】 プロピレンランダムブロック共重合体を
    含有して成る層を中間層とし、融点が113℃以上の他
    のオレフィン系樹脂を含有して成る他の層を内外層とす
    る積層体をブロー成形して成ることを特徴とするブロー
    成形容器。
  8. 【請求項8】 全体の厚みが200乃至1000μm
    で、プロピレンランダムブロック共重合体を含有して成
    る層と他のオレフィン系樹脂を含有して成る層との厚み
    の比が95:5乃至20:80の範囲にある請求項1乃
    至7の何れかに記載のブロー成形容器。
JP3948997A 1997-02-24 1997-02-24 耐熱性に優れたブロー成形容器 Expired - Fee Related JP3855343B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3948997A JP3855343B2 (ja) 1997-02-24 1997-02-24 耐熱性に優れたブロー成形容器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3948997A JP3855343B2 (ja) 1997-02-24 1997-02-24 耐熱性に優れたブロー成形容器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10236453A true JPH10236453A (ja) 1998-09-08
JP3855343B2 JP3855343B2 (ja) 2006-12-06

Family

ID=12554475

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3948997A Expired - Fee Related JP3855343B2 (ja) 1997-02-24 1997-02-24 耐熱性に優れたブロー成形容器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3855343B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002362529A (ja) * 2001-04-06 2002-12-18 Yoshino Kogyosho Co Ltd 合成樹脂製肉薄容器
JP2003146319A (ja) * 2001-11-08 2003-05-21 Toyo Seikan Kaisha Ltd 多層プラスチック容器
JP2012240285A (ja) * 2011-05-19 2012-12-10 Kureha Corp 回収層を備える樹脂製多層容器
JP2016190476A (ja) * 2015-03-31 2016-11-10 三井化学東セロ株式会社 積層フィルム
WO2020050165A1 (ja) * 2018-09-07 2020-03-12 東洋製罐グループホールディングス株式会社 耐熱性多層容器及びその製造方法

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100814985B1 (ko) 2007-01-15 2008-03-18 삼성토탈 주식회사 투명성 및 내충격성이 우수한 폴리프로필렌 수지 조성물
KR100814986B1 (ko) 2007-01-15 2008-03-18 삼성토탈 주식회사 투명성 및 내충격성이 우수한 폴리프로필렌 수지 조성물

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002362529A (ja) * 2001-04-06 2002-12-18 Yoshino Kogyosho Co Ltd 合成樹脂製肉薄容器
JP2003146319A (ja) * 2001-11-08 2003-05-21 Toyo Seikan Kaisha Ltd 多層プラスチック容器
JP2012240285A (ja) * 2011-05-19 2012-12-10 Kureha Corp 回収層を備える樹脂製多層容器
JP2016190476A (ja) * 2015-03-31 2016-11-10 三井化学東セロ株式会社 積層フィルム
WO2020050165A1 (ja) * 2018-09-07 2020-03-12 東洋製罐グループホールディングス株式会社 耐熱性多層容器及びその製造方法
JPWO2020050165A1 (ja) * 2018-09-07 2021-03-11 東洋製罐グループホールディングス株式会社 耐熱性多層容器及びその製造方法
CN112638781A (zh) * 2018-09-07 2021-04-09 东洋制罐集团控股株式会社 耐热性多层容器及其生产方法
US11148402B2 (en) 2018-09-07 2021-10-19 Toyo Seikan Group Holdings, Ltd. Heat-resistant multilayer container and method for producing the same
CN112638781B (zh) * 2018-09-07 2022-11-25 东洋制罐集团控股株式会社 耐热性多层容器及其生产方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3855343B2 (ja) 2006-12-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11027473B2 (en) Multilayered article comprising polypropylene impact copolymers, and method of making same
TWI257406B (en) Resin composition for sealant, laminate, and container obtained therefrom
JP2009154332A (ja) 積層体
JP6565646B2 (ja) 耐熱性及び耐突き刺し性を有する易引裂性フィルム及び包装材
TW200402461A (en) Sealant, a resin composition for sealant, a sealant film, laminate film and the container thereof
JP3052398B2 (ja) 医療用バッグ
JP4242216B2 (ja) 医療用容器
JP3855343B2 (ja) 耐熱性に優れたブロー成形容器
JP3834912B2 (ja) ブロー成形容器
JP3843687B2 (ja) 軽量スクイズボトル
TW200526734A (en) Polypropylene-base molded article and container
JPH0717042B2 (ja) 表面光沢性に優れた多層プラスチック容器
JP2003182744A (ja) 透明性の改良された多層ブローバック及びその製造方法
TWI254062B (en) Medical container
JP6434844B2 (ja) 医療用複室容器
JP3774973B2 (ja) ブローバッグ及びその製造方法
JP4694762B2 (ja) 多層プラスチック容器
JP3655379B2 (ja) ポリプロピレン多層ブロー成形体
JP4575576B2 (ja) ストレッチ包装用フィルム
JP3948252B2 (ja) 多層プラスチック容器
JPH0952328A (ja) ポリオレフィン積層体
JP2004154942A (ja) ポリエチレンシートおよびその製造方法
JP7274918B2 (ja) 容器用多層フィルム及びそれを含む容器
JP4724991B2 (ja) 軽量多層プラスチックボトル及びその製造方法
JP4406493B2 (ja) 低光沢ブロー成形品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060327

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060822

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060904

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100922

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100922

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110922

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110922

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120922

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120922

Year of fee payment: 6

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120922

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120922

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130922

Year of fee payment: 7

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130922

Year of fee payment: 7

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees